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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154073
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】内視鏡洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20241023BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61B1/12 510
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067685
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】503332466
【氏名又は名称】有限会社ガリュー
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 可賀
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040EA01
4C161GG08
(57)【要約】
【課題】内視鏡の管路内を洗浄する際に、管路内への影響を抑制しつつ効率良く洗浄を行うことができる内視鏡洗浄装置を提供する。
【解決手段】加圧液体と加圧気体とを混合させる気液混合部83と、気液混合部83からの加圧流体を外部に噴出する噴出口116を有する噴出流路141とを備え、噴出流路141の中間部には、噴出流路141を一旦複数の、分岐流路91と、分岐流路92および合流前流路95と、分岐流路93および合流前流路96とに分岐させた後に再びこれらを合流させる分岐合流部88が設けられており、噴出流路141は、分岐合流部88よりも下流側に、噴出口116を有し管路2内に挿入される可撓性のチューブ112~114を有しており、チューブ112~114は、一部が他の部分よりも軟質である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の管路内を洗浄する内視鏡洗浄装置であって、
加圧された加圧液体を導く第1供給流路と、
加圧された加圧気体を導く第2供給流路と、
前記第1供給流路と前記第2供給流路とを合流させ、前記加圧液体と前記加圧気体とを混合させる気液混合部と、
前記気液混合部からの加圧流体を外部に噴出する噴出口を有する噴出流路とを備え、
前記噴出流路の中間部には、該噴出流路を一旦複数の分岐流路に分岐させた後に再びこれら分岐流路を合流させる分岐合流部が設けられており、
前記噴出流路は、前記分岐合流部よりも下流側に、前記噴出口を有し前記管路内に挿入される可撓性のチューブを有しており、
前記チューブは、一部が他の部分よりも軟質であることを特徴とする内視鏡洗浄装置。
【請求項2】
前記第1供給流路の前記加圧液体の流量を調整する第1流量調整弁と、
前記第2供給流路の前記加圧気体の流量を調整する第2流量調整弁と、が設けられていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項3】
前記加圧気体が導入され、導入された前記加圧気体によって液体を加圧し前記加圧液体として前記第1供給流路に供給すると共に、導入された前記加圧気体を前記第2供給流路に供給する液体加圧部と、
前記加圧気体を貯留する加圧気体貯留部と、
前記加圧気体貯留部が着脱可能であり、前記加圧気体貯留部が装着されると装着された前記加圧気体貯留部の前記加圧気体を前記液体加圧部に供給する加圧気体供給部と、
を有することを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項4】
前記気液混合部と前記分岐合流部とを含むベース部をシンクの側壁部の上部に着脱可能に取り付ける取付部を有することを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気液を混合して噴出させる流体噴射装置に関して、加圧された液体を導く第1供給流路と、加圧された気体を導く第2供給流路とを有し、第1供給流路と第2供給流路とを合流させて液体と気体とを混合して噴出させるものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4495485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内視鏡の管路内を洗浄する場合、従来は、ワイヤの先端にブラシが付いた器具を用いて洗浄を行っていた。このようにブラシを使って洗浄を行うと管路内を傷つける等の影響がある。
【0005】
したがって、本発明は、内視鏡の管路内を洗浄する際に、管路内への影響を抑制しつつ効率良く洗浄を行うことができる内視鏡洗浄装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、内視鏡の管路内を洗浄する内視鏡洗浄装置であって、加圧された加圧液体を導く第1供給流路と、加圧された加圧気体を導く第2供給流路と、前記第1供給流路と前記第2供給流路とを合流させ、前記加圧液体と前記加圧気体とを混合させる気液混合部と、前記気液混合部からの加圧流体を外部に噴出する噴出口を有する噴出流路とを備え、前記噴出流路の中間部には、該噴出流路を一旦複数の分岐流路に分岐させた後に再びこれら分岐流路を合流させる分岐合流部が設けられており、前記噴出流路は、前記分岐合流部よりも下流側に、前記噴出口を有し前記管路内に挿入される可撓性のチューブを有しており、前記チューブは、一部が他の部分よりも軟質であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内視鏡の管路内を洗浄する際に、管路内への影響を抑制しつつ効率良く洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態の内視鏡洗浄装置の構成を示す一部を断面とした図である。
図2】本発明に係る実施形態の内視鏡洗浄装置の要部の構成を示す一部を断面とした図である。
図3】本発明に係る実施形態の内視鏡洗浄装置の要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、実施形態の内視鏡洗浄装置11は、内視鏡1に設けられた管路2内を洗浄するものである。内視鏡1の管路2には、例えば、送気や送水を行う送気送水管路や、吸引を行ったり鉗子を通したりする吸引管路があり、内視鏡洗浄装置11は、内視鏡1の、これらのような管路2の内部を洗浄するものである。
【0010】
内視鏡洗浄装置11は、空気、窒素ガス等の加圧気体を貯留する加圧気体貯留部21と、加圧気体貯留部21に貯留している加圧気体を供給する加圧気体供給部22と、内部に洗剤または水からなる洗浄用の液体Lが貯留されると共に、加圧気体供給部22から供給される加圧気体Gが導入され、導入された加圧気体Gによって洗浄用の液体Lを加圧する液体加圧部23と、を有している。
【0011】
加圧気体貯留部21は、内部に加圧気体Gが充填され、充填された加圧気体Gを貯留するカセット式ボンベである。加圧気体貯留部21は、開閉弁付きの供給口25を有しており、供給口25の開閉弁が開くと内部に充填されている加圧気体Gを供給口25から放出する。
【0012】
加圧気体供給部22は、加圧気体貯留部21が着脱可能となっている。加圧気体供給部22は、加圧気体貯留部21が装着されると、加圧気体貯留部21の供給口25に接続されると共に、加圧気体貯留部21の開閉弁を開く。加圧気体供給部22は、コネクタ部32を有しており、このコネクタ部32に、加圧気体貯留部21の供給口25から排出される加圧気体Gを案内する配管である加圧気体供給流路31の一端部が接続されている。加圧気体供給流路31は、加圧気体供給部22のコネクタ部32に対し着脱可能となっている。加圧気体供給部22には、加圧気体貯留部21から加圧気体供給流路31への加圧気体Gの流路をレバーの回転により開閉する開閉弁33が設けられている。
【0013】
液体加圧部23は、天井部41と底部42と胴部43とを有するタンク46を備えている。タンク46は、天井部41に設けられた開口部45を介して内部に洗剤または水からなる洗浄用の液体Lが注入され、注入された洗浄用の液体Lを貯留する。
【0014】
液体加圧部23は、タンク46の開口部45に対し着脱可能であって、タンク46の開口部45に取り付けられると開口部45を密封する蓋体48と、蓋体48に取り付けられた導入配管部50と、タンク46内からタンク46の天井部41を貫通して外部に延出する第1配管部51と、タンク46内からタンク46の天井部41を貫通して外部に延出する第2配管部52と、を有している。
【0015】
液体加圧部23には、加圧気体供給流路31の他端部が、蓋体48に設けられた導入配管部50のコネクタ部55に着脱可能に接続される。導入配管部50は、タンク46内に配置される開口部が、タンク46内に貯留される最大量の液体Lの液面よりも上側に開口している。これにより、加圧気体貯留部21から、加圧気体供給部22、加圧気体供給流路31および導入配管部50を介して供給される加圧気体Gがタンク46内の液体Lと天井部41との間の空間に導入される。すると、このようにタンク46内に供給された加圧気体Gが、タンク46内の洗浄用の液体Lを加圧して加圧液体Lとする。
【0016】
第1配管部51は、タンク46内の天井部41から底部42の近傍まで延びている。これにより、第1配管部51は、下端開口部がタンク46内の加圧液体L内に位置することになる。よって、加圧気体貯留部21から、加圧気体供給部22および加圧気体供給流路31を介してタンク46内に供給された加圧気体Gによって加圧された加圧液体Lが、第1配管部51によってタンク46内からタンク46外に導かれる。第1配管部51には、そのコネクタ部55に、配管である第1供給流路61の一端部が着脱可能に接続されている。よって、加圧気体貯留部21からタンク46内に供給された加圧気体Gによって加圧された加圧液体Lが、第1配管部51から第1供給流路61に導入される。
【0017】
第2配管部52は、タンク46内に配置される開口部が、タンク46内に貯留される最大量の液体Lの液面よりも上側に開口している。これにより、第2配管部52は、タンク46内に配置される開口部がタンク46内の加圧気体G内に位置することになる。よって、加圧気体貯留部21から、加圧気体供給部22および加圧気体供給流路31を介してタンク46内に供給されてタンク46内の液体Lと天井部41との間に導入された加圧気体Gが、第2配管部52によってタンク46内からタンク46外に導かれる。第2配管部52には、そのコネクタ部57に、配管である第2供給流路62の一端部が着脱可能に接続されている。よって、加圧気体貯留部21からタンク46内に供給された加圧気体Gが、第2配管部52から第2供給流路62に導入される。
【0018】
以上により、内視鏡洗浄装置11は、液体加圧部23が、加圧気体Gが導入され、導入された加圧気体Gによって洗浄用の液体Lを加圧し加圧液体Lとして第1供給流路61に供給すると共に、導入された加圧気体Gを第2供給流路62に供給する。
【0019】
内視鏡洗浄装置11は、液体加圧部23から第1供給流路61を介して供給される加圧液体Lと、液体加圧部23から第2供給流路62を介して供給される加圧気体Gと、を混合して噴出する混合噴出部70を有している。混合噴出部70は、第1供給流路61の他端部が着脱可能に接続される第1コネクタ部71と、第2供給流路62の他端部が着脱可能に接続される第2コネクタ部72と、を有している。
【0020】
混合噴出部70は、第1コネクタ部71に連結され、第1供給流路61を介して導入される加圧液体Lの流量を、ツマミを回転させることで0から最大値まで無段階に調整可能な第1流量調整弁81と、第2コネクタ部72に連結され、第2供給流路62を介して導入される加圧気体Gの流量を、ツマミを回転させることで0から最大値まで無段階に調整可能な第2流量調整弁82と、第1流量調整弁81で流量が調整された加圧液体Lと、第2流量調整弁82で流量が調整された加圧気体Gとを混合する気液混合部83と、を有している。言い換えれば、混合噴出部70には、第1供給流路61と第2供給流路62とを合流させ、加圧液体Lと加圧気体Gとを混合させる気液混合部83が設けられている。また、混合噴出部70には、第1供給流路61の加圧液体Lの流量を調整する第1流量調整弁81と、第2供給流路62の加圧気体Gの流量を調整する第2流量調整弁82と、が設けられている。
【0021】
よって、内視鏡洗浄装置11は、第1供給流路61を通る加圧液体Lの流量と、第2供給流路62を通る加圧気体Gの流量とが、第1流量調整弁81および第2流量調整弁82によって個別に調整可能となっている。
【0022】
図2に示すように、気液混合部83は、第1流量調整弁81で流量が調整された加圧液体Lと、第2流量調整弁82で流量が調整された加圧気体Gとを、流路を合流させることで混合して、気液混合流体Rとする。
【0023】
混合噴出部70は、気液混合部83で混合された気液混合流体Rの流量を調整する流体流量調整弁85を有している。流体流量調整弁85は、気液混合流体Rの流量を0から最大値までレバーを回転させることで無段階に調整可能となっている。
【0024】
混合噴出部70は、流体流量調整弁85を通過後の気液混合流体Rを分流させた後、合流させて衝突させる分岐合流部88を有している。分岐合流部88は、流体流量調整弁85に接続されており、流体流量調整弁85内の流量調整後の気液混合流体Rが通る導入流路90を一旦複数具体的には三つに分岐させる三つの分岐流路91~93と、分岐流路91の末端位置に、分岐流路92,93を合流させる合流前流路95,96とを有している。
【0025】
分岐流路91は、導入流路90の径方向の中央から導入流路90の軸線方向に沿って延出している。分岐流路92は導入流路90の径方向の一側から分岐流路91に対し斜め方向に延出している。分岐流路93は導入流路90の径方向の他側から分岐流路91に対し斜め方向に延出している。ここで、三つの分岐流路91~93は、すべて同じ流路断面積であり、いずれの流路断面積も導入流路90の流路断面積よりも小さくなっている。分岐流路91~93は、すべて同一平面上に配置されている。分岐流路91と分岐流路92とのなす角の角度と、分岐流路91と分岐流路93とのなす角の角度とは同等であり、いずれも鋭角である。
【0026】
分岐合流部88は、分岐流路92の導入流路90とは反対側の端部から導入流路90の径方向に沿って分岐流路91の方向に延びて分岐流路91の軸方向の導入流路90とは反対側の端部に合流する合流前流路95と、分岐流路93の導入流路90とは反対側の端部から導入流路90の径方向に沿って分岐流路91の方向に延びて分岐流路91の軸方向の導入流路90とは反対側の端部に合流する合流前流路96と、を有している。ここで、合流前流路95,96は、いずれも分岐流路91~93と同じ流路断面積となっている。合流前流路95,96は、いずれも分岐流路91~93と同一平面上に配置されている。分岐流路92と合流前流路95とのなす角の角度と、分岐流路93と合流前流路96とのなす角の角度とは同等であり、いずれも鋭角である。分岐流路91と合流前流路95とのなす角の角度と、分岐流路91と合流前流路96とのなす角の角度とは同等であり、いずれも直角である。よって、合流前流路95,96は、同一直線上に配置されている。分岐流路91と合流前流路95,96とが合流して一つの合流後流路98になっている。合流後流路98は、分岐流路91の導入流路90とは反対側に、分岐流路91と同一直線上に配置されて設けられており、分岐流路91と同じ流路断面積となっている。
【0027】
混合噴出部70は、分岐合流部88の流体流量調整弁85とは反対側に接続される配管部101を有している。配管部101は、その内側の導出流路102が、導入流路90の流路断面積と同等の流路断面積となっている。よって、導出流路102は、合流後流路98よりも流路断面積が大きくなっている。導入流路90、分岐流路91、合流後流路98および導出流路102は、この順に並んで同一直線上に配置されている。
【0028】
配管部101は、コネクタ部105を有しており、混合噴出部70は、このコネクタ部105に着脱可能に取り付けられる可撓性の噴出ノズル111を有している。
【0029】
第1流量調整弁81と、第2流量調整弁82と、気液混合部83と、流体流量調整弁85と、分岐合流部88と、配管部101とが、一体的に連結されて基本的に剛体からなるベース部110を構成しており、このベース部110に、可撓性のある噴出ノズル111が着脱可能に取り付けられている。
【0030】
噴出ノズル111は、コネクタ部105に接続される側の基端側チューブ112と、基端側チューブ112のコネクタ部105とは反対側の端部に接続される中間チューブ113と、中間チューブ113の基端側チューブ112とは反対側の端部に接続される先端側チューブ114と、を有している。
【0031】
基端側チューブ112、中間チューブ113および先端側チューブ114は、いずれも合成樹脂製である。
【0032】
具体的に、基端側チューブ112および先端側チューブ114は、いずれも、全体が例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂あるいはポリエチレン等の可撓性材料で略一定肉厚に一体成形されてなる管状部材である。
【0033】
これに対し、中間チューブ113は、基端側チューブ112および先端側チューブ114よりも軟質のソフトポリウレタン等の可撓性材料で略一定肉厚に一体成形されてなる管状部材、いわゆる弾力チューブである。
【0034】
先端側チューブ114の外径は、基端側チューブ112の外径よりも小径であり、先端側チューブ114の内径は、基端側チューブ112の内径よりも小径である。中間チューブ113は、その一端側の内周部に基端側チューブ112のコネクタ部105とは反対側の端部が締め代をもって嵌合されており、これにより、基端側チューブ112に連結されている。中間チューブ113は、その他端側の内周部に先端側チューブ114の基端部が締め代をもって嵌合されており、これにより、先端側チューブ114に連結されている。基端側チューブ112と先端側チューブ114とは、間に中間チューブ113が配置されることによって長さ方向において離れている。先端側チューブ114は、中間チューブ113とは反対側の端部が、噴出ノズル111において外気に開口する噴出口116となっている。噴出ノズル111は、少なくとも先端側チューブ114の外径が、内視鏡1の管路2内に挿入可能となるように、管路2の内径よりも小径となっている。
【0035】
噴出ノズル111内のノズル内流路121は、噴出口116とは反対側にある基端側チューブ112内の基端側噴出流路122の流路断面積が、ベース部110の導出流路102の流路断面積よりも小さくなっている。また、ノズル内流路121は、基端側噴出流路122の流路断面積に対して、噴出口116側にある中間チューブ113内の中間噴出流路123の流路断面積が一旦拡大した後、縮小し、先端側チューブ114内の先端側噴出流路124の流路断面積がさらに縮小する。すなわち、導出流路102から流路断面積が縮小したノズル内流路121は、その後、流路断面積が、噴出口116に向かうにしたがって、拡大、縮小、さらに縮小と変化する。
【0036】
混合噴出部70は、ベース部110の気液混合部83と流体流量調整弁85との間に、取付部131を有している。取付部131は、図3に示すように、取付ベース部材132と、取付ベース部材132にスライド可能に支持され、取付ベース部材132とで、取り付け位置を挟持するスライド部材133と、スライド部材133を取付ベース部材132に対し締結固定する締結具134とを有している。取付部131は、締結具134が緩められた状態で、取り付け位置となるシンク5の側壁部6の上部を、取付ベース部材132とスライド部材133とで挟持し、この状態で、スライド部材133が取付ベース部材132に締結具134で締結される。これにより、取付部131は、ベース部110をシンク5の側壁部6の上部に支持する。このように、取付部131は、混合噴出部70のうちの、噴出ノズル111よりも剛性が高い部分であるベース部110をシンク5の側壁部6の上部に着脱可能に取り付ける。
【0037】
以上の構成の内視鏡洗浄装置11を用いる場合の作動について説明する。
【0038】
まず、作業者が、蓋体48が外された状態の開口部45を介してタンク46に洗浄用の液体L、具体的には水を、第2配管部52の下端開口部よりも下側、かつ、第1配管部51の下端開口部よりも上側のレベルで注入し、開口部45を蓋体48で閉塞させる。また、作業者は、取付部131をシンク5の側壁部6の上部に取り付ける。そして、この状態で、作業者が、開閉弁33を開いて、液体加圧部23のタンク46内に加圧気体Gを導入する。すると、タンク46内の洗浄用の液体Lが加圧されて加圧液体Lとなる。
【0039】
そして、作業者が、噴出ノズル111を噴出口116を先頭にして内視鏡1の管路2内に挿入し、流体流量調整弁85のレバーを操作することにより流体流量調整弁85を開状態にする。すると、タンク46内の加圧液体Lと、タンク46内の加圧気体Gとが、気液混合部83で混合されて、気液混合流体Rとなり、分岐合流部88および噴出ノズル111内を通って、噴出口116から噴出する。
【0040】
より具体的には、加圧液体Lが第1供給流路61を介して気液混合部83に導かれ、加圧された加圧気体Gが第2供給流路62を介して気液混合部83に導かれると、気液混合部83がこれら第1供給流路61と第2供給流路62とを合流させることにより、加圧液体Lと加圧気体Gを混合させて気液混合流体Rとすることになる。このとき、第1流量調整弁81および第2流量調整弁82で流量を調整することにより、加圧液体Lと加圧気体Gとの混合比率を変えることができる。
【0041】
そして、加圧液体Lと加圧気体Gとが混合された気液混合流体Rは、液体Lが細かい粒になった状態で、流体流量調整弁85の導入流路90内を流れる。
【0042】
このような気液混合流体Rが、導入流路90から分岐する三つの分岐流路91~93にそれぞれ導入される。そして、三つの分岐流路91~93をそれぞれ流れる気液混合流体Rが、分岐流路91、合流前流路95および合流前流路96の末端位置で再び合流する際に、互いに衝突し合って液体Lをさらに細かい粒にした後、合流後流路98、配管部101の導出流路102および噴出ノズル111のノズル内流路121を通って、噴出口116から噴出して、内視鏡1の管路2の内壁に当たって、内壁から汚れを剥離させて、内視鏡1の管路2内を洗い流す。なお、先端側チューブ114の中間チューブ113から突出する部分、すなわち噴出ノズル111のうち、噴出口116を含む外径が最も細い部分の全長は、内視鏡1の管路2の全長よりも長くなるように設定されている。
【0043】
ここで、ノズル内流路121を通る際に、気液混合流体Rが、基端側噴出流路122から、中間噴出流路123で一旦拡径した後、縮径し、先端側噴出流路124でさらに縮径することで脈動を生じ、キャビテーションを生じる。しかも、中間噴出流路123を形成する中間チューブ113が、その両側の基端側噴出流路122を形成する基端側チューブ112および先端側噴出流路124を形成する先端側チューブ114よりも軟質であるため、流路断面積の拡縮と相まって、より一層の脈動を気液混合流体Rに生じさせ、キャビテーションを生じさせる。このように脈動し、キャビテーションを生じた気液混合流体Rが噴出口116から噴出して、内視鏡1の管路2内に当たるため、管路2内への影響を抑制しつつ高い洗浄効率で管路2内を洗浄することができる。
【0044】
以上により、内視鏡洗浄装置11は、流体流量調整弁85の導入流路90と、分岐合流部88内の分岐流路91~93、合流前流路95,96および合流後流路98と配管部101の導出流路102と、噴出ノズル111内のノズル内流路121とが、気液混合部83からの気液混合流体Rを外部に噴出する噴出口116を有する噴出流路141となっている。そして、この噴出流路141の中間部には、噴出流路141を一旦複数の、分岐流路91と、分岐流路92および合流前流路95と、分岐流路93および合流前流路96と、に分岐させた後に再びこれら分岐流路91と、分岐流路92および合流前流路95と、分岐流路93および合流前流路96と、を合流させる分岐合流部88が設けられている。噴出流路141は、分岐合流部88よりも下流側に、噴出口116を有し管路2内に挿入される可撓性のチューブ112~114を有しており、チューブ112~114は、一部である中間チューブ113が、他の部分である基端側チューブ112および先端側チューブ114よりも軟質である。
【0045】
以上に述べたように、実施形態の内視鏡洗浄装置11は、気液混合部83で加圧気体Gと混合させられることで細かい粒となった洗浄用の液体Lが、噴出流路141の中間部の分岐合流部88で一旦複数の、分岐流路91と、分岐流路92および合流前流路95と、分岐流路93および合流前流路96と、に分岐させられた後、再び合流させられる際に衝突し、その結果、一層細かい粒になる。したがって、内視鏡1の管路2内への影響を少なくして管路2内を洗浄する際の洗浄能力を高めることができ、少ない液体Lの量で効果的に管路2内の洗浄を行うことができることになる。
【0046】
また、内視鏡洗浄装置11は、分岐合流部88よりも下流側のノズル内流路121が、基端側噴出流路122から、中間噴出流路123で一旦拡径した後、縮径し、先端側噴出流路124でさらに縮径するため、ノズル内流路121を通る気液混合流体Rに、脈動を生じさせることができる。したがって、管路2内を洗浄する際の洗浄能力を一層高めることができ、少ない液体Lの量でより効果的に管路2内の洗浄を行うことができることになる。
【0047】
また、内視鏡洗浄装置11は、分岐合流部88よりも下流側に、管路2内に挿入される可撓性のチューブ112~114を有しており、チューブ112~114は、一部である中間チューブ113が、他の部分である基端側チューブ112および先端側チューブ114よりも軟質であるため、気液混合流体Rに一層の脈動を生じさせることができる。したがって、管路2内を洗浄する際の洗浄能力をより一層高めることができ、少ない液体Lの量でより一層効果的に管路2内の洗浄を行うことができることになる。
【0048】
また、内視鏡洗浄装置11は、第1供給流路61の加圧液体Lの流量を調整する第1流量調整弁81と、第2供給流路62の加圧気体Gの流量を調整する第2流量調整弁82と、が設けられているため、加圧液体Lと加圧気体Gとの混合の割合を詳細に設定することができる。
【0049】
また、内視鏡洗浄装置11は、加圧気体Gを貯留する加圧気体貯留部21と、加圧気体貯留部21が着脱可能であり、加圧気体貯留部21が装着されると装着された加圧気体貯留部21の加圧気体Gを液体加圧部23に供給する加圧気体供給部22と、を備えるため、エアコンプレッサを用いる場合に生じる騒音、振動、ミスト等を抑制することができる。
【0050】
また、内視鏡洗浄装置11は、気液混合部83と分岐合流部88とを含むベース部110をシンク5の側壁部6の上部に着脱可能に取り付ける取付部131を有するため、内視鏡洗浄装置11をベース部110においてシンク5の側壁部6の上部に取り付けて、可撓性の噴出ノズル111を撓ませて洗浄作業を行うことができ、作業性が向上する。
【0051】
なお、洗浄用の液体Lとして水ではなく洗剤を用いても良い。
【0052】
(付記1)
内視鏡洗浄装置は、
内視鏡の管路内を洗浄する内視鏡洗浄装置であって、
加圧された加圧液体を導く第1供給流路と、
加圧された加圧気体を導く第2供給流路と、
前記第1供給流路と前記第2供給流路とを合流させ、前記加圧液体と前記加圧気体とを混合させる気液混合部と、
前記気液混合部からの加圧流体を外部に噴出する噴出口を有する噴出流路とを備え、
前記噴出流路の中間部には、該噴出流路を一旦複数の分岐流路に分岐させた後に再びこれら分岐流路を合流させる分岐合流部が設けられており、
前記噴出流路は、前記分岐合流部よりも下流側に、前記噴出口を有し前記管路内に挿入される可撓性のチューブを有しており、
前記チューブは、一部が他の部分よりも軟質であることを特徴とする。
【0053】
(付記2)
上記付記1において、
前記第1供給流路の前記加圧液体の流量を調整する第1流量調整弁と、
前記第2供給流路の前記加圧気体の流量を調整する第2流量調整弁と、が設けられていることを特徴とする。
【0054】
(付記3)
上記付記1または2において、
前記加圧気体が導入され、導入された前記加圧気体によって液体を加圧し前記加圧液体として前記第1供給流路に供給すると共に、導入された前記加圧気体を前記第2供給流路に供給する液体加圧部と、
前記加圧気体を貯留する加圧気体貯留部と、
前記加圧気体貯留部が着脱可能であり、前記加圧気体貯留部が装着されると装着された前記加圧気体貯留部の前記加圧気体を前記液体加圧部に供給する加圧気体供給部と、
を有することを特徴とする。
【0055】
(付記4)
上記付記1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記気液混合部と前記分岐合流部とを含むベース部をシンクの側壁部の上部に着脱可能に取り付ける取付部を有することを特徴とする。
【符号の説明】
【0056】
1 内視鏡
2 管路
11 内視鏡洗浄装置
21 加圧気体貯留部
22 加圧気体供給部
23 液体加圧部
61 第1供給流路
62 第2供給流路
81 第1流量調整弁
82 第2流量調整弁
83 気液混合部
88 分岐合流部
91~93 分岐流路
112 基端側チューブ
113 中間チューブ
114 先端側チューブ
116 噴出口
141 噴出流路
G 加圧気体
L 加圧液体
R 気液混合流体
図1
図2
図3