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  • 特開-水中及び水上の同時撮影用具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154048
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】水中及び水上の同時撮影用具
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20241023BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241023BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20241023BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/00 U
G03B17/08
H04N5/222 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067649
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】523138758
【氏名又は名称】上野 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】上野 裕史
【テーマコード(参考)】
2H101
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H101CC32
2H105AA13
2H105EE07
5C122DA10
5C122EA42
5C122FA18
5C122GD12
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】水中を移動する対象物を、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを好適に支援できる撮影用具を提供する。
【解決手段】本開示の撮影用具1は、水中と水上とを同時に撮影するために用いられる撮影用具である。そして、この撮影用具1は、水上の床面を走行可能に構成された台車10と、台車10の側方に配置された支持部であって、水上を撮影する第1カメラを固定するための第1支持部100と、第1支持部100から下方に向かって延在するアーム110に配置された支持部であって、水中を撮影する第2カメラを固定するための第2支持部200と、第2支持部200に第2カメラが固定された状態において該第2カメラの側面を覆うように配置され、且つ所定の流線形状及び所定の大きさを有する水中バランサー300と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中と水上とを同時に撮影するために用いられる撮影用具であって、
水上の床面を走行可能に構成された台車と、
前記台車の側方に配置された支持部であって、水上を撮影する第1カメラを固定するための第1支持部と、
前記第1支持部から下方に向かって延在するアームに配置された支持部であって、水中を撮影する第2カメラを固定するための第2支持部と、
前記第2支持部に前記第2カメラが固定された状態において該第2カメラの側面を覆うように配置され、且つ所定の流線形状及び所定の大きさを有する水中バランサーと、
を備える、水中及び水上の同時撮影用具。
【請求項2】
前記第1カメラの重量と前記第2カメラの重量とを合算した重量を撮影部重量としたとき、
前記水中バランサーは、
前記撮影部重量以上の浮力を生成可能な前記大きさを有する、
請求項1に記載の水中及び水上の同時撮影用具。
【請求項3】
前記水中バランサーは、
前記第2カメラを中心に、前記台車の走行方向の前後に向かって楔状に形成されることで前記流線形状を成し、且つ中空構造を有する、
請求項2に記載の水中及び水上の同時撮影用具。
【請求項4】
前記水中バランサーは、
楔形に前記流線形状を形成する面と対向する平面に対して、スカート部が形成され、
前記スカート部は、前記平面の上下方向の両端部において該平面から突出するように形成される、
請求項3に記載の水中及び水上の同時撮影用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中と水上とを同時に撮影するために用いられる撮影用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防水性能に優れ、水中撮影が可能なカメラが知られている。そして、このようなカメラを、例えば、竿の先端に取り付け、泳者が泳ぐ姿を水中撮影することが行われてきた。
【0003】
また、水槽内の移動体を撮影する水中撮影装置として、レール上を移動するカメラ台車を用いる技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、水槽側床に設けられたレール上に走行台車を設け、該走行台車から水中まで延びる支持アームの先端にカメラを収納した水中撮影装置が開示されている。この水中撮影装置では、走行台車が水上を走行するため、該走行台車に防水加工を施す必要がなく、また、メンテナンスも地上で容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-122145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、プールで泳者が泳ぐ水中の姿を撮影しようとするとき、該泳者と伴走するように水上を走行する走行台車と、該走行台車から水中に向かって延在するアーム等の先端に設けられた水中カメラと、を用いて、水中撮影を行うことが考えられる。しかしながら、この場合、水中カメラに水の抵抗が働くため、走行台車の片側に比較的大きな走行抵抗が付加された状態となり、泳者が泳ぐ方向に直進するように該走行台車の走行を維持することが困難になり得る。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の技術によれば、走行台車がレール上に設けられるため、該走行台車をレールに沿って安定して走行させることができるようにも思われる。しかしながら、当該技術では、水槽側床にレールを敷設する必要があるため、準備に手間とコストを要する。また、走行台車から水中に向かって延在するアーム等の先端に水中カメラが設けられる構成においては、重量の不均衡が生じる。そして、このような重量の不均衡によって、走行台車が水中へ落下してしまうという課題が生じ得る。このように、水中を移動する対象物を撮影するための技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0008】
本開示の目的は、水中を移動する対象物を、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを好適に支援できる撮影用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の水中及び水上の同時撮影用具は、水中と水上とを同時に撮影するために用いられる撮影用具である。そして、この撮影用具は、水上の床面を走行可能に構成された台車と、前記台車の側方に配置された支持部であって、水上を撮影する第1カメラを固定するための第1支持部と、前記第1支持部から下方に向かって延在するアームに配置された支持部であって、水中を撮影する第2カメラを固定するための第2支持部と、前記第2支持部に前記第2カメラが固定された状態において該第2カメラの側面を覆うように配置され、且つ所定の流線形状及び所定の大きさを有する水中バランサーと、を備える。
【0010】
上記の水中及び水上の同時撮影用具では、第1支持部と第2支持部とがアームを介して連結されることにより、水上を撮影する第1カメラと、水中を撮影する第2カメラと、を、左右方向および前後方向において同じカメラアングルとなるように一体に設置することができる。これにより、対象物が水中を移動する姿を水中および水上から同時に撮影したときに、合成画像を違和感なく好適に生成することができる。更に、水中バランサーが設けられることで、重量の不均衡によって台車が水中へ落下してしまう事態が抑制され、地上(例えば、水上のプールサイド)において床面にレール等を設置せずとも、水中を移動する対象物と伴走するように台車を走行させることができる。そのため、本開示の撮影用具を用いることで、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを支援できる。
【0011】
そして、本開示の水中及び水上の同時撮影用具において、前記第1カメラの重量と前記第2カメラの重量とを合算した重量を撮影部重量としたとき、前記水中バランサーは、前記撮影部重量以上の浮力を生成可能な前記大きさを有してもよい。これによれば、台車の左右方向の重量の不均衡や回転モーメントが解消され、台車の走行を対象物が水中を移動する方向に直進するよう維持し易くなる。つまり、台車を走行させるためのレール等を設置せずとも、対象物と伴走するように台車を走行させることができ、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを支援できる。
【0012】
更に、本開示の水中及び水上の同時撮影用具では、上記の構成において、前記水中バランサーは、前記第2カメラを中心に、前記台車の走行方向の前後に向かって楔状に形成されることで前記流線形状を成し、且つ中空構造を有してもよい。これによれば、水中を移動する第2カメラに起因して台車の片側に付加され得る走行抵抗を軽減することができ、以て、台車の走行を対象物の水中移動方向に直進するよう維持し易くなる。また、この場合、前記水中バランサーは、楔形に前記流線形状を形成する面と対向する平面に対して、スカート部が形成され、前記スカート部は、前記平面の上下方向の両端部において該平面から突出するように形成されてもよい。これによれば、水中バランサーにベンチュリ効果による力を生じさせることが可能になり、水中を移動する際の水中バランサーの挙動を安定させることができる。その結果、台車の走行を対象物の水中移動方向に直進するよう維持し易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、水中を移動する対象物を、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における撮影用具の概略構成を示す第1の図である。
図2】実施形態における撮影用具の概略構成を示す第2の図である。
図3】台車と、第1カメラおよび該第1カメラを固定する第1支持部と、アームと、第2カメラおよび該第2カメラを固定する第2支持部と、を備えた構成において、仮に水中バランサーが設けられない場合に起こり得る事態を説明するための図である。
図4】プールで泳者が泳ぐ姿を撮影するために撮影用具が用いられる態様を例示する図である。
図5】第1支持部に固定され水上を撮影する第1カメラによる画像データ、第2支持部に固定され水中を撮影する第2カメラによる画像データ、および同時に撮影されたこれら画像データの合成画像データを例示する図である。
図6】水中バランサーの形状を説明するための図である。
図7】水中バランサーにスカート部が形成されることにより生じるベンチュリ効果について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
本実施形態における水中及び水上の同時撮影用具の概要について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における撮影用具の概略構成を示す第1の図であって、図2は、本実施形態における撮影用具の概略構成を示す第2の図である。本実施形態に係る撮影用具1は、水中と水上とを同時に撮影するために用いられる撮影用具である。そして、本実施形態では、プールで泳者が泳ぐ姿を撮影するために撮影用具1が用いられる例について説明する。
【0017】
ここで、本実施形態に係る撮影用具1は、水上の床面を走行可能に構成された台車10と、水上を撮影する第1カメラを固定するための第1支持部100と、水中を撮影する第2カメラを固定するための第2支持部200と、水中バランサー300と、を備える。
【0018】
台車10は、プールで泳ぐ泳者と伴走するように水上のプールサイドを走行する台車であって、車輪11と、台座12と、スライダ13と、を有する。本実施形態では、後述するように、撮影者が台座12を棒などで押すことで、台車10を走行させることができる。なお、台車10は、車輪11を回転させるモータ等を備えてもよく、この場合、モータ等からの駆動力によって車輪11が回転することで、台車10が走行せしめられる。
【0019】
また、台座12の上面には、スライダ13が設置される。このスライダ13は、第1支持部100を台車10に固定するために構成され、且つ、第1支持部100の位置を左右方向に調整するためのスライド構造を有する。
【0020】
そして、上記のスライダ13によって、第1支持部100が台車10に固定される。第1支持部100がこのようにして台車10の側方に配置され、第1カメラが該第1支持部100によって支持されることで、台車10の側方に第1カメラが配置されることになる。なお、第1支持部100は、上下方向において、台車10の車輪11と略同位置に配置される。これにより、第1支持部100およびこれに固定される第1カメラが水上に配置されることになる。また、上記の第1カメラには、周知のカメラ(例えば、GoPro(登録商標))を用いることができる。
【0021】
更に、上記の第1支持部100には、該第1支持部100から下方に向かって延在するアーム110が接続される。そして、このアーム110に第2支持部200が配置されることで、第1支持部100と第2支持部200とがアーム110を介して連結されることになる。第2支持部200がこのようにして第1支持部100に連結され、第2カメラが該第2支持部200によって支持されることで、台車10の側方に第2カメラが配置されることになる。なお、第2支持部200は、上下方向において、台車10の車輪11よりも下方に配置される。これにより、第2支持部200およびこれに固定される第2カメラが水中に配置されることになる。また、上記の第2カメラには、周知の防水カメラ(例えば、GoPro(登録商標))を用いることができる。
【0022】
そして、上記の如く第1支持部100と第2支持部200とがアーム110を介して連結されることによれば、水上を撮影する第1カメラと、水中を撮影する第2カメラと、を、左右方向および前後方向において同じカメラアングルとなるように一体に設置することができる。これにより、プールで泳者が泳ぐ姿を水中および水上から同時に撮影したときに、合成画像を違和感なく好適に生成することができる。
【0023】
ここで、図2は、第2支持部200に第2カメラが固定された状態を表していて、図2に示すように、水中バランサー300は、当該状態において第2カメラの側面を覆うように配置される。
【0024】
そして、この水中バランサー300は、所定の大きさを有する。これについて、図2および図3を参照しながら説明する。
【0025】
図3は、台車10と、第1カメラおよび該第1カメラを固定する第1支持部100と、アーム110と、第2カメラおよび該第2カメラを固定する第2支持部200と、を備えた構成において、仮に水中バランサー300が設けられない場合に起こり得る事態を説明するための図である。
【0026】
図3に示すように、水中と水上とを同時に撮影するために2つのカメラ(第1カメラ、第2カメラ)が台車10の一方の側に配置される構成においては、台車10の左右方向に重量の不均衡が生じる。更に、水中を撮影する第2カメラは、台車10の側方において、該台車10の車輪11よりも下方に配置される。そのため、カメラが配置される側の車輪11を支点に回転モーメントが生じることになる。そうすると、図3に示す構成では、このような重量の不均衡および回転モーメントによって、台車10が水の中に引き込まれるように進行し、結局は台車10が水中へ落下してしまう事態が生じ得る。
【0027】
ここで、水上の台車10にバランサーウェイトを設けることで、台車10が水中へ落下してしまう事態を抑制できるようにも思われる。しかしながら、上記の2つのカメラ(第1カメラ、第2カメラ)は、その重量が、例えば、700gであるため、上記の重量の不均衡を解消するためには、バランサーウェイトが重くなってしまう。そうすると、台車10を走行させるために、より多くの駆動力が必要となってしまう。
【0028】
そこで、本実施形態の撮影用具1では、第1カメラの重量と第2カメラの重量とを合算した重量を撮影部重量としたとき、水中バランサー300は、該撮影部重量以上の浮力を生成可能な大きさを有する。詳しくは、水中バランサー300は、上記の撮影部重量以上の浮力を生成できるように、その体積が設定される。なお、水中バランサー300は、その浮力が、例えば、上記の撮影部重量に第1支持部100と第2支持部200とアーム110の重量を合算した重量と同程度になるように、体積が設定され得る。
【0029】
そして、このように大きさが定められた水中バランサー300が図2に示すように配置されることで、台車10の左右方向の重量の不均衡や回転モーメントが解消され、台車10の走行を泳者が泳ぐ方向に直進するよう維持し易くなる。つまり、水上のプールサイドにおいて、床面にレール等を設置せずとも、プールで泳ぐ泳者と伴走するように台車10を走行させることができ、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを支援できる。
【0030】
ここで、図4は、プールで泳者が泳ぐ姿を撮影するために撮影用具1が用いられる態様を例示する図である。図4に示す例では、撮影者が台車10を棒などで押すことで、水上のプールサイドにおいて、プールで泳ぐ泳者と伴走するように台車10を走行させることができる。このとき、第1支持部100に固定される第1カメラは水上に、第2支持部200に固定される第2カメラは水中に配置されることになる。また、水中を移動する第2カメラに働く水の抵抗を軽減するために、該第2カメラの側面を覆うように配置される水中バランサー300は、所定の流線形状を有する。詳しくは、水中バランサー300は、第2カメラを中心に、台車10の走行方向の前後に向かって楔状に形成されることで流線形状を成す。なお、詳細については、後述する図6に基づいて説明する。
【0031】
そして、図5は、第1支持部100に固定され水上を撮影する第1カメラによる画像データ、第2支持部200に固定され水中を撮影する第2カメラによる画像データ、および同時に撮影されたこれら画像データの合成画像データを例示する図である。なお、これら画像データは、静止画であってもよいし動画であってもよい。また、画像データの合成は、周知の技術に基づいて実施され得る。
【0032】
本実施形態の撮影用具1を用いることで、図5に示すように、水中と水上とを同時に撮影することができる。そして、これら画像データを合成することで、プールで泳ぐ泳者の全体の姿を視覚化することが可能になる。これにより、例えば、泳者は、自身の泳ぐ姿を好適に客観視することができる。また、例えば、コーチは、このような画像データを選手のフォームの矯正や改善に役立てることができる。
【0033】
なお、本実施形態の撮影用具1では、上述したように、水上を撮影する第1カメラと、水中を撮影する第2カメラと、を、左右方向および前後方向において同じカメラアングルとなるように一体に設置することができるため、プールで泳者が泳ぐ姿を水中および水上から同時に撮影したときに、合成画像を違和感なく好適に生成することができる。また、上述したように、水中バランサー300によって、水上のプールサイドにおいて床面にレール等を設置せずとも、プールで泳ぐ泳者と伴走するように台車10を走行させることができる。そのため、本実施形態の撮影用具1を用いることで、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを支援できる。
【0034】
次に、水中バランサー300の形状について、図6および図7に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図6は、水中バランサー300の形状を説明するための図であって、図6(a)は、水中バランサー300の平面図を示し、図6(b)は、図6(a)におけるA-A断面の斜視図を示す。
【0036】
図6(a)に示すように、水中バランサー300は、第2カメラの収納部を中心に、前後方向に末端が細く尖るように楔形に形成されることで流線形状を成す。なお、第2カメラの収納部は、例えば、第2カメラの厚みと略同等の厚さに形成される。そして、このような水中バランサー300が第2カメラの側面を覆うように配置されることで、水中を移動する第2カメラに働く水の抵抗を軽減することができる。そうすると、水中を移動する第2カメラに起因して台車10の片側に付加され得る走行抵抗を軽減することができ、以て、台車10の走行を泳者が泳ぐ方向に直進するよう維持し易くなる。
【0037】
また、水中バランサー300は、図6(b)に示すように、中空構造を有する。そうすると、上述した浮力を生じさせるための体積を確保しつつも、水中バランサー300が、仮に中実構造とされる場合と比較して、その質量を小さくすることができる。
【0038】
更に、水中バランサー300は、図6に示すように、楔形に流線形状を形成する面と対向する平面に対して、スカート部310が形成される。このスカート部310は、上記の平面の上下方向の両端部において該平面から突出するように形成される。そうすると、プールで泳ぐ泳者と伴走するように台車10を走行させる際に、上記の平面とプールサイドの壁面との隙間がスカート部310によってシールされ、ベンチュリ空間320が形成されることになる。このベンチュリ空間320によるベンチュリ効果について、図7に基づいて説明する。
【0039】
図7は、水中バランサー300にスカート部310が形成されることにより生じるベンチュリ効果について説明するための図である。
【0040】
図7(b)に示すように、プールサイドの壁面と、該壁面と対向する水中バランサー300の平面と、の隙間が、スカート部310によってシールされることで、当該隙間にベンチュリ空間320が形成される。
【0041】
そうすると、図7(a)に示すように、台車10がプールサイドを走行すると、走行方向の前方からの水流がベンチュリ空間320に入り、該ベンチュリ空間320を流れて後方に排出される。このとき、狭い隙間によって形成されるベンチュリ空間320を流れる流体は、他の部分よりも流速が速くなる。そのため、ベンチュリ効果によって、ベンチュリ空間320が他の部分よりも低圧部となる。これにより、水中バランサー300には、プールサイドの壁面に引き寄せられる力が発生することになる。
【0042】
そして、上記のベンチュリ効果による力を水中バランサー300に生じさせることで、水中を移動する際の水中バランサー300の挙動を安定させることができるため、以て、台車10の走行を泳者が泳ぐ方向に直進するよう維持し易くなる。
【0043】
以上に述べたように、本実施形態の撮影用具1によれば、水中を移動する対象物を、低コストで比較的容易に水中及び水上から同時撮影することを好適に支援することができる。
【0044】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。上記の実施形態では、プールで泳者が泳ぐ姿を撮影するために撮影用具1が用いられる例について説明したが、本開示の撮影用具1は、水槽内を移動する対象物を撮影するために用いられてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・・撮影用具
10・・・・台車
11・・・・車輪
12・・・・台座
13・・・・スライダ
100・・・第1支持部
110・・・アーム
200・・・第2支持部
300・・・水中バランサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7