IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
  • 特開-コネクタ 図5
  • 特開-コネクタ 図6
  • 特開-コネクタ 図7
  • 特開-コネクタ 図8
  • 特開-コネクタ 図9
  • 特開-コネクタ 図10
  • 特開-コネクタ 図11
  • 特開-コネクタ 図12
  • 特開-コネクタ 図13
  • 特開-コネクタ 図14
  • 特開-コネクタ 図15
  • 特開-コネクタ 図16
  • 特開-コネクタ 図17
  • 特開-コネクタ 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153996
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20241023BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067560
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 洸平
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC09
5E021FC38
5E021HC09
5E021JA05
5E021KA06
5E021KA15
(57)【要約】
【課題】ハウジングロックの塑性変形を抑制し、検知部材による半嵌合検知機能を担保する。
【解決手段】本開示のコネクタ10は、相手側コネクタ1に嵌合可能なコネクタ10であって、ハウジングロック30を有するハウジング20と、待機位置と検知位置とに移動可能な検知部材50と、を備え、検知部材50は、ハウジングロック30に装着されハウジングロック30の撓み動作に連動して変位可能とされ、検知部材50とハウジング20の一方には突起27が設けられ、同他方には突起27が嵌まる溝部57が設けられ、検知部材50は、嵌合方向において待機位置を中心として検知位置とは反対側に位置する輸送位置にさらに移動可能とされており、溝部57は、輸送位置において突起27が当接することでハウジングロック30の撓み動作を抑制する幅狭溝部58と、待機位置と検知位置との間において突起27に対して変位可能となることでハウジングロック30の撓み動作を許容する幅広溝部59と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに嵌合可能なコネクタであって、
ハウジングロックを有するハウジングと、
待機位置と検知位置とに移動可能な検知部材と、を備え、
前記ハウジングロックは、嵌合方向に延出しかつ撓み可能に形成されるとともに、嵌合途中では前記相手側コネクタに形成された相手側ロックに乗り上げて撓み変形し、嵌合完了時には前記相手側ロックを乗り越えて復帰変形して前記相手側ロックに係止する撓み動作を行い、
前記検知部材は、前記ハウジングロックに装着され前記ハウジングロックの撓み動作に連動して変位可能とされ、
前記検知部材は、嵌合前状態では前記ハウジングロックに係止することで前記待機位置から前記検知位置への移動を抑制するとともに、嵌合完了時には前記ハウジングロックとの係止が解除されて前記検知位置への移動を許容する係止部を有し、
前記検知部材の外側面と前記ハウジングにおいて前記外側面と対向する内側面との一方には突起が設けられ、同他方には前記突起が嵌まる溝部が設けられ、
前記検知部材は、嵌合方向において前記待機位置を中心として前記検知位置とは反対側に位置する輸送位置にさらに移動可能とされており、
前記溝部は、前記輸送位置において前記突起が当接することで前記ハウジングロックの撓み動作を抑制する幅狭溝部と、前記待機位置と前記検知位置との間において前記突起に対して変位可能となることで前記ハウジングロックの撓み動作を許容する幅広溝部と、を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記検知部材は、前記ハウジングロックの外面に対向する内面を有し、
前記相手側コネクタとの嵌合面側を前側とした場合に、前記ハウジングロックの外面にはロック突部が設けられ、前記検知部材の内面には前側検知突部と後側検知突部とが設けられ、
前記前側検知突部は前記後側検知突部の前側に位置し、
前記前側検知突部の前側の面は前側傾斜面とされ、前記後側検知突部の前側の面は後側傾斜面とされ、前記後側傾斜面の傾斜角度は前記前側傾斜面の傾斜角度よりも急である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記検知部材は、前記ハウジングロックの左右両側に配される一対のガイド壁を有し、前記ガイド壁には嵌合方向にのびるスリットを形成することで左右両側に撓み変形可能な両持ち形状をなす可撓部が設けられ、前記前側検知突部と前記後側検知突部は前記可撓部に設けられている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記幅広溝部は、前記ハウジングロックの撓み動作が正規の撓み方向に行われる間、前記突起に対する変位を許容する傾動許容部と、前記突起が前記傾動許容部を超えて正規の撓み方向に変位しようとした際に前記突起と当接することで前記ハウジングロックの過度撓みを防止する過度撓み防止部と、を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記幅広溝部は、前記過度撓み防止部と、前記ハウジングロックの撓み動作が正規の撓み方向と反対方向へ行われようとした際に前記突起と当接することで前記ハウジングロックの撓み動作を防止するストッパ部と、の間に形成され、
前記幅狭溝部は、前記過度撓み防止部と連続して形成された上壁と、前記ストッパ部と連続して形成された下壁と、の間に形成されている、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
雄雌のコネクタ同士が完全に嵌合したか否かを検知する機能を備えたコネクタとして、特開2015-215985号公報(下記特許文献1)に記載の嵌合検知コネクタが知られている。この嵌合検知コネクタは、互いに嵌合可能な雄コネクタハウジングおよび雌コネクタハウジングを備えている。雌コネクタハウジングの上面にはシーソー状に撓み変形するロックアームが形成されている。ロックアームには待機位置と検知位置との間で移動可能な検知部材が装着されている。検知部材はロックアームに装着されているため、ロックアームが持ち上がると、ロックアームに連動して検知部材も連動して持ち上がるように構成されている。
【0003】
検知部材には係止翼部が張り出し形成されている。一方、雌コネクタハウジングにおいてロックアームの側方には保護壁が形成され、この保護壁には係止翼部の先端部が嵌め入れられる凹溝が形成されている。凹溝の後端部は下方へ拡張されて検知部材の傾動動作を許容する傾動許容部となっており、傾動許容部の上縁にはストッパ部が形成されている。検知部材が待機位置にあるときに、検知部材が持ち上げられると、係止翼部がストッパ部に係止して持ち上げ動作が規制される。これにより、検知部材に連動して持ち上げられるロックアームの過度撓みが規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-215985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検知部材の後端は待機位置にあるときに雌ハウジングの後端よりも後方に突出しているため、コネクタの輸送時に他のコネクタが検知部材の後端を下方に押圧する等して検知部材に荷重がかかり検知部材が持ち上がった状態に保持されることがある。この場合、検知部材に連動してロックアームも持ち上げられた状態に保持されるため、ロックアームの基端部が塑性変形してロックアームが持ち上がったままの状態となり得る。ロックアームが塑性変形して持ち上がったままの状態になると、雌雄のコネクタ同士を嵌合させた際に、ロックアームが雄コネクタハウジングのロック突部を乗り越えた後、水平姿勢に復帰できずロック突部に係止できなくなる。また、本来であれば、ロックアームがロック突部に係止することで検知部材とロックアームの係止が解除されるところ、検知部材がロックアームに係止したままであるため、検知部材を待機位置から検知位置に挿入できなくなる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、相手側コネクタに嵌合可能なコネクタであって、ハウジングロックを有するハウジングと、待機位置と検知位置とに移動可能な検知部材と、を備え、前記ハウジングロックは、嵌合方向に延出しかつ撓み可能に形成されるとともに、嵌合途中では前記相手側コネクタに形成された相手側ロックに乗り上げて撓み変形し、嵌合完了時には前記相手側ロックを乗り越えて復帰変形して前記相手側ロックに係止する撓み動作を行い、前記検知部材は、前記ハウジングロックに装着され前記ハウジングロックの撓み動作に連動して変位可能とされ、前記検知部材は、嵌合前状態では前記ハウジングロックに係止することで前記待機位置から前記検知位置への移動を抑制するとともに、嵌合完了時には前記ハウジングロックとの係止が解除されて前記検知位置への移動を許容する係止部を有し、前記検知部材の外側面と前記ハウジングにおいて前記外側面と対向する内側面との一方には突起が設けられ、同他方には前記突起が嵌まる溝部が設けられ、前記検知部材は、嵌合方向において前記待機位置を中心として前記検知位置とは反対側に位置する輸送位置にさらに移動可能とされており、前記溝部は、前記輸送位置において前記突起が当接することで前記ハウジングロックの撓み動作を抑制する幅狭溝部と、前記待機位置と前記検知位置との間において前記突起に対して変位可能となることで前記ハウジングロックの撓み動作を許容する幅広溝部と、を有する、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハウジングロックの塑性変形を抑制し、検知部材による半嵌合検知機能を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、コネクタを斜め前方から見た斜視図である。
図2図2は、コネクタを斜め後方から見た斜視図である。
図3図3は、相手側コネクタを斜め前方から見た斜視図である。
図4図4は、コネクタの背面図である。
図5図5は、検知部材の正面図である。
図6図6は、検知部材の側面図である。
図7図7は、検知部材を斜め下方から見た斜視図である。
図8図8は、検知部材が輸送位置にあり、ロックアームが相手側ロックに係止した状態を縦方向に切断した断面図である。
図9図9は、検知部材が待機位置にあり、ロックアームが相手側ロックに係止した状態を縦方向に切断した断面図である。
図10図10は、図9の断面位置において検知部材が待機位置にあるコネクタを縦方向に切断した断面図である。
図11図11は、ロックアームが相手側ロックに係止し、検知部材が検知位置にある状態を縦方向に切断した断面図である。
図12図12は、検知部材が輸送位置にあり、ロック突部が前側検知突部に後方から係止した状態を横方向に切断した断面図である。
図13図13は、検知部材が待機位置にあり、ロック突部が後側検知突部に後方から係止した状態を横方向に切断した断面図である。
図14図14は、検知部材が検知位置にあり、ロック突部が後側検知突部の後方に位置した状態を横方向に切断した断面図である。
図15図15は、検知部材が輸送位置にあり、突起が幅狭溝部に嵌まり込んでいる状態を縦方向に切断した断面図である。
図16図16は、検知部材が待機位置にあり、突起が幅広溝部に嵌まり込んでいる状態を縦方向に切断した断面図である。
図17図17は、検知部材が待機位置にあり、突起が過度撓み防止部に当接した状態を縦方向に切断した断面図である。
図18図18は、検知部材が輸送位置にあり、突起が幅広溝部に嵌まり込んでいる状態を縦方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、相手側コネクタに嵌合可能なコネクタであって、ハウジングロックを有するハウジングと、待機位置と検知位置とに移動可能な検知部材と、を備え、前記ハウジングロックは、嵌合方向に延出しかつ撓み可能に形成されるとともに、嵌合途中では前記相手側コネクタに形成された相手側ロックに乗り上げて撓み変形し、嵌合完了時には前記相手側ロックを乗り越えて復帰変形して前記相手側ロックに係止する撓み動作を行い、前記検知部材は、前記ハウジングロックに装着され前記ハウジングロックの撓み動作に連動して変位可能とされ、前記検知部材は、嵌合前状態では前記ハウジングロックに係止することで前記待機位置から前記検知位置への移動を抑制するとともに、嵌合完了時には前記ハウジングロックとの係止が解除されて前記検知位置への移動を許容する係止部を有し、前記検知部材の外側面と前記ハウジングにおいて前記外側面と対向する内側面との一方には突起が設けられ、同他方には前記突起が嵌まる溝部が設けられ、前記検知部材は、嵌合方向において前記待機位置を中心として前記検知位置とは反対側に位置する輸送位置にさらに移動可能とされており、前記溝部は、前記輸送位置において前記突起が当接することで前記ハウジングロックの撓み動作を抑制する幅狭溝部と、前記待機位置と前記検知位置との間において前記突起に対して変位可能となることで前記ハウジングロックの撓み動作を許容する幅広溝部と、を有する、コネクタである。
【0010】
例えば、コネクタをコネクタ工程からハーネス工程に輸送する際には、検知部材を輸送位置にセットしておく。輸送位置では検知部材は、上下方向の荷重を受けた場合に、突起が幅狭溝部の内壁に当接することで上下方向に変位することが抑制される。さらに、検知部材はハウジングロックの撓み動作に連動して変位可能であるから、ハウジングロックの撓み動作を抑制できる。これにより、ハウジングロックの塑性変形を抑制でき、検知部材による半嵌合検知機能を担保できる。
【0011】
待機位置と検知位置との間では、幅広溝部が突起に対して変位可能となることでハウジングロックの撓み動作が許容され、ハウジングロックが相手側ロックを乗り越え可能となっているため、ハウジングロックの撓み動作を伴ったコネクタと相手側コネクタの嵌合、離脱を繰り返し行うことができる。
【0012】
検知部材は、嵌合前状態では係止部がハウジングロックに係止することで待機位置から検知位置への移動が抑制されているものの、嵌合完了時には係止部とハウジングロックとの係止が解除されて待機位置から検知位置への移動が許容される。検知部材が検知位置に至ったことをもってコネクタと相手側コネクタとが完全に嵌合したことを検知できる。
【0013】
コネクタと相手側コネクタとを離脱する際には、まず検知部材を検知位置から待機位置に移動させる。その後、ハウジングロックを撓ませて相手側ロックとの係止を解除させることによりコネクタを相手側コネクタから離脱させることができる。
【0014】
[2]上記[1]において、前記検知部材は、前記ハウジングロックの外面に対向する内面を有し、前記相手側コネクタとの嵌合面側を前側とした場合に、前記ハウジングロックの外面にはロック突部が設けられ、前記検知部材の内面には前側検知突部と後側検知突部とが設けられ、前記前側検知突部は前記後側検知突部の前側に位置し、前記前側検知突部の前側の面は前側傾斜面とされ、前記後側検知突部の前側の面は後側傾斜面とされ、前記後側傾斜面の傾斜角度は前記前側傾斜面の傾斜角度よりも急であることが好ましい。
【0015】
検知部材を輸送位置にセットするには、検知部材の内面とハウジングロックの外面とが対向するように取り付ける。このとき、検知部材の前側検知突部がハウジングロックのロック突部を乗り越えるとともに、ロック突部が前側検知突部と後側検知突部との間に収容されることで検知部材が輸送位置にセットされる。
【0016】
検知部材の初回挿入時は、コネクタと相手側コネクタを嵌合させた後、検知部材を輸送位置から待機位置を経由して検知位置まで移動させる必要がある。ここで、後側傾斜面の傾斜角度を前側傾斜面の傾斜角度よりも急にすることで、後側検知突部とロック突部との係止が解除されて検知部材を押し込むのに必要な挿入力が、通常時の挿入力(係止部とハウジングロックとの係止が解除されて検知部材を押し込むのに必要な挿入力)よりも大きくなるように設定できる。したがって、後側検知突部とロック突部との係止が解除された際に発生する大きな挿入力が慣性力となって検知部材を一気に検知位置まで押し込むことができ、2段フィーリングを無くすことができる。
【0017】
[3]上記[2]において、前記検知部材は、前記ハウジングロックの左右両側に配される一対のガイド壁を有し、前記ガイド壁には嵌合方向にのびるスリットを形成することで左右両側に撓み変形可能な両持ち形状をなす可撓部が設けられ、前記前側検知突部と前記後側検知突部は前記可撓部に設けられていることが好ましい。
前側検知突部と後側検知突部がロック突部を乗り越える際に、可撓部が撓み変形することで各検知突部がロック突部を乗り越えやすくできる。
【0018】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記幅広溝部は、前記ハウジングロックの撓み動作が正規の撓み方向に行われる間、前記突起に対する変位を許容する傾動許容部と、前記突起が前記傾動許容部を超えて正規の撓み方向に変位しようとした際に前記突起と当接することで前記ハウジングロックの過度撓みを防止する過度撓み防止部と、を有することが好ましい。
突起が傾動許容部に位置する間、ハウジングロックの撓み動作を許容しつつも、突起が過度撓み防止部と当接することでハウジンングロックの過度撓みを防止できる。
【0019】
[5]上記[4]において、前記幅広溝部は、前記過度撓み防止部と、前記ハウジングロックの撓み動作が正規の撓み方向と反対方向へ行われようとした際に前記突起と当接することで前記ハウジングロックの撓み動作を防止するストッパ部と、の間に形成され、前記幅狭溝部は、前記過度撓み防止部と連続して形成された上壁と、前記ストッパ部と連続して形成された下壁と、の間に形成されていることが好ましい。
ハウジングロックの撓み動作を許容する幅広溝部とハウジングロックの撓み動作を抑制する幅狭溝部とが一連の溝部として構成されるため、溝部全体の構成を簡素化できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」や「直交」は、厳密に平行や垂直や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直や直交の場合も含まれる。
【0021】
各図面では、互いに垂直な3方向を示し、当該3方向をそれぞれ前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zとして示している。すなわち、前後方向Xと左右方向Yとは互いに垂直であり、左右方向Yと上下方向Zとは互いに垂直であり、上下方向Zと前後方向Xとは互いに垂直である。前後方向Xは各コネクタの嵌合方向を基準とし、各コネクタの嵌合面側を前側とし、左右方向Yと上下方向Zについては嵌合面側から見た場合の上下左右方向を基準とする。
【0022】
また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0023】
また、本明細書における「環」は、外縁形状が円形の円環、外縁形状が楕円形や長円形の環、外縁形状が多角形の多角形環、外縁形状が角丸多角形の環を含み、外縁形状が直線又は曲線で結ばれる任意の閉じた形状からなるものを言う。「環」は、外縁形状と内縁形状とが同じ形状であるものや、外縁形状と内縁形状とが異なる形状であるものを含む。「環」は、中心軸方向に沿って延びる所定の長さを有するものを含み、その長さの大小は問わない。また、本明細書における「環状」は、全体として環と見做せればよく、C字状のように一部に切り欠きやスリット等を有するものを含む。
【0024】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0025】
<実施形態>
(相手側コネクタ1とコネクタ10の構成)
コネクタ10は、相手側コネクタ1に嵌合可能なコネクタである。図3に示すように、相手側コネクタ1は、雄端子(図示せず)を保持する相手側ハウジング2を備える。相手側ハウジング2は前方に開口する筒状をなしている。雄端子は、相手側ハウジング2の奥壁から前方に突出して設けられている。
【0026】
相手側ハウジング2の上面には、相手側ロック3が設けられている。相手側ロック3は、テーパ状の乗上面3Aと、乗上面3Aの後側に連なる係止面3Bと、を備えている。相手側ハウジング2の材料としては、樹脂材料を挙げることができる。
【0027】
コネクタ10は、図1および図2に示すように、ハウジングロック30を有するハウジング20と、ハウジングロック30に装着された検知部材50と、を備えている。ハウジング20および検知部材50の材料として、樹脂材料を挙げることができる。
【0028】
(ハウジング20の構成)
ハウジング20は、図2に示すように、雄端子と接続される雌端子(図示せず)が内部に収容、保持されるハウジング本体部21と、ハウジング本体部21の周囲に形成された筒状のフード部22と、を備えている。フード部22は、図1に示すように、左右方向に長い長円形の外形を有し、前方に開口している。
【0029】
ハウジング本体部21の前側にはフロントホルダ23が装着されている。フロントホルダ23は後方に開口し、ハウジング本体部21に前方から外嵌されている。ハウジング本体部21の外周面であってフロントホルダ23の後側にはシールリング24が嵌着されている。シールリング24は、フロントホルダ23の後端部によって前方への移動が抑制されている。
【0030】
フード部22の上側部分は上方へ膨出することでロック保護壁25となっている。ロック保護壁25の内部には、ハウジングロック30の前端部が収容されている。ハウジングロック30は嵌合方向に延出し、図8に示すように、ハウジング本体部21の上面に接続された基端部31と、基端部31から前後方向両側にのびるアーム部32と、アーム部32の前端部に形成されたロック係止部33と、を備えている。ロック係止部33は、嵌合途中に相手側ロック3の乗上面3Aに乗り上げ可能であり、嵌合完了時に相手側ロック3の係止面3Bに係止可能である。
【0031】
図1に示すように、アーム部32は一対設けられている。ロック係止部33は、一対のアーム部32の前端部同士を連結している。
【0032】
図2および図4に示すように、ロック保護壁25の後方には一対の外側ガイド壁26が設けられている。一対の外側ガイド壁26は左右方向に対向して配されている。図4に示すように、一対の外側ガイド壁26の間隔は、検知部材50の左右方向の寸法よりやや大きめとされている。
【0033】
(検知部材50の構成)
検知部材50は、ハウジングロック30に装着された状態で、図10に示す待機位置と図11に示す検知位置とに移動可能とされている。検知部材50は、相手側コネクタ1とコネクタ10の嵌合が完了したことを検知する部材であって、コネクタ10が嵌合前状態から嵌合完了状態に至った後、待機位置から検知位置に押し込まれることが許容される(図11参照)。
【0034】
検知部材50は、図5から図7に示すように、後端側に設けられた平板状の押込操作部51と、押込操作部51の左右方向中央部から前方にのびる検知アーム52と、押込操作部51の左右方向両端部から前方にのびる一対の内側ガイド壁53と、を備えている。検知アーム52の前端部には、下方に突出する係止部54が設けられている。
【0035】
図7に示すように、一対の内側ガイド壁53は、左右方向に対向して配されている。図12から図14に示すように、内側ガイド壁53の内側面53Dとアーム部32の外側面32Aとは左右方向に対向して配されている。内側ガイド壁53の内側面53Dには、前側検知突部55と後側検知突部56とが内方に突出して設けられている。前側検知突部55は後側検知突部56の前側に配されている。前側検知突部55の前側の面は前側傾斜面55Aとされ、前側検知突部55の後側の面は前側係止面55Bとされている。後側検知突部56の前側の面は後側傾斜面56Aとされ、後側検知突部56の後側の面は後側係止面56Bとされている。
【0036】
後側傾斜面56Aの内側面53Dに対する傾斜角度は前側傾斜面55Aの内側面53Dに対する傾斜角度よりも急である。前側係止面55Bおよび後側係止面56Bの内側面53Dに対する傾斜角度は、後側傾斜面56Aの内側面53Dに対する傾斜角度よりも急である。
【0037】
内側ガイド壁53のうち前側検知突部55と後側検知突部56とが形成された部分は可撓部53Aとされている。可撓部53Aは内側ガイド壁53よりも板厚が小さく、可撓部53Aの下面は下方に露出している。可撓部53Aの上面は、可撓部53Aの上側に設けられたスリット53Bの一部を構成している。可撓部53Aは、その前後両端部が内側ガイド壁53に連結された両持ち形状とされている。これにより、可撓部53Aは左右方向に撓み変形可能とされている。
【0038】
図5および図6に示すように、内側ガイド壁53におけるスリット53Bよりも上側の部分であって、内側ガイド壁53の外側面53Cには溝部57が形成されている。溝部57は、前後方向にのびるとともに、内側面53D側に凹んだ形状とされている。図6に示すように、溝部57は、上下方向の幅寸法が狭い幅狭溝部58と、幅狭溝部58よりも上下方向の幅寸法が広い幅広溝部59と、を有している。幅広溝部59は幅狭溝部58の後側に配されている。
【0039】
幅広溝部59の下端部はストッパ部60とされ、幅広溝部59の上端部は過度撓み防止部61とされている。幅広溝部59においてストッパ部60と過度撓み防止部61との間は傾動許容部62とされている。ストッパ部60と過度撓み防止部61は平行に配されている。幅広溝部59は、過度撓み防止部61とストッパ部60との間に形成されている。
【0040】
幅狭溝部58は、上壁58Aと下壁58Bとの間に形成されている。幅狭溝部58の上壁58Aと下壁58Bは平行に配されている。幅狭溝部58の上壁58Aと下壁58Bとの間の上下寸法は、後述する突起27の上下寸法とほぼ同じか、これよりやや大きめとされている。幅狭溝部58の上壁58Aは、過度撓み防止部61と段差63を介して連続して形成されている。幅狭溝部58の下壁58Bは、ストッパ部60と一直線状に連続して形成されている。
【0041】
(検知部材50とハウジングロック30の組み付け構造)
検知部材50は、ハウジングロック30を抱え込むように装着されており、ハウジングロック30の撓み動作に連動して撓み変位可能とされている。図4に示すように、検知部材50は、一対の外側ガイド壁26の間に適合して収容されている。内側ガイド壁53の外側面53Cと外側ガイド壁26の内側面26Aとは左右方向に対向して配されている。各外側ガイド壁26の内側面26Aには、各溝部57にそれぞれ嵌まり込む一対の突起27が形成されている。
【0042】
検知部材50は、ハウジングロック30に装着されると、図8に示す輸送位置に取り付けられる。輸送位置は、図9に示す待機位置よりも後方に位置している。輸送位置にある検知部材50は、コネクタ10と相手側コネクタ1の嵌合完了後に、待機位置を経由して検知位置まで一気に挿入されるようになっている。検知部材50は、初回挿入時には輸送位置から検知位置に向けて前方に移動可能とされている。検知部材50は、検知位置から待機位置に向けて後方に移動可能とされ、輸送位置には移動できないようになっている。検知部材50は、二回目挿入時以降は待機位置と検知位置との間を前後方向に移動可能とされている。
【0043】
図12に示す輸送位置では、前側検知突部55の前側係止面55Bとアーム部32の外側面に突出して設けられたロック突部34とが係止することで、検知部材50が後方に抜け止めされている。検知部材50を輸送位置に取り付ける際には、前側検知突部55の前側傾斜面55Aがロック突部34を乗り越えるようになっている。また、図13に示す待機位置では、後側検知突部56の後側係止面56Bがロック突部34と係止することで、検知部材50が後方に抜け止めされている。
【0044】
検知部材50を図12に示す輸送位置から図14に示す検知位置に押し込む際には、後側検知突部56の後側傾斜面56Aがロック突部34を乗り越える必要がある。ここで、後側傾斜面56Aは前側傾斜面55Aよりも傾斜角度が厳しいため、検知部材50を輸送位置から押し込むのに必要な挿入力は、検知部材50を輸送位置に取り付けるのに必要な挿入力よりも大きい。さらに、後側検知突部56の後側傾斜面56Aとロック突部34との係止が解除されて検知部材50を押し込むのに必要な挿入力は、係止部54とハウジングロック30のロック係止部33との係止が解除されて検知部材50を押し込むのに必要な挿入力よりも大きい。したがって、検知部材50の初回挿入時は、後側傾斜面56Aがロック突部34を乗り越えると、その際に発生した大きな挿入力が慣性力となって検知部材50が輸送位置から検知位置まで一気に押し込まれる。検知部材50は待機位置で一旦停止することなく、そのまま押し込まれるから、2段フィーリングを無くすことができる。
【0045】
(係止部54とロック係止部33の係止構造)
図10に示す待機位置では、検知部材50は、係止部54がロック係止部33に係止することで、検知位置に移動することが抑制されている。次に、コネクタ10と相手側コネクタ1を嵌合させて嵌合完了状態に至ると、図9に示すように、相手側ロック3がロック係止部33の後方に位置するとともに、相手側ロック3がロック係止部33に係止することになる。これに伴って、検知アーム52が撓み変形するとともに検知アーム52の係止部54が相手側ロック3に乗り上げた状態となることで、係止部54と相手側ロック3との係止が解除される。これにより、検知部材50を待機位置から検知位置に押し込み可能となる。検知部材50が図11に示す検知位置に至ると、係止部54がロック係止部33を乗り越えて、検知アーム52がロック係止部33を上方から覆うことで、ロック係止部33と相手側ロック3とが二重に係止される。
【0046】
(ハウジングロック30の傾動抑制構造)
ハウジングロック30は、検知部材50に連動しているため、検知部材50の変位を抑制すれば、ハウジングロック30の傾動を抑制できることになる。図15に示す輸送位置においては、突起27が幅狭溝部58に収容されているから、検知部材50の変位が抑制されている。これにより、ハウジングロック30の傾動も抑制されている。検知部材50の後端部に対して上下方向に荷重がかかった際に、検知部材50の変位が抑制されることでハウジングロック30の傾動が抑制され、ハウジングロック30の基端部31の塑性変形を抑制できる。
【0047】
図16に示す待機位置では、突起27が幅広溝部59に収容されている。検知部材50の後端部に対して下方から荷重がかかると、ハウジングロック30の撓み動作が正規の撓み方向と反対方向へ行われようとする。このとき、ストッパ部60が突起27に下方から当接することでハウジングロック30の不正な撓み動作が防止される。
【0048】
一方、検知部材50の後端部に対して上方から荷重がかかると、ハウジングロック30の撓み動作が正規の撓み方向に行われる。この間、突起27が傾動許容部62に位置しているから、突起27に対する検知部材50の変位が許容される。すなわち、突起27と過度撓み防止部61との間に所定の隙間が形成されているため、この隙間の分だけハウジングロック30の撓み動作が許容される。
【0049】
図17に示すように、突起27が傾動許容部62を超えて正規の撓み方向に変位しようとした際に、突起27が過度撓み防止部61に当接することで、検知部材50の後端部がさらに変位することは抑制され、ハウジングロック30の過度撓みが防止される。
【0050】
図18に示す検知位置では、待機位置と同様に、突起27が幅広溝部59に収容されている。このため、待機位置と同様に、検知部材50の後端部が上方に変位することは抑制される一方、下方に変位することは許容されつつも、ハウジングロック30の過度撓みは防止される。
【0051】
(実施形態の作用効果)
(1)本開示のコネクタ10は、相手側コネクタ1に嵌合可能なコネクタ10であって、ハウジングロック30を有するハウジング20と、待機位置と検知位置とに移動可能な検知部材50と、を備え、ハウジングロック30は、嵌合方向に延出しかつ撓み可能に形成されるとともに、嵌合途中では相手側コネクタ1に形成された相手側ロック3に乗り上げて撓み変形し、嵌合完了時には相手側ロック3を乗り越えて復帰変形して相手側ロック3に係止する撓み動作を行い、検知部材50は、ハウジングロック30に装着されハウジングロック30の撓み動作に連動して変位可能とされ、検知部材50は、嵌合前状態ではハウジングロック30に係止することで待機位置から検知位置への移動を抑制するとともに、嵌合完了時にはハウジングロック30との係止が解除されて検知位置への移動を許容する係止部54を有し、検知部材50の内側ガイド壁53の外側面53Cとハウジング20の外側ガイド壁26において外側面53Cと対向する内側面26Aとの一方には突起27が設けられ、同他方には突起27が嵌まる溝部57が設けられ、検知部材50は、嵌合方向において待機位置を中心として検知位置とは反対側に位置する輸送位置にさらに移動可能とされており、溝部57は、輸送位置において突起27が当接することでハウジングロック30の撓み動作を抑制する幅狭溝部58と、待機位置と検知位置との間において突起27に対して変位可能となることでハウジングロック30の撓み動作を許容する幅広溝部59と、を有する、コネクタ10である。
【0052】
例えば、コネクタ10をコネクタ工程からハーネス工程に輸送する際には、検知部材50を輸送位置にセットしておく。輸送位置では検知部材50は、上下方向の荷重を受けた場合に、突起27が幅狭溝部58の上壁58Aもしくは下壁58Bに当接することで上下方向に変位することが抑制される。さらに、検知部材50はハウジングロック30の撓み動作に連動して変位可能であるから、ハウジングロック30の撓み動作を抑制できる。これにより、ハウジングロック30の塑性変形を抑制でき、検知部材50による半嵌合検知機能を担保できる。
【0053】
待機位置と検知位置との間では、幅広溝部59が突起27に対して変位可能となることでハウジングロック30の撓み動作が許容され、ハウジングロック30が相手側ロック3を乗り越え可能となっているため、ハウジングロック30の撓み動作を伴ったコネクタ10と相手側コネクタ1の嵌合、離脱を繰り返し行うことができる。
【0054】
検知部材50は、嵌合前状態では係止部54がハウジングロック30に係止することで待機位置から検知位置への移動が抑制されているものの、嵌合完了時には係止部54とハウジングロック30との係止が解除されて待機位置から検知位置への移動が許容される。検知部材50が検知位置に至ったことをもってコネクタ10と相手側コネクタ1とが完全に嵌合したことを検知できる。
【0055】
コネクタ10と相手側コネクタ1とを離脱する際には、まず検知部材50を検知位置から待機位置に移動させる。その後、ハウジングロック30を撓ませて相手側ロック3との係止を解除させることによりコネクタ10を相手側コネクタ1から離脱させることができる。
【0056】
(2)検知部材50の内側ガイド壁53は、ハウジングロック30のアーム部32の外側面32Aに対向する内側面53Dを有し、相手側コネクタ1との嵌合面側を前側とした場合に、ハウジングロック30のアーム部32の外側面32Aにはロック突部34が設けられ、検知部材50の内側ガイド壁53の内側面53Cには前側検知突部55と後側検知突部56とが設けられ、前側検知突部55は後側検知突部56の前側に位置し、前側検知突部55の前側の面は前側傾斜面55Aとされ、後側検知突部56の前側の面は後側傾斜面56Aとされ、後側傾斜面56Aの傾斜角度は前側傾斜面55Aの傾斜角度よりも急であることが好ましい。
【0057】
検知部材50を輸送位置にセットするには、検知部材50の内側面53Cとハウジングロック30の外側面32Aとが対向するように取り付ける。このとき、検知部材50の前側検知突部55がハウジングロック30のロック突部34を乗り越えるとともに、ロック突部34が前側検知突部55と後側検知突部56との間に収容されることで検知部材50が輸送位置にセットされる。
【0058】
検知部材50の初回挿入時は、コネクタ10と相手側コネクタ1を嵌合させた後、検知部材50を輸送位置から待機位置を経由して検知位置まで移動させる必要がある。ここで、後側傾斜面56Aの傾斜角度を前側傾斜面55Aの傾斜角度よりも急にすることで、後側検知突部56とロック突部34との係止が解除されて検知部材50を押し込むのに必要な挿入力が、通常時の挿入力(係止部54とハウジングロック30との係止が解除されて検知部材50を押し込むのに必要な挿入力)よりも大きくなるように設定できる。したがって、後側検知突部56とロック突部34との係止が解除された際に発生する大きな挿入力が慣性力となって検知部材50を一気に検知位置まで押し込むことができ、2段フィーリングを無くすことができる。
【0059】
(3)検知部材50は、ハウジングロック30の左右両側に配される一対の内側ガイド壁53を有し、内側ガイド壁53には嵌合方向にのびるスリット53Bを形成することで左右両側に撓み変形可能な両持ち形状をなす可撓部53Aが設けられ、前側検知突部55と後側検知突部56は可撓部53Aに設けられていることが好ましい。
前側検知突部55と後側検知突部56がロック突部34を乗り越える際に、可撓部53Aが撓み変形することで各検知突部50がロック突部34を乗り越えやすくできる。
【0060】
(4)幅広溝部59は、ハウジングロック30の撓み動作が正規の撓み方向に行われる間、突起27に対する変位を許容する傾動許容部62と、突起27が傾動許容部62を超えて正規の撓み方向に変位しようとした際に突起27と当接することでハウジングロック30の過度撓みを防止する過度撓み防止部61と、を有することが好ましい。
突起27が傾動許容部62に位置する間、ハウジングロック30の撓み動作を許容しつつも、突起27が過度撓み防止部61と当接することでハウジングロック30の過度撓みを防止できる。
【0061】
(5)幅広溝部59は、過度撓み防止部61と、ハウジングロック30の撓み動作が正規の撓み方向と反対方向へ行われようとした際に突起27と当接することでハウジングロック30の撓み動作を防止するストッパ部60と、の間に形成され、幅狭溝部58は、過度撓み防止部61と段差63を介して連続して形成された上壁58Aと、ストッパ部60と連続して形成された下壁58Bと、の間に形成されていることが好ましい。
ハウジングロック30の撓み動作を許容する幅広溝部59とハウジングロック30の撓み動作を抑制する幅狭溝部58とが一連の溝部57として構成されるため、溝部57全体の構成を簡素化できる。
【0062】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・上記実施形態では、突起27がハウジング20に形成され、溝部57が検知部材50に形成されているものを例示したが、突起が検知部材に形成され、溝部がハウジングに形成されているものでもよい。
【0064】
・上記実施形態では、ロック突部34がアーム部32の外側面32Aに形成され、検知突部55,56が内側ガイド壁53の内側面53Dに形成されているものを例示したが、ロック突部がアーム部の上面に形成され、アーム部の上面に対向する面に検知突部が形成されているものでもよい。
【0065】
・上記実施形態では、両持ち形状をなす可撓部53Aを例示したが、片持ち形状をなす可撓部でもよい。
【0066】
・上記実施形態では、溝部57に過度撓み防止部61とストッパ部60を形成しているが、溝部とは別の箇所に過度撓み防止部とストッパ部を形成してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、過度撓み防止部61と幅狭溝部58の上壁58Aとが段差63を介して接続され、段差63が急角度に形成されているものを例示したが、段差が緩やかな角度で形成されているものでもよい。
【符号の説明】
【0068】
1:相手側コネクタ
2:相手側ハウジング
3:相手側ロック
3A:乗上面
3B:係止面
10:コネクタ
20:ハウジング
21:ハウジング本体部
22:フード部
23:フロントホルダ
24:シールリング
25:ロック保護壁
26:外側ガイド壁
26A:内側面
27:突起
30:ハウジングロック
31:基端部
32:アーム部
32A:外側面
33:ロック係止部
34:ロック突部
50:検知部材
51:押込操作部
52:検知アーム
53:内側ガイド壁(ガイド壁)
53A:可撓部
53B:スリット
53C:外側面
53D:内側面
54:係止部
55:前側検知突部
55A:前側傾斜面
55B:前側係止面
56:後側検知突部
56A:後側傾斜面
56B:後側係止面
57:溝部
58:幅狭溝部
58A:上壁
58B:下壁
59:幅広溝部
60:ストッパ部
61:過度撓み防止部
62:傾動許容部
63:段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18