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特開2024-153975落下防止網、落下防止網を備えた接続チューブ、落下防止網を備えた加熱調理器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153975
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】落下防止網、落下防止網を備えた接続チューブ、落下防止網を備えた加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/02 20210101AFI20241023BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20241023BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
F24C3/02 Z
F24C15/20 D
F24C15/20 A
A47J37/06 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067525
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】591031902
【氏名又は名称】シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 裕司
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA02
4B040CA02
4B040GD30
(57)【要約】
【課題】落とした物を受け止めることができる落下防止網を提供する。
【解決手段】落下防止網350は、環状の枠部351と、枠部351の内側空間内に設けられ、窪みを有する網本体352と、を備える。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の排気流路内に配置可能な落下防止網であって、
環状の枠部と、
前記枠部の内側空間内に設けられ、窪みを有する網本体と、
を備える落下防止網。
【請求項2】
前記枠部の上面は、平坦である、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項3】
前記網本体の端部は、前記枠部の上面以外の部分に結合されている、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項4】
前記落下防止網はプレス加工による一体成型品である、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項5】
前記網本体は、前記枠部の下面に溶接されている、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項6】
前記網本体の目開きは、防火ダンパの温度ヒューズの大きさよりも小さい、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項7】
前記網本体のメッシュ数は、3メッシュから5メッシュである、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項8】
前記網本体のメッシュ数は、3メッシュである、
請求項7に記載の落下防止網。
【請求項9】
前記網本体の窪みの深さは、防火ダンパの温度ヒューズの大きさよりも深い、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項10】
前記落下防止網は、取っ手をさらに備える、
請求項1に記載の落下防止網。
【請求項11】
前記取っ手はリングである、
請求項10に記載の落下防止網。
【請求項12】
前記排気流路の一部を画定する接続チューブであって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の落下防止網を備える、
接続チューブ。
【請求項13】
前記排気流路内に請求項1から11のいずれか1項に記載の落下防止網を備える、
加熱調理器。
【請求項14】
排気流路内に配置された落下防止網を備える、
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器用の落下防止網に関する。本発明は、当該落下防止網を備えた接続チューブにも関する。本発明は、当該落下防止網を備えた加熱調理器にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を調理した際に発生する煙を吸引して排気する機構を備えた加熱調理器が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような加熱調理器は、フィルタ、接続チューブおよび排気ダクトを備えている。排気ダクトは、加熱調理器の外部に配置された集合ダクトに結合されている。1本の集合ダクトには、複数台の加熱調理器の排気ダクトが結合されている。集合ダクトは、排気ファンと結合されている。煙は、フィルタでろ過された後、接続チューブ内および排気ダクト内の排気流路を流れ、集合ダクトを通って屋外に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-249368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排気ファンが作動している状態で、フィルタを外して加熱調理器内を清掃しているときに、排気流路内に物を落としてしまうと、落下物は集合ダクト内または排気ファンまで移動する。落下物を回収するためには、排気ファンを一旦停止させなければならない。複数台の加熱調理器が集合ダクトを介して排気ファンと結合されている場合、排気ファンを停止させると、その排気ファンに結合されたすべての加熱調理器が使用できなくなる。したがって、多くの店舗では、店舗の営業中に加熱調理器内を清掃せず、営業終了後に排気ファンを停止させてから加熱調理器内の清掃を行っていた。
【0006】
本発明は、落とした物を受け止めることができる落下防止網を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記落下防止網を備えた加熱調理器用の接続チューブを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、上記落下防止網を備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
加熱調理器の排気流路内に配置可能な落下防止網であって、
環状の枠部と、
前記枠部の内側空間内に設けられ、窪みを有する網本体と、
を備える落下防止網。
【発明の効果】
【0010】
加熱調理器の排気流路内に落下防止網が配置されていることにより、排気流路内に物を落としたとしても、落下防止網によって落下物を受け止めることができる。これにより、落下物が、集合ダクトまたは排気ファンまで移動することがないため、落下物を回収するために排気ファンを停止させる必要がない。
【0011】
また、落下防止網の網本体が窪みを有することにより、落下物を窪み内に収容することができる。これにより、防火ダンパの動作が落下物によって妨害されるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】加熱調理器の縦断面図である。
図2】接続チューブの縦断面図である。
図3A】防火ダンパが作動していないときの防火ダンパの斜視図である。
図3B】防火ダンパが作動したときの防火ダンパの斜視図である。
図4A】温度ヒューズの平面図である。
図4B】温度ヒューズの正面図である。
図5A】落下防止網の平面図である。
図5B】落下防止網の正面図である。
図6A】変形例に係る落下防止網の平面図である。
図6B】変形例に係る落下防止網の正面図である。
図7】変形例に係る落下防止網の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しつつ本発明について説明する。
【0014】
<1.加熱調理器>
図1に示す加熱調理器1000は、例えば、焼肉や焼き鳥など、食材を焼いて調理する加熱調理器である。加熱調理器1000の大部分は、テーブルTの天板T1の下方に設けられた筐体T2内に配置されており、加熱調理器1000の一部は天板T1の開口部内に配置されている。
【0015】
加熱調理器1000は、ケーシング100と、調理機構と、排気機構と、を備える。調理機構は、食材を加熱調理する機構である。排気機構は、食材を調理した際に発生した煙を排気する機構である。
【0016】
図1に示すように、ケーシング100は、横長の形状であり、底壁101と、底壁101から立ち上がる側壁102と、上壁103と、を備える。底壁101は、後述するフィルタ320が配置される位置に、開口部を有する。上壁103は、後述するドレインパン200をケーシング100内に入れるための開口部を有する。
【0017】
調理機構は、ドレインパン200、加熱装置であるガスバーナ210、バーナカバー220、熱板230および調理器具240から構成されている。
【0018】
ドレインパン200は、ケーシング100内に配置されている。ドレインパン200は、その中央に、ガスバーナ210を配置するための空間を有している。加熱調理器1000の使用時に、ドレインパン200は、水を収容している。
【0019】
ガスバーナ210は、ガスバーナ210周囲の空気を加熱して熱風を生成すると共に、熱板230、調理器具240および調理器具240上の食材を加熱する。ガスバーナ210は、ドレインパン200の中央の空間内に配置される。
【0020】
バーナカバー220は、ガスバーナ210の上方に配置されている。熱板230は、バーナカバー220上に載置されている。熱板230はガスバーナ210によって加熱されることで、輻射熱を放射し、調理器具240および食材を加熱する。
【0021】
調理器具240は、例えば網やロストルである。調理器具240は、熱板230よりも上方に配置されると共に、ドレインパン200の上部に設けられた段差上に載置されている。
【0022】
排気機構は、アウタリング300、トップリング310、フィルタ320、接続チューブ330、防火ダンパ340、落下防止網350、および排気ダクト360から構成されている。排気ダクト360は、加熱調理器1000の外部に配置された集合ダクト(不図示)に結合されており、集合ダクトは排気ファン(不図示)と結合されている。
【0023】
アウタリング300は、ケーシング100の上部に載置されている。トップリング310は、調理器具240よりも上方に配置されると共に、ドレインパン200およびアウタリング300上に載置されている。トップリング310は円筒状である。トップリング310の周壁は、周方向に離隔した複数の吸引口311を有する。排気ファンを駆動したとき、食材から立ち上がる煙は、吸引口311から吸引される。なお、以下で、「煙」のことを「排気」と表記することもある。
【0024】
フィルタ320は、煙に含まれる油をろ過する。フィルタ320は、ケーシング100内で、かつ、ドレインパン200から横方向に変位した位置に配置されている。フィルタ320は、例えばステンレスなどの金属製である。
【0025】
接続チューブ330はフィルタ320の下方に配置されている。排気ダクト360は接続チューブ330の下方に配置されている。ケーシング100の底壁101の開口部、接続チューブ330内および排気ダクト360内は、煙が流れる排気流路を画定している。トップリング310の吸引口311から吸引された煙は、フィルタ320でろ過された後、ケーシング100の底壁101の開口部を通って接続チューブ330内に入り、排気ダクト360内を通って集合ダクトに流れる。
【0026】
図2に示すように、接続チューブ330は、概ね円筒形である。接続チューブ330は、その上端に、ガスケット331を有する。接続チューブ330は、ガスケット331がケーシング100の底壁101の下面に密着するように、ケーシング100に結合される。また、接続チューブ330は、その内部に、水平に延びる円環状の底部332を有する。底部332は、底部332を貫通する円形の開口部333を有する。開口部333は、底部332から下方に延びる第1周壁334、第1周壁334の直径よりも小さい直径を有する第2周壁335、および第1周壁334と第2周壁335との間の円環状の段差336によって画定されている。
【0027】
図3Aおよび図3Bに示すように、防火ダンパ340は、接続チューブ330内に配置されている。防火ダンパ340は、排気の温度が所定の温度を超える異常高温になった際に作動して、排気流路を閉鎖する。これにより、排気流路内または集合ダクト内に溜まった油に着火することを防止でき、その結果、火事の発生を防止できる。
【0028】
防火ダンパ340は、円筒形のパイプ341と、2枚の板342と、シャフト343と、弾性部材344と、温度ヒューズ345と、を備える。
【0029】
パイプ341は、接続チューブ330の第1周壁334の内側に挿入されると共に落下防止網350の枠部351(図5A参照)上に載置されている。
【0030】
シャフト343の両端は、パイプ341に結合されている。2枚の板342は、シャフト343に回転可能に結合されている。
【0031】
弾性部材344は、2枚の板342を互いに離れる方向(すなわち、接続チューブ330の開口部333を閉鎖する方向)に付勢している。弾性部材344は、例えばシャフト343に結合されたトーションバネである。
【0032】
温度ヒューズ345は、排気の温度が所定の温度(例えば、140℃)未満のときには、2枚の板342を固定しており、一方、排気の温度が所定の温度以上になると溶断して、2枚の板342の固定を解除する。
【0033】
図4Aおよび図4Bに示すように、温度ヒューズ345は、基部3451と、1対の挟持部3452a,3452bと、を備える。図4Aに示すように、基部3451は、平面視で長方形である。基部3451は、長さLおよび幅Wを有する。図4Bに示すように、1対の挟持部3452a,3452bは、基部3451に対して略直交すると共に、基部3451から下方に延びている。1対の挟持部3452a,3452bの間には、2枚の板342が挟まれる。1対の挟持部3452a,3452bは、高さHを有する。一例として、温度ヒューズ345の長さLは30mmであり、幅Wは14mmであり、高さHは15mmである。挟持部3452aは、基部3451と一体成型されている。挟持部3452bは基部3451に結合されており、温度ヒューズ345が所定の温度以上になると、挟持部3452bと基部3451との結合部分が溶け、基部3451から外れるようになっている。
【0034】
図3Aに示すように、加熱調理器1000の通常運転時(すなわち、防火ダンパ340の非作動時)、2枚の板342は、温度ヒューズ345の1対の挟持部3452a,3452bの間に挟まれて固定されている。これにより、2枚の板342は、弾性部材344の付勢力に抗して互いに接触すると共に、接続チューブ330の中心軸方向に平行になるように配置されている。接続チューブ330の開口部333は開状態であり、フィルタ320、接続チューブ330および排気ダクト360は連通している。
【0035】
図3Bに示すように、排気の温度が所定の温度以上になると、挟持部3452bが温度ヒューズ345の基部3451から脱落し、2枚の板342の固定が解除される。温度ヒューズ345による板342の固定が解除されることにより、弾性部材344の弾性力により、2枚の板342は接続チューブ330の開口部333を閉鎖する。
【0036】
図1に示すように、落下防止網350は、落下物が集合ダクトまたは排気ファンまで移動しないようにするために、排気流路内で落下物を受け止める。落下する可能性のある物としては、例えば、温度ヒューズ345である。落下防止網350は、ケーシング100の底壁101の開口部から、使用者の手の届く距離の範囲内に配置されていることが好ましい。
【0037】
図5Aおよび図5Bに示すように、落下防止網350は、円環状の枠部351と、枠部351の内側空間に設けられた網本体352と、を備える。枠部351および網本体352はいずれも、例えば金属材料から成る。
【0038】
図5Aおよび図5Bに示すように、好ましくは少なくとも網本体352、より好ましくは落下防止網350全体は、1枚の金属製の板材をプレス加工することによって製造された一体成型品である。より詳細には、網本体352または落下防止網350全体は、1枚の金属製の板材を打ち抜くことによって製造され、網本体352に後述する窪みが設けられる場合には、網本体352にさらに曲げ加工が施される。
【0039】
枠部351は接続チューブ330の段差336(図2参照)上に載置される。既に述べた通り、枠部351上には、防火ダンパ340のパイプ341が載置される。このように、枠部351を段差336とパイプ341とによって挟むことにより、落下防止網350を接続チューブ330に固定できる。落下防止網350を接続チューブ330内に配置したとき、網本体352は、接続チューブ330の開口部333を覆う。
【0040】
枠部351は、平板から成る。枠部351の上面は、平坦である。網本体352は、複数の線部が交差することによって構成されている。線部は、例えば、帯状の板材から成る。線部の端部は、枠部351の内周縁に一体的に結合されている。また、線部同士も一体的に結合されている。したがって、線部と枠部351との交点および線部同士の交点には、凹凸が存在しない。
【0041】
網本体352は、下方に窪んだ窪みを有することが好ましい。窪みの形状は特に限定されないが、例えば、正面視で逆円錐台形状、長方形もしくは正方形などの底部が平坦な形状であってもよく、または、正面視で底部が下方に湾曲した形状であってもよい。
【0042】
窪みの最も深い位置の深さD1(図5B参照)は、温度ヒューズ345の大きさよりも大きいことが好ましい。より詳細には、窪みの最も深い位置の深さD1は、温度ヒューズ345の幅Wまたは高さHのうちの大きい方の寸法よりも大きいことが好ましい。また、窪み水平方向長さの最小寸法D2(図5B参照)は、温度ヒューズ345の最大寸法である長さLよりも大きいことが好ましい。なお、図5Bに示す実施形態では、窪み水平方向長さの最小寸法D2は、窪みの底部の水平方向長さである。
【0043】
網本体352の目開きは、温度ヒューズ345の大きさよりも小さいことが好ましい。より詳細には、網本体352の目開きは、温度ヒューズ345の長さL、幅Wおよび高さHのうちの最小寸法よりも小さいことが好ましい。これにより、温度ヒューズ345が、網本体352の網目をすり抜けて落下してしまうことを防止できる。一実施形態において、温度ヒューズ345の幅Wは14mmであり、これが最小寸法であるため、目開きが14mm以下となるようにするために、網本体352のメッシュ数は、3メッシュ以上で5メッシュ以下あることが好ましい。網本体352のメッシュ数は、5メッシュより大きくてもよいが、網本体352のメッシュ数が大きくなると(すなわち、目開きが小さくなると)、排気に含まれる油などの汚れにより、網目が詰まるおそれがある。したがって、網本体352のメッシュ数は、5メッシュ以下であることが好ましく、3メッシュであることが最も好ましい。なお、網本体352の線部の幅は、例えば0.9mmから2.0mmである。
【0044】
<2.効果>
図1に示すように、加熱調理器1000の排気流路内に落下防止網350が配置されていることにより、排気流路内に物を落としたとしても、その物を落下防止網350によって受け止めることができる。したがって、落下物は、集合ダクトまたは排気ファンまで移動しないため、落下物を回収するために排気ファンを停止させる必要がない。よって、店舗の営業中に、一部の加熱調理器1000を使用しているときであっても、それと同じ排気ファンに結合された他の加熱調理器1000の内部を清掃できる。
【0045】
網本体352が窪みを有することにより、落下物が窪み内に収まる。これにより、防火ダンパ340の2枚の板342が閉鎖する際に、2枚の板342が落下物と干渉することを防止できるため、防火ダンパ340の作動時に2枚の板342を確実に閉鎖させることができる。
【0046】
枠部351の上面が平坦であることにより、防火ダンパ340を正しい姿勢で配置することができる。そのため、防火ダンパ340の作動不良を防止できる。
【0047】
落下防止網350がプレス加工品であることにより、落下防止網350の製造コストを低減できる。落下防止網350がプレス加工品であることにより、網本体352の端部が、枠部351の上面ではなく、枠部351の内周縁に一体的に結合されることになるため、枠部351の上面を平坦にすることができる。また、網本体352または落下防止網350全体がプレス加工品であることにより、線部同士の交点に凹凸が存在しないため、線部同士の交点に油などの汚れが溜まりにくくなる。例えば、網本体352が、複数の線部を溶接したり、あるいは複数の線部を編んだりすることによって製造されている場合、線部同士の交点において、一方の線部が他方の線部の上または下に位置することになるため、線部同士の交点には凹凸が存在することになる。汚れは線部同士の交点の凹部に入り込むため、線部同士の交点に汚れが溜まりやすくなる。さらに、網本体352を洗浄しても、線部同士の交点に汚れが残ったままになりやすい。線部同士の交点に残った汚れは、網本体352の腐食の原因になる。これに対し、落下防止網350がプレス加工品であることにより、線部同士の交点には凹凸が存在しない。これにより、線部同士の交点に汚れが溜まりにくくなり、かつ、網本体352を洗浄したときに、線部同士の交点に溜まった汚れが落ちやすくなる。
【0048】
網本体352の目開きが温度ヒューズ345の大きさよりも小さいことにより、落下した温度ヒューズ345が網本体352の網目をすり抜けて落下してしまうことを防止できる。
【0049】
網本体352のメッシュ数が3メッシュから5メッシュ、特に3メッシュであることにより、落下した温度ヒューズ345が網本体352の網目をすり抜けて落下してしまうことを防止できると共に、排気に含まれる油などの汚れにより網目が詰まってしまうことを防止できる。
【0050】
網本体352の窪みの深さが温度ヒューズ345の大きさよりも深いことにより、温度ヒューズ345が溶断して落下しても、温度ヒューズ345が窪み内に収まる。これにより、防火ダンパ340の2枚の板342が閉鎖する際に、2枚の板342が落下物と干渉することを防止できるため、確実に2枚の板342を閉鎖させることができる。
【0051】
接続チューブ330は、ケーシング100の底壁101の直下に配置される。したがって、接続チューブ330内に落下防止網350を配置することにより、使用者の手が届く範囲に落下防止網350を配置できるため、落下物を使用者が手で直接拾い上げることができる。
【0052】
<3.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、単独で、または、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて、上記実施形態に適用できる。
【0053】
(3-1)加熱調理器1000は、寄せ鍋やしゃぶしゃぶなどの鍋料理を調理可能であってもよい。鍋料理を調理する場合、調理器具240は鍋である。また、調理器具240が鍋である場合、加熱調理器1000は、ドレインパン200、バーナカバー220および熱板230を備えていなくてもよい。
【0054】
(3-2)加熱装置は、電気ヒータであってもよい。加熱装置が電気ヒータである場合、加熱調理器1000は、バーナカバー220および熱板230を備えていなくてもよい。また、調理器具240が鍋である場合、加熱装置は、IHヒータであってもよい。
【0055】
(3-3)既に述べた通り、網本体352が窪みを有する実施形態は、落下防止網350の好ましい実施形態であるが、網本体352は窪みを有さず、平坦であってもよい。
【0056】
(3-4)落下防止網350の網本体352は、フィルタ320の直下に設けられたケーシング100の底壁101の開口部に配置され、底壁101の開口部付近で落下物を受け止めてもよい。
【0057】
(3-5)枠部351の形状は、円環状(真円の環状)に限定されない。枠部351の形状は、接続チューブ330の段差336の形状および防火ダンパ340のパイプ341の形状と同一であればよい。したがって、段差336およびパイプ341の形状が楕円形の環状である場合には、枠部351も楕円形の環状とすればよい。また、段差336およびパイプ341の形状が多角形(例えば、四角形)の環状である場合には、枠部351も多角形(例えば、四角形)の環状とすればよい。
【0058】
(3-6)図6Aおよび図6Bに示すように、網本体352は、例えば溶接によって、枠部351の下面に結合されていてもよい。網本体352が枠部351の下面に溶接されていることにより、枠部351の上面を平坦にすることができる。また、枠部351は平板に限定されず、円筒状または円柱状の部材であってもよい。
【0059】
(3-7)図7に示すように、落下防止網350は、取っ手353を備えていてもよい。取っ手353は、例えば、枠部351または網本体352に取り付けられたリングである。図7では、リングは、網本体352に取り付けられている。通常、使用者は手袋を装着して加熱調理器1000の清掃を行う。手袋を装着していると、落下防止網350を掴みにくくなる。落下防止網350が取っ手353を備えることにより、使用者は取っ手353を掴んで落下防止網350を簡単に取り外すことができる。取っ手353がリングであることにより、簡単な構造により取っ手353を実現できると共に、使用者の指をリングに入れて落下防止網350を持ち上げるだけで落下防止網350を取り外すことができる。
【0060】
<4.発明の開示>
本発明は、以下に掲げる態様の発明も提供する。
(項1)
加熱調理器の排気流路内に配置可能な落下防止網であって、
環状の枠部と、
前記枠部の内側空間内に設けられ、窪みを有する網本体と、
を備える落下防止網。
【0061】
(項2)
前記枠部の上面は、平坦である、
項1に記載の落下防止網。
【0062】
(項3)
前記網本体の端部は、前記枠部の上面以外の部分に結合されている、
項1または2に記載の落下防止網。
【0063】
(項4)
前記網本体は、プレス加工による一体成型品である、
項1から3のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0064】
(項5)
前記落下防止網はプレス加工による一体成型品である、
項1から4のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0065】
(項6)
前記網本体は、前記枠部の下面に溶接されている、
項1から4のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0066】
(項7)
前記網本体の目開きは、防火ダンパの温度ヒューズの大きさよりも小さい、
項1から6のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0067】
(項8)
前記網本体のメッシュ数は、3メッシュから5メッシュである、
項1から7のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0068】
(項9)
前記網本体のメッシュ数は、3メッシュである、
項8に記載の落下防止網。
【0069】
(項10)
前記網本体の窪みの深さは、防火ダンパの温度ヒューズの大きさよりも深い、
項1から9のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0070】
(項11)
前記落下防止網は、取っ手をさらに備える、
項1から10のいずれか1項に記載の落下防止網。
【0071】
(項12)
前記取っ手はリングである、
項11に記載の落下防止網。
【0072】
(項13)
前記排気流路の一部を画定する接続チューブであって、
項1から12のいずれか1項に記載の落下防止網を備える、
接続チューブ。
【0073】
(項14)
項13に記載の接続チューブを備える加熱調理器。
【0074】
(項15)
前記排気流路内に項1から12のいずれか1項に記載の落下防止網を備える、
加熱調理器。
【0075】
(項16)
排気流路内に配置された落下防止網を備える、
加熱調理器。
【0076】
(項17)
前記排気流路は前記加熱調理器の下方まで延びており、前記加熱調理器の下方から煙が排気される、
項14から16のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【符号の説明】
【0077】
1000 加熱調理器
330 接続チューブ
345 温度ヒューズ
350 落下防止網
351 枠部
352 網本体
353 取っ手(リング)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7