(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154072
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20241023BHJP
B66F 9/10 20060101ALI20241023BHJP
B66F 9/14 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B66F9/24 P
B66F9/10 A
B66F9/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067684
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】川内 直人
(72)【発明者】
【氏名】小野川 英
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍也
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA24
3F333FD11
3F333FD13
3F333FE05
3F333FE07
3F333FG03
(57)【要約】
【課題】荷役作業中に前方を良好にセンシングしつつ、検出部と床面との接触を回避することができるフォークリフトを提供する。
【解決手段】フォークリフトは、車体と、車体に設けられて上下方向に延びるマストと、車体よりも前方に配置され前後方向に延びるツメ部を有したフォーク、フォークをマストに対して上下方向に移動させる昇降機構、及び、フォークをマストに対して車幅方向に移動させるサイドシフト機構を有する荷役装置と、フォークに対して上下方向に相対移動可能となるように荷役装置に設けられて前方の情報を検出可能な検出部を有し、検出部が検出した情報から前方をセンシング可能なセンサ装置と、フォークが基準高さ以上である場合に検出部をフォークよりも下方に位置するセンシング位置に移動させるとともに、フォークが基準高さを下回った場合に検出部をフォークの下端よりも上方に位置する退避位置に移動させるセンサ移動機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に設けられて上下方向に延びるマストと、
前記車体よりも前方に配置され前後方向に延びるツメ部を有したフォーク、前記フォークを前記マストに対して上下方向に移動させる昇降機構、及び、前記フォークを前記マストに対して車幅方向に移動させるサイドシフト機構を有する荷役装置と、
前記フォークに対して上下方向に相対移動可能となるように前記荷役装置に設けられて前方の情報を検出可能な検出部を有し、前記検出部が検出した情報から前方をセンシング可能なセンサ装置と、
前記フォークが基準高さ以上である場合に前記検出部を前記フォークよりも下方に位置するセンシング位置に移動させるとともに、前記フォークが前記基準高さを下回った場合に前記検出部をフォークの下端よりも上方に位置する退避位置に移動させるセンサ移動機構と、
を備えるフォークリフト。
【請求項2】
前記センサ移動機構は、
前記フォークに対して上下方向に相対的にスライド移動可能に設けられ、上下方向に延びるスライドガイドと、
前記スライドガイドの下端に設けられ、前記検出部が収納されるセンサ収納部と、
を有する請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記センサ移動機構は、
前記マストの下端部に取り付けられて前方に突出し、前記センサ収納部を載置可能なメカストッパをさらに有する請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記メカストッパは、車幅方向に対向して配置された一対の前記マストに車幅方向に架け渡されている請求項3に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マストにカメラが設けられたフォークリフトが開示されている。このフォークリフトは、カメラで撮像した画像に基づいてフォークの位置制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のフォークリフトでは、マストよりも高い棚に配置された荷物を荷降ろしする際、保持した荷物によってセンシング領域が遮られ、フォークの前方を良好にセンシングすることができない。
【0005】
また、カメラ等の検出部をフォークリフトの車幅方向外側に配置することも考えられる。しかしながら、この場合だと、検出部が車幅方向外側に突出する。このため、検出部が障害物に接触しないよう、フォークリフトの動作が制限されてしまう。
【0006】
これらを踏まえると、検出部はフォークの下面に集約されることが望ましい。しかしながら、この場合だと、フォークの降下収納時に検出部と床面とが干渉することが想定される。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、荷役作業中に前方を良好にセンシングしつつ、検出部と床面との接触を回避することができるフォークリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係るフォークリフトは、車体と、前記車体に設けられて上下方向に延びるマストと、前記車体よりも前方に配置され前後方向に延びるツメ部を有したフォーク、前記フォークを前記マストに対して上下方向に移動させる昇降機構、及び、前記フォークを前記マストに対して車幅方向に移動させるサイドシフト機構を有する荷役装置と、前記フォークに対して上下方向に相対移動可能となるように前記荷役装置に設けられて前方の情報を検出可能な検出部を有し、前記検出部が検出した情報から前方をセンシング可能なセンサ装置と、前記フォークが基準高さ以上である場合に前記検出部を前記フォークよりも下方に位置するセンシング位置に移動させるとともに、前記フォークが前記基準高さを下回った場合に前記検出部をフォークの下端よりも上方に位置する退避位置に移動させるセンサ移動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のフォークリフトによれば、荷役作業中に前方を良好にセンシングしつつ、検出部と床面との接触を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係るフォークリフトの斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る検出部がセンシング位置に位置する場合のフォーク周辺の機構を示す正面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る検出部が退避位置に位置する場合のフォーク周辺の機構を示す正面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る検出部が退避位置に位置する場合のセンサ移動機構を車幅方向から見た図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るフォークリフトの荷役作業の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態に係るフォークリフトの荷役作業の説明する模式図である。
【
図8】本開示の実施形態に係るフォークリフトの荷役作業の説明する模式図である。
【
図9】本開示の実施形態に係るフォークリフトの荷役作業の説明する模式図である。
【
図10】本開示の変形例に係る検出部が退避位置に位置する場合のフォーク周辺の機構を示す正面図である。
【
図11】本開示の変形例に係る検出部が退避位置に位置する場合のセンサ移動機構を車幅方向から見た図である。
【
図12】本開示の実施形態に係るハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(フォークリフトの構成)
以下、本開示の実施形態に係るフォークリフト100について、
図1から
図9を参照して説明する。
図1に示す本実施形態のフォークリフト100は、無人搬送フォークリフト(AGF)である。以下では、鉛直上下方向を単に「上下方向D1」と称し、水平方向のうちフォークリフト100の直進方向を「前後方向D2」と称し、水平方向のうち前後方向D2に直交する方向を「車幅方向D3」と称する。
【0012】
図1から
図3に示すようにフォークリフト100は、車体1と、走行機構5と、マスト10と、荷役装置20と、センサ装置40と、センサ移動機構50とを備える。
【0013】
(車体)
車体1は、車体本体2と、レッグ3とを有する。レッグ3は、車体本体2の下側に、車幅方向D3に離間して一対設けられている。各レッグ3は、車体本体2から前方に延びている。
【0014】
(走行機構)
走行機構5は、車体1に搭載され、車体1を走行させる。走行機構5は、車輪6と、駆動源(不図示)とを有する。車輪6は、車体1の下部に設けられている。車輪6は、車体1を下方から支持する。車輪6は、車体1内に設けられた駆動源によって回転駆動する。車輪6が回転駆動することによって、フォークリフト100は走行可能となる。図示の例では、フォークリフト100には、複数の車輪6が設けられ、複数の車輪6は、前輪6aと、後輪6bと含む。前輪6aは、各レッグ3の前端部に1つずつ設けられ、後輪6bは、車体本体2の下部に設けられ、各前輪6aの後方に1つずつ配置されている。なお、車輪6の個数は、適宜変更可能である。例えば後輪6bは、車体本体2の後部かつ車幅方向D3中央に1つのみ設けられていてもよい。
【0015】
(マスト)
マスト10は、車体本体2の前側に設けられている。マスト10は、車幅方向D3に離間して一対設けられている。一対のマスト10は、一対のレッグ3の間に配置されている。マスト10は、上下方向D1に延びている。本実施形態では、マスト10が2段マストである場合を例に説明する。マスト10は、アウターマスト11と、インナーマスト12とを備える。各アウターマスト11は、レッグ3に沿って前後方向D2に移動可能とされている。アウターマスト11は、上下方向D1に延びる柱状に形成されている。また、一対のアウターマスト11の下端部同士は、車幅方向D3に延びたフランジ13によって連結されている。
【0016】
インナーマスト12は、アウターマスト11よりも車幅方向D3内側に設けられている。インナーマスト12は、アウターマスト11と同様に上下方向D1に延びる柱状に形成されている。インナーマスト12の上下方向D1の高さは、アウターマスト11の上下方向D1の高さと同程度に設計されている。インナーマスト12は、車幅方向D3に対向して一対配置されている。一対のインナーマスト12は、一体となり、アウターマスト11に対して上下方向D1にスライド移動可能とされている。
【0017】
また、アウターマスト11にはチルト機構(不図示)が設けられている。マスト10は、このチルト機構によって、上下方向D1に対して前後に傾斜した姿勢をとることができる。
【0018】
(荷役装置)
荷役装置20は、車体1に設けられている。荷役装置20は、荷物101の保持と昇降を行う。本実施形態では、荷物101がパレット102に載置されている場合を例に説明する。パレット102には、後述するフォーク25が差し込まれる差込孔103が設けられている。荷役装置20は、バックレスト21と、フォーク25と、昇降機構30と、サイドシフト機構35とを有する。
【0019】
(バックレスト)
バックレスト21は、後述するリフトブラケット31を介してマスト10に取り付けられている。バックレスト21は、バックレスト本体22と、フォーク取付部23とを有する。バックレスト本体22は、一対のマスト10を車幅方向D3に架け渡すように車幅方向D3に延在している。バックレスト本体22は、網目状に形成されている。フォーク取付部23は、バックレスト本体22の下部に取り付けられている。フォーク取付部23には、車幅方向D3に離間した一対のフォーク25が取り付けられている。フォーク取付部23の車幅方向D3中央かつ下端部には、後方に向けて突出したガイド部材24が設けられている。このガイド部材24は、後述するスライドガイド61が上下方向D1に相対移動可能に取り付けられている。
【0020】
(フォーク)
フォーク25は、車体1及びバックレスト21よりも前方に配置されている。フォーク25は、フォーク基部25aと、ツメ部25bとを有する。フォーク基部25aは、ボルトによってバックレスト21のフォーク取付部23に締結固定されている。フォーク基部25aは、上下方向D1に延びる平板状に形成されている。ツメ部25bは、フォーク基部25aの下端から前方に延びる平板状の部材である。ツメ部25bが荷物101を載せたパレット102の差込孔103に挿入されることにより、荷物101がフォーク25によって保持される。
【0021】
(昇降機構)
昇降機構30は、フォーク25をマスト10に対して上下方向D1に移動させる。昇降機構30は、リフトブラケット31と、昇降駆動源32とを有する。リフトブラケット31は、インナーマスト12に取り付けられ、インナーマスト12に沿って上下方向D1に昇降可能とされている。また、リフトブラケット31の前側には、バックレスト21が取り付けられている。昇降駆動源32は、例えばチェーン等を介して、リフトブラケット31に上下方向D1の動力を伝達し、リフトブラケット31を上下方向D1に昇降させる。リフトブラケット31が上下方向D1に昇降すると、リフトブラケット31に固定されたバックレスト21と、バックレスト21に固定されたフォーク25とが、リフトブラケット31と一体に上下方向D1に昇降する。
【0022】
(サイドシフト機構)
サイドシフト機構35は、リフトブラケット31に取り付けられている。サイドシフト機構35は、フォーク25をマスト10に対して車幅方向D3に移動させる。本実施形態のサイドシフト機構35は、油圧シリンダ35aである。油圧シリンダ35aには、バックレスト21が取り付けられている。油圧シリンダ35aは、油圧回路(不図示)によって油圧が調整されて車幅方向D3に伸縮する。油圧シリンダ35aが伸縮することにより、バックレスト21とフォーク25とが一体となって車幅方向D3に移動する。また、サイドシフト機構35には、フォーク25の車幅方向D3の移動量(サイドシフト量)を検出するポテンショメータ(不図示)が設けられている。
【0023】
(センサ装置)
センサ装置40は、フォークリフト100の前方をセンシング可能とされている。センサ装置40は、検出部41と、センサ処理部(不図示)とを有する。
【0024】
(検出部)
検出部41は、フォーク25に対して上下方向D1に相対移動可能となるように荷役装置20に設けられている。検出部41は、フォークリフト100の前方の情報を検出可能とされている。検出部41が検出した情報は、センサ処理部によって処理される。このようにして、センサ装置40は、検出部41が検出した情報から前方センシングすることができる。本実施形態のセンサ装置40は、検出部41とセンサ処理部とが一体となり、後述するセンサ収納部65に収納されている。検出部41の例として、カメラ等が挙げられる。カメラが前方を撮影することにより、画像として前方の情報が取得される。なお、検出部41は、カメラ以外に限られない。検出部41は、例えば光学センサであってもよい。また、センサ装置40のうち、センサ処理部のみが車体1に設けられていてもよい。
【0025】
(センサ移動機構)
センサ移動機構50は、フォーク25が基準高さH(
図4参照)以上である場合に検出部41をフォーク25よりも下方に位置するセンシング位置P1(
図1、
図2参照)に移動させるとともに、フォーク25が基準高さHを下回った場合に検出部41をフォーク25の下端よりも上方に位置する退避位置P2(
図3、
図4参照)に移動させる。本実施形態のセンサ移動機構50には、自重によって上下方向D1に昇降する自重昇降式が採用されている。センサ移動機構50は、センサ取付部60と、メカストッパ51とを有する。
【0026】
(センサ取付部)
センサ取付部60は、バックレスト21を介して一対のフォーク25に検出部41を取り付ける。センサ取付部60は、スライドガイド61と、センサ収納部65とを有する。
【0027】
(スライドガイド)
スライドガイド61は、フォーク25に対して上下方向D1に相対的にスライド移動可能に設けられている。スライドガイド61は、上下方向D1に延びている。スライドガイド61は、ガイド本体61aと、ガイド突起61bと、当接部61cとを有する。ガイド本体61aは、上下方向D1に延在する矩形板状に形成されている。ガイド本体61aの前面には、車幅方向D3に離間した一対のガイド突起61bが設けられている。各ガイド突起61bは、上下方向D1に延在している。各ガイド突起61bは、フォーク取付部23の下部に設けられたガイド部材24(
図4参照)によって、車幅方向D3から挟み込まれている。これにより、ガイド突起61bは、バックレスト21及びフォーク25に対して、車幅方向D3にずれることなく、上下方向D1に相対移動することが可能となる。ガイド本体61aの上端部には、当接部61cが設けられている。当接部61cは、ガイド本体61aの上縁に沿って車幅方向D3に延びている。当接部61cがガイド部材24に上方から当接することにより、スライドガイド61の落下が防止される。スライドガイド61の下端には、センサ収納部65が設けられている。
【0028】
(センサ収納部)
センサ収納部65は、検出部41を含むセンサ装置40を収納する筐体である。センサ収納部65は、立方体状に形成されている。センサ収納部65は、前方に向けて開口する開口部65aを有する。検出部41は、この開口部65aを通して前方の情報を検出する。
【0029】
(メカストッパ)
メカストッパ51は、マスト10の下端部に取り付けられて前方に突出している。より詳細には、メカストッパ51は、一対のアウターマスト11の下端部同士を連結するフランジ13の車幅方向D3中央部に取り付けられている。すなわち、メカストッパ51は、フランジ13を介してアウターマスト11の下端部に取り付けられている。メカストッパ51は、車幅方向D3から見てL字状に形成されている。メカストッパ51は、底壁52と、後壁53とを有する。底壁52は、水平面に沿って前後方向D2に延在した平板状に形成されている。上下方向D1に昇降するフォーク25が、最も降下した最下降位置にある時、底壁52の上面52aは、フォーク25のツメ部25bの上面25cよりも上方に位置する。
【0030】
また、フォーク25が下降して基準高さHよりも低い位置に移動した場合、底壁52の上面52aには、センサ収納部65が載置可能とされている。このように、メカストッパ51は、センサ収納部65と当接することにより、センサ収納部65が床面Fと干渉することを防止する。メカストッパ51の底壁52の前端は、センサ収納部65の前端よりも僅かに前方に位置している。
底壁52の後端部は、後壁53によって、フランジ13の下面に接続されている。
【0031】
(制御装置)
制御装置70は、昇降機構30及びサイドシフト機構35の動作を制御する。
図5に示すように、制御装置70は、走行制御部71と、マスト伸縮動作部72と、マスト前後方向動作部73と、昇降動作部74と、前方情報取得部75と、サイドシフト動作部76とを有する。
走行制御部71は、走行機構5を制御して、車体1を走行させる。
マスト伸縮動作部72は、マスト10を上下方向D1に伸縮させる。
マスト前後方向動作部73は、マスト10を前後方向D2に移動させる。
昇降動作部74は、昇降機構30を制御し、バックレスト21及びフォーク25を上下方向D1に昇降移動させる。
前方情報取得部75は、センサ装置40によってセンシングされた、前方の情報を取得する。
サイドシフト動作部76は、サイドシフト機構35を制御し、バックレスト21及びフォーク25を車幅方向D3に移動させる。
【0032】
(フォークリフトの荷役作業)
本開示の実施形態に係るフォークリフト100の荷役作業の手順を、
図6のフローチャートを参照して説明する。フォークリフト100によって、棚104に載置された荷物101を床面F上に荷降ろしする場合を例に説明する。
まず、走行制御部71が、走行機構5を制御して、荷物101が載置された棚104の付近まで車体1を走行させる(ステップS1)。
【0033】
その後、
図7に示すように、マスト伸縮動作部72が、アウターマスト11に対してインナーマスト12を上方に相対移動させ、マスト10を上方に伸ばす(ステップS2)。その後さらに、昇降動作部74が、昇降機構30を制御してフォーク25をインナーマスト12に対して上方に相対移動させる(ステップS3)。ステップS2、S3によって、フォーク25が上方に移動する。フォーク25の上昇開始直後、検出部41は、メカストッパ51に載置された状態で静止している。フォーク25が基準高さH(
図4参照)まで上昇すると、スライドガイド61の当接部61cにガイド部材24が当接してひっかかる。その後は、検出部41は、フォーク25との上下方向D1の距離を維持したまま、フォーク25と一体となって上昇する。フォーク25が荷物101と同程度の高さまで移動すると、昇降機構30はフォーク25の上昇を停止する。
【0034】
ステップS3の後、前方情報取得部75が、センサ装置40を制御してパレット102の差込孔103をセンシングし、差込孔103の位置情報を取得する(ステップS4)。その後、昇降動作部74が、昇降機構30を制御してフォーク25の上下方向D1位置を微調整し、サイドシフト動作部76が、サイドシフト機構35を制御してフォーク25の車幅方向D3位置を微調整する。この時、サイドシフト機構35に設けられたポテンショメータ(不図示)がフォーク25のサイドシフト量を検出しながら、フォーク25の位置調整が行われる。
【0035】
ステップS4の後、マスト前後方向動作部73が、マスト10を前方に移動させることにより、パレット102の差込孔103にフォーク25のツメ部25bを差し込む(ステップS5)。
図7には、パレット102の差込孔103にフォーク25のツメ部25bが差し込まれた状態が、仮想線で示されている。そして、
図8に示すように、マスト前後方向動作部73がマスト10を後方に移動させ、棚104から荷物101を取り出す(ステップS6)。ステップ6では、荷物101がフォーク25によって保持される。この時、検出部41は、フォーク25よりも下方に位置している。このため、センサ装置40のセンシング領域A1が荷物101によって遮られることがなく、センサ装置40は、フォークリフト100の前方を良好にセンシングすることができる。
【0036】
ステップS6の後、マスト伸縮動作部72が、アウターマスト11に対してインナーマスト12を下方に相対移動させて、マスト10を上下方向D1に収縮する(ステップS7)。ステップS7の後、昇降動作部74が昇降機構30を制御してフォーク25を下降させる(ステップS8)。ステップS8では、パレット102がレッグ3よりも僅かに上方に位置する高さ(走行時のフォーク高さ)まで、昇降動作部74がフォーク25を下降させる。
【0037】
ステップS8の後、荷物101を走行時のフォーク高さに設置して、走行制御部71が、車体1を走行させ、荷降ろし場所まで移動する(ステップS9)。その後、マスト前後方向動作部73が、マスト10を前方に移動させ、荷物101を床面F上に載置する(ステップS10)。
この時、フォーク25が基準高さHまで低下すると、センサ収納部65がメカストッパ51に当接する。これにより、検出部41がこれ以上下降することがなくなる。そして、検出部41の上下方向D1位置が維持されたまま、フォーク25が下降する。なお、この時、検出部41がメカストッパ51に対して車幅方向D3にずれた位置に存在する場合、サイドシフト動作部76が、サイドシフト機構35を制御して、検出部41がメカストッパ51の上方に位置するように車幅方向D3位置を微調整する。そして、
図9に示すように、昇降動作部74がフォーク25を最下降位置まで下降させる。すると、検出部41が収納されたセンサ収納部65は、メカストッパ51によって床面Fよりも上方に位置した状態となる。
その後、マスト前後方向動作部73がマスト10を後方に移動させ、パレット102からフォーク25を引き抜く(ステップS11)。
以上の手順を経て、荷降ろしが完了する。
なお、フォークリフト100は、荷降ろし以外に、荷物101の積み込みにも用いることができる。荷物101の積み込みは、上述した荷降ろしと逆の手順で進行する。
【0038】
(作用効果)
上述したフォークリフト100では、以下に示す作用効果を奏する。
【0039】
本実施形態では、フォークリフト100は、車体1と、マスト10と、荷役装置20と、センサ装置40と、センサ移動機構50とを備える。マスト10は、車体1に設けられて上下方向D1に延びている。荷役装置20は車体1よりも前方に配置され前後方向D2に延びるツメ部25bを有したフォーク25、フォーク25をマスト10に対して上下方向D1に移動させる昇降機構30、及び、フォーク25をマスト10に対して車幅方向D3に移動させるサイドシフト機構35を有する。センサ装置40は、フォーク25に対して上下方向D1に相対移動可能となるように荷役装置20に設けられて前方の情報を検出可能な検出部41を有し、検出部41が検出した情報から前方をセンシング可能である。センサ移動機構50は、フォーク25が基準高さH以上である場合に検出部41をフォーク25よりも下方に位置するセンシング位置P1に移動させるとともに、フォーク25が基準高さHを下回った場合に検出部41をフォーク25の下端よりも上方に位置する退避位置P2に移動させる。
【0040】
本実施形態によれば、荷降ろしの際、フォーク25が基準高さH以上に位置すると、センサ移動機構50がフォーク25よりも下方に検出部41を配置する。これにより、フォークリフト100がフォーク25によって荷物101を保持している時に、センサ装置40のセンシング領域A1の一部が荷物101によって遮られることなくなる。よって、センサ装置40は、荷役作業中に前方のセンシングを良好に行うことができる。
また、フォーク25が基準高さHを下回った場合には、センサ移動機構50が、検出部41をフォーク25の下端よりも上方に位置する退避位置P2に移動させる。これにより、フォークリフト100は、フォーク25で保持した荷物101を下降させる際、検出部41と床面Fとの干渉を回避することができる。
【0041】
本実施形態では、センサ移動機構50は、スライドガイド61と、センサ収納部65とを有する。スライドガイド61は、フォーク25に対して上下方向D1に相対的にスライド移動可能に設けられ、上下方向D1に延びている。センサ収納部65は、スライドガイド61の下端に設けられている。センサ収納部65には、検出部41が収納されている。
【0042】
本実施形態によれば、フォーク25が上昇すると、スライドガイド61がフォーク25に対して下方に相対移動する。これにより、フォーク25の上昇に伴って、検出部41が自重で下降することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、センサ移動機構50は、マスト10の下端部に取り付けられて前方に突出し、センサ収納部65を載置可能なメカストッパ51をさらに有する。
【0044】
これにより、フォーク25が基準高さHよりも低い位置まで下降した時、センサ収納部65がメカストッパ51上に載置されるように設計することができる。このようにすることで、フォーク25の下降に伴って、検出部41が床面Fと干渉することを防止することができる。
センサ移動機構50が、これらスライドガイド61、センサ収納部65、及びメカストッパ51を有することにより、検出部41の昇降のための動力源を別途設ける必要が無くなる。よって、センサ移動機構50を小型化することができ、省スペース化を達成することができる。
【0045】
(変形例)
続いて、本実施形態の変形例について
図10、
図11を参照して説明する。
図10、
図11に示すように、本変形例では、メカストッパ51は、車幅方向D3に対向して配置された一対のマスト10に車幅方向D3に架け渡されている。より詳細には、メカストッパ51は、底壁52及び後壁53に加えて、接続部54を有している。底壁52は、車幅方向D3に延びる板状に形成されている。底壁52の車幅方向D3両端は、一対のフォーク25よりも車幅方向D3外側に位置している。また、後壁53は、底壁52と同程度に車幅方向D3に延びるように形成されている。
【0046】
接続部54は、底壁52とアウターマスト11とを接続する部材である。接続部54は、底壁52の車幅方向D3両端に1つずつ、計2つ設けられている。各接続部54は、底壁52から上方に延び、アウターマスト11に固定されている。
【0047】
さらに、本変形例では、センサ収納部65は、後方に向けて突出した突起部66を有する。センサ収納部65の突起部66がメカストッパ51の底壁52上に載置される。この突起部66とメカストッパ51とが当接することにより、検出部41が下降することなく、床面Fよりも上方に維持される。
【0048】
本変形例によれば、実施形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
【0049】
本変形例では、メカストッパ51は、車幅方向D3に対向して配置された一対のマスト10に車幅方向D3に架け渡されている。
これにより、センサ収納部65がメカストッパ51よりも車幅方向D3外側にずれてしまうことが防止される。よって、より確実に、検出部41が床面Fと干渉してしまうことを抑制することができる。
【0050】
(ハードウェア構成)
上記の実施形態及び変形例の制御装置70は、
図12に示すコンピュータ1100に実装される。
図12は、各実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110と、メインメモリ1120と、ストレージ1130と、インタフェース1140とを備える。
【0051】
そして、制御装置70の上記各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0052】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0053】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体であってもよい。
【0054】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0055】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、フォークリフト100は、無人搬送フォークリフト(AGF)であるとしたが、これに限るものではない。フォークリフト100は、例えば自動運転フォークリフトであってもよい。
【0056】
上記実施形態では、マスト10が2段マストであるとしたが、これに限るものではない。例えばマスト10は1段マストや、3段以上の多段マストであってもよい。
【0057】
上記実施形態では、センサ移動機構50には、自重によって上下方向D1に昇降する自重昇降式が採用され、センサ移動機構50がセンサ取付部60とメカストッパ51とを有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、センサ移動機構50は、フォーク25が基準高さHを下回ったことをセンサによって検知し、モータ等を用いて電気的に検出部41を床面Fと干渉しない退避位置P2まで上昇させるようにしてもよい。
【0058】
<付記>
各実施形態に記載のフォークリフト100は、例えば以下のように把握される。
【0059】
(1)第1の態様に係るフォークリフト100は、車体1と、前記車体1に設けられて上下方向D1に延びるマスト10と、前記車体1よりも前方に配置され前後方向D2に延びるツメ部25bを有したフォーク25、前記フォーク25を前記マスト10に対して上下方向D1に移動させる昇降機構30、及び、前記フォーク25を前記マスト10に対して車幅方向D3に移動させるサイドシフト機構35を有する荷役装置20と、前記フォーク25に対して上下方向D1に相対移動可能となるように前記荷役装置20に設けられて前方の情報を検出可能な検出部41を有し、前記検出部41が検出した情報から前方をセンシング可能なセンサ装置40と、前記フォーク25が基準高さH以上である場合に前記検出部41を前記フォーク25よりも下方に位置するセンシング位置P1に移動させるとともに、前記フォーク25が前記基準高さHを下回った場合に前記検出部41をフォーク25の下端よりも上方に位置する退避位置P2に移動させるセンサ移動機構50と、を備える。
【0060】
本態様によれば、荷降ろしの際、フォーク25が基準高さH以上に位置すると、センサ移動機構50がフォーク25よりも下方に検出部41を配置する。これにより、フォークリフト100がフォーク25によって荷物101を保持している時に、センサ装置40のセンシング領域A1の一部が荷物101によって遮られることなくなる。よって、センサ装置40は、荷役作業中に前方のセンシングを良好に行うことができる。
また、フォーク25が基準高さHを下回った場合には、センサ移動機構50が、検出部41をフォーク25の下端よりも上方に位置する退避位置P2に移動させる。これにより、フォークリフト100は、フォーク25で保持した荷物101を下降させる際、検出部41と床面Fとの干渉を回避することができる。
【0061】
(2)第2の態様のフォークリフト100は、第1の態様のフォークリフト100であって、前記センサ移動機構50は、前記フォーク25に対して上下方向D1に相対的にスライド移動可能に設けられ、上下方向D1に延びるスライドガイド61と、前記スライドガイド61の下端に設けられ、前記検出部41が収納されるセンサ収納部65と、を有してもよい。
【0062】
本態様によれば、フォーク25が上昇すると、スライドガイド61がフォーク25に対して下方に相対移動する。これにより、フォーク25の上昇に伴って、検出部41が自重で下降することができる。
【0063】
(3)第3の態様のフォークリフト100は、第2の態様のフォークリフト100であって、前記センサ移動機構50は、前記マスト10の下端部に取り付けられて前方に突出し、前記センサ収納部65を載置可能なメカストッパ51をさらに有してもよい。
【0064】
これにより、フォーク25が基準高さHよりも低い位置まで下降した時、センサ収納部65がメカストッパ51上に載置されるように設計することができる。このようにすることで、フォーク25の下降に伴って、検出部41が床面Fと干渉することを防止することができる。
【0065】
(4)第4の態様のフォークリフト100は、第3の態様のフォークリフト100であって、前記メカストッパ51は、車幅方向D3に対向して配置された一対の前記マスト10に車幅方向D3に架け渡されていてもよい。
【0066】
これにより、センサ収納部65がメカストッパ51よりも車幅方向D3外側にずれてしまうことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…車体 2…車体本体 3…レッグ 5…走行機構 6…車輪 6a…前輪 6b…後輪 10…マスト 11…アウターマスト 12…インナーマスト 13…フランジ 20…荷役装置 21…バックレスト 22…バックレスト本体 23…フォーク取付部 24…ガイド部材 25…フォーク 25a…フォーク基部 25b…ツメ部 25c…上面 30…昇降機構 31…リフトブラケット 32…昇降駆動源 35…サイドシフト機構 35a…油圧シリンダ 40…センサ装置 41…検出部 50…センサ移動機構 51…メカストッパ 52…底壁 52a…上面 53…後壁 54…接続部 60…センサ取付部 61…スライドガイド 61a…ガイド本体 61b…ガイド突起 61c…当接部 65…センサ収納部 65a…開口部 66…突起部 70…制御装置 71…走行制御部 72…マスト伸縮動作部 73…マスト前後方向動作部 74…昇降動作部 75…前方情報取得部 76…サイドシフト動作部 100…フォークリフト 101…荷物 102…パレット 103…差込孔 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インタフェース A1…センシング領域 D1…上下方向 D2…前後方向 D3…車幅方向 F…床面 P1…センシング位置 P2…退避位置 H…基準高さ