(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153980
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067533
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA03
5F136CB07
5F136CB08
5F136CB21
5F136DA27
5F136EA13
5F136FA01
5F136GA02
(57)【要約】
【課題】金属接合時のヒートシンクの変形及び薄肉化を抑制し、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、第一凹部44に冷却フィン34が配置された状態で、枠状突起部45の内側部分46にヒートシンク3が配置され、ヒートシンク3の第二面32がケース4の底部41に接合される。ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451と接触している。これにより、ヒートシンク3とケース4とを金属接合する際のヒートシンク3の変形及び薄肉化を抑制することができ、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能である。また、金属接合工程において、ヒートシンク3の変形を抑制するための治具等を用いていないため、工程が簡易であり、生産コストを抑制することが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体と、
相対する第一面及び第二面と、前記第一面及び前記第二面を繋ぐ側面とを有する金属製の板状部材であり、前記第一面に前記パワー半導体が接合され、前記第二面の中央部に冷却フィンが設けられたヒートシンクと、
開口部と対向する底部と、前記底部を囲む側壁とを有し、前記パワー半導体及び前記ヒートシンクを収容する金属製のケースと、を備え、
前記ケースは、
前記底部の中央部が前記開口部と反対の方向に窪んでなる第一凹部と、
前記第一凹部と前記側壁との間の前記底部の部分から前記開口部の方向へ突出し、前記第一凹部と間隔をあけて前記第一凹部を取り囲む枠状突起部と、を有し、
前記第一凹部に前記冷却フィンが配置された状態で、前記枠状突起部の内側部分に前記ヒートシンクが配置され、前記ヒートシンクの前記第二面が前記ケースの前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部の部分に接合されており、
前記ヒートシンクの前記側面は、前記枠状突起部の内側の面と接触していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記枠状突起部は、前記第一凹部の周囲を取り囲むように互いに間隔を置いて配置された複数の突起を含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記枠状突起部の高さは前記ヒートシンクの厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記枠状突起部の高さは前記ヒートシンクの厚みよりも小さく、
前記ヒートシンクの前記側面は、前記枠状突起部の内側の面と前記枠状突起部の頂部とに接触していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ケースにおいて、前記枠状突起部の内側の面と前記底部とがなす角度は、90度よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ケースは、前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部の部分に、前記開口部と反対の方向に窪んだ第二凹部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ヒートシンクは、前記ケースの前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部に対向する前記第二面の部分に、前記第一面の方向に窪んだ凹部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ヒートシンクを構成する金属材料の硬さが、前記ケースを構成する金属材料の硬さよりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記ヒートシンクの厚みは、前記ケースの前記底部の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ケースの前記底部と前記ヒートシンクとは、金属接合部を介して接合されており、前記金属接合部は、前記ケースの前記底部及び前記ヒートシンクのいずれか一方を貫通していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属接合部は、前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記ケースの前記底部を貫通し、前記ヒートシンクの厚みの1/2以下の領域まで形成されていることを特徴とする請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記金属接合部は、前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記ヒートシンクを貫通し、前記ケースの前記底部の厚みの1/2以下の領域まで形成されていることを特徴とする請求項10記載の半導体装置。
【請求項13】
開口部と対向する底部と、前記底部を囲む側壁と、前記底部の中央部が前記開口部と反対の方向に窪んでなる第一凹部と、前記第一凹部と前記側壁との間の前記底部の部分から前記開口部の方向へ突出し前記第一凹部と間隔をあけて前記第一凹部を取り囲む枠状突起部と、を有する金属製のケースを用意するケース用意工程、
相対する第一面及び第二面と、前記第一面及び前記第二面を繋ぐ側面とを有する金属製の板状部材であり、前記第一面にパワー半導体が接合され、前記第二面の中央部に冷却フィンが設けられたヒートシンクを用意するヒートシンク用意工程、
前記第一凹部に前記冷却フィンを配置した状態で、前記枠状突起部の内側部分に前記ヒートシンクを配置し、前記パワー半導体及び前記ヒートシンクを前記ケースに収容するヒートシンク収容工程、及び
前記ヒートシンクの前記第二面と前記ケースの前記底部を押圧しながら、前記ケースの外側から前記底部を介して、または前記ヒートシンクの前記第一面の側から前記ヒートシンクを介して、前記ヒートシンクの前記第二面と前記ケースの前記底部との接触界面にエネルギーを供給し、前記ヒートシンクと前記ケースとを金属接合する金属接合工程、を含み、
前記金属接合工程において、前記ヒートシンクの前記側面が前記枠状突起部の内側の面に接触することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ヒートシンク用意工程において用意された前記ヒートシンクは、前記ケースの前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部に対向する前記第二面の部分に、前記第一面の方向に窪んだ凹部を有し、
前記金属接合工程において、前記エネルギーの供給により前記凹部を埋めるように前記ヒートシンクを変形させることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記金属接合工程において、レーザー溶接を含む溶融溶接、または摩擦攪拌接合を含む固相接合を行うことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV、PHEV)、電気自動車(EV)及び燃料電池車(FCV)等の電動化車両には、駆動用モータを駆動するインバータ、及びバッテリー電源電圧を昇圧するコンバータ等の電力変換用半導体装置が用いられる。このような半導体装置は、小型高出力化及び低コスト化が要求されており、電子部品の冷却は水冷によるものが主流になっている。
【0003】
水冷式冷却器を備えた半導体装置の製造方法として、金属製の構成部材同士を摩擦攪拌接合法(Friction Stir Welding、以下FSWと記す)またはレーザー溶接法によって接合することが知られている。例えば、特許文献1には、冷却液流路となる凹状部を有する本体容器部と、表面に溝部が形成された上蓋部とを、FSWによって接合する方法が開示されている。また、特許文献2には、冷却装置のケース本体とカバーとの接合にレーザー溶接または電子ビーム溶接を用いる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-76636号公報
【特許文献2】特開2022-65844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属製の構成部材同士、例えば半導体装置のケースとヒートンシンクとを押圧しながらFSWまたはレーザー溶接法等で接合すると、接合時に接合部近傍の温度が上昇することでケース及びヒートシンクが軟化し変形する。この変形によってヒートシンクの肉厚が接合前よりも薄くなった場合、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性が低下するという課題がある。また、金属接合時にヒートシンクの変形を抑制するための治具等を用いると、工程が煩雑化し生産コストが増加する。
【0006】
特許文献1では、上蓋部の表面に溝部を形成することにより、FSWによる接合時に上蓋取付部に加えられた押付荷重が溝部を変形させるように作用するため、本体容器部の底部の変形が抑制される。しかしながら、本体容器部と上蓋部とを接合した後に、溝部を含む上蓋部を面切削して除去し、パワーモジュールを配置するための当接面を形成する必要があるため、工程が煩雑である。
【0007】
また、金属接合時にヒートシンクの部品実装側からFSW用ツールを挿入(あるいはレーザーを照射)した場合、接合に伴って発生するバリ、コンタミ(金属片、異物等)が部品実装面に飛散する。これらは部品実装面を傷付け、絶縁不良及び部品実装面の熱抵抗増加による破損等を生じさせる恐れがある。さらに、部品実装面側に飛散したバリ、コンタミを除去するための工程が必要となり、生産コストが増加するという課題がある。
【0008】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、金属接合時のヒートシンクの変形及び薄肉化を抑制することができ、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
また、金属接合時に発生するバリ、コンタミによる部品実装面への影響を無くし、生産コストを抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される半導体装置は、パワー半導体と、相対する第一面及び第二面と第一面及び第二面を繋ぐ側面とを有する金属製の板状部材であり、第一面にパワー半導体が接合され第二面の中央部に冷却フィンが設けられたヒートシンクと、開口部と対向する底部と底部を囲む側壁とを有し、パワー半導体及びヒートシンクを収容する金属製のケースと、を備えている。ケースは、底部の中央部が開口部と反対の方向に窪んでなる第一凹部と、第一凹部と側壁との間の底部の部分から開口部の方向へ突出し、第一凹部と間隔をあけて第一凹部を取り囲む枠状突起部と、を有している。第一凹部に冷却フィンが配置された状態で、枠状突起部の内側部分にヒートシンクが配置され、ヒートシンクの第二面がケースの枠状突起部と第一凹部との間の底部の部分に接合されており、ヒートシンクの側面は枠状突起部の内側の面と接触している。
【0010】
また、本願に開示される半導体装置の製造方法は、開口部と対向する底部と、底部を囲む側壁と、底部の中央部が開口部と反対の方向に窪んでなる第一凹部と、第一凹部と側壁との間の底部の部分から開口部の方向へ突出し第一凹部と間隔をあけて第一凹部を取り囲む枠状突起部と、を有する金属製のケースを用意するケース用意工程と、相対する第一面及び第二面と第一面及び第二面を繋ぐ側面とを有する金属製の板状部材であり、第一面にパワー半導体が接合され、第二面の中央部に冷却フィンが設けられたヒートシンクを用意するヒートシンク用意工程と、第一凹部に冷却フィンを配置した状態で、枠状突起部の内側部分にヒートシンクを配置し、パワー半導体及びヒートシンクをケースに収容するヒートシンク収容工程と、ヒートシンクの第二面とケースの底部を押圧しながら、ケースの外側から底部を介して、またはヒートシンクの第一面の側からヒートシンクを介して、ヒートシンクの第二面とケースの底部との接触界面にエネルギーを供給し、ヒートシンクとケースとを金属接合する金属接合工程と、を含み、金属接合工程において、ヒートシンクの側面が枠状突起部の内側の面に接触するものである。
【発明の効果】
【0011】
本願に開示される半導体装置によれば、ヒートシンクの側面がケースに設けられた枠状突起部の内側の面と接触していることにより、ヒートシンクとケースとを金属接合する際のヒートシンクの変形及び薄肉化を抑制することができ、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能である。
【0012】
また、本願に開示される半導体装置の製造方法によれば、金属接合工程において、ヒートシンクの側面がケースに設けられた枠状突起部の内側の面に接触することにより、ヒートシンクの変形及び薄肉化を抑制することができ、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能である。また、ヒートシンクの変形を抑制するための治具等を用いていないため、工程が簡易であり、生産コストを抑制することができる。
さらに、ケースの外側から底部を介してエネルギーを供給してヒートシンクとケースとを金属接合することにより、パワー半導体が接合されたヒートシンクの第一面側にバリ、コンタミが発生しない。従って、バリ、コンタミに起因する不具合を抑制することができるとともに、バリ、コンタミの除去作業を簡略化することができ、生産コストを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体装置の別の製造方法を説明する図である。
【
図6】実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図7】実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図9】実施の形態4に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図10】実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図11】実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図12】実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図13】実施の形態6に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図14】実施の形態6に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図15】実施の形態7に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【
図16】実施の形態8に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る半導体装置及びその製造方法について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す平面図、
図2は、
図1中、A-Aで示す部分の断面図、
図3及び
図4は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。各図において、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
【0015】
実施の形態1に係る半導体装置1は、パワー半導体2、ヒートシンク3、ケース4、及び蓋5を備えている。なお、
図1は、蓋5を外したケース4内部の構成を上面視で示している。パワー半導体2は、MOS-FET、IGBT、ダイオード等の半導体素子(図示省略)が内蔵されており、基材にはシリコンの他、炭化ケイ素、窒化ガリウムといった次世代半導体が使用されている。
【0016】
ヒートシンク3は、相対する第一面31及び第二面32と、第一面31及び第二面32を繋ぐ側面33とを有する金属製の板状部材であり、第一面31にパワー半導体2が接合され、第二面32の中央部に冷却フィン34が設けられている。放熱部である冷却フィン34は、少なくとも一部が冷却面積の広い板状またはピン状の突起であることが好ましく、例えば鍛造によって形成された狭ピッチのピンフィンが好適である。
【0017】
パワー半導体2の底面とヒートシンク3の第一面31との接合には、金属または樹脂材料が用いられる。具体的には、シンター接合、ハンダ接合、ロウ付け等のように、接合材を加熱して接触面全面を接合し、熱抵抗の低減を見込める接合方法が好適である。
【0018】
ケース4は、開口部43と対向する底部41と、底部41を囲む側壁42とを有し、パワー半導体2及びヒートシンク3を収容する金属製の部材である。平板状の蓋5は、ケース4の開口部43を覆うようにケース4に接合される。ヒートシンク3及びケース4は、熱伝導率の優れた金属材料で形成されており、具体的にはアルミニウム(Al)、銅(Cu)からなる群から選択されるいずれか1種、あるいはいずれか2種以上の合金が用いられることが好ましい。
【0019】
ケース4はさらに、
図4(a)に示すように、底部41の中央部が開口部43と反対の方向に窪んでなる第一凹部44と、第一凹部44と側壁42との間の底部41の部分から開口部43の方向へ突出し、第一凹部44と間隔をあけて第一凹部44を取り囲む枠状突起部45とを有している。
【0020】
半導体装置1は、第一凹部44に冷却フィン34が配置された状態で、枠状突起部45の内側部分46にヒートシンク3が配置され、ヒートシンク3の第二面32がケース4の枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41の部分に接合される。
【0021】
また、半導体装置1において、ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451と接触している。本実施の形態1では、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向において、枠状突起部45の高さはヒートシンク3の厚みと略等しく、ヒートシンク3の第一面31と枠状突起部45の頂部452は略同一面上にある。このため、ヒートシンク3の側面33全面が、枠状突起部45の内側の面451と接触している。
【0022】
図2に示すように、ヒートシンク3の第二面32とケース4の底部41は、金属接合部6を介して接合されている。金属接合部6は、ヒートシンク3とケース4の間に密封された閉空間を形成している。金属接合部6は、例えばFSW用ツールを用いた摩擦攪拌接合、またはレーザー溶接のようなエネルギー照射によって形成される。
【0023】
実施の形態1に係る半導体装置1の製造方法について、
図3及び
図4を用いて説明する。
まず、
図3のステップS1のケース用意工程において、
図4(a)に示すように、開口部43と対向する底部41と、底部41を囲む側壁42と、底部41の中央部が開口部43と反対の方向に窪んでなる第一凹部44と、第一凹部44と側壁42との間の底部41の部分から開口部43の方向へ突出し、第一凹部44と間隔をあけて第一凹部44を取り囲む枠状突起部45と、を有する金属製のケース4を用意する。枠状突起部45の内側部分46は、上面視でヒートシンク3よりも投影面積が大きくなるように構成されている。
【0024】
次に、
図3のステップS2のヒートシンク用意工程において、相対する第一面31及び第二面32と、第一面31及び第二面32を繋ぐ側面33とを有する金属製の板状部材であり、第一面31にパワー半導体2が接合され、第二面32の中央部に冷却フィン34が設けられたヒートシンク3を用意する。
【0025】
次に、
図3のステップS3のヒートシンク収容工程において、
図4(b)に示すように、第一凹部44に冷却フィン34を配置した状態で、枠状突起部45の内側部分46にヒートシンク3を配置し、パワー半導体2及びヒートシンク3をケース4に収容する。この時点では、ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451に接触していなくてよい。ヒートシンク3の側面33と枠状突起部45の内側の面451との間には隙間がある。
【0026】
続いて、
図3のステップS4の金属接合工程において、
図4(c)に示すように、ヒートシンク3の第一面31とケース4の底部41を押圧治具7で押圧して固定する。その後、
図4(d)に示すように、ヒートシンク3の第二面32とケース4の底部41を押圧しながら、ケース4の外側から底部41を介して、ヒートシンク3の第二面32とケース4の底部41との接触界面にエネルギー供給8を行い、ヒートシンク3とケース4とを金属接合する。
【0027】
金属接合工程において、接合時の熱影響によってヒートシンク3及びケース4が軟化して一部変形し、ヒートシンク3の側面33が枠状突起部45の内側の面451に接触する。以上の工程を含む製造方法により、
図2に示すように、ヒートシンク3の第二面32とケース4の底部41とが金属接合部6を介して接合された半導体装置1が得られる。
【0028】
また、金属接合工程において、
図5に示すように、ヒートシンク3の第一面31の側からヒートシンク3を介して、ヒートシンク3の第二面32とケース4の底部41との接触界面にエネルギー供給8を行ってもよい。また、ヒートシンク3とケース4とを金属接合した後に、パワー半導体2とヒートシンク3とを接合するようにしてもよい。
【0029】
なお、
図4(d)及び
図5では、金属接合工程におけるエネルギー供給8を模式的に示しているが、エネルギーの供給方法としては、金属溶融が深部に及び接合強度が高い母材接合を行うことが望ましい。具体的には、金属接合工程において、レーザー溶接を含む溶融溶接、またはFSWを含む固相接合を行うことが望ましい。
【0030】
実施の形態1に係る半導体装置1によれば、ヒートシンク3の側面33がケース4に設けられた枠状突起部45の内側の面451と接触していることにより、ヒートシンク3とケース4とを金属接合する際のヒートシンク3の変形及び薄肉化を抑制することができ、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能である。また、ヒートシンク3及びケース4が熱伝導率の優れた金属材料で形成されているため、パワー半導体2で発生する熱を冷却フィン34で放出し易くなり、冷却構造の小型化が可能である。
【0031】
また、実施の形態1に係る半導体装置1の製造方法によれば、金属接合工程において、ヒートシンク3の側面33がケース4に設けられた枠状突起部45の内側の面451に接触することにより、ヒートシンク3の変形及び薄肉化を抑制することができ、接合部近傍の初期強度及び長期信頼性の低下を抑制することが可能である。また、ヒートシンク3の変形を抑制するための治具等を用いていないため、工程が簡易であり、生産コストを抑制することができる。
【0032】
また、金属接合工程において、ケース4の外側から底部41を介してエネルギー供給8を行い、ヒートシンク3とケース4とを金属接合することにより、パワー半導体2が接合されたヒートシンク3の第一面31側にバリ、コンタミが発生しない。従って、バリ、コンタミに起因する不具合を抑制することができるとともに、バリ、コンタミの除去作業を簡略化することができる。その結果、歩留まり及び組立性の向上が図られ、生産コストを抑制することが可能である。
【0033】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
実施の形態2に係る半導体装置1Aでは、ケース4に設けられた枠状突起部45は、第一凹部44の周囲を取り囲むように互いに間隔を置いて配置された複数の突起45aを含んでいる。半導体装置1Aのその他の構成及びその製造方法は、上記実施の形態1に係る半導体装置1及びその製造方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0034】
本実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、枠状突起部45を複数の突起45aで構成することにより、半導体装置1と比較してケース4の軽量化及び材料コストの低減が図られる。また、金属接合工程において、ヒートシンク3は、複数の突起45a同士の隙間を埋めるように変形することができるため、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向における断面視での高さ方向への変形をさらに抑制することができる。
【0035】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す断面図、
図8は、実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
実施の形態3に係る半導体装置1Bでは、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向において、ケース4に設けられた枠状突起部45の高さが、ヒートシンク3の厚みよりも大きい。ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451に接触しており、枠状突起部45の内側の面451に沿って変形している。半導体装置1Bのその他の構成は、上記実施の形態1に係る半導体装置1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0036】
半導体装置1Bの製造方法について、
図8を用いて簡単に説明する。
まず、上記実施の形態1と同様に、ケース用意工程及びヒートシンク用意工程を行う(図示省略)。次に、
図8(a)に示すように、ケース収容工程を行う。このとき、ケース4の枠状突起部45の高さT1は、ヒートシンク3の厚みT2よりも大きい。
【0037】
続いて、
図8(b)に示すように、押圧治具7と枠状突起部45の内側の面451との間に間隙9がある状態で、上記実施の形態1と同様の金属接合工程を行う。本実施の形態3では、ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451に接触した後、さらに、間隙9を埋めるように変形する。以上の工程を含む製造方法により、
図7に示す半導体装置1Bが得られる。
【0038】
押圧治具を用いて金属接合する場合には、部品公差の関係上、押圧治具と非押圧部材の間隙をなくすことは困難であるため、金属接合時には押圧された部材が変形して間隙を埋めることは製造上避け難い。
【0039】
実施の形態3によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、ヒートシンク3が押圧治具7とケース4との間隙9を埋めるように変形することで、ヒートシンク3の第一面31と平行な方向における変形及び薄肉化をさらに抑制することができる。また、ケース4と接合した後のヒートシンク3の大型化を抑制することができる。
【0040】
実施の形態4.
図9は、実施の形態4に係る半導体装置の構成を示す断面図、
図10は、実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
実施の形態4に係る半導体装置1Cでは、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向において、ケース4に設けられた枠状突起部45の高さが、ヒートシンク3の厚みよりも小さい。ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451と頂部452とに接触している。半導体装置1Cのその他の構成は、上記実施の形態1に係る半導体装置1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0041】
半導体装置1Cの製造方法について、
図10を用いて簡単に説明する。
まず、上記実施の形態1と同様に、ケース用意工程及びヒートシンク用意工程を行う(図示省略)。次に、
図10(a)に示すように、ケース収容工程を行う。このとき、ケース4の枠状突起部45の高さT1は、ヒートシンク3の厚みT2よりも小さい。
【0042】
続いて、
図10(b)に示すように、押圧治具7と枠状突起部45の頂部452との間に間隙9がある状態で、上記実施の形態1と同様の金属接合工程を行う。本実施の形態4では、ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451に接触した後、さらに、間隙9を埋めるように変形する。以上の工程を含む製造方法により、
図9に示す半導体装置1Cが得られる。
【0043】
実施の形態4によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、ヒートシンク3が押圧治具7とケース4との間隙9を埋めるように変形することで、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向における断面視での高さ方向への変形及び薄肉化をさらに抑制することができる。また、ヒートシンク3が変形してパワー半導体2の端子(図示省略)へ接近することを防ぐことができ、半導体装置1Cの絶縁信頼性低下を抑制することができる。
【0044】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5に係る半導体装置の構成を示す断面図、
図12は、実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
実施の形態5に係る半導体装置1Dでは、ケース4において、枠状突起部45の内側の面451aと底部41とがなす角度は90度よりも大きい。半導体装置1Dのその他の構成は、上記実施の形態1に係る半導体装置1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
半導体装置1Dの製造方法について、
図12を用いて簡単に説明する。
まず、上記実施の形態1と同様に、ケース用意工程及びヒートシンク用意工程を行う(図示省略)。ケース用意工程において用意されたケース4は、内側の面451aと底部41とがなす角度が90度よりも大きい枠状突起部45を有している。次に、
図12(a)に示すように、ヒートシンク収容工程を行う。このとき、ヒートシンク3の側面33と枠状突起部45の内側の面451aとの間には間隙9がある。
【0046】
続いて、
図12(b)に示すように、押圧治具7と枠状突起部45の内側の面451aとの間に間隙9がある状態で、上記実施の形態1と同様の金属接合工程を行う。本実施の形態5では、ヒートシンク3の側面33は、間隙9を埋めるように変形し、枠状突起部45の内側の面451aに接触する。以上の工程を含む製造方法により、
図11に示す半導体装置1Dが得られる。
【0047】
実施の形態5によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、ヒートシンク3が押圧治具7とケース4との間隙9を埋めるように変形することで、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向における断面視での高さ方向への変形及び薄肉化をさらに抑制することができる。
【0048】
実施の形態6.
図13は、実施の形態6に係る半導体装置の構成を示す断面図、
図14は、実施の形態6に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
実施の形態6に係る半導体装置1Eでは、ケース4は、枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41の部分に、開口部43と反対の方向に窪んだ第二凹部47を有している。第二凹部47の内部は、ヒートシンク3の金属材料で埋められている。半導体装置1Eのその他の構成は、上記実施の形態1に係る半導体装置1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
半導体装置1Eの製造方法について、
図14を用いて簡単に説明する。
まず、上記実施の形態1と同様に、ケース用意工程及びヒートシンク用意工程を行う(図示省略)。ケース用意工程において用意されたケース4は、枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41の部分に第二凹部47を有している。なお、第二凹部47は、枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41の部分に複数箇所設けられていてもよいし、第一凹部44を囲むように連続的に設けられていてもよい。次に、
図14(a)に示すように、ヒートシンク収容工程を行う。
【0050】
続いて、
図14(b)に示すように、上記実施の形態1と同様の金属接合工程を行う。本実施の形態6では、金属接合工程において、ヒートシンク3は第二凹部47を埋めるように変形し、ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451に接触する。以上の工程を含む製造方法により、
図13に示す半導体装置1Eが得られる。
【0051】
実施の形態6によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、ヒートシンク3がケース4に設けられた第二凹部47を埋めるように変形することで、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向における断面視での高さ方向への変形をさらに抑制することができる。また、第二凹部47の内部をヒートシンク3の金属材料が埋めることによるアンカー効果により、ヒートシンク3とケース4との接合強度が向上する。
【0052】
実施の形態7.
図15は、実施の形態7に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
実施の形態7に係る半導体装置では、ヒートシンク3は、ケース4の枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41に対向する第二面32の部分に、第一面31の方向に窪んだ凹部35を有しており、金属接合工程において、凹部35を埋めるようにヒートシンク3が変形する。実施の形態7に係る半導体装置のその他の構成は、上記実施の形態1に係る半導体装置1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0053】
実施の形態7に係る半導体装置の製造方法について、
図15を用いて簡単に説明する。
まず、上記実施の形態1と同様に、ケース用意工程及びヒートシンク用意工程を行う(図示省略)。ヒートシンク用意工程において用意されたヒートシンク3は、ケース4の枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41に対向する第二面32の部分に凹部35を有している。
【0054】
凹部35は、ケース4の枠状突起部45と第一凹部44との間の底部41に対向するヒートシンク3の第二面32の部分に複数箇所設けられていてもよいし、冷却フィン34と間隔をあけて冷却フィン34を囲むように連続的に設けられていてもよい。
次に、
図15(a)に示すように、ヒートシンク収容工程を行う。
【0055】
続いて、
図15(b)に示すように、上記実施の形態1と同様の金属接合工程を行う。本実施の形態7では、金属接合工程において、エネルギー供給8により凹部35を埋めるようにヒートシンク3を変形させる。このため、ケース4と接合後のヒートシンク3には、凹部35は存在していない場合もあり、痕跡が残っている場合もある。ヒートシンク3の側面33は、枠状突起部45の内側の面451に接触する。以上の工程を含む製造方法により、実施の形態7に係る半導体装置が得られる。
【0056】
実施の形態7によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、ヒートシンク3が凹部35を埋めるように変形することで、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向における断面視での高さ方向への変形をさらに抑制することができる。また、実施の形態7に係るヒートシンク3の凹部35と、上記実施の形態6に係るケース4の第二凹部47とを組み合わせて、両方を有するようにしてもよい。これにより、ヒートシンク3の変形抑制効果がさらに大きくなる。
【0057】
実施の形態8.
図16は、実施の形態8に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
実施の形態8に係る半導体装置1Fでは、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向において、ヒートシンク3の厚みT2は、ケース4の底部41の厚みT3よりも小さい。また、ヒートシンク3を構成する金属材料の硬さが、ケース4を構成する金属材料の硬さよりも小さい。
【0058】
さらに、ケース4の底部41とヒートシンク3とは、金属接合部6を介して接合されており、金属接合部6は、ケース4の底部41及びヒートシンク3のいずれか一方を貫通している。半導体装置1Fのその他の構成は、上記実施の形態1に係る半導体装置1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
図16に示す例では、金属接合部6は、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向において、ケース4の底部41を貫通し、ヒートシンク3の厚みの1/2以下の領域まで形成されている。ただし、金属接合部6は、ヒートシンク3の第一面31に垂直な方向において、ヒートシンク3を貫通していてもよい。その場合、金属接合部6は、ケース4の底部41の厚みの1/2以下の領域まで形成される。
【0060】
金属同士を重ね合わせて接合する場合には、両者を貫通する金属接合部を形成して接合強度を確保する手法が知られている。しかし、金属接合部6がケース4及びヒートシンク3のいずれか一方のみを貫通し、他方の厚みの1/2以下の領域までしか形成されていない場合でも、十分な接合強度を確保することができる。
【0061】
実施の形態8によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、ヒートシンク3の厚みT2をケース4の底部41の厚みT3よりも小さくすることにより、パワー半導体2で発生する熱を冷却フィン34で放出し易くなり、冷却構造の小型化が可能となる。
【0062】
また、ヒートシンク3の硬さがケース4の硬さよりも小さいことにより、ヒートシンク3がケース4と同等の硬さを有する場合と比べて、金属接合時、特にFSWによる接合時に必要なエネルギー供給8を抑制することができる。さらに、金属接合部6がケース4及びヒートシンク3のいずれか一方しか貫通しないことにより、両方を貫通する場合に比べて金属接合時に必要なエネルギー供給8を抑制することができ、生産性が向上する。
【0063】
なお、上記実施の形態1から7では、金属接合部6が形成される領域について言及していないが、金属接合部6はケース4及びヒートシンク3の両方を貫通していてもよいし、本実施の形態8と同様にいずれか一方のみを貫通していてもよい。
【0064】
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0065】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0066】
(付記1)
パワー半導体と、
相対する第一面及び第二面と、前記第一面及び前記第二面を繋ぐ側面とを有する金属製の板状部材であり、前記第一面に前記パワー半導体が接合され、前記第二面の中央部に冷却フィンが設けられたヒートシンクと、
開口部と対向する底部と、前記底部を囲む側壁とを有し、前記パワー半導体及び前記ヒートシンクを収容する金属製のケースと、を備え、
前記ケースは、
前記底部の中央部が前記開口部と反対の方向に窪んでなる第一凹部と、
前記第一凹部と前記側壁との間の前記底部の部分から前記開口部の方向へ突出し、前記第一凹部と間隔をあけて前記第一凹部を取り囲む枠状突起部と、を有し、
前記第一凹部に前記冷却フィンが配置された状態で、前記枠状突起部の内側部分に前記ヒートシンクが配置され、前記ヒートシンクの前記第二面が前記ケースの前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部の部分に接合されており、
前記ヒートシンクの前記側面は、前記枠状突起部の内側の面と接触していることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記枠状突起部は、前記第一凹部の周囲を取り囲むように互いに間隔を置いて配置された複数の突起を含むことを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記枠状突起部の高さは前記ヒートシンクの厚みよりも大きいことを特徴とする付記1または付記2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記枠状突起部の高さは前記ヒートシンクの厚みよりも小さく、
前記ヒートシンクの前記側面は、前記枠状突起部の内側の面と前記枠状突起部の頂部とに接触していることを特徴とする付記1または付記2に記載の半導体装置。
(付記5)
前記ケースにおいて、前記枠状突起部の内側の面と前記底部とがなす角度は、90度よりも大きいことを特徴とする付記1から付記4のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記6)
前記ケースは、前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部の部分に、前記開口部と反対の方向に窪んだ第二凹部を有することを特徴とする付記1から付記5のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記7)
前記ヒートシンクは、前記ケースの前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部に対向する前記第二面の部分に、前記第一面の方向に窪んだ凹部を有することを特徴とする付記1から付記6のいずれか一校に記載の半導体装置。
(付記8)
前記ヒートシンクを構成する金属材料の硬さが、前記ケースを構成する金属材料の硬さよりも小さいことを特徴とする付記1から付記7のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記9)
前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記ヒートシンクの厚みは、前記ケースの前記底部の厚みよりも小さいことを特徴とする付記1から付記8のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記10)
前記ケースの前記底部と前記ヒートシンクとは、金属接合部を介して接合されており、前記金属接合部は、前記ケースの前記底部及び前記ヒートシンクのいずれか一方を貫通していることを特徴とする付記1から付記9のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記11)
前記金属接合部は、前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記ケースの前記底部を貫通し、前記ヒートシンクの厚みの1/2以下の領域まで形成されていることを特徴とする付記10記載の半導体装置。
(付記12)
前記金属接合部は、前記ヒートシンクの前記第一面に垂直な方向において、前記ヒートシンクを貫通し、前記ケースの前記底部の厚みの1/2以下の領域まで形成されていることを特徴とする付記10記載の半導体装置。
(付記13)
開口部と対向する底部と、前記底部を囲む側壁と、前記底部の中央部が前記開口部と反対の方向に窪んでなる第一凹部と、前記第一凹部と前記側壁との間の前記底部の部分から前記開口部の方向へ突出し前記第一凹部と間隔をあけて前記第一凹部を取り囲む枠状突起部と、を有する金属製のケースを用意するケース用意工程、
相対する第一面及び第二面と、前記第一面及び前記第二面を繋ぐ側面とを有する金属製の板状部材であり、前記第一面にパワー半導体が接合され、前記第二面の中央部に冷却フィンが設けられたヒートシンクを用意するヒートシンク用意工程、
前記第一凹部に前記冷却フィンを配置した状態で、前記枠状突起部の内側部分に前記ヒートシンクを配置し、前記パワー半導体及び前記ヒートシンクを前記ケースに収容するヒートシンク収容工程、及び
前記ヒートシンクの前記第二面と前記ケースの前記底部を押圧しながら、前記ケースの外側から前記底部を介して、または前記ヒートシンクの前記第一面の側から前記ヒートシンクを介して、前記ヒートシンクの前記第二面と前記ケースの前記底部との接触界面にエネルギーを供給し、前記ヒートシンクと前記ケースとを金属接合する金属接合工程、を含み、
前記金属接合工程において、前記ヒートシンクの前記側面が前記枠状突起部の内側の面に接触することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記ヒートシンク用意工程において用意された前記ヒートシンクは、前記ケースの前記枠状突起部と前記第一凹部との間の前記底部に対向する前記第二面の部分に、前記第一面の方向に窪んだ凹部を有し、
前記金属接合工程において、前記エネルギーの供給により前記凹部を埋めるように前記ヒートシンクを変形させることを特徴とする付記13記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記金属接合工程において、レーザー溶接を含む溶融溶接、または摩擦攪拌接合を含む固相接合を行うことを特徴とする付記13または付記14に記載の半導体装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本願は、半導体装置、特に電力変換用半導体装置、及びその製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 半導体装置、2 パワー半導体、3 ヒートシンク、4 ケース、5 蓋、6 金属接合部、7 押圧治具、8 エネルギー供給、9 間隙、31 第一面、32 第二面、33 側面、34 冷却フィン、35 凹部、41 底部、42 側壁、43 開口部、44 第一凹部、45 枠状突起部、45a 突起、46 内側部分、47 第二凹部、451、451a 内側の面、452 頂部