(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154003
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】増幅回路、画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20241023BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20241023BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
H04N1/191
G03B27/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067570
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 政義
【テーマコード(参考)】
5C051
5C072
【Fターム(参考)】
5C051AA01
5C051BA03
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB08
5C051DB15
5C051DB22
5C051DB24
5C051DB29
5C051DB33
5C051DC03
5C051DE13
5C051DE15
5C051DE17
5C051FA01
5C072AA01
5C072BA20
5C072CA05
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072FB15
5C072LA02
5C072LA07
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072UA05
5C072UA06
5C072UA09
5C072UA13
5C072UA17
5C072UA18
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】電源の出力電圧の変動による出力信号への影響を抑制可能な増幅回路、及び画像読取装置を提供すること。
【解決手段】増幅回路36は、入力信号S10を増幅する第1増幅部41と、第1増幅部41から出力される第1信号S11の極性を反転させる第1反転部42と、第1信号S11及び第1反転部42から出力される第1反転信号S12のいずれかを選択的に出力する第1出力切替部43と、第1出力切替部43から出力される中間信号S20を増幅する第2増幅部44と、第2増幅部44から出力される第2信号S21の極性を反転させる第2反転部45と、第2信号S21及び第2反転部45から出力される第2反転信号S22のいずれかを選択的に出力する第2出力切替部46と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅する第1増幅部と、
前記第1増幅部から出力される第1信号の極性を反転させる第1反転部と、
前記第1信号及び前記第1反転部から出力される第1反転信号のいずれかを選択的に出力する第1出力切替部と、
前記第1出力切替部から出力される中間信号を増幅する第2増幅部と、
前記第2増幅部から出力される第2信号の極性を反転させる第2反転部と、
前記第2信号及び前記第2反転部から出力される第2反転信号のいずれかを選択的に出力する第2出力切替部と、
を備える増幅回路。
【請求項2】
前記第1増幅部は、増幅率を可変可能であって、
前記第2増幅部は、増幅率を可変可能である、
請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の増幅回路と、
原稿から反射される光の光量に応じた画像信号を出力する光電変換部と、
を備え、
前記入力信号は、前記光電変換部から出力される前記画像信号である、
画像読取装置。
【請求項4】
予め定められたクロック信号をスペクトラム拡散により変調する信号変調部を備え、
前記光電変換部は、前記信号変調部から出力される変調クロック信号に基づいて駆動される、
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1出力切替部から出力される前記中間信号、及び前記第2出力切替部から出力される出力信号を設定する第1設定処理部を備える、
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項2に記載の増幅回路と、
前記第1増幅部の増幅率、及び前記第2増幅部の増幅率を設定する第2設定処理部と、
原稿から反射される光の光量に応じた画像信号を出力する光電変換部と、
を備え、
前記入力信号は、前記光電変換部から出力される前記画像信号である、
画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路、及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナーのような画像読取装置は、CCDのような光電変換部から出力されるアナログの画像信号を増幅する増幅回路を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記増幅回路では、前記増幅回路に電力を供給する電源の出力電圧の変動により、前記増幅回路から出力される出力信号の信号レベルが変動することがある。例えば、負荷の増加などによって前記電源の出力電圧が低下した場合に、前記増幅回路から出力される出力信号の信号レベルが増加、又は減少することがある。
【0005】
本発明の目的は、電源の出力電圧の変動による出力信号への影響を抑制可能な増幅回路、及び画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る増幅回路は、第1増幅部と、第1反転部と、第1出力切替部と、第2増幅部と、第2反転部と、第2出力切替部とを備える。前記第1増幅部は、入力信号を増幅する。前記第1反転部は、前記第1増幅部から出力される第1信号の極性を反転させる。前記第1出力切替部は、前記第1信号及び前記第1反転部から出力される第1反転信号のいずれかを選択的に出力する。前記第2増幅部は、前記第1出力切替部から出力される中間信号を増幅する。前記第2反転部は、前記第2増幅部から出力される第2信号の極性を反転させる。前記第2出力切替部は、前記第2信号及び前記第2反転部から出力される第2反転信号のいずれかを選択的に出力する。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像読取装置は、前記増幅回路と、光電変換部とを備える。前記光電変換部は、原稿から反射される光の光量に応じた画像信号を出力する。また、前記画像読取装置において、前記入力信号は、前記光電変換部から出力される前記画像信号である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源の出力電圧の変動による出力信号への影響を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のADF及び画像読取部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の読取制御部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の増幅回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1~
図3を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、
図1は、画像形成装置100の構成を示す断面図である。また、
図2は、ADF1、及び画像読取部2の構成の一部を示す断面図である。
【0012】
画像形成装置100は、原稿の画像を読み取るスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能とともに、ファクス機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。なお、画像形成装置100は、ファクス装置、及びコピー機などであってもよい。
【0013】
図1、及び
図3に示されるように、画像形成装置100は、ADF(Auto Document Feeder)1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、及び操作表示部6を備える。画像読取部2、及び制御部5を備える装置が、本発明の画像読取装置の一例である。
【0014】
ADF1は、画像読取部2によって画像が読み取られる原稿を搬送する。具体的に、ADF1は、
図1、及び
図2に示されるように、原稿載置部11、原稿搬送路12、複数の搬送ローラー13、原稿ガイド14、及び排紙部15を備える。また、ADF1は、後述する原稿台21を覆う閉姿勢と、原稿台21を露出させる開姿勢との間で姿勢変化可能に設けられており、原稿台21の第1コンタクトガラス211に載置される原稿に対する原稿カバーを兼ねている。
【0015】
ADF1では、搬送ローラー13各々が不図示の駆動モーターから供給される回転駆動力を受けて回転する。これにより、原稿載置部11に載置された原稿が、ADF1の内部に形成された原稿搬送路12に沿って搬送される。原稿搬送路12に沿って搬送される原稿は、原稿ガイド14によって原稿台21の第2コンタクトガラス212上の読取位置P1(
図2参照)に案内された後、排紙部15に排出される。
【0016】
画像読取部2は、前記スキャン機能を実現する。
【0017】
画像形成部3は、前記プリント機能を実現する。例えば、画像形成部3は、電子写真方式で画像を形成する。例えば、画像形成部3は、感光体ドラム、帯電ローラー、光走査装置、現像装置、転写ローラー、クリーニング装置、定着装置、及び排紙トレイを備える。例えば、画像形成部3は、画像読取部2によって出力される画像データに基づいて画像を形成する。
【0018】
給紙部4は、画像形成部3にシートを供給する。例えば、給紙部4は、給紙カセット、シート搬送路、及び複数の搬送ローラーを備える。
【0019】
制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御する。
図3に示されるように、制御部5は、CPU51、ROM52、RAM53、及びEEPROM(登録商標)54を備える。CPU51は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM52は、CPU51に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM53は、CPU51が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。EEPROM54は、画像形成装置100の各部の制御に用いられる各種の制御情報などが格納される不揮発性の記憶装置である。
【0020】
CPU51は、ROM52に格納された各種の前記制御プログラムを実行する。これにより、制御部5による、画像形成装置100の統括的な制御が実現される。
【0021】
なお、制御部5は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものでもよい。また、制御部5は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部でもよい。
【0022】
操作表示部6は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。例えば、操作表示部6は、制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を備える。
【0023】
[画像読取部2の構成]
次に、
図1~
図4を参照しつつ、画像読取部2の構成について説明する。ここで、
図4は、読取制御部27の構成の一部を示すブロック図である。なお、
図4では、読取制御部27、及びAFE32が破線で示されている。また、
図4では、SSCG31から出力される変調クロック信号が矢印付きの一点鎖線で示されている。また、
図4では、CCD26から画像メモリー34までの画像信号の伝達経路が矢印付きの実線で示されている。
【0024】
画像読取部2は、
図1、及び
図4に示されるように、原稿台21、読取ユニット22、ミラー23、ミラー24、光学レンズ25、CCD(Charge Coupled Device)26、及び読取制御部27を備える。
【0025】
原稿台21は、画像形成装置100の筐体上部に設けられる。原稿台21は、
図1、及び
図2に示されるように、第1コンタクトガラス211、第2コンタクトガラス212、及び白基準板213を備える。第1コンタクトガラス211には、原稿が載置される。第2コンタクトガラス212は、原稿台21に対して前記閉姿勢のADF1の原稿ガイド14と対向する位置に設けられる。白基準板213は、
図2に示されるように、第1コンタクトガラス211における第2コンタクトガラス212と隣接する側の端部の上面に設けられる。白基準板213は、
図1における紙面に垂直な主走査方向に長尺な平板状の部材である。白基準板213は、第1コンタクトガラス211との対向面に予め定められた着色領域を有する。例えば、前記着色領域は、白色のような予め定められた基準色で着色された領域であって、白基準板213における第1コンタクトガラス211との対向面の全域に形成される。
【0026】
画像読取部2は、2つの読取方法のいずれかで、原稿から画像を読み取ることが可能である。具体的に、画像読取部2は、第1コンタクトガラス211上に載置された原稿から画像を読み取ることが可能である。また、画像読取部2は、ADF1によって搬送される原稿から画像を読み取ることが可能である。
【0027】
読取ユニット22は、第1コンタクトガラス211の下側に設けられる。読取ユニット22は、不図示の移動機構によって、
図1に示される副走査方向D1へ移動可能に構成されている。読取ユニット22は、
図1に示されるように、光源221、及びミラー222を備える。光源221は、副走査方向D1に直交する前記主走査方向に沿って配列された複数の白色LEDを備える。光源221は、原稿台21へ向けて前記主走査方向の1ライン分の白色光を射出する。光源221から射出される光は、第1コンタクトガラス211、又は第2コンタクトガラス212を透過して、読取対象で反射される。前記読取対象には、第1コンタクトガラス211に載置された原稿、ADF1によって搬送される原稿、及び白基準板213が含まれる。ミラー222は、光源221から射出されて前記読取対象で反射された光をミラー23へ反射させる。
【0028】
画像読取部2では、第1コンタクトガラス211に載置された原稿から画像が読み取られる場合、読取ユニット22が第1コンタクトガラス211の下方の位置に移動される。これにより、光源221から射出される光が、第1コンタクトガラス211を透過して、第1コンタクトガラス211に載置された原稿で反射される。また、読取ユニット22は、副走査方向D1へ移動される。これにより、光源221によって原稿に照射される光が副走査方向D1へ走査される。
【0029】
また、画像読取部2では、ADF1によって搬送される原稿から画像が読み取られる場合、読取ユニット22が第2コンタクトガラス212の下方の位置に移動される。具体的に、読取ユニット22は、光源221から射出される光が読取位置P1(
図2参照)を通過する位置に移動される。これにより、光源221から射出される光が、第2コンタクトガラス212を透過して、ADF1によって読取位置P1を通過して搬送される原稿で反射される。
【0030】
また、画像読取部2では、白基準板213から画像が読み取られる場合、読取ユニット22が白基準板213の下方の位置に移動される。これにより、光源221から射出される光が、第1コンタクトガラス211を透過して、第1コンタクトガラス211上に設けられた白基準板213の前記着色領域で反射される。
【0031】
ミラー23は、読取ユニット22のミラー222で反射された光をミラー24へ反射させる。ミラー24は、ミラー23で反射された光を光学レンズ25へ反射させる。光学レンズ25は、ミラー24で反射された光を集光してCCD26へ入射させる。
【0032】
CCD26は、前記主走査方向に沿って配列された複数の光電変換素子を有するイメージセンサーである。CCD26は、前記読取対象から反射される光の光量に応じたアナログの画像信号を出力する。画像読取部2では、光源221から射出されて前記読取対象で反射された光が、ミラー222、ミラー23、ミラー24、及び光学レンズ25を経由して、CCD26に入射される。これにより、CCD26から、前記読取対象の画像に対応するアナログの前記画像信号が出力される。CCD26から出力されるアナログの前記画像信号は、読取制御部27に入力される。CCD26は、本発明の光電変換部の一例である。なお、本発明の光電変換部は、CIS(Contact Image Sensor)であってもよい。
【0033】
図4に示されるように、読取制御部27は、SSCG(スペクトラム拡散クロックジェネレータ)31、AFE(アナログフロントエンド)32、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)33、及び画像メモリー34を備える。
【0034】
SSCG31は、不図示の発振器から出力される予め定められたクロック信号をスペクトラム拡散により変調する。SSCG31は、前記クロック信号がスペクトラム拡散によって変調された変調クロック信号を出力する。SSCG31から出力される前記変調クロック信号は、CCD26、AFE32、及びDSP33に入力される。SSCG31が設けられることにより、画像読取部2において発生する電磁波輻射(EMI)のピークレベルが低減される。SSCG31は、本発明の信号変調部の一例である。
【0035】
CCD26は、SSCG31から出力される前記変調クロック信号に基づいて駆動される。具体的に、CCD26は、SSCG31から出力される前記変調クロック信号に基づく周期で、1ライン分の読取画像に対応するアナログの前記画像信号を出力する。
【0036】
AFE32は、CCD26から出力されるアナログの前記画像信号を処理する回路である。AFE32は、SSCG31から出力される前記変調クロック信号に基づく周期で、CCD26から出力されるアナログの前記画像信号を処理する。
【0037】
図4に示されるように、AFE32は、S/H35、増幅回路36、及びADC37を備える。
【0038】
S/H35は、前記変調クロック信号に基づくサンプリング周期でアナログの前記画像信号の信号レベルをサンプリングし、サンプリングされた信号レベルのサンプリング信号を出力する。
【0039】
増幅回路36は、S/H35から出力される前記サンプリング信号を増幅する。
【0040】
ADC37は、増幅回路36から出力される増幅後の前記サンプリング信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するADコンバーターである。
【0041】
AFE32は、ADC37によってデジタル信号に変換された前記サンプリング信号を画像データとして出力する。
【0042】
DSP33は、AFE32から出力される画像データに対して各種の画像処理を実行する信号処理プロセッサーである。例えば、DSP33は、AFE32から出力されるRGBデータをYUVデータに変換する信号変換処理を実行する。DSP33は、SSCG31から出力される前記変調クロック信号に基づく周期で、画像処理後の画像データを出力する。
【0043】
画像メモリー34は、DSP33から出力される画像データが格納される不揮発性の記憶装置である。画像メモリー34に格納された画像データは、シートに画像を形成する画像形成処理などに用いられる。
【0044】
ところで、増幅回路36では、増幅回路36に電力を供給する電源の出力電圧の変動により、増幅回路36から出力される出力信号S30(
図5参照)の信号レベルが変動することがある。例えば、負荷の増加によって前記電源の出力電圧が低下した場合に、増幅回路36から出力される出力信号S30の信号レベルが増加、又は減少することがある。
【0045】
これに対し、本発明の実施形態に係る増幅回路36では、以下に説明するように、前記電源の出力電圧の変動による出力信号S30への影響を抑制可能である。
【0046】
[増幅回路36の構成]
次に、
図5を参照しつつ、増幅回路36の構成について説明する。ここで、
図5は、増幅回路36の構成を示すブロック図である。なお、
図5では、増幅回路36、第1出力切替部43、及び第2出力切替部46が破線で示されている。
【0047】
図5に示されるように、増幅回路36は、第1増幅部41、第1反転部42、第1出力切替部43、第2増幅部44、第2反転部45、及び第2出力切替部46を備える。
【0048】
第1増幅部41は、入力信号S10(
図5参照)を増幅する。
【0049】
入力信号S10は、CCD26から出力され、S/H35によって処理されたアナログの前記画像信号である。
【0050】
具体的に、第1増幅部41は、増幅率を可変可能なプログラマブルゲインアンプ(PGA)である。第1増幅部41は、予め定められた第1増幅率で、入力信号S10を増幅する。第1増幅部41は、入力信号S10が増幅された第1信号S11(
図5参照)を出力する。なお、第1増幅部41は、増幅率を可変不能な増幅器であってもよい。
【0051】
第1反転部42は、第1増幅部41から出力される第1信号S11(
図5参照)の極性を反転させる。
【0052】
具体的に、第1反転部42は、増幅率「1」で第1信号S11を反転増幅する増幅器である。第1反転部42は、第1信号S11の信号レベルの極性(プラスマイナス)が反転された第1反転信号S12(
図5参照)を出力する。
【0053】
第1出力切替部43は、第1信号S11、及び第1反転部42から出力される第1反転信号S12(
図5参照)のいずれかを選択的に出力する。
【0054】
具体的に、第1出力切替部43は、第1信号S11、及び第1反転信号S12のうち、予め設定された信号を中間信号S20(
図5参照)として出力する。
【0055】
第2増幅部44は、第1出力切替部43から出力される中間信号S20(
図5参照)を増幅する。
【0056】
具体的に、第2増幅部44は、増幅率を可変可能なプログラマブルゲインアンプ(PGA)である。第2増幅部44は、予め定められた第2増幅率で、中間信号S20を増幅する。前記第2増幅率の値は、予め設定される増幅回路36の増幅率である第3増幅率を前記第1増幅率で除算した値である。第2増幅部44は、中間信号S20が増幅された第2信号S21(
図5参照)を出力する。なお、第2増幅部44は、増幅率を可変不能な増幅器であってもよい。
【0057】
第2反転部45は、第2増幅部44から出力される第2信号S21(
図5参照)の極性を反転させる。
【0058】
具体的に、第2反転部45は、増幅率「1」で第2信号S21を反転増幅する増幅器である。第2反転部45は、第2信号S21の信号レベルの極性(プラスマイナス)が反転された第2反転信号S22(
図5参照)を出力する。
【0059】
第2出力切替部46は、第2信号S21、及び第2反転部45から出力される第2反転信号S22(
図5参照)のいずれかを選択的に出力する。
【0060】
具体的に、第2出力切替部46は、第2信号S21、及び第2反転信号S22のうち、予め設定された信号を出力信号S30(
図5参照)として出力する。
【0061】
ここで、増幅回路36では、負荷の増加などによって前記電源の出力電圧が低下した場合に、第1増幅部41から出力される第1信号S11の信号レベルが増加、又は減少する。前記電源の出力電圧の低下に応じて第1信号S11の信号レベルが増加するか減少するかは、第1増幅部41として用いられる増幅器の個体ごとに異なる特性に依存する。
【0062】
また、増幅回路36では、負荷の増加などによって前記電源の出力電圧が低下した場合に、第2増幅部44から出力される第2信号S21の信号レベルが増加、又は減少する。前記電源の出力電圧の低下に応じて第2信号S21の信号レベルが増加するか減少するかは、第2増幅部44として用いられる増幅器の個体ごとに異なる特性に依存する。
【0063】
ここで、第1増幅部41が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第1信号S11の信号レベルが増加する特性を備えており、第2増幅部44が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第2信号S21の信号レベルが増加する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1反転信号S12を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの増加分を相殺することが可能である。
【0064】
また、第1増幅部41が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第1信号S11の信号レベルが減少する特性を備えており、第2増幅部44が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第2信号S21の信号レベルが減少する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1反転信号S12を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの減少分を相殺することが可能である。
【0065】
また、第1増幅部41が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第1信号S11の信号レベルが増加する特性を備えており、第2増幅部44が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第2信号S21の信号レベルが減少する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1信号S11を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの増加分を相殺することが可能である。
【0066】
また、第1増幅部41が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第1信号S11の信号レベルが減少する特性を備えており、第2増幅部44が、前記電源の出力電圧の低下に応じて第2信号S21の信号レベルが増加する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1信号S11を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの減少分を相殺することが可能である。
【0067】
また、増幅回路36では、前記変調クロックの変調周期で、第1増幅部41から出力される第1信号S11の信号レベルが増加、又は減少する。前記変調クロックの変調周期で第1信号S11の信号レベルが増加するか減少するかは、第1増幅部41として用いられる増幅器の個体ごとに異なる特性に依存する。
【0068】
また、増幅回路36では、前記変調クロックの変調周期で、第2増幅部44から出力される第2信号S21の信号レベルが増加、又は減少する。前記変調クロックの変調周期で第2信号S21の信号レベルが増加するか減少するかは、第2増幅部44として用いられる増幅器の個体ごとに異なる特性に依存する。
【0069】
ここで、第1増幅部41が、前記変調クロックの変調周期で第1信号S11の信号レベルが増加する特性を備えており、第2増幅部44が、前記変調クロックの変調周期で第2信号S21の信号レベルが増加する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1反転信号S12を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの増加分を相殺することが可能である。
【0070】
また、第1増幅部41が、前記変調クロックの変調周期で第1信号S11の信号レベルが減少する特性を備えており、第2増幅部44が、前記変調クロックの変調周期で第2信号S21の信号レベルが減少する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1反転信号S12を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの減少分を相殺することが可能である。
【0071】
また、第1増幅部41が、前記変調クロックの変調周期で第1信号S11の信号レベルが増加する特性を備えており、第2増幅部44が、前記変調クロックの変調周期で第2信号S21の信号レベルが減少する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1信号S11を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの増加分を相殺することが可能である。
【0072】
また、第1増幅部41が、前記変調クロックの変調周期で第1信号S11の信号レベルが減少する特性を備えており、第2増幅部44が、前記変調クロックの変調周期で第2信号S21の信号レベルが増加する特性を備えていると仮定する。この場合、第1出力切替部43から第1信号S11を出力させることにより、第2増幅部44において、第1増幅部41において発生する信号レベルの減少分を相殺することが可能である。
【0073】
[制御部5の構成]
次に、
図3、及び
図5を参照しつつ、制御部5の構成について説明する。
【0074】
図3に示されるように、制御部5は、第1設定処理部55、及び第2設定処理部56を備える。
【0075】
具体的に、制御部5のROM52には、CPU51を上述の各処理部として機能させるための前記制御プログラムが予め格納されている。そして、CPU51は、ROM52に格納された前記制御プログラムを実行することにより、上述の各処理部として機能する。なお、上述の各処理部は、電子回路で構成されていてもよい。
【0076】
第1設定処理部55は、第1出力切替部43から出力される中間信号S20(
図5参照)、及び第2出力切替部46から出力される出力信号S30(
図5参照)を設定する。
【0077】
例えば、第1設定処理部55は、操作表示部6におけるユーザーの操作に応じて、第1設定処理、及び第2設定処理のいずれかを実行する。前記第1設定処理は、中間信号S20(
図5参照)を第1信号S11(
図5参照)に設定するとともに、出力信号S30(
図5参照)を第2信号S21(
図5参照)に設定する処理である。前記第2設定処理は、中間信号S20(
図5参照)を第1反転信号S12(
図5参照)に設定するとともに、出力信号S30(
図5参照)を第2反転信号S22(
図5参照)に設定する処理である。
【0078】
これにより、画像形成装置100の製造担当者は、画像読取部2による原稿の画像の読取結果に基づいて、前記電源の出力電圧の変動、又は前記変調クロックの変調に起因する読取画質の変化がより小さくなるように、中間信号S20、及び出力信号S30を設定することが可能である。
【0079】
なお、第1設定処理部55は、画像読取部2による白基準板213(
図2参照)の画像の読取結果に基づいて、中間信号S20、及び出力信号S30を設定してもよい。例えば、第1設定処理部55は、中間信号S20が第1信号S11に設定され、出力信号S30が第2信号S21に設定された状態で、画像読取部2を用いて白基準板213の画像を読み取る。また、第1設定処理部55は、中間信号S20が第1反転信号S12に設定され、出力信号S30が第2反転信号S22に設定された状態で、画像読取部2を用いて白基準板213の画像を読み取る。そして、第1設定処理部55は、取得された2つの読取結果のうち、前記電源の出力電圧の変動、又は前記変調クロックの変調に起因する読取画質の変化がより小さい方の信号の組み合わせに基づいて、中間信号S20、及び出力信号S30を設定すればよい。
【0080】
第2設定処理部56は、第1増幅部41の前記第1増幅率、及び第2増幅部44の前記第2増幅率を設定する。
【0081】
例えば、第2設定処理部56は、操作表示部6におけるユーザーの操作に応じて、前記第1増幅率を設定する。また、第2設定処理部56は、ユーザーの操作によって設定された前記第1増幅率、及び前記第3増幅率に基づいて、前記第2増幅率を設定する。
【0082】
これにより、画像形成装置100の製造担当者は、画像読取部2による原稿の画像の読取結果に基づいて、前記電源の出力電圧の変動、又は前記変調クロックの変調に起因する読取画質の変化がより小さくなるように、前記第1増幅率、及び前記第2増幅率を設定することが可能である。
【0083】
なお、第2設定処理部56は、画像読取部2による白基準板213(
図2参照)の画像の読取結果に基づいて、前記第1増幅率、及び前記第2増幅率を設定してもよい。例えば、第2設定処理部56は、前記第1増幅率が前記第3増幅率の平方根よりも高い第1値に設定され、前記第2増幅率が前記第3増幅率を前記第1値で除算して得られる第2値に設定された状態で、画像読取部2を用いて白基準板213の画像を読み取る。また、第2設定処理部56は、前記第1増幅率が前記第2値に設定され、前記第2増幅率が前記第1値に設定された状態で、画像読取部2を用いて白基準板213の画像を読み取る。そして、第2設定処理部56は、取得された2つの読取結果のうち、前記電源の出力電圧の変動、又は前記変調クロックの変調に起因する読取画質の変化がより小さい方の値の組み合わせに基づいて、前記第1増幅率、及び前記第2増幅率を設定すればよい。
【0084】
このように、画像形成装置100では、第1増幅部41の特性、及び第2増幅部44の特性に応じて、第1出力切替部43から出力される中間信号S20、及び第2出力切替部46から出力される出力信号S30を、極性が反転された信号、及び極性が反転されていない信号の間で切り替えることが可能である。これにより、第1増幅部41において前記電源の出力電圧の低下に起因して発生する信号レベルの変動分を、第2増幅部44において相殺することが可能である。また、第1増幅部41において前記変調クロックの変調に起因して発生する信号レベルの変動分を、第2増幅部44において相殺することが可能である。
【0085】
また、画像形成装置100では、前記第1増幅率、及び前記第2増幅率を可変可能である。これにより、前記電源の出力電圧の変動、又は前記変調クロックの変調に起因する読取画質の変化がより小さくなるように、前記第1増幅率、及び前記第2増幅率を調整することが可能である。
【0086】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0087】
<付記1>
入力信号を増幅する第1増幅部と、前記第1増幅部から出力される第1信号の極性を反転させる第1反転部と、前記第1信号及び前記第1反転部から出力される第1反転信号のいずれかを選択的に出力する第1出力切替部と、前記第1出力切替部から出力される中間信号を増幅する第2増幅部と、前記第2増幅部から出力される第2信号の極性を反転させる第2反転部と、前記第2信号及び前記第2反転部から出力される第2反転信号のいずれかを選択的に出力する第2出力切替部と、を備える増幅回路。
【0088】
<付記2>
前記第1増幅部は、増幅率を可変可能であって、前記第2増幅部は、増幅率を可変可能である、付記1に記載の増幅回路。
【0089】
<付記3>
付記1又は2に記載の増幅回路と、原稿から反射される光の光量に応じた画像信号を出力する光電変換部と、を備え、前記入力信号は、前記光電変換部から出力される前記画像信号である、画像読取装置。
【0090】
<付記4>
予め定められたクロック信号をスペクトラム拡散により変調する信号変調部を備え、前記光電変換部は、前記信号変調部から出力される変調クロック信号に基づいて駆動される、付記3に記載の画像読取装置。
【0091】
<付記5>
前記第1出力切替部から出力される前記中間信号、及び前記第2出力切替部から出力される出力信号を設定する第1設定処理部を備える、付記3又は4に記載の画像読取装置。
【0092】
<付記6>
付記2に記載の増幅回路と、前記第1増幅部の増幅率、及び前記第2増幅部の増幅率を設定する第2設定処理部と、原稿から反射される光の光量に応じた画像信号を出力する光電変換部と、を備え、前記入力信号は、前記光電変換部から出力される前記画像信号である、画像読取装置。
【符号の説明】
【0093】
1 ADF
2 画像読取部
3 画像形成部
4 給紙部
5 制御部
6 操作表示部
26 CCD
27 読取制御部
31 SSCG
32 AFE
33 DSP
34 画像メモリー
35 S/H
36 増幅回路
37 ADC
41 第1増幅部
42 第1反転部
43 第1出力切替部
44 第2増幅部
45 第2反転部
46 第2出力切替部
55 第1設定処理部
56 第2設定処理部
100 画像形成装置