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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153986
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】光源装置及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20241023BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241023BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067543
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 知隼
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA04
2K203FA25
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA45
2K203GA25
2K203GA34
2K203GA35
2K203GA36
2K203HA14
2K203HA25
2K203HA27
2K203HA87
2K203HA92
2K203MA32
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
【課題】装置の小型化を図ることができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置を提供する。
【解決手段】投影装置10の光源装置60は、光源としての青色レーザダイオード71を備える励起光照射装置70と、励起光照射装置70からの光を励起光として蛍光光を出射する蛍光発光領域を含む蛍光装置100と、励起光照射装置70からの光及び蛍光装置100からの蛍光光を合成光路に導光する光源光学系140と、を備え、光源光学系140は、光路切替装置200を含み、光路切替装置200は、励起光照射装置70からの光D0の光路を、合成光路に向けて出射するかと蛍光装置100に向けて出射するかとの間で切り替えさせ、且つ、少なくとも合成光路に向けて出射する光のビームパターンを成形させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を励起光として蛍光光を出射する蛍光発光領域を含む蛍光装置と、
前記光源からの光及び前記蛍光装置からの蛍光光を合成光路に導光する光源光学系と、
を備え、
前記光源光学系は、光路切替装置を含み、
前記光路切替装置は、前記光源からの光を、前記合成光路に向けて出射するかと前記蛍光装置に向けて出射するかとの間で切り替えさせ、且つ、少なくとも前記合成光路に向けて出射する光のビームパターンを成形させる、
光源装置。
【請求項2】
前記光源光学系は、前記蛍光光のビームパターンを成形するための光学デバイスを備え、前記光源からの光は、前記光学デバイスにより成形されてから前記蛍光装置に入射される、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光路切替装置は、前記合成光路に向けて出射する光を拡散させて前記合成光路に向けて出射させる請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光路切替装置と前記蛍光装置との間の光路には、前記光源からの光を透過して、前記蛍光装置からの蛍光光を前記合成光路に向けて反射するダイクロイックミラーが配置される、請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光路切替装置は、電圧の変換によりビームパターンの形状を調整可能に設けられる請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光路切替装置は、前記光源からの光を前記合成光路に向けて出射させる第1領域と、前記光源からの光を前記蛍光装置に向けて出射させる第2領域と、を少なくとも備える光学ホイールを含む、請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光源は、前記光路切替装置に入射する前記励起光が反射される反射側に配置され、
前記蛍光装置と前記光路切替装置との間の光路には、第1波長帯域光を透過して、第2波長帯域光及び第3波長帯域光を前記合成光路に向けて反射するダイクロイックミラーが配置される、請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
前記光源は、第1波長帯域光を出射するよう配置され、
前記蛍光装置は、第2波長帯域光と第3波長帯域光を含む第4波長帯域の蛍光光を出射可能に設けられ、
前記蛍光装置と前記光路切替装置との間の光路には、導光ロッドが配置される、請求項1に記載の光源装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の光源装置と、
画像光を生成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、
前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、を備える、投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画面、メモリカード等に記憶されている画像データ等をスクリーンに投影する投影装置が利用されている。この投影装置は、光源から出射された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、蛍光体層を含む蛍光発光領域と、透過領域とを備えた蛍光ホイールを有する蛍光装置及びこの蛍光装置を含む光源装置を備える投影装置が開示されている。この投影装置は、蛍光体に青色光源からの青色波長帯域光を励起光として照射することで蛍光体から出射される緑色波長帯域の蛍光光を合成光路に導光する。一方、青色光源からの青色波長帯域光を蛍光ホイールの透過領域に照射することで、蛍光ホイールの反対側にこの青色波長帯域光を導いて、ミラーやレンズを用いて合成光路に導いた後、表示素子に導くように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-45778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の光源装置では、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を導光するためのレンズ部材やミラー部材等を、青色波長帯域光を導光する光路と別途配置する必要があり、装置内の光路が複雑となり、装置の小型化を図ることが困難であった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、装置の小型化を図ることができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光源装置は、光源と、前記光源からの光を励起光として蛍光光を出射する蛍光発光領域を含む蛍光装置と、前記光源からの光及び前記蛍光装置からの蛍光光を合成光路に導光する光源光学系と、を備え、前記光源光学系は、光路切替装置を含み、前記光路切替装置は、前記光源からの光を、前記合成光路に向けて出射するかと前記蛍光装置に向けて出射するかとの間で切り替えさせ、且つ、少なくとも前記合成光路に向けて出射する光のビームパターンを成形させる。
【0008】
本発明の投影装置は、上述の光源装置と、画像光を生成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光を被投影体に投影する投影光学系と、前記光源装置と前記表示素子とを制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置の小型化を図ることができる光源装置と、この光源装置を備える投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
図3】本発明の実施形態1に係る投影装置の光源装置における要部を示す平面模式図である。
図4】本発明の実施形態1に係る光源装置における光学ホイールの正面図である。
図5】ビームパターンの例を説明する模式図である。
図6】本発明の実施形態1に係る光源装置における蛍光ホイールの正面図である。
図7】本発明の実施形態2に係る投影装置の光源装置における要部を示す平面模式図である。
図8】本発明の実施形態3に係る投影装置の光源装置における要部を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態3に係る投影装置の光路切替装置に青色波長帯域光が入射して、ビームパターンが成形される様子を示す模式図である。
図10】本発明の実施形態4に係る投影装置の光源装置における要部を示す平面模式図である。
図11】本発明の実施形態5に係る投影装置の光源装置における要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、図1図6を参照して本発明の実施形態1について説明する。図1は、投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26等から構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0012】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶した上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0013】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)であるDMD等の表示素子50を駆動する。投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系170を介して表示素子50に照射することにより、表示素子50の反射光で光画像を形成し、投影光学系220(図2参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0014】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。更に、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0015】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0016】
キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0017】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0018】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60における励起光照射装置70、光路切替装置200、蛍光装置100(図2参照)の動作を個別に制御する。
【0019】
更に、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン261の回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファン261の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0020】
次に、投影装置10の内部構造について説明する。図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。ここで、投影装置10の筐体は、略箱状に形成されて、図示しない上面パネル及び下面パネルと、正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14及び左側パネル15を備えている。また、投影装置10は、正面側に投影口12aを有する。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口12aからの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の被投影体側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0021】
投影装置10は、左側パネル15の近傍に制御回路基板242を備える。この制御回路基板242は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えている。また、投影装置10は、投影装置10の略中央部分に配置された光源装置60を備えている。光源装置60と右側パネル14の間には、電源コネクタ57、ヒートシンク130、冷却ファン261等が配置されている。また、光源装置60の左側には、表示素子50が設けられている。表示素子50は、ヒートシンク190と接続されている。
【0022】
光源装置60は、青色波長帯域光(第1波長帯域光)の光源であって励起光の光源でもある青色レーザダイオード71を備える励起光照射装置70と、励起光照射装置70からの励起光により蛍光光を出射する蛍光発光領域としての赤色蛍光発光領域104及び緑色蛍光発光領域105を備えて、赤色波長帯域光(第2波長帯域光)、緑色波長帯域光(第3波長帯域光)を出射する蛍光装置100と、を備えている。光源装置60には、青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光を導光する光源光学系140が配置されている。また、光源装置60には、光源光学系140からの光を投影光学系220へ導光する導光光学系170が配置されている。
【0023】
励起光照射装置70は、投影装置10の筐体の後側であって、出射光が、後述する光路切替装置200の光学ホイール201の背面側から入射するように配置されている。換言すれば、励起光照射装置70は、励起光照射装置70からの励起光が入射し、透過して出射する光路切替装置200における入射側(出射側の反対側)に配置されている。励起光照射装置70は、複数の青色レーザダイオード71及び複数のコリメータレンズ72を有している。青色レーザダイオード71及びコリメータレンズ72は、本実施形態においては、水平方向に並列して2個設けられている。各青色レーザダイオード71及び各コリメータレンズ72は、図示しない保持部材に保持されている。励起光照射装置70は、図示しないヒートパイプを介してヒートシンク130と接続されており、冷却されるようになっている。
【0024】
光源群を構成する青色レーザダイオード71は、励起光である青色波長帯域光を出射する半導体発光素子である。コリメータレンズ72は、各青色レーザダイオード71の光軸上にそれぞれ配置され、青色レーザダイオード71からの出射光の指向性を高めるように各々平行光に変換する。各青色レーザダイオード71からの出射光は、各コリメータレンズ72を介して、光源光学系140の光路切替装置200に入射する。
【0025】
光源光学系140は、光路切替装置200、ダイクロイックミラー143、マイクロレンズアレイ144を含む。ダイクロイックミラー143は、蛍光装置100と光路切替装置200との間の光路上に配置されている。ダイクロイックミラー143は、青色波長帯域光を透過し、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光を反射する。マイクロレンズアレイ144は、入射する光のビームパターンを成形することができる光学デバイスである。光源光学系140は、青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光を導光光学系170の合成光路へ向けて導光する。
【0026】
図3に示すように、光路切替装置200は、光D0で表される励起光照射装置70から出射した青色波長帯域光の光路を、光D1で示す光路のように導光光学系170の合成光路に向けて出射するか、又は、光D2で示す光路のように蛍光装置100に向けて出射するか、を切り替えさせる。光路切替装置200は、光学ホイール装置として設けられ、円板状の光学ホイール201と、光学ホイール201を回転駆動するホイールモータ202が設けられている。
【0027】
図4に示すように、光学ホイール201は、ホイールモータ202の回転軸202aに取り付けられている。光学ホイール201は、第1領域203と第2領域204とを有する。第1領域203は、約60度の範囲で設けられ、第2領域204は約300度の範囲で設けられている。第1領域203は、回折光学素子(DOE;Diffractive Optical Element)を含むことができる。本実施形態においては、第1領域203は、透過型の回折光学素子からなる。第1領域203は、励起光照射装置70からの光D0の光路を合成光路に向けた光D1の光路に切り替える(図3参照)。
【0028】
また、第2領域204は、表面に回折格子が設けられる光学素子やガラス等の透過部材からなる光学素子を含むことができる。本実施形態においては、第2領域204は、回折格子が設けられた透過型の光学素子からなる。第2領域204は、励起光照射装置70からの光D0の光路を蛍光装置100に向けた光D2の光路に切り替える(図3参照)。第1領域203と第2領域204は、光学ホイール201に対して円周方向に並設されている。
【0029】
具体的には、光学ホイール201の照射スポットS1に第1領域203が位置して励起光照射装置70からの青色波長帯域光が照射されているとき、この青色波長帯域光は、第1領域203の回折光学素子を介して透過することで、光D0の光路から光D1の光路に切り替えて光学ホイール201から出射される。光学ホイール201から出射した青色波長帯域光は、ダイクロイックミラー143を介して導光光学系170の合成光路に入射される(図3参照)。
【0030】
第1領域203の回折光学素子は、第1領域203を透過して導光光学系170の合成光路に向けて出射する青色波長帯域光のビームパターンを成形する。励起光照射装置70の青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光は、一般に長楕円形とされているが、第1領域203の回折光学素子を介して光学ホイール201から出射することにより、例えば図5に示すように、線状のビームパターンPT1や、格子状に並ぶドット状のビームパターンPT2、格子状のビームパターンPT3、ランダムに並ぶドット状のPT4に成形される。所望のビームパターンの成形は、回折光学素子の表面構造を微細に作製することにより設定することができる。投影装置10の光源装置60におけるビームパターンは、横長の長矩形状のビームパターンPT5とすることで、投影光の色ムラを低減することができる。
【0031】
図4に示すように、光学ホイール201の照射スポットS1に第2領域204が位置して励起光照射装置70からの青色波長帯域光が照射されているとき、この青色波長帯域光は、第2領域204の回折格子を介して透過することで、図3に示す光D0の光路から光D2の光路に切り替えて光学ホイール201から出射される。光学ホイール201から出射した光D2の光路の青色波長帯域光は、ダイクロイックミラー143を介して、蛍光装置100に向けて出射される。蛍光装置100に向けて出射される光D2の青色波長帯域光は、マイクロレンズアレイ144によってもビームパターンが成形される。
【0032】
なお、第2領域204は、例えば励起光照射装置70からの光D0の光軸が、マイクロレンズアレイ144、集光レンズ群108、蛍光ホイール101の光軸と一致するよう直線状に設けられていれば、透過部材で構成することもできる。また、上記の通り、光路切替装置200は、合成光路に向けて出射する光のビームパターンを成形して出射することができると好ましく、第2領域204も回折光学素子により構成して、透過する光のビームパターンを成形しても良い。また、第1領域203や第2領域204は、入射する励起光を拡散する拡散機能を備えていても良い。これにより、一般的にレーザ光の光路上(すなわち、励起光照射装置70から出射される光の光路上)に設けられる拡散板を省略又は枚数を削減する等の簡素化をすることができる。
【0033】
蛍光装置100の正面側(マイクロレンズアレイ144側)には、集光レンズ群108が設けられている。集光レンズ群108とダイクロイックミラー143の間には、マイクロレンズアレイ144が設けられている。集光レンズ群108は、第1集光レンズ108aと、第2集光レンズ108bとを備える。蛍光装置100は、蛍光ホイール装置として設けられ、蛍光ホイール101と、蛍光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110が設けられている。
【0034】
蛍光装置100の蛍光ホイール101は、図6に示すように、ホイールモータ110の駆動軸110aに固定されている。蛍光ホイール101は、銅やアルミニウム等の金属製の円板状の基材102の表面が銀蒸着等によりミラー加工されている。基材102には、赤色蛍光発光領域104と、緑色蛍光発光領域105が並設されている。赤色蛍光発光領域104は、赤色蛍光体が塗布された赤色蛍光体層からなる。同様に、緑色蛍光発光領域105は、緑色蛍光体が塗布された緑色蛍光体層からなる。
【0035】
赤色蛍光発光領域104の赤色蛍光体層に、励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光が励起光として照射されると、赤色蛍光体層の蛍光体から全方位に赤色波長帯域光が蛍光発光され、一部は直接に出射され、他の一部は基材102により反射して出射される。緑色蛍光発光領域105においても同様に、励起光が照射されることにより緑色波長帯域光が蛍光発光される。
【0036】
蛍光ホイール101に対して励起光照射装置70の励起光としての青色波長帯域光が照射する照射スポットS2に赤色蛍光発光領域104が位置しているときには、蛍光ホイール101から赤色波長帯域光(図3の光L1)が出射する。同様に、緑色蛍光発光領域105が照射スポットS2に位置しているときには、蛍光ホイール101から緑色波長帯域光(図3の光L2)が出射する。
【0037】
蛍光装置100から出射される光L1,L2である赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、集光レンズ群108及びマイクロレンズアレイ144を介してダイクロイックミラー143に入射する。こおで、マイクロレンズアレイ144を介して出射される蛍光光(光L1,L2である赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光)は、マイクロレンズアレイ144によりビームパターンが成形される。そして、光L1,L2は、ダイクロイックミラー143により導光光学系170の合成光路に向けて反射される。
【0038】
図2に戻り、導光光学系170は、マイクロレンズアレイ172、凹レンズ174、第3集光レンズ175、照射ミラー185、及びコンデンサレンズ195を有している。マイクロレンズアレイ172は、マイクロレンズアレイ172の入射面に入射した各色波長帯域光(青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光)を均一化し、ビームパターンを成形し、表示素子50の画像形成面に照射させる。凹レンズ174は、マイクロレンズアレイ172と第3集光レンズ175の間に配置される。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子50から出射された画像光を投影光学系220に向けて出射するので、投影光学系220の一部でもある。
【0039】
投影光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、及び固定レンズ群225を有している。コンデンサレンズ195の正面パネル12側の光軸上に配置される固定レンズ群225は、固定鏡筒に内蔵され、手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0040】
このように投影装置10を構成することで、励起光照射装置70から出射される光の光路を光路切替装置200により順次切り替えることで、各色波長帯域光が生成されて、導光光学系170により光軸を一致した合成光路に導光されて、表示素子50に入射される。そして、投影装置10の表示素子50であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0041】
(実施形態2)
次に、図7により、実施形態2を説明する。実施形態1では、光学ホイール201の背面側から青色波長帯域光が入射するように光学ホイール201の背面側に配置されていた励起光照射装置70を、実施形態2では、光学ホイール201Aの正面側から青色波長帯域光が入射するように光路切替装置200Aの光学ホイール201Aの正面側に配置したものである。換言すれば、励起光照射装置70は、光路切替装置200Aに入射する励起光が反射される反射側に配置されている。
【0042】
本構成の光学ホイール201Aは、実施形態1に係る図4の第1領域203及び第2領域204と同様の角度範囲で設けられる第1領域及び第2領域を有する。光学ホイール201Aの第1領域には、反射型の回折光学素子が設けられている。光学ホイール201Aの第1領域の回折光学素子は、励起光照射装置70からの光D0を、光D1で示すように、導光光学系170の合成光路に向けて反射する。そして、光D1は、第1領域の回折光学素子によりビームパターンが成形されている。一方、光学ホイール201Aの第2領域は、回折格子が反射光学素子に設けられてなる。光学ホイール201Aの第2領域は、励起光照射装置70からの光D0を、光D2で示すように、蛍光装置100に向けて反射する。第1領域の回折光学素子は、光を拡散させる拡散機能を備えることができる。なお、第2領域にも拡散機能を備えさせても良い。
【0043】
(実施形態3)
次に、図8及び図9により、実施形態3を説明する。本実施形態は、実施形態1(図3参照)において、回折光学素子を含む光学ホイール201を備えた光路切替装置200に換えて、空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)を含む回折スイッチングデバイスとしての光路切替装置200Bとしたものである。空間光変調器は、電気的にレーザ光の位相を自由に制御することができるデバイスであり、電圧によって液晶分子が傾き、液晶の屈折率が変化することにより、各画素に照射された光の位相が制御されるものである。本実施形態における光路切替装置200Bの回折スイッチングデバイスは、透過型とされている。なお、光路切替装置200Bにおいても、光を拡散させる拡散機能を備えさせることができる。
【0044】
励起光照射装置70は、光路切替装置200Bの背面側に配置されて、光路切替装置200Bの背面側から入射する。換言すれば、励起光照射装置70は、励起光が入射して透過し、出射する光路切替装置200Bの入射側に配置されている。光路切替装置200Bにおいても、励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光について、光路を切り替えることができると共に、図5に示すような種々のビームパターンに成形することができる。換言すれば、光路切替装置200Bは、電気的な制御(例えば、電圧による制御)によって、光路を切り替えることができると共に、所望のビームパターンを得ることができる。すなわち、光路切替装置200Bは、電圧の変換によりビームパターンの形状を調整可能に設けられる。光路切替装置200Bでは、導光光学系170の合成光路に向けて出射する光D1のビームパターンを成形して出射することができる。そして更に、光路切替装置200Bは、蛍光装置100に向けて出射する光D2についてもビームパターンを成形して出射することができる。
【0045】
また、光路切替装置200Bによれば、図9に示すように、光路切替装置200Bから出射される光の投影領域も制御して変更することができる。例えば、蛍光装置100に照射される投影領域について、表示素子50のアスペクト比や投影画像の形状に合わせて、図9において左右に長い投影領域PA1としたり、上下に長い投影領域PA2としたりすることができる。
【0046】
回折スイッチングデバイスを用いた光路切替装置200Bにおいても、励起光照射装置70からの光D0の光路を、導光光学系170の合成光路に向けた光D1の光路や、蛍光装置100に向けた光D2の光路に切り替えることができる。
【0047】
(実施形態4)
次に実施形態4を図10に基づいて説明する。実施形態4は、上述の実施形態3において光路切替装置200Bの背面側から青色波長帯域光が入射するように配置された励起光照射装置70を、光路切替装置200Cの正面側から入射するよう配置したものである。換言すれば、励起光照射装置70は、光路切替装置200Cに入射して反射する励起光の反射側に配置されている。よって、実施形態4における光路切替装置200Cは、反射型の回折スイッチングデバイスとされている。光路切替装置200Cにおいても、光を拡散させる拡散機能を備えさせることができる。
【0048】
(実施形態5)
次に、実施形態5を図11に基づいて説明する。本実施形態は、光路切替装置200Dと、蛍光装置100Aとを有し、光路切替装置200Dと蛍光装置100Aとの間に導光ロッド145を設けたものである。導光ロッド145としては、中実のガラスロッドやライトトンネルを用いることができる。蛍光装置100Aは、励起光が照射されることにより黄色波長帯域(第4波長帯域)の蛍光光を出射する黄色蛍光体層を備える蛍光発光領域が設けられた固定蛍光装置である。
【0049】
光路切替装置200Dの光学ホイール201Dは、透過型の回折光学素子を含む第1領域と、ダイクロイックミラーを含む第2領域と、第2領域と異なるダイクロイックミラーを含む第3領域とを備える。第1領域、第2領域及び第3領域の角度範囲は、任意に設定することができる。なお、光路切替装置200Dにおいても、第1領域に光を拡散させる拡散機能を備えさせることができる。第2領域及び第3領域にも拡散機能を備えさせることができる。
【0050】
第2領域に設けられるダイクロイックミラーは、青色波長帯域光を反射して赤色波長帯域光を透過する。第3領域のダイクロイックミラーは、青色波長帯域光を反射して緑色波長帯域光を透過する。
【0051】
照射スポットに光学ホイール201Dの第1領域が位置しているときには、励起光照射装置70からの青色波長帯域光の光D0の光路は、導光光学系170の合成光路に向けて出射する光D1で示す光路に切り替えられる。
【0052】
照射スポットに光学ホイール201Dの第2領域が位置しているときには、励起光照射装置70からの青色波長帯域光の光D0の光路は、第2領域により、導光ロッド145(すなわち、蛍光装置100A)に向けて反射する光D2で示す光路に切り替えられる。光学ホイール201Dの第2領域により反射された青色波長帯域光は、導光ロッド145に入射され、均一な光として出射する。導光ロッド145から出射した青色波長帯域光は、蛍光装置100Aの蛍光発光領域における黄色蛍光体層に励起光として照射される。すると、蛍光装置100Aからは、黄色波長帯域光の光L3が出射される。
【0053】
蛍光装置100Aから出射した黄色波長帯域光の光L3は、光学ホイール201Dの第2領域に入射する。ここで、黄色波長帯域の蛍光光は、赤色波長帯域光と緑色波長帯域光を含む。従って、光学ホイール201Dの第2領域に入射した光L3は、黄色波長帯域のうち赤色波長帯域の光が透過して、赤色波長帯域光である光L1として出射する。光学ホイール201Dから出射した赤色波長帯域光である光L1は、導光光学系170の合成光路に入射する。
【0054】
一方、照射スポットに光学ホイール201Dの第3領域が位置しているときには、上記と同様にして、励起光照射装置70からの青色波長帯域光が第3領域により反射して励起光として蛍光装置100Aに照射される。蛍光装置100Aからの黄色波長帯域光の光L3は、第3領域により光学ホイール201Dから緑色波長帯域光である光L2として出射される。緑色波長帯域光の光L2も、導光光学系170の合成光路に入射される。
【0055】
以上、本発明の実施形態によれば、投影装置10の光源装置60は、光源としての青色レーザダイオード71を備える励起光照射装置70と、励起光照射装置70からの光を励起光として蛍光光を出射する蛍光発光領域(赤色蛍光発光領域104、緑色蛍光発光領域105等)を含む蛍光装置100,100Aと、励起光照射装置70からの光及び蛍光装置100,100Aからの蛍光光を合成光路に導光する光源光学系140と、を備え、光源光学系140は、光路切替装置200,200A~200Dを含み、光路切替装置200,200A~200Dは、励起光照射装置70からの光D0の光路を、合成光路に向けて出射するかと蛍光装置100,100Aに向けて出射するかとの間で切り替えさせ、且つ、少なくとも合成光路に向けて出射する光のビームパターンを成形させる。
【0056】
これにより、励起光照射装置70から出射される光を励起光とすると共に光源光としても利用することができ、更に光路切替装置200,200A~200Dによりビームパターンを成形することができるので、複雑な光路を設ける必要がなく、投影装置10等の装置を小型とすることができる光源装置60を提供することができる。
【0057】
また、光源光学系140は、蛍光光のビームパターンを成形するための光学デバイスとしてのマイクロレンズアレイ144を備え、励起光照射装置70からの光は、マイクロレンズアレイ144により成形されてから蛍光装置100,100Aに入射される。これにより、光源装置60は、合成光路に入射される光のビームパターンが更に成形されるので、適正な形状の光を合成光路に入射させることができる。
【0058】
また、光路切替装置200,200A~200Dは、合成光路に向けて出射する光を拡散させて合成光路に向けて出射させる。これにより、レーザ光の光路上に拡散板を省略したり、簡素化したりすることができる。
【0059】
また、光路切替装置200,200A~200Dと蛍光装置100,100Aとの間の光路には、励起光照射装置70からの光D2を透過して、蛍光装置100,100Aからの蛍光光を合成光路に向けて反射するダイクロイックミラー143が配置される。これにより、励起光照射装置70と蛍光装置100,100Aを対向するように配置できるので、更に小型の装置とすることができる。
【0060】
また、光路切替装置200,200A~200Dは、電圧の変換によりビームパターンの形状を調整可能に設けられる。これにより、電気的な制御により所望のビームパターンを得ることができる。
【0061】
また、光路切替装置200,200A,200Dは、励起光照射装置70からの光D0を合成光路に向けて出射させる第1領域203と、励起光照射装置70からの光D0を蛍光装置100,100Aに向けて出射させる第2領域204と、を少なくとも備える光学ホイール201,201A,201Dを含む。これにより、励起光照射装置70の光を光源光とする光D1のビームパターンは、回折光学素子等により成形することができる。そして、ビームパターンの成形が必要ない蛍光装置100,100A,100Bへの照射は回折格子や透過部材(又は反射部材)を用いることができる。
【0062】
また、励起光照射装置70は、光路切替装置200A,200Cに入射する励起光が反射される反射側に配置され、蛍光装置100,100Aと光路切替装置200A,200Cの間の光路には、第1波長帯域光である青色波長帯域光を透過して、第2波長帯域光である赤色波長帯域光及び第3波長帯域光である緑色波長帯域光を合成光路に向けて反射するダイクロイックミラー143が配置される。これにより、光路切替装置200A,200Cの正面側に励起光照射装置70が配置されて、光源装置60の全体をコンパクトに構成することができる。
【0063】
また、励起光照射装置70は、第1波長帯域光である青色波長帯域光を出射するよう配置され、蛍光装置100Aは、第2波長帯域光である赤色波長帯域光及び第3波長帯域光である緑色波長帯域光を含む第4波長帯域の蛍光光としての黄色波長帯域光の蛍光光を出射可能に設けられ、蛍光装置100Aと光路切替装置200Dとの間の光路には、導光ロッド145が配置される。これにより、励起光照射装置70と光路切替装置200Dとの間や、光路切替装置200Dと蛍光装置100Aとの間には、少なくとも導光ロッド145が設けられていればよいので、更に小型な光源装置60を提供することができる。
【0064】
そして、投影装置10は、光源装置60と、画像光を生成する表示素子50と、表示素子50から出射された画像光を被投影体に投影する投影光学系220と、光源装置60と表示素子50とを制御する制御部と、を備える。これにより、小型とする光源装置60により小型に構成された投影装置10を提供することができる。
【0065】
以上説明した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10 投影装置
12 正面パネル 12a 投影口
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
50 表示素子 57 電源コネクタ
60 光源装置 70 励起光照射装置
71 青色レーザダイオード 72 コリメータレンズ
100,100A 蛍光装置 101 蛍光ホイール
102 基材 104 赤色蛍光発光領域
105 緑色蛍光発光領域 108 集光レンズ群
108a 第1集光レンズ 108b 第2集光レンズ
110 ホイールモータ 110a 駆動軸
130 ヒートシンク 140 光源光学系
143 ダイクロイックミラー
144 マイクロレンズアレイ 145 導光ロッド
170 導光光学系 172 マイクロレンズアレイ
174 凹レンズ 175 第3集光レンズ
185 照射ミラー 190 ヒートシンク
195 コンデンサレンズ
200,200A~200D 光路切替装置
201,201A,201B,201E 光学ホイール
202 ホイールモータ 202a 回転軸
203 第1領域 204 第2領域
205 第3領域 220 投影光学系
225 固定レンズ群 235 可動レンズ群
242 制御回路基板 261 冷却ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11