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特開2024-154096制御装置、燃料電池ユニット、床暖房ユニット、及びガス供給制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154096
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】制御装置、燃料電池ユニット、床暖房ユニット、及びガス供給制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20220101AFI20241023BHJP
   F24H 15/104 20220101ALI20241023BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20241023BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20241023BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20241023BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20241023BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20241023BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20241023BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20241023BHJP
   G01M 3/00 20060101ALI20241023BHJP
   F24D 18/00 20220101ALI20241023BHJP
   F24D 101/30 20220101ALN20241023BHJP
   F24D 101/40 20220101ALN20241023BHJP
【FI】
F24D3/00 S
F24H15/104
F24H15/355
F24H15/395
F24H15/31
F24H15/20
F24H15/281
F23N5/24 102Z
F23K5/00 304
G01M3/00 C
F24D18/00
F24D101:30
F24D101:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067722
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
【テーマコード(参考)】
2G067
3K068
3L070
3L122
【Fターム(参考)】
2G067AA14
2G067CC04
2G067DD04
2G067EE12
2G067EE13
3K068AA01
3K068BA01
3K068BB22
3K068CA04
3K068DA01
3L070BB01
3L070BB10
3L070DE05
3L070DG02
3L122AA03
3L122AA12
3L122AA28
3L122AA54
3L122AA62
3L122CA13
3L122DA01
3L122DA02
3L122GA08
(57)【要約】
【課題】漏洩検知機能を有するガス供給制御システムの大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置10は、漏洩検知部41を有するガス供給制御システム100に用いられる。制御装置10は、停止時間帯決定部と床暖予備暖房部と熱源機停止部とを備える。停止時間帯決定部は、需要家宅での消費電力を少なくとも計測する電力計測部301の計測結果を基に、所定期間内の一の日においてガス停止状態が実現される時間帯である停止時間帯を決定する。床暖予備暖房部は、一の日の停止時間帯の到来前に、温水HWの床暖房ユニット3への給湯を行い、需要家宅の床を暖めておく予備暖房を行わせる。熱源機停止部は、一の日の停止時間帯に渡って少なくとも燃料電池ユニット1を停止状態にする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給源から需要家宅に供給されるガス流の流量が一定時間以上継続して基準値以下であるガス停止状態、が所定期間に一度も又は所定回数以下しか検知されない場合に、前記ガス流の漏洩が発生していると判断する漏洩検知部、を有するガス供給制御システムに用いられる制御装置であって、
前記ガス供給制御システムは、
前記ガス流の一部を利用して発電を行い、前記需要家宅において消費される消費電力の一部となる第1発電電力及び前記需要家宅で利用される温水の給湯のための給湯用熱の一部となる第1熱を発生させる燃料電池ユニットと、
前記温水の給湯を受け、前記需要家宅の床を暖める床暖房を行う床暖房ユニットと、を更に有し、
前記制御装置は、
前記需要家宅での少なくとも消費電力を計測する電力計測部の計測結果を基に、前記所定期間内の一の日において前記ガス停止状態が実現される時間帯である停止時間帯を決定する停止時間帯決定部と、
前記一の日の前記停止時間帯の到来前に、前記温水の前記床暖房ユニットへの給湯を開始することで前記需要家宅の前記床を予め暖めておく予備暖房、を行わせる床暖予備暖房部と、
前記一の日の前記停止時間帯に渡って前記燃料電池ユニットを停止状態にする熱源機停止部と、を備える、
制御装置。
【請求項2】
前記ガス供給制御システムは、前記ガス流の前記一部以外の部分である部分ガス流の少なくとも一部を利用して、前記給湯用熱の他の一部となる第2熱を発生させ得る補助熱源機を更に有し、
前記熱源機停止部は、前記一の日の前記停止時間帯に渡って前記補助熱源機を更に停止状態にする、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記停止時間帯決定部は、前記一の日のうち、前記消費電力が他の時間帯より低くなる時間帯を前記停止時間帯に決定する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記需要家宅には、前記ガス供給制御システム、及び前記消費電力の他の一部となる第2発電電力を発生させるソーラ発電ユニット、が設けられており、
前記電力計測部は、前記第1発電電力及び前記第2発電電力を更に計測し、
前記停止時間帯決定部は、前記一の日のうち、前記第1発電電力及び前記第2発電電力を含む合計発電電力の前記消費電力に対する差分である余剰電力が他の時間帯より高くなる時間帯を、前記停止時間帯に決定する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記停止時間帯決定部が決定した前記停止時間帯に関する通知を端末に送信する通信部を更に備える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記通信部は、前記床暖予備暖房部による前記予備暖房の実行の要否に関する問い合わせを更に送信する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記床暖予備暖房部は、前記需要家宅での前記床暖房ユニットの使用状況を基に前記予備暖房を実行するか否かを決定する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記床暖予備暖房部は、前記予備暖房の実行の際に、前記補助熱源機を介して、前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の温度を前記予備暖房の実行前の前記温水の温度より高くする、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記床暖予備暖房部は、前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の温度、及び単位時間に前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の量、に関する給湯パラメータを制御することで、前記床の温度を高めつつ前記床からの放熱量の増大を抑制する、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記補助熱源機は、前記床暖房ユニットへの前記温水の間欠的な給湯を実現するための熱動弁を有し、
前記給湯パラメータは、
前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の温度である給湯温度、及び
前記単位時間のうち前記熱動弁が開いている開状態にある時間の割合である熱動弁開率を含む、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の制御装置を備える、
燃料電池ユニット。
【請求項12】
請求項1に記載の制御装置を備える、
床暖房ユニット。
【請求項13】
請求項1に記載の制御装置を備える、
ガス供給制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、燃料電池ユニット、床暖房ユニット、及びガス供給制御システムに関し、より詳細には、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムに用いられる制御装置、並びに、そのような制御装置を備える燃料電池ユニット、床暖房ユニット、及びガス供給制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガス流の流量が一定時間以上継続して基準値以下であるガス停止状態が、所定期間に一度も又は所定回数しか検知されない場合に、ガス流の漏洩が発生していると判断する漏洩検知機能を備えたガスメータと、ガス流の供給を受け、発電電力を出力しつつ温水を出湯する燃料電池ユニットと、の間にバッファタンクが設けられたことで、漏洩検知機能を備えたガスメータを介しても、燃料電池ユニットへのガス流の継続供給を図ることができる、継続供給システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-197996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術では、漏洩検知機能を備えたガスメータと燃料電池ユニットとの間に、バッファタンク及びそれを設けるスペースが必要であり、継続供給システムの大規模化の回避を図る余地がある。そこで、バッファタンクを設けることなく、所定期間内に燃料電池ユニットを一時停止させる制御を行うことで、漏洩の誤検知回避を図るガス供給制御システムが考えられる。しかし、このようなガス供給制御システムでは、例えば、冬季に床暖房が使えなくなることで、快適性が損なわれる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムの大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる制御装置、並びに、そのような制御装置を備える燃料電池ユニット、床暖房ユニット、及びガス供給制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る制御装置は、ガス供給制御システムに用いられる制御装置である。前記ガス供給制御システムは、漏洩検知部を有する。前記漏洩検知部は、ガス供給源から需要家宅に供給されるガス流の流量が一定時間以上継続して基準値以下であるガス停止状態、が所定期間に一度も又は所定回数以下しか検知されない場合に、前記ガス流の漏洩が発生していると判断する。前記ガス供給制御システムは、燃料電池ユニットと、床暖房ユニットと、を更に有する。前記燃料電池ユニットは、前記ガス流の一部を利用して発電を行い、前記需要家宅において消費される消費電力の一部となる第1発電電力及び前記需要家宅で利用される温水の給湯のための給湯用熱の一部となる第1熱を発生させる。前記床暖房ユニットは、前記温水の給湯を受け、前記需要家宅の床を暖める床暖房を行う。前記制御装置は、停止時間帯決定部と、床暖予備暖房部と、熱源機停止部と、を備える。前記停止時間帯決定部は、前記需要家宅での少なくとも消費電力を計測する電力計測部の計測結果を基に、前記所定期間内の一の日において前記ガス停止状態が実現される時間帯である停止時間帯を決定する。前記床暖予備暖房部は、前記一の日の前記停止時間帯の到来前に、前記温水の前記床暖房ユニットへの給湯を開始することで前記需要家宅の前記床を予め暖めておく予備暖房、を行わせる。前記熱源機停止部は、前記一の日の前記停止時間帯に渡って前記燃料電池ユニットを停止状態にする。
【0007】
請求項2の発明に係る制御装置では、請求項1の発明に係る制御装置において、前記ガス供給制御システムは、補助熱源機を更に有する。前記補助熱源機は、前記ガス流の前記一部以外の部分である部分ガス流の少なくとも一部を利用して、前記給湯用熱の他の一部となる第2熱を発生させ得る。前記熱源機停止部は、前記一の日の前記停止時間帯に渡って前記補助熱源機を更に停止状態にする。
【0008】
請求項3の発明に係る制御装置では、請求項1又は2の発明に係る制御装置において、前記停止時間帯決定部は、前記一の日のうち、前記消費電力が他の時間帯より低くなる時間帯を前記停止時間帯に決定する。
【0009】
請求項4の発明に係る制御装置では、請求項1又は2の発明に係る制御装置において、前記需要家宅には、前記ガス供給制御システム及びソーラ発電ユニットが設けられている。前記ソーラ発電ユニットは、前記消費電力の他の一部となる第2発電電力を発生させる。前記電力計測部は、前記第1発電電力及び前記第2発電電力を更に計測する。前記停止時間帯決定部は、前記一の日のうち、余剰電力が他の時間帯より高くなる時間帯を、前記停止時間帯に決定する。前記余剰電力は、前記第1発電電力及び前記第2発電電力を含む合計発電電力の前記消費電力に対する差分である。
【0010】
請求項5の発明に係る制御装置は、請求項1~4のいずれかの発明に係る制御装置において、通信部を更に備える。前記通信部は、前記停止時間帯決定部が決定した前記停止時間帯に関する通知を端末に送信する。
【0011】
請求項6の発明に係る制御装置では、請求項5の発明に係る制御装置において、前記通信部は、前記床暖予備暖房部による前記予備暖房の実行の要否に関する問い合わせを更に送信する。
【0012】
請求項7の発明に係る制御装置では、請求項5の発明に係る制御装置において、前記床暖予備暖房部は、前記需要家宅での前記床暖房ユニットの使用状況を基に前記予備暖房を実行するか否かを決定する。
【0013】
請求項8の発明に係る制御装置では、請求項2の発明に係る制御装置において、前記床暖予備暖房部は、前記予備暖房の実行の際に、前記補助熱源機を介して、前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の温度を前記予備暖房の実行前の前記温水の温度より高くする。
【0014】
請求項9の発明に係る制御装置では、請求項8の発明に係る制御装置において、前記床暖予備暖房部は、前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の温度、及び単位時間に前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の量、に関する給湯パラメータを制御することで、前記床の温度を高めつつ前記床からの放熱量の増大を抑制する。
【0015】
請求項10の発明に係る制御装置では、請求項9の発明に係る制御装置において、前記補助熱源機は、前記床暖房ユニットへの前記温水の間欠的な給湯を実現するための熱動弁を有する。前記給湯パラメータは、前記床暖房ユニットに給湯される前記温水の温度である給湯温度、及び前記単位時間のうち前記熱動弁が開いている開状態にある時間の割合である熱動弁開率を含む。
【0016】
請求項11の発明に係る燃料電池ユニットは、請求項1~10のいずれかの発明に係る制御装置を備える。
【0017】
請求項12の発明に係る床暖房ユニットは、請求項1~10のいずれかの発明に係る制御装置を備える。
【0018】
請求項13の発明に係るガス供給制御システムは、請求項1~10のいずれかの発明に係る制御装置を備える。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明に係る制御装置は、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムに用いられ、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニットの一時停止、及び快適性の維持のための予備暖房を行わせる。これにより、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムの大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0020】
請求項2の発明に係る制御装置では、前記ガス供給制御システムが補助熱源機を更に有し、前記熱源機停止部は、燃料電池ユニットと共に前記補助熱源機も一時停止させる。これにより、ガス供給制御システムが補助熱源機を更に有する場合でも、漏洩の誤検知の回避を図ることができる。
【0021】
請求項3の発明に係る制御装置では、消費電力が低くなる時間帯に燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)を停止させる。これにより、燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)の停止による影響の抑制を図ることができる。
【0022】
請求項4の発明に係る制御装置では、余剰電力が多くなる時間帯に燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)を停止させる。これにより、燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)の停止による影響の抑制を図ることができる。
【0023】
請求項5の発明に係る制御装置では、通信部が停止時間帯に関する通知を端末に送信する。これにより、燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)の一時停止の実施とその時間帯を、端末を介して需要家に通知できる。
【0024】
請求項6の発明に係る制御装置では、通信部が予備暖房の要否確認を端末に更に送信する。これにより、端末を介して予備暖房の要否確認を行うことが可能となり、需要家の判断に応じて予備暖房を実行できる。
【0025】
請求項7の発明に係る制御装置では、床暖房ユニットの使用状況を基に予備暖房を実行するか否かが決定される。これにより、需要家宅での床暖房の使用状況(停止時間帯における床暖房の使用率等)に応じて予備暖房を自動実行できる。
【0026】
請求項8の発明に係る制御装置では、予備暖房の際の床暖房ユニットへの給湯温度が予備暖房の実行前の給湯温度より高く設定される。これにより、床の蓄熱効果を活用することで、快適性の維持をより長い時間にわたって図ることができる。
【0027】
請求項9の発明に係る制御装置では、給湯される温水の温度、及び単位時間に給湯される温水の量、に関する給湯パラメータを制御する。これによって、床の温度を高めつつ、床からの放熱量の増大の抑制を図ることができる。
【0028】
請求項10の発明に係る制御装置では、補助熱源機が熱動弁を有し、給湯パラメータは、給湯温度及び熱動弁開率を含む。これによって、床の温度を高めつつ、床からの放熱量の増大の抑制を図ることができる。
【0029】
請求項11の発明に係る燃料電池ユニットは、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムに用いられ、制御装置を備える。そして制御装置が、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)の一時停止、及び快適性の維持のための予備暖房を行わせることにより、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムの大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0030】
請求項12の発明に係る床暖房ユニットは、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムに用いられ、制御装置を備える。そして制御装置が、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)の一時停止、及び快適性の維持のための予備暖房を行わせることにより、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムの大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0031】
請求項13の発明に係るガス供給制御システムは、漏洩検知機能を有し、制御装置を備える。そして制御装置が、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニット(又は燃料電池ユニット及び補助熱源機)の一時停止、及び快適性の維持のための予備暖房を行わせることにより、漏洩検知機能を有するガス供給制御システムの大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本開示の実施形態に係る制御装置を備えるガス供給制御システムのブロック図である。
図2図2は、同上の制御装置のブロック図である。
図3図3は、同上の制御装置の動作の一部を説明するフローチャートである。
図4図4は、同上の制御装置の動作の他の一部を説明するフローチャートである。
図5図5は、同上の動作に含まれる漏洩検知処理のフローチャートである。
図6図6は、同上の動作に含まれる停止準備処理のフローチャートである。
図7図7Aは、同上の制御装置が端末を介して出力する表示画面の一例を示す図であり、図7Bは、同上の表示画面の他の一例を示す図である。
図8図8Aは、同上の表示画面のその他の一例を示す図であり、図8Bは、同上の表示画面の更にその他の一例を示す図である。
図9図9は、同上の制御装置が端末を介して出力する通知画面の一例を示す図である。
図10図10は、同上のガス供給制御システムの変形例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(1)概要
最初に、制御装置10、及びこれを含むガス供給制御システム100の要部について図1及び図2を用いて説明する。なお、本実施形態で挙げる具体的な数値は、いずれも単なる例示であり、適宜変更され得る。
【0034】
本開示の実施形態は、例えば、図1に示すようなガス供給制御システム100、に用いられる制御装置10である。制御装置10は、例えば、図1に示すように、ガス供給制御システム100を構成する燃料電池ユニット1に設けられるが、床暖房ユニット3に設けられてもよいし、その他の要素(補助熱源機2やガスメータ4等)に設けられてもよい。または、制御装置10は、燃料電池ユニット1等に取り付けられる付属のデバイスであるとは限らず、燃料電池ユニット1等とは別体の独立したデバイスでもよい。
【0035】
(1-1)ガス供給制御システム
ガス供給制御システム100は、漏洩検知部41を有する。
【0036】
(1-1-1)漏洩検知部
漏洩検知部41は、例えば、図1に示すように、ガスメータ4に設けられる。ガスメータ4は、需要家宅へのガス流GF0の流量、ひいては単位期間(例えば、30日、1か月等)当たりのガスの供給量(すなわち、需要家宅でのガス使用量)を計測する。ガスメータ4は、通常、需要家宅に設置されるが、宅外のガス管に沿う適宜な場所に設置されてもよい。需要家とは、ガス事業者からガスの供給を受け、ガスを利用する者である。需要家宅とは、通常、需要家が居住する住宅であるが、住宅以外の建物(例えば、需要家が管理する事務所や各種の施設など)でもよい。
【0037】
(1-1-1a)漏洩の発生の判断
漏洩検知部41は、ガス停止状態が所定期間に一度も又は所定回数以下しか検知されない場合に、ガス流GF0の漏洩が発生していると判断する。ガス停止状態とは、ガス供給源200から需要家宅に供給されるガス流GF0の流量が、一定時間以上継続して基準値以下である状態をいう。
【0038】
ガス流GF0とは、ガス事業者が管理するガス供給源200から需要家宅(不図示)へと配管されたガス管(不図示)、を通じで供給されるガスの流れである。流量とは、単位時間にガス管を流れる(つまり、ガス管の一の横断面を通過する)ガスの量(体積又は質量)である。流量の単位は、例えば、立方メートル/時、グラム/分などでもよい。
【0039】
ここでいう一定時間は、フローチャートで説明する第2閾値(図5参照)であり、例えば60分である。ただし、一定時間は、例えば、45分や2時間等でもよい。
【0040】
また、基準値は、例えば0、又は0とみなし得るほど小さい値(例えば、0.01立方メートル/時など)である。
【0041】
さらに、所定期間は、フローチャートで説明する第1閾値(図3参照)であり、例えば30日である。ただし、所定期間は、25日や40日など、30日以外の所定日数でもよいし、4週間などの週単位、又は1か月等の月単位などでもよい。そして、所定回数は、例えば、所定期間が1か月であれば1回、所定期間が40日であれば2回などのように、所定期間の長さに応じて決められることが好適である。
【0042】
(1-1-1b)具体的な判断例
ガス停止状態は、例えば“流量≦0.01立方メートル/時”の状態が60分以上継続している場合であってもよい。
【0043】
漏洩検知部41は、具体的には、例えば、“流量≦0.01立方メートル/時”の状態が60分以上継続しているガス停止状態が、30日に1度も検知されない場合(又は、例えば1か月に1回以下しか検知されない、等の場合)に、ガス流GF0の漏洩が発生していると判断してもよい。
【0044】
(1-1-2)燃料電池ユニット、補助熱源機及び床暖房ユニット
ガス供給制御システム100は、図1に示すように、燃料電池ユニット1と、補助熱源機2と、床暖房ユニット3と、を更に有する。
【0045】
(1-1-2a)燃料電池ユニット:第1発電電力EP1及び第1熱の発生源
燃料電池ユニット1は、ガス流GF0の一部を利用して発電を行い、第1発電電力EP1及び第1熱を発生させる。第1発電電力EP1は、需要家宅において消費される消費電力の一部となる。第1熱は、需要家宅で利用される温水HWの給湯のための給湯用熱の一部となる。本実施形態における燃料電池ユニット1は、後述する停止時間帯を除いて、第1発電電力EP1及び第1熱を常時発生させる。
【0046】
なお、本実施形態における燃料電池ユニット1は、第1発電電力EP1を出力する電源(本実施形態では、主電源である商用電源400に対し、補助電源)として機能する。ただし、第1発電電力EP1の大きさによっては、主電源及び補助電源の間の関係が入れ替わってもよい。また、燃料電池ユニット1は、発電時の排熱を利用することで、熱源(本実施形態では、補助熱源機2に対し、主熱源)としても機能する。
【0047】
このように、本実施形態では、通常、商用電源400から供給される商用電力が、消費電力の他の一部となる。言い換えると、燃料電池ユニット1単独では、消費電力に見合う第1発電電力EP1が得られない場合、その不足分は、商用電力で補われる。
【0048】
(1-1-2b)補助熱源機:第2熱の発生源
補助熱源機2は、部分ガス流FG1の少なくとも一部を利用して、第2熱を発生させ得る。
【0049】
つまり、補助熱源機2は、常時動作してなくてもよい。補助熱源機2は、例えば、温水HWの量が不足した場合や、温水HWの温度を高める場合にだけ動作してもよい。
【0050】
部分ガス流GF1とは、ガス流GF0の上記一部以外の部分、つまり、ガス供給源200からのガス流GF0のうち、燃料電池ユニット1で利用された部分以外の部分である。補助熱源機2では、通常、部分ガス流GF1の一部が利用され、その残りは、ガス調理器具の他のガス器具に供給される。ただし、他のガス器具がない場合は、補助熱源機2で部分ガス流FG1の全部が利用されてもよい。
【0051】
または、ガス流GF0がガスメータ4と燃料電池ユニット1との間で複数の部分ガス流(不図示)に分岐され、複数の部分ガス流が燃料電池ユニット1及び補助熱源機2などの複数の熱源機にそれぞれ供給されてもよい。
【0052】
補助熱源機2が発生した第2熱は、給湯用熱の他の一部となる。つまり、床暖房ユニット3に給湯される温水HWは、燃料電池ユニット1からの第1熱及び補助熱源機2からの第2熱の少なくとも一方で加熱されたものである。
【0053】
(1-1-2c)補助熱源機から床暖房ユニットへの給湯、及び給湯温度
補助熱源機2は、燃料電池ユニット1を補助する熱源機であり、例えば、給湯器であってもよい。給湯器は、第1熱及び第2熱の少なくとも一方で加温された温水HWを、例えば、床暖房ユニット3や浴室乾燥機(不図示)などに給湯する。本実施形態の補助熱源機2(給湯器)は、床暖房ユニット3への温水HWの水温(以下、単に「給湯温度」と記す)を予備暖房の際に高めて給湯する機能を有する。
【0054】
床暖房ユニット3への給湯温度は、例えば、複数の温度から選択される一の温度である。本実施形態における給湯温度は、40度、60度及び75度の3つの温度から選択される一の温度(つまり、3段階に変更可能)である。より詳しくは、給湯温度は、補助暖房の期間以外の期間(つまり、通常の床暖房の期間)では、40度及び60度の2つの温度から選択される一の温度であり、補助暖房の期間では、60度及び75度の2つの温度から選択される一の温度である。
【0055】
なお、給湯温度は、例えば、手動で設定された温度でも、制御装置10によって自動的に設定(又は設定変更)された温度でもよい。
【0056】
(1-1-2d)床暖房ユニット:温水の熱の床への放熱
床暖房ユニット3は、温水HWの給湯を受け、需要家宅の床を暖める床暖房を行う。
床暖房ユニット3へは、例えば、補助熱源機2又は給湯機(不図示)から温水HWが給湯される。床暖房ユニット3は、温水HWの熱を需要家宅の床に放熱する。
【0057】
温水HWは、前述したように、例えば、燃料電池ユニット1の第1熱のみで温められてもよいし、第1熱で温められた温水HWが、補助熱源機2の第2熱で適温まで更に温められてもよい。また、温水HWは、燃料電池ユニット1の故障時には、第2熱のみで加温されてもよい。
【0058】
(1-2)制御装置
制御装置10は、図2に示すように、停止時間帯決定部102と、床暖予備暖房部103と、熱源機停止部104と、を備える。
【0059】
(1-2-1)停止時間帯決定部
停止時間帯決定部102は、電力計測部301の計測結果を基に、所定期間内の一の日においてガス停止状態が実現される時間帯である停止時間帯を決定する。
【0060】
(1-2-1a)電力計測部
電力計測部301は、例えば、図1に示すように、需要家宅の分電盤300に設けられ、需要家宅における各種の電力を計測する。各種の電力とは、例えば、消費電力、第1発電電力EP1などである。
【0061】
(1-2-1b)計測対象:消費電力、発電電力など
電力計測部301は、少なくとも消費電力を計測する。また、電力計測部301は、燃料電池ユニット1の発電電力(第1発電電力EP1)を更に計測してもよい。さらに、電力計測部301は、第1発電電力EP1以外の発電電力、例えば、ソーラ発電ユニット700の発電電力(第2発電電力EP2:図10参照)などを更に計測してもよい。
【0062】
なお、停止時間帯の決定に用いられる計測結果は、例えば、消費電力であるが、余剰電力(発電電力の消費電力に対する差分)でもよい。ここで、「発電電力の消費電力に対する差分」とは、発電電力から消費電力を減算した結果(発電電力-消費電力)であり、正負の符号を含む。従って、余剰電力は、発電電力から消費電力を減算した結果であり、例えば、図7Bに示すように、余剰電力が負の値となる場合(0時~8時、及び15時以降)がある。
【0063】
(1-2-1c)一の日:ガス停止状態が実現される日
本実施形態における一の日は、所定期間内の予め決められた日である。予め決められた一の日は、例えば、所定期間の末日の近傍の予め決められた日である。末日の近傍の予め決められた日とは、例えば、末日から所定日数だけ前の日(具体的には、末日である30日目、末日の4日前である26日目など)である。ただし、一の日は、所定期間(例えば、1日目~30目までの30日間)の末日(例えば、30日目)でもよい。
【0064】
または、一の日は、所定の情報に基づいて動的に決定される日でもよい。つまり、停止時間帯決定部102は、更に、熱源機停止を行う一の日も決定してもよい。例えば、所定期間の末日から所定日数前(例えば、4日前)を基準日として、基準日前後の複数日のうち、過去の消費電力に関する履歴情報(消費電力履歴情報)を基に消費電力が最小となることが予測される日、が一の日に決定されてもよい。消費電力履歴情報は、例えば、過去の時間帯別の消費電力に関する消費電力情報を時系列に配列した情報、又は、消費電力情報と時刻情報との対の集合である。
【0065】
または、一の日は、例えば、予め決められた基準日(例えば、26日目)を含む複数の日(例えば、25日目から27日目までの3日)から、天気予報などの予測情報を基に決定される好適日でもよい。好適日は、例えば、基準日を含む複数の日のうち、消費電力が他の日と比べて低くなると予想される日である。好適日は、好ましくは、例えば、基準日を含む複数の日のうち、消費電力の最低値が最も低くなると予想される日である。ただし、好適日は、基準日を含む複数の日のうち、例えば、消費電力の最高値が最も低くなると予想される日でもよいし、消費電力の平均値(言い換えると、一日当たりの消費電力量)が最も低くなると予想される日でもよい。このような日は、具体的には、例えば、25日目から27日目までの3日を含む週間天気予報の中の予想最高気温が、当該3日の中で最も高い日などでもよい。
【0066】
(1-2-1d)停止時間帯
一の日においてガス停止状態が実現される時間帯は、例えば、図7Aに示すような、1か月(例えば12月)に渡る時間帯別の消費電力を示す折れ線グラフにおいて、消費電力が最少となる11時~12時の時間帯などでもよい。なお、時間帯の時間長は、1時間に限らず、45分や2時間等でもよい。
【0067】
(1-2-2)床暖予備暖房部
床暖予備暖房部103は、一の日の停止時間帯の到来前に予備暖房を行わせる。予備暖房とは、温水HWの床暖房ユニット3への給湯を開始することで需要家宅の床を予め暖めておく動作である。このような予備暖房は、例えば「床暖予備暖房」(床暖房ユニット3による予備暖房)と称してもよい。なお、ガスファンヒータ等による予備暖房でもよいが、床の蓄熱効果の点で床暖房がより好適である。
【0068】
予備暖房は、停止時間帯(例えば、11時~12時)の開始時点(例えば、11時)よりも所定時間(例えば、1時間)前の第1時点(例えば、10時)に開始され、停止時間帯の開始時点と同時(つまり、11時)または直前の第2時点(例えば、10時59分)に終了する。予備暖房は、このような第1時点から第2時点までの予備暖房時間帯(例えば、10時~10時59分)に渡って行われる。
【0069】
(1-2-3)熱源機停止部
熱源機停止部104は、一の日の停止時間帯に渡って燃料電池ユニット1及び補助熱源機2を停止状態にする。熱源機停止部104は、例えば、停止時間帯の開始タイミングで、ガスメータ4にガス供給停止信号を送信し、ガス流GF0を遮断させる。そして、停止時間帯の終了タイミングで、ガスメータ4にガス供給開始信号を送信し、ガス流GF0の遮断状態を解除させる。
【0070】
または、熱源機停止部104は、燃料電池ユニット1及び補助熱源機2への動作停止信号又は動作開始信号の送信により、燃料電池ユニット1及び補助熱源機2の動作を停止又は開始させてもよい。
【0071】
このように、本実施形態の制御装置10は、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100に用いられ、漏洩の誤検知の回避のための熱源機の一時停止、及び快適性の維持のための予備暖房を行わせる。これにより、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100の大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0072】
(2)詳細
次に、制御装置10及びガス供給制御システム100の詳細について説明する。なお、以下では、概要説明での既出事項についての説明は省略又は簡略化している。
【0073】
(2-1)停止時間帯決定部の詳細
停止時間帯決定部102は、例えば、一の日のうち、消費電力が他の時間帯より低くなる時間帯を停止時間帯に決定する。この場合の停止時間帯は、例えば、図7Aに示すように、一の日において消費電力が最低となる時間帯(図7Aの例では、11時~12時の時間帯)である。ただし、停止時間帯は、例えば、一の日において消費電力が他の時間帯(例えば、前後の時間帯)より低くなる時間帯(局所的に最低となる時間帯:図7Aの例では、5時~6時の時間帯)でもよい。
【0074】
これにより、消費電力に基づいて、停止時間帯を的確に設定できる。つまり、消費電力が低くなる時間帯に燃料電池ユニット1等を停止させることで、燃料電池ユニット1及び補助熱源機2の停止による影響の抑制を図ることができる。
【0075】
(2-2)通信部及び端末
制御装置10は、通信部105を更に備える。通信部105は、停止時間帯決定部102が決定した停止時間帯に関する通知を端末600に送信する。
【0076】
端末600は、例えば、需要家が携帯するスマートフォン等の携帯端末である。または、端末600は、例えば、燃料電池ユニット1に付属する壁掛けリモコンなどでもよい。端末600は、例えば、無線通信回線網やLANなどのネットワーク、接続ケーブルなどを介して制御装置10と通信可能に接続される。
【0077】
(2-2-1)停止時間帯に関する通知
通知は、例えば、プッシュ通知であるが、メールなどによる通知でもよい。プッシュ通知は、需要家への情報伝達をより早く、より確かに行える点で、開封を要するメールよりも好適である。ただし、メールであっても、より早期に送信を行うことで、情報伝達の確実化を図ることができる。
【0078】
通知の内容は、例えば、決定された停止時間帯、及び予備暖房の推奨などである。停止理由なども含まれていてもよい。
【0079】
端末600は、通知を受信し、通知画面を表示する。通知画面は、例えば、通知内容を示す文字列を含む。ここでの文字列は、例えば“ガス漏れ検知の回避のため下記の1時間だけ燃料電池が使えなくなります。燃料電池停止期間は12月26日11:00~12:00です。燃料電池の停止前に床暖房で室内を暖めておく床暖予備暖房をお勧めします。”などでもよい。
【0080】
これにより、燃料電池ユニット1等の熱源機の一時停止の実施とその時間帯を、携帯端末や壁掛けリモコン等の端末600を介して需要家に通知できる。
【0081】
(2-2-2)予備暖房の要否確認
通信部105は、床暖予備暖房部103による予備暖房の要否確認、つまり予備暖房の実行の要否に関する問い合わせを更に送信する。
【0082】
問い合わせは、例えば、停止時間帯に関する通知に続けて送信される。ただし、通知と問い合わせとは、同時に送信されてもよいし、順序が相前後して概ね同時に送信されても構わない。または、一の送信情報の中に、通知及び問い合わせに対応する2種類の情報が含まれていてもよい。
【0083】
端末600は、問い合わせを受信し、問い合わせ画面を表示する。問い合わせ画面は、例えば、問い合わせ内容を示す文字列、及び問い合わせに対する回答用の画像などを含む。ここでの文字列は、例えば“床暖予備暖房を実施しますか?”などでもよい。画像は、例えば、問い合わせに対する二通りの回答である“はい(要)”及び“いいえ(不要)、に対応する2つのボタンの画像(図9参照)などでもよい。
【0084】
または、端末600は、例えば、図9に示すような、通知及び問い合わせの2種類の情報を含む一の画面(通知兼問い合わせ画面)を表示してもよい。図9の画面には、前述した通知画面の通知内容及び前述した問い合わせ画面の問い合わせ内容と同様の情報に加えて、床暖房ユニット3による予備暖房が実施される時間帯を示す情報(例えば“床暖予備暖房の実施期間 12月26日10:00~11:00”等の文字列)が更に含まれている。
【0085】
問い合わせの送信後、通信部105は、問い合わせに対する返信として、要及び不要のいずれか一方を示す要否情報を受信する。通信部105が要を示す要否情報を受信した場合に、床暖予備暖房部103は、予備暖房時間帯に渡って、補助熱源機2を介して床暖房ユニット3による予備暖房を実行する。
【0086】
こうして、端末600を介して予備暖房の要否確認を行うことで、需要家の判断に応じて予備暖房を実行できる。
【0087】
(2-3)予備暖房の際の給湯温度:相対的に高い給湯温度
床暖予備暖房部103は、予備暖房の実行の際に、補助熱源機2を介して、床暖房ユニット3に給湯される温水HWの温度(給湯温度)を高くする。
【0088】
(2-3-1)給湯温度を高くする際の基準温度
給湯温度を高くする際の基準となる温度(基準温度)は、予備暖房の実行前の温水HWの温度であり、例えば、現在の設定温度である。
【0089】
床暖予備暖房部103は、予備暖房の実行の際に、例えば、補助熱源機2(又は床暖房ユニット3)に対する設定温度を、現在の設定温度よりも高くする。予備暖房での給湯温度は、例えば、前述した3段階の温度において、現在の設定温度(通常の床暖房の期間に設定される40度及び60度の2つの温度のいずれか)の1段上の温度(つまり、現在の設置温度が40度の場合は60度、現在の設置温度が60度の場合は75度)に設定される。例えば、現在の設定温度が40度であれば、予備暖房の際の給湯温度は、40度より1段上の60度に変更される。また、現在の設定温度が60度であれば、予備暖房の際の給湯温度は、60度より1段上の75度に変更される。
【0090】
または、給湯温度を高くする際の基準となる温度は、例えば、一の日の近傍の日(好ましくは、直近の日:通常、前日)の、停止時間帯に対応する時間帯(同時間帯)での、床暖房ユニット3への給湯温度であってもよい。このような温度は、具体的には、例えば、一の日の前日である25日目の同時間帯(11時~12時)に設定されていた設定温度である。なお、前日の同時間帯に床暖房を使用していない場合は、それより前(前々日等)での給湯温度(設定温度)でもよい。
【0091】
つまり、床暖予備暖房部103は、予備暖房の実行の際に、床暖房ユニット3への給湯温度が、一の日の前日(例えば、25日目)の同時間帯での床暖房ユニット3への給湯温度よりも1段階高くなるように、給湯温度の設定を変更する。具体的には、例えば、前日の同時間帯の給湯温度が40度であれば、予備暖房の際の給湯温度は60度に変更される。また、前日の同時間帯の設定温度が60度であれば、予備暖房の際の給湯温度は、75度に変更される。
【0092】
または、床暖予備暖房部103は、例えば、所定期間(1日目~30日目)における一の日(26日目)より前の期間(例えば、1日目~25日目までの25日間)の同時間帯(11時~12時)における床暖房の平均設定温度を算出してもよい。そして、床暖予備暖房部103は、予め決められた複数の温度(例えば、40度及び60度)のうち、算出結果に最も近い温度を基準温度として、基準温度から1段階高い温度に設定変更してもよい。具体的には、例えば、平均給湯温度が40度であれば、予備暖房の際の給湯温度は60度に変更される。また、前日の同時間帯の設定温度が60度であれば、予備暖房の際の給湯温度は、75度に変更される。
【0093】
(2-3-2)予備暖房の際の給湯パラメータの制御
ただし、単に給湯温度を高くしたのでは、例えば、室温が高くなり過ぎて快適性が損なわれるなど、温度変化による違和感が生じる場合があり得る。そこで、補助熱源機2は、予備暖房の際に、給湯パラメータを決定し、決定した給湯パラメータに従って床暖房ユニット3への出湯を行う。
【0094】
給湯パラメータとは、床暖房ユニット3から床への放熱量を制御するための、床暖房ユニット3に給湯される温水HWに関するパラメータである。給湯パラメータは、例えば、床暖房ユニット3に給湯される温水HWの温度、つまり前述した給湯温度を含む。また、給湯パラメータは、例えば、単位時間に床暖房ユニット3に給湯される温水HWの量、を更に含む。本実施形態では、補助熱源機2が、床暖房ユニット3への温水HWを通したり遮断したりする(つまり、間欠的な給湯を実現する)ための熱動弁を有しており、給湯パラメータは、例えば、給湯温度と熱動弁開率との組である。
【0095】
熱動弁開率とは、単位時間のうち熱動弁が開いている状態(開状態)にある時間の割合(百分率)である。熱動弁開率は、例えば、熱動弁の開閉に関する周期の中で、開状態にある時間が占める割合(例えば、75%や50%等)である。本実施形態における熱動弁開率は、通湯時間(開状態にある時間)を周期(1周期に対応する時間)で除算した結果(熱動弁開率=通湯時間/周期)である。周期は、例えば、20分であるが、40分等でもよい。
【0096】
床暖房ユニット3からの放熱量は、熱動弁開率の増大に応じて、例えば、図8Bに実線で示すグラフ(細線、中線、太線で示す3本のグラフ)ように上昇する。そして、放熱量の上昇率は、通湯温度によって異なる。具体的には、図8Bに示すように、通湯温度が40度の場合は、細い実線で示すグラフのように、増加率が相対的に小さいのに対し、通湯温度が60度の場合は、中太の実線で示すグラフのように、増加率が相対的に大きくなる。さらに、通湯温度が75度になると、太い実線で示すグラフのように、増加率が更に大きくなる。
【0097】
床暖予備暖房部103は、予備暖房を行う際、給湯温度を、基準温度より1段階高く変更する(例えば、40度から60度に変更する、又は60度から75度に変更する)と共に、変更後の給湯温度での予備暖房の期間における床暖房ユニット3からの放熱量が、基準温度での通常の床暖房の期間における放熱量に対して、k倍(ただし、k>1)となるように、熱動弁開率を制御する。係数kの値は、例えば1.2であるが、1.1~1.5といった適宜な範囲の値でもよい。なお、以下では、k=1.2とする。
【0098】
図8Bにおいて、細い点線で示されたグラフは、給湯温度が40度の状態で熱動弁開率を1.2倍にした場合の、熱動弁開率と放熱量との関係を示している。また、中太の点線で示されたグラフは、給湯温度が60度の状態で熱動弁開率を1.2倍にした場合の、熱動弁開率と放熱量との関係を示している。
【0099】
(2-3-3)給湯パラメータ制御の具体例
例えば、基準となる給湯温度(基準温度)が40度で、基準となる熱動弁開率(基準熱動弁開率)が60%である場合(すなわち、基準となる給湯パラメータが“40℃通湯,熱動弁開率60%”の場合)は、床暖房ユニット3からの放熱量が約60[W/m]となるため、床暖予備暖房部103は、この放熱量(約60[W/m])に応じた予備暖房の際の暖房能力(1.2×60[W/m])として、給湯パラメータを“60℃通湯、熱動弁開率20%”と設定する。
【0100】
つまり、床暖予備暖房部103は、予備暖房を行う際、給湯温度を40度から60度に上げる一方、熱動弁開率を60%から20%に下げることで、予備暖房の際の放熱量を、通常の床暖房の際の放熱量に対して1.2倍となるように制御できる。
【0101】
また、例えば、基準温度が60度で、基準熱動弁開率が60%である場合(すなわち、基準となる給湯パラメータが“60℃通湯,熱動弁開率60%”の場合)は、床暖房ユニット3からの放熱量が約120[W/m]となるため、床暖予備暖房部103は、この放熱量(約120[W/m])に応じた予備暖房の際の暖房能力(1.2×120[W/m])として、給湯パラメータを“75℃通湯、熱動弁開率40%”と設定する。
【0102】
つまり、床暖予備暖房部103は、予備暖房を行う際、給湯温度を60度から75度に上げる一方、熱動弁開率を60%から40%に下げることで、予備暖房の際の放熱量を、通常の床暖房の際の放熱量に対して1.2倍となるように制御できる。
【0103】
こうして、給湯温度を高くすることにより、予備暖房の際の床の温度が、通常の床暖房の場合のそれと比べて上昇し、床の蓄熱効果によって、停止時間帯における暖房効果の持続が図られる。また、給湯温度を高くする一方、熱動弁開率を下げることによって、給湯温度の上昇に伴う床からの放熱量の増大が抑制され、暖房効果の維持と共に、快適性の維持も図られる。
【0104】
(2-3-4)予備暖房の利点
このように、予備暖房では給湯温度を高く設定し、床の蓄熱効果を活用することで、快適性の維持をより長い時間にわたって図ることができる。特に、給湯温度を含む給湯パラメータ(例えば、給湯温度及び熱動弁開率の組)を制御することで、床の温度を高めつつ床からの放熱量の増大の抑制を図ることが可能となり、快適性の向上(例えば、温度変化による違和感の抑制)を図ることができる。
【0105】
(2-3-5)床暖予備暖房の変形例:使用状況に基づく自動決定
この変形例において、床暖予備暖房部103は、需要家宅での床暖房ユニット3の使用状況を基に、予備暖房を実行するか否かを自動的に決定する。
【0106】
使用状況は、例えば、床暖房使用率の時間変化(時間帯別の床暖房使用率など)である。記憶部101が、床暖房に関して使用及び不使用のいずれかを示す床暖使用状態情報を時系列に(又は時刻情報と対応付けて)メモリ(後述)に記憶させていくことで、床暖房の使用履歴に関する床暖使用履歴情報が構成される。
【0107】
床暖予備暖房部103は、例えば、メモリに記憶されている床暖使用履歴情報を基に、停止時間帯における床暖房の平均使用率を算出し、算出結果が閾値(例えば、50%など)以上である場合に、予備暖房を実施すると決定してもよい。
【0108】
停止時間帯における床暖房の平均使用率は、例えば、図8Aに示すような、時間ごと(時間帯別)の平均使用率を示す情報(使用率推移情報)を基に取得されてもよい。図8Aの使用率推移情報からは、例えば、停止時間帯“11時~12時”に対応する平均使用率として、約60%が取得される。閾値が50%の場合、平均使用率約60%は、閾値50%を上回るため、予備暖房を実施すると決定される。
【0109】
このように、需要家宅での床暖房の使用状況(停止時間帯における床暖房の使用率等)に応じて予備暖房を自動実行できる。
【0110】
(3)具体例
次に、制御装置10及びガス供給制御システム100の具体例を説明する。なお、以下では、既出事項についての説明は省略又は簡略化している。
【0111】
ガス供給源200からガスの供給を受ける需要家宅には、例えば、図1に示すようなガス供給制御システム100が設けられている。ガス供給制御システム100は、燃料電池ユニット1、補助熱源機2、床暖房ユニット3及びガスメータ4を備える。
【0112】
ガス供給源200から需要家宅へのガス流GF0は、ガス供給制御システム100を構成するガスメータ4を介して燃料電池ユニット1に供給される。燃料電池ユニット1は、ガス流GF0の一部を利用して発電を行い、第1発電電力EP1を出力し、かつ温水HWを出湯する。燃料電池ユニット1が発電した第1発電電力EP1は、需要家宅の分電盤300に入力され、燃料電池ユニット1が出湯した温水HWは、補助熱源機2に給湯される。
【0113】
補助熱源機2へは、ガス流GF0のうち燃料電池ユニット1での利用分を除く部分ガス流GF1と、燃料電池ユニット1からの温水HWとが供給され、補助熱源機2は、部分ガス流GF1を利用して温水HWを加温し、加温後の温水HWを床暖房ユニット3に給湯する。
【0114】
床暖房ユニット3は、補助熱源機2からの温水HWの熱を需要家宅の床に放熱することで、床暖房(通常の床暖房、及び熱源機停止前の床暖補助暖房)を実現する。
【0115】
分電盤300には、主電源である商用電源400からの商用電力が更に入力され、分電盤300は、この商用電力、及び燃料電池ユニット1からの第1発電電力EP1を基に、ガス供給制御システム100及び需要家宅の電気機器500の各々に、各々が動作するための電力を供給する。
【0116】
ガスメータ4は、漏洩検知部41を備え、漏洩検知部41は、ガスメータ4から燃料電池ユニット1へのガス流GF0の漏洩(ひいては燃料電池ユニット1から補助熱源機2への部分ガス流GF1等の漏洩)を検知する。
【0117】
分電盤300は、電力計測部301を備え、電力計測部301は、需要家宅での消費電力、及び燃料電池ユニット1からの第1発電電力EP1等を計測する。
【0118】
燃料電池ユニット1(制御装置10)は、例えば、ネットワークや接続ケーブル等を介して、補助熱源機2、床暖房ユニット3及びガスメータ4の各々と通信可能に接続されている。また、燃料電池ユニット1(制御装置10)は、例えば、ネットワークや通信回線網等を介して、端末600と通信可能に接続され得る。
【0119】
燃料電池ユニット1は、制御装置10を備える。制御装置10は、プロセッサ及びメモリを有し、メモリには、プログラム及び各種の情報が記憶される。各種の情報とは、例えば、消費電力情報、消費電力履歴情報、床暖使用状態情報、床暖使用履歴情報、使用率推移情報など(いずれも前述)である。また、メモリには、例えば、図7A図9に示す各種の画面を構成するための画面構成情報が記憶される。画面構成情報は、例えば、文字列を表示するための文字情報、ボタンなどの画像を表示するための画像情報、文字列等の画面内での配置を示すレイアウト情報などを含む。さらに、メモリには、図3図6のフローチャートにおける各種の処理の実行タイミングを示すタイミング情報が予め記憶されている。
【0120】
なお、ここでいうメモリは、制御装置10の内蔵メモリに限らず、制御装置10のプロセッサがアクセス可能なメモリであれば、例えば、制御装置10と通信可能に接続された外部装置(不図示)のメモリなど、どのメモリでもよい。また、メモリは、半導体メモリに限らず、磁気ディスクなどの各種の記憶媒体も含んでよい。
【0121】
制御装置10のプロセッサが、メモリ内のプログラム及び各種の情報に基づいて、漏洩検知部41の検知結果及び電力計測部301の計測結果を利用しつつ動作(さらには、燃料電池ユニット1,補助熱源機2,床暖房ユニット3及び端末600と協働)することで、図2に示す各部の機能、ひいては図3図6に示す一連の処理が実現される。
【0122】
制御装置10は、詳しくは、図2に示すように、記憶部101、停止時間帯決定部102、床暖予備暖房部103、熱源機停止部104及び通信部105(いずれも前述)を備える。
【0123】
なお、所定期間が経過したか否かは、例えば、第1タイマの値を基に判断される(後述するフローチャートのステップS1,S2:図3参照)。第1タイマとは、所定期間(例えば、30日間)の開始時点(例えば、1日目の0時)からの経過時間を計時するためのタイマであり、例えば、制御装置10が有するプロセッサ(後述)の内蔵時計を利用して実現される。
【0124】
また、ガス流GF0の流量が基準値以下である状態が一定時間以上継続したか否か(つまり、ガス停止状態か否か)は、例えば、第2タイマの値を用いて判断される(ステップS303,S304:図5参照)。第2タイマとは、流量が基準値を超えている(“流量>基準値”である)状態から流量が基準値以下である(“流量≦基準値”である)状態への状態変化、が生じてからの経過時間(つまり、流量が基準値以下となってからの経過時間)を計時するためのタイマであり、例えば、プロセッサの内蔵時計を利用して実現される。
【0125】
さらに、漏洩が発生しているか否かは、例えば、漏洩フラグを基に判断される(ステップS4,S301,S305:図3及び図5参照)。漏洩フラグとは、漏洩している状態か否かを示す情報であり、セット状態が漏洩している状態を、リセット状態が漏洩していない状態を、それぞれ示す。
【0126】
(4)制御装置の動作例
次に、制御装置10の動作例について説明する。なお、以下では、既出事項についての説明は省略又は簡略化している。
【0127】
制御装置10は、例えば、図3図6のフローチャートに従って動作する。なお、図3図6のフローチャートの処理は、例えば、制御装置10の起動に応じて開始される。また、図3図6のフローチャートの処理は、燃料電池ユニット1の停止中も継続される。さらに、図3図6のフローチャートでは、ステップS2~S16のループが、所定時間に1回(例えば、1分に1回:1分周期)で実行されることで、漏洩検知を常時行いながら、熱源機の一時停止、及び熱源機の一時停止前の床暖予備暖房の実現を図ることができる。
【0128】
(4-1)全体動作
処理が開始されると、制御装置10は、第1タイマをリセット及びスタートさせる(ステップS1)。次に、制御装置10は、第1タイマの値は第1閾値(例えば、24時間×25日)以下か否かを判断する(ステップS2)。ここで第1タイマの値は第1閾値以下でない(No:つまり第1閾値より大である)と判断された場合、処理はステップS1に戻る。
【0129】
ステップS2で第1タイマの値は第1閾値以下である(Yes)と判断された場合、制御装置10は、漏洩検知処理を実行する(ステップS3)。なお、漏洩検知処理については、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0130】
次に、制御装置10は、漏洩フラグはセット状態か否かを判断する(ステップS4)。ここで漏洩フラグはセット状態でない(No:つまりリセット状態である)と判断された場合、処理はステップS6に進む。
【0131】
ステップS4で漏洩フラグはセット状態である(Yes)と判断された場合、制御装置10は、通信部105及び端末600を介して需要家に漏洩警告を通知する(ステップS5)。その後、この処理は終了される。
【0132】
なお、端末600が需要家の携帯端末であれば、需要家の外出中に需要家宅でガス漏れが発生した場合でも、ガス漏れの発生を需要家に警告できる。また、警告を受けた需要家は、ガス漏れの点検等を依頼し、対処が完了した後に制御装置10を再起動することで、処理が再開される。
【0133】
制御装置10は、メモリ内のスケジュール情報を基に、停止準備処理の実行タイミングか否かを判断する(ステップS6)。停止準備処理とは、燃料電池ユニット1等の熱源機の停止に関する準備のための処理である。ここで停止準備処理の実行タイミングではない(No)と判断された場合、処理はステップS8に進む。
【0134】
ステップS6で停止準備処理の実行タイミングである(Yes)と判断された場合、制御装置10は、停止準備処理を実行する(ステップS7)。なお、停止準備処理については、図6のフローチャートを用いて説明する。その後、処理はステップS2に戻る。
【0135】
ステップS6で停止準備処理の実行タイミングではない(No)と判断された場合、制御装置10は、予備暖房が必要か否かを判断する(ステップS8)。ここで予備暖房が必要でない(No:つまり不要)と判断された場合、処理はステップS13に進む。
【0136】
ステップS8で予備暖房が必要である(Yes)と判断された場合、制御装置10は、スケジュール情報を基に、予備暖房の開始タイミングか否かを判断する(ステップS9)。ここで予備暖房の開始タイミングではない(No)と判断された場合、処理はステップS11に進む。
【0137】
ステップS9で予備暖房の開始タイミングである(Yes)と判断された場合、制御装置10は、床暖予備暖房部103に命じて床暖予備暖房を開始させる(ステップS10)。その後、処理はステップS2に戻る。
【0138】
ステップS9で予備暖房の開始タイミングではない(No)と判断された場合、制御装置10は、予備暖房の終了タイミングか否かを判断する(ステップS11)。ここで予備暖房の終了タイミングではない(No)と判断された場合、処理はステップS13に進む。
【0139】
ステップS11で予備暖房の終了タイミングである(Yes)と判断された場合、制御装置10は、床暖予備暖房部103に命じて床暖予備暖房を終了させる(ステップS12)。その後、処理はステップS13に進む。
【0140】
ステップS11で予備暖房の終了タイミングではない(No)と判断された場合、制御装置10は、熱源機停止のタイミングか否かを判断する(ステップS13)。ここで熱源機停止のタイミングではない(No)と判断された場合、処理はステップS15に進む。
【0141】
ステップS13で熱源機停止のタイミングである(Yes)と判断された場合、制御装置10は、燃料電池ユニット1及び補助熱源機2を停止させる(ステップS14)。その後、処理はステップS2に戻る。
【0142】
ステップS13で熱源機停止のタイミングではない(No)と判断された場合、制御装置10は、停止解除のタイミングか否かを判断する(ステップS15)。ここで停止解除のタイミングではない(No)と判断された場合、処理はステップS2に戻る。
【0143】
ステップS15で停止解除のタイミングである(Yes)と判断された場合、制御装置10は、燃料電池ユニット1及び補助熱源機2の停止状態を解除する(ステップS16)。その後、処理はステップS2に戻る。
【0144】
(4-2)漏洩検知処理
ステップS3の漏洩検知処理は、例えば、図5のフローチャートに従って実行される。
【0145】
最初に、制御装置10は漏洩フラグをリセットする(ステップS301)。
【0146】
次に、制御装置10は、ガス流GF0の流量と基準値の大小関係に関して、“流量>基準値”の状態から“流量≦基準値”の状態への状態変化が生じたか否かを判断する(ステップS302)。ここで“流量>基準値”の状態から“流量≦基準値”の状態への状態変化が生じていない(No:つまり“流量>基準値”の状態のままか、又は“流量≦基準値”のままである)と判断された場合、処理はステップS304に進む。
【0147】
ステップS302で“流量>基準値”の状態から“流量≦基準値”の状態への状態変化が生じた(Yes)と判断された場合、第2タイマをリセット及びスタートさせる(ステップS303)。その後、処理は上位のフローチャート(図3及び図4参照)にリターンする(戻る:以下同様)。
【0148】
ステップS301で“流量>基準値”の状態から“流量≦基準値”の状態への状態変化は生じていないと判断された場合、制御装置10は、第2タイマの値は第2閾値(例えば、60分)以上か否かを判断する(ステップS304)。ここで第2タイマの値は第2閾値以上でない(No:つまり、第2閾値未満である)と判断された場合、処理は上位のフローチャート(図3及び図4参照)にリターンする。
【0149】
ステップS304で第2タイマの値は第2閾値以上である(Yes)と判断された場合、制御装置10は漏洩フラグをセットする(ステップS305)。その後、処理は上位のフローチャート(図3及び図4参照)にリターンする。
【0150】
(4-3)停止準備処理
ステップS7の停止準備処理は、例えば、図6のフローチャートに従って実行される。
【0151】
最初に、制御装置10は、消費電力履歴情報(又は余剰電力履歴情報:後述)を基に停止時間帯を決定する(ステップS701)。
【0152】
次に、制御装置10は、床暖房ユニット3への給湯に関する給湯パラメータ(例えば、給湯温度、及び)を決定する(ステップS702)。
【0153】
次に、制御装置10は、通信部105及び端末600を介して、需要家に停止予告を通知する(ステップS703)。
【0154】
次に、制御装置10は、通信部105及び端末600を介して、需要家に予備暖房の提案、及び予備暖房が必要か否かの問合せを行う(ステップS704)。需要家は、予備暖房の提案を受け、予備暖房の要否を示す要否情報を、端末600を介して制御装置10に返信する。制御装置10は、通信部105を介して要否情報を受信する。その後、処理は上位のフローチャート(図3及び図4参照)にリターンする。
【0155】
なお、図3図6のフローチャートの処理は一例であり、適宜変更されてよい。例えば、ステップS1~S5に対応する処理(漏洩検知に関連する漏洩検知関連処理)と、ステップS6~S16に対応する処理(熱源制御に関連する熱源制御関連処理)とは、別々の処理であってもよく、これら2つの処理(漏洩検知関連処理及び熱源制御関連処理)が並列的に(例えば、複数のプロセッサによって並列に、又は一のプロセッサによって時分割で)実行されてもよい。その際、漏洩検知関連処理及び熱源制御関連処理の実行周期を互いに異ならせてもよい。例えば、漏洩検知関連処理の実行周期を閾値より短くする一方、熱源制御関連処理の実行周期を閾値より長くする(具体的には、例えば、漏洩検知関連処理を1分周期で、熱源制御関連処理を10分周期で、それぞれ実行する)ことで、漏洩検知の精度を高めつつ処理量の抑制を図ることができる。
【0156】
また、図3図6のフローチャートでは、ステップS7,S10,S14,S16の各々の後、ステップS2にいったん戻っているが、例えば、ステップS7の後、直接ステップS8に進んだり、ステップS10の後、直接ステップS11に進んだり、ステップS14の後、直接ステップS15に進んだりしてもよい。ただし、ステップS7,S10,S14,S16の各々の後、ステップS2にいったん戻ることで、ステップS3の漏洩検知処理の実行周期の乱れの回避、ひいては漏洩検知の精度維持を図ることができる。さらに、図3図6のフローチャートでは、ステップS4,S6,S8,S13,S15(各種の判断)の順序が適宜入れ替わっても、漏洩検知を行いながら、熱源機の一時停止及び一時停止前の床暖予備暖房の実現を図ることができる。
【0157】
(4-4)端末での画面表示
なお、図7A図8Bの各画面は、例えば、ステップS7の停止準備処理中に端末600を介して行われる画面表示指示に応じて、制御装置10から端末600に消費電力履歴情報及び画面構成情報等が送信されることで、端末600に表示されてもよい。ただし、図7A図8Bの各画面の表示のタイミングは、停止準備処理中に限らない。
【0158】
または、消費電力履歴情報等の情報は、制御装置10における内部処理にのみ利用され、消費電力履歴情報等に基づく図7A図8Bの各画面の表示機能はなくてもよい。
【0159】
(5)実施形態の利点
この実施形態の制御装置10によれば、燃料電池ユニット1、補助熱源機2及び床暖房ユニット3を備え、かつ漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100に用いられ、ガス供給制御システム100の大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0160】
(6)ガス供給制御システムの変形例:ソーラ発電ユニットが併設されている場合
次に、実施形態の変形例を説明する。なお、以下では、実施形態におけるものと共通の事項に関する説明は省略又は簡略化し、相違点を詳しく説明する。
【0161】
この変形例において、需要家宅には、図10に示すように、ガス供給制御システム100に加えて、ソーラ発電ユニット700が設けられている。ソーラ発電ユニット700は、需要家宅での消費電力の他の一部となる第2発電電力EP2を発生させる。
【0162】
電力計測部301は、消費電力に加えて、燃料電池ユニット1からの第1発電電力EP1及びソーラ発電ユニット700からの第2発電電力EP2を更に計測する。
【0163】
停止時間帯決定部102は、一の日のうち、余剰電力が他の時間帯より高くなる時間帯を、停止時間帯に決定する。余剰電力とは、第1発電電力EP1及び第2発電電力EP2を含む合計発電電力の、消費電力に対する差分(合計電力から消費電力を減算した結果)である。
【0164】
この場合の停止時間帯は、例えば、図7Bに示すように、一の日において余剰電力が最高となる時間帯(図7Bの例では、11時~12時の時間帯)である。ただし、停止時間帯は、例えば、一の日において消費電力が他の時間帯(例えば、前後の時間帯)より低くなる時間帯(局所的に最低となる時間帯:図7Bの例では、5時~6時の時間帯)でもよい。
【0165】
なお、需要家が、例えば風力発電システム(不図示)といった、その他の発電システムを有する場合、合計発電電力には、当該その他の発電システムの発電電力が更に含まれていてもよい。
【0166】
このように、前述した実施形態に対し、本変形例では、ソーラ発電ユニット700からの第2発電電力EP2が加わることで余剰電力が生じる場合があり、余剰電力が多くなる時間帯に燃料電池ユニット1等を停止させる。これにより、余剰電力に基づいて、停止時間帯を的確に設定できる。つまり、余剰電力が多くなる時間帯に燃料電池ユニット1等を停止させることで、燃料電池ユニット1及び補助熱源機2の停止による影響の抑制を図ることができる。
【0167】
(6-1)変形例に対応する具体例
本変形例に対応する具体例では、燃料電池ユニット1からの第1発電電力EP1、及びソーラ発電ユニット700からの第2発電電力EP2、の合計発電電力が消費電力を上回り、余剰電力が生じた場合に、その余剰電力は、例えば、燃料電池ユニット1が有する蓄電池(不図示)に蓄電されたり、商用電源400を管理する電力事業者に売電されたりしてもよい。
【0168】
記憶部101は、余剰電力情報を時系列にメモリに更に記憶させ、それによって、メモリ内において余剰電力履歴情報が更に構成される。余剰電力情報とは、余剰電力に関する情報であり、余剰電力は、第1発電電力EP1及び第2発電電力EP2を含む合計発電電力から消費電力を減算することにより算出される。余剰電力履歴情報は、過去の時間帯別の余剰電力に関する余剰電力情報を時系列に配列した情報、又は、余剰電力情報と時刻情報との対の集合である。
【0169】
端末600には、例えば、図7Bに示すような時間帯別の余剰電力を示す画面が更に表示されてもよい。
【0170】
(7)ガス供給制御システムの他の変形例
ガス供給制御システム100において、例えば、燃料電池ユニット1が補助熱源機2を内蔵していてもよい。さらに、補助熱源機2を内蔵した燃料電池ユニット1と、床暖房ユニット3との間に、給湯器(不図示)が介在してもよい。
【0171】
(8)実施形態の第1変形例:制御装置付き燃料電池ユニット
本実施形態の第1変形例は、制御装置10を備える燃料電池ユニット1である。
【0172】
この変形例では、燃料電池ユニット1は、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100に用いられ、制御装置10を備える。そして制御装置10が、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニット1等の熱源機の一時停止、及び快適性の維持のための床暖房ユニット3による予備暖房を行わせる。従って、この変形例によれば、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100の大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0173】
(9)実施形態の第2変形例:制御装置付き床暖房ユニット
本実施形態の第2変形例は、制御装置10を備える床暖房ユニット3である。
【0174】
この変形例では、床暖房ユニット3は、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100に用いられ、制御装置10を備える。そして制御装置10が、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニット1等の熱源機の一時停止、及び快適性の維持のための床暖房ユニット3による予備暖房を行わせる。従って、この変形例によれば、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100の大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【0175】
(10)実施形態の第3変形例:制御装置付きガス供給制御システム
本実施形態の第3変形例は、制御装置10を備えるガス供給制御システム100である。ガス供給制御システム100は、漏洩検知機能を有し、制御装置10を備える。そして制御装置10が、漏洩の誤検知の回避のための燃料電池ユニット1等の熱源機の一時停止、及び快適性の維持のための床暖房ユニット3による予備暖房を行わせる。従って、この変形例によれば、漏洩検知機能を有するガス供給制御システム100の大規模化を回避しつつ、漏洩の誤検知の回避と快適性の維持との両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0176】
100 ガス供給制御システム
1 燃料電池ユニット
10 制御装置
101 記憶部
102 停止時間帯決定部
103 床暖予備暖房部
104 熱源機停止部
105 通信部
2 補助熱源機
3 床暖房ユニット
4 ガスメータ
41 漏洩検知部
200 ガス供給源
300 分電盤
301 電力計測部
400 商用電源
500 電気機器
600 端末
700 ソーラ発電ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10