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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153978
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20241023BHJP
   A47B 31/02 20060101ALI20241023BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20241023BHJP
   A47J 39/02 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B31/02 A
A47B31/02 D
A47B55/00
A47J39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067528
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒木 亜美
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】永井 洋
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
【テーマコード(参考)】
3B067
4B066
【Fターム(参考)】
3B067AA05
4B066AA05
4B066AB10
(57)【要約】
【課題】庫内の密閉性を向上できる貯蔵庫を提供する。
【解決手段】開口11Cを有する箱体11Aと、箱体11Aの開口11Cを開閉可能な扉60と、を備え、扉60は、扉本体部62と、当該扉60が開口11Cを閉じた閉状態のときに、扉本体部62において、箱体11Aの開口11C周りの部分である開口周辺部44に対向する位置に配された弾性部66を備え、弾性部66は、扉60が閉状態のときに、開口周辺部44に対して面接触する平坦状の平坦部73を備える、貯蔵庫1。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する箱体と、
前記箱体の前記開口を開閉可能な扉と、を備え、
前記扉は、
扉本体部と、
当該扉が前記開口を閉じた閉状態のときに、前記扉本体部において、前記箱体の前記開口周りの部分である開口周辺部に対向する位置に配された弾性部を備え、
前記弾性部は、前記扉が閉状態のときに、前記開口周辺部に対して面接触する平坦状の平坦部を備える、貯蔵庫。
【請求項2】
前記弾性部は、
前記扉本体部に取り付けられた基部と、
前記平坦部と前記基部との間に配され、断面視V字状に折れ曲がった折曲部と、を備える、請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記扉本体部は、
外壁部と、
前記外壁部の箱体内側に配された内壁部と、
前記外壁部と前記内壁部とを互いに取り付ける取付部と、を備え、
前記弾性部は、
前記内壁部に取り付けられた基部を備え、
前記基部は、前記取付部を覆う凹部を備える、請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記凹部は、前記平坦部の箱体外側に配され、
前記凹部の端部は、前記扉本体部に対し箱体内側から当接している、請求項3に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記扉は、
第1扉と、
第1扉の側方に配された第2扉と、を含み、観音開き式に前記開口を開閉可能とされ、
前記弾性部は、
前記第1扉に配された第1弾性部と、
前記第2扉に配された第2弾性部と、を備え、
前記第1弾性部は、前記第2弾性部に向かって延びる第1延出部を備え、
前記第2弾性部は、前記第1延出部に向かって延びる第2延出部を備え、
前記開口周辺部は、箱体外側に突出した突出部を備え、
前記第1延出部及び前記第2延出部は、前記突出部の箱体外側に位置している、請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的に、特許文献1には、貯蔵庫が、前方に開口した箱体と、箱体の開口周りの部分に取り付けられた弾性部(ドアーパッキン)と、箱体の開口を開閉する扉と、を備え、弾性部が、箱体外側を向く面が曲面をなしたシール部を備えることが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭50-020861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、シール部において箱体外側を向く面が曲面をなしているので、扉が開口を閉じた場合に、シール部の曲面と扉とが当接する面積を十分に確保することができず、箱体内(庫内)の密閉性が低下する虞がある。扉が開口を閉じる際に、シール部を潰すように弾性変形させてシール部と扉とを密着させることも考えられるが、その場合、扉を箱体に押し付ける力が必要となる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、庫内の密閉性を向上できる貯蔵庫を提供することを目的の一つとする。また、軽い力で扉を閉じることができる貯蔵庫を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、開口を有する箱体と、前記箱体の前記開口を開閉可能な扉と、を備え、前記扉は、扉本体部と、当該扉が前記開口を閉じた閉状態のときに、前記扉本体部において、前記箱体の前記開口周りの部分である開口周辺部に対向する位置に配された弾性部を備え、前記弾性部は、前記扉が閉状態のときに、前記開口周辺部に対して面接触する平坦状の平坦部を備える、貯蔵庫である。
【0007】
上記構成において、前記弾性部は、前記扉本体部に取り付けられた基部と、前記平坦部と前記基部との間に配され、断面視V字状に折れ曲がった折曲部と、を備えていてもよい。
【0008】
上記構成において、前記扉本体部は、外壁部と、前記外壁部の箱体内側に配された内壁部と、前記外壁部と前記内壁部とを互いに取り付ける取付部と、を備え、前記弾性部は、前記内壁部に取り付けられた基部を備え、前記基部は、前記取付部を覆う凹部を備えていてもよい。
【0009】
上記構成において、前記凹部は、前記平坦部の箱体外側に配され、前記凹部の端部は、前記扉本体部に対し箱体内側から当接していてもよい。
【0010】
上記構成において、前記扉は、第1扉と、第1扉の側方に配された第2扉と、を含み、観音開き式に前記開口を開閉可能とされ、前記弾性部は、前記第1扉に配された第1弾性部と、前記第2扉に配された第2弾性部と、を備え、前記第1弾性部は、前記第2弾性部に向かって延びる第1延出部を備え、前記第2弾性部は、前記第1延出部に向かって延びる第2延出部を備え、前記開口周辺部は、箱体外側に突出した突出部を備え、前記第1延出部及び前記第2延出部は、前記突出部の箱体外側に位置していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、庫内の密閉性を向上できる貯蔵庫の提供が可能となる。また、軽い力で扉を閉じることができる貯蔵庫の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る再加熱カートの分解斜視図
図2】再加熱カートの斜視図
図3】カート本体を前方から視た図
図4】2つの扉の拡大断面図(図3のIV-IV線断面)
図5】右側の上ヒンジ部周辺の斜視図
図6】右側の下ヒンジ部周辺の斜視図
図7】実施形態2に係る2つの扉の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を図1から図6によって説明する。本実施形態では、貯蔵庫として、再加熱カート(冷温蔵装置)1について例示する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。また、左右方向を幅方向と呼び、後前方向を奥手前方向と呼ぶことがある。
【0014】
図1に示すように、再加熱カート1は、カート10と、カート10が出し入れ可能に格納されるステーション30と、を備える。カート10は、内部が貯蔵室11Bとされる断熱性の箱体11Aを有するカート本体11と、複数のトレイTを収納するフレームカート20と、を備えている。
【0015】
フレームカート20はキャスタ22を設けた底板21の左右の側縁から金属製のフレーム23が立ち上げられた構造である。フレームカート20はカート本体11内に前面側から出し入れ可能となっている。フレームカート20の左右方向における略中央部分には、前後方向全域に亘って延びた断熱製の仕切壁24が設けられている。仕切壁24は複数の単位仕切壁24Aを上下方向に積み上げた形状である。トレイTは、上下方向において隣り合う2つの単位仕切壁24Aの間に向けて、前後両面側から挿入されることにより、上下方向において複数段に亘って収納される。
【0016】
図2に示すように、フレームカート20がカート本体11内に収納されると仕切壁24によって断熱室11Bが左右に仕切られることにより、断熱室11Bの左側部分が冷温蔵室25Hとして区画され、断熱室11Bの右側部分が冷蔵室25Cとして区画される。
【0017】
図1に示すように、ステーション30は、前方視門型の出入口31Aを有する下部31と、下部31の上方に配され、内部に交換室を有する上部32と、上部32の上側に配され、前後側及び左右側がパネルで囲まれてなる機械室36と、を備える。ステーション30は、出入口31Aを通してカート10を内部に出し入れ可能とされる。機械室36は、圧縮機38、凝縮器39、及び凝縮器ファン39A等によって構成される冷却装置37を備える。圧縮機38、凝縮器39、及び上部32の交換室に配された冷却器等は、冷媒管によって接続されることにより、既知の冷凍サイクルを構成している。尚、上部32の交換室は、冷却器、ヒータ、及び循環ファンを備える第1交換室と、冷却器、及び循環ファンを備える第2交換室に区分されている。
【0018】
箱体11Aの天井16には、箱体11Aの内外側を連通する複数の開口17A,17B,17C,17Dが形成されている。開口17A,17Bは、冷温蔵室25Hに通じている。開口17C,17Dは、冷蔵室25Cに通じている。カート10がステーション30の内部に入った状態では、開口17A,17Bが、その上方に配された第1交換室に通じ、開口17C,17Dが、その上方に配された第2交換室に通ずる。この状態において、ステーション30は、冷却装置37、ヒータ、及び循環ファン等を駆動させることで、冷温蔵室25Hに冷気や暖気を送ったり、冷蔵室25Cに冷気を送ったりすることができる。これにより、冷温蔵装置1は、トレイTの左側に配された貯蔵物を冷温蔵室25Hにおいて冷却又は加熱したり、トレイTの右側に配された貯蔵物を冷蔵室25Cにおいて冷却したりすることが可能となる。
【0019】
図1から図3に示すように、カート本体11は、前後方向に開口した箱体11Aと、箱体11Aの前側の開口11Cを開閉可能な2つの扉60,61と、箱体11Aに取り付けられ、扉60,61を回動させるヒンジ部14,15と、を備える。2つの扉60,61は、第1扉60と、第1扉60の右方(側方)に配された第2扉61と、を含み、観音開き式に開口11Cを開閉可能とされる。尚、便宜上、図1では2つの扉60,61の図示をいずれも省略し、図2では左側の第1扉60のみ図示している。また、箱体11Aは、箱体11Aの後側の開口を開閉可能な2つの扉69を備えるが、箱体11Aの後側の開口及び扉69の構造は、箱体11Aの前側の開口11C及び扉60,61の構造と前後対称に表れるため、その詳細な説明を省略する。
【0020】
箱体11Aは、箱体11Aの底を構成する底壁部40と、底壁部40の左右両側端部から立ち上がった2つの側壁部41,42と、側壁部41,42の上端部同士を接続する上壁部43と、上壁部43の上側に配された天井16と、を備える。各壁部40,41,42、43は、外壁部と外壁部の箱体内側に配された内壁部と、により構成される2重構造となっており、この外壁部と内壁部との間にメラミンフォーム等の発泡材(断熱部品)が配されることで、断熱性を有した箱状体を構成している。各壁部40,41,42、43の前端部40A,41A,42A,43Aは、前方視四角枠状をなした開口周辺部44を構成している。開口周辺部44は、箱体11Aの開口11Cの開口周りの部分である。本実施形態では、開口周辺部44は、仕切壁24の前端部24A1を含む。尚、他の実施形態として、開口周辺部44は、仕切壁24の前端部24A1を含んでいなくてもよい。
【0021】
図2及び図3に示すように、右側の側壁部(右側壁部)41の前端部41Aには、使用者が把持可能な箱体側把持部45A,45Cと、当該前端部41Aの上下両側部分に配された2つのヒンジ部14,15と、が取り付けられている。左側の側壁部(左側壁部)42の前端部42Aには、同様に、使用者が把持可能な箱体側把持部45Bと、当該前端部42Aの上下両側部分に配された2つのヒンジ部14,15と、が取り付けられている。箱体側把持部45Cは、2つの箱体側把持部45A,45Bの上端部に橋掛け可能とされる。
【0022】
ヒンジ部14,15は、前端部41A,42Aに取り付けられた一方端部とは反対側の他方端部が、扉60,61に取り付けられている。扉60,61は、ヒンジ部14,15を介してそれぞれ箱体11Aに取り付けられていることで、箱体11Aの開口11C(ひいては開口周辺部44)に対して近接又は離間するように、箱体11Aに対してヒンジ部14,15を軸として観音開き式に回動可能となる。扉60,61は、この回動により、図2に示すように、箱体11Aの開口11Cを開いた開状態と、図3に示すように、開口11Cを閉じた閉状態と、にその状態を変更可能とされる。
【0023】
図3図5、及び図6に示すように、右側のヒンジ部14,15は、前端部41Aの下側部分に配された下ヒンジ部14と、前端部41Aの上側部分に配された上ヒンジ部15と、を含む。ヒンジ部14,15は、それぞれ、前端部41Aに取り付けられた第1板部14A,15Aと、扉本体部64に取り付けられた第2板部14C,15Cと、第1板部14A,15Aと第2板部14C,15Cとを回動可能に取り付ける軸部(ヒンジピン)14B,15Bと、を備える。第1板部14A,15Aは、それぞれ、上下方向に延び、前端部41Aに取り付けられる部分とされる取付板部14A1,15A1と、取付板部14A1,15A1から前方に延びる形で立ち上がり、軸部14B,15Bが取り付けられた立上板部14A2,15A2と、を備える。取付板部14A1,15A1は、それぞれ、当該取付板部14A1,15A1を前端部41Aに取り付けるためのネジ(ビス)18,19が螺合される複数の孔部14A0,15A0を備える。下ヒンジ部14における孔部14A0は、前後方向に貫通形成された円形状の孔(円孔)とされる。孔部14A0には、頭部が皿形をなしたネジ(皿ネジ)18が嵌っている。上ヒンジ部15における孔部15A0は、前後方向に貫通形成され、幅方向に延びた孔(幅方向を長辺とする長方形状をなした孔)とされる。孔部15A0には、頭部が六角状をなしたネジ19が嵌っている。孔部15A0の縁部とネジ19の頭部との間には、円環状のワッシャー19Aが配されている。尚、左側のヒンジ部14,15においても、右側のヒンジ部14,15と左右対称の構成とする。
【0024】
貯蔵庫1を使用していくうちに、箱体11Aに対して扉60,61が下がった場合、扉60,61の各上端部が互いにズレること(段差が生じること)、上ヒンジ部15の箱体11A又は扉60,61に対する取り付け位置がズレること、更には、例えば扉60,61の上端部又は下端部において、箱体11Aに係止可能な係止部が設けられている場合、その係止位置がズレること、等の事態が懸念される。しかしながら、上記のような構成によれば、上ヒンジ部15にて、孔部15A0においてネジ19の取り付け位置を幅方向に適宜調整することにより、扉60,61を持ち上げて、その下がりを容易に修正することができる。これにより、上記事態が生じることを抑制し、耐久性を向上することや意匠性の低下を抑制することが可能な貯蔵庫1とすることができる。
【0025】
扉60,61は、扉本体部62,64と、扉本体部62,64の上下方向における中央部分のやや上部に配され、使用者に把持される把持部63,65と、扉60,61が閉状態のときに、扉本体部62,64において、開口周辺部44に対向する位置(開口周辺部44の箱体外側となる位置)に配された弾性部66,67と、を備える。第1扉60に配された弾性部66を、第1弾性部と呼び、第2扉61に配された弾性部67を、第2弾性部と呼ぶ。第2扉61及び第2弾性部67は、第1扉60及び第1弾性部66に対し左右対称の構成とされる。以下の記載では、主に第1扉60及び第1弾性部66の構造について説明する。
【0026】
図4に示すように、扉本体部62は、外壁部62Fと、外壁部62Fの箱体内側(後側)に配された内壁部62Hと、外壁部62Fと内壁部62Hとの間に配されたメラミンフォーム等の発泡材(断熱部品)62Gと、を備えた2重構造をなしており、断熱性を有した板状体である。また、扉本体部62は、その後側であって幅方向内側の端部において、外壁部62Fと内壁部62Hとを奥手前方向に重ねた形で互いに取り付けるビス(取付部)62Jを備えている。内壁部62Hは、ビス62Jの幅方向外側に配され、扉本体部62の内部に向かって窪んだ窪み部62H1を備える。
【0027】
図2及び図3に示すように、第1弾性部66は、扉本体部62の内壁部62Hに配されており、上下方向を長辺とする後方視長枠状をなしている。第1弾性部66は、ゴムやシリコン等の材料が用いられて弾性を有した構造部分とされ、パッキンやシール材等と呼ばれることがある。弾性部66は、扉本体部62の幅方向における外側(左側)の端部62Aの後面に取り付けられ、上下方向に延びた縦部66Aと、扉本体部62の下端部62Bの後面に取り付けられ、幅方向に延びた横部66Bと、扉本体部62の上端部62Cの後面に取り付けられ、幅方向に延びた横部66Cと、扉本体部62の幅方向における内側(右側)の端部62Dの後面に取り付けられ、上下方向に延びた縦部66Dと、を備える。2つの縦部66A,66Dは、互いに平行である。同様に、2つの横部66B,66Cは、互いに平行である。第1扉60に設けられた縦部66Dの側方(右方)には、第2扉61に設けられた第2弾性部67の縦部67Dが配されている。
【0028】
第1扉60が閉状態のときに、第1弾性部66は、開口周辺部44に対し対向し、部分的に(後述する平坦部73が)当接している。具体的に、第1弾性部66は、外側の縦部66Aが左側壁部42の前端部42Aに対向し、下側の横部66Bが底壁部40の前端部40Aに対向し、上側の横部66Cが上壁部43の前端部43Aに対向し、内側の縦部66Dが仕切壁24の前端部24A1に対向し、それぞれ、各前端部に対し部分的に当接している。これにより、第1扉60は、冷温蔵室25Hを密閉する。尚、右側の第2扉61についても、左側の第1扉60と同様、閉状態のときに、第2弾性部67が開口周辺部44に対し対向し、部分的に当接することで、冷蔵室25Cを密閉する。
【0029】
次に、図4に示す内側の縦部66D等の断面図を用いて、第1弾性部66の構成を説明する。尚、第1弾性部66における他の部分66A,66B,66Cについても、同様の構成であるとする。第1弾性部66は、内壁部62Hに取り付けられた基部70と、基部70の幅方向内側(右側)の端部に接続し、断面視V字状に折れ曲がった折曲部71と、を備える。また、弾性部66は、基部70の幅方向外側(左側)の端部に接続し、後方に向かうほど幅方向内側に向かって円弧状に曲がった曲部72と、曲部72に接続し、幅方向に延びた平坦状の平坦部73と、を備える。さらに、弾性部66は、折曲部71と平坦部73とを接続し、箱体内外方向(奥手前方向)に延びた接続部74と、接続部74に対し垂直に交わり、第2弾性部67に向かって幅方向内側に延びる第1延出部75と、を備える。第1弾性部66において、基部70、折曲部71、曲部72、平坦部73、及び接続部74によって囲まれた部分は、中空状をなしている。
【0030】
基部70は、前方に向かって凸状をなし、内壁部62Hの窪み部62H1に挿入されることで当該基部70を扉本体部62に取り付ける部分とされる凸部70Aと、凸部70Aの側方(幅方向内側)に配され、取付部67Jを箱体内側から覆う凹部70Bと、を備える。凹部70Bは、平坦部73や折曲部71の箱体外側に配されている。凹部70Bにおいて幅方向内側の端部70B1は、扉本体部62の内壁部62Hに対し箱体内側から当接している。端部70B1は、扉本体部62の内側の端部62Dの幅方向内側面62D1よりもわずかに幅方向外側に配されている。
【0031】
折曲部71は、平坦部73と基部70の凹部70Bとの間に配されている。折曲部71は、凹部70Bに接続し、後方に向かうほど幅方向外側に傾いて延びる第1傾斜部71Aと、第1傾斜部71Aと接続部74とを接続し、後方に向かうほど幅方向内側に傾いて延びる第2傾斜部71Bと、を備える。第2傾斜部71Bと接続部74との接点からは、第1延出部75が幅方向内側に延びている。平坦部73は、第1扉60が閉状態のときに、開口周辺部44の前端部に平行になるように配向する部分であって、開口周辺部44の前端部に対して面接触する部分である。内側の縦部66Dに設けられた平坦部73は、第1扉60が閉状態のときに、開口周辺部44のうち、仕切壁24の前端部24A1に対し平行になるように配向しており、前端部24A1に対して面接触する。
【0032】
一方、第2扉61に設けられた第2弾性部67は、第1延出部75に向かって幅方向内側に延びる第2延出部76を備える。第1延出部75と第2延出部76は、距離S分、間隔が設けられている。この距離Sは0.5mm以上でもよく、0.8mm以上でもよく、1.5mm以下でもよく、1.2mm以下でもよく、1mmでもよい。このような構成によると、延出部75,76同士が干渉して音が鳴ることを防ぎつつ、延出部75,76による防虫効果や箱体内の密閉性の維持を図ることができる。開口周辺部44において、仕切壁24には、前端部24A1から箱体外側(前方)に突出した突出部24A2が配されている。この突出部24A2は、例えば、箱体11A内に収容されたトレイTを固定するための部品の一部とされる。第1延出部75及び第2延出部76は、突出部24A2の箱体外側に位置している。
【0033】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、開口11Cを有する箱体11Aと、箱体11Aの開口11Cを開閉可能な扉60と、を備え、扉60は、扉本体部62と、当該扉60が開口11Cを閉じた閉状態のときに、扉本体部62において、箱体11Aの開口11C周りの部分である開口周辺部44に対向する位置に配された弾性部66を備え、弾性部66は、扉60が閉状態のときに、開口周辺部44に対して面接触する平坦状の平坦部73を備える、再加熱カート1を示した。
【0034】
このような再加熱カート1によると、扉60が閉状態のときに、弾性部66のうち平坦状の平坦部73が開口周辺部44に対して面接触するので、弾性部66のうち開口周辺部44に対して接触する部分が曲面の場合に比して、その接触面積を大きくすることができる。これにより、弾性部66が扉60に密着し、箱体内の密閉性を向上させることができる。
【0035】
弾性部66は、扉本体部62に取り付けられた基部70と、平坦部73と基部70との間に配され、断面視V字状に折れ曲がった折曲部71と、を備えている。
【0036】
このような再加熱カート1によると、扉60が閉状態となり、平坦部73が開口周辺部44に当接し、弾性部66に対して開口周辺部44から扉本体部62側の方向に力が加わると、平坦部73と基部70との間に配され、断面視V字状に折れ曲がった折曲部71が縮むように弾性変形する。従って、扉60を箱体11Aに対し過度に押し付けることなく、軽い力で扉60を閉状態にし、弾性部66を折曲部71において弾性変形させることが可能となり、平坦部73の平坦状の形を維持しつつ、平坦部73と開口周辺部44との密着性を向上させることができる。
【0037】
扉本体部62は、外壁部62Fと、外壁部62Fの箱体内側に配された内壁部62Hと、外壁部62Fと内壁部62Hとを互いに取り付ける取付部62Jと、を備え、弾性部66は、内壁部62Hに取り付けられた基部70を備え、基部70は、取付部62Jを覆う凹部70Bを備えている。
【0038】
扉60は、断熱性を確保するために、外壁部62Fと内壁部62Hとを備える二重構造をなす場合がある。このとき、外壁部62Fと内壁部62Hとを接続する部分は、例えばビスのような取付部62Jによって、両壁部の取り付けが行われることがある。上記のような再加熱カート1によると、このような外壁部62Fと内壁部62Hとが接続される部分に取り付けられる取付部62Jを、弾性部66の凹部70Bによって覆うことで、使用者から視認されることを抑制できる。これにより、扉60の見栄えを向上させることができる。また、取付部62Jの周辺にゴミや塵が入ることを抑制することができる。
【0039】
凹部70Bは、平坦部73の箱体外側に配され、凹部70Bの端部70B1は、扉本体部62に対し箱体内側から当接している。
【0040】
このような再加熱カート1によると、扉60が閉状態となり、平坦部73が開口周辺部44に当接し、弾性部66に対して開口周辺部44から扉本体部62側の方向(箱体外側の方向)に力が加わったとしても、平坦部73の箱体外側に配された凹部70Bの端部70B1が、扉本体部62に対し箱体内側から当接していることで、突っ張ることができる。これにより、平坦部73の平坦状の形が崩れることを抑制し、平坦部73と開口周辺部44との密着性を維持することができる。
【0041】
扉60,61は、第1扉60と、第1扉60の側方に配された第2扉61と、を含み、観音開き式に開口11Cを開閉可能とされ、弾性部66は、第1扉60に配された第1弾性部66と、第2扉61に配された第2弾性部67と、を備え、第1弾性部66は、第2弾性部67に向かって延びる第1延出部75を備え、第2弾性部67は、第1延出部75に向かって延びる第2延出部76を備え、開口周辺部44は、箱体外側に突出した突出部24A2を備え、第1延出部75及び第2延出部76は、突出部24A2の箱体外側に位置している。
【0042】
このような再加熱カート1によると、第1扉60の第1弾性部66における第1延出部75と、第1扉60の側方に配された第2扉61の第2弾性部67における第2延出部76とが、互いに近接する方向に延びていることで、第1扉60及び第2扉61を閉状態にしたときに、第1扉60と第2扉61との間から箱体内外方向に気体が往来することを防ぐことができる。また、上記構成のように、開口周辺部44に突出部24A2が設けられていたとしても、第1延出部75及び第2延出部76は、突出部24A2の箱体外側に位置しているため、突出部24A2が各延出部75,76に当接して各延出部75,76が曲がり、隙間が生じてしまうことを防ぐことができる。これにより、箱体内の気密性が低下して、再加熱カート1の性能(例えば、加熱性能、冷却性能、又は加湿性能等)が低下することを抑制することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を図7によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0044】
2つの扉260,261のうち、左側の第1扉260に配された弾性部66は、第2弾性部67に向かって幅方向内側に延びる第1延出部75を備える。同様に、2つの扉260,261のうち、右側の第2扉261に配された弾性部67は、第1延出部75に向かって幅方向内側に延びる第2延出部76を備える。2つの扉260,261が閉状態となり、各弾性部66,67が、開口周辺部44に当接している状態(仕切壁24の前端部24A1に当接している状態)では、第1延出部75の先端(右端)と第2延出部76の先端(左端)とが当接している。この各延出部75,76の先端同士は、突出部24A2の箱体外側となる位置で当接している。このような構成によると、閉状態である第1扉260と第2扉261との間から箱体内外方向に気体が往来することを一層抑制することができる。尚、各延出部75,76の先端同士が当接した状態では、各弾性部66,67が箱体内外方向において圧縮するように弾性変形していてもよい(この弾性変形により、各延出部75,76の先端同士が互いに近接して当接する構成であってもよい)。
【0045】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
(1)弾性部の全体の形は特に限定されない。弾性部は、枠状でなくてもよい。例えば、弾性部は、内側の縦部を備えていなくてもよい。
【0047】
(2)扉が閉状態となり、弾性部が開口周辺部に当接している当接状態のときに、弾性部が弾性変形する程度は、適宜変更可能である。例えば、当接状態のときに、弾性部が開口周辺部に触れている程度で殆ど弾性変形していなくてもよく、当接状態のときに、弾性部が開口周辺部に押し付けられており箱体内外方向に圧縮されるように弾性変形していてもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、貯蔵庫として再加熱カートを例示したが、これに限定されない。例えば、本技術は、貯蔵庫としての冷却貯蔵庫に適用することも可能である。また、扉の数は、特に限定されない。例えば、扉の数は、1個、4個、又は6個等でもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…再加熱カート(貯蔵庫)、11A…箱体、11C…開口、24A2…突出部、44…開口周辺部、60,260…第1扉(扉)、61,261…第2扉(扉)、62,64…扉本体部、62F…外壁部、62H…内壁部、62J…ビス(取付部)、66…第1弾性部(弾性部)、67…第2弾性部(弾性部)、67J…取付部、70…基部、70B…凹部、71…折曲部、73…平坦部、75…第1延出部、76…第2延出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7