(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154071
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】固定台、換気装置及び固定方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20241023BHJP
【FI】
B01D46/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067683
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】今西 琢也
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA12
4D058KA01
4D058KA15
4D058KC19
4D058KC37
4D058KC52
4D058KC55
4D058KC81
(57)【要約】
【課題】振動環境下にて用いられやすい固定台、換気装置及び固定方法を提供する。
【解決手段】固定台は、フィルタの設置対象となる架台と、架台に固定された支え板と、軸と、支え板に固定されている第一部材と、第一部材に対し軸の周りに揺動可能な第二部材とを備える蝶番と、第二部材に固定され、軸の第一側に作用部と、軸の第二側に押圧部と、有する押し込み板と、押圧部がフィルタを架台に向かって押し付けている状態を保持可能であって、作用部に作用するロック機構と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタの設置対象となる架台と、
前記架台に固定された支え板と、
軸と、前記支え板に固定されている第一部材と、前記第一部材に対し前記軸の周りに揺動可能な第二部材とを備える蝶番と、
前記第二部材に固定され、前記軸の第一側に作用部と、前記軸の第二側に押圧部と、有する押し込み板と、
前記押圧部が前記フィルタを前記架台に向かって押し付けている状態を保持可能であって、前記作用部に作用するロック機構と、
を備える
固定台。
【請求項2】
前記支え板と、前記押し込み板とは、
交差する位置関係にある
請求項1に記載の固定台。
【請求項3】
前記支え板と、前記押し込み板とのうち少なくともどちらかは、
一部が曲がっている板である
請求項2に記載の固定台。
【請求項4】
前記支え板と、前記押し込み板とは、
それぞれ2か所以上が曲がっている板である
請求項2に記載の固定台。
【請求項5】
前記押し込み板は、
前記ロック機構を用いたロック時に、前記押し込み板と前記支え板との間で鋭角をなす
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定台。
【請求項6】
前記押圧部は、
前記フィルタの縁に対向するように配置される
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定台。
【請求項7】
前記ロック機構は、パチン錠を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定台。
【請求項8】
前記架台と、前記支え板と、前記押し込み板とは
いずれも金属製である
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定台。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定台と、
排熱用のファンを有する筐体と、
を備える
換気装置。
【請求項10】
フィルタの設置対象となる架台と、
前記架台に固定された支え板と、
軸と、前記支え板に固定されている第一部材と、前記第一部材に対し前記軸の周りに揺動可能な第二部材とを備える蝶番と、
前記第二部材に固定され、前記軸の第一側に作用部と、前記軸の第二側に押圧部と、有する押し込み板と、
を備える固定台に対し、
前記架台と、前記押し込み板との間に前記フィルタを挿入するステップと、
前記作用部を動かして、前記フィルタを前記架台に向かって押し付けるステップと、
前記作用部をロックして、前記フィルタを押しつける状態を保持するステップと、
を備える
固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定台、換気装置及び固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタを取り付ける際に、パチン錠を用いることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、バネ錠の一例である引っ掛け型締結具(パチン錠)を用いることで、締め付け工具等を使用することのないフィルタの締め付け装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたフィルタ締め付け装置は、パチン錠が有するフックを、先端がかぎ状に曲げられた係止部に引っ掛け、パチン錠の作用によりフィルタをフィルタ取り付けフレームへ押圧することでフィルタを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたフィルタ締め付け装置は、フィルタを固定する際に、パチン錠が有するフックと、フックの相手である係止部と、の係合部が揺動可能となっており、振動に対して揺動しやすい。そのため、振動環境下にて用いられにくいことがある。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を解決する固定台、換気装置及び固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る固定台は、フィルタの設置対象となる架台と、前記架台に固定された支え板と、軸と、前記支え板に固定されている第一部材と、前記第一部材に対し前記軸の周りに揺動可能な第二部材とを備える蝶番と、前記第二部材に固定され、前記軸の第一側に作用部と、前記軸の第二側に押圧部と、有する押し込み板と、前記押圧部が前記フィルタを前記架台に向かって押し付けている状態を保持可能であって、前記作用部に作用するロック機構と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る固定方法は、フィルタの設置対象となる架台と、前記架台に固定された支え板と、軸と、前記支え板に固定されている第一部材と、前記第一部材に対し前記軸の周りに揺動可能な第二部材とを備える蝶番と、前記第二部材に固定され、前記軸の第一側に作用部と、前記軸の第二側に押圧部と、有する押し込み板と、を備える固定台に対し、前記架台と、前記押し込み板との間に前記フィルタを挿入するステップと、前記作用部を動かして、前記フィルタを前記架台に向かって押し付けるステップと、前記作用部をロックして、前記フィルタを押しつける状態を保持するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
上記一態様によれば、振動環境下にて用いられやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態における固定台の斜視図である。
【
図2】第一実施形態における固定台の側面図である。
【
図3】第一実施形態における固定台の部分拡大図である。
【
図4】第一実施形態におけるロック解除時の固定台の部分拡大図である。
【
図5】第一実施形態におけるフィルタの取り付け
図Iである。
【
図6】第一実施形態におけるフィルタの取り付け
図IIである。
【
図7】第一実施形態におけるフィルタ固定のフロー図である。
【
図8】第二実施形態における換気装置の側面図である。
【
図9】第三実施形態における固定台の最小構成の部分拡大図である。
【
図10】第四実施形態における固定方法の最小構成のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において用いられた図面および具体的な構成を、開示の解釈に用いてはならない。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0013】
<第一実施形態>
以下、本開示に係る第一実施形態について、
図1~
図7を用いて説明する。
【0014】
(固定台の構成)
図1、
図2に示すように、固定台1は、架台11と、支え板12と、蝶番13と、押し込み板14と、ロック機構15と、を備える。
架台11にはフィルタ2が設置される。
架台11はアルミフレームといった金属製フレームである。
本実施形態に係る架台11は、振動環境下にて、減衰用途で用いられる防振架台である。振動の多い航空機へエアフィルタを取り付ける際に、防振架台が用いられることがある。
【0015】
(フィルタの構成)
本実施形態に係るフィルタ2は新しい空気をろ過するためのエアフィルタである。
また、本開示のフィルタ2は、フィルタ自身を保護するためのフィルタフレーム21を外縁部に有する。
【0016】
(ロック機構の構成)
拡大図である
図3、
図4に示すように、ロック機構15は、回動軸15aと、回動レバー15lと、フック15hと、を備える。
フック15hは、回動レバー15lの接続部に、フック根元部15h’を有する。
回動軸15a及びフック根元部15h’はともに揺動可能である。
フック15hは、回動レバー15lが回動するときに、揺動可能な回動軸15aと、フック根元部15h’と、が描く軌跡の違いを利用している。それにより、後述する作用部14wにフック15hを引っ掛けて、ロック機構15は、押し込み板14をロックすることが可能となっている。
本実施形態に係るロック機構15は、パチン錠15Pを含む。しかしながら、ロック機構15は、このパチン錠15Pに含むものに限定されない。
【0017】
(支え板の構成)
支え板12は、搭載部12mを有する。
搭載部12mには、ロック機構15が搭載される。
支え板12は、架台11に固定されている。
また、支え板12には、フィルタ2の挿入を容易にするため、フィルタガイド17が配置されている。
【0018】
(蝶番の構成)
蝶番13は、第一部材13aと、第二部材13bと、軸13cと、を備える。
第一部材13aは、支え板12に固定されている。
第二部材13bは、支え板12に固定されている第一部材13aに対し、軸13cの周りに揺動可能である。
【0019】
(押し込み板の構成)
押し込み板14は、押圧部14pと、作用部14wと、を備える。
押し込み板14は、揺動可能な第二部材13bに固定されている。そのため、押し込み板14は、揺動可能である。
押し込み板14は、軸13cの第一側Lに作用部14wと、軸13cの第二側Rに押圧部14pと、を有する。この押圧部14pはフィルタ2の縁を覆っているフィルタフレーム21に対向するように配置される。
押圧部14pは、
図1、
図5に示すようにフィルタフレーム21に沿って延びている。これにより、押圧部14pとフィルタフレーム21との接触面積が増加し、フィルタフレーム21への面圧が減少する。
【0020】
(板形状)
本実施形態では、支え板12と、押し込み板14とが、固定台1の側面からみると互いに交差する位置関係にある。そのため、支え板12は、一部がくりぬかれた形状となっており、押し込み板14の一部は支え板12のくりぬき部を通っている。支え板12と、押し込み板14とのうち少なくともどちらかは、一部が曲がっている板である。例えば、支え板12と、押し込み板14とは、それぞれ2か所以上が曲がっている板である。本実施形態では、支え板12と、押し込み板14とは、それぞれ2か所の曲げ部を有している板である。
【0021】
(ロック過程)
図4に示すように、ロック機構15のロックを解除すると、回動レバー15lは自由に回動できる状態となる。ロック機構15のロックを解除するには、操作者は、回動レバー15lをCW方向(時計回り)に引き下げる。
回動レバー15lが回動する際に、フック15hは回動レバー15lの回動を直接制限する回動軸15aとは異なる軌跡を描くため、回動レバーに15lから一定の距離にある
作用部14wにフック15h自身を引っ掛けることができる。
フック15hは、作用部14wに自身が引っかかった後に、ロック機構15をロックすることで回動レバー15lを回動できない状態にする。ロック機構15をロックするには、回動レバー15lをCW方向とは反対のCCW方向(反時計回り)に引き上げる。
作用部14wにフック15hが引っかかった状態で、ロック機構15をロックすると、揺動可能な第二部材13bに固定された押し込み板14は、CCW方向に揺動する。これにより、軸13cを支点として、作用部14wに力が作用することで、押圧部14pがフィルタ2を架台11に向かって押し付ける。
また、ロック機構15をロックしていることで、ロック機構15は、押圧部14pがフィルタ2を押し付けている状態を保持することができる。ロック後の最終的なフィルタ2の状態は
図3に示す通りになる。
ロック機構15を利用して、フィルタ2を押し付けることで、工具を使用せず、さらに常に一定の押圧力を与えることができる。
また、蝶番13と、支え板12と、押し込み板14とは、いずれもアルミニウム等の金属製である。これにより、フィルタ2が押し付けられ、前述した金属製の架台11に固定されている状態で、EMC(Electromagnetic Compatibility)対策の電磁波シールドとして、EMC対応のエアフィルタとEMCガスケットを使用することでこれらが電気的に接続され、航空機のような電磁波シールドが求められる状況下でも使用できる。
【0022】
本実施形態では、支え板12と、押し込み板14とが、固定台1の側面からみると互いに交差する位置関係にあることから、次のことが言える。
図3に示すように、ロック機構15を用いたロック時に、支え板12がフィルタ2に沿って延びる方向と、押し込み板14がフィルタ2に沿って延びる方向と、がなす角は軸13cの第一側Lにおいて鋭角αをなす。この角は、軸13cの第二側Rにおいても鋭角αをなす。
【0023】
(固定方法)
本実施形態におけるフィルタの固定方法について説明する。
本実施形態におけるフィルタの固定方法は、
図7に示すフローに従って実施される。
【0024】
まず、作業者は、フィルタ2を固定台1に挿入する(ST1)。
図4、
図5、
図6に示す通り、ロック機構15は作用部14wに力が作用していない状態にて、フィルタ2をフィルタガイド17に沿って挿入する。作用部14wに力が作用していた際には、回動レバー15lをCW方向(時計回り)に引き下げ、ロック機構15のロックを解除する。
【0025】
次に、作業者は、ロック機構15にて、作用部に力を作用させる(ST2)。
作業者は、押し込み板14が有する作用部14wにフック15hを引っ掛ける。
その後、フック15hを引っ張ることで、作用部14wに力が作用し、軸13cを支点として、CW方向と反対のCCW方向に押し込み板14が回転し、押圧部14pがフィルタ2を架台11に向かって押し付ける。
【0026】
次に、作業者は、押圧状態を保持する(ST3)。
ST02の状態にて、作業者は、回動レバー15lをCCW方向(反時計回り)に向かって引き上げ、ロック機構15をロックする。これにより、回動レバー15lが回動できない状態になり、押圧部14pがフィルタ2の外縁部(フィルタフレーム21)を押し込み続ける状態が保持される。
ここで、
図3の状態になり、フィルタ2が新規に取り付けられる。
【0027】
次に、交換時について、作業者は、ロック機構15にて、作用部の作用を解除する(ST4)。
作業者が、回動レバー15lをCW方向に引き下げることで、ロック機構15のロックが解除される。ロックが解除されることで、作用部14wに引っ掛っていたフック15hが外れ、作用部14wに力が作用しなくなり、フィルタ2の押圧状態も解除される。
【0028】
次に、作業者は、フィルタ2を交換する(ST5)。
フィルタ2の押圧状態が解除されているため、作業者は、フィルタガイド17に沿ってフィルタ2を取り外すことができる。その後、新しいフィルタ2をST01の手順で交換する。
ここで、既に挿入されているフィルタ2が新しいフィルタ2に交換される。(完了)
【0029】
(作用及び効果)
本実施形態の固定台1によれば、フィルタ2を固定する際に、支え板12に固定された蝶番13の位置が変わることがない。さらに、ロック機構15にて作用部14wに力が作用している状態が維持され、押し込み板14がフィルタ2を押圧し続けている。これにより、振動に対して押圧状態が解除されにくく、そのため、固定台1は、振動に対して有用である。
したがって、本開示に係る固定台1は振動環境下にて用いられやすい。
【0030】
比較例1として、振動環境においてフィルタを固定する構造として、工具を用いてボルト固定する方法か、ツマミネジや蝶ナットを用いて指で締め付ける方法がある。
工具を用いる場合は、ドライバー等を事前準備する必要があり、作業性が低い。
また、ツマミネジの場合は、指のピンチ力により依存する構造になり、締め付けトルクが不足すると振動によりフィルタが脱落する要因となる。
このような比較例1に対し、本実施形態の固定台1によれば、パチン錠15Pの締結力により、押し込み板14を介してフィルタ2を架台11側へ常に一定の押圧力を付加した状態で押し付け、外れなくする構造である為、工具を使用せずに振動機材に運用可能である。また、固定台1は、パチン錠15Pを外すと作用部14wに力が作用している状態が解除されることで、押し込み板14の抑圧からフィルタ2が開放され、外れる構造である。そのため、取り付け・取り外し時両方での作業性が向上する。
【0031】
また、航空機搭載向けの強制空冷筐体を設計する際は、航空機搭載から、振動環境を考慮する必要がある。
その際、比較例2として、振動を考慮したときのフィルタなどの取り外し部位は、ネジ類で締結させる等の機構的な固定が想定できる。しかしながら、ネジなどを用いる機構的な構造の場合、工具の使用が前提となってしまい、フィルタのような取り外し頻度の高い物への構成においては、作業性の悪化につながる。
この比較例2に対し、本実施形態に係る固定台1は、作業性を高める為、工具の使用をせず機構的な固定ができる構造を検討した結果である。
さらに、工具を使用しないため、固定台1は、ネジ類の締結部材が紛失しにくいといった効果を有する。
【0032】
また、本実施形態に係る固定台1は、フィルタ2を押し付ける構造である為、フィルタ2の取り付け向きは、重力の方向に捉われない。その為、フィルタ2を取り付ける対象物の側面や底面などにフィルタ2の固定が可能である。
【0033】
また、本実施形態の一例は、支え板12と、押し込み板14とは、交差する位置関係にある。
そのため、軸13cを介した挟み込み機構の可動域が狭くなり、架台11に対して挟み込み機構を薄くできるため、固定台1の低床化が図れる。以上より、省スペース化しやすい。
【0034】
また、本実施形態の一例は、支え板12と、押し込み板14とのうち少なくともどちらかは、一部が曲がっている板である。
そのため、製造者は、所望の押し込む力に応じて押し込み板14又は支え板12の形状を変更しやすい。
【0035】
また、本実施形態の一例は、支え板12と、押し込み板14とは、それぞれ2か所以上が曲がっている板である。
そのため、支え板12と、押し込み板14とが、固定台1の側面からみると互いに交差する位置関係に作成でき、軸13cを介した挟み込み機構が採用でき、結果として固定台1の低床化が図れる。
以上より、省スペース化しやすい。
【0036】
また、本実施形態の一例では、固定台1は、ロック機構15を用いたロック時に、押し込み板14と支え板12との間で鋭角αをなす。
そのため、軸13cを介した挟み込み機構の可動域が狭くなり、架台11に対して挟み込み機構を薄くできるため、固定台1の低床化が図れる。以上より、省スペース化しやすい。
加えて、鋭角αをなすことで、支え板12と、押し込み板14とは、交差する位置関係にあるために固定台1は軸13cを介した挟み込み機構が採用でき、この挟み込み機構のためにフィルタ2を押圧しやすい。
【0037】
また、本実施形態の一例は、押圧部14pがフィルタ2の縁に対向するように配置される。
そのため、フィルタ2の重心から離れた箇所に押し付ける力がかかることでフィルタ2を強固に保持しやすい。
【0038】
また、本実施形態の一例は、ロック機構15がパチン錠15Pを含む。
そのため、ロック機構15に汎用品を利用しやすい。
【0039】
また、本実施形態の一例は、フィルタ2を押し付ける構造である為、EMC対策の電磁波シールドとして、EMC対応のフィルタ2とEMCガスケットを追加使用することで、固定台1全体で電気的に接続され、電磁適合性を付与できる。
そのため、電磁波シールドのできる振動対策用として、固定台1は、航空機分野に用いられやすい。
【0040】
<変形例>
例えば、搭載部12mは、別途作成せず、支え板12で一体形成されていてもよい。
【0041】
例えば、本実施形態では、押圧部14pは、フィルタフレーム21に沿って延びているが、押圧部14pは延びてなくてもよい。
【0042】
例えば、支え板12と、押し込み板14とは、一部が曲がっている板でなくもよい。
【0043】
例えば、本実施形態では、架台11と、支え板12と、押し込み板14とは、いずれも金属製であるが、固定台1の中で電気的接続がされていれば、各構成要素の材質は問わない。
【0044】
例えば、フィルタガイド17は、支え板12あるいは架台11と一体であってもよい。
【0045】
例えば、ロック機構15は、押し込み板14と支え板12との間に存在してもよい。一例として、前述した位置に存在するロック機構15が、引張だけでなく2つの板間を押し広げ(押し込み板14と支え板12との間の鋭角αを大きくし)、押し込み板14をCCW方向に揺動させることでフィルタ2を押し込むことが考えられる。
【0046】
例えば、フィルタ2の取り付け向きは、重力の方向に捉われず、フィルタ2は、フィルタ2を取り付ける対象物の側面や底面などに固定してあってもよい。
【0047】
例えば、板の形状、作用部14wとロック機構15の位置関係は、適宜変更されてよい。求める押し込み板14の押圧力に応じて、支え板12と、押し込み板14のサイズや、位置関係を変更することでロック時の鋭角αの開度を変化させる。
また、同様の理由により、支え板12または押し込み板14に対する蝶番13の位置関係を適宜変更されもよい。
【0048】
例えば、本実施形態では、押し込み板14が、フィルタ2の両側にそれぞれ1つ配置され、フィルタ2を押し付けていたが、押し込み板14は片側だけに設置され、もう片側を断面がコの字型等の取り付け枠としてもよい。その場合、フィルタ2を片側にある押し込み板14が、フィルタ2を押し付けることになる。
【0049】
例えば、本実施形態では、押し込み板14一枚に対し、ロック機構15(または支え板12、または蝶番13)を2つ設けているが、押し込み板14一枚とロック機構15一つの対応関係であってもよい。この対応関係はフィルタ2のサイズや押しこむ力に合わせ適宜変更してよい。
【0050】
例えば、フィルタ2の外縁全周に沿って、三方向に押し込み板14が配置されていてもよい。
【0051】
例えば、支え板12と、押し込み板14とは、交差する位置関係でなくてもよい。
【0052】
<第二実施形態>
第一実施形態は、作用部14wに力が作用し、軸13cを支点として、CCW方向(反時計回り)に押し込み板14が回転し、押圧部14pがフィルタ2を架台11に向かって押し付ける固定台1であった。
これに対し、本実施形態に係る換気装置は、航空機といった振動に晒される環境に搭載され、前述した固定台と、排熱用のファンを用いた強制空冷筐体と、を備える。減衰用の防振架台の底面から吸気を行う装置である。また、底面に設けたエアフィルタの清掃は適宜行う必要がある。以上より、本実施形態に係る換気装置は、振動環境下にて用いられやすく、作業性が良い第一実施形態の固定台を有している。
以下、第二実施形態として本開示に係る換気装置について、
図8を用いて説明する。
第一実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0053】
(構成)
図8に示すように、換気装置5は、固定台1と、筐体3と、を備える。
筐体3は、排熱用の排熱ファン31を有する。
固定台1の架台11は防振架台である。
【0054】
換気装置5として利用する際、筐体3の排熱ファン31を起動する。
排熱ファン31によって空気はDの破線矢印方向に沿って流れ、新しい空気は架台11の底面にあるフィルタ2を通過した後に送り込まれる。
排熱ファン31によって発生した負圧により、フィルタ2は、架台に対し押し付けられる。
さらに、固定台1により、フィルタ2は押し込み板14にて押し付けられる。以上より、フィルタ2は本実施形態に係る換気装置5を用いることで、より強固に押し付けられやすい。
また、フィルタ2は、防振架台である架台11に押し付けられることで、固定台1の振動への機構上の適性があるだけでなく、防振架台を用いた振動抑制が得られる。これにより、振動環境下への適用性向上の相乗効果が期待できる。
【0055】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、固定台1がフィルタ2を固定する際に、支え板12に固定された蝶番13の位置は変わることがない。さらに、ロック機構15にて作用部14wに力が作用している状態が維持され、押し込み板14がフィルタ2を押圧し続けている。これにより、振動に対して押圧状態が解除されにくい。
加えて、排熱ファン31によって発生した負圧により、フィルタ2は、架台11に向かってさらに押し付けられる。そのため、換気装置5は、振動に対してより有用である。
したがって、本開示に係る換気装置5は、振動環境下にて用いられやすい。
【0056】
<第三実施形態>
以下、第三実施形態として本開示に係る固定台の最小構成の実施形態について、
図9を用いて説明する。
【0057】
(構成)
固定台10は、フィルタの設置対象となる架台101と、架台101に固定された支え板102と、軸103cと、支え板102に固定されている第一部材103aと、第一部材103aに対し軸103cの周りに揺動可能な第二部材103bとを備える蝶番103と、第二部材103bに固定され、軸103cの第一側L’に作用部104wと、軸103cの第二側R’に押圧部104pと、有する押し込み板104と、押圧部104pがフィルタを架台101に向かって押し付けている状態を保持可能であって、作用部に作用するロック機構105と、を備える。
【0058】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、フィルタを固定する際に、支え板102に固定された蝶番103の位置が変わることがない。さらに、ロック機構105にて作用部104wに力が作用している状態が維持され、押し込み板104がフィルタを押圧し続けている。これにより、振動に対して押圧状態が解除されにくく、そのため、固定台10は、振動に対して有用である。
したがって、本開示に係る固定台10は、振動環境下にて用いられやすい。
【0059】
<第四実施形態>
以下、第四実施形態として本開示に係る固定方法の最小構成の実施形態について、
図10を用いて説明する。
本実施形態における組み立て方法は、
図10に示すフローに従って実施される。
【0060】
組み立て方法は、フィルタの設置対象となる架台と、架台に固定された支え板と、軸と、支え板に固定されている第一部材と、第一部材に対し軸の周りに揺動可能な第二部材とを備える蝶番と、第二部材に固定され、軸の第一側に作用部と、軸の第二側に押圧部と、有する押し込み板と、を備える固定台に対し、架台と、押し込み板との間にフィルタを挿入するステップ(ST10)と、作用部を動かして、フィルタを架台に向かって押し付けるステップ(ST20)と、作用部をロックして、フィルタを押しつける状態を保持するステップ(ST30)と、を含む。
【0061】
(作用及び効果)
本実施形態の固定方法によれば、作用部に力が作用している状態が維持され、押し込み板がフィルタを押圧し続けている。これにより、振動時押圧状態が影響を受けにくく、そのため、振動に対して利用できる。
したがって、本開示に係る固定方法によれば、振動環境下にて用いられやすい。
【0062】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、本開示とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0063】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【符号の説明】
【0064】
1 固定台
11 架台
12 支え板
12m 搭載部
13 蝶番
13a 第一部材
13b 第二部材
13c 軸
14 押し込み板
14p 押圧部
14w 作用部
15 ロック機構
15a 回動軸
15h フック
15h’ フック根元部
15l 回動レバー
15P パチン錠
17 フィルタガイド
2 フィルタ
21 フィルタフレーム
3 筐体
31 排熱ファン
5 換気装置
10 固定台
101 架台
102 支え板
103 蝶番
103a 第一部材
103b 第二部材
103c 軸
104 押し込み板
104p 押圧部
104w 作用部
105 ロック機構