(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154027
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】弾性波デバイス、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20241023BHJP
H03H 3/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067605
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】門川 裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 博文
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA24
5J097BB02
5J097BB11
5J097HA04
5J097JJ06
5J097KK10
(57)【要約】
【課題】WLP構造の弾性波デバイスにおいて、これを構成するデバイスチップの放熱性を合理的に向上可能な新しい構造、製法を提供する。
【解決手段】支持層3は、デバイスチップ2の一面2aに接する下層部3aと、カバー層4と下層部3aとの間にあって両者に接する上層部3bとから構成されている。下層部3aを、上層部3bを構成する樹脂より熱伝導率が高く、かつ、非感光性の樹脂から構成する。上層部3bを、感光性の樹脂から構成させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面にIDT電極を含んだ機能素子を形成させたデバイスチップの前記一面上に樹脂製の支持層を介して樹脂製のカバー層を支持させてこれら三者間に形成された内部空間に前記機能素子を位置させるようにしてなる弾性波デバイスであって、
前記支持層は、前記デバイスチップの前記一面に接する下層部と、前記カバー層と前記下層部との間にあって両者に接する上層部とから構成されていると共に、
前記下層部を、前記上層部を構成する樹脂より熱伝導率が高く、かつ、非感光性の樹脂から構成し、
前記上層部を、感光性の樹脂から構成させてなる、弾性波デバイス。
【請求項2】
前記カバー層及び前記支持層を貫通すると共に穴底に前記デバイスチップの前記一面に形成されて前記機能素子に接続されたバンプパッドを位置させる通過穴内にバンプを形成させてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記デバイスチップの前記一面に沿う向きの断面において、前記内部空間の断面積が、前記上層部の形成レベルに比し前記下層部の形成レベルにおいて大きくなるようにしてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の弾性波デバイスの製造方法であって、
前記デバイスチップとなるウエハの一面に前記機能素子、配線及び前記バンプパッドを形成する第1ステップと、
前記第1ステップを経た前記ウエハの前記一面に前記下層部となる第一樹脂層を形成させる第2ステップと、
前記第2ステップにより形成された前記第一樹脂層上に前記上層部となる第二樹脂層を形成させる第3ステップと、
前記第3ステップにより形成された第二樹脂層における前記機能素子の形成領域上に位置される領域以外の領域を露光させる第4ステップと、
前記第二樹脂層における前記露光された領域以外の領域を現像により取り除く第5ステップと、
前記第5ステップ後に前記第二樹脂層の前記露光された領域をマスクとして前記第一樹脂層をエッチングして前記下層部の形成レベルにおいて前記内部空間となる空間を形成させる第6ステップとを備えてなる、弾性波デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モバイル通信機器などにおいて周波数フィルタなどとして使用するのに適した弾性波デバイス、およびその製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
WLP(Wafer Level Package)構造を有する弾性波(Surface Acoustic Wave/SAW)デバイスは、特許文献1に示される構造を持つ。
この特許文献1のものは、デバイスチップの一面上にカバーを設けると共に、このカバーにより形成された内部空間内に前記一面に形成させたIDT電極が位置されるようになっている。
ここで、弾性波デバイスへの信号の入力によりデバイスチップには熱が生じるが、デバイスチップを構成する圧電体は熱伝導率が低く放熱性が悪い。圧電体として利用されるタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムの熱伝導率は約4から6W/mK程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のWLP構造の弾性波デバイスにおいて、これを構成するデバイスチップの放熱性を合理的に向上可能な新しい構造、および、その製法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、弾性波デバイスを、
一面にIDT電極を含んだ機能素子を形成させたデバイスチップの前記一面上に樹脂製の支持層を介して樹脂製のカバー層を支持させてこれら三者間に形成された内部空間に前記機能素子を位置させるようにしてなる弾性波デバイスであって、
前記支持層は、前記デバイスチップの前記一面に接する下層部と、前記カバー層と前記下層部との間にあって両者に接する上層部とから構成されていると共に、
前記下層部を、前記上層部を構成する樹脂より熱伝導率が高く、かつ、非感光性の樹脂から構成し、
前記上層部を、感光性の樹脂から構成させてなる、ものとした。
【0006】
前記カバー層及び前記支持層を貫通すると共に穴底に前記デバイスチップの前記一面に形成されて前記機能素子に接続されたバンプパッドを位置させる通過穴内にバンプを形成させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0007】
また、前記デバイスチップの前記一面に沿う向きの断面において、前記内部空間の断面積が、前記上層部の形成レベルに比し前記下層部の形成レベルにおいて大きくなるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0008】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第二の観点から、弾性波デバイスの製造方法を、
前記弾性波デバイスの製造方法であって、
前記デバイスチップとなるウエハの一面に前記機能素子、配線及び前記バンプパッドを形成する第1ステップと、
前記第1ステップを経た前記ウエハの前記一面に前記下層部となる第一樹脂層を形成させる第2ステップと、
前記第2ステップにより形成された前記第一樹脂層上に前記上層部となる第二樹脂層を形成させる第3ステップと、
前記第3ステップにより形成された第二樹脂層における前記機能素子の形成領域上に位置される領域以外の領域を露光させる第4ステップと、
前記第二樹脂層における前記露光された領域以外の領域を現像により取り除く第5ステップと、
前記第5ステップ後に前記第二樹脂層の前記露光された領域をマスクとして前記第一樹脂層をエッチングして前記下層部の形成レベルにおいて前記内部空間となる空間を形成させる第6ステップとを備えてなる、ものとした。
【発明の効果】
【0009】
この発明にあっては、前記支持層の下層部を利用して、前記デバイスチップの放熱性を合理的に向上させることができる。また、かかる支持層の下層部を備えた弾性波デバイスを容易且つ適切に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、この発明の一実施の形態にかかる弾性波デバイス(第一例)の平面構成図であり、バンプの記載を省略している。
【
図2】
図2は、
図1におけるA-A線位置での断面構成図であり、バンプを破線で示している。
【
図3】
図3は、前記第一例を構成するデバイスチップ上に形成される機能素子の一例を示した構成図である。
【
図4】
図4は、前記第一例のデバイスチップ上に形成される回路の一例を示した構成図である。
【
図5】
図5は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図6】
図6は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図7】
図7は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図8】
図8は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図9】
図9は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図10】
図10は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図11】
図11は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図12】
図12は、前記第一例の製造工程の要部を示した断面構成図である。
【
図13】
図13は、支持層の構成を前記第一例と異ならせる弾性波デバイスの第二例の断面構成図であり、バンプを破線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる弾性波デバイス1は、モバイル通信機器などにおいて周波数フィルタなどとして使用するのに適したものである。
【0012】
かかる弾性波デバイス1は、
デバイスチップ2と、
前記デバイスチップ2の一面2aに形成されたIDT電極6bなどの機能素子6と、
前記一面2aにおいて前記機能素子6を囲うように形成された支持層3(ウォール/Wall)と、
前記支持層3上に形成されて前記デバイスチップ2と前記支持層3と共働して前記機能素子6を気密封止する内部空間5(キャビティ、中空構造部)を形成するカバー層4(ルーフ/Roof)とを備えたものとなっている。
【0013】
典型的には、前記デバイスチップ2は、一辺を0.5ないし1mmとし、厚さを0.15ないし0.2mmとする四角形(図示の例では長方形)の板状をなすように構成される。
また、典型的には、支持層3は、前記デバイスチップ2の一面2aに直交する向きの厚さ(デバイスチップ2の一面2aを基準とした支持層3の高さ)を10ないし30μmとするように構成される。
また、典型的には、カバー層4は、厚さを15ないし35μmとするように構成される。
これらから構成される弾性波デバイス1は、典型的には、厚さを0.25ないし0.35mm程度とする。
【0014】
図1に示されるように、かかる弾性波デバイス1は、前記デバイスチップ2の前記一面2aに直交する向きから見た状態において正方形又は長方形の四角形状の輪郭を持つようなっている。
すなわち、かかる弾性波デバイス1は、前記四角形状の二つの面1a、1bと、この二つの面1a、1b間に亘る四つの側面1cとを備えた扁平の六面体状を呈している。
なお、各図においては、弾性波デバイス1の構成を理解しやすいように、その構成要素の厚さは誇張して表している。
【0015】
弾性波デバイス1の断面構造を
図2に示す。図中符号6は機能素子、符号5は内部空間、符号3は支持層、符号4はカバー層、符号7は機能素子6を配線9(
図4参照)とバンプパッド10とを介して外部に接続するためのバンプである。
【0016】
デバイスチップ2の一面2a上には複数の機能素子6が形成されている。デバイスチップ2の一面2aにおける各機能素子6の形成領域はそれぞれ、支持層3で囲繞されると共に、この支持層3上に形成されるカバー層4で蓋がされた形態となっており、これにより弾性波デバイス1は複数の前記内部空間5を備えたものとなっている。
支持層3及びカバー層4は、絶縁性を備えた合成樹脂から構成される。
【0017】
デバイスチップ2は、弾性波を伝搬させる機能を持つ。デバイスチップ2には、典型的には、圧電体としてタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムが用いられ、また、デバイスチップ2は、これらにサファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスなどを積層させて、構成される場合もある。
【0018】
図3に機能素子6の一例としての共振器6aを示す。共振器6aはIDT電極6bと、IDT電極6bを挟むようにして形成される反射器6eとを有する。IDT電極6bは、電極対からなり、各電極対は弾性波の伝搬方向xに長さ方向を交叉させるように平行配列された複数の電極指6c同士をこれらの一端側においてバスバー6dで接続させてなる。反射器6eは、弾性波の伝搬方向xに長さ方向を交叉させるように平行配列された複数の電極指6fの端部間をバスバー6gで接続させてなる。
かかる機能素子6は、典型的には、フォトリソグラフィ技術により形成された導電性金属膜によって構成される。
【0019】
図4に一つのデバイスチップ2上に備えられる回路の一例の概念を示す。符号6aaは入出力ポート間に直列に接続された共振器6a、符号6abは入出力ポート間に並列に接続された共振器6a、符号8はグランドを示す。機能素子6の数や配置は必要に応じて変更される。すなわち、
図4の回路によってラダー型フィルタが構成されるようになっている。
前記バンプパッド10は前記回路を構成する配線9に接続される。かかる配線9、及び、前記バンプパッド10も、典型的には、フォトリソグラフィ技術により形成された導電性金属膜によって、前記デバイスチップ2の一面2a上に形成される。
【0020】
この実施の形態にかかる弾性波デバイスにあっては、前記支持層3は、前記デバイスチップ2の前記一面2aに接する下層部3aと、前記カバー層4と前記下層部3aとの間にあって両者に接する上層部3bとから構成されている。
それと共に、前記下層部3aを、前記上層部3bを構成する樹脂より熱伝導率が高く、かつ、非感光性の樹脂から構成している。
一方、前記上層部3bを、感光性の樹脂から構成させている。
【0021】
弾性波デバイスへの信号の入力によりデバイスチップ2には熱が生じるが、デバイスチップ2を構成する圧電体は熱伝導率が低く放熱性が悪い。
前記支持層3の全体を熱伝導率の高い樹脂から構成すれば、デバイスチップ2の放熱性を向上させることができる。
こうした熱伝導率の高い樹脂としては、熱伝導率の高い物質からなるフィラーを、基材となる樹脂に対して70wt%ないし90wt%の範囲で含ませるようにしたものが用いられる。かかるフィラーは典型的には直径10μm前後の粒状体として構成される。
しかるに、このように熱伝導率を高められた樹脂は感光性が低下する。このため、前記支持層3の全体を熱伝導率の高い樹脂から構成させた場合、デバイスチップ2における機能素子の形成領域上に前記内部空間5をフォトリソグラフィ技術を利用して形成し難くなる。
この実施の形態にかかる弾性波デバイスにあっては、デバイスチップ2の一面2a上に前記下層部3aとなる後述の第一樹脂層12を形成し、次いで、上層部3bとなる後述の第二樹脂層13を形成させた後、この第二樹脂層13を露光と現像とによりパターニングし、この後、パターニングされた第二樹脂層13をいわばマスクとして第一樹脂層12をエッチングすることで、前記内部空間5をフォトリソグラフィ技術を利用して形成可能としながら、デバイスチップ2の一面2aに直接的に接する支持層3の下層部3aの熱伝導率を高めてデバイスチップ2の放熱性を向上させることができる。
【0022】
前記下層部3aを構成する樹脂としては、典型的には、フィラーを含有するエポキシ系樹脂や、フィラーを含有するフェノール系樹脂を用いることができる。フィラーとしては、典型的には、アルミナ、窒化アルミ、粉末ダイヤモンドを用いることができる。
一方、前記上層部3bを構成する樹脂としては、典型的には、感光性を持ったエポキシ系樹脂や、感光性を持ったフェノール系樹脂を用いることができる。
【0023】
また、この実施の形態にあっては、弾性波デバイス1は、前記カバー層4及び前記支持層3を貫通すると共に穴底に前記デバイスチップ2の前記一面2aに形成されて前記機能素子6に接続されたバンプパッド10を位置させる通過穴11を備えている。そして、この通過穴11内に金属製のバンプ7が形成されている。
図示の例では、通過穴11は、弾性波デバイス1の四隅にそれぞれ形成されている。各通過穴11はそれぞれ、その上側穴部11aは前記パターニングにより上層部3bの一部を取り除くことにより形成され、その下側穴部11bは前記上側穴部11aを利用してなされたエッチングによって下層部3aの一部を取り除くことで形成されている。
このように形成された通過穴11内に形成されるバンプ7と、通過穴11内でこのバンプ7に接する前記支持層3の下層部3aにより、デバイスチップ2からの放熱経路が形成される。
【0024】
図1ないし
図12に示される第一例では、デバイスチップ2の一面2aに直交する向きにおいて、いずれの位置で断面にしても、前記内部空間5の断面積は実質的に等しくなるようにしてある。
すなわち、第一例では、支持層3におけるデバイスチップ2の一面2aに固着された下面3cとルーフ層に固着された上面3dとの間に亘る前記内部空間5に臨んだ側面3eは、デバイスチップ2の一面2aに直交する仮想の一つの面y(
図2参照)上に位置するようになっている。
【0025】
対し、
図13に示される第二例では、前記デバイスチップ2の前記一面2aに沿う向きの断面において、前記内部空間5の断面積が、前記上層部3bの形成レベルL1(
図13参照)に比し前記下層部3aの形成レベルL2(
図13参照)において大きくなるようにしてある。
すなわち、第二例では、前記内部空間5の中心z(
図13参照)を巡るいずれの位置においても、支持層3の上面3dと上層部3bにおける下層部3aに対する固着部3fとの間に亘る上層側面3gが、支持層3の下面3cと前記固着部3fとの間に亘る下層側面3hよりも前記内部空間5の中心z側に位置し、この上層側面3gと下層側面3hとの間にデバイスチップ2の一面2aに向き合った段差面3iが形成されるようになっている。
この第二例のようにすることは、前記のようにパターニングされた第二樹脂層13をいわばマスクとして第一樹脂層12を時間や温度などのコンディションを調整してエッチングすることで可能となる。
この第二例のようにした場合、支持層3とカバー層4との固着面積を可及的に広く確保して両者の機械的一体性を高めつつ、その下方においては前記内部空間5の断面積、つまり、前記機能素子6の形成領域の面積を可及的に広く確保させることができる。
【0026】
以上に説明した弾性波デバイス1は、以下の各ステップを含む製造方法によって、適切且つ合理的に製造することができる。
【0027】
先ず、前記デバイスチップ2となるウエハ14の一面に、前記機能素子6、配線9(図示は省略する。)及び前記バンプパッド10を形成する(
図5/第1ステップ)。
【0028】
次いで、前記第1ステップを経た前記ウエハ14の前記一面に前記下層部3aとなる第一樹脂層12を形成させる(
図6/第2ステップ)。
第一樹脂層12は、前記ウエハ14の一面上に、熱伝導率が高く、かつ、非感光性の樹脂よりなる面状体(フィルム)を積層し、両者を一体化させることで、形成させることができる。
あるいはまた、第一樹脂層12は、前記ウエハ14の一面に、熱伝導率が高く、かつ、非感光性で、しかも塗布可能な性状の樹脂を塗布することで、形成させることができる。
【0029】
次いで、前記第2ステップにより形成された前記第一樹脂層12上に前記上層部3bとなる第二樹脂層13を形成させる(
図7/第3ステップ)。
第二樹脂層13は、感光性の樹脂よりなる面状体(フィルム)を第一樹脂層12上に積層し、両者を一体化させることで、形成させることができる。
あるいはまた、第二樹脂層13は、前記第一樹脂層12上に、感光性で、しかも塗布可能な性状の樹脂を塗布することで、形成させることができる。
【0030】
次いで、前記第3ステップにより形成された第二樹脂層13における前記機能素子6の形成領域上に位置される領域以外の領域16を露光させる(
図8/第4ステップ)。
図8中、符号15は前記形成領域上に位置される領域を覆うマスクを示している。このとき、前記バンプ7の通過穴11の形成箇所も露光対象から除外する。
【0031】
次いで、前記第二樹脂層13における前記露光された領域16以外の領域を現像により取り除く(
図9/第5ステップ)。
すなわち、前記機能素子6の形成領域上にある第二樹脂層13及び前記バンプパッド10の直上(通過穴11の形成箇所)にある第二樹脂層13を現像液に溶解させて取り除く。
【0032】
次いで、前記第5ステップ後に前記第二樹脂層13の前記露光された領域16をマスクとして前記第一樹脂層12をエッチングして前記下層部3aの形成レベルにおいて前記内部空間5となる空間5aを形成させる(
図10/第6ステップ)。
【0033】
第6ステップ後、リフロー処理などにより第一樹脂層12及び第二樹脂層13を硬化させて支持層3の形成が完了する。
【0034】
この後、支持層3上にカバー層4を形成させて前記内部空間5が形成される(
図11)。カバー層4は典型的には感光性の樹脂よりなる面状体(フィルム)を支持層3上に積層し、支持層3と一体化させることで、形成される。前記バンプ7の通過穴11の形成箇所においてはフォトリソグラフィ技術によりカバー層4の一部が除去される。
【0035】
このように形成される通過穴11内に、典型的には印刷機によりクリーム半田が塗布・充填され、その後のリフロー処理によりカバー層4の外面から突き出す高さの柱状のバンプ7が形成される(
図12)。
【0036】
この後、前記ウエハ14に対しダイシングを施すことで、前記ウエハ14から複数の前記の構造を備えた弾性波デバイス1が生成される。
【0037】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0038】
1 弾性波デバイス
1a、1b 面
1c 側面
2 デバイスチップ
2a 一面
3 支持層
3a 下層部
3b 上層部
3c 下面
3d 上面
3e 側面
3f 固着部
3g 上層側面
3h 下層側面
3i 段差面
4 カバー層
4a 外面
4b 内面
5 内部空間
5a 空間
6 機能素子
6a、6aa、6ab 共振器
6b IDT電極
6c 電極指
6d バスバー
6e 反射器
6f 電極指
6g バスバー
7 バンプ
8 グランド
9 配線
10 バンプパッド
11 通過穴
11a 上側穴部
11b 下側穴部
12 第一樹脂層
13 第二樹脂層
14 ウエハ
15 マスク
16 領域
x 伝搬方向
y 仮想の一つの面
z 内部空間の中心
L1、L2 形成レベル