(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154088
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20241023BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067706
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】523145642
【氏名又は名称】矢狹 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】矢狹 明子
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】労働問題、特にハラスメントに関する情報を広く見える化し、それを閲覧した労働者や企業などのハラスメントに関する問題意識や改善意識などを向上させることにより、ハラスメントの防止および早期解決を実現し得る情報処理装置などを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、企業および労働者が利用する情報処理装置10であって、働き方に関する理念と、理念に賛同した企業と、理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果と、を端末に表示させる制御手段103を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業および労働者が利用する情報処理装置であって、
働き方に関する理念と、前記理念に賛同した企業と、前記理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果と、を端末に表示させる制御手段を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記理念は、職場におけるハラスメントに関して、ハラスメントの防止および早期解決を実現することを目標として掲げられたものであり、前記アンケートは、職場におけるハラスメントに関するアンケートである請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、労働者が所有する端末に対して、質問に労働者の勤め先の従業員数を含めたアンケートフォームを送信し、当該端末から返信されたアンケートの回答に基づいて、従業員数別にアンケートの回答結果を端末に表示させる請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、企業および労働者が利用する情報処理装置であって、
働き方に関する理念と、前記理念に賛同した企業と、前記理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果と、を端末に表示させる制御手段を有する情報処理装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハラスメント、過労働や非正規雇用など、働き方に関する問題(以下「労働問題」という)が多数存在している。
また、近年採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の中にも、働きがいに関する目標がある(目標8)。この目標に対して、日本では、ディーセントワークの実現が掲げられており、例えば、教育現場における教師の働き方(長時間残業、部活動負担)の見直しを進めたり、女性や若者に活躍のチャンスを与える機会を増やしたりする動きが見られる。
【0003】
ここで、労働問題に関する発明として、例えば特許文献1,2に記載のものがある。
特許文献1には、労使間トラブルの発生し易い問題である人事労務管理の項目として考えられる「就業規則・諸規程」、「賃金、賞与、退職金」、「人事」、「労働条件」、「危機管理」などの各個別の労使トラブル診断シートをプログラムし、この個別労使トラブル診断シートには、詳細な略10の質問種目をプログラムして、この各質問種目の質問に答えた内容を個別労使トラブル診断結果として出力させるようにした労使トラブル診断システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、残業予定等に対する質問に回答しなければならない強制力を働かせた労務管理システムが記載されている。
この労務管理システムは、出退勤等識別情報入力受付部により勤務者の出退勤等識別情報を受け付け、勤務者識別情報取得部により勤務者を識別し、質問情報出力部により質問情報保持部に保持された質問を勤務者へ出力し、回答入力受付部によりこの質問情報に対する勤務者からの回答を受け付け、回答の入力があった場合にのみ、記録部により、取得した時刻と、勤務者識別情報と、質問に対して受け付けた回答とを関連付けて記録するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-102598号公報
【特許文献2】特開2019-012431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載の発明は、ある職場内やある企業内といった、特定の労働環境内で用いられるものである。そうすると、勤務者(以下「労働者」に統一する)は、従業員数が少ないため特定されやすい、管理職の者や経営者などの目が気になる、などといった理由から本音で回答できないおそれがある。また、労働者は、回答内容が反映される(労働環境が改善される)気配は全くないのだからといった理由から、真面目に回答しないおそれもある。
【0007】
そのため、労働問題は、労働者が感じている現実について思っていることを、本音ベースで取得し、広く見える化する必要がある。また、同時に、労働問題に対して真摯に向き合い、職場環境を改善すべく努力する企業なども広く見える化すべきである。
【0008】
よって、本発明は、労働問題、特にハラスメントに関する情報を広く見える化し、それを閲覧した労働者や企業などのハラスメントに関する問題意識や改善意識などへの改革意欲を向上させることにより、ハラスメントの防止および早期解決を実現し得る情報処理装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報処理装置は、企業および労働者が利用する情報処理装置であって、働き方に関する理念と、理念に賛同した企業と、理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果と、を端末に表示させる制御手段を有する。
【0010】
これにより、企業や労働者が所有する端末には、働き方に関する理念、理念に賛同した企業、および理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果が表示される。
【0011】
特に、理念は、職場におけるハラスメントに関して、ハラスメントの防止および早期解決を実現することを目標として掲げられたものであり、アンケートは、職場におけるハラスメントに関するアンケートであることが好ましい。
【0012】
また、制御手段は、労働者が所有する端末に対して、質問に労働者の勤め先の従業員数を含めたアンケートフォームを送信し、当該端末から返信されたアンケートの回答に基づいて、従業員数別にアンケートの回答結果を端末に表示させる構成であることが好ましい。
【0013】
なお、本発明に係る情報処理プログラムは、コンピュータを、企業および労働者が利用する情報処理装置であって、働き方に関する理念と、理念に賛同した企業と、理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果と、を端末に表示させる制御手段を有する情報処理装置として動作させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る情報処理装置は、斯かる構成により、企業や労働者が所有する端末には、働き方に関する理念、理念に賛同した企業、および理念に関するアンケートに対する労働者のアンケートの回答結果が表示されるため、ハラスメントを始めとする労働問題に関する情報が広く見える化され、それを閲覧した労働者や企業などのハラスメントを始めとする労働問題に関する問題意識や改善意識などへの改革意欲を向上させることができるため、ハラスメントの防止および早期解決の実現に繋げることができる。
【0015】
また、本発明に係る情報処理プログラムによれば、本発明に係る情報処理装置と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの概略構成図および本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概略機能ブロック図である。
【
図2】企業が所有する端末および情報処理装置間のシーケンス図である。
【
図3】労働者が所有する端末および情報処理装置間のシーケンス図である。
【
図4】労働者が所有する端末および情報処理装置間のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0018】
[情報処理システム]
本発明の実施の形態に係る情報処理システム100(以下、「本システム」ということもある)は、
図1に示すように、情報処理装置10および端末20を含む。これらはネットワーク通信網Nを介して、相互に通信可能である。
【0019】
[情報処理装置]
情報処理装置10は、いわばオンプレミス型やクラウド型のサーバであり、通信手段101、記憶手段102、制御手段103を有する。
通信手段101は、ネットワーク通信網Nと有線または無線で繋がり、各種データを端末20へ送信したり各種データを端末20から受信したりして、端末20と通信を行う機能である。
【0020】
記憶手段102は、メモリやデータベースなどであり、情報処理装置が動作するためのプログラムや、後述する労働者が所有する端末20Aから送信されるアンケートの回答などが記憶される。
【0021】
制御手段103は、通信手段101を介して、端末20に対する各種制御を行う。例えば、記憶手段102に記憶されている働き方に関する理念に関する情報を、端末20に送信することで、端末20の表示手段202に表示させる。
また、記憶手段102に記憶されている理念に関するアンケート(アンケートフォーム)を端末20に送信・表示させ、端末20から返信された当該アンケートの回答を受信し、集計して記憶手段102に記憶させる。
【0022】
[端末]
端末20は、企業や労働者が所有する端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット、パソコンなどである。端末20は、通信手段201、表示手段202、入力手段203、記憶手段204を有する。
【0023】
通信手段201は、ネットワーク通信網Nと有線または無線で繋がり、各種データを情報処理装置10へ送信したり各種データを情報処理装置10から受信したりして、情報処理装置10と通信を行う機能である。
【0024】
表示手段202は、画面やディスプレイなど、端末20が受信した各種データを表示する機能である。また、入力手段203は、タッチパネル、キーボードやマウスなど、表示手段202に表示された入力欄やチェックボックスなどに、文字、数字やチェックなどを入力する機能である。なお、記憶手段204は、メモリやストレージなどである。
【0025】
以降の説明において、便宜上、労働者が所有する端末20を端末20A、企業が所有する端末20を端末20Bという。端末20A,20Bのどちらも含まれる場合は、単に端末20という。
【0026】
なお、端末20として、通信手段201~記憶手段204、およびブラウザ機能(Google ChromeやSafariなど)を有するスマートフォンやパソコンなどを用いることができる。そして、ブラウザ機能を用いて、情報処理装置10から受信した各種データに基づく画面を表示させたり、表示された画面(例えば、アンケートフォーム)に回答を入力したりすることができる。
若しくは、端末20に本システム専用のアプリケーションをインストールして、当該アプリケーションにより、情報処理装置10と各種データのやり取りを行うこともできる。
【0027】
[情報処理システムの流れ]
(1.企業に対して)
以下、
図1および
図2~8を参照して、企業および労働者が、本システムを利用する流れについて説明する。
図2は、企業が所有する端末20Bと、情報処理装置10との間のやり取りを示すシーケンス図である。まず、企業が端末20Bにより、情報処理装置10に対して開始要求を送信すると(ステップS100)、情報処理装置10は、端末20Bへ「システムの概要および理念の説明」に関する情報を返信する(ステップS101)。
【0028】
システムの概要とは、本システムの特徴や利用目的などを示すものである。
図5(A)は、情報処理装置10から送信された「システムの概要」に関する情報が、端末20Bの表示手段202に表示された例を示す図である。
また、理念とは、働き方に関する理念であり、具体的には、職場におけるハラスメントに関して、ハラスメントの防止や早期解決などを実現するために掲げられた、企業が鋭意努力すべき項目である。
図5(B)は、情報処理装置10から送信された「理念の説明」に関する情報が、端末20(端末20B)の表示手段202に表示された例を示す図である。
【0029】
なお、ハラスメントとは、職場におけるパワーハラスメント、モラルハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、ジェンダーハラスメント、アルコールハラスメント、およびこれら以外のハラスメントが含まれる。
【0030】
また、理念には、
図5(B)に示す例の他、「職場でハラスメントの問題が起きた時は、相談者の健康およびこれまで通りの生活・就業を行える環境の整備を最優先事項とし、相談者と対話を重ねることで問題の早期解決を図り、一日でも早く相談者がこれまで通りの生活・就業を行えるように努力する。」や「ハラスメントの問題が解決した後も、相談者がこれまで通りの生活・就業を行えているかどうか、必要に応じて定期的に面談を行い、職場環境の安全管理に努める。」など、ハラスメントが起こる前、ハラスメントが起こった時、ハラスメントが解決した後など各タイミングにおいて、企業が全ての従業員(労働者)に対してディーセントワークを提供することができるような項目が掲げられる。
【0031】
そして、企業は理念を確認した後、この理念に賛同する場合は端末20Bより情報処理装置10へ「賛同、企業名掲載申し込み」を送信する(ステップS102)。一方、情報処理装置10は、企業の意思確認のため、「使用に関する同意書」を返信する(ステップS103)。この同意書に同意する形で、企業が端末20Bより情報処理装置10へ、例えば「同意する」のチェックボックス欄にチェックを付けた「同意」を返信することで(ステップS104)、情報処理装置10は、この理念に賛同した企業の情報を記憶手段102に記憶する。
【0032】
ここで、上記「賛同、企業名掲載申し込み」の具体例として、
図6(A)に示すような入力フォームを用いることができる。情報処理装置10は、端末20Bに
図6(A)に示すような入力フォームを送信し、企業は、端末20Bの表示手段202に表示された入力フォームに企業名、住所、電話番号やホームページのURLなど必要な情報を入力し、情報処理装置10へ返信する。入力フォームには、従業員数、資本金、代表者名や設立日などの入力欄も設けることができる。
【0033】
理念に賛同した企業の情報は、情報処理装置10の記憶手段102に蓄積して記憶される。そして、端末20Bからの「企業名一覧表示要求」に応じて、「企業名一覧表示応答(理念に賛同した企業一覧)」を返信することで、端末20Bに賛同企業一覧を表示させることができる(ステップS111,S112)。
この賛同企業一覧として、
図6(B)に示すように、企業名およびその企業のホームページのURLを端末20Bに表示させることができる。もちろん、住所や電話番号など、上記入力フォームで入力され、記憶手段102に記憶されている企業の情報であれば、これ以外の情報も表示させることができる。
【0034】
なお、この賛同企業一覧は、労働者が所有する端末20Aからでも閲覧することができる。例えば、
図3は、労働者が所有する端末20Aと、情報処理装置10間のやり取りを示すシーケンス図であるが、端末20Aからも「システムの概要および理念の説明」を閲覧することができ(ステップS200,S201)、また、賛同企業一覧も閲覧することができる(ステップS111,S112)。
これにより、労働者は、本システムが掲げる理念に賛同する企業を知ることができる。一方、企業は、労働者や他の企業に対して、自分たちが職場のハラスメント問題に対して真摯に取り組んでいる姿勢をアピールすることができる。
【0035】
(2.労働者に対して)
図4は、労働者が所有する端末20Aと、情報処理装置10間のやり取りを示すシーケンス図である。前述したように、端末20Aからも「システムの概要および理念の説明」を閲覧することができる(ステップS200,S201)。
そして、労働者は、例えば端末20Aに表示されるボタン(アンケート開始ボタン)を押下することにより、アンケートの開始を要求することができる(ステップS202)。アンケート開始の要求を受信した情報処理装置10は、アンケートフォームを端末20Aに送信・表示させる(ステップS203)。
【0036】
図7(A)は、端末20Aに表示されたアンケートの例を示す図である。アンケート内容には、
図7(A)に示すような性別、年齢、雇用形態、勤め先の従業員数、業種に加え、職場環境や体験談などに関する内容も含まれる。
【0037】
職場環境に関するアンケート内容とは、例えば、「あたなの会社に会社規定およびパワハラ防止マニュアルはありますか?また、パワハラ防止に関する会社からの通達はありますか?」といった質問内容であり、これに対する回答として、
(1)会社規定もパワハラ防止マニュアルもある。そして、通達もされている。
(2)会社規定もパワハラ防止マニュアルもある。ただし、通達はされていない。
(3)会社規定のみある。パワハラ防止マニュアルはないが、通達はされている。
(4)会社規定のみある。パワハラ防止マニュアルはなく、通達もされていない。
(5)パワハラ防止マニュアルのみある。会社規定はないが、通達はされている。
(6)パワハラ防止マニュアルのみある。会社規定はなく、通達もされていない。
(7)会社規定もパワハラ防止マニュアルもない。
などの選択肢が用意されている。
【0038】
その他、「パワハラ防止マニュアルができたことで、社内に変化はありましたか?」という質問内容や、「会社が、会社規定やパワハラ防止マニュアルに沿った行動を取っていると思いますか?」という質問内容なども含まれる。
【0039】
なお、本システムが掲げる理念は、職場におけるハラスメントに関するものであり、アンケートは、職場におけるハラスメントに関する、内容がデリケートなものである。そのため、アンケートに自由記述欄を設けると、労働者は「回答者が特定されるかもしれない」という不安を抱き、本音で回答することができなくなるおそれがあるため、回答は選択式であることが好ましい。
【0040】
一方、体験談に関するアンケート内容とは、例えば、「あなたは職場でハラスメントを受けたこと、または見たことがありますか?」といった質問内容であり、これに対する回答として、「受けたことがある」、「見たことがある」、「どちらもある」、「どちらもない」などの選択肢が用意されている。
そして、「受けたことがある」が選択された場合、情報処理装置10は労働者に対して、ハラスメントの種類(パワハラ、モラハラ、セクハラなど)や、具体的な体験談の質問内容を表示させる(回答させる)ことができる。
【0041】
具体的な体験談の質問内容とは、例えば、「あなたが受けたパワハラとは、どのような行為ですか?」といった質問内容であり、これに対する回答として、
(1)身体的な暴力行為
(2)人前で人格否定された、またはからかわれた、若しくは差別的な発言をされた
(3)正当な理由なく、業務から外された
(4)無視された、または仕事上必要な情報が回ってこなかった
(5)遂行不可能な業務や、能力・経験に見合わない業務を強制された
(6)飲み会への強制参加
(7)正当な理由なく、休暇取得を拒否された、または残業や休日出勤を強制された
などの選択肢が用意されている。
【0042】
その他、「誰からパワハラを受けていますか?」という質問内容、「そのことを誰かに相談しましたか?」という質問内容、「(会社の人事部などに相談した方へ)その時、会社はどのような対応をしましたか?」および「(会社の人事部などに相談しなかった方へ)相談しなかった理由を教えてください」という質問内容なども含まれる。
【0043】
労働者は、端末20Aからこのようなアンケート内容に回答し、情報処理装置10へ送信する(ステップS204)。アンケートの回答を受信した情報処理装置10は、複数の労働者から回答されたアンケートの回答を記憶手段102に蓄積して記憶する。
【0044】
そして、労働者は、例えば端末20Aに表示されるボタン(アンケート結果表示ボタン)を押下することにより、情報処理装置10に対して、アンケートの回答結果の表示を要求することができる(ステップS211)。一方、これを受信した情報処理装置10は、端末20Aに、アンケートの回答結果を送信・表示させる(ステップS212)。
【0045】
図7(B)は、端末20(端末20A)に表示されたアンケートの回答結果の例を示す図である。
図7(B)に示す例においては、回答した労働者の性別と年齢の割合を円グラフで表示させているが、もちろん、帯グラフ、棒グラフ、折れ線グラフや散布図など、表示形式はこれに限られない。
【0046】
なお、
図8は、端末20(端末20A)に表示されたアンケートの回答結果の例であり、従業員数別に回答結果を表示させた例である。このように、本システムで選択できる従業員数別(
図7(A)参照)に、アンケートの回答結果を集計して表示させることにより、企業規模ごと(小企業~大企業)の労働意識のギャップを見える化することができる。もし、企業規模が大きくなるにつれて、「会社規定もパワハラ防止マニュアルもある」という回答が増えているのであれば、大企業ほど、ハラスメントに対して真摯に取り組んでいることが見える化され、大企業以外の企業の、ハラスメントに関する問題意識や改善意識などへの改革意識を惹起させたり、向上させたりすることができる。
【0047】
また、本システムを通じて、労働者が感じる現実(アンケートの回答結果)と、企業が賛同する理念とを同時に見せることで、もしこれらにギャップがある場合は、双方が鋭意努力することにより、そのギャップを埋めることに貢献することができる。例えば、企業が賛同する理念が、職場におけるハラスメントに関して、ハラスメントの防止や早期解決に向けて真摯に取り組むものであったとしても、例えば、規定やマニュアルはあるが周知されていない、パワハラの目撃談が多いなど、労働者が感じる現実(アンケートの回答結果)の内容が悪ければ、企業が賛同する理念に労働者が感じる現実を近づけていけるように、双方の努力の方向を示唆することができる。
【0048】
以上のように説明した情報処理システム100や情報処理装置10などは、本発明に係る情報処理システムや情報処理装置などを例示するものであり、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の構成は例示したものに限定されない。
例えば、本システムが掲げる理念は、職場におけるハラスメントに関して、ハラスメントの防止や早期解決などを実現するためのものであれば、本説明において例示したものに限られない。また、アンケートの内容や回答(選択肢)、アンケートの回答結果の表示形式などについても、適宜変えたり、増やしたり、減らしたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、労働問題、特にハラスメントに関する情報を広く見える化し、それを閲覧した労働者や企業などのハラスメントに関する問題意識や改善意識などを向上させることにより、ハラスメントの防止および早期解決を実現し得る情報処理装置などであり、様々な業種の企業や労働者が利用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0050】
10 情報処理装置
101 通信手段
102 記憶手段
103 制御手段
20,20A,20B 端末
201 通信手段
202 表示手段
203 入力手段
204 記憶手段
100 情報処理システム
N ネットワーク通信網