(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154080
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】拡大観察装置、観察画像生成方法、観察画像生成プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20241023BHJP
G02B 21/24 20060101ALI20241023BHJP
G06T 5/50 20060101ALI20241023BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/24
G06T5/50
G02B21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067698
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】近藤 亮介
【テーマコード(参考)】
2H052
5B057
【Fターム(参考)】
2H052AA13
2H052AB01
2H052AC04
2H052AC14
2H052AD16
2H052AD20
2H052AF25
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA13
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB13
5B057CB16
5B057CE03
5B057CE08
5B057CE17
(57)【要約】
【課題】観察対象物の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像を取得可能とする。
【解決手段】照明方向D1および照明方向D2の2方向についてワーク11の表面の凹凸が強調された2つの画像(差分絶対値画像Id1、Id2)が取得される。そして、ワーク11の画像である観察画像Ioを生成するために、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とが合成される。これによって、照明方向D1および照明方向D2の2方向についてワーク11の表面の凹凸が強調された観察画像Ioを取得することができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと結像レンズとを含む光学系と、
第1照明方向の正方向、前記第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向、前記第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向および前記第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向のそれぞれから、前記光学系の視野に載置された観察対象物に対して照明光を照射する照明部と、
前記光学系を介して前記観察対象物からの光を受光して前記観察対象物の輝度画像を生成する撮像部と、
前記照明部および前記撮像部を制御する制御部と、
前記観察対象物の画像である観察画像を生成する表示画像生成部と、
を備え、
前記表示画像生成部は、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第1照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得し、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第1照明方向の負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得し、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第2照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得し、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第2照明方向の負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得し、
前記第1輝度画像と前記第2輝度画像との差の絶対値に基づいて前記第1照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成し、
前記第3輝度画像と前記第4輝度画像との差の絶対値に基づいて前記第2照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成し、
前記観察画像を生成するために、前記第1凹凸強調画像と前記第2凹凸強調画像とを合成することを特徴とする、拡大観察装置。
【請求項2】
対物レンズと結像レンズとを含む光学系と、
第1照明方向の正方向、前記第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向、前記第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向および前記第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向のそれぞれから、前記光学系の視野に載置された観察対象物に対して照明光を照射する照明部と、
前記光学系を介して前記観察対象物からの光を受光して前記観察対象物の輝度画像を生成する撮像部と、
前記照明部および前記撮像部を制御する制御部と、
前記観察対象物の画像である観察画像を生成する表示画像生成部と、
を備え、
前記表示画像生成部は、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第1照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得し、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第1照明方向の負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得し、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第2照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得し、
前記制御部により前記照明部を制御することで前記第2照明方向の負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得し、
前記第1輝度画像と前記第2輝度画像とに基づいて、前記第1照明方向の正方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第1合成画像と、前記第1照明方向の負方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第2合成画像とを生成し、
前記第3輝度画像と前記第4輝度画像とに基づいて、前記第2照明方向の正方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第3合成画像と、前記第2照明方向の負方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第4合成画像とを生成し、
前記第1合成画像と前記第2合成画像との差の絶対値に基づいて、前記第1照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成し、
前記第3合成画像と前記第4合成画像との差の絶対値に基づいて、前記第2照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成し、
前記観察画像を生成するために、前記第1凹凸強調画像と前記第2凹凸強調画像とを合成することを特徴とする、拡大観察装置。
【請求項3】
ユーザーに対して画像を表示する画像表示部と、
ユーザーの操作を受け付けるユーザー操作部と、
をさらに備え、
前記表示画像生成部は、前記第1合成画像、前記第2合成画像、前記第3合成画像、前記第4合成画像および前記観察画像のうち、前記ユーザー操作部が受け付けたユーザーの操作に応じた画像を前記画像表示部に表示する、請求項2に記載の拡大観察装置。
【請求項4】
前記表示画像生成部は、前記画像表示部に前記観察画像を表示中に、前記ユーザー操作部が受け付けたユーザーの操作に応じて、前記画像表示部に表示する前記観察画像の色を反転させるネガポジ反転処理を実行する、請求項3に記載の拡大観察装置。
【請求項5】
前記表示画像生成部は、
前記第1輝度画像から前記第2輝度画像を減算した差に基づいて前記第1合成画像を生成し、
前記第2輝度画像から前記第1輝度画像を減算した差に基づいて前記第2合成画像を生成し、
前記第3輝度画像から前記第4輝度画像を減算した差に基づいて前記第3合成画像を生成し、
前記第4輝度画像から前記第3輝度画像を減算した差に基づいて前記第4合成画像を生成する、請求項2に記載の拡大観察装置。
【請求項6】
前記表示画像生成部は、
前記第1輝度画像から前記第2輝度画像を減算した差を、前記第1輝度画像と前記第2輝度画像とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて前記第1合成画像を生成し、
前記第2輝度画像から前記第1輝度画像を減算した差を、前記第2輝度画像と前記第1輝度画像とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて前記第2合成画像を生成し、
前記第3輝度画像から前記第4輝度画像を減算した差を、前記第3輝度画像と前記第4輝度画像とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて前記第3合成画像を生成し、
前記第4輝度画像から前記第3輝度画像を減算した差を、前記第4輝度画像と前記第3輝度画像とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて前記第4合成画像を生成する、請求項5に記載の拡大観察装置。
【請求項7】
ユーザーに対して画像を表示する画像表示部と、
ユーザーの操作を受け付けるユーザー操作部と、
をさらに備え、
前記表示画像生成部は、前記ユーザー操作部が受け付けたユーザーの操作に応じて、前記画像表示部に表示する前記観察画像の色を反転させるネガポジ反転処理を実行する、請求項1または2に記載の拡大観察装置。
【請求項8】
前記観察対象物に対して前記光学系の焦点を相対的に移動させる駆動部をさらに備え、
前記表示画像生成部は、
前記制御部により前記駆動部を制御することで前記観察対象物と前記光学系の焦点とを変化させつつ前記第1照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を複数回撮像することで複数の第1撮像画像を取得して、前記複数の第1撮像画像それぞれの合焦した部分を合成する深度合成によって前記第1輝度画像を生成し、
前記制御部により前記駆動部を制御することで前記観察対象物と前記光学系の焦点とを変化させつつ前記第1照明方向の負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を複数回撮像することで複数の第2撮像画像を取得して、前記複数の第2撮像画像それぞれの合焦した部分を合成する深度合成によって前記第2輝度画像を生成し、
前記制御部により前記駆動部を制御することで前記観察対象物と前記光学系の焦点とを変化させつつ前記第2照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を複数回撮像することで複数の第3撮像画像を取得して、前記複数の第3撮像画像それぞれの合焦した部分を合成する深度合成によって前記第3輝度画像を生成し、
前記制御部により前記駆動部を制御することで前記観察対象物と前記光学系の焦点とを変化させつつ前記第2照明方向の負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を複数回撮像することで複数の第4撮像画像を取得して、前記複数の第4撮像画像それぞれの合焦した部分を合成する深度合成によって前記第4輝度画像を生成する、請求項1または2に記載の拡大観察装置。
【請求項9】
前記照明部は、前記光学系に向けて照明光を射出する照明光源を有し、前記照明光源から射出されて前記光学系により集光された照明光を前記観察対象物に照射し、
前記表示画像生成部は、前記制御部により前記照明光源を制御して、前記照明光源のうち照明光を射出する領域を変化させることで、前記第1照明方向の正方向、前記第1照明方向の負方向、前記第2照明方向の正方向および前記第2照明方向の正方向の間で、前記観察対象物に対して照明光を照射する方向を切り換える、請求項1または2に記載の拡大観察装置。
【請求項10】
第1照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得する工程と、
前記第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得する工程と、
前記第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得する工程と、
前記第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得する工程と、
前記第1輝度画像と前記第2輝度画像との差の絶対値に基づいて前記第1照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成する工程と、
前記第3輝度画像と前記第4輝度画像との差の絶対値に基づいて前記第2照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成する工程と、
前記観察対象物の画像である観察画像を生成するために、前記第1凹凸強調画像と前記第2凹凸強調画像とを合成する工程と、
を備えることを特徴とする、観察画像生成方法。
【請求項11】
第1照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得する工程と、
前記第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得する工程と、
前記第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得する工程と、
前記第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を前記観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得する工程と、
前記第1輝度画像と前記第2輝度画像とに基づいて、前記第1照明方向の正方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第1合成画像と、前記第1照明方向の負方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第2合成画像とを生成する工程と、
前記第3輝度画像と前記第4輝度画像とに基づいて、前記第2照明方向の正方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第3合成画像と、前記第2照明方向の負方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第4合成画像とを生成する工程と、
前記第1合成画像と前記第2合成画像との差の絶対値に基づいて、前記第1照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成する工程と、
前記第3合成画像と前記第4合成画像との差の絶対値に基づいて、前記第2照明方向について前記観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成する工程と、
前記観察対象物の画像である観察画像を生成するために、前記第1凹凸強調画像と前記第2凹凸強調画像とを合成する工程と、
を備えることを特徴とする、観察画像生成方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の観察画像生成方法の各工程をコンピューターに実行させることを特徴とする、観察画像生成プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の観察画像生成プログラムをコンピューターにより読み出し可能に記憶することを特徴とする、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、観察対象物を撮像することで観察対象物を観察するための画像である観察画像を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、観察対象物を撮像することで当該観察対象物の観察画像を生成する拡大観察装置が記載されている。観察画像として、深度合成された凹凸強調画像が生成され、こうして生成された観察画像は、ディスプレイに表示される。したがって、ユーザーは、観察画像を目視によって確認することで、観察対象物を観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、観察対象物の表面の凹凸の目視による確認を容易とするために、所定の照明方向から照明を観察対象物に照射しつつ観察対象物を撮像して、凹凸が強調された観察画像を生成することができる。ただし、凹凸の向きによっては、凹凸を強調することが難しい場合があった。直線状に延設された段差を例とすると、照明方向に対して段差が直交する場合には、照明方向からの照明光によって段差に明確な陰影を生じさせることができる。一方、照明方向に対して段差が平行である場合には、照明方向からの照明光によって段差に明確な陰影を生じさせることが難しい。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、観察対象物の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像を取得可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る拡大観察装置は、対物レンズと結像レンズとを含む光学系と、第1照明方向の正方向、第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向、第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向および第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向のそれぞれから、光学系の視野に載置された観察対象物に対して照明光を照射する照明部と、光学系を介して観察対象物からの光を受光して観察対象物の輝度画像を生成する撮像部と、照明部および撮像部を制御する制御部と、観察対象物の画像である観察画像を生成する表示画像生成部と、を備え、表示画像生成部は、制御部により照明部を制御することで第1照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得し、制御部により照明部を制御することで第1照明方向の負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得し、制御部により照明部を制御することで第2照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得し、制御部により照明部を制御することで第2照明方向の負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得し、第1輝度画像と第2輝度画像との差の絶対値に基づいて第1照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成し、第3輝度画像と第4輝度画像との差の絶対値に基づいて第2照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成し、観察画像を生成するために、第1凹凸強調画像と第2凹凸強調画像とを合成することを特徴とする。
【0007】
本発明の第1態様に係る観察画像生成方法は、第1照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得する工程と、第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得する工程と、第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得する工程と、第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得する工程と、第1輝度画像と第2輝度画像との差の絶対値に基づいて第1照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成する工程と、第3輝度画像と第4輝度画像との差の絶対値に基づいて第2照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成する工程と、観察対象物の画像である観察画像を生成するために、第1凹凸強調画像と第2凹凸強調画像とを合成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1態様に係る観察画像生成プログラムは、当該観察画像生成方法の各工程をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【0009】
本発明の第1態様に係る記録媒体は、当該観察画像生成プログラムをコンピューターにより読み出し可能に記憶することを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明の第1態様では、第1照明方向の正方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第1輝度画像と、第1照明方向の負方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第2輝度画像とが取得される。そして、第1輝度画像と第2輝度画像との差の絶対値に基づいて第1照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像が生成される。さらに、第2照明方向の正方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第3輝度画像と、第2照明方向の負方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第4輝度画像とが取得される。そして、第3輝度画像と第4輝度画像との差の絶対値に基づいて第2照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像が生成される。こうして、第1および第2照明方向の2方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された画像(第1および第2凹凸強調画像)が取得される。そして、観察対象物の画像である観察画像を生成するために、第1凹凸強調画像と第2凹凸強調画像とが合成される。これによって、第1および第2照明方向の2方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された観察画像を取得することができる。その結果、観察対象物の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像を取得することが可能となっている。
【0011】
本発明の第2態様に係る拡大観察装置は、対物レンズと結像レンズとを含む光学系と、第1照明方向の正方向、第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向、第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向および第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向のそれぞれから、光学系の視野に載置された観察対象物に対して照明光を照射する照明部と、光学系を介して観察対象物からの光を受光して観察対象物の輝度画像を生成する撮像部と、照明部および撮像部を制御する制御部と、観察対象物の画像である観察画像を生成する表示画像生成部と、を備え、表示画像生成部は、制御部により照明部を制御することで第1照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得し、制御部により照明部を制御することで第1照明方向の負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得し、制御部により照明部を制御することで第2照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得し、制御部により照明部を制御することで第2照明方向の負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得し、第1輝度画像と第2輝度画像とに基づいて、第1照明方向の正方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1合成画像と、第1照明方向の負方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2合成画像とを生成し、第3輝度画像と第4輝度画像とに基づいて、第2照明方向の正方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第3合成画像と、第2照明方向の負方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第4合成画像とを生成し、第1合成画像と第2合成画像との差の絶対値に基づいて、第1照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成し、第3合成画像と第4合成画像との差の絶対値に基づいて、第2照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成し、観察画像を生成するために、第1凹凸強調画像と第2凹凸強調画像とを合成することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2態様に係る観察画像生成方法は、第1照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第1輝度画像を取得する工程と、第1照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第2輝度画像を取得する工程と、第1照明方向とは異なる第2照明方向の正方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第3輝度画像を取得する工程と、第2照明方向の正方向とは逆向きの負方向から照明光を観察対象物に対して照射して当該観察対象物を撮像することで第4輝度画像を取得する工程と、第1輝度画像と第2輝度画像とに基づいて、第1照明方向の正方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1合成画像と、第1照明方向の負方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2合成画像とを生成する工程と、第3輝度画像と第4輝度画像とに基づいて、第2照明方向の正方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第3合成画像と、第2照明方向の負方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第4合成画像とを生成する工程と、第1合成画像と第2合成画像との差の絶対値に基づいて、第1照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像を生成する工程と、第3合成画像と第4合成画像との差の絶対値に基づいて、第2照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像を生成する工程と、観察対象物の画像である観察画像を生成するために、第1凹凸強調画像と第2凹凸強調画像とを合成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2態様に係る観察画像生成プログラムは、当該観察画像生成方法の各工程をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2態様に係る記録媒体は、当該観察画像生成プログラムをコンピューターにより読み出し可能に記憶することを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明の第2態様では、第1照明方向の正方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第1輝度画像と、第1照明方向の負方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第2輝度画像とが取得される。また、第1輝度画像と第2輝度画像とに基づいて、第1照明方向の正方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1合成画像と、第1照明方向の負方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2合成画像とが生成される。そして、第1合成画像と第2合成画像との差の絶対値に基づいて、第1照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第1凹凸強調画像が生成される。さらに、第2照明方向の正方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第3輝度画像と、第2照明方向の負方向から照明光を照射しつつ観察対象物を撮像した第4輝度画像とが取得される。また、第3輝度画像と第4輝度画像とに基づいて、第2照明方向の正方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第3合成画像と、第2照明方向の負方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第4合成画像とが生成される。そして、第3合成画像と第4合成画像との差の絶対値に基づいて、第2照明方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された第2凹凸強調画像が生成される。こうして、第1および第2照明方向の2方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された画像(第1および第2凹凸強調画像)が取得される。そして、観察対象物の画像である観察画像を生成するために、第1凹凸強調画像と第2凹凸強調画像とが合成される。これによって、第1および第2照明方向の2方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された観察画像を取得することができる。その結果、観察対象物の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像を取得することが可能となっている。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、観察対象物の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像を取得することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る拡大観察装置の構成を模式的に示す図。
【
図2】
図1の拡大観察装置が具備する電気的構成を示すブロック図。
【
図4】
図1の拡大観察装置において実行される輝度画像取得の一例を示すフローチャート。
【
図5】画像処理部によって実行される観察画像生成の一例を示すフローチャート。
【
図6A】
図5の観察画像生成によって観察画像を生成する対象となるワークの表面を部分的に示す模式図。
【
図6B】
図5の観察画像生成によって観察画像を生成する対象となるワークの表面を部分的に示す模式図。
【
図7】
図5の観察画像生成において画像処理部が実行する画像処理を模式的に示す図。
【
図8】ディスプレイに表示される操作画面の一例を模式的に示す図。
【
図9】深度合成&3Dで実行される動作の一例を示すフローチャート。
【
図10】画像処理部によって実行される観察画像生成の別の例を示すフローチャート。
【
図11】
図10の観察画像生成において画像処理部が実行する画像処理を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る拡大観察装置の構成を模式的に示す図であり、
図2は
図1の拡大観察装置が具備する電気的構成を示すブロック図である。なお、
図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。
図1に示す拡大観察装置1は、観察対象物であるワーク11を拡大した観察画像をユーザーに表示する。この拡大観察装置1は、ワーク11を拡大した観察画像を取得するマイクロスコープ2と、マイクロスコープ2を制御する制御システム9とを備える。
【0019】
図2に示すように、制御システム9はコントローラー91備え、コントローラー91は演算部93および記憶部95を有する。演算部93はCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーであり、記憶部95はHDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。記憶部95には、マイクロスコープ2が撮像した撮像画像Imを保存する。さらに、記憶部95は観察画像生成プログラム19を保存し、演算部93は、記憶部95から読み出した観察画像生成プログラム19を実行することで、ステージ駆動制御部931、ヘッド駆動制御部932、照明制御部933、画像取得部934、画像処理部935、表示制御部941および操作受付部942を構築する。これらの機能部931~935、941~942の詳細は後述する。なお、観察画像生成プログラム19は、例えば外部のサーバーコンピューター(記録媒体)からダウンロードされて記憶部95に保存される。
【0020】
さらに、制御システム9は、ワーク11の観察画像をユーザーに表示するディスプレイ97と、拡大観察装置1に対するユーザーの操作が実行される操作部99とを備える。ディスプレイ97は、表示制御部941の制御に応じた表示を行う。操作部99は、キーボード991、マウス992あるいはジョイスティック993といった入力機器を有し、ユーザーは、これらを操作することで、拡大観察装置1に指令を入力することができる。これに対して、操作受付部942は、操作部99に対するユーザーの操作に応じた指令を操作部99から受信することで、当該操作が示す指令を受け付ける。
【0021】
図1に示すように、マイクロスコープ2は、当該マイクロスコープ2の設置面に載置される基台21と、基台21の上に配置されたステージ駆動機構22と、ステージ駆動機構22によって支持されるステージ23とを備える。ステージ23は、水平なサンプル支持平面231を有し、サンプル支持平面231の上にワーク11が載置される。ステージ駆動機構22は、
図2に示すX軸ステージ駆動部22x、Y軸ステージ駆動部22yおよびZ軸ステージ駆動部22zを有する。X軸ステージ駆動部22xは、ステージ駆動制御部931の指令に応じてステージ23をX方向に駆動するモーターを有し、Y軸ステージ駆動部22yは、ステージ駆動制御部931の指令に応じてステージ23をY方向に駆動するモーターを有し、Z軸ステージ駆動部22zは、ステージ駆動制御部931の指令に応じてステージ23をZ方向に駆動するモーターを有する。これらのモーターとしては、例えばステッピングモーターを用いることができる。
【0022】
そして、ステージ駆動制御部931は、X軸ステージ駆動部22x、Y軸ステージ駆動部22yおよびZ軸ステージ駆動部22zを制御することで、X方向、Y方向およびZ方向にステージ23を移動させる。例えば、操作受付部942がジョイスティック993に対する操作に応じた指令を受け付けると、ステージ駆動制御部931は、当該指令に応じてX軸ステージ駆動部22xおよびY軸ステージ駆動部22yを制御することで、ステージ23をX方向およびY方向に移動させる。
【0023】
また、マイクロスコープ2は、ステージ23のサンプル支持平面231に上側から対向する観察ヘッド3を備える。観察ヘッド3は観察視野Vを有し、サンプル支持平面231上のワーク11のうち、観察視野Vに重なる部分を撮像することで撮像画像Imを取得する。この観察ヘッド3は、Z方向に延設された筒状のハウジング31と、ハウジング31の下端に設けられたレンズホルダー32と、レンズホルダー32に取り付けられた対物レンズ331とを有する。さらに、観察ヘッド3は、ハウジング31内に配置されたハーフミラー34および固体撮像素子35を有し、ハーフミラー34は、ハウジング31内のレンズホルダー32と固体撮像素子35との間に位置する。対物レンズ331は、サンプル支持平面231上のワーク11に上側から対向し、ワーク11から射出されて対物レンズ331に入射する光Lsは、ハーフミラー34を通過した後に、固体撮像素子35に結像される。なお、光Lsの結像は、対物レンズ331の他に設けられた図示を省略するレンズ(結像レンズ)と対物レンズ331とで構成される結像光学系33によって実行される。固体撮像素子35は、CCDイメージセンサーあるいはCMOSイメージセンサー等であり、当該固体撮像素子35に結像された光Lsを検出することで、ワーク11の撮像画像Imを取得する。固体撮像素子35によって取得された撮像画像Imは、固体撮像素子35から画像取得部934に送信される。こうして画像取得部934は、観察視野V内におけるワーク11の撮像画像Imを取得する。
【0024】
なお、レンズホルダー32としては、互いに異なる倍率を有する複数の対物レンズ331が取り付けられたリボルバー式のレンズホルダー32を用いてもよい。この場合、レンズホルダー32を回転させることで、複数の対物レンズ331のうちからワーク11に対向する一の対物レンズ331を切り換えることができる。すなわち、撮像画像Imを取得する際の倍率を切り換えることができる。
【0025】
マイクロスコープ2は、観察ヘッド3のハウジング31に取り付けられた落射照明41を備える。落射照明41は、ハウジング31内のハーフミラー34に側方から対向するようにハウジング31の側面に取り付けられる。落射照明41から射出された照明光Lfは、ハーフミラー34によって対物レンズ331に向けて反射されて、対物レンズ331を介してワーク11に照射される。こうしてワーク11に照射された照明光Lfは、当該ワーク11によって反射されて、上記の光Lsとして対物レンズ331に入射する。
【0026】
また、マイクロスコープ2は、観察ヘッド3のハウジング31に取り付けられたリング照明43(
図3)を備える。ここで、
図3はリング照明の構成を模式的に示す底面図である。リング照明43は、底面視において対物レンズ331を囲むようにハウジング31の外側に取り付けられる。リング照明43から射出された照明光Lrは、Z方向に対して傾きつつワーク11に照射される。また、
図3に示すように、円周状に配列された複数の光射出部431、432、433、434を有し、複数の光射出部431、432、433、434は互いに独立して点灯および消灯する。したがって、複数の光射出部431、432、433、434のうち、点灯する一の光射出部を変更することで、ワーク11に照明光Lrを照射する方向を切り換えることができる。つまり、照明方向D1に配列された光射出部431、432のうち、一方の光射出部431を点灯させることで、照明方向D1の正方向D1(+)から観察視野Vに照明光Lrを照射でき、他方の光射出部432を点灯させることで、照明方向D1の負方向D1(-)から観察視野Vに照明光Lrを照射できる。ここで、正方向D1(+)と負方向D1(-)とは互いに逆側を向く。また、照明方向D1に直交する照明方向D2に配列された光射出部433、434のうち、一方の光射出部433を点灯させることで、照明方向D2の正方向D2(+)から観察視野Vに照明光Lrを照射でき、他方の光射出部434を点灯させることで、照明方向D2の負方向D2(-)から観察視野Vに照明光Lrを照射できる。ここで、正方向D2(+)と負方向D2(-)とは互いに逆側を向く。こうして観察視野Vに照射された照明光Lrは、観察視野V内のワーク11によって反射されて、上記の光Lsとして対物レンズ331に入射する。
【0027】
さらに、マイクロスコープ2は、観察ヘッド3をZ方向に移動可能に支持するヘッド支持部24を備える。ヘッド支持部24は、Z方向に平行に基台21から立設されたZ軸ガイド241と、Z軸ガイド241によってZ方向に案内されるZ軸可動部材242とを有し、Z軸可動部材242に観察ヘッド3のハウジング31が取り付けられている。また、ヘッド支持部24は、
図2に示すZ軸ヘッド駆動部24zを有する。Z軸ヘッド駆動部24zは、ヘッド駆動制御部932の指令に応じてZ軸可動部材242をZ方向に駆動することで、観察ヘッド3をZ方向に移動させるモーター(例えば、ステッピングモーター)を有する。また、観察ヘッド3のZ方向への移動に伴って、落射照明41およびリング照明43もZ方向に移動する。
【0028】
なお、ヘッド支持部24は、水平方向(例えばY方向)に平行な回転軸を中心に、観察ヘッド3を回転可能に支持する。したがって、ユーザーは、ヘッド支持部24に対して観察ヘッド3を回転させることで、Z方向に対する観察ヘッド3の角度を変更できる。つまり、観察ヘッド3は、Z方向に平行となる正対姿勢(
図1の姿勢)と、Z方向に傾斜する傾斜姿勢との両方を取ることができ、さらに傾斜姿勢における観察ヘッド3の傾斜角度8Z方向に対する角度)を調整することができる。
【0029】
図4は
図1の拡大観察装置において実行される輝度画像取得の一例を示すフローチャートである。ステップS101では、照明制御部933は、リング照明43を制御することで、リング照明43の光射出部431~434のうち、光射出部431のみを点灯させる。これによって光射出部431から照明方向D1の正方向D1(+)に照明光Lrが照射される。ステップS102では、画像取得部934は、固体撮像素子35を制御して、正方向D1(+)からの照明光Lrが照射された観察視野V内のワーク11の表面を固体撮像素子35に撮像させることで撮像画像Imを取得し、当該撮像画像Imを輝度画像Ii1(+)として記憶部95に保存する。
【0030】
ステップS103では、照明制御部933は、リング照明43を制御することで、リング照明43の光射出部431~434のうち、光射出部432のみを点灯させる。これによって光射出部432から照明方向D1の負方向D1(-)に照明光Lrが照射される。ステップS104では、画像取得部934は、固体撮像素子35を制御して、負方向D1(-)からの照明光Lrが照射された観察視野V内のワーク11の表面を固体撮像素子35に撮像させることで撮像画像Imを取得し、当該撮像画像Imを輝度画像Ii1(-)として記憶部95に保存する。
【0031】
ステップS105では、照明制御部933は、リング照明43を制御することで、リング照明43の光射出部431~434のうち、光射出部433のみを点灯させる。これによって光射出部433から照明方向D2の正方向D2(+)に照明光Lrが照射される。ステップS106では、画像取得部934は、固体撮像素子35を制御して、正方向D2(+)からの照明光Lrが照射された観察視野V内のワーク11の表面を固体撮像素子35に撮像させることで撮像画像Imを取得し、当該撮像画像Imを輝度画像Ii2(+)として記憶部95に保存する。
【0032】
ステップS107では、照明制御部933は、リング照明43を制御することで、リング照明43の光射出部431~434のうち、光射出部434のみを点灯させる。これによって光射出部434から照明方向D2の負方向D2(-)に照明光Lrが照射される。ステップS108では、画像取得部934は、固体撮像素子35を制御して、負方向D2(-)からの照明光Lrが照射された観察視野V内のワーク11の表面を固体撮像素子35に撮像させることで撮像画像Imを取得し、当該撮像画像Imを輝度画像Ii2(-)として記憶部95に保存する。
【0033】
このように互いに異なる方向から照明光Lrが照射されたワーク11の表面を撮像した4枚の輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)を用いて画像処理部935は、ユーザーの観察のための観察画像Ioを生成する。この点について次に説明する。
【0034】
図5は画像処理部によって実行される観察画像生成の一例を示すフローチャートであり、
図6Aおよび
図6Bは
図5の観察画像生成によって観察画像を生成する対象となるワークの表面を部分的に示す模式図であり、
図7は
図5の観察画像生成において画像処理部が実行する画像処理を模式的に示す図である。
図5の観察画像生成は観察画像生成プログラム19によって規定されており、画像処理部935は観察画像生成プログラム19に従って
図5の観察画像生成を実行する。
【0035】
観察画像生成の対象となるワーク11の表面には、
図6Aの斜視図および
図6Bの平面図に示すような凸部12が存在するものとする。
図6Aおよび
図6Bでは、凸部12は四角錐台形状で示されている。
図5の観察画像生成に先立って、
図4の輝度画像取得が凸部12に対して実行されており、凸部12を撮像した4枚の輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)が記憶部95に保存されている(
図7の「輝度画像Ii」の欄)。この凸部12は4個の斜面121、122、123、124と、上面125とを有する。
【0036】
図7に示すように、照明方向D1の正方向D1(+)から凸部12に照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii1(+)においては、照明方向D1の正方向D1(+)を向く斜面121は明るく写り、照明方向D1の負方向D1(-)を向く斜面122は斜面121よりも暗く写る。照明方向D2を向く斜面123、124は、斜面121と斜面122との間の明るさで映る。また、上面125は、斜面121と斜面123、124との間の明るさで映る。
【0037】
また、照明方向D1の負方向D1(-)から凸部12に照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii1(-)においては、照明方向D1の負方向D1(-)を向く斜面122は明るく写り、照明方向D1の正方向D1(+)を向く斜面121は斜面122よりも暗く写る。照明方向D2を向く斜面123、124は、斜面122と斜面121との間の明るさで映る。また、上面125は、斜面122と斜面123、124との間の明るさで映る。
【0038】
また、照明方向D2の正方向D2(+)から凸部12に照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii2(+)においては、照明方向D2の正方向D2(+)を向く斜面123は明るく写り、照明方向D2の負方向D2(-)を向く斜面124は斜面123よりも暗く写る。照明方向D1を向く斜面121、122は、斜面123と斜面124との間の明るさで映る。また、上面125は、斜面123と斜面121、122との間の明るさで映る。
【0039】
また、照明方向D2の負方向D2(-)から凸部12に照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii2(-)においては、照明方向D2の負方向D2(-)を向く斜面124は明るく写り、照明方向D2の正方向D2(+)を向く斜面123は斜面124よりも暗く写る。照明方向D1を向く斜面121、122は、斜面124と斜面123との間の明るさで映る。また、上面125は、斜面124と斜面121、122との間の明るさで映る。
【0040】
観察画像生成(
図5)のステップS201では、画像処理部935は、照明方向D1の正方向D1(+)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii1(+)と、照明方向D1の負方向D1(-)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii1(-)とを画像処理部935から読み出す。
【0041】
ステップS202では、画像処理部935は、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)とに基づき方向性凹凸強調画像Ie1(+)を生成して、記憶部95に保存する。この方向性凹凸強調画像Ie1(+)は、次式
Ie1(+)=(Ii1(+)-Ii1(-))/(Ii1(+)+Ii1(-))
により算出される。つまり、方向性凹凸強調画像Ie1(+)は、輝度画像Ii1(+)から輝度画像Ii1(-)を減算した差を、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)との和で正規化することで得られる。
【0042】
斜面121は正方向D1(+)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii1(+)における斜面121は明るい。一方、斜面121は負方向D1(-)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii1(-)における斜面121は暗い。また、斜面122は正方向D1(+)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii1(+)における斜面122は暗い。一方、斜面122は負方向D1(-)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii1(-)における斜面122は明るい。したがって、輝度画像Ii1(+)から輝度画像Ii1(-)を減算した差によって与えられる方向性凹凸強調画像Ie1(+)においては、明るい斜面121と暗い斜面122とのコントラストが強調される。換言すれば、方向性凹凸強調画像Ie1(+)では、正方向D1(+)においてコントラストを強調することで、凹凸が強調されている。また、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)との和で正規化することで、ワーク11の表面の色の違いによるコントラストへの影響が抑えられている。
【0043】
なお、輝度画像Ii1(+)における斜面123の明るさと、輝度画像Ii1(-)における斜面123の明るさとは同程度である。また、輝度画像Ii1(+)における斜面124の明るさと、輝度画像Ii1(-)における斜面124の明るさとは同程度である。したがって、方向性凹凸強調画像Ie1(+)では、斜面123、124についてはコントラストの強調は行われない。上面125についても同様である。
【0044】
ステップS203では、画像処理部935は、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)とに基づき方向性凹凸強調画像Ie1(-)を生成して、記憶部95に保存する。この方向性凹凸強調画像Ie1(-)は、次式
Ie1(-)=(Ii1(-)-Ii1(+))/(Ii1(-)+Ii1(+))
により算出される。つまり、方向性凹凸強調画像Ie1(-)は、輝度画像Ii1(-)から輝度画像Ii1(+)を減算した差を、輝度画像Ii1(-)と輝度画像Ii1(+)との和で正規化することで得られる。
【0045】
斜面122は負方向D1(-)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii1(-)における斜面122は明るい。一方、斜面122は正方向D1(+)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii1(+)における斜面122は暗い。また、斜面121は負方向D1(-)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii1(-)における斜面121は暗い。一方、斜面121は正方向D1(+)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii1(+)における斜面121は明るい。したがって、輝度画像Ii1(-)から輝度画像Ii1(+)を減算した差によって与えられる方向性凹凸強調画像Ie1(-)においては、明るい斜面122と暗い斜面121とのコントラストが強調される。換言すれば、方向性凹凸強調画像Ie1(-)では、正方向D1(-)においてコントラストを強調することで、凹凸が強調されている。また、輝度画像Ii1(-)と輝度画像Ii1(+)との和で正規化することで、ワーク11の表面の色の違いによるコントラストへの影響が抑えられている。
【0046】
なお、輝度画像Ii1(-)における斜面123の明るさと、輝度画像Ii1(+)における斜面123の明るさとは同程度である。また、輝度画像Ii1(-)における斜面124の明るさと、輝度画像Ii1(+)における斜面124の明るさとは同程度である。したがって、方向性凹凸強調画像Ie1(-)では、斜面123、124についてはコントラストの強調は行われない。上面125についても同様である。
【0047】
ステップS204では、画像処理部935は、照明方向D2の正方向D2(+)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii2(+)と、照明方向D2の負方向D2(-)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii2(-)とを画像処理部935から読み出す。
【0048】
ステップS205では、画像処理部935は、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)とに基づき方向性凹凸強調画像Ie2(+)を生成して、記憶部95に保存する。この方向性凹凸強調画像Ie2(+)は、次式
Ie2(+)=(Ii2(+)-Ii2(-))/(Ii2(+)+Ii2(-))
により算出される。つまり、方向性凹凸強調画像Ie2(+)は、輝度画像Ii2(+)から輝度画像Ii2(-)を減算した差を、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)との和で正規化することで得られる。
【0049】
斜面123は正方向D2(+)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii2(+)における斜面123は明るい。一方、斜面123は負方向D3(-)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii2(-)における斜面123は暗い。また、斜面124は正方向D2(+)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii2(+)における斜面124は暗い。一方、斜面124は負方向D2(-)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii2(-)における斜面124は明るい。したがって、輝度画像Ii2(+)から輝度画像Ii2(-)を減算した差によって与えられる方向性凹凸強調画像Ie2(+)においては、明るい斜面123と暗い斜面124とのコントラストが強調される。換言すれば、方向性凹凸強調画像Ie2(+)では、正方向D2(+)においてコントラストを強調することで、凹凸が強調されている。また、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)との和で正規化することで、ワーク11の表面の色の違いによるコントラストへの影響が抑えられている。
【0050】
なお、輝度画像Ii2(+)における斜面121の明るさと、輝度画像Ii2(-)における斜面121の明るさとは同程度である。また、輝度画像Ii2(+)における斜面122の明るさと、輝度画像Ii2(-)における斜面122の明るさとは同程度である。したがって、方向性凹凸強調画像Ie2(+)では、斜面121、122についてはコントラストの強調は行われない。上面125についても同様である。
【0051】
ステップS206では、画像処理部935は、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)とに基づき方向性凹凸強調画像Ie2(-)を生成して、記憶部95に保存する。この方向性凹凸強調画像Ie2(-)は、次式
Ie2(-)=(Ii2(-)-Ii2(+))/(Ii2(-)+Ii2(+))
により算出される。つまり、方向性凹凸強調画像Ie2(-)は、輝度画像Ii2(-)から輝度画像Ii2(+)を減算した差を、輝度画像Ii2(-)と輝度画像Ii2(+)との和で正規化することで得られる。
【0052】
斜面124は負方向D2(-)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii2(-)における斜面124は明るい。一方、斜面124は正方向D2(+)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii2(+)における斜面124は暗い。また、斜面123は負方向D2(-)からの照明光Lfの影になるため、輝度画像Ii2(-)における斜面123は暗い。一方、斜面123は正方向D2(+)からの照明光Lfを受けるため、輝度画像Ii2(+)における斜面123は明るい。したがって、輝度画像Ii2(-)から輝度画像Ii2(+)を減算した差によって与えられる方向性凹凸強調画像Ie2(-)においては、明るい斜面124と暗い斜面123とのコントラストが強調される。換言すれば、方向性凹凸強調画像Ie2(-)では、正方向D1(-)においてコントラストを強調することで、凹凸が強調されている。また、輝度画像Ii2(-)と輝度画像Ii2(+)との和で正規化することで、ワーク11の表面の色の違いによるコントラストへの影響が抑えられている。
【0053】
なお、輝度画像Ii2(-)における斜面121の明るさと、輝度画像Ii2(+)における斜面121の明るさとは同程度である。また、輝度画像Ii2(-)における斜面122の明るさと、輝度画像Ii2(+)における斜面122の明るさとは同程度である。したがって、方向性凹凸強調画像Ie2(-)では、斜面121、122についてはコントラストの強調は行われない。上面125についても同様である。
【0054】
ステップS207では、画像処理部935は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)と方向性凹凸強調画像Ie1(-)とに基づき差分絶対値画像Id1を生成して、記憶部95に保存する。この差分絶対値画像Id1は、次式
Id1=|Ie1(+)-Ie1(-)|
により算出される。つまり、正方向D1(+)について凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie1(+)と、負方向D1(-)について凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie1(-)との差の絶対値で与えられる差分絶対値画像Id1が算出される。これによって、照明方向D1について凹凸が強調された差分絶対値画像Id1が得られる。
【0055】
ステップS208では、画像処理部935は、方向性凹凸強調画像Ie2(+)と方向性凹凸強調画像Ie2(-)とに基づき差分絶対値画像Id2を生成して、記憶部95に保存する。この差分絶対値画像Id2は、次式
Id2=|Ie2(+)-Ie2(-)|
により算出される。つまり、正方向D2(+)について凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie2(+)と、負方向D2(-)について凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie2(-)との差の絶対値で与えられる差分絶対値画像Id2が算出される。これによって、照明方向D2について凹凸が強調された差分絶対値画像Id2が得られる。
【0056】
ステップS209では、画像処理部935は、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とに基づき観察画像Ioを生成して、記憶部95に保存する。この観察画像Ioは、次式
Io=(Id12+Id22)1/2
で与えられる、つまり、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2との二乗和平方向で与えられる観察画像Ioが算出される。このように差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とを合成することで、照明方向D1および照明方向D2の両方において凹凸が強調された観察画像Ioが得られる。
【0057】
図8はディスプレイに表示される操作画面の一例を模式的に示す図である。
図8の操作画面5は表示制御部941によってディスプレイ97に表示される。これに対して、ユーザーは、ディスプレイ97に表示された操作画面5に対して、操作部99によって操作することができる。操作受付部942は、操作部99に対する操作に応じた指令を操作部99から受信して、演算部93は操作受付部942が受信した指令に応じて、以下に説明する処理を実行する。
【0058】
操作画面5は、
図5の観察画像生成を実行するためのオプトセムボタン511を有する。オプトセムボタン511をクリックする操作を示す指令を操作受付部942が操作部99から受信すると、画像処理部935は
図5の観察画像生成(ステップS201~S209)を実行する。これによって、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、方向性凹凸強調画像Ie1(-)、方向性凹凸強調画像Ie2(+)、方向性凹凸強調画像Ie2(-)、差分絶対値画像Id1、差分絶対値画像Id2および観察画像Ioが生成されて、記憶部95に保存される。
【0059】
操作画面5は、HDR(High Dynamic Range)機能の実行の有無を示すチェックボックス512を有する。HDR機能は、
図4の輝度画像取得において輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)を高階調で取得する機能である。操作受付部942がチェックボックス512を選択する指令を受信した場合には、画像取得部934は、高階調(16ビット)で輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)を取得する(HDR機能)。一方、操作受付部942がチェックボックス512を選択しない指令を受信した場合には、画像取得部934は、当該高階調より低い低階調(8ビット)で輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)を取得する。HDR機能は、固体撮像素子35の露光時間(シャッタースピード)を変更しつつ明るさの異なる複数の画像データを撮像して高階調の輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)を取得することで実現できる。
【0060】
操作画面5は、
図4の輝度画像取得に使用する照明を、落射照明41(同軸照明)とリング照明43との間で選択するためのプルダウンメニュー513を有する。プルダウンメニュー513によりリング照明43を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、照明制御部933は、上述したようにリング照明43によってワーク11に照明光Lfを照射する。一方、プルダウンメニュー513により落射照明41を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、照明制御部933は、落射照明41によってワーク11に照明光Lfを照射する。なお、リング照明43と同様に、落射照明41は複数(4個)の光射出部(領域)を有しており、複数の光射出部の間で照明光Lfを射出する一の光射出部を変更することで、ワーク11に対して照明光Lfを照射する方向を、正方向D1(+)、負方向D1(-)、正方向D2(+)および負方向D2(-)の間で切り替えることができる。つまり、D1(+)からの照明光Lfの照射(ステップS101)、負方向D1(-)からの照明光Lfの照射(ステップS103)、正方向D2(+)からの照明光Lfの照射(ステップS105)および負方向D2(-)からの照明光Lfの照射(ステップS107)が落射照明41によって実行される。
【0061】
操作画面5は、観察画像選択ボタン52を有する。観察画像選択ボタン52を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性の無い観察画像Ioをディスプレイ97に表示する。方向性の無い観察画像Ioをディスプレイ97に表示中に、観察画像選択ボタン52を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、観察画像Ioの色を反転させるネガポジ反転処理が実行された観察画像Ioをディスプレイ97に表示するようにしてもよい。また、ネガポジ反転処理が実行された観察画像Ioをディスプレイ97に表示中に、観察画像選択ボタン52を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、
図5の観察画像生成で生成された観察画像Ioをそのままディスプレイ97に表示するようにしてもよい。この場合、観察画像選択ボタン52は、観察画像Ioの色を反転させるネガポジ反転処理の実行の有無(ON/OFF)を選択するためのトグルボタンとしても機能する。観察画像選択ボタン52によりネガポジ反転処理を選択しない指令(OFF)を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、
図5の観察画像生成で生成された観察画像Ioをそのままディスプレイ97に表示する。一方、観察画像選択ボタン52によりネガポジ反転処理を選択する指令(ON)を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、
図5の観察画像生成で生成された観察画像Ioに対してネガポジ反転処理を行って、色が反転された観察画像Ioをディスプレイ97に表示する。
【0062】
操作画面5は、ディスプレイ97に表示する方向性凹凸強調画像を選択する画像方向選択部53を有する。この画像方向選択部53は、観察画像選択ボタン52を四方から囲むように配列された複数(4個)の画像方向選択ボタン531(+)、531(-)、532(+)、532(-)を有する。
【0063】
画像方向選択ボタン531(+)と画像方向選択ボタン531(-)とは、照明方向D1に対応する方向に配列されており、画像方向選択ボタン531(+)は画像方向選択ボタン531(-)の正方向D1(+)に対応する側に配置され、画像方向選択ボタン531(-)は画像方向選択ボタン531(+)の負方向D1(-)に対応する側に配置されている。画像方向選択ボタン531(+)には、正方向D1(+)からの照明光Lfの照射を示す図柄が付され、画像方向選択ボタン531(-)には、負方向D1(-)からの照明光Lfの照射を示す図柄が付されている。
【0064】
画像方向選択ボタン532(+)と画像方向選択ボタン532(-)とは、照明方向D2に対応する方向に配列されており、画像方向選択ボタン532(+)は画像方向選択ボタン532(-)の正方向D2(+)に対応する側に配置され、画像方向選択ボタン532(-)は画像方向選択ボタン531(+)の負方向D2(-)に対応する側に配置されている。画像方向選択ボタン532(+)には、正方向D2(+)からの照明光Lfの照射を示す図柄が付され、画像方向選択ボタン532(-)には、負方向D2(-)からの照明光Lfの照射を示す図柄が付されている。
【0065】
画像方向選択ボタン531(+)を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)をディスプレイ97に表示する。画像方向選択ボタン531(-)を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie1(-)をディスプレイ97に表示する。画像方向選択ボタン532(+)を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie2(+)をディスプレイ97に表示する。画像方向選択ボタン532(-)を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie2(-)をディスプレイ97に表示する。
【0066】
なお、表示制御部941は、正方向D1(+)、負方向D1(-)、正方向D2(+)および負方向D2(-)のそれぞれについてホワイトバランスを有する。したがって、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、Ie1(-)、Ie2(+)あるいはIe2(-)をそれぞれに対応するホワイトバランスで調整してからディスプレイ97に表示する。
【0067】
操作画面5は、凹凸強調の程度を制御するスライダー54を有する。スライダー54が示す凹凸強調の程度(
図8の例では「50」)を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、方向性凹凸強調画像Ie1(-)、方向性凹凸強調画像Ie2(+)、方向性凹凸強調画像Ie2(-)あるいは観察画像Ioといった画像をディスプレイ97に表示する際のガンマ補正のトーンカーブを変更する。
【0068】
操作画面5は、ディスプレイ97に表示する画像の種類を選択する画像種類選択部55を有する。この画像種類選択部55は、画像の種類として標準(モノクロ)を選択するラジオボタン551と、カラーを選択するラジオボタン552と、凹凸カラーマップを選択するラジオボタン553とを有する。標準のラジオボタン551を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、Ie1(-)、Ie2(+)、Ie2(-)、方向性の無い観察画像Ioおよびこの観察画像Ioをネガポジ反転した観察画像Ioうち、上述の画像方向選択ボタン531(+)、531(-)、532(+)、532(-)、観察画像選択ボタン52によって選択されている一つをディスプレイ97に表示する。カラーのラジオボタン552を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、ワーク11のカラー画像をディスプレイ97に表示する。このカラー画像は、正方向D1(+)、負方向D1(-)、正方向D2(+)および負方向D2(-)の全方向から照明光Lfをワーク11に照射しつつ固体撮像素子35によってワーク11を撮像することで取得された画像であって、記憶部95に保存されている。凹凸カラーマップのラジオボタン553を選択する指令を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、フォトメトリックステレオによるワーク11の画像(凹凸カラーマップ)をディスプレイ97に表示する。
【0069】
操作画面5は、カラー画像あるいは凹凸カラーマップと方向性凹凸強調画像Ieとを重ねて表示する際の透過率を示すスライダー56を有する。カラーのラジオボタン552を選択する指令と、0%より大きい透過率をスライダー56により選択する指令とを操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、当該指令が示す透過率でカラー画像に対して方向性凹凸強調画像Ieまたは観察画像Ioを透かした画像をディスプレイ97に表示する。この際、表示制御部941は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、Ie1(-)、Ie2(+)、Ie2(-)、方向性の無い観察画像Ioおよびこの観察画像Ioをネガポジ反転した観察画像Ioのうち、上述の画像方向選択ボタン531(+)、531(-)、532(+)、532(-)、観察画像選択ボタン52によって選択されている一つを、カラー画像に対して透かして表示する。また、凹凸カラーマップのラジオボタン553を選択する指令と、0%より大きい透過率をスライダー56により選択する指令とを操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、同様にして、凹凸カラーマップに対して方向性凹凸強調画像Ieを透かした画像をディスプレイ97に表示する。
【0070】
操作画面5は、深度合成&3Dボタン571およびカラー比較表示ボタン572を有する。深度合成&3Dボタン571を選択する操作を操作受付部942が受信した場合には、演算部93は後述の深度合成&3D(
図9)を実行する。また、カラー比較表示ボタン572を選択する操作を操作受付部942が受信した場合には、表示制御部941は、カラー画像および凹凸カラーマップを並べてディスプレイ97に表示する。
【0071】
図9は深度合成&3Dで実行される動作の一例を示すフローチャートである。ステップS301では、照明制御部933は、リング照明43あるいは落射照明41を制御することで、照明方向D1の正方向D1(+)(所定方向)からワーク11に照明光Lfを照射する。そして、ヘッド駆動制御部932は、Z軸ヘッド駆動部24zを制御することで、観察ヘッド3をホーム高さに位置決めしてから(ステップS302)、観察ヘッド3のZ方向への移動を開始する(ステップS303)。Z方向への移動は、上昇あるいは下降のいずれでもよい。こうして観察ヘッド3がZ方向に移動する間に、画像取得部934は、固体撮像素子35を制御することで、所定間隔で複数回の撮像を固体撮像素子35に実行させる(ステップS304)。
【0072】
ステップS305では、演算部93は、4方向D1(+)、D1(-)、D2(+)、D2(-)の全てについてステップS302~S304を完了したかを判定する。いずれかの方向について完了していない場合(ステップS305で「NO」の場合)には、照明光Lfを照射する方向を変更して、ステップS302~S304が実行される。
【0073】
これによって、正方向D1(+)から照明光Lfを照射しつつ互いに異なる高さから撮像した複数の撮像画像Im(撮像画像Im1(+))と、負方向D1(-)から照明光Lfを照射しつつ互いに異なる高さから撮像した複数の撮像画像Im(撮像画像Im1(-))と、正方向D2(+)から照明光Lfを照射しつつ互いに異なる高さから撮像した複数の撮像画像Im(撮像画像Im2(+))と、負方向D2(-)から照明光Lfを照射しつつ互いに異なる高さから撮像した複数の撮像画像Im(撮像画像Im2(-))とが取得される。
【0074】
4方向の全てについてステップS302~S304が完了すると(ステップS305で「YES」)、照明制御部933は、リング照明43あるいは落射照明41を制御することで、4方向D1(+)、D1(-)、D2(+)、D2(-)の全てからワーク11に照明光Lfを照射する(ステップS307)。そして、ヘッド駆動制御部932は、Z軸ヘッド駆動部24zを制御することで、観察ヘッド3をホーム高さに位置決めしてから(ステップS308)、観察ヘッド3のZ方向への移動を開始する(ステップS309)。こうして観察ヘッド3がZ方向に移動する間に、画像取得部934は、固体撮像素子35を制御することで、所定間隔で複数回の撮像を固体撮像素子35に実行させる(ステップS310)。これによって、4方向D1(+)、D1(-)、D2(+)、D2(-)の全てから照明光Lfを照射しつつ互いに異なる高さから撮像した複数の撮像画像Im(撮像画像Ima)が取得される。
【0075】
ステップS311では、画像処理部935は、正方向D1(+)から照明光Lfを照射しつつ取得した複数の撮像画像Im1(+)それぞれの合焦した部分を合成した部分を合成することで、1つの深度合成画像If1(+)を生成する(深度合成)。この深度合成では、画素が有する輝度値のコントラストあるいは最大値が、合焦を判定するための参照値として算出される。コントラストは、対象画素および当該対象画素の周辺画素のそれぞれの輝度値のうち、最大の輝度値と最小の輝度値との差で与えられる。最大値は、対象画素および当該対象画素の周辺画素のそれぞれの輝度値のうち、最大の輝度値で与えられる。複数の撮像画像Im1(+)それぞれの対象画素のうち、参照値が最大となる一の撮像画像Im1(+)の対象画素の輝度値が、深度合成画像If1(+)の対象画素の輝度値として決定される。全画素の間で対象画素を変更しつつ、対象画素に対するかかる演算を実行することで、撮像画像Im1(+)が生成される。
【0076】
ステップS312~S314では、画像処理部935は、負方向D1(-)、正方向D2(+)および負方向D2(-)それぞれに対して同様の演算を行って、深度合成画像If1(-)、深度合成画像If2(+)および深度合成画像If2(-)を生成する。ステップS315では、画像処理部935は、深度合成画像If1(+)を輝度画像Ii1(+)とし、深度合成画像If1(-)を輝度画像Ii1(-)とし、深度合成画像If2(+)を輝度画像Ii2(+)とし、深度合成画像If2(-)を輝度画像Ii2(-)として、観察画像生成(
図5)を実行して、深度合成画像による観察画像Ioを生成する。なお、ステップS312~315の実行順序はこれに限られず、たとえば、画像処理部935は、Z方向の各位置にそれぞれ対応する観察画像Ioを生成し、生成した各観察画像Ioについて、それぞれの合焦した部分を合成した部分を合成する深度合成をすることで、1つの深度合成された観察画像Ioを生成するようにしてもよい。
【0077】
ステップS315では、画像処理部935は、4方向D1(+)、D1(-)、D2(+)、D2(-)の全てからワーク11に照明光Lfを照射しつつ取得した複数の撮像画像Imaから、ワーク11の深度合成画像および三次元形状を示す三次元画像Itd算出する(3D合成)。具体的には、複数の撮像画像Imaのうち、合焦した対象画素を含む一の撮像画像Imaを撮像した際の観察ヘッド3の高さから対象画素の高さを求める演算を、全画素の間で対象画素を変更しつつ実行することで、三次元画像Itdが算出される。ステップS315では、画像処理部935は、方向性凹凸強調画像や観察画像Ioについて、XY方向の異なる位置で撮像した画像を連結する画像連結、ステップS315の深度合成、および3D合成を任意に組み合わせて実行してもよい。たとえば、画像処理部935は、方向性凹凸強調画像や観察画像Ioについて、連結画像、連結+深度合成画像、または、連結+3D合成画像を生成するようにしてもよい。
【0078】
以上に説明する実施形態では、照明方向D1(第1照明方向)の正方向D1(+)から照明光Lfを照射しつつワーク11(観察対象物)を撮像した輝度画像Ii1(+)(第1輝度画像)と、照明方向D1の負方向D1(-)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii1(-)(第2輝度画像)とが取得される。また、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)とに基づいて、照明方向D1の正方向D1(+)についてワーク11の表面の凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie1(+)(第1合成画像)と、照明方向D1の負方向D1(-)についてワーク11の表面の凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie1(-)(第2合成画像)とが生成される。そして、方向性凹凸強調画像Ie1(+)と方向性凹凸強調画像Ie1(-)との差の絶対値に基づいて、照明方向D1についてワーク11の表面の凹凸が強調された差分絶対値画像Id1(第1凹凸強調画像)が生成される。さらに、照明方向D2(第2照明方向)の正方向D2(+)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii2(+)(第3輝度画像)と、照明方向D2の負方向D2(-)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii2(-)(第4輝度画像)とが取得される。また、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)とに基づいて、照明方向D2の正方向D2(+)についてワーク11の表面の凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie2(+)(第3合成画像)と、照明方向D2の負方向D2(-)についてワーク11の表面の凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie2(-)(第4合成画像)とが生成される。そして、方向性凹凸強調画像Ie2(+)と方向性凹凸強調画像Ie2(-)との差の絶対値に基づいて、照明方向D2についてワーク11の表面の凹凸が強調された差分絶対値画像Id2(第2凹凸強調画像)が生成される。こうして、照明方向D1および照明方向D2の2方向についてワーク11の表面の凹凸が強調された2つの画像(差分絶対値画像Id1、Id2)が取得される。そして、ワーク11の画像である観察画像Ioを生成するために、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とが合成される。これによって、照明方向D1および照明方向D2の2方向についてワーク11の表面の凹凸が強調された観察画像Ioを取得することができる。その結果、ワーク11の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像Ioを取得することが可能となっている。
【0079】
また、ユーザーに対して画像を表示するディスプレイ97(画像表示部)と、ユーザーの操作を受け付ける操作部99(ユーザー操作部)とが具備されている。そして、画像処理部935(表示画像生成部)は、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、方向性凹凸強調画像Ie1(-)、方向性凹凸強調画像Ie2(+)、方向性凹凸強調画像Ie2(-)、方向性の無い観察画像Ioおよびこの観察画像Ioをネガポジ反転した観察画像Ioののうち、操作部99が受け付けたユーザーの操作に応じた画像をディスプレイ97に表示する。かかる構成では、ユーザーは、方向性凹凸強調画像Ie1(+)、方向性凹凸強調画像Ie1(-)、方向性凹凸強調画像Ie2(+)、方向性凹凸強調画像Ie2(-)あるいは方向性の無く凹凸強調された観察画像Ioを適宜参照しつつ、ワーク11の観察を行うことができる。
【0080】
また、画像処理部935は、輝度画像Ii1(+)から輝度画像Ii1(-)を減算した差に基づいて方向性凹凸強調画像Ie1(+)を生成し、輝度画像Ii1(-)から輝度画像Ii1(+)を減算した差に基づいて方向性凹凸強調画像Ie1(-)を生成し、輝度画像Ii2(+)から輝度画像Ii2(-)を減算した差に基づいて方向性凹凸強調画像Ie2(+)を生成し、輝度画像Ii2(-)から輝度画像Ii2(+)を減算した差に基づいて方向性凹凸強調画像Ie2(-)を生成する。このような演算によって、正方向D1(+)、負方向D1(-)、正方向D2(+)および負方向D2(-)についてそれぞれ凹凸が強調された方向性凹凸強調画像Ie1(+)、Ie1(-)、Ie2(+)、Ie2(-)を生成することができる。
【0081】
また、画像処理部935は、輝度画像Ii1(+)から輝度画像Ii1(-)を減算した差を、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて方向性凹凸強調画像Ie1(+)を生成し、輝度画像Ii1(-)から輝度画像Ii1(+)を減算した差を、輝度画像Ii1(-)と輝度画像Ii1(+)とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて方向性凹凸強調画像Ie1(-)を生成し、輝度画像Ii2(+)から輝度画像Ii2(-)を減算した差を、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて方向性凹凸強調画像Ie2(+)を生成し、輝度画像Ii2(-)から輝度画像Ii2(+)を減算した差を、輝度画像Ii2(-)と輝度画像Ii2(+)とを加算した和で除することで規格化したデータに基づいて方向性凹凸強調画像Ie2(-)を生成する。このような規格化を行うことで、ワーク11の表面の色による影響を抑えて、凹凸を的確に強調することができる。
【0082】
また、ユーザーに対して画像を表示するディスプレイ97(画像表示部)と、ユーザーの操作を受け付ける操作部99(ユーザー操作部)とが具備されている。そして、画像処理部935(表示画像生成部)は、操作部99が受け付けたユーザーの操作に応じて、ディスプレイ97に表示する観察画像Ioの色を反転させるネガポジ反転処理を実行する。かかる構成では、ユーザーは、ワーク11の凹凸を目視によって確認しやすい色で観察画像Ioを表示させることができる。
【0083】
また、結像光学系33(光学系)に向けて照明光Lfを射出する落射照明41(照明光源)が具備されており、落射照明41から射出されて結像光学系33により集光された照明光Lfがワーク11に照射される。コントローラー91は、照明制御部933(制御部)により落射照明41を制御して、落射照明41のうち照明光Lfを射出する領域を変化させることで、照明方向D1の正方向D1(+)、照明方向D1の負方向D1(-)、照明方向D2の正方向D2(+)および照明方向D2の負方向D2(-)の間で、ワーク11に対して照明光Lfを照射する方向を切り換える。かかる構成では、落射照明41のうち照明光Lfを射出する領域を変化させるといった簡単な制御によって、ワーク11に照明光Lfを照射する方向を切り換えることができる。
【0084】
以上に説明するように本実施形態では、拡大観察装置1が本発明の「拡大観察装置」の一例に相当し、ワーク11が本発明の「観察対象物」の一例に相当し、観察画像生成プログラム19が本発明の「観察画像生成プログラム」の一例に相当し、結像光学系33が本発明の「光学系」の一例に相当し、固体撮像素子35が本発明の「撮像部」の一例に相当し、落射照明41およびリング照明43が本発明の「照明部」を構成し、照明制御部933および画像取得部934が本発明の「制御部」を構成し、画像処理部935が本発明の「表示画像生成部」の一例に相当し、記憶部95が本発明の「記録媒体」の一例に相当し、ディスプレイ97が本発明の「画像表示部」の一例に相当し、操作部99が本発明の「ユーザー操作部」の一例に相当し、照明方向D1が本発明の「第1照明方向」の一例に相当し、正方向D1(+)が本発明の「第1照明方向の正方向」の一例に相当し、負方向D1(-)が本発明の「第1照明方向の負方向」の一例に相当し、照明方向D2が本発明の「第2照明方向」の一例に相当し、正方向D2(+)が本発明の「第2照明方向の正方向」の一例に相当し、負方向D2(-)が本発明の「第2照明方向の負方向」の一例に相当し、輝度画像Ii1(+)が本発明の「第1輝度画像」の一例に相当し、輝度画像Ii1(-)が本発明の「第2輝度画像」の一例に相当し、輝度画像Ii2(+)が本発明の「第3輝度画像」の一例に相当し、輝度画像Ii2(-)が本発明の「第4輝度画像」の一例に相当し、方向性凹凸強調画像Ie1(+)が本発明の「第1合成画像」の一例に相当し、方向性凹凸強調画像Ie1(-)が本発明の「第2合成画像」の一例に相当し、方向性凹凸強調画像Ie2(+)が本発明の「第3合成画像」の一例に相当し、方向性凹凸強調画像Ie2(-)が本発明の「第4合成画像」の一例に相当し、差分絶対値画像Id1が本発明の「第1凹凸強調画像」の一例に相当し、差分絶対値画像Id2が本発明の「第2凹凸強調画像」の一例に相当し、観察画像Ioが本発明の「観察画像」の一例に相当する。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)の取得方法を変更することができる。具体的には、上述の深度合成によって深度合成画像If1(+)、If1(-)、If2(+)およびIf2(-)のそれぞれを、輝度画像Ii1(+)、Ii1(-)、Ii2(+)、Ii2(-)として生成してもよい。かかる構成では、焦点の合った鮮明な深度合成画像If1(+)、If1(-)、If2(+)およびIf2(-)(第1、第2、第3および第4輝度画像)に基づき、照明方向D1および照明方向D2のそれぞれについて凹凸を強調した観察画像Ioを生成できる。
【0086】
また、
図10は画像処理部によって実行される観察画像生成の別の例を示すフローチャートであり、
図11は
図10の観察画像生成において画像処理部が実行する画像処理を模式的に示す図である。
図10の観察画像生成は観察画像生成プログラム19によって規定されており、画像処理部935は観察画像生成プログラム19に従って
図10の観察画像生成を実行する。
【0087】
観察画像生成(
図10)のステップS401では、画像処理部935は、照明方向D1の正方向D1(+)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii1(+)と、照明方向D1の負方向D1(-)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii1(-)とを画像処理部935から読み出す。
【0088】
ステップS402では、画像処理部935は、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii1(-)とに基づき差分絶対値画像Id1を生成して、記憶部95に保存する。この差分絶対値画像Id1は、次式
Id1=|Ii1(+)-Ii1(-)|
により算出される。これによって、照明方向D1について凹凸が強調された差分絶対値画像Id1が得られる。
【0089】
ステップS403では、画像処理部935は、照明方向D2の正方向D2(+)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii2(+)と、照明方向D2の負方向D2(-)から照明光Lfを照射しつつ取得された輝度画像Ii2(-)とを画像処理部935から読み出す。
【0090】
ステップS402では、画像処理部935は、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)とに基づき差分絶対値画像Id2を生成して、記憶部95に保存する。この差分絶対値画像Id2は、次式
Id2=|Ii2(+)-Ii2(-)|
により算出される。これによって、照明方向D2について凹凸が強調された差分絶対値画像Id2が得られる。
【0091】
ステップS405では、画像処理部935は、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とに基づき観察画像Ioを生成して、記憶部95に保存する。この観察画像Ioは、次式
Io=(Id12+Id22)1/2
で与えられる、つまり、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2との二乗和平方向で与えられる観察画像Ioが算出される。このように差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とを合成することで、照明方向D1および照明方向D2の両方において凹凸が強調された観察画像Ioが得られる。
【0092】
このように構成された実施例では、照明方向D1(第1照明方向)の正方向D1(+)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii1(+)(第1輝度画像)と、照明方向D1の負方向D1(-)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii1(-)(第2輝度画像)とが取得される。そして、輝度画像Ii1(+)と輝度画像Ii2(-)との差の絶対値に基づいて照明方向D1についてワーク11の表面の凹凸が強調された差分絶対値画像Id1(第1凹凸強調画像)が生成される。さらに、照明方向D2(第2照明方向)の正方向D2(+)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii2(+)(第3輝度画像)と、照明方向D2の負方向D2(-)から照明光Lfを照射しつつワーク11を撮像した輝度画像Ii2(-)(第4輝度画像)とが取得される。そして、輝度画像Ii2(+)と輝度画像Ii2(-)との差の絶対値に基づいて照明方向D2についてワーク11の表面の凹凸が強調された差分絶対値画像Id2(第2凹凸強調画像)が生成される。こうして、照明方向D1および照明方向D2の2方向について観察対象物の表面の凹凸が強調された画像(差分絶対値画像Id1、Id2)が取得される。そして、ワーク11の画像である観察画像Ioを生成するために、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とが合成される。これによって、照明方向D1および照明方向D2の2方向についてワーク11の表面の凹凸が強調された観察画像Ioを取得することができる。その結果、ワーク11の表面の凹凸の向きに依らずに凹凸を強調した観察画像Ioを取得することが可能となっている。
【0093】
ところで、
図5および
図10のいずれの観察画像生成においても、ワーク11の画像である観察画像Ioを生成するために、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とが合成される。上の例では、差分絶対値画像Id1の画素値と差分絶対値画像Id2の画素値との二乗和平方根を全画素について算出する二乗和平均演算によって、差分絶対値画像Id1と差分絶対値画像Id2とが合成される。しかしながら、これらを合成する具体的な方法は二乗和平均演算に限られない。したがって、差分絶対値画像Id1の画素値と差分絶対値画像Id2の画素値との単純平均を全画素について算出する単純平均演算によって合成を行ってもよい。あるいは、差分絶対値画像Id1の画素値および差分絶対値画像Id2の画素値のうちの最大値を全画素について算出する最大値演算によって合成を行うってもよい。
【0094】
また、照明方向D1と照明方向D2が交差する角度は90度に限られない。さらに、照明光Lfを照射する方向の数は、照明方向D1、D2の2に限られない。したがって、3以上の方向から照明光Lfを照射しつつ、各方向の正方向および負方向それぞれについて輝度画像を取得してもよい。
【0095】
上記のフローチャートにおける各ステップの順序は一例に過ぎず、各ステップの順序を適宜変更してもよい。
【0096】
また、拡大観察装置1は、照明部と撮像部が電子光学系により構成され、撮像画像として電子像を得るような構成であってもよい。この場合、照明部である走査電子光学系と撮像部である電子検出器の配置は逆になる。電子検出器は4方向に配置され、リング照明43の4方向に相当する。
【0097】
また、上述した以外の機能を拡大観察装置1に搭載することができる。例えば、次に説明するようなクイックリプレイ機能を搭載してもよい。このクイックリプレイ機能では、ワーク11に対して設定された複数の撮像位置のそれぞれについて、当該撮像位置を撮像する際の撮像条件(照明光Lfの光量、固体撮像素子35の露光時間、結像光学系33の倍率など)が記憶される。そして、操作受付部942がクイックリプレイ機能の実行を示す指令を受け付けた場合には、コントローラー91は、一の撮像位置に観察ヘッド3を対向させて当該一の撮像位置に対応する撮像条件で当該一の撮像位置を撮像するといった動作を、複数の撮像位置のそれぞれに対して順番に実行する。
【産業上の利用可能性】
【0098】
この発明は、観察対象物を拡大して観察する拡大観察技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…拡大観察装置
11…ワーク(観察対象物)
19…観察画像生成プログラム
33…結像光学系(光学系)
35…固体撮像素子(撮像部)
41…落射照明(照明部)
43…リング照明(照明部)
933…照明制御部(制御部)
934…画像取得部(制御部)
935…画像処理部(表示画像生成部)
95…記憶部(記録媒体)
97…ディスプレイ(画像表示部)
99…操作部(ユーザー操作部)
D1…照明方向(第1照明方向)
D1(+)…正方向(第1照明方向の正方向)
D1(-)…負方向(第1照明方向の負方向)
D2…照明方向(第2照明方向)
D2(+)…正方向(第2照明方向の正方向)
D2(-)…負方向(第2照明方向の負方向)
Ii1(+)…輝度画像(第1輝度画像)
Ii1(-)…輝度画像(第2輝度画像)
Ii2(+)…輝度画像(第3輝度画像)
Ii2(-)…輝度画像(第4輝度画像)
Ie1(+)…方向性凹凸強調画像(第1合成画像)
Ie1(-)…方向性凹凸強調画像(第2合成画像)
Ie2(+)…方向性凹凸強調画像(第3合成画像)
Ie2(-)…方向性凹凸強調画像(第4合成画像)
Id1…差分絶対値画像(第1凹凸強調画像)
Id2…差分絶対値画像(第2凹凸強調画像)
Io…観察画像