(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154079
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241023BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20241023BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241023BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/67
A61K8/73
A61K8/34
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067696
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(72)【発明者】
【氏名】益川 直子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 蓉子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD112
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4C083AD152
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD631
4C083AD632
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE13
4C083EE14
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】
ナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、塗布時に厚み感があり、みずみずしい使用感で、べたつき感がなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミ感を抑制し、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料を提供することを課題とする。さらに本発明の化粧料を塗布した上からメイクアップ化粧料を塗布したときに、所謂メイクのノリが良い化粧料を提供すること。
【解決手段】
次の(A)、(B)、(C)、(D)を含有する化粧料。
(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上
(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%
(C)マンニトール
(D)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)、(B)、(C)、(D)を含有する化粧料。
(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上
(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%
(C)マンニトール
(D)水
【請求項2】
任意で多価アルコールを含有するときに、(C)マンニトールを含む多価アルコールを化粧料全量に対し0.6~20質量%含有する請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(C)マンニトールを化粧料全量に対し0.5~15質量%含有する請求項1に記載の化粧料。
【請求項4】
(D)水を化粧料全量に対し60~96質量%含有する請求項1~3のいずれかに記載の化粧料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシンアミドを高含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミドは、別名ニコチンアミド(nicotinamide)/ナイアシン/ビタミンB3とも呼ばれる、ニコチン酸のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである。ナイアシンアミドが欠乏するとペラグラなどの欠乏症となる。ナイアシンアミドは、外用薬の成分としてニキビ(尋常性ざ瘡)の治療や、美容目的で化粧品に配合される。日本では、医薬部外品の化粧品に、シワ改善の有効成分(リンクルナイアシン)、美白作用の有効成分(ニコチン酸アミド)として承認されている。
【0003】
ナイアシンアミドは、上記の通りシワ改善の有効成分としてスキンケア化粧料等にしばしば配合されてきた。シワ改善、肌のハリ感や弾力を付与するためには、3~7質量%ほどの高い配合が求められる。しかし、ナイアシンアミドを高含有すると使用感が低下することが知られており、経験的には3質量%以上含有すると使用感の低下が認識された。例えば、塗布中に感じられるべたつき感、および塗布後肌に馴染ませる際に感じられるキシミ感などが代表的である。一般的にこうした化粧料のべたつき感やキシミなどの使用感を改善するためには、各種油剤、増粘剤、保湿剤、界面活性剤などの成分を組み合わせて配合することで改善させることが試みられている。
ところが、ナイアシンアミドを高含有する化粧料は、このような成分を含有することで一時的に使用感が改善しても、塗布後に一定時間が経過すると、キシミなどの好ましくない使用感が、再度顕著に感じられることが指摘されている。
このような中、ナイアシンアミドを高含有した化粧料の技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ナイアシンアミドと、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含有させた、べたつかず、油のような肌馴染みの良さと、ハリ感等の仕上がり実感に優れた化粧料が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、ナイアシンアミドを高含有し、さらに水溶性多糖類、両親媒性の化合物を含有する化粧料が記載されている。ナイアシンアミドによる組成物の粘度安定性の不良が改善されている。
しかし、これらの従来技術では、ある程度べたつきは改善しているものの、キシミ感が改善しているとは言い難い。
【0006】
べたつきの改善に加えてキシミ感がある程度改善している技術として、(A)ニコチン酸アミドと、(B)シロキクラゲ多糖体、コンドロイチン硫酸ナトリウムおよびプロテオグリカンからなる群から選ばれる1種または2種以上の水溶性多糖類と、(C)多価アルコールと、(D)1価の低級アルコールとを含有する水性組成物(特許文献3、特許文献4)が開示されている。しかしながらこの技術もまた十分満足できるものではない。さらにエタノールで刺激を感じてしまう消費者には受け入れられにくいという問題もある。
【0007】
また特許文献5には(A)ナイアシンアミド3質量%以上と(B)水溶性高分子として、アクリロイルジメチルタウリン塩含有共重合体、スクレロチウムガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム及びキサンタンガムから選択される1種以上と、(C)IOB値0.15~0.35のエステル油を含有した乳化化粧料が、塗布直後から肌のハリ感を与え、さらに化粧料の伸びや肌馴染みに優れ、みずみずしい使用感を与える、安定性に優れた乳化化粧料となることが記載されている。
また特許文献6にはタマリンドガムと多価アルコールとニコチン酸又はその誘導体を含むゲル化が抑制された化粧料が記載されている。
【0008】
さらにまた出願人は、ナイアシンアミドを高含有した使用感の良好な化粧料の開発に努めており、特許文献7、特許文献8の技術を提案した。
特許文献7には、(A)ナイアシンアミドと(B)マンニトールと(C)コメ発酵物を含む、べたつき、きしみ感を抑制しながらハリ感を実感することができる、肌なじみ、肌の滑らかさに優れた水性化粧料が提案されている。
特許文献8には、ナイアシンアミドを高含有した系において、特定量の(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと、特定量のシロキクラゲ多糖体、スクレロチウムガム、ジェランガム、カラギーナン及びローカストビーンガムから選ばれる1以上と、多価アルコールと水を含む、べたつき、キシミ感がなく、かつ、肌にやわらかさが感じられる優れた使用感の化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-131553号公報
【特許文献2】特開2020-128363号公報
【特許文献3】特開2019-131547号公報
【特許文献4】特開2022-82669号公報
【特許文献5】特開2022-130776号公報
【特許文献6】特開2021-187790号公報
【特許文献7】特願2022-190938
【特許文献8】特願2023-042501
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、塗布時に厚み感があり、みずみずしい使用感で、べたつき感がなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミ感を抑制し、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料を提供することを課題とする。さらに本発明の化粧料を塗布した上からメイクアップ化粧料や日焼け止め化粧料等を塗布したときに、所謂メイク化粧料のノリが良い化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の構成である。
(1)次の(A)、(B)、(C)、(D)を含有する化粧料。
(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上
(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%
(C)マンニトール
(D)水
(2)任意で多価アルコールを含有するときに、(C)マンニトールを含む多価アルコールを化粧料全量に対し0.6~20質量%含有する(1)に記載の化粧料。
(3)(C)マンニトールを化粧料全量に対し0.5~15質量%含有する(1)に記載の化粧料。
(4)(D)水を化粧料全量に対し60~96質量%含有する(1)~(3)のいずれかに記載の化粧料
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、塗布時に厚み感があり、みずみずしく、べたつき感がなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミ感を抑制し、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料が提供される。さらには本発明の化粧料を塗布した上からメイクアップ化粧料を塗布したときに所謂メイクのりが良い化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願明細書において、ハリ感とは化粧料を皮膚に十分に馴染ませてから5分放置し、塗布部位を指で軽く触った際にピンと張ったように感じられる感触のことである。弾力感とは化粧料を皮膚に十分に馴染ませてから5分放置し、塗布部位を指で軽く指で押した時に弾力が感じられる感触のことである。べたつきとは化粧料を皮膚に指で円を描くように馴染ませる際に発生し、一定時間経過後も感じる粘性もしくは粘着性を伴う残液感のことである。キシミとは化粧料を塗布後に、必要以上の摩擦を感じるような、塗布部の物理的不快感を意味し、塗布部表面が被膜で覆われているような、凹凸が多々存在して滑らかさが失われ、ざらつきが生じているような場合にも感じ得る感触のことである。みずみずしさとは化粧料を馴染ませる際にみずみずしいと感じる感触のことである。塗布時の厚みとは製剤を指又は手で皮膚に塗布する際に、指又は手と皮膚の間に製剤の厚みが感じられ、製剤が滑らかに流動することによって、皮膚が摩擦を感じない感触のことである。塗布時のなめらかさとは皮膚に指で円を描くように塗り伸ばす際になめらかにのびる感触のことである。塗布後のメイクのりの良さとは、さらにメイクアップ化粧料を塗布した時に、目視で塗布面に塗りムラが無い状態である。
本発明の構成すなわち、(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上と、(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%と、(C)マンニトールと、(D)水を含有する化粧料とすることで、前述した優れた使用感と効果が達成される。
【0014】
以下に、本発明の構成成分について詳細に説明する。
<(A)成分 ナイアシンアミド>
本発明の(A)成分であるナイアシンアミドは、ニコチン酸のアミド化合物であり、別名ニコチン酸アミド(ビタミンB3/ナイアシン)ともいう水溶性ビタミンである。ナイアシンアミドは、天然物からの抽出物であっても良いし、公知の方法によって合成した物でも良い。具体的には、日本薬局方に収載されているものを用いることができる。ナイアシンアミドには、シワ改善効果に加えて血行促進作用や、肌荒れ改善作用、メラニン生成抑制作用や美白効果が知られている。
【0015】
本発明の化粧料において、(A)成分の含有量は、3質量%以上である。本発明の化粧料は、目的に応じてシワ改善化粧料とすることができる。医薬部外品に近いレベルの肌のシワの改善効果を得るためには、(A)成分の含有量は、化粧料全量に対して、3質量%以上であり、好ましくは3~10質量%、より好ましくは3~8質量%である。
【0016】
<(B)成分 スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナン>
(スクレロチウムガム)
本発明の化粧料に含まれるスクレロチウムガムは、真菌の一種であるスクレロチウム・ロルフシー(Sclerotium rolfsii)から産生される多糖類であり、グルコース3分子がβ-1,3結合したグルコピラノシルユニットを主鎖骨格として、側鎖に1,6結合したグルコースを有している水溶性高分子である。スクレロチウムガムは、市販されているものを使用することができ、例えば、Alban Muller International社製のGRANULATEDAMIGELを使用することができる。GRANULATEDAMIGELはスクレロチウムガムが100%の単一原料であるが、混合原料を使用することも可能である。前記混合原料としては、スクレロチウムガムの水溶液であるBASFジャパン株式会社製のチノケア GL GREENが例示できる。
(シロキクラゲ多糖体)
本発明の化粧料に含まれるシロキクラゲ多糖体は、シロキクラゲ科に属するキノコから溶媒を用いて抽出される水溶性多糖類であり、市販されているものを使用することができる。例えば、日本精化株式会社製のTremoist-TP、Tremoist-SL、Tremoist-SLB、オリザ油化社製の白キクラゲ多糖体-P等を使用することが出来る。Tremoist-TPはシロキクラゲ多糖体100%である。Tremoist-SLはシロキクラゲ多糖体の水溶液である。Tremoist-SLBはシロキクラゲ多糖体とBGと水の混合原料である。白キクラゲ多糖体-Pはシロキクラゲ科シロキクラゲの子実体から熱水抽出で得られた粉末でシロキクラゲ多糖体80%以上とグルクロン酸の混合原料である。
(タマリンドガム)
本発明の化粧料に含まれる(B)タマリンドガムは、タマリンド種子を分離精製して得られる多糖で、グルコースがβ-1,4結合した主鎖に、側鎖としてキシロース、ガラクトースが結合したキシログルカンの水溶性多糖体である。平均分子量は30万~60万であるものが好ましく、より好ましくは35万~55万である。市販品(例えば、DSP五協フード&ケミカル株式会社製:グリロイド、グリエイト、平均分子量47万)として入手したものを用いることができる。
(カラギーナン)
本発明の化粧料に含まれるカラギーナンは、紅藻類から抽出された多糖類であり、D-ガラクトースがα-1,3結合またはβ-1,4結合を交互に繰り返した構造を有している。本発明においてカラギーナンは市販品を使用することができ、CP Kelco Inc.社製のGENUVISCO type PJ-JPEやDSP五協フード&ケミカル株式会社製のシーピーガムFAが挙げられる。
【0017】
本発明は、(A)成分であるナイアシンアミドを3質量%以上配合した系において、(B)成分であるスクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%と、(C)成分であるマンニトールと(D)水とを含有することで、優れた使用感と効果を実現する。使用感をより重視する場合には、各成分を化粧料全量に対し、スクレロチウムガムであれば0.03~0.3質量%となるように含有すると好ましく、シロキクラゲ多糖体であれば0.03~0.3質量%となるように含有すると好ましく、タマリンドガムであれば0.08~0.5質量%、タマリンドガムで塗布時の厚みを重要視する場合は0.2~0.5質量%となるように含有すると好ましく、カラギーナンであれば0.2~0.6質量%となるように含有すると好ましい。
本発明において(B)成分であるスクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる2以上を含有させる場合はその合計量が化粧料全量に対し0.03~0.6質量%となるように含有すると好ましい。
【0018】
<(C)成分 マンニトール>
本発明の化粧料は、マンニトールを含有する。
マンニトールは、自然界に広く分布している6価の糖アルコールであり、ソルビトールの異性体である。異性体同士ではあるものの、その物性は異なり、例えば、ソルビトールは吸湿性であるのに対し、マンニトールはほとんど吸湿しない。本発明に用いるマンニトールは、既に化粧品原料として市販されているものであり、何ら限定なく使用できる。
【0019】
本発明の化粧料において、(C)マンニトールの含有量は、特に限定されない。好ましくは化粧料全量に対して0.5~15質量%であることが好ましい。より好ましくは化粧料全量に対して0.8~10質量%となるように含有すると好ましい。この範囲を外れるとべたつきが発生する恐れが高まる。
任意で多価アルコールを含有する場合は、多価アルコールとマンニトールの合計量が化粧料全量に対し0.6~20質量%となるように含有すると好ましく、0.8~15質量%であるとより好ましい。
マンニトールを含む多価アルコールを化粧料全量に対し0.5~20質量%、好ましくは0.6~20質量%、より好ましくは0.8~15質量%含有すると好ましい。
【0020】
<(D)水>
水は化粧料に含有できるものであれば、いずれでもよい。精製水が好ましい。水は、化粧料全量に対し60~96質量%含有すると好ましい。
本発明の効果が顕著に実感できるのは油が少ない組成の時であるが、ほとんど油を含有しない化粧水や化粧液、美容液、エッセンス、ジェル等のいわゆる水系の組成〔油が化粧料全量に対し1質量%未満(全く油を含有しない場合を含む)〕の化粧料とする場合は、(D)水は化粧料全量に対し80~96質量%、より好ましくは80~90質量%であると好ましい。
【0021】
本発明の好ましい態様の例としては、(A)ナイアシンアミド3質量%以上と、(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%と、(C)マンニトールを化粧料全量に対し0.5~15質量%と、(D)水を化粧料全量に対し60~96質量%含有した化粧料が挙げられる。(A)ナイアシンアミドを高含有した化粧料の塗布時のべたつきを解消し、さらに塗布後のキシミを解消し、塗布時に厚み感があり、みずみずしく、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料が提供される。さらには本発明の化粧料を塗布した肌は、上からメイク化粧料を塗布したときにメイクのりが良くなる。
【0022】
(任意成分)
本発明の化粧料は、(A)、(B)、(C)、(D)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で多価アルコール、界面活性剤、油、高級アルコール、増粘剤、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、他の機能性成分(生理活性成分)、香料、色素、溶剤、天然物の抽出物等を含んでもよい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール(BG)、ポリエチレングリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ポリプロピレングリコール共重合体、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
【0023】
本発明の化粧料は、乳液、クリーム、化粧水、化粧液、美容液、エッセンス、ジェル等とすることができる。中でも化粧水に代表される水を化粧料全量に対し80~96質量%、より好ましくは水を化粧料全量に対し80~90質量%含有する化粧料にすると、本発明の優れた使用感(べたつきがない、キシミがない、みずみずしい、厚み感がある、ハリ感がある、弾力感がある、塗布時のなめらかさ、化粧のりの良さ)がより一層実感されるので最適である。
【実施例0024】
以下に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
<実施例1~15、比較例1~14の組成による化粧料の比較試験>
1.試験方法
下記の表1~表4に示す組成の化粧料を常法により調製した。なお表中の数字は、化粧料全量を100質量%とする質量%で表示した。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
実施例1~11は(A)ナイアシンアミドを5質量%含有し、(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガムのいずれかを0.05~0.3質量%含有し、(C)マンニトールを1~3質量%含有し、(D)水を82.99~84.99質量%含有した化粧料(化粧水)である。任意で多価アルコール(BG、ペンチレングリコール)を8.5質量%含有している。実施例1~11はマンニトールを含む多価アルコールを化粧料全量に対し10.5~11.5質量%含有している。
実施例12~15は(A)ナイアシンアミドを5質量%含有し、(B)カラギーナンを0.3~0.5質量%含有し、(C)マンニトールを1~3質量%含有し、(D)水を82.59~84.59質量%含有した化粧料(化粧水)である。任意で多価アルコール(BG、ペンチレングリコール)を8.5質量%含有している。実施例12~15はマンニトールを含む多価アルコールを化粧料全量に対し10.5~11.5質量%含有している。
一方、比較例1~14は(A)、(B)、(C)のいずれかの成分を欠いている。比較例3、比較例4は、実施例2の(B)スクレロチウムガム0.1質量%に替えて、キサンタンガム、カルボマーを夫々0.1質量%配合した組成である。比較例6、比較例7は、実施例2の(C)マンニトール2質量%に替えて、ソルビトール、グリセリンを夫々2質量%配合した組成である。比較例14は、実施例12の(B)カラギーナン0.3質量%に替えて、キサンタンガムを0.3質量%配合した組成である。比較例12、比較例13は、実施例13の(C)マンニトール2質量%に替えて、ソルビトール、グリセリンを夫々2質量%配合した組成である。
【0030】
実施例1~15、比較例1~14の化粧料は、以下の基準で肌に塗布して評価を行った。なお官能評価は、熟練した専門の官能評価員5名により、0.3mlを前腕内側部に塗布した際の使用感を協議して決定した。
<ハリ感>
ハリ感とは化粧料を皮膚に十分に馴染ませてから5分放置し、塗布部位を指で軽く触った際にピンと張ったように感じられる感触のことである。
◎:ハリ感を感じる
○:ハリ感をやや感じる
△:ハリ感をわずかに感じる
×:ハリ感を感じない
<弾力感>
弾力感とは化粧料を皮膚に十分に馴染ませてから5分放置し、塗布部位を指で軽く指で押した時に弾力が感じられる感触のことである。
◎:弾力感を感じる
○:弾力感をやや感じる
△:弾力感をごくわずかに感じる
×:弾力感を感じない
<べたつき(べたつきのなさ)>
べたつきとは化粧料を皮膚に指で円を描くように馴染ませる際に発生し、一定時間経過後も感じる粘性もしくは粘着性を伴う残液感のことである。
◎;べたつきを全く感じない
○;べたつきをほとんど感じない
△;べたつきをやや感じる
×;明らかにべたつきを感じる
<キシミ(キシミのなさ)>
キシミとは化粧料を塗布後に、必要以上の摩擦を感じる様な、塗布部の物理的不快感を意味し、塗布部表面が被膜で覆われているような、凹凸が多々存在して滑らかさが失われ、ざらつきが生じているような場合にも感じ得る感触のことである。
◎;キシミを全く感じない
○;キシミをほとんど感じない
△;キシミをやや感じる
×;明らかにキシミを感じる
<みずみずしさ>
みずみずしさとは化粧料を馴染ませる際にみずみずしいと感じる感触のことである。
◎;みずみずしさをとても感じる
○;みずみずしさを感じる
△;みずみずしさをほとんど感じない
×;みずみずしさを全く感じない
<塗布時の厚み>
塗布時の厚みとは製剤を指又は手で皮膚に塗布する際に、指又は手と皮膚の間に製剤の厚みが感じられ、製剤が滑らかに流動することによって、皮膚が摩擦を感じない感触のことである。
◎;厚みをとても感じる
○;厚みを感じる
△;ほとんど厚みを感じない
×;厚みを全く感じない
<塗布時のなめらかさ>
塗布時のなめらかさとは皮膚に指で円を描くように塗り伸ばす際になめらかにのびる感触のことである。
◎;とてもなめらかさを感じる
○;なめらかさを感じる
△;ほとんどなめらかさを感じない
×;なめらかさを全く感じない
<塗布後のメイクのり>
上腕内側部に3×3cmの領域を決め、各試料をスポイトで1滴垂らし、夫々指でなじませた後、パウダーファンデーション((株)ファンケル社製、ファンケル エッセンス スフレファンデーションa 03をスポンジに目視で同じ面積になるように擦りとり、それを3×3cmの領域を含むように一方向に一回滑らせて塗布し、塗布面の状態(塗りムラ)を目視にて評価した。
◎;塗りムラが全くない
○;塗りムラがほとんどない
△;僅かに塗りムラがある
×; 塗りムラがある
【0031】
2.試験結果
各項目の評価結果は各表の下段に示す通りであった。
実施例1~11の化粧料は塗布時に厚み感があり、みずみずしく、べたつき感がなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミがなく、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料であった。実施例12~15の化粧料は、みずみずしく、べたつき感がなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミがなく、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感に加えて、なめらかに延び、さらにメイクアップ化粧料を塗布したときに所謂メイクのりが良い化粧料であった。
一方本発明の構成を欠く比較例1~14の化粧料は8つの官能評価項目のいずれかが×評価となり本発明の目的を達成できなかった。
【0032】
以上示した通り、本発明の構成をとることにより、ナイアシンアミドを3質量%以上と高含有する化粧料において、塗布時に厚み感があり、みずみずしく、べたつきがなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミを抑制し、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料が提供できた。さらには本発明の化粧料は塗布時になめらかに延び、塗布した上からメイクアップ化粧料を重ねて塗布したときに所謂メイクのノリが良いと評価される化粧料が提供できた。
【0033】
以下に各種化粧料の処方を示す。各処方例を常法により調製し、前記と同様にして評価した。
<処方例1 化粧液> 配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
シロキクラゲ多糖体 0.1
ブチレングリコール(BG) 5
ジグリセリン 1.5
マンニトール 5
ベタイン 0.5
エチルへキシルグリセリン 0.05
ペンチレングリコール 2
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.05
カルボマー 0.04
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
水酸化K 0.02
クエン酸 0.02
クエン酸Na 0.1
精製水 残余
(評価)
処方例1の化粧液を常法により調製した。得られた化粧液は、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さのいずれの評価も優れていた。
【0034】
<処方例2 化粧水> 配合量(質量%)
ナイアシンアミド 3
カルボマーK 0.1
スクレロチウムガム 0.3
マンニトール 10
BG 3
エチルへキシルグリセリン 0.05
ペンチレングリコール 1.5
精製水 残余
(評価)
処方例2の化粧水を常法により調製した。得られた化粧水は、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さのいずれの評価も優れていた。
また処方例2のスクレロチウムガム0.3質量%を、シロキクラケ多糖体、タマリンドガム、カラギーナンのいずれかの成分0.3質量%に置き換えた組成(処方例3~5)で、同様にして化粧水を調製したが、得られた化粧水は、いずれも、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さの評価において優れていた。
【0035】
<処方例6 美容液> 配合量(質量%)
ナイアシンアミド 8
グリチルリチン酸ステアリル 0.1
トリエチルヘキサノイン 4
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
0.2
パルミチン酸セチル 0.5
SIMULGEL EG 2
ステアリン酸ソルビタン 0.2
フィトステロールズ 0.01
セラミド2 0.01
加水分解ヒアルロン酸 0.05
シロキクラゲ多糖体 0.03
ヒアルロン酸Na 0.01
エチルへキシルグリセリン 0.1
ペンチレングリコール 2
ラフィノース 1
マンニトール 8
精製水 残余
(評価)
処方例6の美容液を常法により調製した。得られた美容液は、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さのいずれの評価も優れていた。
また処方例6のシロキクラゲ多糖体0.03質量%を、スクレロチウムガム、タマリンドガム、カラギーナンのいずれかの成分0.03質量%に置き換えた組成(処方例7~9)で、同様にして美容液を調製したが、得られた美容液は、いずれも、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さの評価において優れていた。
【0036】
<処方例10 乳液> 配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
SIMULGEL EG 3
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 2
リンゴ酸ジイソステアリル 1
べへニルアルコール 0.5
水添ポリデセン 5
トリエチルヘキサノイン 5
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 2
ステアリル酸グリセリル 0.5
ポリソルベート60 0.5
ポリクオタニウム-51 0.05
タマリンドガム 0.5
カルボマーK 0.1
フェノキシエタノール 0.2
BG 5
マンニトール 3
グリセリン 6
香料 0.1
精製水 残差
(評価)
処方例11の乳液を常法により調製した。得られた乳液は、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さのいずれの評価も優れていた。
また処方例10のシロキクラゲ多糖体0.5質量%を、スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、カラギーナンのいずれかの成分0.05質量%に置き換えた組成(処方例11~13)で、同様にして乳液を調製したが、得られた乳液は、いずれも、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さの評価において優れていた。
【0037】
<処方例14 オールインワンゲル化粧料> 配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
マンニトール 5
BG 5
ペンチレングリコール 2
ローズマリー葉エキス 0.1
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.75
ポリソルベート60 0.3
ポリソルベート80 0.05
オレイン酸ソルビタン 0.01
イソヘキサデカン 1
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 0.5
ジメチコン 2
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 3
スクワラン 2
シロキクラゲ多糖体 0.07
ノバラ油 0.03
精製水 残余
(評価)
処方例14のオールインワンゲル化粧料を常法により調製した。得られたオールインワンゲル化粧料は、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さのいずれの評価も優れていた。
また処方例14のシロキクラゲ多糖体0.07質量%を、スクレロチウムガム、タマリンドガム、カラギーナンのいずれかの成分0.07質量%に置き換えた組成(処方例15~17)で、同様にしてオールインワンゲル化粧料を調製したが、得られたオールインワンゲル化粧料は、いずれも、ハリ感、弾力感、みずみずしさ、べたつきのなさ、きしみのなさ、塗布時の厚み、塗布時のなめらかさ、塗布後のメイクのりの良さの評価において優れていた。
【0038】
以上、実施例1~15、比較例1~14、処方例1~17で示した通り、本発明の構成すなわち、(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上と、(B)スクレロチウムガム、シロキクラゲ多糖体、タマリンドガム及びカラギーナンから選ばれる1以上を化粧料全量に対し0.03~0.6質量%と、(C)マンニトールと、(D)水とを含有する化粧料とすることで、ナイアシンアミドを3質量%以上と高含有する化粧料におけるべたつきやキシミの問題を解決した、塗布時に厚み感があり、みずみずしく、べたつきがなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミを抑制し、肌のハリ感と、肌の弾力感が感じられる優れた使用感の化粧料が提供できた。さらには本発明の化粧料は塗布時になめらかに延び、塗布した上からメイクアップ化粧料を重ねて塗布したときに所謂メイクのノリが良いと評価される化粧料が提供できた。