(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154066
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
F16F 9/58 20060101AFI20241023BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
F16F9/58 B
F16F9/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067678
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 康介
(72)【発明者】
【氏名】山貝 大志
(72)【発明者】
【氏名】関根 誠隆
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA50
3J069CC06
3J069CC28
3J069DD39
3J069DD44
3J069EE01
(57)【要約】
【課題】バンパキャップの耐久性を向上させることができる緩衝器を提供する。
【解決手段】バンパキャップ13は、シリンダのピストンロッドが延出する側の端部に設けられる軸方向端面と当接すると共にピストンロッドが挿通される貫通孔を有する蓋部70と、貫通孔よりも径方向外側に設けられ、シリンダの外周面の少なくとも一部を覆う円筒状の筒部72と、筒部72に設けられ、筒部72の外周面72aと内周面72bとを連通する複数の連通孔91と、筒部72の径方向内側に設けられ、複数の連通孔91の間に配置されて、シリンダと嵌合する嵌合部76と、筒部72の径方向外側に設けられ、複数の連通孔91の軸方向端部から延びて、径方向外側に突出する肉厚部75と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に設けられるピストンと、
第1端部が前記ピストンに連結され、第2端部が前記シリンダから延出するピストンロッドと、
前記シリンダの前記ピストンロッドが延出する側の端部に設けられるバンパキャップと、
を備え、
前記バンパキャップは、
前記シリンダの前記ピストンロッドが延出する側の端部に設けられる軸方向端面と当接すると共に前記ピストンロッドが挿通される貫通孔を有する蓋部と、
前記貫通孔よりも径方向外側に設けられ、前記シリンダの外周面の少なくとも一部を覆う円筒状の筒部と、
前記筒部に設けられ、該筒部の外周面と内周面とを連通する複数の連通孔と、
前記筒部の径方向内側に設けられ、前記複数の連通孔の間に配置されて、前記シリンダと嵌合する嵌合部と、
前記筒部の径方向外側に設けられ、前記複数の連通孔の軸方向端部から延びて、径方向外側に突出する肉厚部と、を有する、
緩衝器。
【請求項2】
請求項1に記載の緩衝器であって、
前記肉厚部の円周方向長さは、前記連通孔の円周方向幅と同等もしくは前記円周方向幅よりも短く形成されている緩衝器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の緩衝器であって、
前記肉厚部の軸方向長さは、前記嵌合部の軸方向長さよりも長く形成されている緩衝器。
【請求項4】
請求項3に記載の緩衝器であって、
前記筒部の端部には、前記ピストンロッドを覆うダストカバーを固定する固定部が設けられ、
前記肉厚部は、前記連通孔の軸方向端部から前記固定部まで延びている緩衝器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の緩衝器であって、
前記肉厚部は、前記バンパキャップを製造する際に発生するウェルドライン上に形成されている緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器において、シリンダのロッドが突出する側をバンパキャップで覆ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝器において、バンパキャップの耐久性を向上させることが望まれている。
【0005】
したがって、本発明は、バンパキャップの耐久性を向上させることができる緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る緩衝器の一の態様は、シリンダと、前記シリンダ内に設けられるピストンと、第1端部が前記ピストンに連結され、第2端部が前記シリンダから延出するピストンロッドと、前記シリンダの前記ピストンロッドが延出する側の端部に設けられるバンパキャップと、を備え、前記バンパキャップは、前記シリンダの前記ピストンロッドが延出する側の端部に設けられる軸方向端面と当接すると共に前記ピストンロッドが挿通される貫通孔を有する蓋部と、前記貫通孔よりも径方向外側に設けられ、前記シリンダの外周面の少なくとも一部を覆う円筒状の筒部と、前記筒部に設けられ、該筒部の外周面と内周面とを連通する複数の連通孔と、前記筒部の径方向内側に設けられ、前記複数の連通孔の間に配置されて、前記シリンダと嵌合する嵌合部と、前記筒部の径方向外側に設けられ、前記複数の連通孔の軸方向端部から延びて、径方向外側に突出する肉厚部と、を有する、構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バンパキャップの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態の緩衝器を示す一部を断面とした正面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の緩衝器のバンパキャップを示す平面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の緩衝器のバンパキャップを示す
図2のIII矢視図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の緩衝器のバンパキャップを示す
図3のIV矢視図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の緩衝器のバンパキャップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ以下に説明する。
【0010】
図1は、実施形態の緩衝器(Shock Absorber)を示すものである。実施形態の緩衝器11は複筒型の油圧緩衝器である。緩衝器11は、車両、具体的には自動車のストラット型サスペンション装置に用いられるものである。緩衝器11は、緩衝器本体12と、バンパキャップ13と、を備えている。
【0011】
緩衝器本体12は、シリンダ21と、メインブラケット22と、スプリングシート23と、サブブラケット24と、を備えている。
【0012】
シリンダ21は、いずれも金属製の内筒31と外筒32とを有している。内筒31は円筒状である。外筒32は有底の円筒状である。よって、外筒32は、その外周面32aが円筒面状である。内筒31は、外筒32と同軸状に配置されて外筒32の径方向内側に配置されている。内筒31と外筒32との間はリザーバ室33となっている。シリンダ21には、内筒31内に作動流体としての油液Lが封入され、リザーバ室33内に作動流体としての油液LとガスGとが封入されている。
【0013】
外筒32は、円筒状の胴部36と、胴部36の軸方向の一端側を閉塞する底部37と、を有している。外筒32の外周面32aは、胴部36の外周面である。外筒32は、胴部36の軸方向における底部37とは反対側の端部が開口部38となっている。外筒32内の底部37上には、ベースバルブ(図示略)が胴部36に対し径方向に位置決めされて載置されている。胴部36の軸方向における底部37とは反対側の端部の内周部には、ロッドガイド(図示略)が嵌合されている。内筒31は、軸方向の一端がベースバルブに支持されると共に、軸方向の他端がロッドガイドに支持されており、これにより、外筒32に対し同軸状に配置されている。
【0014】
メインブラケット22は、金属製であり、外筒32の軸方向における中央位置よりも底部37側の胴部36に嵌合されて溶接により固定されている。メインブラケット22は、複数の取付穴39に挿入される締結具(図示略)で車両の車輪(図示略)側に連結される。
【0015】
スプリングシート23は、金属製であり、外筒32の軸方向における中央位置よりも底部37とは反対側の胴部36に嵌合されて溶接により固定されている。スプリングシート23は、車体(図示略)を支持するコイルスプリングである車体支持スプリング(図示略)の下端を支持する。
【0016】
サブブラケット24は、金属製であり、メインブラケット22の外周側または外筒32の外周筒32aに溶接によって固定されている。サブブラケット24は、緩衝器11の周囲に配索されるハーネスやホース等を支持する。
【0017】
緩衝器本体12は、シリンダ21内に設けられるピストン40を有している。ピストン40は、シリンダ21の内筒31内に摺動可能に嵌装されている。ピストン40は、内筒31内に第1室41と第2室42とを画成する。第1室41は、内筒31の軸方向におけるピストン40よりも底部37とは反対側に設けられている。第2室42は、内筒31の軸方向におけるピストン40よりも底部37側に設けられている。第2室42は、底部37に載置されたベースバルブ(図示略)によって、リザーバ室33と区画されている。
【0018】
緩衝器本体12は、ピストンロッド50を備えている。ピストンロッド50は、その軸方向における一端の第1端部がシリンダ21の内筒31内に配置されている。ピストンロッド50は、この第1端部がピストン40に連結されている。ピストンロッド50は、その軸方向における、この第1端部とは反対側の他端の第2端部がシリンダ21からシリンダ21の外部に延出されている。
【0019】
ピストンロッド50は、主軸部51と、取付軸部52とを有している。主軸部51および取付軸部52は、いずれも棒状である。取付軸部52は、その外径が主軸部51の外径よりも小径である。取付軸部52は、ピストンロッド50の第1端部に設けられており、内筒31内に配置されている。ピストンロッド50には、取付軸部52にピストン40が取り付けられている。ピストン40はピストンロッド50と一体に移動する。
【0020】
外筒32の胴部36には、軸方向の底部37とは反対側の内周部に、上記したロッドガイド(図示略)が嵌合されており、このロッドガイドよりもさらに底部37とは反対側の内周部にシール部材(図示略)が嵌合されている。ロッドガイドは、ピストンロッド50の主軸部51を摺動可能に支持する。シール部材は、ピストンロッド50の主軸部51に対し摺動可能であり、主軸部51と外筒32の胴部36との間を閉塞する。
【0021】
シリンダ21は、外筒32の胴部36の軸方向の底部37とは反対側の端部が、径方向内側に平板状に加締められて加締部53となっており、この加締部53が、シール部材(図示略)をロッドガイド(図示略)とで挟持する。シリンダ21の軸方向における底部37とは反対側の端部は、この加締部53となっている。外筒32の軸方向における底部37とは反対側の端面である軸方向端面32bは、外筒32の軸方向における、この加締部53の底部37とは反対側の端面である。この軸方向端面32bは、シリンダ21の軸方向に対し垂直に広がる平面状をなしている。加締部53の径方向内側が上記した開口部38となっており、この開口部38をピストンロッド50の主軸部51が通過する。軸方向端面32bは、シリンダ21のピストンロッド50が延出する側の端部に設けられている。
【0022】
ピストン40には、軸方向に貫通する通路54および通路55が形成されている。通路54および通路55は、いずれも、第1室41と第2室42とを連通可能となっている。
【0023】
緩衝器本体12は、ディスクバルブ56と、ディスクバルブ57とを備えている。
ディスクバルブ56は、ピストン40の軸方向における底部37とは反対側に設けられている。ディスクバルブ56は、ピストン40に当接することで通路54を閉塞可能となっている。
【0024】
ディスクバルブ57は、ピストン40の軸方向における底部37側に設けられている。ディスクバルブ57は、ピストン40に当接することで通路55を閉塞可能となっている。ディスクバルブ56およびディスクバルブ57は、ピストン40と共にピストンロッド50の取付軸部52にナット59で取り付けられている。
【0025】
ディスクバルブ56は、ピストンロッド50がシリンダ21内への進入量を増やす縮み側に移動しピストン40が第2室42を狭める方向に移動して第2室42の圧力が第1室41の圧力よりも所定値以上高くなると通路54を開いて油液Lを流すことになる。その際に、ディスクバルブ56は、減衰力を発生させる。ピストン40およびディスクバルブ56のうちの少なくとも一方には、ディスクバルブ56が通路54を最も閉塞した状態でも通路54を介して第1室41と第2室42とを連通させる固定オリフィス(図示略)が設けられている。
【0026】
ディスクバルブ57は、ピストンロッド50がシリンダ21からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン40が第1室41を狭める方向に移動して第1室41の圧力が第2室42の圧力よりも所定値以上高くなると通路55を開いて油液Lを流すことになる。その際に、ディスクバルブ57は、減衰力を発生させる。ピストン40およびディスクバルブ57のうちの少なくとも一方には、ディスクバルブ57が通路55を最も閉塞した状態でも通路55を介して第1室41と第2室42とを連通させる固定オリフィス(図示略)が設けられている。
【0027】
バンパキャップ13は、シリンダ21のピストンロッド50が延出する側の端部に、この端部を覆うように設けられている。バンパキャップ13は、開口部38の位置でピストンロッド50と外筒32との間を閉塞する上記したシール部材(図示略)を覆って保護する。
【0028】
ここで、緩衝器11が車両に取り付けられる際に、ピストンロッド50には、その軸方向におけるシール部材(図示略)よりも外側に突出する部分にバンプラバー(図示略)が設けられることになる。このバンプラバーは、蛇腹筒状の弾性材料からなっており、その内側にピストンロッド50が挿入される。このバンプラバーは、緩衝器本体12のシリンダ21が車体(図示略)との距離を縮めたときに、車体とバンパキャップ13とに当接し弾性変形して衝撃を吸収する。バンパキャップ13は、その際にバンプラバーとシール部材(図示略)とが衝突することを抑止する。また、バンパキャップ13は、シール部材に外部からダスト等が付着することを抑制する。
【0029】
また、緩衝器11が車両に取り付けられる際に、ピストンロッド50のシリンダ21から突出する部分およびバンプラバーを覆うように蛇腹筒状のダストカバー60が取り付けられる。このダストカバー60は、下端部がバンパキャップ13に固定される。
【0030】
緩衝器11に用いられるバンパキャップ13は、
図2~
図5に示すように、有蓋円筒状である。バンパキャップ13は、
図2および
図3に示す蓋部70、軸方向突出部71、筒部72、鍔部73、固定部74および肉厚部75と、
図4および
図5に示す嵌合部76および溝部77とを備えている。
【0031】
図2に示すように、蓋部70は、有孔円板状であり、その軸方向一側の外面70aと、その軸方向他側の
図4に示す内面70bとが、いずれも蓋部70の径方向に広がっている。蓋部70は、蓋部70の径方向における中央に蓋部70の軸方向に貫通する貫通孔81を有している。貫通孔81は、円形の丸穴である。言い換えれば、蓋部70は、貫通孔81の内周縁部82が円形状をなしている。
【0032】
図3に示すように、軸方向突出部71は、蓋部70の外面70aから、蓋部70の軸方向における外側に突出している。
図2に示すように、軸方向突出部71は、蓋部70の円周方向に部分的に設けられている。軸方向突出部71は、蓋部70の円周方向に鏡面対称の形状となっている。軸方向突出部71は、蓋部70の内周縁部82から蓋部70の径方向に沿って外側に直線状に延びている。
【0033】
バンパキャップ13には、蓋部70の軸方向における同側に同形状の軸方向突出部71が蓋部70の円周方向に等間隔で複数、具体的には三箇所設けられている。よって、軸方向突出部71は、蓋部70に120度間隔で配置されている。
【0034】
筒部72は、円筒状であり、
図2、
図3および
図5に示す円筒面状の外周面72aと、外周面72aと同軸の円筒面状の
図4および
図5に示す内周面72bとを有している。筒部72は、
図3に示す蓋部70の外周縁部の全周から蓋部70と同軸状をなして蓋部70の軸方向における軸方向突出部71とは反対側に延出している。言い換えれば、筒部72は、蓋部70の径方向外側端部に設けられている。筒部72は、
図4に示すように、蓋部70の径方向中央に設けられた貫通孔81よりも径方向外側に設けられている。
【0035】
図3に示すように、筒部72には、軸方向における蓋部70とは反対側の端部に、軸方向における蓋部70とは反対側の端面から軸方向に凹む凹状部83が形成されている。凹状部83は、筒部72を筒部72の径方向に貫通している。凹状部83は、筒部72の円周方向に鏡面対称の形状となっている。
【0036】
筒部72には、筒部72の円周方向に所定の等間隔で、同形状の凹状部83が複数箇所、具体的には三箇所設けられている。よって、凹状部83は、筒部72に120度間隔で配置されている。これらの凹状部83は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。これらの凹状部83は、それぞれが、筒部72の円周方向における中央部の位相を、対応する一つの軸方向突出部71の筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。筒部72は、その軸方向における蓋部70とは反対側が開口する開口85となっている。開口85は、これらの凹状部83を含んでいる。バンパキャップ13は、軸方向の一端に開口85が設けられており、軸方向の他端に、蓋部70と、軸方向突出部71と、蓋部70を貫通する
図2に示す貫通孔81と、が設けられている。
【0037】
ここで、同軸状に配置される、貫通孔81、蓋部70および筒部72の中心軸線をバンパキャップ13の中心軸線とする。よって、貫通孔81、蓋部70、筒部72およびバンパキャップ13は、軸方向が一致し、円周方向も一致し、径方向も一致する。
【0038】
鍔部73は、
図3に示すように、筒部72の軸方向における蓋部70とは反対側の端縁部から筒部72の径方向における外側に突出している。鍔部73は、筒部72の円周方向に部分的に設けられている。鍔部73は、
図4に示すように、円弧状であり、筒部72の円周方向に鏡面対称の形状となっている。鍔部73は、筒部72の軸方向における蓋部70とは反対側の端縁部のうちの隣り合う凹状部83と凹状部83との間に形成されている。
【0039】
バンパキャップ13には、同形状の鍔部73が、筒部72の円周方向に等間隔で複数、具体的には三箇所設けられている。よって、鍔部73は、筒部72に120度間隔で配置されている。これらの鍔部73は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。
【0040】
固定部74は、
図3に示すように、筒部72の軸方向における蓋部70と鍔部73との間から筒部72の径方向における外側に突出している。固定部74は、筒部72の円周方向に部分的に設けられている。固定部74は、筒部72の軸方向における蓋部70とは反対側の端縁部のうちの凹状部83の最も蓋部70側の位置に設けられている。固定部74は、
図4に示すように、円弧状であり、筒部72の円周方向に鏡面対称の形状となっている。固定部74は、
図2に示すように、筒部72の円周方向における長さが、筒部72の円周方向における軸方向突出部71の長さよりも長くなっている。
【0041】
バンパキャップ13には、同形状の固定部74が、筒部72の円周方向に等間隔で複数、具体的には三箇所設けられている。よって、固定部74は、筒部72に120度間隔で配置されている。これらの固定部74は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。これらの固定部74は、それぞれが、筒部72の円周方向における中央部の位相を、対応する一つの軸方向突出部71の筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。固定部74は、筒部72の円周方向において、鍔部73と位置を異ならせている。固定部74と鍔部73とが、筒部72の円周方向において交互に等間隔で配置されている。よって、固定部74と鍔部73とが筒部72に60度間隔で交互に配置されている。
【0042】
図3に示すように、筒部72には、筒部72の軸方向における固定部74と蓋部70との間の蓋部70側の位置に、筒部72を筒部72の径方向に貫通する連通孔91が形成されている。言い換えれば、連通孔91は、筒部72に設けられて筒部72の外周面72aと
図5に示す内周面72bとを連通する。連通孔91は、バンパキャップ13の径方向に筒部72を貫通する横穴である。連通孔91は、筒部72の円周方向に鏡面対称の形状となっている。
【0043】
バンパキャップ13には、同形状の連通孔91が筒部72の円周方向に等間隔で複数、具体的には三箇所設けられている。よって、連通孔91は、筒部72に120度間隔で配置されている。これらの連通孔91は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。これらの連通孔91は、それぞれが、筒部72の円周方向における中央部の位相を、対応する一つの軸方向突出部71および対応する一つの固定部74のそれぞれの筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。連通孔91は、筒部72の円周方向における長さが、筒部72の円周方向における固定部74の長さよりも短く、筒部72の円周方向における軸方向突出部71の長さよりも短くなっている。
【0044】
図3に示すように、連通孔91の内周縁部101は、閉じられたループ状である。内周縁部101は、いずれも筒部72の軸方向に延びる直線状をなす一対の軸方向縁部102を有している。一対の軸方向縁部102は、筒部72の軸方向の位置を合わせ、互いに平行をなして、筒部72の円周方向に離間して互いに対向している。
【0045】
内周縁部101は、筒部72の円周方向に延びる円弧状の第1円周方向縁部104と、筒部72の円周方向に延びる直線状の第2円周方向縁部105と、を有している。第1円周方向縁部104は、一対の軸方向縁部102の筒部72の軸方向における蓋部70側の端縁部同士を結んでおり、第2円周方向縁部105は、一対の軸方向縁部102の筒部72の軸方向における蓋部70とは反対側の端縁部同士を結んでいる。よって、第1円周方向縁部104は、第2円周方向縁部105よりも筒部72の軸方向における蓋部70側に配置されている。第1円周方向縁部104と第2円周方向縁部105とは、筒部72の円周方向の位置を合わせ、筒部72の軸方向に離間して互いに対向している。第1円周方向縁部104は、筒部72の円周方向における中央ほど、筒部72の軸方向において蓋部70に近づくように湾曲している。第2円周方向縁部105は、筒部72の円周方向に直線状に延びている。
【0046】
肉厚部75は、筒部72の外周面72aの軸方向における連通孔91と固定部74との間から筒部72の径方向における外側に突出している。肉厚部75は、筒部72の円周方向に部分的に設けられている。言い換えれば、バンパキャップ13は、肉厚部75によって一部のみ外径側への肉厚化されている。肉厚部75は、筒部72の円周方向に鏡面対称の形状となっている。肉厚部75は、筒部72の円周方向における位相を合わせた対応する一つの連通孔91と対応する一つの固定部74との間に設けられている。肉厚部75は、その筒部72の円周方向における中央部の位相を、これら連通孔91および固定部74のそれぞれの筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。肉厚部75は、筒部72の円周方向における位相を合わせた連通孔91の筒部72の軸方向における端部である第2円周方向縁部105から、筒部72の円周方向における位相を合わせた固定部74まで、筒部72の軸方向に沿って延びている。肉厚部75の筒部72の円周方向における幅(円周方向長さ)は、連通孔91の筒部72の円周方向における幅(円周方向幅)よりも短く形成されている。肉厚部75は、筒部72の円周方向において位置が合う連通孔91の筒部72の円周方向における内側範囲に配置されている。なお、肉厚部75の筒部72の円周方向における幅は、連通孔91の筒部72の円周方向における幅と同等であっても良い。
【0047】
肉厚部75は、筒部72の軸方向における蓋部70側の端部が、筒部72の軸方向において蓋部70に近づくほど筒部72の外周面72aからの高さが低くなるように傾斜する蓋側傾斜部111となっている。肉厚部75は、筒部72の軸方向における蓋部70とは反対側の端部が、筒部72の円周方向における位相を合わせた固定部74に乗り上げており、この部分は、筒部72の軸方向において蓋部70とは反対側に位置するほど筒部72の外周面72aからの高さが高くなるように傾斜する鍔側傾斜部112となっている。肉厚部75は、蓋側傾斜部111および鍔側傾斜部112を除く部分である、これらの間の部分が、筒部72の外周面72aからの高さが一定の主体部113となっている。
【0048】
バンパキャップ13には、同形状の肉厚部75が、筒部72の円周方向における位相を合わせた固定部74と連通孔91との組の三組それぞれに対して設けられている。よって、バンパキャップ13には、同形状の肉厚部75が筒部72の円周方向に等間隔で複数、具体的には三箇所設けられている。よって、肉厚部75は、筒部72に120度間隔で配置されている。これらの肉厚部75は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。これらの肉厚部75は、それぞれが、筒部72の円周方向における中央部の位相を、対応する一つの軸方向突出部71、対応する一つの連通孔91および対応する一つの固定部74のそれぞれの筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。肉厚部75は、筒部72の円周方向において、鍔部73とは位置を異ならせている。
【0049】
図5に示すように、嵌合部76は、筒部72の内周面72bの軸方向における蓋部70と固定部74との間の位置から筒部72の径方向における内側に突出している。嵌合部76は、筒部72の円周方向に部分的に設けられている。嵌合部76は、筒部72の円周方向に鏡面対称の形状となっている。嵌合部76は、筒部72の軸方向における蓋部70側の端部が、筒部72の軸方向において蓋部70に近づくほど筒部72の内周面72bからの高さが低くなるように傾斜する蓋側傾斜部121となっている。嵌合部76は、蓋側傾斜部121を除く部分が、筒部72の内周面72bからの高さが一定の主体部122となっている。筒部72の軸方向において、嵌合部76の長さは、肉厚部75の長さよりも短く形成されている。言い換えれば、筒部72の軸方向において、肉厚部75の長さは嵌合部76の長さよりも長く形成されている。
【0050】
バンパキャップ13には、同形状の嵌合部76が、筒部72の円周方向における固定部74の両側に一対設けられており、このような一対の嵌合部76が、
図4に示すように、三箇所の固定部74のそれぞれの両側に設けられている。よって、バンパキャップ13には、筒部72の円周方向において固定部74を間に挟んで隣り合う一対の嵌合部76が、筒部72の円周方向に等間隔で三対設けられている。これら三対を構成する六箇所の嵌合部76は、筒部72の円周方向に等間隔をあけて設けられている。よって、嵌合部76は、筒部72に60度間隔で配置されている。これらの嵌合部76は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。
【0051】
バンパキャップ13には、
図5に示すように、筒部72の円周方向において固定部74を間に挟んで隣り合う一対の嵌合部76の間の中央位置に、連通孔91と、これと位相を合わせる軸方向突出部71および肉厚部75とが設けられている。よって、筒部72の円周方向において固定部74を間に挟んで隣り合う一対の嵌合部76の間に、これら嵌合部76のそれぞれに対し30度位相を異ならせて、軸方向突出部71、連通孔91および肉厚部75が設けられている。六箇所全ての嵌合部76は、それぞれが、筒部72の円周方向における位置を、軸方向突出部71、連通孔91および肉厚部75とは異ならせている。
【0052】
バンパキャップ13は、
図4に示す六箇所の嵌合部76のそれぞれの筒部72の径方向における内側の端面が、同一円筒面に配置されており、この円筒面の径は、
図1に示すシリンダ21の外周面32aの径よりも締め代分小径となっている。言い換えれば、
図4に示す六箇所の嵌合部76の内接円の径が、
図1に示すシリンダ21の外径よりも締め代分小径となっている。
【0053】
図5に示すように、溝部77は、連通孔91の第1円周方向縁部104を形成しつつ、第1円周方向縁部104から、蓋部70の内面70bにおいて、蓋部70の径方向に沿って、蓋部70の径方向における内側に延びている。溝部77は、蓋部70の内面70bから蓋部70の軸方向における鍔部73とは反対側に凹んでいる。溝部77は、蓋部70の円周方向に鏡面対称の形状となっている。溝部77は、連通孔91の第1円周方向縁部104から、
図4に示すように、蓋部70の径方向に沿って、蓋部70の径方向における貫通孔81よりも手前側まで延びている。溝部77は、筒部72の円周方向における中央部の位相を、固定部74の筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。
【0054】
バンパキャップ13には、同形状の溝部77が筒部72の円周方向に等間隔で複数、具体的には三箇所設けられている。これらの溝部77は、筒部72の軸方向における位置を合わせている。これらの溝部77は、それぞれが、蓋部70の円周方向における中央部の位相を、対応する一つの
図2に示す軸方向突出部71、対応する一つの固定部74、対応する一つの肉厚部75および対応する一つの連通孔91の、それぞれの筒部72の円周方向における中央部の位相と合わせている。よって、バンパキャップ13は、一つの軸方向突出部71、一つの固定部74、一つの肉厚部75、一つの溝部77および一つの連通孔91が、それぞれの筒部72の円周方向における中央部の位相を合わせて対応する組をなし、このような組が三組設けられている。溝部77は、筒部72の円周方向において、鍔部73と位置を異ならせている。
【0055】
図1に示すように、バンパキャップ13は、シリンダ21の外筒32の胴部36の軸方向におけるピストンロッド50が延出する側の端部に嵌合されて、シリンダ21に取り付けられる。その際に、バンパキャップ13は、胴部36に圧入される。また、その際に、バンパキャップ13は、蓋部70の貫通孔81に
図1に示すピストンロッド50が挿通される。
【0056】
シリンダ21に圧入により取り付けられた状態で、バンパキャップ13は、
図1に示すように、筒部72が、シリンダ21の外周面である外筒32の円筒面状の外周面32aの一部を径方向外側で覆う。また、この状態で、バンパキャップ13は、蓋部70の内面70bが、シリンダ21の軸方向における底部37とは反対側の軸方向端部にある外筒32の軸方向端面32bに当接する。また、この状態で、バンパキャップ13は、
図4に示す全ての嵌合部76が、
図1に示す外筒32の外周面32aに圧接する。これにより、バンパキャップ13は、外筒32に固定される。
【0057】
このようにシリンダ21に固定された固定状態のバンパキャップ13は、シリンダ21のピストンロッド50が延出する側の端部に設けられる軸方向端面32bと当接すると共にピストンロッド50が挿通される貫通孔81を有する蓋部70を有する。また、この固定状態のバンパキャップ13は、貫通孔81よりも径方向外側に設けられ、シリンダ21の外周面32aの一部を覆う円筒状の筒部72を有する。また、この固定状態のバンパキャップ13は、筒部72に設けられ、筒部72の外周面72aと内周面72bとを連通する複数の連通孔91を有する。また、この固定状態のバンパキャップ13は、筒部72の径方向内側に設けられ、複数の連通孔91の間に配置されて、シリンダ21と嵌合する嵌合部76を有する。また、この固定状態のバンパキャップ13は、筒部72の径方向外側に設けられ、複数の連通孔91の蓋部70とは反対側の軸方向端部から延びて、径方向外側に突出する肉厚部75を有する。
【0058】
なお、バンパキャップ13は、筒部72が、シリンダ21の外周面である外筒32の外周面32aの全部を径方向外側で覆っても良い。すなわち、バンパキャップ13は、筒部72が、シリンダ21の外周面である外筒32の外周面32aの少なくとも一部を径方向外側で覆っていれば良い。
【0059】
ここで、緩衝器11が車両に組み付けられる際に、バンパキャップ13は、その固定部74に、ピストンロッド50のシリンダ21から延出する部分を覆うダストカバー60の下端部が係合される。
【0060】
車両に組み付けられた状態の緩衝器11は、バンパキャップ13の連通孔91が、シリンダ21の外筒32と、バンパキャップ13との隙間から、バンパキャップ13の外側に向けて空気を流す流路を形成する。これにより、例えば貫通孔81から外筒32とバンパキャップ13との隙間に入り込んだダストを、貫通孔81から外筒32とバンパキャップ13との隙間を通り連通孔91を通って外部に流れる空気の流れによってバンパキャップ13の外に排出することができる。
【0061】
上記形状のバンパキャップ13は、合成樹脂製あるいは金属製とされる。バンパキャップ13を合成樹脂材料で形成する場合、射出成形によって形成する。バンパキャップ13を金属材料、例えばアルミニウム合金材料で形成する場合、ダイカストによって形成する。
【0062】
射出成形およびダイカストのいずれの場合も、バンパキャップ13の形状のキャビティを有する金型のキャビティ内に溶融された材料を加圧しつつ流し込んでバンパキャップ13を形成することになる。射出成形およびダイカストのいずれの場合も、キャビティのバンパキャップ13の
図2に示す蓋部70の貫通孔81を形成する部分を材料の入口とする。例えば、バンパキャップ13を射出成形する場合、蓋部70の貫通孔81の内周縁部82を形成する部分に、円周方向に等間隔で複数(例えば6箇所)の入口を設ける。そして、これらの入口から、材料をキャビティ内に流すと、材料は、キャビティの蓋部70を形成する空間部を蓋部70の径方向における外側に拡がるように流れ、その後、キャビティの筒部72を形成する空間部を、筒部72の軸方向に、蓋部70を形成する空間部から離れる方向に流れる。
【0063】
ここで、金型には、連通孔91を形成するための連通孔形成型部が形成されている。この連通孔形成型部は、連通孔91内の空間と同様の形状をなしている。
【0064】
射出成形およびダイカストのいずれの場合も、材料が上記したように、キャビティの筒部72を形成する空間部を、筒部72の軸方向に、蓋部70を形成する空間部から離れる方向に流れる。すなわち、材料は、キャビティの筒部72を形成する空間部を、筒部72の軸方向に、蓋部70から離れる方向に向けて流れる。このため、連通孔形成型部の周囲では、筒部72の軸方向における連通孔形成型部の蓋部70側から、連通孔形成型部を筒部72の周方向両側に避けながら蓋部70とは反対側に向かって材料が流れる。そして、材料は、連通孔形成型部を通過後、連通孔形成型部の筒部72の軸方向における蓋部70とは反対側の端部の筒部72の円周方向における中央近傍で合流して、蓋部70とは反対側に向かって流れる。このため、バンパキャップ13には、複数、具体的には三箇所の連通孔91のそれぞれの第2円周方向縁部105の筒部72の円周方向における中央付近から筒部72の軸方向に沿って固定部74側に、材料が合流することによるウェルドラインが表面側に生じる。そして、バンパキャップ13には、これらのウェルドラインそれぞれの位置に肉厚部75が形成されることになる。言い換えれば、肉厚部75は、バンパキャップ13を製造する際に発生する材料の合流点であるウェルドライン上に形成される。
【0065】
特許文献1には、シリンダのロッドが突出する側をバンパキャップで覆った緩衝器が開示されている。この緩衝器においては、バンパキャップが、円筒状に形成された円筒部と、円筒部の一方端を塞ぐように形成される天板部とを有しており、円筒部に連通孔が形成されている。ところで、緩衝器において、バンパキャップの耐久性を向上させることが望まれている。例えば、特許文献1の緩衝器においては、バンパキャップのシリンダへの圧入部と連通孔の下のウェルドラインの位置とが重なるため、圧入後にウェルドラインに引張応力が発生し耐久強度を低下させてしまう。
【0066】
実施形態の緩衝器11は、バンパキャップ13が、シリンダ21のピストンロッド50が延出する側の端部に設けられる軸方向端面32bと当接すると共にピストンロッド50が挿通される貫通孔81を有する蓋部70と、貫通孔81よりも径方向外側に設けられ、シリンダ21の外周面32aの少なくとも一部を覆う円筒状の筒部72と、筒部72に設けられ、筒部72の外周面72aと内周面72bとを連通する複数の連通孔91と、筒部72の径方向内側に設けられ、複数の連通孔91の間に配置されて、シリンダ21と嵌合する嵌合部76と、筒部72の径方向外側に設けられ、複数の連通孔91の軸方向端部から延びて、径方向外側に突出する肉厚部75とを有する。
【0067】
このように、緩衝器11は、バンパキャップ13が、筒部72の径方向外側に設けられ、複数の連通孔91の蓋部70とは反対側の軸方向端部から延びて、径方向外側に突出する肉厚部75を有するため、複数の連通孔91の蓋部70とは反対側の軸方向端部から蓋部70とは反対側の部分の断面積を増加させることになって強度を向上させることができる。よって、特に、複数の連通孔91の軸方向端部から蓋部70とは反対側に延びるように表面側にウェルドラインが生じる場合に、表面側にウェルドラインが生じる部分の肉厚を肉厚部75によって確保することができるため、ウェルドラインを除く部分の断面積を確保して、効果的に強度を向上させることができる。したがって、緩衝器11は、バンパキャップ13の強度および剛性を向上させることができ、バンパキャップ13の耐久性を向上させることができる。
【0068】
また、バンパキャップ13は、複数の連通孔91の間に、シリンダ21と嵌合する嵌合部76が設けられているため、連通孔91と嵌合部76とを離すことができ、嵌合部76が受けるシリンダ21からの嵌合圧により連通孔91の周辺に生じる引っ張り応力を緩和することができる。よって、特に、複数の連通孔91の軸方向端部から蓋部70とは反対側に延びるようにウェルドラインが生じる場合に、ウェルドラインが生じる部分に生じる引っ張り応力を緩和することができる。また、バンパキャップ13は、複数の連通孔91の間に、シリンダ21と嵌合する嵌合部76が設けられていることから、成形性が向上し、成形に起因する強度低下を抑制することができる。したがって、緩衝器11は、バンパキャップ13の強度および剛性を向上させることができ、バンパキャップ13の耐久性を向上させることができる。
【0069】
また、緩衝器11は、バンパキャップ13に部分的に肉厚部75を設けるため、言い換えれば、バンパキャップ13の一部のみを外径側へ肉厚化するため、全周にわたって外径側に肉厚化することに比べて重量増を抑制することができる。
【0070】
また、実施形態の緩衝器11は、バンパキャップ13の肉厚部75の円周方向長さは、連通孔91の円周方向幅と同等もしくは連通孔91の円周方向幅よりも短く形成されているため、バンパキャップ13の重量増をさらに抑制することができる。
【0071】
また、実施形態の緩衝器11は、バンパキャップ13の肉厚部75の軸方向長さが、嵌合部76の軸方向長さよりも長く形成されているため、複数の連通孔91の蓋部70とは反対側の軸方向端部から蓋部70とは反対側の部分の強度をさらに向上させることができる。したがって、緩衝器11は、バンパキャップ13の耐久性をさらに向上させることができる。
【0072】
また、実施形態の緩衝器11は、バンパキャップ13の肉厚部75が、連通孔91の軸方向端部から固定部74まで延びているため、複数の連通孔91の蓋部70とは反対側の軸方向端部から蓋部70とは反対側の部分の強度をさらに向上させることができる。したがって、緩衝器11は、バンパキャップ13の耐久性をさらに向上させることができる。
【0073】
また、実施形態の緩衝器11は、バンパキャップ13の肉厚部75が、バンパキャップ13を製造する際に発生するウェルドライン上に形成されているため、ウェルドラインによる強度低下の影響を抑制することができる。したがって、緩衝器11は、バンパキャップ13の耐久性をさらに向上させることができる。特に、バンパキャップ13が合成樹脂製の場合、ウェルドラインによる強度低下への影響が顕著となることから、複数の連通孔91の軸方向端部から延びる肉厚部75を設けると共に、複数の連通孔91の間に嵌合部76を設けることによる効果が顕著となる。
【符号の説明】
【0074】
11…緩衝器、13…バンパキャップ、21…シリンダ、32a…外周面、32b…軸方向端面、40…ピストン、50…ピストンロッド、60…ダストカバー、70…蓋部、72…筒部、72b…内周面、72a…外周面、74…固定部、75…肉厚部、76…嵌合部、81…貫通孔、91…連通孔。