(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154084
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】用紙搬送装置、当該用紙搬送装置を備える画像形成装置、および用紙搬送装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 29/60 20060101AFI20241023BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20241023BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B65H29/60 B
B65H29/58 B
G03G15/00 463
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067702
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】細川 皓平
【テーマコード(参考)】
2H072
3F053
【Fターム(参考)】
2H072AA23
2H072AA32
2H072AB14
2H072CA01
2H072CB01
2H072JA02
3F053BA03
3F053BA12
3F053BA21
3F053EA01
3F053EB04
3F053EC02
3F053EC06
3F053ED12
3F053ED25
3F053LA01
3F053LB01
(57)【要約】
【課題】 用紙としてタブ紙を搬送させるとともに、当該タブ紙の搬送方向を反転させる場合の搬送不良を防止しつつ、単位時間当たりに搬送可能なタブ紙の枚数の減少を抑制することができ、つまり高いパフォーマンスを維持することができるようにする。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置(10)によれば、用紙搬送路54に沿って排紙口68へ向かって搬送されるタブ紙(100)の本体部(102)の後端縁が所定の反転位置Pt’に到達した時点で、タブ紙(100)の搬送方向が反転され、その後、タブ紙(100)は、用紙搬送路54から反転搬送路72へ送り込まれる。反転位置Pt’は、タブ紙(100)の先端縁が用紙センサ80により検知された時点を基点とする経過時間である反転タイミング(Tp’)により規定される。反転タイミング(Tp’)は、タブ紙(100)のタブ部(104)の突出寸法(Lb)に応じて設定可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を第1搬送路に沿って所定方向へ搬送させるとともに、当該用紙の搬送方向を反転させて当該搬送方向が反転された当該用紙を当該第1搬送路から分岐された第2搬送路へ送り込むことが可能な用紙搬送装置であって、
前記用紙が当該用紙の一側縁から突出したタブ部を有するタブ紙である場合に、当該タブ紙は当該タブ部を前記搬送方向における上流側または下流側へ向けた状態で搬送され、
前記第1搬送路と前記第2搬送路との分岐位置において、当該第1搬送路に沿って前記所定方向へ搬送される前記用紙を当該用紙がそのまま当該第1搬送路に沿って当該所定方向へ搬送されるように案内する第1状態と、前記搬送方向が反転された当該用紙を当該第1搬送路から当該第2搬送路へ案内する第2状態と、に選択的に切り替わる切替ゲート、および
前記用紙が前記タブ紙である場合に、当該タブ紙の前記タブ部を除いた本体部の前記搬送方向における寸法である本体部寸法と、当該タブ部の突出寸法と、に基づいて、当該用紙の当該搬送方向を反転させる反転位置を設定する反転位置設定手段を備える、用紙搬送装置。
【請求項2】
前記タブ部の突出寸法を入力するためのユーザによる突出寸法入力操作を受け付ける操作受付手段をさらに備え、
前記反転位置設定手段は、前記本体部寸法と、前記突出寸法入力操作に従う前記タブ部の突出寸法と、に基づいて、前記反転位置を設定する、請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送路の前記分岐位置よりも前記所定方向における上流側において、当該第1搬送路に沿って当該所定方向へ搬送される前記用紙を検知する用紙検知手段をさらに備え、
前記反転位置設定手段は、前記用紙検知手段により前記用紙が検知された時点を基点とする経過時間を規定することによって前記反転位置を設定する、請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記用紙検知手段は、前記タブ紙の前記タブ部が設けられた前記一側縁とは反対側の側縁を検知する、請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の用紙搬送装置、および
前記第1搬送路の前記分岐位置よりも前記所定方向における上流側において、当該第1搬送路に沿って当該所定方向へ搬送される前記用紙に画像を形成する画像形成手段を備える、画像形成装置。
【請求項6】
前記第2搬送路は、前記第1搬送路から送り込まれた前記用紙を当該第1搬送路の前記画像形成手段による画像形成位置よりも前記所定方向における上流側へ送り込むように設けられる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
用紙を第1搬送路に沿って所定方向へ搬送させるとともに、当該用紙の搬送方向を反転させて当該搬送方向が反転された当該用紙を当該第1搬送路から分岐された第2搬送路へ送り込むことが可能な用紙搬送装置の制御方法であって、
前記用紙搬送装置は、前記第1搬送路と前記第2搬送路との分岐位置において、当該第1搬送路に沿って前記所定方向へ搬送される前記用紙を当該用紙がそのまま当該第1搬送路に沿って当該所定方向へ搬送されるように案内する第1状態と、前記搬送方向が反転された当該用紙を当該第1搬送路から当該第2搬送路へ案内する第2状態と、に選択的に切り替わる切替ゲートを備え、
前記用紙が当該用紙の一側縁から突出したタブ部を有するタブ紙である場合に、当該タブ紙は当該タブ部を前記搬送方向における上流側または下流側へ向けた状態で搬送され、その上で、
前記用紙が前記タブ紙である場合に、当該タブ紙の前記タブ部を除いた本体部の前記搬送方向における寸法である本体部寸法と、当該タブ部の突出寸法と、に基づいて、当該用紙の当該搬送方向を反転させる反転位置を設定する反転位置設定ステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、用紙搬送装置、当該用紙搬送装置を備える画像形成装置、および用紙搬送装置の制御方法に関し、特に、用紙を第1搬送路に沿って所定方向へ搬送させるとともに、用紙の搬送方向を反転(スイッチバック)させて第1搬送路から分岐された第2搬送路へ当該用紙を送り込むことが可能な、用紙搬送装置、当該用紙搬送装置を備える画像形成装置、および用紙搬送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、第1搬送路に相当する反転搬送路(12)に沿って搬送される用紙(転写紙P)は、反転搬送トレイ(13)へ一旦搬送された後、その搬送方向が反転されて、当該反転搬送路(12)から分岐された第2搬送路に相当する反転送り出し通路(23)へ送り込まれる。そして、反転搬送路(12)と反転送り出し通路(23)との分岐位置には、反転分岐爪(18)が設けられる。反転分岐爪(18)は、反転搬送路(12)に沿って搬送される用紙を反転搬送トレイ(13)へ案内する第1の状態と、搬送方向が反転された用紙を反転搬送トレイ(13)から反転送り出し通路(23)へ案内する第2の状態と、に選択的に遷移可能に設けられる。また、反転分岐爪(18)は、バネにより第2の状態を形成する方向へ付勢されており、反転搬送路(12)に沿って搬送される用紙が反転搬送トレイ(13)へ搬送される際に、当該バネによる付勢力に抗する方向へ用紙の先端により押圧されることで、第1の状態に遷移する。
【0003】
さらに、特許文献1に開示された技術によれば、用紙として、その一側縁から突出したタブ部(耳部)を有するタブ紙を搬送することが可能である。このタブ紙を搬送する場合、当該タブ紙は、そのタブ部が反転搬送路(12)から反転搬送トレイ(13)への搬送方向における後端側に位置するようにセットされる。併せて、タブ紙の搬送方向を反転させる場合には、当該搬送方向を反転させるためのモードが選択される。その上で、タブ紙が搬送されると、その搬送方向を反転させるタイミングが、タブ部の長さに相当する時間だけ遅延される。これにより、タブ紙が反転分離爪(18)に引っ掛かることによる搬送不良(紙づまり)の発生が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タブ紙によっては、タブ部の突出寸法が異なる場合があり、たとえば当該タブ部の突出寸法が標準的な寸法よりも大きい場合がある。これに対して、特許文献1に開示された技術では、タブ部の突出寸法が一定であることが前提とされるので、たとえば当該タブ部の突出寸法が大きい場合には、前述の搬送不良が発生する虞がある。この不都合を回避するために、たとえばタブ部の突出寸法が大きい場合に合わせて、装置を構成することが考えられるが、そうすると、タブ部の突出寸法が小さい場合に、必要以上に長い時間(距離)にわたってタブ紙が搬送されることになるため、単位時間当たりに搬送可能なタブ紙の枚数が減少し、つまり装置のパフォーマンスが低下する。
【0006】
そこで、本開示は、用紙としてタブ紙を搬送させるとともに、当該タブ紙の搬送方向を反転させる場合の搬送不良を防止しつつ、単位時間当たりに搬送可能なタブ紙の枚数の減少を抑制することができ、つまり高いパフォーマンスを維持することができる、新規な用紙搬送装置、当該用紙搬送装置を備える画像形成装置、および用紙搬送装置の制御方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本開示は、用紙搬送装置に係る第1の開示、当該用紙搬送装置を備える画像形成装置に係る第2の開示、および用紙搬送装置の制御方法に係る第3の開示を含む。
【0008】
このうちの用紙搬送装置に係る第1の開示は、当該用紙搬送装置が、用紙を第1搬送路に沿って所定方向へ搬送させるとともに、当該用紙の搬送方向を反転させて、当該搬送方向が反転された用紙を第1搬送路から分岐された第2搬送路へ送り込むことが可能であることを、前提とする。また、用紙が、その一側縁から突出したタブ部を有するタブ紙である場合に、当該タブ紙は、そのタブ部を搬送方向における上流側または下流側へ向けた状態で搬送される。その上で、本第1の開示は、切替ゲートおよび反転位置設定手段を備える。切替ゲートは、第1搬送路と第2搬送路との分岐位置において、第1搬送路に沿って前述の所定方向へ搬送される用紙を、当該用紙がそのまま第1搬送路に沿って所定方向へ搬送されるように案内する第1状態と、搬送方向が反転された用紙を、第1搬送路から第2搬送路へ案内する第2状態と、に選択的に切り替わる。そして、反転位置設定手段は、用紙がタブ紙である場合に、当該タブ紙のタブ部を除いた本体部の搬送方向における寸法である本体部寸法と、タブ部の突出寸法と、に基づいて、用紙の搬送方向を反転させる反転位置を設定する。
【0009】
なお、本第1の開示においては、操作受付手段が、さらに備えられてもよい。この操作受付手段は、タブ部の突出寸法を入力するためのユーザによる突出寸法入力操作を受け付ける。この場合、反転位置設定手段は、タブ紙の本体部寸法と、ユーザによる突出寸法入力操作に従うタブ部の突出寸法と、に基づいて、反転位置を設定してもよい。
【0010】
また、本第1の開示においては、用紙検知手段が、さらに備えられてもよい。この用紙検知手段は、第1搬送路の第2搬送路との分岐位置よりも前述の所定方向における上流側において、当該第1搬送路に沿って所定方向へ搬送される用紙を検知する。この場合、反転位置設定手段は、用紙検知手段により用紙が検知された時点を基点とする経過時間を規定することによって、反転位置を設定してもよい。
【0011】
さらに、用紙検知手段は、タブ紙のタブ部が設けられた一側縁とは反対側の側縁を、つまり当該タブ紙のタブ部が設けられていない側の側縁を、検知するのが、望ましい。
【0012】
本開示のうちの画像形成装置に係る第2の開示は、第1の開示に係る用紙搬送装置、および画像形成手段を、備える。画像形成手段は、第1搬送路の第2搬送路との分岐位置よりも前述の所定方向における上流側において、当該第1搬送路に沿って所定方向へ搬送される用紙に画像を形成する。
【0013】
このような本第2の開示においては、第2搬送路は、第1搬送路から送り込まれた用紙を、当該第1搬送路の画像形成手段による画像形成位置よりも前述の所定方向における上流側へ送り込むように設けられてもよい。この構成によれば、用紙の両面に画像を形成することができる。
【0014】
本開示のうちの用紙搬送装置の制御方法に係る第3の開示は、反転位置設定ステップを含む。ここで、用紙搬送装置は、用紙を第1搬送路に沿って所定方向へ搬送させるとともに、当該用紙の搬送方向を反転させて、当該搬送方向が反転された用紙を第1搬送路から分岐された第2搬送路へ送り込むことが可能である。また、用紙搬送装置は、切替ゲートを備える。切替ゲートは、第1搬送路と第2搬送路との分岐位置において、第1搬送路に沿って前述の所定方向へ搬送される用紙を、当該用紙がそのまま第1搬送路に沿って所定方向へ搬送されるように案内する第1状態と、搬送方向が反転された用紙を、第1搬送路から第2搬送路へ案内する第2状態と、に選択的に切り替わる。さらに、用紙がタブ紙である場合に、当該タブ紙は、そのタブ部を搬送方向における上流側または下流側へ向けた状態で搬送される。その上で、反転位置設定ステップにおいては、用紙がタブ紙である場合に、その本体部寸法と、タブ部の突出寸法と、に基づいて、用紙の搬送方向を反転させる反転位置を設定する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、用紙としてタブ紙を搬送させるとともに、当該タブ紙の搬送方向を反転させる場合の搬送不良を防止しつつ、単位時間当たりに搬送可能なタブ紙の枚数の減少を抑制することができ、つまり高いパフォーマンスを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施例に係る画像形成装置の内部の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施例における用紙搬送路および反転搬送路の一部分を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施例における用紙としてのタブ紙の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例により解決しようとする不都合を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1実施例における用紙搬送路および反転搬送路の一部分の別の状態を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施例による効果を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1実施例に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1実施例におけるタブ長さ設定画面を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施例におけるタブ長さ手動設定画面を示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施例における反転タイミングテーブルの構成を概念的に示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施例における反転タイミング記憶領域の構成を概念的に示す図である。
【
図12】
図12は、第1実施例におけるタブ標準突出寸法記憶領域の構成を概念的に示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施例における用紙搬送制御タスクの流れを示すフロー図である。
【
図14】
図14は、第1実施例による効果を説明するための別の図である。
【
図15】
図15は、本開示の第2実施例における用紙搬送路および反転搬送路の一部分を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の応用例を説明するための図である。
【
図17】
図17は、本開示の応用例を説明するための別の図である。
【
図18】
図18は、本開示の応用例を説明するためのさらに別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施例]
本開示の第1実施例について、
図1に示されるカラーの画像形成装置10を例に挙げて説明する。
【0018】
本第1実施例に係る画像形成装置10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する、いわゆる複合機(MFP)である。なお、
図1は、使用可能な状態に設置された画像形成装置10の内部の構成を当該画像形成装置10の前方側から見た図である。すなわち、
図1における上下方向は、画像形成装置10の上下方向に対応する。そして、
図1における左右方向は、画像形成装置10の左右方向に対応する。さらに、
図1の紙面の手前側は、画像形成装置10の前方に対応する。そして、
図1の紙面の奥側は、画像形成装置10の後方に対応する。
【0019】
この画像形成装置10の上部には、画像読取手段としての画像読取部12が設けられる。画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、当該原稿の画像に応じた2次元の読取画像データを出力する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿が載置される原稿台14を有する。原稿台14は、概略矩形平板状のガラスなどの透明部材により形成され、その両主面を水平方向に沿わせるように設けられる。そして、原稿台14の下方に、画像読取ユニット16が設けられる。詳しい説明は省略するが、画像読取ユニット16は、光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを有し、原稿台14の上面に画像形成装置10の前後方向に沿って延伸する直線状の画像読取位置Prを形成する。さらに、原稿台14の下方には、画像読取ユニット16の画像読取位置Prを画像形成装置10の左右方向に沿って移動(走査)させるための不図示の駆動機構が設けられる。すなわち、原稿台14に原稿が載置された状態で、画像読取ユニット16の画像読取位置Prが駆動機構により移動されることで、当該原稿の画像が読み取られ、いわゆる固定読み方式により読み取られる。なお、画像形成装置10の前後方向は、主走査方向と呼ばれる。そして、画像形成装置10の左右方向は、副走査方向と呼ばれる。
【0020】
また、原稿台14の上方には、当該原稿台14に載置された原稿を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねる自動原稿送り装置(ADF)18が設けられる。自動原稿送り装置18は、原稿台14の上面を外部に露出させる状態と、当該原稿台14の上面を覆う状態と、に遷移可能に設けられる。このため、自動原稿送り装置18は、不図示のヒンジなどの適当な可動支持部材を介して画像形成装置10の本体(筐体)に結合される。なお、
図1は、自動原稿送り装置18が原稿台14の上面を覆った状態を示す。また、自動原稿送り装置18は、
図1に示される如く原稿台14の上面を覆った状態にあるときに、次に説明する如くそれ本来の機能を発揮する。
【0021】
すなわち、自動原稿送り装置18は、原稿載置トレイ20を有する。この原稿載置トレイ20には、原稿が、厳密にはシート状の原稿が、載置可能であり、とりわけ複数枚の原稿が積層状に載置可能である。詳しい説明は省略するが、自動原稿送り装置18は、原稿載置トレイ20に載置された原稿を1枚単位で(1枚ずつ)取り込み、当該自動原稿送り装置18内の原稿搬送路22に沿って搬送させる。その途中で、原稿は、画像読取位置Prを通過し、厳密には固定された状態にある画像読取位置Prを通過する。これにより、原稿の画像が読み取られ、いわゆる流し読み方式で読み取られる。その後、原稿は、原稿排出トレイ24へ排出される。
【0022】
画像読取部12の下方には、画像形成手段としての画像形成部26が設けられる。この画像形成部26は、
図1には示されないシート状の画像記録媒体としての用紙に前述の読取画像データなどの適宜の画像データに基づく画像を形成する画像形成処理を担い、つまり印刷を担う。この印刷は、公知の電子写真方式により行われる。また、画像形成部26は、カラーの印刷を行うために、タンデム方式を採用する。
【0023】
具体的には、画像形成部26は、互いに異なる複数の色、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)という4つの色の、単色トナー像を個別に形成するための4つの単色画像形成手段としての画像形成ステーション(「プロセスユニット」と呼ばれることもある。)28,28,…を有する。併せて、画像形成部26は、各画像形成ステーション28,28,…による単色トナー像の形成に必要な露光を行う露光手段としての露光装置30を有する。さらに、画像形成部26は、各画像形成ステーション28,28,…により形成された各単色トナー像を後述する中間転写ベルト32に順次転写し、当該中間転写ベルト32に転写されたトナー像を用紙に転写するための転写手段としての転写ユニット34を有する。加えて、画像形成部26は、用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させるための定着手段としての定着装置36を有する。
【0024】
転写ユニット34は、中間転写ベルト(「1次転写ベルト」と呼ばれることもある。)32、中間転写ベルト32を回転させる駆動ローラ38、駆動ローラ38とともに中間転写ベルト32を張架する従動ローラ40、中間転写ベルト32の内側における各画像形成ステーション28,28,…と対応する位置に設けられた4つの中間転写ローラ(「1次転写ローラ」と呼ばれることもある。)42,42,…、転写部材の一例としての転写ローラ(「2次転写ローラ」と呼ばれることもある。)44などを有する。
【0025】
中間転写ベルト32は、駆動ローラ38および従動ローラ40によって張架される。駆動ローラ38は、不図示の中間転写ベルト用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において反時計回りに回転する。これに伴い、中間転写ベルト32が回転(周回移動)するとともに、従動ローラ40が回転する。中間転写ベルト32における駆動ローラ38と従動ローラ40との間の領域のうちの下側の領域32aは、水平方向に沿って張架されており、この水平方向に沿って張架された領域32aと対向するように、各画像形成ステーション28,28,…が配置される。この中間転写ベルト32における各画像形成ステーション28,28…が配置された領域32aは、中間転写領域と呼ばれる。この中間転写領域32aにおいては、中間転写ベルト32は、画像形成装置10の左側から右側へ向かって移動し、つまり副走査方向に沿って移動する。
【0026】
なお、中間転写ベルト32は、可撓性を持つ無端帯状体であり、カーボンブラックなどの導電性材料が適宜に配合された合成樹脂(たとえばポリイミドあるいはポリカーボネート)製である。また、詳しい説明は省略するが、従動ローラ40は、中間転写ベルト32に適宜の張力を付与することにより、当該中間転写ベルト32の弛みを防止する機能を兼ね備える。
【0027】
各画像形成ステーション28,28,…は、中間転写ベルト32の中間転写領域32aの下方において、当該中間転写領域32aにおける中間転写ベルト32の移動方向に沿って、つまり副走査方向に沿って、一定の間隔を置いて設けられる。前述したように、これら各画像形成ステーション28,28,…は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の単色トナー像を中間転写ベルト32に個別に形成する。なお、
図1を含む各図からは分からないが、各画像形成ステーション28,28,…は、中間転写領域32aにおける中間転写ベルト32の移動方向の上流側から下流側へ向かって(
図1における左側から右側へ向かって)、イエロー用、マゼンタ用、シアン用およびブラック用の順番で設けられる。ただし、この順番は、一例であり、これに限定されない。また、各画像形成ステーション28,28,…は、互いに異なる色の単色トナー像を中間転写ベルト32に形成する以外は、互いに同じ構造である。
【0028】
それぞれの画像形成ステーション28は、感光体ドラム46、帯電装置48、現像装置50、クリーニング装置52、不図示の除電装置などを有する。
【0029】
感光体ドラム46は、後述する静電潜像および単色トナー像を担持する像担持体であり、アルミニウムなどの導電性材料により形成された円筒状の基体を有する。この基体の表面(外周面)には、感光層が形成される。そして、感光体ドラム46は、中間転写領域32aにおいて、基体の表面を中間転写ベルト32の外側面に当接させるように設けられ、この状態で、不図示のドラム用駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において時計回りに回転する。なお、感光体ドラム46は、中間転写ベルト32の移動速度に合わせた速度で回転し、厳密には基体の周速度が中間転写ベルト32の移動速度よりも僅かに、たとえば0.1%~0.3%ほど、低い速度で回転する。これは、感光体ドラム46の表面に形成された後述する単色トナー像が中間転写ベルト32の外側面に転写され易くするためであり、換言すれば当該単色トナー像が感光体ドラム46の表面から中間転写ベルト32の外側面に転写されない現象、たとえば文字の中抜け現象を、防止するためである。
【0030】
帯電装置48は、感光体ドラム46の表面を所定の電位に帯電する、帯電手段である。この帯電装置48によって所定の電位に帯電された感光体ドラム46の表面は、前述の露光装置30により露光される。露光装置30は、各画像形成ステーション28,28,…の並びの下方に設けられ、それぞれの画像形成ステーション28の感光体ドラム46の表面を、その下方から露光し、つまり印刷に供される画像データに応じた態様の光を、当該感光体ドラム46の表面に照射する。これにより、印刷に供される画像データに応じた態様の静電潜像が、感光体ドラム46の表面に形成される。なお、露光装置30は、たとえば光源としての不図示のレーザダイオードや、偏向手段としてのポリゴンミラーなどを有するレーザスキャニングユニットであるが、これに代えて、光源としてのLEDが並べられたLEDアレイを有するLEDユニットが、露光装置30として採用されてもよい。
【0031】
現像装置50は、感光体ドラム46の表面に形成された静電潜像を現像する、現像手段である。すなわち、現像装置50は、不図示のトナーを撹拌することによって、当該トナーを帯電させ、この帯電されたトナーを感光体ドラム46上の静電潜像に付着させることで、当該静電潜像を単色トナー像として顕像化し、つまり現像する。
【0032】
この現像装置50による現像によって顕像化された単色トナー像は、感光体ドラム46の表面と中間転写ベルト32の外側面との当接位置において、当該感光体ドラム46の表面から中間転写ベルト32の外側面に転写され、いわゆる中間転写(1次転写)される。そのために、中間転写ベルト32を挟んで感光体ドラム46と対向するように、中間転写ローラ42が設けられる。中間転写ローラ42は、自身の表面(外周面)を中間転写ベルト32の内側面に当接させるように設けられ、当該中間転写ベルト32が回転することによる駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において反時計回りに回転する。そして、中間転写ローラ42に不図示の中間転写電源から所定の中間転写電圧が印加されることで、感光体ドラム46の表面と中間転写ベルト32の外側面との間に転写電界が形成される。この転写電界の作用によって、感光体ドラム46上の単色トナー像が中間転写ベルト32上に転写される。
【0033】
このような要領で、中間転写ベルト32上にイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックという4つの色の単色トナー像が個別に形成される。そして、これら4つの色の単色トナー像が互いに重なり合うことで、中間転写ベルト32上にカラーのトナー像が形成される。
【0034】
クリーニング装置52は、感光体ドラム46上から中間転写ベルト32上に単色トナー像が転写された後の当該感光体ドラム46上の残留トナーを除去する、クリーニング手段である。そして、不図示の除電装置は、クリーニング装置52による残留トナー除去後の感光体ドラム46上の静電気を除去する、除電手段である。この除電手段による静電気の除去後、前述の帯電装置48による帯電以降の工程が繰り返される。
【0035】
中間転写ベルト32上に形成されたカラーのトナー像は、当該中間転写ベルト32と転写ローラ44との当接部分である転写ニップ部Ntにおいて、用紙に転写される。具体的には、転写ローラ44は、中間転写ベルト32を挟んで駆動ローラ38と対向する位置において、当該駆動ローラ38との間で中間転写ベルト32を押圧するように設けられる。そして、転写ローラ44は、中間転写ベルト32が回転することによる駆動力を受けて回転し、つまり
図1において時計回りに回転する。その上で、不図示の転写バイアス電源から駆動ローラ38へトナーの帯電極性とは同極性の転写バイアス電流が印加される。これにより、中間転写ベルト32と転写ローラ44との間に、つまり転写ニップ部Ntに、転写電界が形成される。この状態で、転写ニップ部Ntを用紙が通過すると、中間転写ベルト32上のトナー像が当該用紙上に転写される。
【0036】
定着装置36は、後述する用紙搬送路54に沿って搬送される用紙の搬送方向、厳密には後述する順方向、における転写ニップ部Ntよりも下流側に設けられる。前述したように、定着装置36は、用紙上のトナー像を当該用紙に定着させ、詳しくはトナー像を加熱して溶融し、さらには押圧することにより、当該トナー像を用紙に定着(熱定着)させる。そのために、定着装置36は、加熱ローラ56および加圧ローラ58を有する。これら加熱ローラ56および加圧ローラ58は、互いの表面(外周面)を当接させた状態で設けられる。そして、加熱ローラ56は、その内部に設けられた不図示のランプヒータなどの適当な熱源により所定の温度(定着温度)に加熱される。併せて、加熱ローラ56は、不図示の定着用ローラ駆動手段としてのモータからの駆動力を受けて回転し、たとえば
図1において反時計回りに回転する。これに伴い、加圧ローラ58もまた回転し、つまり
図1において時計回りに従動回転する。そして、転写ニップ部Ntを通過した用紙が加熱ローラ56の表面と加圧ローラ58の表面との当接部分である定着ニップ部Nfを通過することで、用紙上のトナー像が当該用紙上に定着される。これをもって、画像形成部26による印刷のための一連の処理が終了する。
【0037】
さらに、画像形成部26の下方に、換言すれば画像形成装置10内の下部に、給紙手段としての給紙部60が設けられる。給紙部60は、給紙カセット62を有し、この給紙カセット62には、複数枚の用紙が積層状に収容(セット)可能である。併せて、給紙部60は、ピックアップローラ64を有する。そして、給紙部60は、給紙カセット62に収容された用紙をピックアップローラ64により1枚単位で取り出し、次に説明する用紙搬送路54へ供給する。
【0038】
用紙搬送路54は、給紙部60から転写ニップ部Ntおよび定着ニップ部Nfを介して排紙トレイ66への排紙口68へ至るように設けられる。そして、用紙搬送路54の適宜の位置には、給紙部60から供給された用紙を排紙口68へ向けて当該用紙搬送路54に沿って搬送させるための複数の搬送ローラ(厳密にはローラ対)70,70,…が設けられる。なお、給紙部60から排紙口68へ向けて用紙搬送路54に沿って搬送される用紙の搬送方向を、これ以降、「順方向」と表現することがある。また、各搬送ローラ70,70,…のうち、用紙搬送路54の順方向における転写ニップ部Ntよりも上流側であって、当該転写ニップ部Ntに最も近い位置に設けられた搬送ローラ70aは、用紙を転写ニップ部Ntへ突入させるタイミングを計るためのレジストローラ(「ペーパストップローラ」と呼ばれることもある。)である。そして、各搬送ローラ70,70,…のうち、用紙搬送路54の順方向における最下流側に設けられた、つまり排紙口68の近傍に設けられた、搬送ローラ70bは、当該排紙口68を介して排紙トレイ66へ用紙を排出するための排紙ローラである。本第1実施例における排紙トレイ66は、画像読取部12と画像形成部26との間の胴内空間に設けられるが、これに限定されない。
【0039】
加えて、画像形成装置10内には、両面印刷用の反転搬送路72が設けられる。この反転搬送路72は、一旦、定着ニップ部Nfを通過した用紙を、つまり印刷済の用紙を、取り込んで、改めて当該用紙を画像形成部26による印刷に供するための搬送路である。このため、反転搬送路72の一方端(
図1における上方側の端部)は、用紙搬送路54の定着ニップ部Nfよりも順方向における下流側の位置に結合され、言わば用紙搬送路54から分岐するように設けられる。そして、反転搬送路72の他方端(
図1における下方側の端部)は、用紙搬送路54のレジストローラ70aよりも順方向における上流側の位置に結合され、言わば用紙搬送路54に合流するように設けられる。すなわち、反転搬送路72に取り込まれた用紙は、当該反転搬送路72を経由して改めて用紙搬送路54へ送り込まれ、改めて画像形成部26による印刷に供される。その際、用紙は、その表裏が反転された状態となり、これにより、両面印刷が実現される。なお、反転搬送路72の適宜の位置にも、当該反転搬送路72に沿って用紙を搬送させるための搬送ローラ74が設けられる。また、詳しくは後述するが、両面印刷を行うために、一旦、定着ニップ部Nfを通過した用紙は、用紙搬送路54の適宜の位置において、その搬送方向が反転され、反転搬送路72へ送り込まれる。そのために、排紙ローラ70bは、排紙トレイ66へ用紙を排出するときとは、つまり用紙搬送路54に沿って順方向へ用紙を搬送させるときとは、逆方向へ回転する。
【0040】
さらに、画像形成装置10の右側面には、給紙部60を構成する手差しトレイ76が設けられる。この手差しトレイ76には、複数枚の用紙が積層状に載置(セット)可能である。給紙部60は、この手差しトレイ76が用紙の供給元として指定された場合は、当該手差しトレイ76から用紙を1枚単位で用紙搬送路54へ供給する。
【0041】
併せて、給紙部60は、不図示のオプションの給紙カセットを有する場合がある。このオプションの給紙カセットは、給紙カセット62の下方に設けられる。そして、給紙部60は、オプションの給紙カセットが用紙の供給元として指定された場合は、当該オプションの給紙カセットから用紙を1枚単位で用紙搬送路54へ供給する。なお、オプションの給紙カセットからの用紙を用紙搬送路54へ供給するためのオプション用搬送ローラ78が適宜の位置に設けられる。
【0042】
さて前述したように、両面印刷を行うために、一旦、定着ニップ部Nfを通過した用紙は、用紙搬送路54の適宜の位置において、その搬送方向が反転され、反転搬送路72へ送り込まれる。これについて、
図2を参照して、説明する。なお、
図2は、用紙搬送路54および反転搬送路72の一部分を、とりわけ排紙口68に近い部分を、模式的に示す図である。
【0043】
この
図2に示されるように、用紙搬送路54の定着ニップ部Nfよりも順方向における下流側であって、当該用紙搬送路54と反転搬送路72との分岐位置(結合位置)よりも順方向における上流側の位置に、用紙センサ80が設けられる。この用紙センサ80は、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙を検知するための、詳しくは当該用紙の先端縁(順方向における下流側端縁)を検知するための、用紙検知手段の一例であり、羽根部80aおよび検知部80bを有する。
【0044】
羽根部80aは、その支軸80cを中心として、用紙搬送路54に割り込む第1の状態と、
図2に破線80dで示される如く用紙搬送路54から外れる第2の状態と、に遷移(揺動)可能に設けられる。また、羽根部80aは、不図示のバネなどの適当な付勢手段により第1の状態を形成する方向へ付勢される。この状態で、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙の先端縁が羽根部80aに当接すると、羽根部80aは、当該用紙の先端縁により押圧されて、第2の状態に遷移する。そして、用紙の後端縁(順方向における上流側端縁)が羽根部80aを通過すると、当該羽根部80aは、第1の状態に遷移する(戻る)。なお、
図2を含む各図からは分からないが、羽根部80aは、用紙の搬送方向に直交しかつ水平な方向、言わば用紙の搬送幅方向(画像形成装置10の前後方向)においては、たとえば用紙搬送路54の略中央部に設けられる。
【0045】
この羽根部80aの状態は、支軸80cに連結された検知部80bにより検知される。すなわち、検知部80bは、支軸80cを介して羽根部80aの状態を検知することで、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙を検知し、とりわけ羽根部80aが第1の状態から第2の状態に遷移した時点を、当該用紙の先端縁が用紙センサ80による検知位置を通過した時点として検知する。なお、
図2を含む各図からは分からないが、検知部80bは、用紙の搬送幅方向において、用紙搬送路54の外側に設けられる。この検知部80bは、たとえば羽根部80aが揺動することによりオン/オフされるマイクロスイッチであるが、これに限らない。また、用紙センサ80として、光電センサなどの他方式のセンサが採用されてもよい。いずれにしても、用紙センサ80は、自身による用紙の検知状態に応じた検知信号を出力する。
【0046】
さらに、用紙搬送路54と反転搬送路72との分岐位置に、切替ゲート82が設けられる。この切替ゲート82は、その支軸82aを中心として、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙を当該用紙がそのまま用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送されるように案内する第1状態と、搬送方向が反転された用紙を用紙搬送路54から反転搬送路72へ案内する第2状態と、に遷移可能に設けられる。また、切替ゲート82は、次に説明する如く自身が用紙により押圧された状態にないときには、自重により第2状態にある。すなわち、切替ゲート82は、第2状態にあるときに、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙の先端縁が自身に当接すると、当該用紙の先端縁により押圧されて、
図2に破線82bで示される如く第1状態に遷移する。そして、用紙の後端縁が切替ゲート82の先端を通過すると、当該切替ゲート82は、自重により第2状態に遷移する(戻る)。
【0047】
加えて、用紙搬送路54の排紙口68の近傍に、換言すれば排紙ローラ70bの近傍に、排紙センサ84が設けられる。この排紙センサ84は、排紙口68から用紙が排出されたことを検知するための排紙検知手段の一例であり、羽根部84aおよび検知部84bを有する。
【0048】
羽根部84aは、その支軸84cを中心として、用紙搬送路54に割り込む第1の状態と、
図2に破線84dで示される如く用紙搬送路54から外れる第2の状態と、に遷移可能に設けられる。また、羽根部84aは、次に説明する如く自身が用紙により押圧された状態にないときには、自重により第1の状態にある。すなわち、羽根部84aは、第1の状態にあるときに、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙の先端縁が自身に当接すると、当該用紙の先端縁により押圧されて、
図2に破線84dで示される如く第2状態に遷移する。そして、用紙の後端縁が羽根部84aを通過すると、当該羽根部84aは、自重により第1の状態に遷移する(戻る)。なお、
図2を含む各図からは分からないが、羽根部84は、前述の用紙センサ80の羽根部80aと同様、用紙の搬送幅方向において、たとえば用紙搬送路54の略中央部に設けられる。
【0049】
この羽根部84aの状態は、支軸84cに連結された検知部84bにより検知される。検知部84bは、支軸84cを介して羽根部80aの状態を検知することで、詳しくは用紙が用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送されているときに第1の状態から第2の状態に遷移した羽根部84aが当該第2の状態から第1の状態に遷移したことをもって、排紙口68から用紙が排出されたことを検知する。なお、
図2を含む各図からは分からないが、検知部84bは、用紙の搬送幅方向において、用紙搬送路54の外側に設けられる。 この検知部84bは、たとえば羽根部84aが揺動することによりオン/オフされるマイクロスイッチであるが、これに限らない。また、排紙センサ84として、光電センサなどの他方式のセンサが採用されてもよい。いずれにしても、排紙センサ84は、自身による用紙の検知状態に応じた検知信号を出力する。
【0050】
さらに加えて、反転搬送路72の適宜の位置に、反転用紙センサ86が設けられる。この反転用紙センサ86は、反転搬送路72に用紙が取り込まれたことを検知するための、詳しくは前述の如く逆方向へ回転された排紙ローラ70bの回転方向を元に戻すタイミングを計るための、反転用紙検知手段の一例であり、用紙センサ80と同様の羽根部86aおよび検知部86bを有する。
【0051】
すなわち、羽根部86aは、その支軸86cを中心として、反転搬送路72に割り込む第1の状態と、
図2に破線86dで示される如く用紙搬送路54から外れる第2の状態と、に遷移可能に設けられる。また、羽根部86aは、不図示のバネなどの適当な付勢手段により第1の状態を形成する方向へ付勢される。この状態で、反転搬送路72に沿って搬送される用紙の先端縁(反転搬送路72における用紙の搬送方向の下流側端縁)が羽根部86aに当接すると、羽根部86aは、当該用紙の先端縁により押圧されて、第2の状態に遷移する。そして、反転搬送路72に沿って搬送される用紙の後端縁(反転搬送路72における用紙の搬送方向の上流側端縁)が羽根部86aを通過すると、当該羽根部86aは、第1の状態に遷移する(戻る)。なお、
図2を含む各図からは分からないが、羽根部86aは、用紙の搬送幅方向においては、たとえば用紙搬送路54の略中央部に設けられる。
【0052】
この羽根部86aの状態は、支軸86cに連結された検知部86bにより検知される。検知部86bは、支軸86cを介して羽根部86aの状態を検知することで、詳しくは羽根部86aが第1の状態から第2の状態に遷移したことをもって、反転搬送路72に用紙が取り込まれたことを検知する。なお、
図2を含む各図からは分からないが、検知部86bは、用紙の搬送幅方向において、用紙搬送路54の外側に設けられる。 この検知部86bは、たとえば羽根部86aが揺動することによりオン/オフされるマイクロスイッチであるが、これに限らない。また、反転用紙センサ86として、光電センサなどの他方式のセンサが採用されてもよい。いずれにしても、反転用紙センサ86もまた、自身による用紙の検知状態に応じた検知信号を出力する。
【0053】
この
図2に示される構成において、両面印刷が行われる場合、まず、用紙の表面(オモテ面)への印刷が行われ、この表面(オモテ面)への印刷が行われた後の用紙は、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送され、つまり排紙口68へ向けて搬送される。そして、用紙の後端縁が所定の反転位置Ptに到達した時点で、当該用紙の搬送方向が反転される。なお、反転位置Ptは、用紙搬送路54の順方向における切替ゲート82の先端よりも下流側であって、当該用紙搬送路54の順方向における排紙センサ84(羽根部84a)の設置位置よりも上流側の位置に、設定される。また、反転位置Ptは、用紙センサ80により用紙の先端縁が検知された時点を基点とする経過時間Tpによって規定される。この経過時間Tp、言わば用紙の搬送方向を反転させる反転タイミングTpは、次の式1により定められる。
【0054】
《式1》
Tp=(La+Lz+α)/V
【0055】
この式1において、Laは、用紙の搬送方向における当該用紙の寸法である。そして、Lzは、用紙搬送路54の用紙センサ80による検知位置から切替ゲート82の先端までの距離である。また、αは、所定の余裕値(マージン)であり、たとえば数mm(3mm~5mm程度)である。さらに、Vは、用紙搬送路54に沿って順方向へ搬送される用紙の搬送速度である。
【0056】
すなわち、用紙センサ80により用紙の先端縁が検知された時点から反転タイミングTpが経過した時点で、用紙の搬送方向が反転され、つまり排紙ローラ70bの回転が停止された後、当該排紙ローラ70bが逆方向へ回転される。そして、搬送方向が反転された用紙は、反転搬送路72へ送り込まれ、さらに、当該反転搬送路72を経由して改めて用紙搬送路54へ送り込まれ、改めて画像形成部26による印刷に供される。また、反転搬送路72へ送り込まれた用紙の先端縁が反転用紙センサ86により検知されると、排紙ローラ70bの回転方向が用紙を排紙トレイ66へ排出する方向へ戻される。
【0057】
このようにして改めて画像形成部26による印刷に供された用紙は、その裏面(ウラ面)への印刷が行われた後、用紙搬送路54に沿って順方向へ反転され、排紙ローラ70bにより排紙トレイ66へ排出される。これにより、1枚の用紙についての両面印刷が終了する。そして、2枚目以降の用紙に両面印刷が行われる場合には、同様の要領で当該両面印刷が行われる。
【0058】
ところで、本第1実施例に係る画像形成装置10によれば、用紙として
図3に示されるようなタブ紙100が採用される場合がある。このタブ紙は、「インデックス紙」とも呼ばれ、その本体部102の長手方向に沿う一側縁から突出した概略台形状のタブ部104を有する。このタブ紙100が用紙として採用される場合、当該タブ紙100は、給紙部60(給紙カセット62、手差しトレイ76またはオプションの給紙カセット)から用紙搬送路54へ供給される際に、タブ部104を順方向における上流側へ向けた状態で、当該用紙搬送路54へ供給され、つまりはそうなるように給紙部60にセットされる。
【0059】
また、本第1実施例に係る画像形成装置10によれば、タブ紙100についても、両面印刷を行うことができる。この場合、タブ紙100は、その表面(オモテ面)への印刷が行われた後、前述と同じ要領によりその搬送方向が反転され、反転搬送路72へ送り込まれる。そして、反転搬送路72へ送り込まれたタブ紙100は、当該反転搬送路72を経由して改めて用紙搬送路54へ送り込まれ、改めて画像形成部26による印刷に供される。このとき、タブ紙100は、その搬送方向における下流側へタブ部104を向けた状態で搬送される。
【0060】
ここでたとえば、タブ紙100についても、タブ部104を有しない言わば一般(普通)の用紙と同じ反転タイミングTp(反転位置Pt)で、その搬送方向が反転される、とする。すると、
図4に示されるように、表面(オモテ面)への印刷が行われた後、順方向へ搬送されるタブ紙100の全体が、とりわけタブ部104が、切替ゲート82の先端を通過する前に、当該タブ紙100の搬送方向が反転され、その結果、当該タブ紙100と切替ゲート82とが干渉し、つまり搬送不良(紙づまり)が発生する。これを回避するために、タブ紙100が用紙として採用される場合には、明示的にタブ部104の突出寸法Lbを加味した当該タブ紙100用の反転タイミングTp’(反転位置Pt’)が設定される。このタブ紙100用の反転タイミングTp’は、次の式2により定められる。
【0061】
《式2》
Tp’=(La’+Lb+Lz+α)/V
【0062】
この式2において、La’は、タブ紙100の本体部102の搬送方向における寸法であり、言わば本体部寸法である。この本体部寸法La’は、タブ紙100に対応するサイズの一般の用紙の搬送方向における寸法Laと略同等(La’≒La)である。そして、Lbは、タブ部104の突出寸法であり、つまり当該タブ部104の搬送方向における寸法である。
【0063】
この式2から分かるように、当該式2に基づくタブ紙100用の反転タイミングTp’は、前述の式1に基づく一般の用紙用の反転タイミングTpよりも、タブ部104の突出寸法Lbに相当する分だけ遅れたタイミングとなる。これにより、
図5に示されるように、タブ紙100用の反転位置Pt’は、一般の用紙用の反転位置Ptよりも、タブ部104の突出寸法Lbに相当する分だけ用紙搬送路54の順方向における下流側へ、つまり排紙口68側へ、移動する。その結果、表面(オモテ面)への印刷が行われた後、順方向へ搬送されるタブ紙100の後端縁が、厳密には当該タブ紙100の本体部102の後端縁が、タブ紙100用の反転位置Pt’に到達した時点で、当該タブ紙100の搬送方向が反転される。すなわち、
図6に示されるように、順方向へ搬送されるタブ紙100の全体が切替ゲート82の先端を通過した後に、当該タブ紙100の搬送方向が反転されるので、前述のようなタブ紙100と切替ゲート82とが干渉することによる搬送不良の発生が防止される。
【0064】
さらに、本第1実施例によれば、タブ部104の突出寸法Lbに応じて、タブ紙100用の反転タイミングTp’(反転位置Pt’)を設定することができる。すなわち、タブ紙100によっては、タブ部104の突出寸法Lbが異なる場合がある。たとえば、タブ部104の突出寸法Lbが標準的な寸法よりも大きい場合には、前述のような搬送不良の発生を防止するために、当該タブ部104の突出寸法Lbに応じて、タブ紙100用の反転タイミングTp’をより遅らせることが適当であり、つまり反転位置Pt’をより排紙口68側へ移動させることが適当である。
【0065】
一方、タブ部104の突出寸法Lbが小さい場合に、当該タブ部104の突出寸法Lbが大きい場合に適した反転タイミングTp’(反転位置Pt’)が設定されると、タブ紙100が必要以上に長い時間(距離)にわたって搬送されることになる。その結果、単位時間当たりに両面印刷を行うことのできるタブ紙100の枚数が減少し、つまり画像形成装置10のパフォーマンス(処理能力)が低下する。したがって、タブ部104の突出寸法Lbが小さい場合には、画像形成装置10のパフォーマンスの低下を抑制するために、当該タブ部104の突出寸法Lbに応じて、反転タイミングTp’(反転位置Pt’)を適切に設定することが肝要である。
【0066】
このように、本第1実施例によれば、タブ部104の突出寸法Lbに応じて、タブ紙100用の反転タイミングTp’(反転位置Pt’)を設定することができるので、当該タブ紙100の搬送方向を反転させる際の搬送不良を防止しつつ、画像形成装置10のパフォーマンスの低下を抑制することができ、換言すれば高いパフォーマンスを維持することができる。
【0067】
図7は、画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。この
図7に示されるように、画像形成装置10は、制御部200を有する。そして、制御部200に、バス202を介して、画像読取部12、自動原稿送り装置18、画像形成部26および給紙部60が接続される。併せて、制御部200には、バス202を介して、操作ユニット204、補助記憶部206、通信部208などが接続される。なお、画像読取部12、自動原稿送り装置18、画像形成部26および給紙部60については、前述した通りある。また、画像形成部26は、用紙搬送系260および用紙検知系262を有する。用紙搬送系260は、用紙搬送路54または反転搬送路72に沿って用紙を搬送させるための適宜の要素であり、これには、当該用紙搬送路54に設けられる各搬送ローラ70,70,…、反転搬送路72に設けられる各搬送ローラ74,74,…などが含まれる。そして、用紙検知系262は、用紙搬送路54または反転搬送路72に沿って搬送される用紙を検知するための適宜の要素であり、これには、用紙センサ80、排紙センサ84、反転用紙センサ86などが含まれる。
【0068】
制御部200は、画像形成装置10全体の制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部200は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU200a、を有する。併せて、制御部200は、CPU200aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部200bを有する。主記憶部200bは、たとえば不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU200aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。そして、RAMは、CPU200aが制御プログラムに従う処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0069】
操作ユニット204は、タッチパネル204a付きのディスプレイ204bを有する。タッチパネル204a付きのディスプレイ204bは、矩形状の表示面を有するディスプレイ204bと、このディスプレイ204bの表示面上に重なるように設けられたシート状のタッチパネル204aとが、一体的に組み合わされた構成品である。このうちのタッチパネル204aは、画像形成装置10を使用する不図示のユーザによるタッチ操作を受付可能な操作受付手段の一例であり、たとえば投影型の静電容量方式のパネルである。そして、ディスプレイ204bは、後述するタブ長さ設定画面300などの種々の画面(情報)を表示する表示手段の一例であり、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)である。なお、タッチパネル204aは、投影型の静電容量方式に限らず、表面型の静電容量方式や電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、ディスプレイ204bは、液晶ディスプレイに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。さらに、操作ユニット204は、タッチパネル204a付きのディスプレイ204bの他に、不図示のLEDなどの適宜の発光手段、および、不図示の押しボタンなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。
【0070】
補助記憶部206は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部206には、前述の読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部206は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部206は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0071】
通信部208は、通信手段の一例である。すなわち、通信部208は、不図示のLAN回線を介しての双方向の通信処理を担う。なお、通信部208は、LAN回線と有線により接続されてもよいし、無線により接続されてもよい。また、通信部208は、不図示の公衆交換電話網を介しての双方向の通信処理をも担う。
【0072】
前述したように、本第1実施例によれば、タブ部104の突出寸法Lbに応じて、タブ紙100用の反転タイミングTp’(反転位置Pt’)を設定することができる。その設定要領について、コピー機能の場合を例に挙げて説明する。
【0073】
この場合、まず、ユーザによりコピー機能を選択するための操作が行われる。それに際して、不図示の機能選択画面がディスプレイ204bに表示され、この機能選択画面において、コピー機能を選択するための操作が行われる。すると、機能選択画面に代えて、不図示のコピー機能用の操作画面が、ディスプレイ204bに表示される。そして、このコピー機能用の操作画面において、両面印刷を指示するための操作が行われるとともに、用紙のサイズを選択するための操作が行われ、さらに、用紙の種類としてタブ紙を選択するための操作が行われる。すると、コピー機能用の操作画面に代えて、
図8に示されるようなタブ長さ設定画面300が、ディスプレイ204bに表示される。
【0074】
このタブ長さ設定画面300は、タブ部104の突出寸法Lbの設定方法を選択するための画面であり、その上部には、当該タブ長さ設定画面300のタイトルを表す適当な文字列302が配される。そして、文字列302の下方に、2つの操作子としての2つのボタン304および306が縦並びに配される。これら2つのボタン304および306のうちの上側のボタン304は、タブ部104の突出寸法Lbを自動的に設定することを指示するための「自動設定」ボタンである。一方、下側のボタン306は、タブ部104の突出寸法Lbを手動により任意に設定することを指示するための「手動設定」ボタンである。さらに、タブ長さ設定画面300における右下隅近傍の位置に、「もどる」ボタン308が配される。この「もどる」ボタン308は、ディスプレイ204bの表示状態をタブ長さ設定画面300が表示される前の状態に戻すことを指示するための操作子である。
【0075】
このタブ長さ設定画面300において、「自動設定」ボタン304が操作(タッチ)されると、タブ部104の突出寸法Lbとして標準的な寸法であるタブ標準突出寸法Lbsが設定され、たとえば12.7mmという寸法が設定される。その上で、タブ長さ設定画面300に代えて、前述のコピー機能用の操作画面が、改めてディスプレイ204bに表示される。また、「手動設定」ボタン306が操作されると、タブ長さ設定画面300に代えて、
図9に示されるようなタブ長さ手動設定画面400が、ディスプレイ204bに表示される。さらに、「もどる」ボタン308が操作されると、タブ長さ設定画面300に代えて、コピー機能用の操作画面が、改めてディスプレイ204bに表示される。
【0076】
図9に示されるタブ長さ手動設定画面400は、タブ部104の突出寸法Lbを手動により設定するための画面であり、その上部には、タブ部104の突出寸法Lbとして希望の値を入力することをユーザへ促す内容の適当な文字列402が配される。そして、文字列402の下方の左寄りの位置に、タブ紙100の外観を模した見本
図404が配される。さらに、見本
図404の右横方に、タブ部104の突出寸法Lbとして希望の値を入力するための操作子であるテンキー406が配される。また、テンキー406の近傍、たとえば上方に、当該テンキー406の操作により入力された値を表示するための表示子である表示部408が配される。併せて、テンキー406の近傍、たとえば右横方に、当該テンキー406の操作により入力された値をクリアするための操作子であるクリアキー410が配される。
【0077】
加えて、テンキー406の下方に、「OK」ボタン412および「キャンセル」ボタン414という2つの操作子が横並びに配される。このうちの「OK」ボタン412は、テンキー406の操作により入力された値をタブ部104の突出寸法Lbとして設定することを指示するための、換言すればタブ長さ手動設定画面400による設定内容を確定することを指示するための、操作子である。一方、「キャンセル」ボタン414は、タブ長さ手動設定画面400による設定操作をキャンセルして、ディスプレイ204bの表示状態を当該タブ長さ手動設定画面400が表示される前の状態に戻すことを指示するための操作子である。
【0078】
このタブ長さ手動設定画面400において、テンキー406の操作によりタブ部104の突出寸法Lbとして希望の値が入力されると、その入力された値が表示部408に表示される。また、クリアキー410が操作されると、テンキー406の操作により入力された値がクリアされ、これにより、表示部408に表示される値が『0』という初期値に戻される。そして、「OK」ボタン412が操作されると、テンキー406の操作により入力された値がタブ部104の突出寸法Lbとして設定され、換言すればタブ長さ手動設定画面400による設定内容が確定される。その上で、タブ長さ手動設定画面400に代えて、前述のコピー機能用の操作画面が、改めてディスプレイ204bに表示される。
【0079】
一方、「キャンセル」ボタン414が操作されると、タブ長さ手動設定画面400による設定操作がキャンセルされる。そして、タブ長さ手動設定画面400に代えて、前述(
図8)のタブ長さ設定画面300が、改めてディスプレイ204bに表示される。
【0080】
なお、タブ部104の突出寸法Lbとして設定することができる値は、たとえば0mm~20.5mmの範囲内である。この範囲は、とりわけ20.5mmという上限値は、排紙センサ84との位置関係により、つまり当該排紙センサ84と干渉しないように、定められた値である。また、この範囲内であれば、たとえば0.5mm単位で任意の値を設定することができる。
図9は、テンキー406の操作によりタブ部104の突出寸法Lbとして「18mm」という値が入力された例を示す。
【0081】
このタブ長さ手動設定画面400によりタブ部104の突出寸法Lbが設定されると、設定された突出寸法Lbに対応する反転タイミングTp’が導出される。これに際して、
図10に示される反転タイミングテーブル500が参照される。すなわち、反転タイミングテーブル500には、タブ部104の突出寸法Lbとして設定可能な種々の値(つまり0mm~20.5mmという範囲内であり、かつ、0.5mm単位の値)と、それらの値に対応する反転タイミングTp’と、の関係が予め記憶されている。この反転タイミングテーブル500が参照されることで、タブ長さ手動設定画面400により設定されたタブ部104の突出寸法Lbに対応する反転タイミングTp’が導出される。なお、反転タイミングテーブル500は、たとえば前述の制御プログラムに組み込まれるが、当該制御プログラムとは別に設けられてもよい。また、ここで言う0mm~20.5mmという範囲、および、0.5mm単位という値は、一例であり、これに限らない。さらに、反転タイミングテーブル500は、A4サイズやB5サイズなどのようにサイズが異なるそれぞれのタブ紙100ごとに設けられ、つまり本体部寸法La’が異なるそれぞれのタブ紙100ごとに設けられる。
【0082】
このようにしてタブ長さ手動設定画面400により設定されたタブ部104の突出寸法Lbに対応する反転タイミングTp’が導出されると、その導出された反転タイミングTp’が設定され、詳しくは
図11に示される反転タイミング記憶領域600に記憶される。そして、タブ紙100に対して両面印刷が行われる際に、この反転タイミング記憶領域600に記憶された反転タイミングTp’が適用される。なお、反転タイミング記憶領域600は、たとえば主記憶部200bのRAMに設けられるが、補助記憶部206に設けられてもよい。また、
図11においては、反転タイミングTp’として、或る値が設定(記憶)されていることを、「XXXXX」という文字列で表現している。
【0083】
加えて、
図12に示されるようなタブ標準突出寸法記憶領域700が設けられる。このタブ標準突出寸法記憶領域700には、前述のタブ標準突出寸法Lbsが予め記憶されている。すなわち前述したように、タブ長さ設定画面300の「自動設定」ボタン304が操作されると、タブ部104の突出寸法Lbとしてタブ標準突出寸法Lbsが設定されるが、その具体的な値は、タブ標準突出寸法記憶領域700に記憶されている。そして、前述(
図10)の反転タイミングテーブル500が参照されることで、タブ標準突出寸法Lbsに対応する反転タイミングTp’が導出され、導出された反転タイミングTp’が反転タイミング記憶領域600に記憶され、つまり設定される。なお、タブ標準突出寸法記憶領域700もまた、たとえば主記憶部200bのRAMに設けられるが、補助記憶部206に設けられてもよい。そして、
図12は、タブ標準突出寸法Lbsとして、「12.7mm」という値が記憶されている例を示す。このタブ標準突出寸法Lbsは、たとえば工場出荷時にプリセットされ、基本的には変更不可能であるが、画像形成装置10を管理する管理者やサービスマンなどの特定の権限者により変更可能とされてもよい。
【0084】
このような要領により反転タイミングTp’が設定された上で、コピー機能によるコピーの開始を、とりわけ両面印刷の開始を、指示するユーザ操作が成されると、CPU200aは、前述の制御プログラムに従って、用紙搬送タスクを実行する。この用紙搬送制御タスクの流れを、
図13に示す。なお、用紙搬送制御タスクは、用紙を搬送させることのみを制御するためのタスクであり、画像形成部26による画像読取処理、自動原稿送り装置18による自動原稿送り、画像形成部26による印刷などは、別のタスクにより適宜に制御される。また、ここで言う用紙とは、タブ紙100である。
【0085】
この用紙搬送制御タスクによれば、CPU200aは、まず、ステップS1において、用紙搬送系260の駆動を開始させ、詳しくは用紙搬送路54に沿って順方向へ用紙(タブ紙100)を搬送させるよう当該用紙搬送路54の各ローラ70,70,…の駆動を開始させる。このとき、反転搬送路72の各ローラ74,74,…についても、追って、用紙搬送路54から取り込まれる用紙を当該反転搬送路72に沿って搬送させるよう駆動を開始させる。
【0086】
ステップS3において、CPU200aは、給紙部60から用紙搬送路54へ用紙を1枚供給させる。ここで、そして、CPU200aは、処理をステップS5へ進める。
【0087】
ステップS5において、CPU200aは、用紙センサ80により用紙の先端縁が検知されるのを待つ(S5:NO)。そして、用紙センサ80により用紙の先端縁が検知されると(S5:YES)、CPU200aは、処理をステップS7へ進める。
【0088】
ステップS7において、CPU200aは、反転タイミングTp’を計測するための不図示のタイマをリセットした後、スタートさせる。なお、ここで言う反転タイミングTp’は、前述(
図11)の反転タイミング記憶領域600に記憶された値(時間)に基づく。また、タイマは、CPU200aにより構成されるソフトウェアタイマであってもよいし、RTC(Real-Time Clock)などのハードウェア要素により構成されるハードウェアタイマであってもよい。このステップS7の実行後、CPU200aは、処理をステップS9へ進める。
【0089】
ステップS9において、CPU200aは、反転タイミングTp’を計測するためのタイマによる計測時間が当該反転タイミングTp’に到達するのを、つまり反転タイミングTp’が到来するのを、待つ(S9:NO)。そして、反転タイミングTp’が到来すると(S9:YES)、CPU200aは、処理をステップS11へ進める。
【0090】
ステップS11において、CPU200aは、用紙の搬送方向を反転させるよう、つまり当該用紙の搬送方向を切り替えるよう、用紙搬送系260を制御し、詳しくは排紙ローラ70bを逆方向へ回転させる。そして、CPU200aは、処理をステップS13へ進める。
【0091】
ステップS13において、CPU200aは、反転用紙センサ86により用紙の先端縁が検知されるのを待つ(S13:NO)。そして、反転用紙センサ86により用紙の先端縁が検知されると(S13:YES)、CPU200aは、処理をステップS15へ進める。
【0092】
ステップS15において、CPU200aは、用紙の搬送方向を切り替えるよう、つまり当該用紙を順方向へ搬送させるよう、用紙搬送系260を制御し、詳しくは排紙ローラ70bを改めて順方向へ従う方向へ回転させる。そして、CPU200aは、処理をステップS17へ進める。
【0093】
ステップS17において、CPU200aは、全ての用紙についての印刷が終了したかどうかを、換言すれば次の用紙に対して両面印刷を行う必要があるかどうかを、判定する。ここで、全ての用紙についての印刷が終了していない場合、つまり次の用紙に対して両面印刷を行う必要がある場合(S17:NO)、CPU200aは、処理をステップS3へ戻す。一方、全ての用紙についての印刷が終了した場合、つまり次の用紙に対して両面印刷を行う必要がない場合は(S17:YES)、CPU200aは、処理をステップS19へ戻す。
【0094】
ステップS19において、CPU200aは、排紙トレイ66への用紙(印刷物)の排出が終了するのを待つ(S19:NO).排紙トレイ66への用紙の排出が終了したかどうかは、排紙センサ84による検知結果に基づいて判定される。そして、排紙トレイ66への用紙の排出が終了すると(S19:YES)、CPU200aは、処理をステップS21へ進める。
【0095】
ステップS21において、CPU200aは、用紙搬送系260の駆動を停止させる。これをもって、CPU200aは、一連の用紙搬送制御タスクを終了する。
【0096】
以上のように、本第1実施例によれば、タブ部104の突出寸法Lbに応じて、タブ紙100用の反転タイミングTp’(反転位置Pt’)を設定することができるので、当該タブ紙100の搬送方向を反転させる際の搬送不良を防止しつつ、画像形成装置10のパフォーマンスの低下を抑制することができ、換言すれば高いパフォーマンスを維持することができる。
【0097】
特に、高いパフォーマンスを維持することができる点について、
図14を参照して説明する。この
図14は、A4サイズの一般の用紙と、タブ部104の突出寸法Lbが12.7mmであるA4サイズのタブ紙100と、タブ部104の突出寸法Lbが20.5mmであるA4サイズのタブ紙100と、のそれぞれについての両面印刷時のCPM(1分間当たりのコピー枚数)を示す。この
図14に示されるように、A4サイズの一般の用紙のCPMは、42.64であり、これに対して、タブ部104の突出寸法Lbが12.7mmであるA4サイズのタブ紙100のCPMは、40.96である。この40.96というCPMは、A4サイズの一般の用紙のCPMよりも1.68小さい値であるが、これは、本第1実施例によれば、CPMの減少をその程度に抑制し得ることを意味する。また、タブ部104の突出寸法Lbが20.5mmであるA4サイズのタブ紙100のCPMは、40.00であり、この40.00というCPMは、A4サイズの一般の用紙のCPMよりも2.64小さい値であるが、これもまた、本第1実施例によれば、CPMの減少をその程度に抑制し得ることを意味する。このように、本第1実施例によれば、高いパフォーマンスを維持することができる。
【0098】
なお、本第1実施例おける用紙搬送路54は、本開示に係る第1搬送路の一例である。そして、本第1実施例における順方向は、本開示に係る所定方向の一例である。さらに、本第1実施例における反転搬送路72は、本開示に係る第2搬送路の一例である。また、本第1実施例においては、反転タイミング記憶領域600に反転タイミングTp’が記憶されることで、当該反転タイミングTp’が設定されるが、そのための処理は、CPU200aが担う。この反転タイミング記憶領域600に反転タイミングTp’を記憶するための処理を担うCPU200aは、本開示に係る反転位置設定手段の一例である。さらに、本第1実施例におけるタブ長さ手動設定画面400へのユーザによる操作は、本開示に係る突出寸法入力操作の一例である。
【0099】
[第2実施例]
次に、本開示の第2実施例について、説明する。
【0100】
前述の第1実施例においては、タブ紙100に対して両面印刷が行われる場合について、説明したが、本第2実施例においては、不図示のパンチユニットやフィニッシャなどの後処理装置へ印刷済のタブ紙100を送り込む構成に、本開示が適用される。
【0101】
このような本第2実施例においては、
図15に示されるように、反転搬送路72から分岐されるように当該反転搬送路72に結合された第3搬送路90が設けられる。この第3搬送路90は、後処理装置へ接続される。併せて、反転搬送路72と第3搬送路90との分岐位置に、第2の切替ゲート92が設けられる。この第2の切替ゲート92は、その支軸92aを中心として、用紙搬送路54から反転搬送路72へ送り込まれた用紙を第3搬送路90へ案内する第1の状態と、
図15に破線92bで示される如く当該用紙搬送路54から反転搬送路72へ送り込まれた用紙をそのまま当該反転搬送路72に沿って搬送させるように案内する第2の状態と、に遷移可能に設けられる。そして、この第2の切替ゲート92は、不図示のソレノイドなどの適当な駆動手段からの駆動力を受けて、第1の状態と第2の状態とに選択的に切り替わる。
【0102】
すなわち、印刷済のタブ紙100が後処理装置へ送り込まれる場合には、第2の切替ゲート92は、第1の状態となり、つまりはそうなるように制御される。なお、両面印刷が行われる場合には、第2の切替ゲート92は、第2の状態となり、つまりはそうなるように制御される。
【0103】
このような本第2実施例によっても、第1実施例と同様、タブ紙100の搬送方向を反転させる際の搬送不良を防止しつつ、画像形成装置10のパフォーマンスの低下を抑制することができ、換言すれば高いパフォーマンスを維持することができる。
【0104】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本開示を適用することができる。
【0105】
たとえば、タブ長さ設定画面300については、
図8に示した構成(デザイン)に限らず、また、タブ長さ手動設定画面400についても、
図9に示した構成に限らず、本開示に即した構成とされればよい。一例として、これらが1つの画面に纏められた構成とされてもよい。
【0106】
そして、それぞれのタブ突出寸法Lbに対応する反転タイミングTp’について、
図10に示される反転タイミングテーブル500が参照されることで導出されることとしたが、これに限らない。たとえば、タブ突出寸法Lbを変数とする次の式3に基づいて、反転タイミングTp’が導出(算出)されてもよい。
【0107】
《式3》
Tp’=f(Lb)
【0108】
さらに、反転タイミングTp’については、用紙センサ80によりタブ紙100の先端縁が検知された時点を基点として規定されたが、これに代えて、当該用紙センサ80によりタブ紙100の後端縁が検知された時点を基点として規定されてもよい。この場合、タブ紙100は、給紙部60(給紙カセット62、手差しトレイ76またはオプションの給紙カセット)から用紙搬送路54へ供給される際に、タブ部104を順方向における下流側へ向けた状態で、当該用紙搬送路54へ供給され、つまりはそうなるように給紙部60にセットされる。すなわち、用紙センサ80によりタブ紙100のタブ部104が設けられた一側縁とは反対側の側縁(端縁)が、つまりタブ部104が設けられていない側の側縁が、検知されるようにすることが、肝要である。これと同様に、一般の用紙用の反転タイミングTpについても、用紙センサ80により当該用紙の後端縁が検知された時点を基点として規定されてもよい。
【0109】
またたとえば、用紙センサ80による検知結果に基づいて、換言すれば当該用紙センサ80の羽根部80aの状態に基づいて、用紙の搬送方向における当該用紙の寸法Laが算出されてもよい。すなわち前述したように、用紙搬送路54に沿って順方向へ用紙が搬送される際に、羽根部80aが第1の状態から第2の状態に遷移した時点が、用紙センサ80による検知位置を当該用紙の先端縁が通過した時点として検知される。そして、用紙の後端縁が羽根部80aから離れると、当該羽根部80aが第2の状態から第1の状態に遷移する(戻る)ので、当該羽根部80aが第2の状態から第1の状態に遷移した時点を、用紙の後端縁が用紙センサ80による検知位置を通過した時点として検知することができる。したがって、用紙の先端縁が用紙センサ80による検知位置を通過した時点から、つまり羽根部80aが第1の状態から第2の状態に遷移した時点から、当該用紙の後端縁が用紙センサ80による検知位置を通過した時点までの、つまり羽根部80aが第2の状態から第1の状態に遷移した時点までの、時間と、当該用紙の搬送速度Vと、に基づいて、当該用紙の搬送方向における寸法Laを算出することができる。そして、このようにして言わば実測された用紙の寸法Laが、前述の式1に適用されることで、反転タイミングTpが設定されてもよい。この構成によれば、ユーザにより設定された用紙のサイズと実際の用紙のサイズとが異なる場合であっても、当該用紙が切替ゲート82と干渉することによる搬送不良の発生が防止される。
【0110】
これと同様に、用紙としてタブ紙100が採用される場合にも、用紙センサ80による検知結果に基づいて、換言すれば当該用紙センサ80の羽根部80aの状態に基づいて、タブ紙100の本体部寸法La’または当該本体部寸法La’とタブ部104の突出寸法Lbとの総和であるタブ紙100全体の搬送方向寸法(=La’+Lb)が算出されてもよい。厳密にはたとえば、用紙センサ80の羽根部80aがタブ紙100のタブ部104と接触しない場合は、つまり当該羽根部80aとタブ部104とがそのような位置関係にある場合は、羽根部80aが第1の状態から第2の状態に遷移した時点から、当該羽根部80aが第2の状態から第1の状態に遷移した時点までの、時間と、タブ紙100の搬送速度Vと、に基づいて、当該タブ紙100の本体部寸法La’を算出することができる。そして、このようにして言わば実測されたタブ紙100の本体部寸法La’が前述の式2に適用されることで、反転タイミングTp’が設定されてもよい。
【0111】
一方、用紙センサ80の羽根部80aがタブ紙100のタブ部104と接触する場合は、つまり当該羽根部80aとタブ部104とがそのような位置関係にある場合は、羽根部80aが第1の状態から第2の状態に遷移した時点から、当該羽根部80aが第2の状態から第1の状態に遷移した時点までの、時間と、タブ紙100の搬送速度Vと、に基づいて、当該タブ紙100全体の搬送方向寸法(=La’+Lb)を算出することができる。そして、このようにして実測されたタブ紙100全体の搬送方向寸法(=La’+Lb)が前述の式2に適用されることで、反転タイミングTp’が設定されてもよい。
【0112】
加えて、切替ゲート82については、その自重を利用して、第1状態と第2状態とに選択的に切り替わる構成とされたが、これに代えて、ソレノイドなどの適当な駆動手段により選択的に切り替わる構成とされてもよい。
【0113】
また、用紙としてタブ紙100が採用される場合には、タブ部104にも印刷することができるように、構成されてもよい。この場合、タブ部104の突出寸法Lbに加えて、
図16に示されるように、当該タブ部104の搬送方向に直交する方向(
図16における上下方向)における寸法である幅寸法Lcと、同方向における本体部102の一方端縁(たとえば
図16における下側の端縁)からタブ部104までの寸法であるオフセット寸法Ldと、が適宜に設定可能とされることが、肝要である。なお、
図3に示される構成のタブ紙100の場合、オフセット寸法Ldは、0mmである。
【0114】
さらに、複数枚のタブ紙100のタブ部104に対して連続印刷が行われる場合には、
図17に示されるように、直前のタブ紙100との間のオフセット寸法Ldの差分値ΔLd、あるいは、直前のタブ紙100との間の間隔Leが適宜に設定可能とされることが、肝要である。
【0115】
加えて、本開示は、タブ紙100に限らず、たとえば
図18に示されるような台形状の不定形紙800が、用紙として採用される場合にも、適用することができる。この場合、タブ紙100のタブ部104の突出寸法Lbに代えて、不定形紙800の本体部802から突出した突出部804の突出寸法Lb’が、設定される。そして、この突出部804にも印刷することができるように、構成されてもよい。
【0116】
また、前述の各実施例においては、コピー機能を例に挙げて説明したが、プリンタ機能およびファクス機能(印刷を伴うファクス受信機能)においても、同様の作用および効果を奏する。
【0117】
さらにまた、各実施例においては、カラーの画像形成装置10を例に挙げたが、モノクロの画像形成装置にも、本開示を適用することができる。
【0118】
さらに加えて、各実施例における画像形成装置10は、複合機であるが、プリンタ専用機やコピー専用機、ファクス専用機などの当該複合機以外の画像形成装置にも、本開示を適用することができる。
【0119】
そして、本開示は、画像形成装置という装置の形態に限らず、画像形成装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【符号の説明】
【0120】
10 … 画像形成装置
26 … 画像形成部
54 … 用紙搬送路
72 … 反転搬送路
80 … 用紙センサ
82 … 切替ゲート
100 … タブ紙
102 … 本体部
104 … タブ部
200 … 制御部
200a … CPU
200b … 主記憶部
Lb … 突出寸法