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特開2024-154090ネットワークスライスを制御するための方法、情報処理装置およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154090
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ネットワークスライスを制御するための方法、情報処理装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/088 20230101AFI20241023BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20241023BHJP
   H04W 88/14 20090101ALI20241023BHJP
【FI】
H04W28/088
H04W48/18
H04W88/14
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067708
(22)【出願日】2023-04-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD57
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】コアネットワーク側からネットワークスライスを制御する
【解決手段】クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置で実行される方法であって、モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップと、輻輳通知の受信に応じて、スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップと、スライス割当装置において、スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され、さらに、モビリティ管理装置においてサブスライス識別子が追加されると、サブスライス識別子に対応するサブスライスと、スライス識別子に対応するスライスを利用した通信を確立する旨の指示をモビリティ管理装置に送信するステップとを備える方法。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置で実行される方法であって、
モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップと、
前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップと、
前記スライス割当装置において、前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され、さらに、前記モビリティ管理装置において前記サブスライス識別子が追加されると、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記サブスライスの前記設定依頼に応じて、前記サブスライス識別子は、前記スライス割当装置において、前記輻輳しているスライスの前記スライス識別子に紐付けて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スライス割当装置において前記サブスライス識別子が設定されると、加入者データ管理装置を介して、前記サブスライスの追加依頼を前記モビリティ管理装置に送信するステップをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加入者データ管理装置は、ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号と、前記加入者識別番号に関連付けられる電話番号と、前記ユーザ端末に割り当てられたスライスリスト識別子を管理しており、
前記サブスライスの追加依頼を前記モビリティ管理装置に送信するステップは、
前記情報処理装置が、前記加入者データ管理装置へ、前記加入者識別番号を含む前記サブスライスの第1追加依頼を送信するステップと、
前記加入者データ管理装置が、前記モビリティ管理装置へ、前記加入者識別番号に対応する前記スライスリスト識別子と、前記加入者識別番号とを含む前記サブスライスの第2追加依頼を送信するステップと
を備える請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スライス割当装置は、前記スライスリスト識別子と、前記スライスリスト識別子に関連付けられる1以上のスライス識別子を管理しており、
前記第2追加依頼に応じて、前記モビリティ管理装置によって、前記スライス割当装置から前記スライスリスト識別子に対応する前記サブスライス識別子が取得される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記輻輳通知は、ユーザ端末が在圏するトラッキングエリアのトラッキングエリア識別子を含み、前記モビリティ管理装置は、配下にあるトラッキングエリアに在圏する全ての前記ユーザ端末に関連付けられる前記スライス識別子と、前記スライス識別子に関連付けられるスライスの輻輳情報と、前記ユーザ端末に関連付けられるトラッキングエリア識別子とを管理しており、
前記ユーザ端末に割り当てられた前記スライス識別子のスライスのトラフィック量が最大閾値以上のとき、前記モビリティ管理装置により前記ユーザ端末の利用中の前記スライスが輻輳していると判断される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モビリティ管理装置から、トラフィック量が最小閾値以下の削除可能な前記サブスライスに対応付けられる前記サブスライス識別子を含むトラフィック減少通知を受信するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記トラフィック減少通知の受信に応じて、前記削除可能な前記サブスライスを削除設定する削除設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップをさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スライス割当装置において、前記サブスライスの削除可能情報が設定されると、加入者データ管理装置を介して、前記サブスライスの削除依頼を前記モビリティ管理装置に送信するステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加入者データ管理装置は、ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号と、前記加入者識別番号に関連付けられる電話番号と、前記ユーザ端末に割り当てられたスライスリスト識別子を管理しており、
前記加入者データ管理装置において、前記加入者識別番号を含む前記サブスライスの第1削除依頼が受信されると、前記加入者識別番号に対応する前記スライスリスト識別子と、前記加入者識別番号とを含むサブスライスの第2削除依頼が前記モビリティ管理装置に送信される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スライス割当装置は、前記スライスリスト識別子と、前記スライスリスト識別子に関連付けられる1以上のスライス識別子と、前記スライス識別子に関連付けられる前記サブスライス識別子と、前記サブスライス識別子の前記削除可能情報とを管理しており、
前記サブスライスの前記第2削除依頼に応じて、前記モビリティ管理装置により、前記スライス割当装置から前記スライスリスト識別子に対応する削除可能な前記サブスライス識別子が取得される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モビリティ管理装置において前記削除可能なサブスライス識別子が削除されると、前記削除可能な前記サブスライスを除く、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップをさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
クラウドベースのコンピューティング環境における情報処理装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶したメモリであって、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されたときに、前記情報処理装置に
モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップと、
前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップと、
前記スライス割当装置において、前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され、前記モビリティ管理装置において前記サブスライス識別子が追加されると、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップと、
を実行させる命令を記憶したメモリと
を備える、情報処理装置。
【請求項14】
クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置と、
モビリティ管理装置と、
スライス割当装置と、
を備えるシステムであって、
前記情報処理装置は、
モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信し、
前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信し、
前記スライス割当装置が前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子を設定し、前記モビリティ管理装置が、前記サブスライス識別子を追加すると、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信する
よう構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークスライスを制御するための方法、情報処理装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
5Gコア(5GC)を利用するSA(Stand Alone)構成において、提供される5Gの機能の1つがネットワークスライシングである。非特許文献1では、このようなネットワークスライシングの機能が規定されている。ネットワークスライシングとは、1つのネットワークの持つ機能を、ユーザ端末のアプリケーション向けにeMBB、自動運転支援用にURLLCなど、用途に応じて分割し、ユーザ端末のアプリケーション向け、自動運転支援向けなど目的ごとに最適化した仮想ネットワークをスライスとして運用する技術である。この技術では、論理パスを複数設定し、それぞれのパスは異なるQoSを設定できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 123.502 V15.2.0, "5G; Procedures for the 5G system (3GPP TS 23.502 version 15.2.0 Release 15"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、非特許文献1の「Figure 4.2.2.2 3-1: Registration with AMF re-allocation procedure」に示されるように、ユーザ端末からの要求に応じてネットワークスライスを管理していた。このため、ユーザ端末が接続している基地局が輻輳した場合であっても、基地局のトラフィックの増減に応じてネットワークスライスの管理ができなかった。
【0005】
本発明の目的は、ネットワークスライスを制御することにある。より詳細には、ネットワークスライスの輻輳を検知したときに、コアネットワーク側からネットワークスライスを制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置で実行される方法であって、モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップと、前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップと、前記スライス割当装置において、前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され、さらに、前記モビリティ管理装置において前記サブスライス識別子が追加されると、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップとを備える方法である。
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、クラウドベースのコンピューティング環境における情報処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶したメモリであって、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されたときに、前記情報処理装置にモビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップと、前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップと、前記スライス割当装置において、前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され、前記モビリティ管理装置において前記サブスライス識別子が追加されると、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップと、を実行させる命令を記憶したメモリとを備える、情報処理装置である。
【0008】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置と、モビリティ管理装置と、スライス割当装置と、を備えるシステムであって、前記情報処理装置は、モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信しと、前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信し、前記スライス割当装置が前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子を設定し、前記モビリティ管理装置が、前記サブスライス識別子を追加すると、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するよう構成される、システムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態によるネットワークスライスの追加、削除をするシステムの概略図を例示する。
図2】本開示の一実施形態による、ユーザ端末にメインのネットワークスライスを設定するための処理のフローを示す。
図3】本開示の一実施形態による、顧客管理装置の記憶部に記憶される顧客情報のデータ構造の例を示す。
図4】本開示の一実施形態による、スライス割当装置の記憶部に登録されるS-NSSAI管理情報Aのデータ構造の例を示す。
図5】本開示の一実施形態による、加入者データ管理装置の記憶部に記憶される加入者プロファイル情報のデータ構造の例を示す。
図6】本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置の記憶部に記憶される加入者ネットワークスライス情報のデータ構造の例を示す。
図7】本開示の一実施形態による、スライスに輻輳が発生したときの処理のフローを示す。
図8】本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置の記憶部に記憶される、更新された加入者ネットワークスライス情報のデータ構造の例を示す。
図9】本開示の一実施形態による、スライス割当装置の記憶部に記憶されるサブスライス識別子が設定されたS-NSSAI管理情報のデータ構造の例を示す。
図10】本開示の一実施形態による、サブスライス識別子が登録、更新された加入者ネットワークスライス情報のデータ構造の例を示す。
図11】本開示の一実施形態による、システムにおけるネットワークスライスを削除する処理のフローを示す。
図12】本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置122の記憶部に記憶される、トラフィック減少情報が更新された加入者ネットワークスライス情報のデータ構造の例を示す。
図13】本開示の一実施形態による、スライス割当装置の記憶部に記憶される削除可能情報が更新されたS-NSSAI管理情報のデータ構造の例を示す。
図14】本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置の記憶部に登録される、行使された加入者ネットワークスライス情報のデータ構造の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0011】
〔構成1〕 上記目的を達成するための方法の特徴構成は、
クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置で実行される方法であって、モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップ(S704)と、前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップ(S706)と、前記スライス割当装置において、前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され(S708)、さらに、前記モビリティ管理装置において前記サブスライス識別子が追加されると(S718)、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップと(S724)を備える点にある。
【0012】
〔構成2〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記サブスライスの前記設定依頼に応じて、前記サブスライス識別子は、前記スライス割当装置において、前記輻輳しているスライスの前記スライス識別子に紐付けて設定される(S708)点にある。
【0013】
〔構成3〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記スライス割当装置において前記サブスライス識別子が設定されると、加入者データ管理装置を介して、前記サブスライスの追加依頼を前記モビリティ管理装置に送信するステップ(S710、S712)をさらに備える、点にある。
【0014】
〔構成4〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記加入者データ管理装置は、ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号と、前記加入者識別番号に関連付けられる電話番号と、前記ユーザ端末に割り当てられたスライスリスト識別子を管理しており、前記サブスライスの追加依頼を前記モビリティ管理装置に送信するステップ(S710、S712)は、前記情報処理装置が、前記加入者データ管理装置へ、前記加入者識別番号を含む前記サブスライスの第1追加依頼を送信するステップと(S710)、前記加入者データ管理装置が、前記モビリティ管理装置へ、前記加入者識別番号に対応する前記スライスリスト識別子と、前記加入者識別番号とを含む前記サブスライスの第2追加依頼を送信するステップと(S712)を備える点にある。
【0015】
〔構成5〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記スライス割当装置は、前記スライスリスト識別子と、前記スライスリスト識別子に関連付けられる1以上のスライス識別子を管理しており、前記第2追加依頼に応じて、前記モビリティ管理装置によって、前記スライス割当装置から前記スライスリスト識別子に対応する前記サブスライス識別子が取得される(S714)点にある。
【0016】
〔構成6〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記輻輳通知は、ユーザ端末が在圏するトラッキングエリアのトラッキングエリア識別子を含み、前記モビリティ管理装置は、配下にあるトラッキングエリアに在圏する全ての前記ユーザ端末に関連付けられる前記スライス識別子と、前記スライス識別子に関連付けられるスライスの輻輳情報と、前記ユーザ端末に関連付けられるトラッキングエリア識別子とを管理しており、前記ユーザ端末に割り当てられた前記スライス識別子のスライスのトラフィック量が最大閾値以上のとき、前記モビリティ管理装置により前記ユーザ端末の利用中の前記スライスが輻輳していると判断される(S702)点にある。
【0017】
〔構成7〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記モビリティ管理装置から、トラフィック量が最小閾値以下の削除可能な前記サブスライスに対応付けられる前記サブスライス識別子を含むトラフィック減少通知を受信するステップ(S1102)をさらに備える、点にある。
【0018】
〔構成8〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記トラフィック減少通知の受信に応じて、前記削除可能な前記サブスライスを削除設定する削除設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップ(S1106)をさらに備える、点にある。
【0019】
〔構成9〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記スライス割当装置において、前記サブスライスの削除可能情報が設定されると(S1108)、加入者データ管理装置を介して、前記サブスライスの削除依頼を前記モビリティ管理装置に送信するステップ(S1110、S1112)をさらに備える、点にある。
【0020】
〔構成10〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記加入者データ管理装置は、ユーザ端末に割り当てられた加入者識別番号と、前記加入者識別番号に関連付けられる電話番号と、前記ユーザ端末に割り当てられたスライスリスト識別子を管理しており、前記加入者データ管理装置において、前記加入者識別番号を含む前記サブスライスの第1削除依頼が受信されると(S1110)、前記加入者識別番号に対応する前記スライスリスト識別子と、前記加入者識別番号とを含むサブスライスの第2削除依頼が前記モビリティ管理装置に送信される(S1112)点にある。
【0021】
〔構成11〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記スライス割当装置は、前記スライスリスト識別子と、前記スライスリスト識別子に関連付けられる1以上のスライス識別子と、前記スライス識別子に関連付けられる前記サブスライス識別子と、前記サブスライス識別子の前記削除可能情報とを管理しており、前記サブスライスの前記第2削除依頼に応じて、前記モビリティ管理装置により、前記スライス割当装置から前記スライスリスト識別子に対応する削除可能な前記サブスライス識別子が取得される(S1114)点にある。
【0022】
〔構成12〕 本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記モビリティ管理装置において前記削除可能なサブスライス識別子が削除されると(S1118)、前記削除可能な前記サブスライスを除く、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップ(S1124)を、さらに備える点にある。
【0023】
〔構成13〕 上記目的を達成するための情報処理装置の特徴構成は、クラウドベースのコンピューティング環境における情報処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶したメモリであって、前記少なくとも1つのプロセッサに実行されたときに、前記情報処理装置にモビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信するステップと(S704)、前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信するステップと(S706)、前記スライス割当装置において、前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子が設定され、前記モビリティ管理装置において前記サブスライス識別子が追加されると(S718)、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するステップと(S724)、を実行させる命令を記憶したメモリとを備える、点にある。
【0024】
〔構成14〕 上記目的を達成するためのシステムの特徴構成は、クラウドベースのコンピューティング環境にある情報処理装置と、モビリティ管理装置と、スライス割当装置と、を備えるシステムであって、前記情報処理装置は、モビリティ管理装置から、輻輳しているスライスのスライス識別子を含む輻輳通知を受信し(S704)と、前記輻輳通知の受信に応じて、前記スライス識別子のスライスにサブスライスを設定する設定依頼を、スライス割当装置に送信し、前記スライス割当装置が前記スライス識別子に関連付けたサブスライス識別子を設定し(S708)、前記モビリティ管理装置が、前記サブスライス識別子を追加すると(S718)、前記サブスライス識別子に対応する前記サブスライスと、前記スライス識別子に対応する前記スライスを利用した通信を確立する旨の指示を前記モビリティ管理装置に送信するよう構成される、点にある。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本開示に含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さないものとする。
【0026】
図1は、本開示の一実施形態によるネットワークスライスを制御するためのシステム10の概略図を例示する。システム10は、クラウドベースのモバイルコンピューティング環境内で提供されるクラウドサービスとして実現することができる。1つのモバイル通信ネットワークで設定するネットワークスライスの数は数百から数千に上る可能性がある。システム10は、これらのネットワークスライスの追加、削除などの管理を自動化する。システム10は、基地局112におけるトラフィックの増減に応じて、ネットワークスライスの追加、削除することができる。無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)110は、電波という有限なリソースを使っているために、スライスを単に増やすとリソースの限界に達してしまう。本開示によると、スライスを利用状況に応じて動的に割り当てし、電波という有限なリソースを有効活用することができる。
【0027】
本実施形態において、システム10は、第5世代(5th Generation, 5G)の規格に準拠したシステムであるが、この例に限定されない。システム10は、第4世代(4th Generation,4G)、第6世代(6th Generation,6G)などの他の通信規格に準拠することができる。以下、システム10が5Gの規格に準拠するものとして説明する。
【0028】
5GC(5Gのコアネットワーク)では、ネットワークの様々な機能を役割ごとにNF(Network Function)として規定している。図1において、複数の機能エンティティであるNF120(Network Function)が示される。
【0029】
NF120の例として、図1に示すAMF(Access and Mobility Management Function)122、NSSF(Network Slice Selection Function)124、UDR(Unified Data Repository)126が挙げられる。NF120の他の例として、PCF(Policy Control Function)、SMF(Session Management Function)、及びUDM(Unified Data Management)がある。これらのNF120は、論理通信バスに接続され、さらにNEF(Network Exposure Function)200に接続される。本開示において、これらのNF120を、コアネットワーク内の各種装置と称することがある。
【0030】
本例において、AMF122はモビリティ管理装置と称することがある。モビリティ管理装置122は、登録管理(Registration management)機能、接続管理(Connection management)機能、及び、ユーザ端末150の移動性管理(Mobility management)機能等を有する。モビリティ管理装置122は、加入者ネットワークスライス情報600(600A~600Dと記載することもある。)を記憶部に記憶する。加入者ネットワークスライス情報600の詳細は図6を用いて後述する。
【0031】
UDR126は、加入者データ管理装置と称することがある。加入者データ管理装置126は、加入者のデータベースや状態を登録する。加入者データ管理装置126は、加入者プロファイル情報500を記憶部に記憶する。加入者プロファイル情報500の詳細は図5を用いて後述する。
【0032】
NSSF124は、スライス割当装置と称することがある。スライス割当装置124は、ユーザ端末150にサービスを提供するネットワークスライスインスタンスの選択、許可されたNSSAIの決定、およびUEにサービスを提供するために使用されるAMF122の決定をサポートする。スライス割当装置124は、S-NSSAI管理情報400(400A~400Cと記載することもある)を記憶部に記憶する。S-NSSAI管理情報400は図4を用いて後述する。
【0033】
クラウド140は、ユーザに対しインターネットなどのネットワーク越しにサーバ、ストレージなどのITリソースやアプリケーションを提供する。クラウド140は、インターネット上でユーザに対し、NEF200の機能を実行するためのコンピュータリソースを提供することができる。クラウド140を使用することで、システム10は、様々なアプリケーションに対応することができる。
【0034】
NEF200(Network Exposure Function)は、3GPP(登録商標)のネットワーク機能(NF120)によって提供されるサービス、能力などを外部(クラウド140)に安全に開放するために使用される。NEF200は、API提供装置と称することがある。5GC(5Gのコアネットワーク)では、ユーザの移動を検知したり、必要な速度や遅延時間などの品質を確保するデータ転送パスの設定や開放を制御したりするための制御用NFの多くをAPI(Application Programming Interface)を介して外部から利用できるようにしている。NEF200(Network Exposure Function)は、このAPIを提供する。NEF200は、能力およびイベントの公開、外部アプリケーションから3GPPネットワークへの情報のセキュアな提供、および内部/外部情報の変換をサポートする。クラウド140側からNEF200にアクセスすると、NEF200経由で、制御用NFを制御することができる。
【0035】
また、複数のNF120、NEF200、クラウド140は、1以上の情報処理装置で実装されてもよい。別の例において、複数のNF120、NEF200、クラウド140は、仮想化技術によって汎用的なサーバ上でソフトウェアとして実装されてもよい。
【0036】
ユーザ端末150は、ユーザが使用する端末であり、ユーザによる各種入力操作を受け付けする。ユーザ端末150は、SIM(Subscriber Identity Module)を搭載しており、例えば、スマートフォンなどの携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)などとして実現される。
【0037】
情報処理装置は、制御部と、記憶部と、通信部とを備える。制御部は、例えば、CPU(プロセッサ)などの演算手段によって実現される。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶手段によって実現される。各種プログラムは、ROM、RAMなどの各種メモリ、HDDなどに記憶することができる。制御部は、ROM、RAMなどの各種メモリ、HDDなどの記憶手段と協働して機能し、各種プログラムを実行する。これにより、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現される。
【0038】
本開示によると、NEF200は、AMF122、UDR126、UDM、PCF、SMFによって提供されるNF機能に加えて、NSSF124によって提供されるNF機能をクラウド140側に提供することができる。これにより、クラウド140側から、NEF200経由でNSSF124用いて、ネットワークスライスの管理をすることができる。従来、3GPP標準の技術では、ユーザ端末150側からの要求に基づいて、NSSF124によって提供されるサービスをクラウド140側に提供することはできなかった。このため、ネットワークスライスを利用したユーザ端末150がアクセスした基地局112が輻輳すると、モビリティ管理装置122単位でアクセス制限をかけていた。本開示によると、ユーザ端末150が基地局112を介してアクセスしたモビリティ管理装置122側で、ユーザ端末150が利用するスライスが輻輳したことを検知すると、NSSF124によって提供されるNF機能を利用して、基地局112配下のユーザ端末150の単位でスライスの追加、削除の制御をすることができる。
【0039】
図1に示すように、AMF122配下には1以上の基地局112で構成されるRAN110が存在する。RAN110は、アンテナや基地局112(5Gでは「gNB」)などで構成される無線アクセスネットワークである。
【0040】
トラッキングエリア(TA:Tracking Area)114はAMF122配下の位置登録エリアであり、トラッキングエリア識別子(TAI: Tracking Area Identifier)によって識別される。ユーザ端末150は、第1のトラッキングエリアから第2のトラッキングエリアに移動すると、基地局112が自局の属する移動先のトラッキングエリアの識別番号であるトラッキングエリア識別子をユーザ端末150に報知することで、在圏するトラッキングエリアを把握することができる。ユーザ端末150の在圏するトラッキングエリアは、ユーザ端末150が位置登録(TAU:Tracking Area Update)を行うことでコアネットワーク側のAMF122に登録される。トラッキングエリアの割当は基地局単位でも、複数の基地局112をグループ化してグループ単位でも行うことができる。グループ化すると、在圏する基地局112が変わっても、移動元と移動先の基地局112が同じグループのTA114に属するときは、位置登録はされない。また、1つのAMF122が管理しているTA114(例えば、TA♯1,TA♯2)内で端末が移動する場合は、位置登録はされない。位置登録先のAMF122が変わるときに位置登録が行われる。
【0041】
ネットワークスライスはスライス識別子で区別される。このスライス識別子は、ネットワークスライシングを実現するために必要な識別子であり、ユーザ端末150と、RAN110と、コアの仮想的なネットワークとの紐づけに使用されている。このスライス識別子をユーザ端末150、無線アクセスネットワークRAN110、コアネットワークで受け渡すことで、5Gネットワーク全体を仮想的に分離することができる。スライス識別子は、3GPPでは、S-NSSAI(Single-Network Slice Selection Assistance Information)と称される。一つのユーザ端末150に複数のスライス識別子を割り当てすることで、ユーザ端末150で利用するアプリケーション毎にスライスを使い分けすることができる。例えばユーザ端末150で動画配信アプリを使った場合は動画配信用のスライス(S-NSSAI♯1)に接続し、業務用アプリを使った場合は企業専用のスライス(S-NSSAI♯2)に接続するといった使い分けができる。S-NSSAI♯1、S-NSSAI♯2はスライス識別子を示す。スライスのタイプを示す「SST: Slice and Service Type」は標準で3種類が定義されており、高速・大容量向けの「eMBB:enhanced Mobile Broadband」、低遅延、高信頼向けの「URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications」、多数同時接続向けの「mMTC:massive Machine Type Communication」がある。
【0042】
図2は、本開示の一実施形態による、ユーザ端末150にメインのネットワークスライスを設定するための処理200のフローを示す。
【0043】
処理に先立ち、図3の顧客情報300のデータ構造が顧客管理装置170の記憶部に格納されているものとする。顧客管理装置170は、携帯通信事業者がユーザに提供するネットワークサービスを管理するために必要な各種情報を有する。
【0044】
図3は、本開示の一実施形態による、顧客管理装置170の記憶部に記憶される顧客情報300のデータ構造の例を示す。顧客情報300は、携帯通信事業者の提供するネットワークサービスを契約するユーザの加入者識別番号ごとにユーザ契約に関する各種情報を記憶する。顧客情報300は、加入者識別番号と、この加入者識別番号に対応付けられる1つのスライスリスト識別子と、スライス識別子であるS-NSSAIとの項目を含むことができる。1つの加入者識別番号に、1つのスライスリスト識別子と、1以上のスライス識別子を割り当てることができる。ユーザが複数の論理回線を契約すると、1つのスライスリスト識別子に対し、複数のスライス識別子が割り当てられる。携帯通信事業者の提供するサービスごとに異なるスライス識別子(例えば、音声通話にはS-NSSAI#1、業務用アプリにはS-NSSAI#2、動画配信アプリにはS-NSSAI#3)を割り当てることができる。スライスリスト識別子は、加入者データ管理装置126の管理する加入者識別番号と、スライス割当装置124の管理するスライス識別子とを紐付けるために利用される。各データ構造内に( )で示した数字、記号は、各種データに割り当てられるIDの例を示す。また、加入者識別番号はIMSI(International Mobile Subscriber Identity)であり、一般的には15桁の数字で構成されるが、本開示では説明の便宜上「****1」と記載する。
【0045】
スライス割当装置124は、顧客管理装置170と顧客情報300を共有しているものとする。
【0046】
まず、ステップS202において、スライス割当装置124は、顧客情報300を参照して、図4に示すS-NSSAI管理情報400Aを作成する。スライス割当装置124は、各TAIに関連付けられる全てのユーザ端末150の加入者識別番号を特定し、顧客情報300を参照して、特定した全てのユーザ端末150に関連付けられるスライスリスト識別子と、スライス識別子とを読み出す。スライス割当装置124は、TAIごとに読み出したスライスリスト識別子と、スライス識別子とを、S-NSSAI管理情報400Aに格納する。
【0047】
図4は、本開示の一実施形態による、スライス割当装置124の記憶部に登録されるS-NSSAI管理情報400Aのデータ構造の例を示す。S-NSSAI管理情報400Aは、モビリティ管理装置122の配下にある全てのトラッキングエリア識別子(本例では、「TAI♯1」から「TAI♯N」)に関連付けられるスライスの情報を有する。図4に示すように、S-NSSAI管理情報400Aは、TAI(例えば、「TAI#1」)と、各TAIにそれぞれ関連付けられた全てのスライスリスト識別子(「TAI#1」に関連付けられた「S-NSSAI List#1~#4」)と、スライスリスト識別子にそれぞれ対応するスライス識別子(例えば、「S-NSSAI List#1」に対応する「S-NSSAI#1~#3」)との項目を含む。
【0048】
また、S-NSSAI管理情報400Aは、メインのスライス識別子の下位にサブのスライス識別子の項目を紐付けてもよい。ステップS202の時点で、サブスライスは設定されていないので、S-NSSAI管理情報400AのサブS-NSSAIには「NULL」が設定されている。
【0049】
次に、ステップS204からステップS206に従って、サービスオーダ(SO)のデータをシステム10に反映する処理について説明する。
【0050】
ステップS204において、顧客管理装置170は、ユーザからのサービスオーダに関するデータを読み出して、加入者データ管理装置126に送信する。サービスオーダデータは、ネットワークサービスを契約したユーザの加入者識別番号と、この加入者識別番号に対応付けられるスライスリスト識別子と、電話番号とを含む。
【0051】
次に、ステップS206において、加入者データ管理装置126は、受信したサービスオーダデータ(加入者識別番号、スライスリスト識別子、電話番号)に基づいて、図5に示す加入者プロファイル情報500を作成し、記憶部に記憶する。
【0052】
図5は、本開示の一実施形態による、加入者データ管理装置126の記憶部に記憶される加入者プロファイル情報500のデータ構造の例を示す。図5に示すように、加入者プロファイル情報500は、加入者識別番号と、加入者識別番号に対応する電話番号と、スライスリスト識別子との項目を含む。加入者データ管理装置126はスライスの詳細情報を管理しない。
【0053】
また、加入者データ管理装置126は、加入者プロファイル情報500を登録すると、ステップS206において、サービスオーダデータに基づく契約手続が完了した旨の通知を顧客管理装置170へ送信する。
【0054】
続くステップS208からステップS218の処理では、ユーザ端末150に対し、メインのスライスの設定処理を行う。
【0055】
まず、ステップS208において、ユーザ端末150は、メインのスライスの設定要求をモビリティ管理装置122(AMF)に送信する。メインのスライスの設定要求は、ユーザ端末150の加入者識別番号(例えば、「****1」)と、ユーザ端末150が在圏するトラッキングエリアの識別子(例えば、「TAI♯1」)とを含む。
【0056】
次に、ステップS210において、モビリティ管理装置122は、スライスの設定要求を受信すると、加入者識別番号(例えば、「****1」)と共に、スライスリスト識別子の要求を、加入者データ管理装置126に送信する。
【0057】
次に、ステップS212において、加入者データ管理装置126は、図5の加入者プロファイル情報500を読み出し、受信した加入者識別番号「****1」に対応する、スライスリスト識別子(ここでは、「S-NSSAI list ♯1」)を特定する。加入者データ管理装置126は特定したスライスリスト識別子を、モビリティ管理装置122に送信する。
【0058】
次に、ステップS214において、モビリティ管理装置122は、TAI(ここでは「TAI#1」)と、スライスリスト識別子(ここでは、「S-NSSAI list ♯1」)と、受信したスライスリスト識別子に対応付けられるスライス識別子の要求とを、スライス割当装置124に送信する。
【0059】
次に、ステップS216において、スライス割当装置124は、図4のS-NSSAI管理情報400Aを読み出し、受信したTAIのスライスリスト識別子(ここでは、「S-NSSAI list ♯1」)に対応付けられるスライス識別子(ここでは、「S-NSSAI♯1~♯3」)を特定する。スライス割当装置124は、特定した全てのスライス識別子を、モビリティ管理装置122に送信する。
【0060】
次に、ステップS218において、モビリティ管理装置122は、受信したスライス識別子に基づいて、図6に示す加入者ネットワーク(NW)スライス情報600を作成する。本例では、スライスの設定要求したユーザ端末150の加入者識別番号「****1」に対し、スライス識別子「S-NSSAI♯1~♯3」が登録される。
【0061】
図6は、本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置122の記憶部に記憶される加入者ネットワークスライス情報600Aのデータ構造の例を示す。加入者ネットワークスライス情報600Aは、モビリティ管理装置122の配下のRAN110に在圏する全てのユーザ端末150に関連付けられる加入者識別番号ごとに各種情報を記憶する。図6に示すように、加入者ネットワークスライス情報600Aは、加入者識別番号と、この加入者識別番号に対応付けられるトラッキングエリア識別子と、スライス識別子の項目を含む。1つの加入者識別番号に、1つのトラッキングエリア識別子と、1以上のスライス識別子を割り当てることができる。また、加入者ネットワークスライス情報600Aは、スライス識別子の下位のサブスライス識別子と、輻輳情報の項目を含むことができる。ステップS218においては、メインスライスのみ設定されており、サブスライスは設定されていない。このため、下位のサブスライス識別子の項目には、初期値「NULL」が設定されている。また、ステップS218において、ユーザ端末150の通信は開始されていないので、輻輳情報には初期値「NULL」が設定されている。
【0062】
図6の例では、TAI♯1配下には、加入者識別番号「****1」から「****4」が割り当てられた4台のユーザ端末150が在圏する。加入者識別番号****1のユーザ端末150は、S-NSSAI♯1から♯3で特定されるスライス、加入者識別番号****2のユーザ端末150は、S-NSSAI♯1、および♯2で特定されるスライス、加入者識別番号****3のユーザ端末150は、S-NSSAI♯1、および♯3で特定されるスライス、加入者識別番号****4のユーザ端末150は、S-NSSAI♯3で特定されるスライスが割り当てられている。なお、本例において、説明の便宜のために、TAは1つ、ユーザ端末は4台、各ユーザ端末に割り当てられるスライス数は1から3としているが、TAの数、ユーザ端末の台数、スライスの数は、図示の例に限られないことは当然である。
【0063】
モビリティ管理装置122において、スライス設定要求をしたユーザ端末150の加入者識別番号(例えば「****1」)に関連付けられたスライス識別子(ここでは、「S-NSSAI♯1」と、「S-NSSAI♯2」と、「S-NSSAI♯3」)が登録されると、ステップS220において、ユーザ端末150は、登録済みのスライス識別子を利用して、ユーザプレーンのネットワーク要素(UPFなど)で構成されるルート(以下、ユーザプレーンルートと称することがある。)を確立し、通信を開始することができる。
【0064】
以上、ステップS208からS220はユーザ端末150のスライスの設定要求に応じて、スライスを設定し、ユーザ端末150が設定されたスライスを利用して通信を開始する処理までを説明した。
【0065】
次に、ユーザ端末150が通信中に、スライスに輻輳が発生したときの処理について説明する。
【0066】
<ネットワークスライスの追加>
図7は、本開示の一実施形態によるシステム10において、スライスに輻輳が発生したときの処理700のフローを示す。処理700は、スライスの輻輳の発生を検知してから、ネットワークスライスを追加するまでの処理フローを示す。
【0067】
モビリティ管理装置122(AMF)は、配下のRAN110内において、接続している1以上のユーザ端末150が利用中の個々のスライスのトラフィック量を所定間隔で検知している。スライスごとに通信データ量の最大閾値が定められており、モビリティ管理装置122は、スライスのデータのトラフィック量が最大閾値以上のとき、スライスは輻輳していると判断する。
【0068】
ステップS702において、モビリティ管理装置122は、輻輳しているスライスがあると判断すると、輻輳しているスライスのスライス識別子(S-NSSAI)を特定する。さらに、モビリティ管理装置122は、スライス識別子ごとに、加入者ネットワークスライス情報600Aの輻輳情報を更新する。
【0069】
図8は、本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置122の記憶部に記憶される、更新された加入者ネットワークスライス情報600Bのデータ構造の例を示す。加入者ネットワークスライス情報600Bは、図6の加入者ネットワークスライス情報600Aと輻輳情報が更新された点で異なるが、その他は同じである。図示の例では、「Y」は該当するスライスが輻輳していることを示し、「N」はスライスが輻輳していないことを示す。図示の例では、加入者識別番号「****1」の「S-NSSAI♯1、#2」で特定されるスライス、および加入者識別番号「****2」の「S-NSSAI#1」で特定されるスライスが輻輳し、その他のスライスは輻輳していない。以下では、説明の便宜のために、トラッキングエリア「TAI#1」のスライスのみが輻輳していると仮定して説明する。
【0070】
ステップS704において、モビリティ管理装置122は、加入者ネットワークスライス情報600Bを参照して、配下にある全てのトラッキングエリア(ここでは「TAI#1~#N」)に関連付けられたスライス識別子のうち、輻輳しているスライス識別子と、輻輳しているスライス識別子に関連付けられるトラッキングエリア識別子と、輻輳しているスライス識別子に関連付けられる加入者識別番号とを、輻輳通知と共に、API提供装置160(NEF)を経由して、クラウド140に送信する。
【0071】
モビリティ管理装置122は、ステップS704において、「TAI♯1」に関連付けられた全ての輻輳スライス識別子(加入者識別番号「****1」に関連付けられる「S-NSSAI♯1、♯2」、および加入者識別番号「****2」に関連付けられる「S-NSSAI♯1」)と、輻輳しているスライス識別子に関連付けられるトラッキングエリア識別子「TAI♯1」と、輻輳しているスライス識別子「S-NSSAI♯1、♯2」に関連付けられる加入者識別番号「****1」と、輻輳しているスライス識別子「S-NSSAI♯4」に関連付けられる加入者識別番号「****2」と、をクラウド140に送信する。加入者識別番号「****3」に関連付けられるスライス識別子「S-NSSAI#1、および♯2」、加入者識別番号「****4」に関連付けられるスライス識別子「S-NSSAI♯1」は輻輳していないので、これらのスライス識別子、ならびにこれらのスライス識別子に関連付けられる加入者識別番号「****3」および「****4」はクラウド140に送信されない。
【0072】
次に、ステップS706において、クラウド140は、モビリティ管理装置122からスライスの輻輳通知を受信すると、輻輳しているスライス識別子(本例では、加入者識別番号「****1」に関連付けられる「S-NSSAI♯1、♯2」、および加入者識別番号「****2」に関連付けられる「S-NSSAI♯1」)と、輻輳しているスライス識別子に関連付けられるトラッキングエリア識別子(本例では「TAI♯1」)と、加入者識別番号(加入者識別番号「****1、****2」)とを記憶部に記憶する。
【0073】
また、ステップS706において、クラウド140は、API提供装置160を経由して、輻輳しているスライス識別子と、これに関連付けられるトラッキングエリア識別子を含むサブスライスの設定依頼を、API提供装置160を経由して、スライス割当装置124に送信する。
【0074】
次に、ステップS708において、スライス割当装置124は、受信した輻輳スライス識別子の下位に、サブのスライス識別子を設定する。スライス割当装置124は、図4のS-NSSAI管理情報400Aを読み出して、サブスライス識別子の設定を行い、サブスライス識別子の設定が完了したことを示すサブスライス識別子設定完了通知を、API提供装置160を経由して、クラウド140へ通知する。
【0075】
図9は、本開示の一実施形態による、スライス割当装置124の記憶部に記憶されるサブスライス識別子が設定されたS-NSSAI管理情報400Bのデータ構造の例を示す。図9のS-NSSAI管理情報400Bは、図4のS-NSSAI管理情報400Aとサブスライス識別子が設定された点で異なるもののその他は同じである。S-NSSAI管理情報400Bは、モビリティ管理装置122の配下にあるTAIの全ての情報を含むことができる。図9に示すように、S-NSSAI管理情報400Bは、TAI#1と、TAI#1に関連付けられた全てのスライスリスト識別子と、TAI#1に関連付けられる全てのユーザ端末150にそれぞれ割り当てられるスライス識別子との項目を含む。
【0076】
S-NSSAI管理情報400Bは、メインのスライス識別子の下位にサブのスライス識別子の項目を関連付ける。本例においては、輻輳している上位のスライス識別子(例えば、S-NSSAI List#1に対応するS-NSSAI♯1、#2)の下位に、サブのスライス識別子(S-NSSAI♯1’、♯2’)がそれぞれ追加される。なお、ステップS708において、サブスライス識別子は加入者識別番号に紐付けられていない。このサブスライス識別子をユーザ端末150の加入者識別番号に紐付けるため、以下のステップS710からS718の処理を行う。
【0077】
図7に戻り、ステップS710において、クラウド140は、スライス割当装置124からAPI提供装置160を経由して、サブスライス識別子の設定完了通知を受信すると、ステップS706において記憶した加入者識別番号(本例においては「****1」、「****2」)を含む、サブスライスの第1追加依頼を加入者データ管理装置126に送信する。
【0078】
次に、ステップS712において、加入者データ管理装置126は、サブスライス追加依頼を受信すると、加入者識別番号をキーに図5に示す加入者プロファイル情報500を参照し、加入者識別番号に関連付けられるスライスリスト識別子を読み出しする。本例においては、加入者識別番号「****1」に関連付けられる「S-NSSAI List♯1」と、加入者識別番号「****2」に関連付けられる「S-NSSAI List#2」とがそれぞれ読み出しされる。
【0079】
さらに、ステップS712において、加入者データ管理装置126は、読み出した加入者識別番号(「****1」、「****2」)と、スライスリスト識別子(S-NSSAI List♯1、#2)とを含む、サブスライスの第2追加依頼をモビリティ管理装置122に送信する。
【0080】
次に、ステップS714において、モビリティ管理装置122は、サブスライスの第2追加依頼を受信すると、スライス割当装置124に対し、受信したスライスリスト識別子(S-NSSAI List♯1、#2)と共に、スライスリスト識別子に対応付けられるサブスライス識別子の要求を送信する。
【0081】
次に、ステップS716において、スライス割当装置124は、モビリティ管理装置122からサブスライス識別子の問い合わせを受信すると、図9のS-NSSAI管理情報400Bを参照し、受信したスライスリスト識別子に関連付けられるスライス識別子を読み出しする。本例においては、S-NSSAI List#1に関連付けられるS-NSSAI#1、#2と、S-NSSAI List#2に関連付けられるS-NSSAI #1が読み出しされる。
【0082】
また、ステップS716において、スライス割当装置124は、図9のS-NSSAI管理情報400Bを参照し、輻輳しているスライス識別子に対応する下位のサブスライス識別子を読み出しする。図9の例では、メインのスライス識別子「S-NSSAI♯1」に対応付けられる、サブスライス識別子「S-NSSAI#1’、#2’」と、メインのスライス識別子「S-NSSAI♯2」に対応付けられる、サブスライス識別子「S-NSSAI#1’」とがそれぞれ読み出しされる。スライス割当装置124は、サブスライス識別子と、対応するメインスライス識別子を、モビリティ管理装置122へ送信する。
【0083】
次に、ステップS718において、モビリティ管理装置122は、サブスライス識別子を受信すると、図8の加入者ネットワークスライス情報600Bを参照して、どのメインスライスに、どのサブスライスを追加すべきかを特定し、サブスライス識別子を登録、更新する。図10は本開示の一実施形態による、サブスライス識別子が登録、更新された加入者ネットワークスライス情報600Cのデータ構造の例を示す。
【0084】
次に、ステップS720において、モビリティ管理装置122は、サブスライスの追加可能通知を、加入者データ管理装置126へ送信する。このサブスライス追加可能通知は、ステップS712の加入者データ管理装置126からのネットワークスライスの第2追加依頼に対し、追加が可能であることを示すAck通知である。
【0085】
さらに、ステップS720において、加入者データ管理装置126は、モビリティ管理装置122から受信したサブスライス追加可能通知を、API提供装置160を経由してクラウド140へ送信する。この追加可能通知は、ステップS710のクラウド140からのネットワークスライスの第1追加依頼に対し、追加が可能であることを示すAck通知である。
【0086】
次に、ステップS722において、クラウド140は、スライス追加可能通知を受信すると、API提供装置160を経由して、モビリティ管理装置122に対し、サブスライス識別子に対する、ユーザプレーンルートを追加で確立する旨の指示を送信する。なお、本開示において、ステップS702からステップS722までの処理は、制御プレーンのネットワーク要素(AMF、NSSF、UDR)を用いて処理される。
【0087】
次に、ステップS724において、モビリティ管理装置122はサブスライス識別子に対するユーザプレーンルートの追加の確立指示を受信すると、図10に示す加入者ネットワークスライス情報600Cからメインのスライス識別子「S-NSSAI♯1」に対応付けられる、サブスライス識別子「S-NSSAI#1’、#2’」と、メインのスライス識別子「S-NSSAI♯2」に対応付けられる、サブスライス識別子「S-NSSAI#1’」を読み出す。次に、モビリティ管理装置122は、ユーザ端末150との間でサブのスライス識別子を利用するユーザプレーンルートを確立するための処理を行う。また、モビリティ管理装置122は、ユーザプレーンルートの確立が完了すると、ユーザプレーンルート確立完了通知を、API提供装置160を経由してクラウド140へ送信する。
【0088】
次に、ステップS726において、クラウド140は、ユーザプレーンルート確立完了通知を受信すると、ステップS706にて受信した輻輳している加入者識別番号に対応するユーザ端末150に対して、メインスライスと、サブスライスとを論理的に1つの回線として束ねて利用するバンドル通信を開始する旨の指示を送信する。
【0089】
次に、ステップS728において、バンドル通信開始指示を受信すると、ユーザ端末150は、複数の論理スライスを利用したバンドル通信を開始することができる。ユーザ端末150は、また、クラウド140へ、バンドル通信を開始した旨の通知を送信する。本開示において、ステップS728の処理は、ユーザプレーンのネットワーク要素を用いて処理される。
【0090】
本開示の他の態様では、ステップS726において、クラウド140は、ユーザプレーンルート確立完了通知を受信すると、ユーザ端末150に対して電話番号を用いたモバイル着信(MT)SMS(Short Message Service)を利用して、バンドル通信を開始する旨の指示を送信してもよい。MT SMSは3GPP TS 23.502の4.13.3.6 MT SMS over NAS in CM-IDLE state via 3GPP accessに規定されている。ユーザ端末150の電話番号と加入者識別番号は、加入者データ管理装置126の加入者プロファイル情報500で管理している。クラウド140は、加入者データ管理装置126から、加入者識別番号に対応する電話番号を取得することができる。
【0091】
また、本開示の他の態様では、ステップS726において、ユーザ端末150は、ユーザの選択に従って、バンドル通信を開始してもよい。ユーザ端末150は、バンドル通信開始指示を受信すると、ユーザ端末150の表示部に、「バンドル通信開始しますか?」との問い合わせとともに、この問い合わせに対する「開始する」、「開始しない」の選択ボタンを表示してもよい。ユーザにより「開始する」ボタンが選択されると、ユーザ端末150は、バンドル通信を開始することができる。
【0092】
また、本開示の他の態様において、サブスライスのさらに下位にスライスを追加してもよい。モビリティ管理装置122は、配下のRAN110内において、ユーザ端末150のそれぞれのサブスライスが輻輳しているか否かを特定することができる。モビリティ管理装置122は、サブスライスのトラフィック量が最大閾値以上のとき、サブスライスは輻輳していると判断し、サブスライス(第1のサブスライス)の下位にさらにサブスライス(第2のサブスライス)を追加することができる。第1のサブスライスが輻輳していると判断されると、システム10は、ステップS702からステップS718を繰り返し、第1のサブスライスの下位に第2のサブスライスを追加することができる。ユーザ端末150は、メインスライスと、第1のサブスライスと、新たに追加された第2のサブスライスとを1つの回線としてバンドル通信することができる。
【0093】
また、本開示の他の態様において、サブスライスのさらに下位のサブスライスを設定するとき、上位スライスのトラフィック量の最大閾値と、下位スライスのトラフィック量の最大閾値を同じとしても、異ならせてもよい。
【0094】
本開示によると、クラウド140側から、NEF200経由で、制御用NFの1つであるNSSF124用いて、ネットワークスライスの追加や削除を管理することができる。従来、ユーザ端末150から特定の専用スライスに接続すると、そのユーザ端末150上のあらゆるアプリケーションが同じ専用スライスに接続されていた。本開示によると、ユーザ端末150はアプリケーションごとに異なる専用スライスを利用して通信し、専用スライスの1つが輻輳したときには、輻輳したスライスをサブスライスとバンドルすることで、輻輳したスライスを利用するアプリケーションの通信容量を動的に増やすことができる。無線アクセスネットワークでは、電波という有限なリソースを使っているために、スライスを増やすとリソースの奪い合いになってしまう。本開示によると、輻輳したスライスに対してのみ、サブスライスを追加することで、無線アクセスネットワークのリソースを効率的に利用することができる。
【0095】
また、本開示によると、モビリティ管理装置122は、配下のRAN110内において、接続している1以上のユーザ端末150が利用中のスライスがそれぞれ輻輳していないかを所定間隔で検知する。このため、モビリティ管理装置122は、ユーザ端末150の利用状況に応じて、時間軸上で動的にスライスの割当をすることができる。
【0096】
以上、図7を参照して、サブスライスの追加の処理を説明した。次に、図11を用いて、追加されたサブスライスの削除の処理を説明する。
【0097】
<ネットワークスライスの削除>
図11は、本開示の一実施形態による、システム10におけるネットワークスライスを削除する処理1100のフローを示す。
【0098】
モビリティ管理装置122(AMF)は、配下のRAN110内において、接続している1以上のユーザ端末150が利用中の個々のスライスのトラフィック量を所定間隔で検知している。スライスごとに通信データ量の最大閾値と、最小閾値とが定められており、モビリティ管理装置122は、この最大閾値以上のデータ量で通信しているとき、スライスは輻輳していると判断する。なお、上位スライスのトラフィック量の最小閾値と、下位スライスのトラフィック量の最小閾値とを同じとしても、異ならせてもよい。
【0099】
まず、ステップS1102において、モビリティ管理装置122は、輻輳しているスライスが有るかを判断し、輻輳スライスがないと判断すると、最新の加入者ネットワークスライス情報600C(図10)を参照して、ユーザ端末150が利用中のスライスが、メインのスライスのみであるか、メインスライスと1以上のサブスライスとの両方であるかを判断する。利用中のスライスがメインスライスのみの場合は、ステップS1104に進まず処理を終了する。
【0100】
一方、利用中のスライスがメインスライスとサブスライスとの両方である場合、モビリティ管理装置122は、サブスライスのトラフィック量が最小閾値以下であるかをスライスごとに判断する。モビリティ管理装置122は、スライスのトラフィック量が最小閾値以下のとき、最新の加入者ネットワークスライス情報600C(図10)を参照して、トラフィック量が最小閾値以下のサブスライスのサブスライス識別子を特定し、加入者ネットワークスライス情報600Cに登録する。
【0101】
図12は、本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置122の記憶部に記憶される、トラフィック減少情報が更新された加入者ネットワークスライス情報600Dのデータ構造の例を示す。加入者ネットワークスライス情報600Dは、図10の加入者ネットワークスライス情報600Cとトラフィック減少情報が追加された点で異なるが、その他は同じである。図示の例では、トラフィック減少情報の項目が「Y」は、該当するサブスライスのトラフィック量が最小閾値以下であることを示し、「N」はトラフィック量が最小閾値を超えていることを示す。図示の例では、「S-NSSAI♯1」のサブスライス「S-NSSAI#1’」のトラフィック量が最小閾値以下であり、その他サブスライス(「S-NSSAI♯1」のサブスライス「S-NSSAI#2’」、および「S-NSSAI♯2」のサブスライス「S-NSSAI#1’」)は、トラフィックが最小閾値を超えている。
【0102】
次に、ステップS1104において、モビリティ管理装置122は、更新された加入者ネットワークスライス情報600D(図12)を参照して、配下にある全てのトラッキングエリア(ここでは「TAI#1~#N」)に関連付けられたサブスライス識別子のうち、トラフィック量が最小閾値以下のサブスライス識別子と、このサブスライス識別子に関連付けられるトラッキングエリア識別子と、加入者識別番号とを含む、トラフィック減少通知を、API提供装置160(NEF)を経由して、クラウド140に送信する。本例では、モビリティ管理装置122は、「TAI♯1」に関連付けられたトラフィック量が最小閾値以下のサブスライス識別子(加入者識別番号「****1」に関連付けられるスライスのサブスライス識別子「S-NSSAI♯1’」)と、このサブスライス識別子に関連付けられるトラッキングエリア識別子(「TAI♯1」)と、このサブスライス識別子に関連付けられる加入者識別番号(「****1」)含む、トラフィック減少通知を、クラウド140に送信する。
【0103】
次に、ステップS1106において、クラウド140は、モビリティ管理装置122からトラフィック減少通知を受信すると、受信したサブスライス識別子と、このサブスライス識別子に関連付けられるトラッキングエリア識別子と、加入者識別番号とを記憶部に記憶する。
【0104】
また、クラウド140は、API提供装置160を経由して、トラフィック量が最小閾値以下の削除可能なサブスライスのサブスライス識別子と、これに関連付けられるトラッキングエリア識別子を含むサブスライスの削除設定依頼を、スライス割当装置124に送信する。
【0105】
次に、ステップS1108において、スライス割当装置124は、図9のS-NSSAI管理情報400Bを読み出して、削除可能なサブスライス識別子(本例では「S-NSSAI#1’」)を特定し、これに「削除可能情報」を追加して記憶する。また、スライス割当装置124は、サブスライス削除設定完了通知を、API提供装置160を経由して、クラウド140へ通知する。
【0106】
図13は、本開示の一実施形態による、スライス割当装置124の記憶部に記憶される削除可能情報が更新されたS-NSSAI管理情報400Dのデータ構造の例を示す。図13のS-NSSAI管理情報400Cは、図9のS-NSSAI管理情報400Bとサブスライス識別子「S-NSSAI#1’」に対する削除可能情報が追加された点で異なるもののその他は同じである。この削除可能なサブスライス識別子をユーザ端末150の加入者識別番号に紐付けるため、以下のステップS1110からS1118の処理を行う。
【0107】
図11に戻り、ステップS1110において、クラウド140は、スライス割当装置124からAPI提供装置160を経由して、削除可能なサブスライス識別子を受信すると、ステップS1106において記憶した加入者識別番号(本例においては「****1」)とを含む、サブスライスの第1削除依頼を加入者データ管理装置126に送信する。
【0108】
次に、ステップS1112において、加入者データ管理装置126は、サブスライスの第1削除依頼を受信すると、加入者識別番号をキーに図5に示す加入者プロファイル情報500を参照し、加入者識別番号に関連付けられるスライスリスト識別子を読み出しする。本例においては、加入者識別番号「****1」に関連付けられる「S-NSSAI List♯1」が読み出しされる。
【0109】
さらに、ステップS1112において、加入者データ管理装置126は、読み出した加入者識別番号(「****1」)と、スライスリスト識別子(S-NSSAI List♯1)とを含む、サブスライスの第2削除依頼をモビリティ管理装置122に送信する。
【0110】
次に、ステップS1114において、モビリティ管理装置122は、サブスライスの第2削除依頼を受信すると、スライス割当装置124に対し、受信したスライスリスト識別子(S-NSSAI List♯1)と共に、スライスリスト識別子に対応付けられる削除可能なサブスライス識別子の要求を送信する。
【0111】
次に、ステップS1116において、スライス割当装置124は、モビリティ管理装置122から削除可能なサブスライス識別子の問い合わせを受信すると、図13に示すS-NSSAI管理情報400Cを参照し、受信したスライスリスト識別子に対応する削除可能なサブスライス識別子と、サブスライス識別子に関連付けられるメインのスライス識別子とを読み出しする。本例においては、S-NSSAI List#1に関連付けられるサブスライス識別子「S-NSSAI#1’」と、「S-NSSAI♯1」とが読み出しされる。スライス割当装置124は、サブスライス識別子と、このサブスライス識別子に対応するメインスライス識別子を、モビリティ管理装置122へ送信する。
【0112】
次に、ステップS1118において、モビリティ管理装置122は、削除可能なサブスライス識別子を受信すると、図12の加入者ネットワークスライス情報600Dを参照して、受信したサブスライス識別子「S-NSSAI#1’」を削除する。
【0113】
図14は、本開示の一実施形態による、モビリティ管理装置122の記憶部に登録される、行使された加入者ネットワークスライス情報600Eのデータ構造の例を示す。加入者ネットワークスライス情報600Eでは、トラフィック量が減少したサブスライスに割り当てられたサブスライス識別子が削除されている。
【0114】
次に、ステップS1120において、モビリティ管理装置122は、ユーザ端末150が利用中のサブスライスの削除が可能であることを示す、サブスライスの削除可能通知を、加入者データ管理装置126へ送信する。このサブスライス削除可能通知は、ステップS1112の加入者データ管理装置126からのネットワークスライスの第2削除依頼に対し、削除が可能であることを示すAck通知である。
【0115】
さらに、ステップS1120において、加入者データ管理装置126は、モビリティ管理装置122から受信したサブスライス削除可能通知を、API提供装置160を経由してクラウド140へ送信する。この削除可能通知は、ステップS1110のクラウド140からのネットワークスライスの第1削除依頼に対し、削除が可能であることを示すAck通知である。
【0116】
次に、ステップS1122において、クラウド140は、スライス削除可能通知を受信すると、API提供装置160を経由して、モビリティ管理装置122に対し、サブスライス識別子に対応するサブスライスを除くスライス(本例ではメインスライス)のみのユーザプレーンルートを確立する旨の指示を送信する。1のメインスライスに対し、サブスライスが複数設定されているとき、複数設定されているサブスライスのうち特定された1つのサブスライスのみを利用しないでユーザプレーンルートを確立する旨の指示を送信する。なお、本開示において、ステップS1102からステップS1122の処理は、制御プレーンのネットワーク要素(AMF、NSSF、UDR)を用いて処理される。
【0117】
次に、ステップS1124において、モビリティ管理装置122はサブスライス識別子に対するユーザプレーンルートの確立を解除する旨の指示を受信すると、図14に示す加入者ネットワークスライス情報600Eからメインのスライス識別子「S-NSSAI♯1」のみを読み出す。次に、モビリティ管理装置122は、ユーザ端末150との間でメインのスライス識別子のみを利用するユーザプレーンルートを確立し、サブスライス識別子のユーザプレーンルートを解除するための処理を行う。また、モビリティ管理装置122は、サブスライスに対応するユーザプレーンルートの解除が完了すると、ユーザプレーンルート解除完了通知を、API提供装置160を経由してクラウド140へ送信する。
【0118】
次に、ステップS1126において、クラウド140は、ユーザプレーンルート解除完了通知を受信すると、ステップS1106にて受信した加入者識別番号に対応するユーザ端末150に対して、サブスライスに対するユーザプレーンルートを解除して、メインスライスのみを利用する通信を開始する旨の指示を送信する。
【0119】
次に、ステップS1128において、メインスライスのみを利用する通信開始指示を受信すると、ユーザ端末150は、サブスライスの利用を解除し、メインスライスを利用して通信を開始することができる。ユーザ端末150は、また、クラウド140へ、サブスライスを解除してメインスライスのみを利用して通信を開始した旨の通知を送信する。本開示において、ステップS1128の処理は、ユーザプレーンのネットワーク要素を用いて処理される。
【符号の説明】
【0120】
RAN110…無線アクセスネットワーク
10…システム
112…基地局
122…モビリティ管理装置
124…スライス割当装置
126…加入者データ管理装置
140…クラウド
150…ユーザ端末
160…API提供装置
170…顧客管理装置
300…顧客情報
400A、400B、400C…S-NSSAI管理情報
500…加入者プロファイル情報
600A、600B、600C、600D、600E…加入者ネットワークスライス情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14