(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153993
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】電動掘削機、掘削システム、及びドリルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E21B 7/04 20060101AFI20241023BHJP
B23B 45/02 20060101ALI20241023BHJP
B23B 45/14 20060101ALI20241023BHJP
B23B 39/14 20060101ALI20241023BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
E21B7/04 A
B23B45/02
B23B45/14
B23B39/14
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067557
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高萩 耕司
(72)【発明者】
【氏名】上田 純
(72)【発明者】
【氏名】岡島 鎮記
(72)【発明者】
【氏名】堀田 凌平
(72)【発明者】
【氏名】石川 椋一
【テーマコード(参考)】
2D129
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
2D129AA08
2D129BB20
2D129DA12
2D129DC12
2D129DC17
2D129DC42
2D129EB02
2D129EB11
3C036BB11
3C036EE19
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA12
3C064BB84
3C064BB85
3C064CA04
3C064CA08
3C064CA27
3C064CA28
3C064CA57
3C064CA58
3C064CB06
3C064CB07
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB35
3C064CB56
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB70
3C064CB73
3C064CB74
3C064CB84
3C064CB85
(57)【要約】
【課題】掘削対象に穴を作業性良く形成すること。
【解決手段】電動掘削機は、モータと、モータを収容するモータハウジングと、減速機構と、モータハウジングよりも下方に配置され、減速機構を収容するギヤハウジングと、ギヤハウジングから前方に突出し、ドリルビットが取り付けられた状態で減速機構を介してモータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、ギヤハウジングよりも左方に配置され、第1支持面に接触する第1接触部材と、ギヤハウジングよりも右方に配置され、第2支持面に接触する第2接触部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、
減速機構と、
前記モータハウジングよりも下方に配置され、前記減速機構を収容するギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングから前方に突出し、ドリルビットが取り付けられた状態で前記減速機構を介して前記モータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、
前記ギヤハウジングよりも左方に配置され、第1支持面に接触する第1接触部材と、
前記ギヤハウジングよりも右方に配置され、第2支持面に接触する第2接触部材と、を備える、
電動掘削機。
【請求項2】
前記第1接触部材及び前記第2接触部材のそれぞれは、前記ギヤハウジングに支持される、
請求項1に記載の電動掘削機。
【請求項3】
前記第1接触部材は、前記ギヤハウジングに回転可能に支持される第1車輪を含み、
前記第2接触部材は、前記ギヤハウジングに回転可能に支持される第2車輪を含む、
請求項1に記載の電動掘削機。
【請求項4】
前記第1支持面に接触する前記第1車輪の接触面及び前記第2支持面に接触する第2車輪の接触面のそれぞれは、前記ギヤハウジングの下端部よりも下方に配置される、
請求項3に記載の電動掘削機。
【請求項5】
前記第1車輪及び前記第2車輪よりも前方に配置され、第3支持面に接触する第3車輪を備える、
請求項3に記載の電動掘削機。
【請求項6】
左右方向において、前記第3車輪は、前記第1車輪と前記第2車輪との間に配置される、
請求項5に記載の電動掘削機。
【請求項7】
前記ドリルビットは、前記回転出力部に取り付けられる掘削シャフトと、前記掘削シャフトの周囲に配置される螺旋刃と、を含み、
前記第3車輪は、前記掘削シャフトの下方、且つ、前記螺旋刃の後方に配置される、
請求項6に記載の電動掘削機。
【請求項8】
前記第3車輪は、アーム部材を介して前記ギヤハウジングに支持される、
請求項7に記載の電動掘削機。
【請求項9】
前記第1支持面に接触する前記第1車輪の接触面及び前記第2支持面に接触する第2車輪の接触面のそれぞれは、前記ギヤハウジングの下端部よりも上方に配置される、
請求項3に記載の電動掘削機。
【請求項10】
前記第1車輪は、第1上車輪と、前記第1上車輪よりも下方に配置される第1下車輪と、を含み、
前記第2車輪は、第2上車輪と、前記第2上車輪よりも下方に配置される第2下車輪と、を含む、
請求項9に記載の電動掘削機。
【請求項11】
前記第1上車輪及び前記第1下車輪の少なくとも一方は、前後方向に複数設けられ、
前記第2上車輪及び前記第2下車輪の少なくとも一方は、前後方向に複数設けられる、
請求項10に記載の電動掘削機。
【請求項12】
前記第1上車輪は、1つ配置され、前記第1下車輪は、前後方向に2つ配置され、
前記第2上車輪は、1つ配置され、前記第2下車輪は、前後方向に2つ配置され、
前記モータの回転軸は、上下方向に延び、
後側の前記第1下車輪の回転軸及び後側の前記第2下車輪の回転軸のそれぞれは、前記モータの回転軸よりも後方に配置され、
前側の前記第1下車輪の回転軸及び前側の前記第2下車輪の回転軸のそれぞれは、前記モータの回転軸よりも前方に配置され、
前後方向において、前記第1上車輪は、2つの前記第1下車輪の間に配置され、
前後方向において、前記第2上車輪は、2つの前記第2下車輪の間に配置される、
請求項11に記載の電動掘削機。
【請求項13】
モータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、
減速機構と、
前記モータハウジングよりも下方に配置され、前記減速機構を収容するギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングから前方に突出し、ドリルビットが取り付けられた状態で前記減速機構を介して前記モータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、
接触部材と、を有する電動掘削機と、
前記接触部材が接触する支持面を有し、前記電動掘削機を前後方向にガイドするガイド装置と、を備える、
掘削システム。
【請求項14】
前記ガイド装置は、前記支持面の高さ及び傾斜角度を調整する調整機構を有する、
請求項13に記載の掘削システム。
【請求項15】
前記接触部材は、前記ギヤハウジングよりも左方に配置される第1車輪と、前記ギヤハウジングよりも右方に配置される第2車輪と、前記ギヤハウジングよりも前方に配置される第3車輪と、を含み、
前記支持面は、前記ギヤハウジングの下端部よりも下方に配置される平坦面であり、
前記第1車輪、前記第2車輪、及び前記第3車輪のそれぞれが前記支持面に接触する、
請求項13に記載の掘削システム。
【請求項16】
前記接触部材は、前記ギヤハウジングよりも左方に配置される第1上車輪及び第1上車輪よりも下方に配置される第1下車輪と、前記ギヤハウジングよりも右方に配置される第2上車輪及び前記第2上車輪よりも下方に配置される第2下車輪と、を含み、
前記支持面は、前記第1上車輪が接触する第1上支持面と、前記第1下車輪が接触する第1下支持面と、前記第2上車輪が接触する第2上支持面と、前記第2下車輪が接触する第2下支持面と、を含み、
前記第1下支持面及び前記第2下支持面のそれぞれは、前記ギヤハウジングの下端部よりも上方に配置される、
請求項13に記載の掘削システム。
【請求項17】
モータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、
減速機構と、
前記モータハウジングよりも下方に配置され、前記減速機構を収容するギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングから前方に突出し、前記減速機構を介して前記モータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、
前記回転出力部に取り付けられるアダプタと、
前記アダプタに前後方向に移動可能に支持されるドリルビットと、
前記ドリルビットを回転可能に支持し、前後方向に移動可能な支持部材と、
前記支持部材に連結されるハンドルと、を備える、
電動掘削機。
【請求項18】
前記ハンドルは、前後方向に移動可能に前記ギヤハウジングに支持される、
請求項17に記載の電動掘削機。
【請求項19】
電動掘削機のギヤハウジングから前方に突出し、前後方向に延びる回転軸を中心に回転する回転出力部に取り付けられるアダプタと、
前記アダプタに前後方向に移動可能に支持されるドリルビットと、
前記ドリルビットを回転可能に支持し、前後方向に移動可能な支持部材と、
前記ギヤハウジングよりも後方に配置され、前記支持部材に連結されるハンドルと、を備える、
ドリルアセンブリ。
【請求項20】
前記支持部材と前記ハンドルとを連結し、前記ギヤハウジングにスライド可能に支持されるロッド部材を備える、
請求項19に記載のドリルアセンブリ。
【請求項21】
モータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、
減速機構と、
前記減速機構を収容するギヤハウジングと、
ドリルビットが取り付けられた状態で前記減速機構を介して前記モータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、
前記ギヤハウジングよりも左方に配置され、第1支持面に接触する第1接触部材と、
前記ギヤハウジングよりも右方に配置され、第2支持面に接触する第2接触部材と、を備える、
電動掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動掘削機、掘削システム、及びドリルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電動掘削機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、アースオーガドリルビットを回転させて地面を掘削する電動工具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動掘削機を用いて穴を形成したい場合がある。例えば電動掘削機を用いて横穴を形成したい場合がある。例えば地中に下水管を設置する配管作業において、横穴を作業性良く形成できる技術が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、掘削対象に穴を作業性良く形成することを目的とする。特に、掘削対象に横穴を作業性良く形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動掘削機を開示する。電動掘削機は、モータと、モータを収容するモータハウジングと、減速機構と、モータハウジングよりも下方に配置され、減速機構を収容するギヤハウジングと、ギヤハウジングから前方に突出し、ドリルビットが取り付けられた状態で減速機構を介してモータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、ギヤハウジングよりも左方に配置され、第1支持面に接触する第1接触部材と、ギヤハウジングよりも右方に配置され、第2支持面に接触する第2接触部材と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、掘削対象に穴が作業性良く形成される。特に、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る掘削システムを示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る掘削システムを示す前方からの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る掘削システムを示す後方からの斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る掘削システムを示す後方からの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る掘削システムを示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る電動掘削機を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る電動掘削機を示す上面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る電動掘削機を示す下面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る電動掘削機を示す前面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る電動掘削機を示す後面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る電動掘削機を示す分解斜視図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る電動掘削機の本体を示す側面図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る電動掘削機の本体を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係る調整機構の動作を示す図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係る電動掘削機の使用方法を説明するための側面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る掘削システムを示す前方からの斜視図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る掘削システムを示す前方からの分解斜視図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る掘削システムを示す後方からの斜視図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る掘削システムを示す後方からの分解斜視図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態に係る電動掘削機を示す側面図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態に係る電動掘削機を示す上面図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態に係る電動掘削機を示す下面図である。
【
図23】
図23は、第2実施形態に係る電動掘削機を示す前面図である。
【
図24】
図24は、第2実施形態に係る電動掘削機を示す後面図である。
【
図25】
図25は、第2実施形態に係る電動掘削機を示す分解斜視図である。
【
図26】
図26は、第2実施形態に係る電動掘削機の使用方法を説明するための側面図である。
【
図27】
図27は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す前方からの斜視図である。
【
図28】
図28は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す後方からの斜視図である。
【
図29】
図29は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す上面図である。
【
図30】
図30は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す下面図である。
【
図31】
図31は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す分解斜視図である。
【
図32】
図32は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す縦断面図である。
【
図33】
図33は、第3実施形態に係る電動掘削機を示す横断面図である。
【
図34】
図34は、第3実施形態に係る電動掘削機の使用方法を説明するための側面図である。
【
図35】
図35は、第3実施形態に係る電動掘削機の使用方法を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動掘削機は、モータと、モータを収容するモータハウジングと、減速機構と、モータハウジングよりも下方に配置され、減速機構を収容するギヤハウジングと、ギヤハウジングから前方に突出し、ドリルビットが取り付けられた状態で減速機構を介してモータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、ギヤハウジングよりも左方に配置され、第1支持面に接触する第1接触部材と、ギヤハウジングよりも右方に配置され、第2支持面に接触する第2接触部材と、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、電動掘削機を前後方向に移動させながら掘削対象を掘削する場合、第1支持面に接触する第1接触部材及び第2支持面に接触する第2接触部材により、作業者は、電動掘削機を前後方向に円滑に移動させることができる。そのため、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1接触部材及び第2接触部材のそれぞれは、ギヤハウジングに支持されてもよい。
【0012】
上記の構成では、ギヤハウジングに支持された第1接触部材及び第2接触部材により、作業者は、電動掘削機を前後方向に円滑に移動させることができる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1接触部材は、ギヤハウジングに回転可能に支持される第1車輪を含み、第2接触部材は、ギヤハウジングに回転可能に支持される第2車輪を含んでもよい。
【0014】
上記の構成では、第1支持面を転がる第1車輪及び第2支持面を転がる第2車輪により、作業者は、電動掘削機を前後方向に円滑に移動させることができる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1支持面に接触する第1車輪の接触面及び第2支持面に接触する第2車輪の接触面のそれぞれは、ギヤハウジングの下端部よりも下方に配置されてもよい。
【0016】
上記の構成では、第1車輪は第1支持面を円滑に転がることができ、第2車輪は第2支持面を円滑に転がることができる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動掘削機は、第1車輪及び第2車輪よりも前方に配置され、第3支持面に接触する第3車輪を備えてもよい。
【0018】
上記の構成では、電動掘削機を前後方向に移動させる場合、電動掘削機のピッチ運動が抑制される。なお、ピッチ運動とは、左右方向に延びるピッチ軸を中心として電動掘削機が揺動する運動をいう。電動掘削機の前方に存在する掘削対象にドリルビットが押し付けられるように電動掘削機を前進させる場合、ピッチ運動が抑制されることにより、電動掘削機は、真っすぐに前進することができるので、掘削対象に適正な横穴を作業性良く形成することができる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、左右方向において、第3車輪は、第1車輪と第2車輪との間に配置されてもよい。
【0020】
上記の構成では、電動掘削機は、3つの車輪により前後方向に円滑に移動することができる。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ドリルビットは、回転出力部に取り付けられる掘削シャフトと、掘削シャフトの周囲に配置される螺旋刃と、を含んでもよい。第3車輪は、掘削シャフトの下方、且つ、螺旋刃の後方に配置されてもよい。
【0022】
上記の構成では、第3車輪は、ドリルビットの回転を妨げること無く、第3支持面を円滑に転がることができる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第3車輪は、アーム部材を介してギヤハウジングに支持されてもよい。
【0024】
上記の構成では、第3車輪は、アーム部材を介してギヤハウジングに支持された状態で、第3支持面を転がることができる。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1支持面に接触する第1車輪の接触面及び第2支持面に接触する第2車輪の接触面のそれぞれは、ギヤハウジングの下端部よりも上方に配置されてもよい。
【0026】
上記の構成では、電動掘削機は、第1支持面と第2支持面とに懸架された状態で、前後方向に移動することができる。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1車輪は、第1上車輪と、第1上車輪よりも下方に配置される第1下車輪と、を含んでもよい。第2車輪は、第2上車輪と、第2上車輪よりも下方に配置される第2下車輪と、を含んでもよい。
【0028】
上記の構成では、電動掘削機は、前後方向に円滑に移動することができる。第1上車輪及び第1下車輪と、第2上車輪及び第2下車輪とにより、電動掘削機のピッチ運動が抑制される。なお、ピッチ運動とは、左右方向に延びるピッチ軸を中心として電動掘削機が揺動する運動をいう。電動掘削機の前方に存在する掘削対象にドリルビットが押し付けられるように電動掘削機を前進させる場合、ピッチ運動が抑制されることにより、電動掘削機は、真っすぐに前進することができるので、掘削対象に適正な横穴を作業性良く形成することができる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1上車輪及び第1下車輪の少なくとも一方は、前後方向に複数設けられてもよい。第2上車輪及び第2下車輪の少なくとも一方は、前後方向に複数設けられてもよい。
【0030】
上記の構成では、電動掘削機は、前後方向に円滑に移動することができる。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1上車輪は、1つ配置され、第1下車輪は、前後方向に2つ配置されてもよい。第2上車輪は、1つ配置され、第2下車輪は、前後方向に2つ配置されてもよい。モータの回転軸は、上下方向に延びてもよい。後側の第1下車輪の回転軸及び後側の第2下車輪の回転軸のそれぞれは、モータの回転軸よりも後方に配置され、前側の第1下車輪の回転軸及び前側の第2下車輪の回転軸のそれぞれは、モータの回転軸よりも前方に配置されてもよい。前後方向において、第1上車輪は、2つの第1下車輪の間に配置されてもよい。前後方向において、第2上車輪は、2つの第2下車輪の間に配置されてもよい。
【0032】
上記の構成では、電動掘削機は、前後方向に円滑に移動することができる。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、掘削システムは、モータと、モータを収容するモータハウジングと、減速機構と、モータハウジングよりも下方に配置され、減速機構を収容するギヤハウジングと、ギヤハウジングから前方に突出し、ドリルビットが取り付けられた状態で減速機構を介してモータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、接触部材と、を有する電動掘削機と、接触部材が接触する支持面を有し、電動掘削機を前後方向にガイドするガイド装置と、を備えてもよい。
【0034】
上記の構成では、電動掘削機を前後方向に移動させながら掘削対象を掘削する場合、支持面に接触する接触部材により、作業者は、電動掘削機を前後方向に円滑に移動させることができる。そのため、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ガイド装置は、支持面の高さ及び傾斜角度を調整する調整機構を有してもよい。
【0036】
上記の構成では、支持面の高さ及び傾斜角度が調整されることにより、ドリルビットの高さ及び傾斜角度が調整される。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、接触部材は、ギヤハウジングよりも左方に配置される第1車輪と、ギヤハウジングよりも右方に配置される第2車輪と、ギヤハウジングよりも前方に配置される第3車輪と、を含んでもよい。支持面は、ギヤハウジングの下端部よりも下方に配置される平坦面でもよい。第1車輪、第2車輪、及び第3車輪のそれぞれが支持面に接触してもよい。
【0038】
上記の構成では、電動掘削機は、支持面を転がる3つの車輪により前後方向に円滑に移動することができる。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、接触部材は、ギヤハウジングよりも左方に配置される第1上車輪及び第1上車輪よりも下方に配置される第1下車輪と、ギヤハウジングよりも右方に配置される第2上車輪及び第2上車輪よりも下方に配置される第2下車輪と、を含んでもよい。支持面は、第1上車輪が接触する第1上支持面と、第1下車輪が接触する第1下支持面と、第2上車輪が接触する第2上支持面と、第2下車輪が接触する第2下支持面と、を含んでもよい。第1下支持面及び第2下支持面のそれぞれは、ギヤハウジングの下端部よりも上方に配置されてもよい。
【0040】
上記の構成では、電動掘削機は、第1上支持面及び第1下支持面と第2上支持面及び第2下支持面とに懸架された状態で、前後方向に移動することができる。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動掘削機は、モータと、モータを収容するモータハウジングと、減速機構と、モータハウジングよりも下方に配置され、減速機構を収容するギヤハウジングと、ギヤハウジングから前方に突出し、減速機構を介してモータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、回転出力部に取り付けられるアダプタと、アダプタに前後方向に移動可能に支持されるドリルビットと、ドリルビットを回転可能に支持し、前後方向に移動可能な支持部材と、支持部材に連結されるハンドルと、を備えてもよい。
【0042】
上記の構成では、作業者は、ハンドルを前後方向に移動させることにより、ドリルビットを前後方向に移動させることができる。これにより、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ハンドルは、前後方向に移動可能にギヤハウジングに支持されてもよい。
【0044】
上記の構成では、ハンドルは、ギヤハウジングに支持された状態で、前後方向に円滑に移動することができる。
【0045】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ドリルアセンブリは、電動掘削機のギヤハウジングから前方に突出し、前後方向に延びる回転軸を中心に回転する回転出力部に取り付けられるアダプタと、アダプタに前後方向に移動可能に支持されるドリルビットと、ドリルビットを回転可能に支持し、前後方向に移動可能な支持部材と、ギヤハウジングよりも後方に配置され、支持部材に連結されるハンドルと、を備えてもよい。
【0046】
上記の構成では、作業者は、ハンドルを前後方向に移動させることにより、ドリルビットを前後方向に移動させることができる。これにより、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ドリルアセンブリは、支持部材とハンドルとを連結し、ギヤハウジングにスライド可能に支持されるロッド部材を備えてもよい。
【0048】
上記の構成では、ロッド部材がギヤハウジングにスライド可能に支持されることにより、ハンドルが前後方向に円滑に移動することができる。
【0049】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動掘削機は、モータと、モータを収容するモータハウジングと、減速機構と、減速機構を収容するギヤハウジングと、ドリルビットが取り付けられた状態で減速機構を介してモータから伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部と、ギヤハウジングよりも左方に配置され、第1支持面に接触する第1接触部材と、ギヤハウジングよりも右方に配置され、第2支持面に接触する第2接触部材と、を備えてもよい。
【0050】
上記の構成では、電動掘削機を移動させながら掘削対象を掘削する場合、第1支持面に接触する第1接触部材及び第2支持面に接触する第2接触部材により、作業者は、電動掘削機を円滑に移動させることができる。そのため、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0051】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0052】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動掘削機を用いる作業時における方向をいう。例えば、電動掘削機が工具店で販売される場合や販売用カタログに掲載される場合においては、上下方向が逆になることが想定される。
【0053】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0054】
<掘削システム>
図1は、本実施形態に係る掘削システムを示す前方からの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る掘削システムを示す前方からの分解斜視図である。
図3は、本実施形態に係る掘削システムを示す後方からの斜視図である。
図4は、本実施形態に係る掘削システムを示す後方からの分解斜視図である。
図5は、本実施形態に係る掘削システムを示す断面図である。
【0055】
掘削システムは、電動掘削機1Aと、電動掘削機1Aをガイドするガイド装置100とを備える。電動掘削機1Aは、作業者に保持された状態で掘削対象を掘削して、掘削対象に穴を形成する携帯式の電動掘削機である。本実施形態において、掘削対象は、地中である。電動掘削機1Aは、地中に横穴を形成するために使用される。
【0056】
作業者は、電動掘削機1Aの前方に存在する掘削対象に、回転するドリルビット19の前端部19Uを押し付ける。回転するドリルビット19が掘削対象に押し付けられた状態で、電動掘削機1Aが前方に移動されることにより、掘削対象が掘削され、掘削対象に横穴が形成される。掘削対象に形成された横穴から掘削物を排出する場合、作業者は、電動掘削機1Aを後方に引き抜く。ガイド装置100は、電動掘削機1Aを前後方向にガイドする。ガイド装置100により、電動掘削機1Aは、前後方向に円滑に移動することができる。
【0057】
図6は、本実施形態に係る電動掘削機1Aを示す側面図である。
図7は、本実施形態に係る電動掘削機1Aを示す上面図である。
図8は、本実施形態に係る電動掘削機1Aを示す下面図である。
図9は、本実施形態に係る電動掘削機1Aを示す前面図である。
図10は、本実施形態に係る電動掘削機1Aを示す後面図である。
図11は、本実施形態に係る電動掘削機1Aを示す分解斜視図である。
【0058】
電動掘削機1Aは、本体6と、ドリルビット19と、第1車輪21と、第2車輪22と、第3車輪23とを備える。なお、
図9は、ドリルビット19が外された状態の電動掘削機1Aを示す。
【0059】
図12は、本実施形態に係る電動掘削機1Aの本体6を示す側面図である。
図13は、本実施形態に係る電動掘削機1Aの本体6を示す断面図である。
【0060】
図1から
図13に示すように、本体6は、モータハウジング2と、ハンドルハウジング3と、ギヤハウジング4と、バッテリ装着部7と、コントローラ13と、メインスイッチ10と、トリガスイッチ11と、正逆転切換レバー9と、速度切換レバー15と、モータ8と、減速機構14と、回転出力部5とを備える。
【0061】
モータハウジング2は、モータ8を収容する。モータハウジング2は、上下方向に長い筒状である。モータハウジング2は、合成樹脂製である。モータハウジング2は、モータハウジング2の内部空間と外部空間とを接続する排気口2Eを有する。排気口2Eは、モータハウジング2の左部、右部、及び前部のそれぞれに設けられる。モータハウジング2の内部空間の空気は、排気口2Eを介して外部空間に排出される。
【0062】
ハンドルハウジング3は、モータハウジング2よりも上方に配置される。ハンドルハウジング3の下部は、モータハウジング2の上部に接続される。ハンドルハウジング3は、上下方向に長いループ状である。ハンドルハウジング3は、合成樹脂製である。
【0063】
ハンドルハウジング3は、モータハウジング2の上部に接続されるアンダー部3Aと、アンダー部3Aの後部から上方に延びる第1ハンドル部3Bと、アンダー部3Aの前部から上方に延びる第2ハンドル部3Cと、第1ハンドル部3Bの上端部と第2ハンドル部3Cの上端部とを繋ぐバッテリ保持ハウジング部3Dとを有する。第1ハンドル部3Bは、モータハウジング2及びバッテリ保持ハウジング部3Dのそれぞれに接続される。第2ハンドル部3Cは、モータハウジング2及びバッテリ保持ハウジング部3Dのそれぞれに接続される。第1ハンドル部3B及び第2ハンドル部3Cは、アンダー部3Aを介してモータハウジング2に接続される。第2ハンドル部3Cは、第1ハンドル部3Bよりも前方に配置される。第1ハンドル部3B及び第2ハンドル部3Cは、モータハウジング2よりも上方に配置される。作業者は、第1ハンドル部3Bを手で握ることができる。第2ハンドル部3Cの前部に吸気口3Fが設けられる。
【0064】
ギヤハウジング4は、減速機構14を収容する。ギヤハウジング4は、上下方向に長い筒状である。ギヤハウジング4は、モータハウジング2よりも下方に配置される。ギヤハウジング4の上部は、モータハウジング2の下部に接続される。ギヤハウジング4は、アルミニウム製である。ギヤハウジング4の表面の少なくとも一部は、カバー4Aで覆われる。本実施形態において、カバー4Aは、合成樹脂とエラストマーとの2層構造である。
【0065】
ギヤハウジング4の左部及び右部のそれぞれにねじ孔16が設けられる。ギヤハウジング4の左部及び右部のそれぞれにねじ孔18が設けられる。ねじ孔18は、ねじ孔16の後方且つ下方に設けられる。上下方向において、ねじ孔18の位置と回転出力部5の位置とは、実質的に等しい。
【0066】
バッテリ装着部7は、ハンドルハウジング3よりも上方に設けられる。バッテリ装着部7は、バッテリ保持ハウジング部3Dに設けられる。バッテリ装着部7にバッテリパック17が装着される。バッテリ装着部7は、モータ8に電力を供給する給電部として機能する。
【0067】
本実施形態において、バッテリ装着部7は、前後方向に2つ設けられる。2つのバッテリ装着部7のそれぞれにバッテリパック17が装着されることにより、バッテリパック17は、前後方向に2つ配置される。バッテリパック17は、バッテリ装着部7に着脱可能である。バッテリ装着部7に装着されることにより、バッテリパック17は、電動掘削機1Aに電力を供給することができる。バッテリパック17は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック17は、充電式のリチウムイオン電池を含む。
【0068】
コントローラ13は、電動掘削機1Aを制御する制御信号を出力する。第2ハンドル部3Cは、コントローラ13を収容可能な内部空間を有する。コントローラ13は、第2ハンドル部3Cに収容される。
【0069】
メインスイッチ10は、電動掘削機1Aを起動するために作業者に操作される。メインスイッチ10は、アンダー部3Aの後部に設けられる。メインスイッチ10が操作されることにより、バッテリパック17からコントローラ13に電力が供給され、電動掘削機1Aが起動する。メインスイッチ10が操作されることにより、電動掘削機1Aの駆動と停止とが切り換えられる。
【0070】
トリガスイッチ11は、モータ8を起動するために作業者に操作される。トリガスイッチ11は、ハンドルハウジング3に設けられる。トリガスイッチ11は、トリガレバー11Aと、スイッチ回路11Bとを含む。トリガレバー11Aは、モータ8を起動するために作業者に操作される。
【0071】
本実施形態において、トリガレバー11A及びスイッチ回路11Bを含むトリガスイッチ11は、第1ハンドル部3Bに設けられる。トリガレバー11Aは、第1ハンドル部3Bの前部から前方に突出するように配置される。作業者は、第1ハンドル部3Bを左右の一方の手で握った状態で、トリガレバー11Aが後方に移動するようにトリガレバー11Aを指で後方に引き操作することができる。トリガレバー11Aが後方に引き操作されることにより、モータ8が起動する。トリガレバー11Aは、付勢部材により前方に付勢される。トリガレバー11Aの引き操作が解除されることにより、トリガレバー11Aが前方に移動し、モータ8が停止する。
【0072】
第1ハンドル部3Bは、スイッチ回路11Bを収容可能な内部空間を有する。スイッチ回路11Bは、第1ハンドル部3Bに収容される。スイッチ回路11Bは、トリガレバー11Aが引き操作されることにより操作信号を出力する。電動掘削機1Aが起動した状態で、トリガレバー11Aが後方に引き操作されることにより、バッテリパック17からモータ8に電力が供給され、モータ8が起動する。モータ8は、スイッチ回路11Bから出力される操作信号に基づいて駆動する。トリガレバー11Aの操作と操作解除とが切り換えられることにより、モータ8の駆動と停止とが切り換えられる。
【0073】
上下方向において、トリガレバー11Aは、ハンドルハウジング3の中心よりも下方に配置される。本実施形態において、トリガレバー11Aは、上下方向において第1ハンドル部3Bの下部の前部から前方に突出するように配置される。トリガレバー11Aと同様、スイッチ回路11Bは、上下方向において第1ハンドル部3Bの中心よりも下方に配置される。
【0074】
正逆転切換レバー9は、モータ8の回転方向を切り換えるために作業者に操作される。正逆転切換レバー9が左右方向に操作されることにより、モータ8の回転方向が正転方向と逆転方向とに切り換えられる。モータ8の回転方向が切り換えられることにより、回転出力部5の回転方向が正転方向と逆転方向とに切り換えられる。
【0075】
本実施形態において、正逆転切換レバー9は、トリガレバー11Aよりも下方に配置される。正逆転切換レバー9は、アンダー部3Aに配置される。
【0076】
速度切換レバー15は、回転出力部5の回転速度を切り換えるために作業者に操作される。速度切換レバー15は、ギヤハウジング4の前部に設けられる。速度切換レバー15が上下方向に操作されることにより、回転出力部5の回転速度は、第1速度と第1速度よりも高い第2速度とに切り換えられる。
【0077】
モータ8は、回転出力部5を回転させるための回転力を発生する。モータ8は、バッテリパック17から供給される電力に基づいて駆動する。モータ8は、インナーロータ型のブラシレスモータである。モータ8は、筒状のステータ81と、ステータ81の内側に配置されるロータ82と、ロータ82に固定されるロータシャフト80とを有する。ロータ82の回転軸を示すモータ回転軸MXは、上下方向に延びる。ロータ82は、上下方向に延びるモータ回転軸MXを中心に回転する。
【0078】
ステータ81は、積層された複数の鋼板を含むステータコアと、ステータコアに固定されるインシュレータと、インシュレータを介してステータコアに巻かれる複数のコイルとを有する。
【0079】
ロータ82は、ロータシャフト80の周囲に配置される筒状のロータコアと、ロータコアに保持される複数の永久磁石とを有する。ロータシャフト80の下部は、ベアリング83に回転可能に支持される。ロータシャフト80の上部は、ベアリング84に回転可能に支持される。
【0080】
ステータ81の上方にセンサ回路基板79が配置される。センサ回路基板79に設けられた回転検出素子により、ロータ82の回転が検出される。コントローラ13は、回転検出素子の検出信号に基づいて、モータ8に供給される駆動電流を制御する。
【0081】
ベアリング83とステータ81との間のロータシャフト80に遠心ファン85が取り付けられる。モータハウジング2の排気口2Eは、遠心ファン85の周囲の一部に配置される。ロータシャフト80が回転し、遠心ファン85が回転することにより、電動掘削機1Aの周囲の空気が、吸気口3Fを介してハンドルハウジング3の内部空間及びモータハウジング2の内部空間に流入する。ハンドルハウジング3の内部空間及びモータハウジング2の内部空間に流入した空気は、コントローラ13及びモータ8を冷却した後、排気口2Eを介して、モータハウジング2の外部空間に排出される。
【0082】
ロータシャフト80の下端部にピニオンギヤ140が設けられる。ピニオンギヤ140は、ギヤハウジング4の内部空間に配置される。ロータシャフト80は、ピニオンギヤ140を介して、減速機構14に連結される。
【0083】
減速機構14は、モータ8で発生した回転力を回転出力部5に伝達する。減速機構14は、ロータシャフト80から回転出力部5に回転力を伝達する。減速機構14は、複数のギヤを含む。減速機構14は、第1遊星歯車機構141と、第2遊星歯車機構142と、中間シャフト143と、出力シャフト144とを有する。ロータシャフト80の回転軸と、中間シャフト143の回転軸と、出力シャフト144の回転軸とは、一致する。
【0084】
第1遊星歯車機構141は、ロータシャフト80の下方に配置される。中間シャフト143は、第1遊星歯車機構141の下方に配置される。第2遊星歯車機構142は、中間シャフト143の下方に配置される。出力シャフト144は、第2遊星歯車機構142の下方に配置される。
【0085】
ロータシャフト80の下端部に設けられたピニオンギヤ140は、第1遊星歯車機構141のサンギヤとして機能する。第2遊星歯車機構142は、第1遊星歯車機構141の下方に配置される。第1遊星歯車機構141は、中間シャフト143を介して第2遊星歯車機構142に連結される。中間シャフト143の下端部に、第2遊星歯車機構142のサンギヤが設けられる。第1遊星歯車機構141により減速された回転は、第2遊星歯車機構142により更に減速される。第2遊星歯車機構142の回転により、出力シャフト144が回転する。
【0086】
出力シャフト144は、ベアリング145に回転可能に支持される。出力シャフト144の下端部にべベルギヤ146が設けられる。出力シャフト144の下端部は、べベルギヤ146を介して回転出力部5に連結される。
【0087】
回転出力部5は、減速機構14を介してモータ8から伝達された回転力に基づいて回転する。回転出力部5は、ギヤハウジング4の下部から前方に突出する。回転出力部5にドリルビット19が取り付けられる。回転出力部5は、ドリルビット19を取り付けられた状態で回転可能である。回転出力部5の回転軸を示す出力回転軸DXは、前後方向に延びる。回転出力部5は、出力回転軸DXを中心に回転する。ロータ82のモータ回転軸MXと回転出力部5の出力回転軸DXとは、直交する。
【0088】
回転出力部5は、スピンドル51と、スピンドル51の前端部に装着されたドリルチャック52とを含む。ドリルチャック52は、ドリルビット19が挿入される挿入孔52Aを有する。挿入孔52Aは、ドリルチャック52の前端部から後方に延びるように形成される。ドリルチャック52は、ドリルビット19が取り付けられた状態で回転可能である。
【0089】
スピンドル51は、ニードルベアリング53及びボールベアリング54のそれぞれに回転可能に支持される。ニードルベアリング53は、スピンドル51の後端部を回転可能に支持する。ボールベアリング54は、スピンドル51の前部を回転可能に支持する。
【0090】
スピンドル51の後部に、べベルギヤ55が設けられる。べベルギヤ55は、出力シャフト144のべベルギヤ146と噛み合う。
【0091】
ドリルビット19は、回転出力部5に取り付けられる。ドリルビット19は、アースオーガドリルビットと呼ばれる掘削用のドリルビットである。
図2に示すように、ドリルビット19は、掘削シャフト19Aと、掘削二重螺旋刃19Bと、先端ビット19Cと、2枚の切削刃19Dとを有する。
【0092】
掘削シャフト19Aは、前後方向に延びる。掘削シャフト19Aは、回転出力部5に取り付けられる。回転出力部5にドリルビット19を取り付ける場合、ドリルチャック52の挿入孔52Aにアダプタ5Aが挿入される。アダプタ5Aは、ロッド状の部材である。掘削シャフト19Aの後端部にアダプタ5Aが挿入される孔が設けられる。掘削シャフト19Aの後端部の孔にアダプタ5Aが挿入された状態で、掘削シャフト19Aの後端部とアダプタ5Aとが固定具5Bにより固定される。掘削シャフト19Aの後端部は、アダプタ5Aを介してドリルチャック52に取り付けられる。
【0093】
掘削二重螺旋刃19Bは、掘削シャフト19Aの周囲に二重のスパイラル状に配置される。掘削二重螺旋刃19Bは、掘削シャフト19Aに固定される。先端ビット19Cは、掘削シャフト19Aの前端部に配置される。2枚の切削刃19Dのそれぞれは、掘削二重螺旋刃19Bの前端部に配置される。
【0094】
第1車輪21は、ギヤハウジング4よりも左方に配置される。第1車輪21は、ギヤハウジング4に回転可能に支持される。ギヤハウジング4の左部に第1車軸24が固定される。第1車軸24は、ギヤハウジング4の左部から左方に突出する。第1車輪21は、第1車軸24に回転可能に支持される。第1車輪21は、左右方向に延びる回転軸AX1を中心に回転する。
【0095】
第1車軸24の右端部にねじ部が設けられる。第1車軸24のねじ部は、ギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔16に挿入される。第1車軸24のねじ部がギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔16に結合されることにより、第1車軸24がギヤハウジング4の左部に固定される。第1車輪21は、第1車軸24を介してギヤハウジング4に回転可能に支持される。
【0096】
第2車輪22は、ギヤハウジング4よりも右方に配置される。第2車輪22は、ギヤハウジング4に回転可能に支持される。ギヤハウジング4の右部に第2車軸25が固定される。第2車軸25は、ギヤハウジング4の右部から右方に突出する。第2車輪22は、第2車軸25に回転可能に支持される。第2車輪22は、左右方向に延びる回転軸AX2を中心に回転する。
【0097】
第1車輪21の回転軸AX1と第2車輪22の回転軸AX2とは、一致する。
【0098】
第2車軸25の左端部にねじ部が設けられる。第2車軸25のねじ部は、ギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔16に挿入される。第2車軸25のねじ部がギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔16に結合されることにより、第2車軸25がギヤハウジング4の右部に固定される。第2車輪22は、第2車軸25を介してギヤハウジング4に回転可能に支持される。
【0099】
第3車輪23は、第1車輪21及び第2車輪22よりも前方に配置される。第3車輪23は、ギヤハウジング4よりも前方に配置される。左右方向において、第3車輪23は、第1車輪21と第2車輪22との間に配置される。第3車輪23は、ギヤハウジング4に回転可能に支持される。ギヤハウジング4にアーム部材26が固定される。アーム部材26は、ギヤハウジング4から前方に突出する。第3車輪23は、アーム部材26に回転可能に支持される。第3車輪23は、左右方向に延びる回転軸AX3を中心に回転する。
【0100】
アーム部材26は、ギヤハウジング4の左部から前方に延びる左アーム部と、ギヤハウジング4の右部から前方に延びる右アーム部と、左アーム部の前端部と右アーム部の前端部とを繋ぐ支持部とを有する。第3車輪23は、アーム部材26の支持部に回転可能に支持される。左アーム部の後端部は、ギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔18に挿入されるねじによりギヤハウジング4に固定される。右アーム部の後端部は、ギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔18に挿入されるねじによりギヤハウジング4に固定される。すなわち、アーム部材26は、ねじ孔18に挿入されるねじによりギヤハウジング4に固定される。第3車輪23は、アーム部材26を介してギヤハウジング4に回転可能に支持される。
【0101】
第3車輪23は、掘削シャフト19Aの下方、且つ、掘削二重螺旋刃19Bの後方に配置される。
【0102】
第1車輪21の下部は、ギヤハウジング4の下端部よりも下方に配置される。第2車輪22の下部は、ギヤハウジング4の下端部よりも下方に配置される。第3車輪23の下部は、ギヤハウジング4の下端部よりも下方に配置される。
【0103】
ギヤハウジング4にリヤハンドル27が固定される。リヤハンドル27の少なくとも一部は、ギヤハウジング4から後方に突出する。リヤハンドル27は、ねじによりギヤハウジング4に固定される。リヤハンドル27をギヤハウジング4に固定するためのねじは、ねじ孔18に挿入される。本実施形態において、リヤハンドル27は、アーム部材26と一体である。リヤハンドル27は、アーム部材26の左アーム部の後端部から後方に延びる第1ハンドル部と、アーム部材26の右アーム部の後端部から後方に延びる第2ハンドル部と、第1ハンドル部の後端部と第2ハンドル部の後端部とを繋ぐグリップ部とを有する。リヤハンドル27のグリップ部は、ギヤハウジング4よりも後方に配置される。なお、リヤハンドル27は、アーム部材26と別体でもよい。
【0104】
ガイド装置100は、ベースプレート101と、左壁102と、右壁103と、スパイク104とを有する。
【0105】
ベースプレート101は、前後方向に長い長方形状である。ベースプレート101は、前後方向に長い平板である。ベースプレート101は、上方を向く支持面101Aを有する。支持面101Aは、平坦面である。電動掘削機1Aは、支持面101Aを前後方向に走行する。第1車輪21、第2車輪22、及び第3車輪23のそれぞれは、支持面101Aに接触する。
【0106】
第1車輪21と第2車輪22と第3車輪23とは、支持面101Aに同時に接触する。支持面101Aに接触する第1車輪21の接触面(接地面)、支持面101Aに接触する第2車輪22の接触面(接地面)、及び支持面101Aに接触する第3車輪23の接触面(接地面)のそれぞれは、ギヤハウジング4の下端部よりも下方に配置される。
【0107】
第1車輪21と第2車輪22と第3車輪23とが支持面101Aに接触した状態で、ギヤハウジング4の下端部と支持面101Aとの間に間隙が形成される。すなわち、第1車輪21と第2車輪22と第3車輪23とが支持面101Aに接触した状態で、ギヤハウジング4は、支持面101Aに接触しない。支持面101Aは、ギヤハウジング4の下端部よりも下方に配置される。
【0108】
第1車輪21と第2車輪22と第3車輪23とが支持面101Aに接触した状態で、回転出力部5の出力回転軸DX及びドリルビット19の回転軸と支持面101Aとは、平行である。第1車輪21と第2車輪22と第3車輪23とが支持面101Aに接触した状態で、ドリルビット19の下端部と支持面101Aとの間に間隙が形成される。すなわち、第1車輪21と第2車輪22と第3車輪23とが支持面101Aに接触した状態で、ドリルビット19は、支持面101Aに接触しない。
【0109】
左壁102は、ベースプレート101の左端部に設けられる。左壁102は、ベースプレート101の左端部から上方に突出する。前後方向において、左壁102の寸法とベースプレート101の寸法とは、同じである。前後方向において、左壁102の前端部の位置とベースプレート101の前端部の位置とは、一致する。前後方向において、左壁102の後端部の位置とベースプレート101の後端部の位置とは、一致する。左壁102は、第1車輪21がベースプレート101の支持面101Aから左方に逸脱することを抑制する。
【0110】
右壁103は、ベースプレート101の右端部に設けられる。右壁103は、ベースプレート101の右端部から上方に突出する。前後方向において、右壁103の寸法とベースプレート101の寸法とは、同じである。前後方向において、右壁103の前端部の位置とベースプレート101の前端部の位置とは、一致する。前後方向において、右壁103の後端部の位置とベースプレート101の後端部の位置とは、一致する。右壁103は、第2車輪22がベースプレート101の支持面101Aから右方に逸脱することを抑制する。
【0111】
スパイク104は、ベースプレート101から下方に突出する。スパイク104は、複数設けられる。本実施形態において、スパイク104は、ベースプレート101の4つの角部のそれぞれに配置される。スパイク104は、地面に突き刺さる。左側の2つのスパイク104は、左壁102に設けられたスパイク保持部に保持される。右側の2つのスパイク104は、右壁103に設けられたスパイク保持部に保持される。
【0112】
ベースプレート101の下面からのスパイク104の突出量は、調整可能である。スパイク104の上部にねじ部が設けられる。スパイク保持部の内部にねじ溝が設けられる。スパイク104がスパイク保持部に対して回転されることにより、ベースプレート101からの下方へのスパイク104の突出量が調整される。複数のスパイク104のそれぞれの突出量が調整されることにより、支持面101Aの高さ及び傾斜角度が調整される。スパイク104は、支持面101Aの高さ及び傾斜角度を調整する調整機構として機能する。
【0113】
図14は、本実施形態に係る調整機構の動作を示す図である。
図14に示すように、水平面に平行な地面にガイド装置100が置かれた場合において、4つのスパイク104の突出量が同一になるように、スパイク104が調整されることにより、支持面101Aは、水平面に平行な水平状態になる。例えば、前側の2つのスパイク104の突出量が後側の2つのスパイク104の突出量よりも多くなるように、スパイク104が調整されることにより、支持面101Aは、前方に向かって上方に傾斜する傾斜状態になる。
【0114】
<使用方法>
次に、本実施形態に係る電動掘削機1Aの使用方法について説明する。
図15は、本実施形態に係る電動掘削機1Aの使用方法を説明するための側面図である。
【0115】
電動掘削機1Aは、掘削対象に横穴を形成するために使用される。電動掘削機1Aは、モータハウジング2がギヤハウジング4よりも上方に配置された状態で使用される。すなわち、電動掘削機1Aは、縦置き状態で使用される。
【0116】
ガイド装置100は、スパイク104が作業現場の地面に突き刺さるように、作業現場の地面に置かれる。電動掘削機1Aは、ガイド装置100に置かれる。第1車輪21、第2車輪22、及び第3車輪23のそれぞれが支持面101Aに接触することにより、電動掘削機1Aは、縦置き状態になる。
【0117】
作業者は、モータハウジング2がギヤハウジング4よりも上方に配置されるように、電動掘削機1Aを保持する。
図15に示す例において、作業者は、右手で第1ハンドル部3Bを握り、左手でリヤハンドル27を握る。
【0118】
作業者は、第1ハンドル部3Bを握った右手の指でトリガレバー11Aを引き操作する。トリガレバー11Aが引き操作されることにより、回転出力部5は、ドリルビット19が取り付けられた状態で回転する。
【0119】
作業者は、電動掘削機1Aの前方に存在する掘削対象に、回転するドリルビット19の前端部19Uが押し付けられるように、ガイド装置100に対して電動掘削機1Aを前方に移動させる。第1車輪21、第2車輪22、及び第3車輪23のそれぞれが支持面101Aを転がることにより、電動掘削機1Aは、前方に移動することができる。
【0120】
回転するドリルビット19が掘削対象に押し付けられることにより、掘削対象が掘削され、掘削対象に横穴が形成される。ドリルビット19が回転している状態で、作業者により電動掘削機1Aが前方に押し込まれることにより、横穴の形成が進行する。
【0121】
作業者は、掘削対象に形成された横穴から掘削物を排出するために、任意のタイミングで、ドリルビット19が掘削対象から引き抜かれるように、ガイド装置100に対して電動掘削機1Aを後方に移動させる。第1車輪21、第2車輪22、及び第3車輪23のそれぞれが支持面101Aを転がることにより、電動掘削機1Aは、後方に移動することができる。
【0122】
電動掘削機1Aが後方に移動されることにより、ドリルビット19が掘削対象から引き抜かれ、掘削対象に形成された横穴から掘削物が排出される。
【0123】
作業者は、ドリルビット19を回転させながら、電動掘削機1Aの本体6が掘削対象に接近するように電動掘削機1Aを前方に移動させる動作と、電動掘削機1Aの本体6が掘削対象から離隔するように電動掘削機1Aを後方に移動させる動作とを繰り返す。電動掘削機1Aが前方に移動することにより、掘削対象がドリルビット19により掘削され、横穴の形成が進行する。電動掘削機1Aが後方に移動することにより、掘削対象の横穴から掘削物が排出される。電動掘削機1Aの前進と後進とが繰り返されることにより、掘削対象の掘削と掘削物の排出とが繰り返され、掘削対象に横穴が形成される。ガイド装置100により、電動掘削機1Aは、円滑に前進と後進とを繰り返すことができる。
【0124】
<効果>
以上説明したように、電動掘削機1Aは、モータ8と、モータ8を収容するモータハウジング2と、減速機構14と、モータハウジング2よりも下方に配置され、減速機構14を収容するギヤハウジング4と、ギヤハウジング4から前方に突出し、ドリルビット19が取り付けられた状態で減速機構14を介してモータ8から伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部5と、ギヤハウジング4よりも左方に配置され、支持面101Aに接触する第1接触部材である第1車輪21と、ギヤハウジング4よりも右方に配置され、支持面101Aに接触する第2接触部材である第2車輪22と、を備えてもよい。
【0125】
上記の構成では、電動掘削機1Aを前後方向に移動させながら掘削対象を掘削する場合、支持面101Aに接触する第1車輪21及び支持面101Aに接触する第2車輪22により、作業者は、電動掘削機1Aを前後方向に円滑に移動させることができる。そのため、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0126】
本実施形態において、第1車輪21及び第2車輪22のそれぞれは、ギヤハウジング4に支持されてもよい。
【0127】
上記の構成では、ギヤハウジング4に支持された第1車輪21及び第2車輪22により、作業者は、電動掘削機1Aを前後方向に円滑に移動させることができる。
【0128】
本実施形態において、第1車輪21は、ギヤハウジング4に回転可能に支持され、第2車輪22は、ギヤハウジング4に回転可能に支持されてもよい。
【0129】
上記の構成では、支持面101Aを転がる第1車輪21及び支持面101Aを転がる第2車輪22により、作業者は、電動掘削機1Aを前後方向に円滑に移動させることができる。
【0130】
本実施形態において、支持面101Aに接触する第1車輪21の接触面及び支持面101Aに接触する第2車輪22の接触面のそれぞれは、ギヤハウジング4の下端部よりも下方に配置されてもよい。
【0131】
上記の構成では、第1車輪21は支持面101Aを円滑に転がることができ、第2車輪22は支持面101Aを円滑に転がることができる。
【0132】
本実施形態において、電動掘削機1Aは、第1車輪21及び第2車輪22よりも前方に配置され、支持面101Aに接触する第3車輪23を備えてもよい。
【0133】
上記の構成では、電動掘削機1Aを前後方向に移動させる場合、電動掘削機1Aのピッチ運動が抑制される。なお、ピッチ運動とは、左右方向に延びるピッチ軸を中心として電動掘削機1Aが揺動する運動をいう。電動掘削機1Aの前方に存在する掘削対象にドリルビット19が押し付けられるように電動掘削機1Aを前進させる場合、ピッチ運動が抑制されることにより、電動掘削機1Aは、真っすぐに前進することができるので、掘削対象に適正な横穴を作業性良く形成することができる。
【0134】
本実施形態において、左右方向において、第3車輪23は、第1車輪21と第2車輪22との間に配置されてもよい。
【0135】
上記の構成では、電動掘削機1Aは、3つの車輪(21,22,23)により前後方向に円滑に移動することができる。
【0136】
本実施形態において、ドリルビット19は、回転出力部5に取り付けられる掘削シャフト19Aと、掘削シャフト19Aの周囲に配置される掘削二重螺旋刃19Bと、を含んでもよい。第3車輪23は、掘削シャフト19Aの下方、且つ、掘削二重螺旋刃19Bの後方に配置されてもよい。
【0137】
上記の構成では、第3車輪23は、ドリルビット19の回転を妨げること無く、支持面101Aを円滑に転がることができる。
【0138】
本実施形態において、第3車輪23は、アーム部材26を介してギヤハウジング4に支持されてもよい。
【0139】
上記の構成では、第3車輪23は、アーム部材26を介してギヤハウジング4に支持された状態で、支持面101Aを転がることができる。
【0140】
本実施形態において、掘削システムは、電動掘削機1Aと、電動掘削機1Aの接触部材である3つの車輪(21,22,23)が接触する支持面101Aを有し、電動掘削機1Aを前後方向にガイドするガイド装置100と、を備えてもよい。
【0141】
上記の構成では、電動掘削機1Aを前後方向に移動させながら掘削対象を掘削する場合、支持面101Aに接触する接触部材により、作業者は、電動掘削機1Aを前後方向に円滑に移動させることができる。そのため、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0142】
本実施形態において、ガイド装置100は、支持面101Aの高さ及び傾斜角度を調整する調整機構である複数のスパイク104を有してもよい。
【0143】
上記の構成では、支持面101Aの高さ及び傾斜角度が調整されることにより、ドリルビット19の高さ及び傾斜角度が調整される。
【0144】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0145】
<電動掘削機>
図16は、本実施形態に係る掘削システムを示す前方からの斜視図である。
図17は、本実施形態に係る掘削システムを示す前方からの分解斜視図である。
図18は、本実施形態に係る掘削システムを示す後方からの斜視図である。
図19は、本実施形態に係る掘削システムを示す後方からの分解斜視図である。
図20は、本実施形態に係る電動掘削機1Bを示す側面図である。
図21は、本実施形態に係る電動掘削機1Bを示す上面図である。
図22は、本実施形態に係る電動掘削機1Bを示す下面図である。
図23は、本実施形態に係る電動掘削機1Bを示す前面図である。
図24は、本実施形態に係る電動掘削機1Bを示す後面図である。
図25は、本実施形態に係る電動掘削機1Bを示す分解斜視図である。
【0146】
本実施形態において、ガイド装置110は、ベースプレート111と、ベースプレート111の左端部から上方に突出する左壁112と、ベースプレート111の右端部から上方に突出する右壁113と、ベースプレート111の4つの角部のそれぞれから下方に突出するスパイク114とを有する。
【0147】
左壁112は、右壁113に対向する右面を有する。左壁112の右面に第1溝115が設けられる。第1溝115は、左壁112の右面から左方に凹むように形成される。第1溝115は、前後方向に長い。第1溝115は、第1上溝115Aと、第1上溝115Aよりも下方に設けられる第1下溝115Bとを含む。第1上溝115A及び第1下溝115Bのそれぞれが、左壁112の右面から左方に凹むように形成される。第1上溝115A及び第1下溝115Bのそれぞれが、前後方向に長い。
【0148】
右壁113は、左壁112に対向する左面を有する。右壁113の左面に第2溝116が設けられる。第2溝116は、右壁113の左面から右方に凹むように形成される。第2溝116は、前後方向に長い。第2溝116は、第2上溝116Aと、第2上溝116Aよりも下方に設けられる第2下溝116Bとを含む。第2上溝116A及び第2下溝116Bのそれぞれが、右壁113の左面から右方に凹むように形成される。第2上溝116A及び第2下溝116Bのそれぞれが、前後方向に長い。
【0149】
電動掘削機1Bは、ギヤハウジング4よりも左方に配置される第1車輪31と、ギヤハウジング4よりも右方に配置される第2車輪32とを備える。第1車輪31及び第2車輪32のそれぞれは、ギヤハウジング4に回転可能に支持される。
【0150】
本実施形態において、ギヤハウジング4の左部に第1支持部材34が固定される。第1支持部材34は、第1ねじ36によりギヤハウジング4に固定される。第1ねじ36は、第1支持部材34に設けられた開口を介して、ギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔16に挿入される。第1支持部材34は、ギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔16に挿入される第1ねじ36により、ギヤハウジング4の左部に固定される。第1車輪31は、第1支持部材34に回転可能に支持される。第1車輪31は、複数設けられる。複数の第1車輪31のそれぞれは、左右方向に延びる回転軸AX5を中心に回転する。複数の第1車輪31のそれぞれは、第1支持部材34を介してギヤハウジング4に回転可能に支持される。
【0151】
本実施形態において、ギヤハウジング4の右部に第2支持部材35が固定される。第2支持部材35は、第2ねじ37によりギヤハウジング4に固定される。第2ねじ37は、第2支持部材35に設けられた開口を介して、ギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔16に挿入される。第2支持部材35は、ギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔16に挿入される第2ねじ37により、ギヤハウジング4の右部に固定される。第2車輪32は、第2支持部材35に回転可能に支持される。第2車輪32は、複数設けられる。複数の第2車輪32のそれぞれは、左右方向に延びる回転軸AX6を中心に回転する。複数の第2車輪32のそれぞれは、第2支持部材35を介してギヤハウジング4に回転可能に支持される。
【0152】
本実施形態において、第1車輪31の下部は、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置される。第2車輪32の下部は、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置される。
【0153】
本実施形態において、第1車輪31は、第1上車輪31Aと、第1上車輪31Aよりも下方に配置される第1下車輪31Bと、を含む。第2車輪32は、第2上車輪32Aと、第2上車輪32Aよりも下方に配置される第2下車輪32Bと、を含む。
【0154】
第1上車輪31A及び第1下車輪31Bの少なくとも一方は、前後方向に複数設けられる。本実施形態において、第1上車輪31Aは、1つ配置される。第1下車輪31Bは、前後方向に2つ配置される。
【0155】
第2上車輪32A及び第2下車輪32Bの少なくとも一方は、前後方向に複数設けられる。本実施形態において、第2上車輪32Aは、1つ配置される。第2下車輪32Bは、前後方向に2つ配置される。
【0156】
第1上車輪31Aの回転軸AX5と第2上車輪32Aの回転軸AX6とは、一致する。後側の第1下車輪31Bの回転軸AX5と後側の第2下車輪32Bの回転軸AX6とは、一致する。前側の第1下車輪31Bの回転軸AX5と前側の第2下車輪32Bの回転軸AX6とは、一致する。
【0157】
モータ8の回転軸を示すモータ回転軸MXは、上下方向に延びる。後側の第1下車輪31Bの回転軸AX5及び後側の第2下車輪32Bの回転軸AX6のそれぞれは、モータ回転軸MXよりも後方に配置される。前側の第1下車輪31Bの回転軸AX5及び前側の第2下車輪32Bの回転軸AX6のそれぞれは、モータ回転軸MXよりも前方に配置される。前後方向において、第1上車輪31Aは、2つの第1下車輪31Bの間に配置される。前後方向において、第2上車輪32Aは、2つの第2下車輪32Bの間に配置される。すなわち、3つの第1車輪31は、三角形の頂点のそれぞれに1つずつに配置される。3つの第2車輪32は、三角形の頂点のそれぞれに1つずつ配置される。
【0158】
本実施形態において、第1車輪31は、第1溝115の内側を前後方向に転がる。第2車輪32は、第2溝116の内側を前後方向に転がる。
【0159】
第1上車輪31Aは、第1上溝115Aの内側を前後方向に転がる。第1上溝115Aは、第1上車輪31Aを支持する支持面115C(第1上支持面)を有する。支持面115Cは、上方を向く。第1上車輪31Aの下端部は、支持面115Cに接触する。支持面115Cに接触する第1上車輪31Aの接触面は、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置される。
【0160】
第1下車輪31Bは、第1下溝115Bの内側を前後方向に転がる。第1下溝115Bは、第1下車輪31Bを支持する支持面115D(第1下支持面)を有する。支持面115Dは、上方を向く。第1下車輪31Bの下端部は、支持面115Dに接触する。支持面115Dに接触する第1下車輪31Bの接触面は、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置される。
【0161】
第2上車輪32Aは、第2上溝116Aの内側を前後方向に転がる。第2上溝116Aは、第2上車輪32Aを支持する支持面116C(第2上支持面)を有する。支持面116Cは、上方を向く。第2上車輪32Aの下端部は、支持面116Cに接触する。支持面116Cに接触する第2上車輪32Aの接触面は、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置される。
【0162】
第2下車輪32Bは、第2下溝116Bの内側を前後方向に転がる。第2下溝116Bは、第2下車輪32Bを支持する支持面116D(第2下支持面)を有する。支持面116Dは、上方を向く。第2下車輪32Bの下端部は、支持面116Dに接触する。支持面116Dに接触する第2下車輪32Bの接触面は、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置される。
【0163】
上述の第1実施形態において説明したスパイク104と同様、4つのスパイク114のそれぞれは、ベースプレート111から下方への突出量を個別に調整可能である。スパイク114の突出量が調整されることにより、支持面(115A,115B,116A,116D)の高さ及び傾斜角度が調整される。
【0164】
ギヤハウジング4にリヤハンドル27が固定される。リヤハンドル27の少なくとも一部は、ギヤハウジング4から後方に突出する。リヤハンドル27は、ねじによりギヤハウジング4に固定される。リヤハンドル27をギヤハウジング4に固定するためのねじは、ねじ孔18に挿入される。
【0165】
<使用方法>
次に、本実施形態に係る電動掘削機1Bの使用方法について説明する。
図26は、本実施形態に係る電動掘削機1Bの使用方法を説明するための側面図である。
【0166】
電動掘削機1Bは、掘削対象に横穴を形成するために使用される。電動掘削機1Bは、モータハウジング2がギヤハウジング4よりも上方に配置された状態で使用される。すなわち、電動掘削機1Bは、縦置き状態で使用される。
【0167】
ガイド装置110は、スパイク104が作業現場の地面に突き刺さるように、作業現場の地面に置かれる。電動掘削機1Bは、ガイド装置110に置かれる。第1車輪31が支持面(115C,115D)に接触し、第2車輪32は支持面(116C,116D)に接触することにより、電動掘削機1Aは、縦置き状態になる。
【0168】
作業者は、モータハウジング2がギヤハウジング4よりも上方に配置されるように、電動掘削機1Bを保持する。
図26に示す例において、作業者は、右手で第1ハンドル部3Bを握り、左手でリヤハンドル27を握る。
【0169】
作業者は、第1ハンドル部3Bを握った右手の指でトリガレバー11Aを引き操作する。トリガレバー11Aが引き操作されることにより、回転出力部5は、ドリルビット19が取り付けられた状態で回転する。
【0170】
作業者は、電動掘削機1Bの前方に存在する掘削対象に、回転するドリルビット19の前端部19Uが押し付けられるように、ガイド装置110に対して電動掘削機1Bを前方に移動させる。第1車輪31が支持面(115C,115D)を転がり、第2車輪32が支持面(116C,116D)を転がることにより、電動掘削機1Bは、前方に移動することができる。
【0171】
回転するドリルビット19が掘削対象に押し付けられることにより、掘削対象が掘削され、掘削対象に横穴が形成される。ドリルビット19が回転している状態で、作業者により電動掘削機1Bが前方に押し込まれることにより、横穴の形成が進行する。
【0172】
作業者は、掘削対象に形成された横穴から掘削物を排出するために、任意のタイミングで、ドリルビット19が掘削対象から引き抜かれるように、ガイド装置110に対して電動掘削機1Bを後方に移動させる。第1車輪31が支持面(15C,15D)を転がり、第2車輪32が支持面(16C,16D)を転がることにより、電動掘削機1Bは、後方に移動することができる。
【0173】
電動掘削機1Bが後方に移動されることにより、ドリルビット19が掘削対象から引き抜かれ、掘削対象に形成された横穴から掘削物が排出される。
【0174】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、支持面(115C,115D)に接触する第1車輪31の接触面及び支持面(116C,116D)に接触する第2車輪32の接触面のそれぞれは、ギヤハウジング4の下端部よりも上方に配置されてもよい。
【0175】
上記の構成では、電動掘削機1Bは、左側の支持面(115C,115D)と右側の支持面(116C,116D)とに懸架された状態で、前後方向に移動することができる。
【0176】
本実施形態において、第1車輪31は、第1上車輪31Aと、第1上車輪31Aよりも下方に配置される第1下車輪31Bと、を含んでもよい。第2車輪32は、第2上車輪32Aと、第2上車輪32Aよりも下方に配置される第2下車輪32Bと、を含んでもよい。
【0177】
上記の構成では、電動掘削機1Bは、前後方向に円滑に移動することができる。第1上車輪31A及び第1下車輪31Bと、第2上車輪32A及び第2上車輪32Aとにより、電動掘削機1Bのピッチ運動が抑制される。なお、ピッチ運動とは、左右方向に延びるピッチ軸を中心として電動掘削機1Bが揺動する運動をいう。電動掘削機1Bの前方に存在する掘削対象にドリルビット19が押し付けられるように電動掘削機1Bを前進させる場合、ピッチ運動が抑制されることにより、電動掘削機1Bは、真っすぐに前進することができるので、掘削対象に適正な横穴を作業性良く形成することができる。
【0178】
本実施形態において、第1上車輪31A及び第1下車輪31Bの少なくとも一方は、前後方向に複数設けられてもよい。第2上車輪32A及び第2下車輪32Bの少なくとも一方は、前後方向に複数設けられてもよい。
【0179】
上記の構成では、電動掘削機1Bは、前後方向に円滑に移動することができる。
【0180】
本実施形態において、第1上車輪31Aは、1つ配置され、第1下車輪31Bは、前後方向に2つ配置されてもよい。第2上車輪32Aは、1つ配置され、第2下車輪32Bは、前後方向に2つ配置されてもよい。モータ8のモータ回転軸MXは、上下方向に延びてもよい。後側の第1下車輪31Bの回転軸AX5及び後側の第2下車輪32Bの回転軸AX6のそれぞれは、モータ8のモータ回転軸MXよりも後方に配置され、前側の第1下車輪31Bの回転軸AX5及び前側の第2下車輪32Bの回転軸AX6のそれぞれは、モータ8のモータ回転軸MXよりも前方に配置されてもよい。前後方向において、第1上車輪31Aは、2つの第1下車輪31Bの間に配置されてもよい。前後方向において、第2上車輪32Aは、2つの第2下車輪32Bの間に配置されてもよい。
【0181】
上記の構成では、電動掘削機1Bは、前後方向に円滑に移動することができる。
【0182】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0183】
<電動掘削機>
図27は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す前方からの斜視図である。
図28は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す後方からの斜視図である。
図29は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す上面図である。
図30は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す下面図である。
図31は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す分解斜視図である。
図32は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す縦断面図である。
図33は、本実施形態に係る電動掘削機1Cを示す横断面図である。
【0184】
本実施形態において、本体6にドリルアセンブリが取り付けられる。ドリルアセンブリは、回転出力部5に取り付けられるアダプタ500と、アダプタ500に前後方向に移動可能に支持されるドリルビット19と、ドリルビット19を回転可能に支持する支持部材120と、ロッド部材123及びロッド部材124を介して支持部材120に連結されるハンドル122とを備える。
【0185】
アダプタ500は、前後方向に長いロッド状の部材である。アダプタ500の前後方向の長さは、ドリルビット19の掘削シャフト19Aの前後方向の長さよりも長くてもよいし、掘削シャフト19Aの前後方向の長さと実質的に同じでもよい。アダプタ500の後端部は、ドリルチャック52の挿入孔52Aにされる。アダプタ500の後端部は、ドリルチャック52に固定される。
【0186】
掘削シャフト19Aの内部に、アダプタ500が挿入される挿入孔19Eが設けられる。掘削シャフト19Aの挿入孔19Eは、前後方向に長い。アダプタ500は、掘削シャフト19Aの挿入孔19Eに沿って、掘削シャフト19Aと前後方向に相対移動することができる。
【0187】
アダプタ500は、前後方向に長い長孔501を有する。掘削シャフト19Aの後端部に、支持孔19Fが設けられる。固定具5Bは、支持孔19Fを介して長孔501に挿入される。支持孔19Fの内径は、固定具5Bの外径と実質的に等しい。なお、支持孔19Fの内径は、固定具5Bの外径よりも僅かに大きくてもよい。固定具5Bが支持孔19F及び長孔501に挿入されることにより、アダプタ500とドリルビット19との相対回転が抑制される。回転出力部5が回転して、アダプタ500が回転することにより、ドリルビット19がアダプタ500と一緒に回転する。固定具5Bは、長孔501に沿って前後方向に移動することができる。アダプタ500に対してドリルビット19が前後方向に移動すると、支持孔19Fに支持されている固定具5Bは、ドリルビット19と一緒に前後方向に移動する。
【0188】
支持部材120は、ドリルビット19を回転可能に支持する。支持部材120に、ドリルビット19の後部が配置される凹部120Aが設けられる。ドリルビット19は、凹部120Aの内面に回転可能に支持される。
【0189】
ドリルビット19の後部にフランジ部19Gが設けられる。支持部材120は、フランジ部19Gの前面に接触する前部分と、フランジ部19Gの後面に接触する後部分と、前部分と後部分とを繋ぐ連結部分とを有する。
【0190】
支持部材120は、前後方向に移動可能である。支持部材120が前方に移動することにより、ドリルビット19が前方に移動する。支持部材120が後方に移動することにより、ドリルビット19が後方に移動する。支持部材120の後部分とフランジ部19Gの後面との接触により、支持部材120の前方への移動に伴って、ドリルビット19が前方に移動する。支持部材120の前部分とフランジ部19Gの前面との接触により、支持部材120の後方への移動に伴って、ドリルビット19が後方に移動する。
【0191】
ハンドル122は、ギヤハウジング4よりも後方に配置される。作業者は、ハンドル122を前後方向に移動させることができる。
【0192】
ハンドル122が作業者により前方に移動されることにより、ロッド部材123及びロッド部材124を介してハンドル122に連結されている支持部材120が、ハンドル122と一緒に前方に移動する。支持部材120が前方に移動することにより、アダプタ500に対してドリルビット19が前方に移動する。
【0193】
ハンドル122が作業者により後方に移動されることにより、ロッド部材123及びロッド部材124を介してハンドル122に連結されている支持部材120が、ハンドル122と一緒に後方に移動する。支持部材120が後方に移動することにより、アダプタ500に対してドリルビット19が後方に移動する。
【0194】
ロッド部材123は、ギヤハウジング4よりも左方において、前後方向に延びるように配置される。ロッド部材124は、ギヤハウジング4よりも右方において、前後方向に延びるように配置される。ロッド部材123及びロッド部材124のそれぞれは、支持部材120とハンドル122とを連結する。ロッド部材123及びロッド部材124のそれぞれは、ギヤハウジング4に前後方向にスライド可能に支持される。
【0195】
本実施形態において、ギヤハウジング4の左部にジョイント部材125が固定される。ジョイント部材125は、ねじによりギヤハウジング4の左部に固定される。ジョイント部材125は、ギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔18に挿入されるねじにより、ギヤハウジング4に固定される。ジョイント部材125をギヤハウジング4に固定するためのねじは、リヤハンドル27の左部もギヤハウジング4に固定する。すなわち、ジョイント部材125とリヤハンドル27の左部とは、ギヤハウジング4の左部のねじ孔18に挿入されるねじによりギヤハウジング4に共締めされる。ジョイント部材125の上部に、ガイド孔127を有するガイド部が固定される。ガイド孔127を有するガイド部は、ギヤハウジング4の左部に設けられたねじ孔16に挿入されるねじにより、ギヤハウジング4にも固定される。ロッド部材123は、ガイド孔127に挿入される。ロッド部材123は、ガイド孔127により前後方向にガイドされる。ロッド部材123は、ガイド孔127を有するガイド部を介して、ギヤハウジング4に前後方向に移動可能に支持される。
【0196】
本実施形態において、ギヤハウジング4の右部にジョイント部材126が固定される。ジョイント部材126は、ねじによりギヤハウジング4の右部に固定される。ジョイント部材126は、ギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔18に挿入されるねじにより、ギヤハウジング4に固定される。ジョイント部材126をギヤハウジング4に固定するためのねじは、リヤハンドル27の右部もギヤハウジング4に固定する。すなわち、ジョイント部材126とリヤハンドル27の右部とは、ギヤハウジング4の右部のねじ孔18に挿入されるねじによりギヤハウジング4に共締めされる。ジョイント部材126の上部に、ガイド孔128を有するガイド部が固定される。ガイド孔128を有するガイド部は、ギヤハウジング4の右部に設けられたねじ孔16に挿入されるねじにより、ギヤハウジング4にも固定される。ロッド部材124は、ガイド孔128に挿入される。ロッド部材124は、ガイド孔128により前後方向にガイドされる。ロッド部材124は、ガイド孔128を有するガイド部を介して、ギヤハウジング4に前後方向に移動可能に支持される。
【0197】
本実施形態において、ギヤハウジング4の下方に接地部材121が配置される。接地部材121は、作業現場の地面に接触される。接地部材121の左部は、ねじ129によりジョイント部材125に固定される。接地部材121の右部は、ねじ130によりジョイント部材126に固定される。
【0198】
<使用方法>
次に、本実施形態に係る電動掘削機1Cの使用方法について説明する。
図34及び
図35のそれぞれは、本実施形態に係る電動掘削機1Cの使用方法を説明するための側面図である。
【0199】
電動掘削機1Cは、掘削対象に横穴を形成するために使用される。電動掘削機1Cは、モータハウジング2がギヤハウジング4よりも上方に配置された状態で使用される。すなわち、電動掘削機1Cは、縦置き状態で使用される。
【0200】
電動掘削機1Cは、接地部材121の下面が作業現場の地面に接触するように配置される。接地部材121が地面に接触するように配置されることにより、電動掘削機1Cは、縦置き状態になる。
【0201】
作業者は、モータハウジング2がギヤハウジング4よりも上方に配置されるように、電動掘削機1Cを保持する。
図34及び
図35に示す例において、作業者は、右手で第1ハンドル部3Bを握り、左手でハンドル122を握る。
【0202】
作業者は、第1ハンドル部3Bを握った右手の指でトリガレバー11Aを引き操作する。トリガレバー11Aが引き操作されることにより、回転出力部5は、ドリルビット19が取り付けられた状態で回転する。
【0203】
図35に示すように、作業者は、電動掘削機1Bの前方に存在する掘削対象に、回転するドリルビット19の前端部19Uが押し付けられるように、ハンドル122を左手で前方に移動させる。ハンドル122が作業者により前方に移動されることにより、ロッド部材123及びロッド部材124を介してハンドル122に連結されている支持部材120が、ハンドル122と一緒に前方に移動する。支持部材120が前方に移動することにより、アダプタ500に対してドリルビット19が前方に移動する。
【0204】
回転するドリルビット19が前方に移動して、掘削対象に押し付けられることにより、掘削対象が掘削され、掘削対象に横穴が形成される。ドリルビット19が回転している状態で、作業者により電動掘削機1Bが前方に押し込まれることにより、横穴の形成が進行する。
【0205】
作業者は、掘削対象に形成された横穴から掘削物を排出するために、任意のタイミングで、ドリルビット19が掘削対象から引き抜かれるように、ハンドル122を後方に引っ張る。ハンドル122が作業者により後方に移動されることにより、ロッド部材123及びロッド部材124を介してハンドル122に連結されている支持部材120が、ハンドル122と一緒に後方に移動する。支持部材120が後方に移動することにより、アダプタ500に対してドリルビット19が後方に移動する。
【0206】
ドリルビット19が後方に移動されることにより、ドリルビット19が掘削対象から引き抜かれ、掘削対象に形成された横穴から掘削物が排出される。
【0207】
<効果>
以上説明したように、本実施形態において、電動掘削機1Cは、モータ8と、モータ8を収容するモータハウジング2と、減速機構14と、モータハウジング2よりも下方に配置され、減速機構14を収容するギヤハウジング4と、ギヤハウジング4から前方に突出し、減速機構14を介してモータ8から伝達された回転力に基づいて回転する回転出力部5と、回転出力部5に取り付けられるアダプタ500と、アダプタ500に前後方向に移動可能に支持されるドリルビット19と、ドリルビット19を回転可能に支持し、前後方向に移動可能な支持部材120と、支持部材120に連結されるハンドル122と、を備えてもよい。
【0208】
上記の構成では、作業者は、ハンドル122を前後方向に移動させることにより、ドリルビット19を前後方向に移動させることができる。これにより、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0209】
本実施形態において、ハンドル122は、前後方向に移動可能にギヤハウジング4に支持されてもよい。
【0210】
上記の構成では、ハンドル122は、ギヤハウジング4に支持された状態で、前後方向に円滑に移動することができる。
【0211】
本実施形態において、ドリルアセンブリは、電動掘削機1Aのギヤハウジング4から前方に突出し、前後方向に延びる回転軸を中心に回転する回転出力部5に取り付けられるアダプタ500と、アダプタ500に前後方向に移動可能に支持されるドリルビット19と、ドリルビット19を回転可能に支持し、前後方向に移動可能な支持部材120と、ギヤハウジング4よりも後方に配置され、支持部材120に連結されるハンドル122と、を備えてもよい。
【0212】
上記の構成では、作業者は、ハンドル122を前後方向に移動させることにより、ドリルビット19を前後方向に移動させることができる。これにより、掘削対象に横穴が作業性良く形成される。
【0213】
本実施形態において、ドリルアセンブリは、支持部材120とハンドル122とを連結し、ギヤハウジング4にスライド可能に支持されるロッド部材123及びロッド部材124を備えてもよい。
【0214】
上記の構成では、ロッド部材123及びロッド部材124がギヤハウジング4にスライド可能に支持されることにより、ハンドル122が前後方向に円滑に移動することができる。
【0215】
[その他の実施形態]
上述の第1実施形態において、第1車輪21、第2車輪22、及び第3車輪23のそれぞれは、平坦面である支持面101Aを転がることとした。第1車輪21が転がる第1支持面と、第2車輪22が転がる第2支持面と、第3車輪23が転がる第3支持面とが、別々の支持面でもよい。
【0216】
上述の第1実施形態において、電動掘削機1Aは、ガイド装置100の支持面101Aを前後方向に走行することとした。電動掘削機1Aは、地面を走行してもよい。すなわち、第1車輪21、第2車輪22、及び第3車輪23のそれぞれは、地面を転がってもよい。同様に、上述の第22実施形態に係る電動掘削機1Bが、地面を走行してもよい。
【0217】
上述の第1実施形態において、第1車輪21が回転しなくてもよいし、第2車輪22が回転しなくてもよい。すなわち、電動掘削機1Aは、支持面に接触しながら移動する第1接触部材及び第2接触部材を備えていればよい。上述の第2実施形態に係る第1車輪31及び第2車輪32も同様である。
【0218】
上述の実施形態において、モータ8の回転軸を示すモータ回転軸MXと回転出力部5の回転軸を示す出力回転軸DXとは、直交することとした。モータ8の回転軸を示すモータ回転軸MXと回転出力部5の回転軸を示す出力回転軸DXとは、平行でもよい。例えば、回転出力部5は、ギヤハウジング4から前方に突出しなくてもよい。
【0219】
上述の実施形態において、給電部が、バッテリパック17が装着されるバッテリ装着部7であることとした。給電部は、商用電源に接続されるコードでもよい。
【符号の説明】
【0220】
1A…電動掘削機、1B…電動掘削機、1C…電動掘削機、2…モータハウジング、2E…排気口、3…ハンドルハウジング、3A…アンダー部、3B…第1ハンドル部、3C…第2ハンドル部、3D…バッテリ保持ハウジング部、3F…吸気口、4…ギヤハウジング、4A…カバー、5…回転出力部、5A…アダプタ、5B…固定具、6…本体、7…バッテリ装着部、8…モータ、9…正逆転切換レバー、10…メインスイッチ、11…トリガスイッチ、11A…トリガレバー、11B…スイッチ回路、13…コントローラ、14…減速機構、15…速度切換レバー、16…ねじ孔、17…バッテリパック、18…ねじ孔、19…ドリルビット、19A…掘削シャフト、19B…掘削二重螺旋刃、19C…先端ビット、19D…切削刃、19E…挿入孔、19F…支持孔、19G…フランジ部、19U…前端部、21…第1車輪、22…第2車輪、23…第3車輪、24…第1車軸、25…第2車軸、26…アーム部材、27…リヤハンドル、31…第1車輪、31A…第1上車輪、31B…第1下車輪、32…第2車輪、32A…第2上車輪、32B…第2下車輪、34…第1支持部材、35…第2支持部材、36…第1ねじ、37…第2ねじ、51…スピンドル、52…ドリルチャック、52A…挿入孔、53…ニードルベアリング、54…ボールベアリング、55…べベルギヤ、79…センサ回路基板、80…ロータシャフト、81…ステータ、82…ロータ、83…ベアリング、84…ベアリング、85…遠心ファン、100…ガイド装置、101…ベースプレート、101A…支持面、102…左壁、103…右壁、104…スパイク、110…ガイド装置、111…ベースプレート、112…左壁、113…右壁、114…スパイク、115…第1溝、115A…第1上溝、115B…第1下溝、115C…支持面(第1上支持面)、115D…支持面(第1下支持面)、116…第2溝、116A…第2上溝、116B…第2下溝、116C…支持面(第2上支持面)、116D…支持面(第2下支持面)、120…支持部材、120A…凹部、121…接地部材、122…ハンドル、123…ロッド部材、124…ロッド部材、125…ジョイント部材、126…ジョイント部材、127…ガイド孔、128…ガイド孔、129…ねじ、130…ねじ、140…ピニオンギヤ、141…第1遊星歯車機構、142…第2遊星歯車機構、143…中間シャフト、144…出力シャフト、145…ベアリング、146…べベルギヤ、500…アダプタ、501…長孔、AX1…回転軸、AX2…回転軸、AX3…回転軸、AX5…回転軸、AX6…回転軸、DX…出力回転軸、MX…モータ回転軸。