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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154063
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】モータ制御装置および洗濯機
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H02P27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067672
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬飼野 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚礼
(72)【発明者】
【氏名】吉野 知也
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA09
5H505BB06
5H505CC05
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE49
5H505FF05
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ12
5H505JJ26
5H505KK05
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
(57)【要約】
【課題】モータ制御装置において、モータの適切な停止判定を実現する。
【解決手段】モータ制御装置MCに、電力変換器Iに対する制御モードとして、ブレーキモードと、電流検出モードと、を交互に選択し、選択した制御モードに基づくスイッチング指令SWを電力変換器Iに供給するスイッチング指令生成部Kと、前記電流検出モードMDにおいて検出した前記電流検出値Idcから、指定周波数ω1の成分の電流強度Iω1を計算する電流強度計算部Pと、前記電流強度Iω1に基づいて、前記モータMが停止したか否かを判定する停止判定部Qと、を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにPWM変調波による電力を供給する電力変換器と、
前記電力変換器または前記モータに流れる電流の検出結果である電流検出値を出力する電流検出部と、
前記電力変換器に対する制御モードとして、前記電力変換器の全相を同一のスイッチング状態にするブレーキモードと、1相を他相と異なるスイッチング状態にすることにより、前記電流検出部を介して前記モータに流れる電流を検出する電流検出モードと、を交互に選択し、選択した前記制御モードに基づくスイッチング指令を前記電力変換器に供給するスイッチング指令生成部と、
前記電流検出モードにおいて検出した前記電流検出値から、指定周波数の成分の電流強度を計算する電流強度計算部と、
前記電流強度に基づいて、前記モータが停止したか否かを判定する停止判定部と、を備える
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記停止判定部は、前記電流強度のピークを検出した後、所定の待機時間が経過した後に、前記モータが停止した旨を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記電流強度計算部は、前記電流検出値から、複数の前記指定周波数の成分の各々の前記電流強度を計算するものであり、
前記停止判定部は、複数の前記電流強度に基づいて前記モータが停止した旨を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記モータは、複数相の巻線を備えるものであり、
前記スイッチング指令生成部は、前記電流検出モードにおいて、何れかの1相の前記巻線に流れる電流を検出し、複数相の全ての前記巻線に流れる電流を循環的に検出し、または、複数相の全ての前記巻線に流れる電流をランダムに検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記電流検出モードが発生する周期である電流検出モード発生間隔は、前記PWM変調波のキャリア周期よりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記電力変換器は、インバータ回路と、前記インバータ回路に入力される直流電圧を検出する直流電圧検出部と、を備え、
前記スイッチング指令生成部は、前記直流電圧検出部が検出した直流電圧が所定値以下になるように、前記電流検出モードが発生する周期である電流検出モード発生間隔を設定する機能を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記電流検出部は、前記電力変換器に入力される電流を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のモータ制御装置と、
前記モータと、
洗濯物が投入される洗濯槽と、
前記洗濯物を攪拌する攪拌羽と、を備え、
前記モータは、前記洗濯槽または前記攪拌羽を回転駆動する
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項9】
前記洗濯槽および前記攪拌羽を収納する筐体と、
前記筐体に装着されたフタと、
前記停止判定部が、前記モータが停止した旨を判定すると、前記フタのロックを解除するドアロック部と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項8に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置および洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石同期電動機であるモータは、回転子内の磁極位置に応じて固定子コイルに通電を行う必要があり、そのために回転子の位置情報を検出する位置検出センサを設ける場合がある。一方、位置検出センサの設置により、センサコストの増加や、センサ故障のリスクが生じる。そこで、位置検出センサを用いない、位置センサレス制御にて永久磁石同期電動機を駆動する方法が知られている。また、種々の理由により、モータが停止しているか否かを判定すべき場合がある。例えば洗濯機等の製品では、安全のために洗濯槽を回転させるモータの停止後にドアロックを解除することが望ましく、モータの停止を正確に検知することが望まれている。例えば、下記特許文献1、2には、モータが停止しているか否かを判定する、モータの停止判定を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-068324号公報
【特許文献2】特開2005-006453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術において、一層適切にモータの停止判定を行いたいという要望がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、モータの適切な停止判定を実現できるモータ制御装置および洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明のモータ制御装置は、モータにPWM変調波による電力を供給する電力変換器と、前記電力変換器または前記モータに流れる電流の検出結果である電流検出値を出力する電流検出部と、前記電力変換器に対する制御モードとして、前記電力変換器の全相を同一のスイッチング状態にするブレーキモードと、1相を他相と異なるスイッチング状態にすることにより、前記電流検出部を介して前記モータに流れる電流を検出する電流検出モードと、を交互に選択し、選択した前記制御モードに基づくスイッチング指令を前記電力変換器に供給するスイッチング指令生成部と、前記電流検出モードにおいて検出した前記電流検出値から、指定周波数の成分の電流強度を計算する電流強度計算部と、前記電流強度に基づいて、前記モータが停止したか否かを判定する停止判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モータの適切な停止判定を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態によるモータ制御システムのブロック図である。
図2】電力変換器のブロック図である。
図3】ブレーキモードの説明図である。
図4】電流検出モードの説明図である。
図5】スイッチング指令生成部における各種波形の例を示す図である。
図6】電流強度計算部のブロック図である。
図7】停止判定部において実行される処理のフローチャートである。
図8】電流検出値の波形の一例を示す図である。
図9】電気角速度、電流強度および停止判定信号の関係を示す図である。
図10】コンピュータのブロック図である。
図11】第2実施形態における電気角速度と電流強度との関係を示す図である。
図12】第3実施形態のスイッチング指令生成部における各種波形の例を示す図である。
図13】第3実施形態における電流検出値の波形の一例を示す図である。
図14】第4実施形態による縦型洗濯機の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
位置センサレス制御の手法には、モータの回転により生じる誘起電圧を利用する方法と、モータの突極性を利用した高周波信号重畳方式と、が考えられる。誘起電圧を利用する方法では、モータに印加した電圧とその際に流れた電流と、の関係から誘起電圧を推定しモータの回転速度を導出する。誘起電圧はモータの回転速度に比例して生じるため、モータの回転速度が低速の場合には精度が悪化する。また、高周波信号重畳方式では、低速域においても位置センサレスでモータの回転速度を検出可能であるが、突極比を持つモータ以外には適用できない問題がある。また、高周波信号重畳方式では、位置探査用の高周波電圧をモータに印加することから、高周波雑音が発生するという問題がある。
【0009】
上述した特許文献1の技術を応用すると、印加する高周波信号を工夫することにより、高周波音を抑制できると考えられる。しかし、この技術によれば、モータ制御装置が停電等でリセットされ、モータが惰性回転しフリーラン(空転)状態となった場合には回転子位置を見失い、モータの回転速度を正確に推定できなくなるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2の技術を応用すると、モータを駆動するインバータを短絡ブレーキモードにし、検出した電流値が三相以上一致した場合にモータの停止判定を行えると考えられる。しかし、この技術によれば、検出電流に重畳するノイズ等によってモータの停止を誤検知する場合がある。そこで、後述する実施形態は、位置センサレス制御のモータ制御装置において、停電等によってモータがフリーラン状態となった場合においても、騒音を発生させることなく正確にモータの停止判定を行うものである。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態によるモータ制御システム100のブロック図である。
図1において、モータ制御システム100は、モータMと、モータ制御装置MCと、を備えている。また、モータ制御装置MCは、電力変換器Iと制御部Cとを備えている。モータ制御装置MCは、例えば一枚の制御基板に実装されている。
【0012】
また、制御部Cは、スイッチング指令生成部Kと、周波数設定部Wと、電流強度計算部Pと、停止判定部Qと、を備えている。なお、これら制御部Cの要素の詳細について詳細は後述する。制御部Cは、電力変換器Iに対して、PWM(Pulse Width Modulation)のスイッチング指令SWを出力する。電力変換器Iは、このスイッチング指令SWに基づいてモータMにPWM変調波の電圧を印加する。電流検出部Rsは、電力変換器Iの母線を流れた電流を検出する。
【0013】
図2は電力変換器Iのブロック図である。
図2において、電力変換器Iは、整流回路RFと、インバータ回路IPMと、直流電圧検出部30と、を備えている。整流回路RFは、交流電圧源E(例えば商用電源)から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路RFは、ダイオードブリッジによる全波整流回路(図示せず)と、平滑コンデンサ(図示せず)と、を備えている。直流電圧検出部30は、該平滑コンデンサの電圧、すなわち整流回路RFの出力電圧を検出する。また、インバータ回路IPMは、上アームにおける半導体素子S1,S3,S5と、下アームにおける半導体素子S2,S4,S6と、これら半導体素子S1~S6に並列接続されたダイオードDと、電流検出部Rsと、を備えている。
【0014】
半導体素子S1~S6は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。上述したスイッチング指令生成部K(図1参照)は、スイッチング指令SWを出力する。このスイッチング指令SWは、スイッチング指令SW1~SW6を含んでおり、これらは、半導体素子S1~S6のオン/オフ状態をそれぞれ指定するものである。インバータ回路IPMは、スイッチング指令SW1~SW6に基づき、各半導体素子S1~S6をスイッチングし、U相,V相,W相の配線20U,20V,20Wを介して、PWM変調波の電圧をモータMに印加する。
【0015】
すなわち、インバータ回路IPMは、半導体素子S1,S2を介してモータMにU相電圧を印加し、半導体素子S3,S4を介してモータMにV相電圧を印加し、半導体素子S5,S6を介してモータMにW相電圧を印加する。配線20Pは直流電圧のプラスの電位側の配線であり、配線20Nはマイナスの電位側の配線である。電流検出部Rsは、シャント抵抗器(図示せず)を用いてモータMに流れた電流を検出するものであり、配線20Nに挿入されている。電流検出部Rsは、検出した電流値を電流検出値Idcとして出力する。
【0016】
図1に戻り、周波数設定部Wは、所定の回転速度に対応する指定周波数ω1を出力する。電流検出部Rsから出力された電流検出値Idcには、該指定周波数ω1の周波数成分が含まれている。電流強度計算部Pは、この該指定周波数ω1の周波数成分の強度である電流強度Iω1を計算する。停止判定部Qは、電流強度Iω1の変化状態に基づいて、モータMが停止しているか否かを判定し、その結果を停止判定信号JSとして出力する。なお、停止判定信号JSは、“1”(停止中)または“0”(回転中)となる二値信号である。但し、停止判定信号JSが“1”(停止中)になる場合とは、必ずしもモータMが完全に停止した状態に限られず、モータMの用途に応じて、「停止中である」とみなして差し支えない程度に低速回転している場合も含めてよい。
【0017】
次に、モータMを停止させる際の制御モードであるブレーキモードMBおよび電流検出モードMDについて説明する。
図3は、ブレーキモードMBの説明図である。
ブレーキモードMBにおいて、スイッチング指令生成部K(図1参照)は、例えば、下アームにおける半導体素子S2,S4,S6をオン状態に設定し、上アームにおける半導体素子S1,S3,S5をオフ状態に設定するスイッチング指令SWを出力する。ブレーキモードMBにおいて、インバータ回路IPMは、モータMに生じる誘起電圧を短絡し、モータMの巻線内に電流を流しモータを減速させる。なお、ブレーキモードMBにおいては、図示の例とは逆に、上アームにおける半導体素子S1,S3,S5をオン状態に設定し、下アームにおける半導体素子S2,S4,S6をオフ状態に設定してもよい。
【0018】
図4は、電流検出モードMDの説明図である。
図4に示すように、電流検出モードMDにおいては、例えば、何れか1相の上アームにおける半導体素子(図示の例では半導体素子S1)と、他の2相の下アームにおける半導体素子(同、半導体素子S4,S6)と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態とするスイッチング指令SWを出力する。なお、図示の状態とは逆に、何れか2相の上アームにおける半導体素子と、他の1相の下アームにおける半導体素子と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態としてもよい。
【0019】
これにより、電流検出モードMDにおいては、モータMに流れた電流を電流検出部Rsで検出することが可能になる。ブレーキモードMBにおいては、モータMを素早く減速させることができる。一方、電流検出モードMDにおいては、電流検出部Rsを介して電流検出値Idcを検出することができる。そこで、スイッチング指令生成部K(図1参照)は、モータMを停止される場合には、ブレーキモードMBおよび電流検出モードMDを交互に選択する。そして、スイッチング指令生成部Kは、選択した制御モードを実現するスイッチング指令SWをインバータ回路IPMに供給することにより、半導体素子S1~S6のスイッチング状態を制御する。
【0020】
図5は、スイッチング指令生成部Kにおける各種波形の例を示す図である。
スイッチング指令生成部K(図1参照)は、図示の三角波信号Triと、U相,V相,W相の変調率を表す変調率指令信号Mu,Mv,Mwを生成する。三角波信号Triの周期をキャリア周期Tcと呼ぶ。スイッチング指令生成部Kは、変調率指令信号Mu,Mv,Mwが三角波信号Triのレベルを超える期間に各々スイッチング指令SW1,SW3,SW5をオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする。
【0021】
図示の例において、変調率指令信号Muは矩形パルス状であるため、スイッチング指令SW1も矩形パルス状になる。この変調率指令信号Muの周期を電流検出モード発生間隔Tswと呼ぶ。電流検出モード発生間隔Tswは、モータMの回転速度の検出を目的としていることから、図示のように、キャリア周期Tcよりも長い周期に設定する。一方、変調率指令信号Mv,Mwのレベルは、常に三角波信号Triのレベル未満であるため、スイッチング指令SW3,SW5は常にオフ状態になる。
【0022】
なお、スイッチング指令SW2,SW4,SW6の波形については図示を省略するが、これらの値は、スイッチング指令SW1,SW3,SW5に対して相補的な値になる。従って、スイッチング指令SW4,SW6は常にオン状態になる。これにより、図5においてスイッチング指令SW1がオン状態である期間の制御モードは電流検出モードMD(図4参照)になり、スイッチング指令SW1がオフ状態である期間の制御モードはブレーキモードMB(図3参照)になる。
【0023】
また、電流検出モード発生間隔Tswを短くすると、整流回路RF(図2参照)に含まれるコンデンサ(図示せず)の電圧が上昇し、整流回路RFの出力電圧が過電圧なる可能性がある。そのため、電力変換器Iに直流電圧検出部30が検出した直流電圧に応じて、電流検出モード発生間隔Tswを徐々に短くするよう可変してもよい。換言すれば、スイッチング指令生成部Kは、直流電圧検出部30が検出した直流電圧が所定値以下になるように電流検出モード発生間隔Tswを設定する機能を備えてもよい。
【0024】
図6は電流強度計算部Pのブロック図である。
上述したように、電流強度計算部Pは、電流Idcに含まれる、指定周波数ω1の周波数成分の強度である電流強度Iω1を計算する。
電流強度計算部Pは、乗算器41,42,47と、加算器43と、正弦演算部44と、余弦演算部45と、ローパスフィルタ46と、を備えている。
【0025】
正弦演算部44はsin(ω1t)を出力し、余弦演算部45はcos(ω1t)を出力する。乗算器41は、Idc・sin(ω1t)を出力し、乗算器42は、Idc・cos(ω1t)を出力する。これにより、加算器43は、「Idc・sin(ω1t)+Idc・cos(ω1t)」となる電流値Ifを出力する。モータMが機械速度ωm[rad/s]で回転している場合、電気角速度ωe[rad/s]はモータMの極対数Nを用いて、下式(1)のように表される。

ωe = N・ωm …式(1)
【0026】
モータの誘起電圧もωe[rad/s]に応じた周期で変化することから、電流検出値Idcも、同様の角速度ωe[rad/s]で変化する。電気角速度ωeが指定周波数ω1に等しくなると、下式(2)が成立する。なお、式(2)において、Is,Icは振幅値である。

Idc=Is・sin(ω1t)+Ic・cos(ω1t)…式(2)
【0027】
これにより、加算器43が出力する電流値Ifは、下式(3)のようになる。

If=Idc・sin(ω1t)+Idc・cos(ω1t)
=(Is・sin(ω1t)+Ic・cos(ω1t))・sin(ω1t)
+(Is・sin(ω1t)+Ic・cos(ω1t))・cos(ω1t)
=Is・(1-cos(2ω1t))/2
+Ic・(1+cos(2 ω1t))/2
+(Is+Ic)(sin(ω1t)・cos(ω1t))
…式(3)
【0028】
図6において、ローパスフィルタ46は、電流値Ifから交流成分を除去する。式(3)の波形は、直流成分と交流成分が加算された波形であり、ローパスフィルタ46が交流成分を除去すると、ローパスフィルタ46の出力は「Is/2+Ic/2」になる。乗算器47は、ローパスフィルタ46の出力信号に「2」を乗算し、その結果を指定周波数ω1に対する電流強度Iω1として出力する。従って、乗算器47は、下式(4)に示す電流強度Iω1を出力する。

Iω1 = (Is+ Ic) …(4)
【0029】
図7は、停止判定部Qにおいて実行される処理のフローチャートである。
なお、停止判定部Qは、電流強度計算部Pでの計算した電流強度Iω1の最大値を検出し、所定時間経過後にモータMが停止した旨を示す停止判定信号JSを出力するものである。
図1において処理がステップS102に進むと、停止判定部Qは各種初期設定を行う。すなわち、停止判定部Qは、電流強度履歴X(n-1)、電流強度偏差ΔIω1、最大電流強度偏差ΔIω1_max、およびカウント値Jを「0」に設定する。また、停止判定部Qは、出力する停止判定信号JSを“0”(回転中)に設定する。
【0030】
次に、処理がステップS104に進むと、停止判定部Qは、電流強度履歴X(n)に、電流強度Iω1を代入する。次に、処理がステップS106に進むと、停止判定部Qは、電流強度履歴X(n)から電流強度履歴X(n-1)を減算した減算結果を求め、電流強度偏差ΔIω1にこの減算結果を代入する。
【0031】
次に、処理がステップS108に進むと、停止判定部Qは、電流強度履歴X(n)を電流強度履歴X(n-1)に代入する。次に、処理がステップS110に進むと、停止判定部Qは、電流強度偏差ΔIω1が最大電流強度偏差ΔIω1_maxを超えているか否かを判定する。なお、最大電流強度偏差ΔIω1_maxは、過去に計算された電流強度偏差ΔIω1の最大値である。
【0032】
ステップS110において「Yes」と判定されると、処理がステップS112に進み、停止判定部Qは、現在の電流強度偏差ΔIω1を最大電流強度偏差ΔIω1_maxに代入する。そして、所定時間twだけ処理を待機させた後、処理はステップS104に戻り、ステップS104以下の処理が繰り返される。一方、ステップS110において「No」と判定されると、処理はステップS116に進み、停止判定部Qはカウント値Jを「1」だけインクリメントし、所定時間twだけ処理を待機させる
【0033】
次に、処理がステップS116に進むと、停止判定部Qは、カウント値Jが所定の最大値J_stopを超えたか否かを判定する。ここで「No」と判定されると、処理はステップS104に戻り、ステップS104以下の処理が繰り返される。一方、ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS118に進み、停止判定部Qは、停止判定信号JSを“1”(停止中)に設定し、本ルーチンの処理が終了する。
【0034】
図8は電流検出値Idcの波形の一例を示す図である。
上述したように、ブレーキモードMB(図3参照)において電流検出値Idcは「0」になり、電流検出モードMD(図4参照)において電流検出値Idcは「0」以外の値になり得る。
従って、図8に示すように、電流検出値Idcの波形は、パルス状になる。そして、電流検出値Idcの包絡線は、モータMのU相巻線に流れるU相電流Iuに相当する。従って、電流検出値Idcの包絡線、すなわちU相電流Iuの周波数成分は、モータMの電気角速度ωeとなる。
【0035】
図9は、電気角速度ωe、電流強度Iω1および停止判定信号JSの関係を示す図である。
図9に示すように、電気角速度ωeは、指定周波数ω1よりも高い値から徐々に減少し、モータMが停止した時に「0」になる。また、電気角速度ωeが指定周波数ω1よりも高い値から徐々に低下し指定周波数ω1に近づくと、電流強度Iω1は上昇してゆく。そして、電気角速度ωeが指定周波数ω1と等しくなった時刻t1において、電流強度Iω1にはピーク値が現れる。その後、電気角速度ωeの低下とともに電流強度Iω1も低下してゆく。
【0036】
また、停止判定部Qは、停止判定信号JSの初期値を“0”(回転中)に設定する。そして、電流強度Iω1にピークが現れた時刻t1から所定の待機時間tstopが経過すると、停止判定信号JSを“1”(停止中)に変更する。この待機時間tstopは、図7に示した最大値J_stopと所定時間twとの乗算結果に対応する値である。
【0037】
上述した指定周波数ω1は、モータMの減速率や、モータ制御システム100の適用対象にもよるが、例えば洗濯機の場合、モータの最高回転速度の5%以下の値や、10[rpm]以下の値に設定すると好ましい。また、電流検出値Idcのサンプリング間隔すなわち電流検出モード発生間隔Tsw(図5参照)は、指定周波数ω1の2倍以上の周波数とすることが好ましい。また、待機時間tstopは、「1」~「10」秒程度に設定することが好ましい。また、電流強度Iω1にピーク値が現れた後の期間、すなわち図9において時刻t1以降の期間においては、制御モードを継続的にブレーキモードMB(図3参照)にすることにより、モータMを、より早く減速させるようにしてもよい。
【0038】
図10は、コンピュータ980のブロック図である。
図1に示した制御部Cは、図10に示すコンピュータ980を、1台または複数台備えている。
図10において、コンピュータ980は、CPU(Central Processing Unit)981と、記憶部982と、通信I/F(インタフェース)983と、入出力I/F984と、DSP(Digital Signal Processor)985と、を備える。ここで、記憶部982は、RAM982aと、ROM982bと、を備える。通信I/F983は、通信回路986に接続される。入出力I/F984は、入出力装置987に接続される。
【0039】
ROM982bには、CPU981およびDSP985によって実行される制御プログラムや各種データ等が記憶されている。CPU981およびDSP985は、これら制御プログラムを実行することにより、各種機能を実現する。先に図1に示した、制御部Cの内部は、制御プログラム等によって実現される機能をブロックとして示したものである。
【0040】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
第2実施形態の構成は、第1実施形態のもの(図1図2参照)と同様であるが、以下の点が異なる。すなわち、第2実施形態における周波数設定部Wは、2種類の指定周波数ω11,ω12(但し、ω11>ω12)を出力する。また、電流強度計算部Pは、指定周波数ω11,ω12に各々に対応する電流強度Iω11,Iω12を出力する。また、停止判定部Qは、これら電流強度Iω11,Iω12に基づいて停止判定信号JSを出力する。
図11は、第2実施形態における電気角速度ωeと、電流強度Iω11,Iω12との関係を示す図である。
図9に示したものと同様に、電気角速度ωeは、指定周波数ω11よりも高い値から徐々に減速し、モータMが停止した時に「0」になる。そして、電気角速度ωeが指定周波数ω11と等しくなった時刻t11において、電流強度Iω11にはピーク値が現れる。同様に、電気角速度ωeが指定周波数ω12と等しくなった時刻t12において、電流強度Iω12にはピーク値が現れる。本実施形態における停止判定部Qは、指定周波数ω11,ω12の偏差Δωと、時刻t11,t12の偏差Δtと、に基づいて、モータMの減速率Δω/Δtを算出する。
【0041】
これにより、停止判定部Qは、減速率Δω/Δtに基づいて、電気角速度ωeが「0」になる停止時刻を予測することができる。停止判定部Qは、第1実施形態と同様に停止判定信号JSの初期値を“0”(回転中)に設定するとともに、予測した停止時刻において、停止判定信号JSを“1”(停止中)に設定する。これにより、より正確な停止判定信号JSを出力することができる。
【0042】
上述の例では、2つの指定周波数ω11,ω12を適用した例を説明したが、3つ以上の指定周波数を適用して、停止時刻を予測するようにしてもよい。このように、複数の指定周波数を適用する場合において、指定周波数の最低値(図11の例では指定周波数ω12)を、第1実施形態における指定周波数ω1よりも高い値に設定してもよい。すなわち比較的高い電気角速度ωeにおいて減速率Δω/Δtを計算し、その後は、制御モードを継続的にブレーキモードMBにしてもよい。これにより、ブレーキモードMBの適用時間を長くすることができ、モータMを、一層早期に停止させることができる。
【0043】
また、モータMが外部から回転力を与えられ減速でなく加速している場合も考えられる。本実施形態においては、複数の指定周波数についてピークが現れる時刻をそれぞれ検出するため、モータMの加速状態も検出することができる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
第3実施形態の構成は、第1実施形態のもの(図1図2参照)と同様である。すなわち、第3実施形態におけるスイッチング指令生成部Kは、ブレーキモードMBと電流検出モードMDとを交互に適用してスイッチング指令SWを出力する点で第1実施形態のものと共通している。
【0045】
但し、本実施形態における電流検出モードMDには、図示は省略するが、U相電流検出サブモードMDU、V相電流検出サブモードMDV、およびW相電流検出サブモードMDWという3つのサブモードが存在する。そして、スイッチング指令生成部Kは、電流検出モードMDを適用する場合には、これら3つのサブモードが循環的に選択する。
【0046】
U相電流検出サブモードMDUにおいては、図4に示したように、U相の上アームにおける半導体素子S1と、他の2相の下アームにおける半導体素子S4,S6と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態とする。なお、これとは逆に、U相の下アームにおける半導体素子S2と、他の2相の上アームにおける半導体素子S3,S5と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態としてもよい。
【0047】
また、V相電流検出サブモードMDVにおいては、V相の上アームにおける半導体素子S3と、他の2相の下アームにおける半導体素子S2,S6と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態とする。なお、これとは逆に、V相の下アームにおける半導体素子S4と、他の2相の上アームにおける半導体素子S1,S5と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態としてもよい。
【0048】
また、W相電流検出サブモードMDWにおいては、W相の上アームにおける半導体素子S5と、他の2相の下アームにおける半導体素子S2,S4と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態とする。なお、これとは逆に、W相下アームにおける半導体素子S6と、他の2相の上アームにおける半導体素子S1,S3と、をオン状態とし、他の半導体素子をオフ状態としてもよい。
【0049】
図12は、第3実施形態のスイッチング指令生成部Kにおける各種波形の例を示す図である。
図12において、三角波信号Triは第1実施形態のもの(図5参照)と同様であるが、本実施形態における変調率指令信号Mu,Mv,Mwは、図示のように、循環的に立ち上がる期間を有している。これにより、各スイッチング指令SW1,SW3,SW5においても、オン状態になる期間が循環的に生じている。
【0050】
図13は、第3実施形態における電流検出値Idcの波形の一例を示す図である。
第1実施形態のもの(図8参照)と同様に、電流検出値Idcの波形は、パルス状になる。そして、各々のサブモードに対応するタイミングにおける電流検出値Idcの包絡線は、それぞれモータMのU相,V相,W相巻線に流れるU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwに相当する。これらU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwの周波数成分は、モータMの電気角速度ωeとなる。
【0051】
本実施形態における電流強度計算部Pは、U相,V相,W相に各々対応する電流検出値Idcに基づいて、U相,V相,W相に各々対応する指定周波数ω1の電流強度Iω1u,Iω1v,Iω1wを算出する。そして、これら電流強度Iω1u,Iω1v,Iω1wの平均値を電流強度Iω1として、第1実施形態と同様の処理を行う。なお、上述の例では、スイッチング指令生成部Kは、U相電流検出サブモードMDU、V相電流検出サブモードMDV、およびW相電流検出サブモードMDWを循環的に適用したが、これらサブモードをランダムに適用してもよい。
【0052】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態による縦型洗濯機200の模式的断面図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図14において、縦型洗濯機200(洗濯機)は、筐体6と、筐体6に装着された外フタ5(フタ)と、を備えている。また、縦型洗濯機200は、筐体6および外フタ5の内側に、水槽7と、洗濯槽3と、モータMと、モータ制御装置MCと、を備えている。ドアロック部11は、外フタ5を閉状態でロックする。
【0053】
洗濯工程では、洗濯槽3の中に洗濯物が投入され、給水装置8より洗濯水を水槽7に蓄え、モータMに接続された攪拌羽4のみを回転させ洗濯物を洗浄する。また、脱水工程では、モータMに接続されたクラッチ9を切り替え、洗濯槽3と攪拌羽4を共に回転させ遠心力で洗濯物の脱水を行う。
【0054】
また、停止判定信号JSは、第1実施形態のものと同様に、モータMの回転中は“0”になり、停止中は“1”になる。ここで“1”(停止中)とは、必ずしもモータMが完全に停止した状態ではなく、ユーザが洗濯槽3に触れても安全な程度の低速状態になった場合も含めてよい。ドアロック部11は、停止判定信号JSが“1”になったことを条件として、外フタ5のロック状態を解除し、外フタ5を開閉できるようにする。
【0055】
[実施形態の効果]
以上のように上述した実施形態によれば、モータ制御装置MCは、電力変換器Iに対する制御モードとして、電力変換器Iの全相を同一のスイッチング状態にするブレーキモードMBと、1相を他相と異なるスイッチング状態にすることにより、電流検出部Rsを介してモータMに流れる電流を検出する電流検出モードMDと、を交互に選択し、選択した制御モードに基づくスイッチング指令SWを電力変換器Iに供給するスイッチング指令生成部Kと、電流検出モードMDにおいて検出した電流検出値Idcから、指定周波数ω1の成分の電流強度Iω1を計算する電流強度計算部Pと、電流強度Iω1に基づいて、モータMが停止したか否かを判定する停止判定部Qと、を備える。
【0056】
これにより、指定周波数ω1の成分の電流強度Iω1に基づいて、モータMが停止したか否かを適切に判定することができる。また、このような構成により、電流検出部Rsを1個のみ設ける「1シャント電流検出方式」においても、騒音を発生させることなくモータMの正確な停止判定を実現できる。
【0057】
また、停止判定部Qは、電流強度Iω1のピークを検出した後、所定の待機時間tstopが経過した後に、モータMが停止した旨を判定すると一層好ましい。これにより、指定周波数ω1を比較的高い値に設定することができ、モータMの誘起電圧が比較的高い状態で指定周波数ω1の成分の電流強度Iω1を正確に計算できる。
【0058】
また、電流強度計算部Pは、電流検出値Idcから、複数の指定周波数ω11,ω12の成分の各々の電流強度Iω11,Iω12を計算するものであり、停止判定部Qは、複数の電流強度Iω11,Iω12に基づいてモータMが停止した旨を判定すると一層好ましい。
【0059】
これにより、指定周波数ω11,ω12の成分の各々の電流強度Iω11,Iω12を一層正確に計算できる。さらに、指定周波数ω11,ω12を比較的高い値に設定できるため、ブレーキモードMBを採用できる期間を長く確保できる。
【0060】
また、モータMは、複数相の巻線を備えるものであり、スイッチング指令生成部Kは、電流検出モードMDにおいて、何れかの1相の巻線に流れる電流を検出し、複数相の全ての巻線に流れる電流を循環的に検出し、または、複数相の全ての巻線に流れる電流をランダムに検出すると一層好ましい。
【0061】
固定的に定めた何れかの1相の巻線に流れる電流を検出する場合には、制御内容を簡略化できる。また、複数相の全ての巻線に流れる電流を循環的に検出する場合には、半導体素子S1~S6における温度上昇を分散することができ、これら素子の寿命低下を抑制することができる。また、断線や素子故障が発生し、何れかのサブモードにおいて電流強度が取得できなくなった場合においても、他のサブモードにおいて計算した電流強度に基づいて、モータMの停止判定を行うことができる。さらに、複数相の全ての巻線に流れる電流をランダムに検出する場合には、モータMから生じるスイッチング音のスペクトルを拡散することができ、電流検出によって生じる雑音を、より低減することが可能となる。
【0062】
また、電流検出モードMDが発生する周期である電流検出モード発生間隔Tswは、PWM変調波のキャリア周期Tcよりも長いと一層好ましい。これにより、適切な電流検出モード発生間隔Tswを確保しやすくなる。
【0063】
また、電力変換器Iは、インバータ回路IPMと、インバータ回路IPMに入力される直流電圧を検出する直流電圧検出部30と、を備え、スイッチング指令生成部Kは、直流電圧検出部30が検出した直流電圧が所定値以下になるように、電流検出モードMDが発生する周期である電流検出モード発生間隔Tswを設定する機能を備えると一層好ましい。これにより、直流電圧が過電圧になる状態を抑制できる。
【0064】
また、電流検出部Rsは、電力変換器Iに入力される電流を検出すると一層好ましい。これにより、「1シャント電流検出方式」を採用しつつ、モータMの正確な停止判定を実現できる。
【0065】
また、洗濯機(200)は、モータ制御装置MCと、洗濯槽3と、攪拌羽4と、を備え、モータMは、洗濯槽3または攪拌羽4を回転駆動すると一層好ましい。これにより、洗濯槽3または攪拌羽4がユーザにとって安全な停止状態に至ったか否かを判定できる。
【0066】
また、洗濯機(200)は、洗濯槽3および攪拌羽4を収納する筐体6と、筐体6に装着されたフタ(5)と、停止判定部Qが、モータMが停止した旨を判定すると、フタ(5)のロックを解除するドアロック部11と、をさらに備えると一層好ましい。これにより、洗濯槽3または攪拌羽4がユーザにとって安全な停止状態に至った際にフタ(5)のロックを解除できる。
【0067】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0068】
(1)上記各実施形態において、電流検出部Rsは、電力変換器Iに入力される電流を検出したが、これに代えて、モータMの何れかの相に流れる電流を検出してもよい。
【0069】
(2)上述の第4実施形態においては、縦型洗濯機200に本発明を適用した例について説明したが、縦型洗濯機200に代えて、ドラム式洗濯機や洗濯乾燥機等、他の洗濯機に本発明を適用してもよい。
【0070】
(3)上記実施形態における制御部Cのハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、上述した各ブロック図、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体(プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0071】
(4)上述した各ブロック図、その他上述した各種処理を実行するプログラム等は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【0072】
(5)上記実施形態において実行される各種処理は、図示せぬネットワーク経由でサーバコンピュータが実行してもよく、上記実施形態において記憶される各種データも該サーバコンピュータに記憶させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
3 洗濯槽
4 攪拌羽
5 外フタ(フタ)
6 筐体
11 ドアロック部
30 直流電圧検出部
200 縦型洗濯機(洗濯機)
I 電力変換器
K スイッチング指令生成部
M モータ
P 電流強度計算部
Q 停止判定部
MB ブレーキモード
MC モータ制御装置
MD 電流検出モード
Rs 電流検出部
SW スイッチング指令
Tc キャリア周期
IPM インバータ回路
Idc 電流検出値
Tsw 電流検出モード発生間隔
ω1,ω11,ω12 指定周波数
Iω1,Iω11,Iω12 電流強度
stop 待機時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14