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特開2024-154074移動時間推定システム及び移動時間推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154074
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】移動時間推定システム及び移動時間推定方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241023BHJP
【FI】
G05D1/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067687
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】服部 克哉
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG07
5H301GG08
5H301LL06
5H301QQ02
(57)【要約】
【課題】ロボットによる移動時間を推定できる移動時間推定システム及び移動時間推定方法を提供すること。
【解決手段】移動時間推定システムは、ロボットの走行経路情報及び走行開始日時情報と、ロボットが走行する建物に設置されたエレベータの運行状況情報とを取得する取得部と、ロボットの走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合には運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボットの移動時間を推定する推定部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの走行経路情報及び走行開始日時情報と、前記ロボットが走行する建物に設置されたエレベータの運行状況情報とを取得する取得部と、
前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合には前記運行状況情報、前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定する推定部と
を備える、移動時間推定システム。
【請求項2】
前記推定部は、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれない場合には前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定する、請求項1に記載の移動時間推定システム。
【請求項3】
前記運行状況情報は、時間帯ごとのエレベータ利用率情報を含む、請求項1に記載の移動時間推定システム。
【請求項4】
前記推定部は、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合に、前記運行状況情報から前記走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得した前記エレベータ利用率情報と前記エレベータの基本移動時間とに基づいて前記エレベータによる移動時間を推定する、請求項3に記載の移動時間推定システム。
【請求項5】
前記推定部は、前記ロボットの走行経路情報、前記ロボットの走行開始日時情報及び前記走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、前記ロボットの移動時間との関係を機械学習しており、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合に、前記取得部が取得した前記運行状況情報から前記走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得した前記エレベータ利用率情報、前記取得部が取得した前記走行経路情報、前記走行開始日時情報及び当該機械学習の結果に基づいて前記ロボットの移動時間を推定する、請求項3に記載の移動時間推定システム。
【請求項6】
ロボットの走行経路情報及び走行開始日時情報と、前記ロボットが走行する建物に設置されたエレベータの運行状況情報とを取得し、
前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合には前記運行状況情報、前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定する、移動時間推定システムが実行する移動時間推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動時間推定システム及び移動時間推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット技術の普及に伴って、人による作業をロボットに代替させることによって人員不足を補うことが望まれている。現在では様々な用途の自動走行ロボットが開発されており、配送、警備、清掃、案内などの各種業務をロボットが自律的に判断し遂行することが期待されている。
清掃ロボットを運搬して、清掃ロボットが指定されたフロアの廊下部分を無人で清掃するとともに、かつ、異常が発生した場合には、清掃ロボットの状態を警報により検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-137650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人とロボットとでは移動の際にかかる時間に差がある。これは移動の際にとる経路の違い、障害物の避け方や建物設備の利用の仕方の差異などが原因である。特にロボットはエレベータの乗り降りの際に無線通信を通してエレベータを管理するシステムとの連携が必要となる関係で、エレベータによる移動時間が人とロボットで大きく異なる場合がある。ロボットによる移動時間が不明瞭な状態は、各用途でロボットの利用を検討する際の障壁となり得る。
本発明の目的は、ロボットによる移動時間を推定できる移動時間推定システム及び移動時間推定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、ロボットの走行経路情報及び走行開始日時情報と、前記ロボットが走行する建物に設置されたエレベータの運行状況情報とを取得する取得部と、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合には前記運行状況情報、前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定する推定部とを備える、移動時間推定システムである。
(2)本発明の一態様は、前記推定部は、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれない場合には前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定する、上記(1)に記載の移動時間推定システムである。
(3)本発明の一態様は、前記運行状況情報は、時間帯ごとのエレベータ利用率情報を含む、上記(1)に記載の移動時間推定システムである。
(4)本発明の一態様は、前記推定部は、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合に、前記運行状況情報から前記走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得した前記エレベータ利用率情報と前記エレベータの基本移動時間とに基づいて前記エレベータによる移動時間を推定する、上記(3)に記載の移動時間推定システムである。
(5)本発明の一態様は、前記推定部は、前記ロボットの走行経路情報、前記ロボットの走行開始日時情報及び前記走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、前記ロボットの移動時間との関係を機械学習しており、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合に、前記取得部が取得した前記運行状況情報から前記走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得した前記エレベータ利用率情報、前記取得部が取得した前記走行経路情報、前記走行開始日時情報及び当該機械学習の結果に基づいて前記ロボットの移動時間を推定する、上記(3)に記載の移動時間推定システムである。
【0006】
(6)本発明の一態様は、ロボットの走行経路情報及び走行開始日時情報と、前記ロボットが走行する建物に設置されたエレベータの運行状況情報とを取得し、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれない場合には前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定し、前記ロボットの走行経路情報に前記エレベータによる移動が含まれる場合には前記運行状況情報、前記走行経路情報及び前記走行開始日時情報から前記ロボットの移動時間を推定する、移動時間推定システムが実行する移動時間推定方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットによる移動時間を推定できるのでロボットの到達時刻を予想し、作業計画を立てることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る移動時間推定システム100の一例を示す図である。
図2】エレベータシステムELVの一例を示す概念図である。
図3】本実施形態に係るロボット50及び移動時間推定システム100の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る移動時間推定システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の変形例に係る移動時間推定システム100aの一例を示す図である。
図6】実施形態の変形例に係る学習モデル作成装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る移動時間推定システム100aの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本実施形態の移動時間推定システム及び移動時間推定方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0010】
(実施形態)
(移動時間推定システム)
図1は、本発明の実施形態に係る移動時間推定システム100の一例を示す図である。図1には、移動時間推定システム100に加え、監視部6、ロボット50及び建物管理システム20が示されている。移動時間推定システム100、監視部6、ロボット50及び建物管理システム20は、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。
【0011】
移動時間推定システム100は、ロボット50の移動時間を推定する。ロボット50は、自律移動する。ロボット50は、エレベータシステムELVを使用して自律移動することも可能である。監視部6は、エレベータシステムELVを監視し、エレベータシステムELVの運行状況情報を取得する。建物管理システム20は、ロボット50が走行する建物BUを管理する。建物管理システム20は、監視部6からエレベータシステムELVの運行状況情報を取得する。
【0012】
移動時間推定システム100は、ロボット50の走行予約を取得する。例えば、移動時間推定システム100は、ロボット50から走行予約を取得する。走行予約には、ロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報が含まれる。
走行経路情報は、例えば、手押しによる経路確認の結果として取得される。走行経路情報は、予め設定した走行経路(教示走行経路)のデータであり、ロボット50が自己位置検知を行いながら予定通りの走行をしているか否かについて、位置に関する判断基準となる。
【0013】
また、移動時間推定システム100は、建物管理システム20から建物BUに設置されたエレベータシステムELVの運行状況情報を取得する。移動時間推定システム100は、走行予約に含まれるロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれる場合には運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間及び到着時刻を推定する。
【0014】
ロボット50が使用するエレベータシステムELVの一例について説明する。図2は、エレベータシステムELVの一例を示す概念図である。エレベータシステムELVは、エレベータかご10、昇降路11、インターフェイス部1及びエレベータ制御部2を備える。
インターフェイス部1及びエレベータ制御部2の一例は、昇降路11の上部に設けられた機械室MRに設置されている。図2には、昇降かご10、昇降路11、インターフェイス部1及びエレベータ制御部2に加えて、監視部6が記載されている。監視部6の一例は、管理室CRに設置されている。ここで、管理室CRは、エレベータシステムELVから遠隔地に設けられてもよい。
【0015】
インターフェイス部1には電源PSが接続されている。インターフェイス部1は、エレベータ制御部2及び監視部6と、伝送装置3及び伝送装置4との間の信号の入出力を行う。インターフェイス部1とエレベータ制御部2とは、管理室CRに設置されている監視部6に電気的に接続されている。また、昇降かご10内には、伝送装置4が設置されている。伝送装置4は、信号線12を介して、インターフェイス部1及びエレベータ制御部2に電気的に接続されている。
【0016】
また、各階のエレベータ乗場には、伝送装置3が設けられている。伝送装置3は、信号線13を介して、インターフェイス部1と電気的に接続されている。ロボット50は、無線通信を通してエレベータ制御部2と連携することによって昇降かご10の乗り降りを行う。なお、図2に示される例では、ロボット50は、ある階のエレベータ乗場で、エレベータ乗車のために待機している。図1に戻り説明を続ける。
【0017】
図3は、本実施形態に係るロボット50及び移動時間推定システム100の一例を示すブロック図である。図3を参照して、ロボット50及び移動時間推定システム100について詳細に説明する。
(ロボット50)
ロボット50は、通信部52、センサ53、作成部54、位置推定部55、制御部56、駆動装置57及び記憶部60を含む。
【0018】
通信部52は、通信モジュールによって実現される。通信部52は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部52は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信する。通信部52は、ネットワークNWを介して、エレベータ制御部2及び移動時間推定システム100と通信するために必要な通信情報を保持する。通信部52は、昇降かご10の乗り降りを行う際に、エレベータ制御部2との間で制御情報の送受信を行う。通信部52は、移動時間推定システム100が送信した走行予約要求を受信する。
【0019】
センサ53は、例えば、ロボット50の進行方向において、任意の物体までの距離を計測する。センサ53は、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)を含んで構成される。LiDARは、計測対象の物体までの3次元距離を計測し、計測した3次元距離から点群データを抽出する。
記憶部60は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部60は、ロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を記憶する。
【0020】
作成部54は、通信部52から走行予約要求を取得し、取得した走行予約要求に基づいて、記憶部60から走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。作成部54は、ロボット50の識別情報と取得した走行経路情報及び走行開始日時情報とを含む走行予約応答を作成し、作成した走行予約応答を通信部52へ出力する。
通信部52は、作成部54が出力した走行予約応答を取得し、取得した走行予約応答を移動時間推定システム100へ送信する。
【0021】
位置推定部55は、ロボット50の位置を推定する。例えば、位置推定部55は、センサ53から点群データを取得し、あらかじめ測定した地図データと点群データとを照合しながら位置測定を行う。また、位置推定部55は、オドメトリによって位置を推定するようにしてもよい。オドメトリでは、単位時あたりの車輪の回転角の積分によって、現在位置が推定される。また、位置推定部55は、全球測位衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)を含んで、航法衛星から発射される信号を用いて位置測定を行ってもよい。
【0022】
制御部56は、センサ53から点群データを取得し、取得した点群データに基づいてロボット50の進行方向を把握する。例えば、制御部56は、ロボット50の進行方向に障害物がある場合には、障害物をよけるようにロボット50の走行を制御する。
制御部56は、位置推定部55からロボット50の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて記憶部60に記憶されている走行経路情報に該当する走行経路を通過するようにロボット50の走行を制御する。制御部56は、駆動装置57に対し車輪等の軸速度を移動指令として出力することによってロボット50の走行を制御する。
【0023】
駆動装置57は、図示しないアクチュエータ、エンコーダ及びその制御装置と、アクチュエータの出力軸に接続された車輪と操舵軸との組み合わせを複数有する移動機構から構成される。移動機構は、制御部56からの移動指令に基づき駆動する。
【0024】
作成部54、位置推定部55及び制御部56は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部60に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0025】
コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVD(Digital Versatile Disc)やCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0026】
(移動時間推定システム100)
移動時間推定システム100について説明する。移動時間推定システム100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。移動時間推定システム100は、通信部102、取得部104、推定部108、出力部110及び記憶部150を含む。
【0027】
通信部102は、通信モジュールによって実現される。通信部102は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部102は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信する。通信部102は、ネットワークNWを介して、建物管理システム20及びロボット50と通信するために必要な通信情報を保持する。
記憶部150は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現され、情報を記憶する。
【0028】
取得部104は、ロボット50の移動時間を推定する場合に、走行予約要求を作成し、作成した走行予約要求を通信部102へ出力する。通信部102は、取得部104からの走行予約要求を、ロボット50へ送信する。
通信部102は、走行予約要求に対してロボット50が送信した走行予約応答を受信する。
取得部104は、通信部102から走行予約応答を取得し、取得した走行予約応答に含まれるロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。
【0029】
推定部108は、取得部104からロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。推定部108は、取得したロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれるか否かを判定する。推定部108は、取得したロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれる場合には、取得部104に、エレベータシステムELVの運行状況情報を取得させる。
【0030】
取得部104は、運行状況情報要求を作成し、作成した運行状況情報要求を通信部102へ出力する。
通信部102は、取得部104からの運行状況情報要求を、建物管理システム20へ送信する。通信部102は、運行状況情報要求に対して建物管理システム20が送信した運行状況情報応答を受信する。
【0031】
取得部104は、通信部102から運行状況情報応答を取得し、取得した運行状況情報応答に含まれる運行状況情報を取得する。例えば、運行状況情報には、時間帯ごとのエレベータ利用率情報が含まれる。
推定部108は、取得部104から運行状況情報を取得し、取得した運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間及び到着時刻を推定する。
【0032】
具体的には、推定部108は、単位時間当たりのエレベータ利用率を計算する。例えば、推定部108は、式(1)によって、エレベータ利用率を導出する。
エレベータ利用率=エレベータ利用時間/時間 (1)
ここで、エレベータ利用時間の一例は、エレベータのボタンが押されている時間又は扉が開いている時間である。
【0033】
推定部108は、エレベータ利用率、走行経路、走行開始日時から移動時間と到着時刻を推定する。例えば、推定部108は、式(2)によって、移動時間を導出する。
移動時間の推定値=走行経路の距離/移動速度+エレベータによる基本移動時間×エレベータ利用率に基づく補正値C (2)
【0034】
ここで、走行経路の距離は走行経路情報に含まれる始点と終点との間の距離である。移動速度はロボット50の走行速度である。エレベータによる基本移動時間はエレベータシステムELVにおいて昇降かご10が一階の移動に要する時間である。エレベータ利用率に基づく補正値Cはエレベータ利用率に基づいてエレベータ基本移動時間に乗算される補正値である。利用率に基づく補正値Cの一例は、式(3)で表される。
【数1】
式(3)において、1<m<nである。
【0035】
推定部108は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれない場合には、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する。
具体的には、推定部108は、式(4)によって、移動時間を導出する。
移動時間の推定値=走行経路の距離/移動速度 (4)
【0036】
推定部108は、走行開始日時情報から移動時間の推定値が経過した日時を導出することによって到着時刻を推定する。
出力部110は、推定部108から移動時間の推定値及び到着時刻を取得する。出力部110は、取得した移動時間の推定値及び到着時刻を出力する。
【0037】
取得部104、推定部108及び出力部110は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部150に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0038】
コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0039】
(移動時間推定システム100の動作)
図4は、本実施形態に係る移動時間推定システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図4を参照して、ロボット50に走行予約が行われた後の移動時間推定システム100の動作について説明する。
(ステップS1-1)
移動時間推定システム100において、取得部104は、走行予約要求を作成し、作成した走行予約要求を通信部102へ出力する。通信部102は、取得部104からの走行予約要求を、ロボット50へ送信する。
【0040】
(ステップS2-1)
ロボット50において、通信部52は、移動時間推定システム100が送信した走行予約要求を受信する。作成部54は、通信部52から走行予約要求を取得し、取得した走行予約要求に基づいて、記憶部60から走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。作成部54は、取得した走行経路情報及び走行開始日時情報を含む走行予約応答を作成し、作成した走行予約応答を通信部52へ出力する。通信部52は、作成部54が出力した走行予約応答を取得し、移動時間推定システム100へ送信する。
【0041】
(ステップS3-1)
移動時間推定システム100において、通信部102は、ロボット50が送信した走行予約応答を受信する。
(ステップS4-1)
移動時間推定システム100において、取得部104は、通信部102から走行予約応答を取得し、取得した走行予約応答に含まれるロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。
【0042】
(ステップS5-1)
移動時間推定システム100において、推定部108は、取得部104からロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。推定部108は、取得したロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれるか否かを判定する。
(ステップS6-1)
移動時間推定システム100において、推定部108は、ロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれない場合には、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する。
【0043】
(ステップS7-1)
移動時間推定システム100において、推定部108は、取得したロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合には、取得部104に、エレベータシステムELVの運行状況情報を取得させる。取得部104は、運行状況情報要求を作成し、作成した運行状況情報要求を通信部102へ出力する。通信部102は、取得部104からの運行状況情報要求を、建物管理システム20へ送信する。
【0044】
(ステップS8-1)
建物管理システム20は、移動時間推定システム100が送信した運行状況情報要求を受信する。建物管理システム20は、受信した運行状況情報要求に基づいて、運行状況情報を含む運行状況情報応答を作成する。建物管理システム20は、作成した運行状況情報応答を、移動時間推定システム100へ送信する。
【0045】
(ステップS9-1)
移動時間推定システム100において、通信部102は、建物管理システム20が送信した運行状況情報応答を受信する。取得部104は、通信部102から運行状況情報応答を取得し、取得した運行状況情報応答に含まれる運行状況情報を取得する。推定部108は、取得部104から運行状況情報を取得し、取得した運行状況情報から単位時間当たりのエレベータ利用率を計算する。
(ステップS10-1)
移動時間推定システム100において、推定部108は、エレベータ利用率、走行経路及び走行開始日時から移動時間と到着時刻を推定する。
【0046】
前述した実施形態では、移動時間推定システム100において、推定部108は、エレベータ利用率、走行経路及び走行開始日時から移動時間と到着時刻とを推定する場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、移動時間推定システム100において、取得部104は、建物BUに設置されている監視カメラ(図示なし)から得られる画像から算出される屋内の人の密度情報を取得するようにしてもよい。
推定部108は、取得部104から屋内の人の密度情報を取得し、取得した屋内の人の密度情報にさらに基づいて移動時間と到着時刻とを推定するようにしてもよい。例えば、推定部108は、屋内の人の密度情報に基づいて、屋内の人の密度が高くなるほど移動時間が長く、低くなるほど移動時間が短くようにする。
【0047】
例えば、移動時間推定システム100において、取得部104は、建物BUの入退記録から得られる建物BUの利用人数情報を取得するようにしてもよい。
推定部108は、取得部104から建物BUの利用人数情報を取得し、取得した建物BUの利用人数情報にさらに基づいて移動時間と到着時刻とを推定するようにしてもよい。例えば、推定部108は、建物BUの利用人数情報に基づいて、利用人数が多くなるほど移動時間が長く、少なくなるほど移動時間が短くようにする。
【0048】
例えば、移動時間推定システム100において、取得部104は、建物BUに設置されている監視カメラ(図示なし)から得られる画像から算出される屋内の人の密度情報及び建物BUの入退記録から得られる建物BUの利用人数情報を取得するようにしてもよい。
推定部108は、取得部104から屋内の人の密度情報及び建物BUの利用人数情報を取得し、取得した屋内の人の密度情報及び建物BUの利用人数情報にさらに基づいて移動時間と到着時刻とを推定するようにしてもよい。例えば、推定部108は、屋内の人の密度情報及び建物BUの利用人数情報に基づいて、屋内の人の密度が高くなるほど移動時間が長く、低くなるほど移動時間が短くようにし、建物BUの利用人数が多くなるほど移動時間が長く、少なくなるほど移動時間が短くようにする。
【0049】
前述した実施形態では、移動時間推定システム100において、取得部104は、ロボット50から、ロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、移動時間推定システム100に走行経路情報及び走行開始日時情報が入力されるようにしてもよい。この場合、取得部104は、入力された総経路情報及び走行開始日時情報を取得する。
【0050】
本実施形態に係る移動時間推定システム100によれば、移動時間推定システム100は、ロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報と、ロボット50が走行する建物BUに設置されたエレベータの運行状況情報とを取得する取得部104と、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合には運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する推定部108とを備える。
このように構成することによって、移動時間推定システム100は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定できるため、エレベータを利用して自律移動するロボットの移動時間を推定できる。
【0051】
移動時間推定システム100において、推定部108は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれない場合には走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する。
このように構成することによって、移動時間推定システム100は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれない場合に、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定できるため、エレベータを利用しないで自律移動するロボットの移動時間を推定できる。
【0052】
移動時間推定システム100において、運行状況情報は、時間帯ごとのエレベータ利用率情報を含む。
このように構成することによって、移動時間推定システム100は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、さらに運行状況情報に含まれる時間帯ごとのエレベータ利用率情報からロボット50の移動時間を推定できるため、エレベータの時間帯ごとのエレベータ利用率情報から自律移動するロボットの移動時間を推定できる。
【0053】
移動時間推定システム100において、推定部108は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、運行状況情報から走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得したエレベータ利用率情報とエレベータの基本移動時間とに基づいてエレベータによる移動時間を推定する。
このように構成することによって、移動時間推定システム100は、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、運行状況情報から取得した走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報とエレベータの基本移動時間とに基づいて、エレベータによる移動時間を推定できる。
【0054】
(実施形態の変形例)
図5は、本実施形態の変形例に係る移動時間推定システム100aの一例を示す図である。図5には、移動時間推定システム100aに加え、監視部6、ロボット50、建物管理システム20及び学習モデル作成装置200が示されている。移動時間推定システム100a、監視部6、ロボット50、建物管理システム20及び学習モデル作成装置200は、ネットワークNWを介して通信する。
【0055】
学習モデル作成装置200は、ロボット50の走行経路情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって学習済モデルを作成する。学習モデル作成装置200は、作成した学習済モデルを、移動時間推定システム100aへ送信する。
【0056】
移動時間推定システム100aは、ロボット50の移動時間を推定する。移動時間推定システム100aは、ロボット50の走行予約を取得する。例えば、移動時間推定システム100aは、ロボット50から走行予約を取得する。移動時間推定システム100aは、建物管理システム20から建物BUに設置されたエレベータシステムELVの運行状況情報を取得する。
【0057】
移動時間推定システム100aは、学習モデル作成装置200が送信した学習済モデルを受信し、受信した学習済モデルを記憶し、設定する。移動時間推定システム100aは、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、取得部104が取得した運行状況情報から走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得したエレベータ利用率情報、取得部104が取得した走行経路情報及び走行開始日時情報と、学習済モデルとに基づいてロボット50の移動時間を推定する。
【0058】
移動時間推定システム100aは、走行予約に含まれるロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれない場合には運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間及び到着時刻を推定する。
以下、学習モデル作成装置200及び移動時間推定システム100aについて説明する。
【0059】
(学習モデル作成装置200)
学習モデル作成装置200は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。
学習モデル作成装置200は、ロボット50の走行経路情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報の組み合わせ等を入力サンプルとし、ロボット50の移動時間を出力サンプルとした学習用データセットを用いて学習モデル(学習済モデルの元となるモデル)を訓練し、学習済モデル作成する。
【0060】
例えば、学習モデル作成装置200は、CNN(Convolution Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)、ニューラルネットワーク等のアルゴリズムを利用して、学習済モデルを構築する。
入力サンプルとは、学習モデルの訓練時に入力層に入力されるデータである。出力サンプルとは、学習モデルの訓練時に出力層から出力される出力値と比較するための正解となるデータ(教師データ)である。
【0061】
学習モデル作成装置200は、通信部202、入力部203、受付部204、処理部206、出力部210及び記憶部250を備える。
通信部202は、通信モジュールによって実現される。通信部202は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部202は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信する。通信部202は、ネットワークNWを介して、移動時間推定システム100aと通信するために必要な通信情報を保持する。
【0062】
入力部203は、情報を入力する。一例として、入力部203は、キーボード及びマウスなどの操作部を有してもよい。この場合、入力部203は、ユーザによって当該操作部に対して行われる操作に応じた情報を入力する。他の例として、入力部203は、外部の装置から情報を入力してもよい。当該外部の装置は、例えば、可搬な記憶媒体であってもよい。入力部203には、学習用データセットが入力される。
【0063】
受付部204は、入力部203から学習用データセットを取得し、取得した学習用データセットを受け付ける。学習用データセットには、入力サンプルと出力サンプルとが含まれ、入力サンプルと出力サンプルとはペアになっている。学習用データセットは、複数のペアから構成される。
【0064】
処理部206は、全てのペアに対し、入力サンプルを学習モデルの入力層に入力して出力層から出力される出力値と、当該入力サンプルに対応する出力サンプル(教師データ)との誤差を算出し、誤差がなるべく小さくなるように、学習モデルパラメータを変更し(学習モデルを訓練し)、学習済モデルを作成する。
上述のように作成された学習済モデルは、出力部210から媒体を介して移動時間推定システム100aに受信され、推定部108aが取得する。また、学習済モデルは、通信部202から移動時間推定システム100aに受信され、推定部108aが取得する。
【0065】
学習モデル作成装置200が移動時間推定システム100aに含まれるように構成してもよい。この場合、推定部108aは、学習モデル作成装置200から学習済モデルを取得する。以下、一例として、学習済モデルが、通信部202から移動時間推定システム100aに受信され、推定部108aが取得する場合について説明を続ける。
【0066】
入力部203、受付部204、処理部206及び出力部210の全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部250に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、入力部203、受付部204、処理部206及び出力部210の全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0067】
(移動時間推定システム100a)
移動時間推定システム100aについて説明する。移動時間推定システム100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。移動時間推定システム100aは、通信部102、取得部104、推定部108a、出力部110及び記憶部150を含む。
【0068】
通信部102は、学習モデル作成装置200が送信した学習済モデルを受信する。推定部108aは、通信部102から学習済モデルを取得し、取得した学習済モデルを記憶し、設定する。推定部108aは、ロボット50の走行予約を取得する。
推定部108aは、建物管理システム20から建物BUに設置されたエレベータシステムELVの運行状況情報を取得する。推定部108aは、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、運行状況情報から走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得したエレベータ利用率情報、走行経路情報及び走行開始日時情報と、学習済モデルとに基づいてロボット50の移動時間を推定する。
【0069】
推定部108aは、走行予約に含まれるロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれない場合には運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間及び到着時刻を推定する。
推定部108aの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部150に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。
なお、推定部108aの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0070】
(学習モデル作成装置200の動作)
図6は、実施形態の変形例に係る学習モデル作成装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図6を参照して、学習モデル作成装置200が学習済モデルを作成する処理について説明する。
(ステップS1-2)
入力部203は、学習用データセットを取得する。
(ステップS2-2)
受付部204は、入力部203から学習用データセットを取得し、取得した学習用データセットを受け付ける。
【0071】
(ステップS3-2)
処理部206は、受付部204から学習用データセットを取得する。処理部206は、学習用データセットに含まれる入力サンプルと出力サンプルとの全てのペアに対し、入力サンプルを学習モデルの入力層に入力して出力層から出力される出力値と、当該入力サンプルに対応する出力サンプル(教師データ)との誤差を算出し、誤差がなるべく小さくなるように、学習モデルのパラメータを変更し(学習モデルを訓練し)、学習済モデルを作成する。
【0072】
(ステップS4-2)
出力部210は、処理部206から、学習済モデルを取得する。出力部210は、取得した学習済モデルを出力する。例えば、出力部210は、通信部202から、移動時間推定システム100aに学習済モデルを出力する。
【0073】
(移動時間推定システム100aの動作)
図7は、本実施形態に係る移動時間推定システム100aの動作の一例を示すフローチャートである。図7を参照して、移動時間推定システム100aの推定部108aに学習済モデルが記憶され、設定された後の動作について説明する。
【0074】
(ステップS1-3)
移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、走行予約要求を作成し、作成した走行予約要求を通信部102へ出力する。通信部102は、取得部104からの走行予約要求を、ロボット50へ送信する。
【0075】
(ステップS2-3)
ロボット50において、通信部52は、移動時間推定システム100aが送信した走行予約要求を受信する。作成部54は、通信部52から走行予約要求を取得し、取得した走行予約要求に基づいて、記憶部60から走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。作成部54は、ロボット50の識別情報と、取得した走行経路情報及び走行開始日時情報とを含む走行予約応答を作成し、作成した走行予約応答を通信部52へ出力する。通信部52は、作成部54が出力した走行予約応答を取得し、移動時間推定システム100aへ送信する。
【0076】
(ステップS3-3)
移動時間推定システム100aにおいて、通信部102は、ロボット50が送信した走行予約応答を受信する。
(ステップS4-3)
移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、通信部102から走行予約応答を取得し、取得した走行予約応答に含まれるロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。
【0077】
(ステップS5-3)
移動時間推定システム100aにおいて、推定部108aは、取得部104からロボット50の走行経路情報及び走行開始日時情報を取得する。推定部108aは、取得したロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれるか否かを判定する。
(ステップS6-3)
移動時間推定システム100aにおいて、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれない場合には、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する。
【0078】
(ステップS7-3)
移動時間推定システム100aにおいて、推定部108aは、取得したロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれる場合には、取得部104に、エレベータシステムELVの運行状況情報を取得させる。取得部104は、運行状況情報要求を作成し、作成した運行状況情報要求を通信部102へ出力する。通信部102は、取得部104からの運行状況情報要求を、建物管理システム20へ送信する。
【0079】
(ステップS8-3)
建物管理システム20は、移動時間推定システム100aが送信した運行状況情報要求を受信する。建物管理システム20は、受信した運行状況情報要求に基づいて、運行状況情報を含む運行状況情報応答を作成する。建物管理システム20は、作成した運行状況情報応答を、移動時間推定システム100aへ送信する。
【0080】
(ステップS9-1)
移動時間推定システム100aにおいて、通信部102は、建物管理システム20が送信した運行状況情報応答を受信する。取得部104は、通信部102から運行状況情報応答を取得し、取得した運行状況情報応答に含まれる運行状況情報を取得する。推定部108aは、取得部104から運行状況情報を取得し、取得した運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報から単位時間当たりのエレベータ利用率を計算する。
【0081】
(ステップS10-1)
移動時間推定システム100aにおいて、推定部108aは、エレベータ利用率情報、走行経路情報及び走行開始日時情報と、学習済モデルとに基づいてロボット50の移動時間を推定する。
【0082】
前述した実施形態では、移動時間推定システム100aにおいて、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報にエレベータシステムELVによる移動が含まれない場合には、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報及びロボット50の走行開始日時情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって作成された学習済モデルを記憶し、設定するようにしてもよい。推定部108aは、ロボット50の走行経路情報及びロボット50の走行開始日時情報を、学習済モデルに入力し、学習済モデルが出力したロボット50の移動時間を取得するようにしてもよい。推定部108aは、取得したロボット50の移動時間と走行開示日時とから到着時刻を推定するようにしてもよい。
【0083】
前述した実施形態では、移動時間推定システム100aにおいて、推定部108aは、エレベータ利用率情報、走行経路情報及び走行開始日時情報と、学習済モデルとに基づいてロボット50の移動時間を推定する場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、建物BUに設置されている監視カメラ(図示なし)から得られる画像から算出される屋内の人の密度情報を取得するようにしてもよい。推定部108aは、取得部104から屋内の人の密度情報を取得し、取得した屋内の人の密度情報にさらに基づいてロボット50の移動時間を推定するようにしてもよい。
【0084】
例えば、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、屋内の人の密度情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって作成された学習済モデルを記憶し、設定する。推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、屋内の人の密度情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を、学習済モデルに入力し、学習済モデルが出力したロボット50の移動時間を取得する。推定部108aは、取得したロボット50の移動時間と走行開示日時とから到着時刻を推定する。
【0085】
例えば、移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、建物BUの入退記録から得られる建物BUの利用人数情報を取得するようにしてもよい。推定部108aは、取得部104から建物BUの利用人数情報を取得し、取得した建物BUの利用人数情報にさらに基づいてロボット50の移動時間を推定するようにしてもよい。
例えば、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、建物BUの利用人数情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって作成された学習済モデルを記憶し、設定する。推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、建物BUの利用人数情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を、学習済モデルに入力し、学習済モデルが出力したロボット50の移動時間を取得する。推定部108aは、取得したロボット50の移動時間と走行開示日時とから到着時刻を推定する。
【0086】
例えば、移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、走行中の特定ポイント通過時間情報を取得するようにしてもよい。推定部108aは、取得部104から走行中の特定ポイント通過時間情報を取得し、取得した走行中の特定ポイント通過時間情報にさらに基づいてロボット50の移動時間を推定するようにしてもよい。
例えば、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、走行中の特定ポイント通過時間情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって作成された学習済モデルを記憶し、設定する。
推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、走行中の特定ポイント通過時間情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を、学習済モデルに入力し、学習済モデルが出力したロボット50の移動時間を取得する。推定部108aは、取得したロボット50の移動時間と走行開示日時とから到着時刻を推定する。
【0087】
例えば、移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、エレベータ待ち時間情報を取得するようにしてもよい。推定部108aは、取得部104からエレベータ待ち時間情報を取得し、取得した走行中のエレベータ待ち時間情報にさらに基づいてロボット50の移動時間を推定するようにしてもよい。
例えば、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、エレベータ待ち時間情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって作成された学習済モデルを記憶し、設定する。推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、エレベータ待ち時間情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を、学習済モデルに入力し、学習済モデルが出力したロボット50の移動時間を取得する。推定部108aは、取得したロボット50の移動時間と走行開示日時とから到着時刻を推定する。
【0088】
例えば、移動時間推定システム100aにおいて、取得部104は、屋内の人の密度情報、建物BUの利用人数情報、走行中の特定ポイント通過時間情報及びエレベータ待ち時間情報のうち少なくとも一つを取得するようにしてもよい。
推定部108aは、取得部104から屋内の人の密度情報、建物BUの利用人数情報、走行中の特定ポイント通過時間情報及びエレベータ待ち時間情報のうち少なくとも一つを取得し、取得した屋内の人の密度情報、建物BUの利用人数情報、走行中の特定ポイント通過時間情報及びエレベータ待ち時間情報のうち少なくとも一つにさらに基づいてロボット50の移動時間を推定するようにしてもよい。
【0089】
例えば、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、屋内の人の密度情報、建物BUの利用人数情報、走行中の特定ポイント通過時間情報及びエレベータ待ち時間情報のうち少なくとも一つ、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習することによって作成された学習済モデルを記憶し、設定する。
推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、屋内の人の密度情報、建物BUの利用人数情報、走行中の特定ポイント通過時間情報及びエレベータ待ち時間情報のうち少なくとも一つ、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を、学習済モデルに入力し、学習済モデルが出力したロボット50の移動時間を取得する。推定部108aは、取得したロボット50の移動時間と走行開示日時とから到着時刻を推定する。
【0090】
実施形態の変形例に係る移動時間推定システム100aによれば、移動時間推定システム100において、推定部108aは、ロボット50の走行経路情報、ロボット50の走行開始日時情報及び走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報と、ロボット50の移動時間との関係を機械学習しており、ロボット50の走行経路情報にエレベータによる移動が含まれる場合に、取得部104が取得した運行状況情報から走行開始日時情報に対応するエレベータ利用率情報を取得し、取得したエレベータ利用率情報、取得部104が取得した走行経路情報、走行開始日時情報及び当該機械学習の結果に基づいてロボット50の移動時間を推定する。
このように構成することによって、移動時間推定システム100aは、エレベータ利用率情報、走行経路情報、走行開始日時情報及び機械学習の結果に基づいてロボット50の移動時間を推定できるため、運行状況情報、走行経路情報及び走行開始日時情報からロボット50の移動時間を推定する場合と比較して、機械学習の結果を利用することにより推定精度をさらに向上できる。移動時間推定システム100aは、自律移動ロボットの作業計画及び、例えばDXコア(登録商標)等の建物管理システムへの適用が期待される。
【0091】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0092】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
【0093】
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0094】
1…インターフェイス部、2…エレベータ制御部、3…伝送装置、4…伝送装置、6…監視部、10…エレベータかご、11…昇降路、12…信号線、13…信号線、20…建物管理システム、50…ロボット、52…通信部、53…センサ、54…作成部、55…位置推定部、56…制御部、57…駆動装置、60…記憶部、100、100a…移動時間推定システム、102…通信部、104…取得部、108、108a…推定部、110…出力部、150…記憶部、200…学習モデル作成装置、202…通信部、203…入力部、204…受付部、206…処理部、210…出力部、250…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7