(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154103
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241023BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241023BHJP
H01M 8/04492 20160101ALI20241023BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20241023BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20241023BHJP
H01M 8/04828 20160101ALI20241023BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241023BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/0432
H01M8/04492
H01M8/04746
H01M8/04701
H01M8/04828
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067736
(22)【出願日】2023-04-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】當山 広幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】高野 洋
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC02
5H127BA02
5H127BB02
5H127CC06
5H127DB17
5H127DB37
5H127DB74
5H127DB92
5H127DB93
5H127DC76
5H127DC79
(57)【要約】
【課題】本開示は、排気ガスにおいて白煙の発生を抑制する燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、前記燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、前記燃料電池セルから排出される排気ガスと第1熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスと第2熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、を備え、前記第1熱媒体は、前記冷却ユニットから前記燃料電池ユニットに供給される熱媒体から分岐され、前記第2熱媒体は、前記燃料電池ユニットから前記冷却ユニットに戻る熱媒体から分岐される燃料電池システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、
前記燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、
前記燃料電池セルから排出される排気ガスと第1熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、
前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスと第2熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、
を備え、
前記第1熱媒体は、前記冷却ユニットから前記燃料電池ユニットに供給される熱媒体から分岐され、
前記第2熱媒体は、前記燃料電池ユニットから前記冷却ユニットに戻る熱媒体から分岐される、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1熱媒体の流量を調節する第1調節弁と、
前記第2熱媒体の流量を調節する第2調節弁と、
を更に備える、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
外気温度及び外気湿度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける第1温度と、前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスにおける第2温度と、前記第2熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスにおける第3温度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける湿度と、に基づいて、前記第1調節弁及び前記第2調節弁のそれぞれの開度を調節する調節部を更に備える、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記調節部は、前記第2温度が第1目標温度になるように、前記第1調節弁の開度を調節し、
前記調節部は、前記第3温度が第2目標温度になるように、前記第2調節弁の開度を調節する、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1目標温度は、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスに含まれる水蒸気量が飽和水蒸気量と等しくなる温度より低い、
請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記第2目標温度は、前記外気温度と、外気における水蒸気量と、前記第1目標温度にける飽和水蒸気量と、に基づいて定められる最低温度より高い、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
外気温度及び外気湿度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける第1温度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける湿度と、に基づいて、白煙の発生の有無を判定する調節部を更に備える、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、
前記燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、
前記燃料電池セルから排出される排気ガスと前記熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、
前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスと前記熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、
を備え、
前記第1熱交換ユニットは、前記冷却ユニットから前記熱媒体を供給され、
前記第1熱交換ユニットは、供給された前記熱媒体を、熱交換後に前記燃料電池ユニットに排出し、
前記第2熱交換ユニットは、前記燃料電池ユニットから前記熱媒体を供給され、
前記第2熱交換ユニットは、供給された前記熱媒体を、熱交換後に前記冷却ユニットに排出する、
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水分を含む燃料電池からのオフガスが大気中へ放出されたときの白煙の発生を抑制する排気管が開示されている。特許文献2には、排ガスの白煙化の防止を図った燃料電池発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-089442号公報
【特許文献2】特開2002-100382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定置用の燃料電池システムにおいて、景観上の理由等から、排気ガスにおいて白煙が発生することを抑制することが求められている。
【0005】
本開示は、排気ガスにおいて白煙の発生を抑制する燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、前記燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、前記燃料電池セルから排出される排気ガスと第1熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスと第2熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、を備え、前記第1熱媒体は、前記冷却ユニットから前記燃料電池ユニットに供給される熱媒体から分岐され、前記第2熱媒体は、前記燃料電池ユニットから前記冷却ユニットに戻る熱媒体から分岐される燃料電池システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の燃料電池システムによれば、排気ガスにおいて白煙の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る燃料電池システムの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係る燃料電池システムの概略を示す図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態に係る燃料電池システムの概略を示す図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態に係る燃料電池システムの処理を説明するフロー図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係る燃料電池システムの動作について説明する図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係る燃料電池システムの動作について説明する図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る燃料電池システムの動作について説明する図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係る燃料電池システムの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右及び前後等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、それぞれ略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0012】
例えば、略平行は、2つの線あるいは2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内であれば互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0013】
≪第1実施形態≫
第1実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。第1実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、を備える。また、第1実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池セルから排出される排気ガスと第1熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットを備える。そして、第1実施形態に係る燃料電池システムにおける第1熱媒体は、冷却ユニットから燃料電池ユニットに供給される熱媒体から分流される。
【0014】
第1実施形態に係る燃料電池システムについて、具体的な例を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る発電装置の一例である燃料電池システム1の概略図である。燃料電池システム1は、燃料電池セルを用いた燃料電池システムである。
【0015】
<燃料電池システム1>
燃料電池システム1は、燃料電池ユニット10と、冷却ユニット20と、ポンプ30と、熱交換ユニット40と、調節器60と、調節弁61と、手動弁70と、を備える。熱交換ユニット40は、燃料電池ユニット10から排出される排気ガスEGを冷却する。調節器60は、燃料電池ユニット10における温度を測定する温度検出器12の検出結果に基づいて、調節弁61の開度を制御する。手動弁70は、熱交換ユニット40に流れる熱媒体の量を調節する。
【0016】
燃料電池ユニット10は、冷却ユニット20との間で循環する熱媒体RFにより冷却される。熱媒体RFは、例えば、水である。なお、熱媒体RFは、例えば、防錆剤、防腐剤、不凍液を含んでいてもよい。また、熱媒体RFは、フッ素系不活性液体でもよい。ポンプ30は、熱媒体RFを燃料電池ユニット10と冷却ユニット20との間で循環させる。
【0017】
より具体的に熱媒体RFの流れについて説明する。冷却ユニット20は、熱媒体RFを冷却する。そして、冷却ユニット20から排出された熱媒体RFは、ポンプ30により燃料電池ユニット10に供給される。なお、冷却ユニット20において冷却された低温の熱媒体RFを熱媒体RF1と表す。
【0018】
冷却ユニット20から排出された熱媒体RF1は、燃料電池ユニット10に供給される熱媒体RFaと、熱交換ユニット40に供給される熱媒体RFbと、に分流される。なお、熱媒体RFaにおいて、燃料電池ユニット10に供給される低温の熱媒体RFaを熱媒体RFa1と表す。また、熱媒体RFaにおいて、燃料電池ユニット10から排出される高温の熱媒体RFaを熱媒体RFa2と表す。同様に、熱媒体RFbにおいて、熱交換ユニット40に供給される低温の熱媒体RFbを熱媒体RFb1と表す。また、熱媒体RFbにおいて、熱交換ユニット40から排出される高温の熱媒体RFbを熱媒体RFb2と表す。
【0019】
燃料電池ユニット10から排出された熱媒体RFa、すなわち、熱媒体RFa2、と、熱交換ユニット40から排出された熱媒体RFb、すなわち、熱媒体RFb2、とは、合流する。熱媒体RFa2と熱媒体RFbとが合流し、冷却ユニット20に戻る熱媒体RFを、熱媒体RF2と表す。
【0020】
冷却ユニット20は、燃料電池ユニット10を冷却して戻る熱媒体RF2を冷却して、熱媒体RF1として排出する。
【0021】
燃料電池システム1が備える構成要素のそれぞれについて詳細を説明する。
【0022】
[燃料電池ユニット10]
燃料電池ユニット10は、水素と酸素を化学反応させることにより電気を発生させる。燃料電池ユニット10は、燃料電池セル11を備える。
【0023】
燃料電池セル11は、供給される水素と、空気に含まれる酸素とを化学反応させることにより電気を発生させる。燃料電池セル11は、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)である。固体高分子形燃料電池である燃料電池セル11は、多数の単セルを積層したスタック構造を有する。
【0024】
固体高分子形燃料電池である燃料電池セル11における単セルは、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の両側面に設けられた一対の電極と、を備える膜-電極アッセンブリ(MEA:Membrane Electrode Assembly)を備える。高分子電解質膜は、水素イオンを選択的に輸送する。また、一つの電極のそれぞれは、多孔質材料により形成される。一対の電極のそれぞれは、例えば、白金系の金属触媒(電極触媒)を担持するカーボン粉末を主成分とする触媒層と、通気性及び電子導電性を併せ持つガス拡散層と、を有する。さらに、単セルは、膜-電極アッセンブリ(MEA)を両側から挟み込む一対のセパレータを有する。
【0025】
燃料電池セル11により発生した電気は、昇圧コンバータにより昇圧されて燃料電池ユニット10から出力される。
【0026】
燃料電池セル11は、発電する際に熱を発生する。燃料電池セル11は、発生する熱により温度が上昇するため冷却する必要がある。燃料電池ユニット10は、冷却ユニット20から供給される熱媒体RFを用いて燃料電池セル11を冷却する。そして、燃料電池ユニット10は、燃料電池セル11を冷却して温度が上昇した熱媒体RFを冷却ユニット20に戻す。
【0027】
燃料電池システム1において、燃料電池セル11は、冷却ユニット20から供給される熱媒体RF(熱媒体RFa)によって冷却される。燃料電池セル11は、熱媒体RFにより直接冷却されてもよいし、熱交換器において熱媒体RF(熱媒体RFa)と熱交換した別の熱媒体によって冷却されることにより、熱媒体RF(熱媒体RFa)により間接的に冷却されてもよい。
【0028】
燃料電池ユニット10は、燃料電池セル11等の燃料電池ユニット10内部の温度を測定する温度検出器12を備える。温度検出器12は、例えば、燃料電池セル11そのものの温度を検出してもよいし、燃料電池セル11を冷却する熱媒体の温度を検出してもよい。
【0029】
燃料電池ユニット10は、燃料電池セル11において発電した後の排気ガスEGを外部空間ODに排出する。排気ガスEGは、燃料電池セル11において、水素と酸素が反応して発生する水を含む。排気ガスEGは、水素と酸素が反応して発生する際に発生する熱によって加熱される。排気ガスEGの温度は、例えば、50℃から70℃程度である。排気ガスEGは、水蒸気を含む高温のガスであることから、外気により冷却されると、排気ガスEGに含まれる水が凝縮して白煙が発生する場合がある。特に、冬季において、外気温度が低い場合に、排気ガスEGが外部空間ODに排出されると、白煙が発生する可能性が高い。
【0030】
[冷却ユニット20]
冷却ユニット20は、燃料電池セル11を冷却するための熱媒体RF(熱媒体RF1)を燃料電池ユニット10に供給する。また、冷却ユニット20は、燃料電池セル11を冷却した熱媒体RF(熱媒体RF2)を燃料電池ユニット10から回収する。そして、冷却ユニット20は、回収した熱媒体RF(熱媒体RF2)を冷却する。冷却ユニット20は、冷却した熱媒体RF(熱媒体RF1)を燃料電池ユニット10に供給して、熱媒体RFを、燃料電池ユニット10と冷却ユニット20との間において循環させる。
【0031】
冷却ユニット20は、例えば、冷却塔(クーリングタワー)である。冷却塔は、熱媒体として水を用いる。冷却塔は、水を空気と接触させて、水の気化熱により、熱媒体である水を冷却する。なお、冷却ユニット20は、冷却塔に限らず、例えば、チラーでもよい。
【0032】
冷却ユニット20の冷却能力(除熱量)は、燃料電池ユニット10に必要な除熱量に余裕度、例えば、1.2から1.5の定数、を掛けて算出される。燃料電池ユニット10に必要な除熱量は、例えば、燃料電池ユニット10が最大出力における必要な除熱量としてもよい。
【0033】
[ポンプ30]
ポンプ30は、燃料電池ユニット10と冷却ユニット20との間で熱媒体RFを循環させる。ポンプ30は、冷却ユニット20において冷却されて排出された熱媒体RF(熱媒体RF1)を燃料電池ユニット10に送る。
【0034】
[熱交換ユニット40]
熱交換ユニット40は、排気ガスEGと熱媒体RFbとの間で熱交換を行う。熱媒体RFbは、冷却ユニット20から燃料電池ユニット10に供給される熱媒体RF1が分流された熱媒体である。したがって、熱交換ユニット40に供給される熱媒体RFb1は、冷却ユニット20において冷却された低温の熱媒体である。熱媒体RFb1の温度は、例えば、30℃から35℃である。
【0035】
熱交換ユニット40は、冷温の熱媒体である熱媒体RFb1が供給され、熱媒体RFbと排気ガスEGとの間で熱交換を行う。熱媒体RFbと排気ガスEGとの間で熱交換を行うと、排気ガスEGが冷却される。排気ガスEGが冷却されると、排気ガスEGに含まれる水分が凝縮され、凝縮水CWとして排出される。
【0036】
凝縮水CWは、外部に排水されてもよいし、例えば、燃料電池ユニット10を冷却する冷却水又は冷却ユニット20において使用される冷却水として利用してもよい。
【0037】
熱交換ユニット40は、例えば、熱媒体RFbが流れる複数の配管と、当該複数の配管と結合する複数のフィンと、を備える熱交換器を含む。
【0038】
低温の熱媒体RBb1が熱交換ユニット40に流入する。そして、熱交換ユニット40は、熱媒体RFb1と排気ガスEGとの間で熱交換を行う。熱媒体RFb1は、熱交換ユニット40において排気ガスEGと熱交換を行うことにより、温度が上昇する。排気ガスEGと熱交換を行って温度が上昇した熱媒体RFb2は、熱交換ユニット40から排出される。また、熱媒体RFbと熱交換して温度が低下した排気ガスEGは、熱交換ユニット40から外部空間ODに排出される。
【0039】
[調節器60及び調節弁61]
調節器60は、温度検出器12における検出結果に基づいて、調節弁61を制御する。調節弁61は、冷却ユニット20から燃料電池ユニット10に流れる熱媒体RF1の流路に設けられる。調節弁61は、冷却ユニット20から燃料電池ユニット10に供給される熱媒体RFの量を調節する。調節器60は、温度検出器12において検出した温度が、目標温度になるように、調節弁61における開度を制御する。
【0040】
調節弁61は、例えば、空気圧式調節弁、油圧式調節弁又は電動式調節弁である。また、調節弁61は、例えば、グローブ弁、ゲート弁、バタフライ弁又はボール弁である。
【0041】
[手動弁70]
手動弁70は、熱交換ユニット40に供給される熱媒体RFbの量を調節する。手動弁70は、例えば、グローブ弁、ゲート弁、バタフライ弁又はボール弁である。なお、手動弁70に換えて、調節弁を備えるようにしてもよい。
【0042】
<まとめ>
第1実施形態に係る燃料電池システムによれば、排気ガスにおける白煙の発生を抑制できる。第1実施形態に係る燃料電池システムによれば、冷却ユニットから燃料電池ユニットに供給される熱媒体を分流した熱媒体により、排気ガスを冷却することから、簡易的に、排気ガスを冷却して、白煙の発生を抑制できる。
【0043】
なお、第1実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム1は、1台の燃料電池ユニット10を備えるが、燃料電池ユニットを複数備えてもよい。複数の燃料電池ユニットを備える場合は、複数の燃料電池ユニットのそれぞれの排気ガスを冷却する熱交換ユニットを備えてもよいし、複数の燃料電池ユニットのそれぞれの排気ガスを合流させ、合流した排気ガスを冷却する熱交換ユニットを備えてもよい。以下の実施形態についても同様である。
【0044】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。第2実施形態に係る燃料電池システムは、第1実施形態に係る燃料電池システムに、第1熱交換ユニットにより熱交換された排気ガスと第2熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットを更に備える。そして、第2実施形態において、第2熱媒体は、燃料電池ユニットから冷却ユニットに戻る熱媒体から分流される。
【0045】
第2実施形態に係る燃料電池システムについて、具体的な例を用いて説明する。
図2は、第2実施形態に係る発電装置の一例である燃料電池システム2の概略図である。燃料電池システム2は、燃料電池セルを用いた燃料電池システムである。
【0046】
<燃料電池システム2>
燃料電池システム2は、燃料電池ユニット10と、冷却ユニット20と、ポンプ30と、熱交換ユニット40と、熱交換ユニット50と、調節器60と、調節弁61と、手動弁70と、手動弁80と、を備える。なお、燃料電池システム1と共通する構成は、燃料電池システム1の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0047】
[熱交換ユニット50]
熱交換ユニット50は、熱交換ユニット40において熱交換された排気ガスEGと熱媒体RFcとの間で熱交換を行う。熱媒体RFcは、燃料電池ユニット10から冷却ユニット20に戻る熱媒体RF2が分流された熱媒体である。したがって、熱交換ユニット50に供給される熱媒体RFc1は、燃料電池ユニット10において熱交換されて温度が上昇した高温の熱媒体である。熱媒体RFb1の温度は、例えば、50℃から60℃である。
【0048】
熱交換ユニット50は、高温の熱媒体である熱媒体RFc1が供給され、熱媒体RFcと排気ガスEGとの間で熱交換を行う。熱媒体RFcと排気ガスEGとの間で熱交換を行うと、排気ガスEGは加熱される。排気ガスEGが加熱されると、外部空間ODに排出されたときに、排気ガスEGと外気との混合ガスの温度を上昇させて、白煙の発生を抑制できる。熱交換ユニット50は、熱交換した熱媒体RFc(熱媒体RFc2)を冷却ユニット20に排出する。
【0049】
熱交換ユニット50は、例えば、熱媒体RFcが流れる複数の配管と、当該複数の配管と結合する複数のフィンと、を備える熱交換器を含む。
【0050】
燃料電池ユニット10から排出される排気ガスEGは、熱交換ユニット40において熱媒体RFbと熱交換して冷却される。そして、熱交換ユニット40において熱交換した排気ガスEGは、熱交換ユニット50において熱媒体RFcと熱交換して加熱される。
【0051】
[手動弁80]
手動弁80は、熱交換ユニット50に供給される熱媒体RFcの量を調節する。手動弁80は、例えば、グローブ弁、ゲート弁、バタフライ弁又はボール弁である。なお、手動弁80に換えて、調節弁を備えるようにしてもよい。
【0052】
<まとめ>
第2実施形態に係る燃料電池システムによれば、排気ガスにおける白煙の発生を抑制できる。第2実施形態に係る燃料電池システムによれば、冷却ユニットから燃料電池ユニットに供給される熱媒体を分流した熱媒体により、排気ガスを冷却することから、簡易的に、排気ガスを冷却して、白煙の発生を抑制できる。さらに、第2実施形態に係る燃料電池システムによれば、排気ガスを再加熱することにより、白煙の発生をより抑制できる。
【0053】
なお、熱媒体RFbが第1熱媒体の一例、熱媒体RFcが第2熱媒体の一例、である。
【0054】
≪第3実施形態≫
第3実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。第3実施形態に係る燃料電池システムは、第2実施形態に係る燃料電池システムにおいて、更に白煙の発生を抑制するように制御を行う。第3実施形態に係る燃料電池システムは、第2実施形態に係る燃料電池システムに、第1熱媒体の流量を調節する第1調節弁と、第2熱媒体の流量を調節する第2調節弁と、を更に備える。また、第3実施形態に係る燃料電池システムは、外気温度と、第1排気の第1排気温度と、第2排気の第2排気温度と、第3排気の第3排気温度と、第1排気の排気湿度と、に基づいて、第1調節弁及び第2調節弁のそれぞれの開度を調節する調節部を備える。
【0055】
第3実施形態に係る燃料電池システムについて、具体的な例を用いて説明する。
図3は、第3実施形態に係る発電装置の一例である燃料電池システム3の概略図である。燃料電池システム3は、燃料電池セルを用いた燃料電池システムである。
【0056】
<燃料電池システム3>
燃料電池システム3は、燃料電池ユニット10と、冷却ユニット20と、ポンプ30と、熱交換ユニット40と、熱交換ユニット50と、調節器60と、調節弁61と、調節弁71と、調節弁81と、調節部90と、を備える。また、燃料電池システム3は、湿度計91、温度計92、温度計93、温度計94、湿度計95及び温度計96を備える。なお、燃料電池システム2と共通する構成は、燃料電池システム2の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0057】
[調節弁71]
調節弁71は、熱交換ユニット40に供給される熱媒体RFbの流量を調節する。調節弁71は、調節部90により制御される。調節部90は、熱媒体RFbと熱交換した排気ガスEGが目標温度になるように、調節弁71における開度を制御する。調節部90は調節弁71における開度を制御することにより、熱媒体RFbの流量を調節する。
【0058】
[調節弁81]
調節弁81は、熱交換ユニット50に供給される熱媒体RFcの流量を調節する。調節弁81は、調節部90により制御される。調節部90は、熱媒体RFcと熱交換した排気ガスEGが目標温度になるように、調節弁81における開度を制御する。調節部90は調節弁81における開度を制御することにより、熱媒体RFcの流量を調節する。
【0059】
[調節部90]
調節部90は、排気ガスEGを外部空間ODに排気したときに、白煙の発生を抑制するように、調節弁71及び調節弁81を制御する。
【0060】
燃料電池システム3は、燃料電池ユニット10から排出される排気ガスEGの湿度を計測する湿度計91と、排気ガスEGの温度を計測する温度計92と、を備える。また、燃料電池システム3は、熱交換ユニット40において熱交換した排気ガスEGの温度を測定する温度計93を備える。さらに、燃料電池システム3は、熱交換ユニット50において熱交換した排気ガスEGの温度を測定する温度計94を備える。また、燃料電池システム3は、外部空間ODにおける湿度である外気湿度を測定する湿度計95と、外部空間ODにおける温度である外気温度を測定する温度計96と、を備える。
【0061】
湿度計91、温度計92、温度計93、温度計94、湿度計95及び温度計96のそれぞれは、調節部90に接続される。調節部90は、湿度計91、温度計92、温度計93、温度計94、湿度計95及び温度計96のそれぞれにおける測定結果に基づいて、調節弁71及び調節弁81のそれぞれの開度を制御する。
【0062】
<燃料電池システム3における処理>
燃料電池システム3における処理について説明する。
図4は、第3実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム3の処理を説明するフロー図である。
【0063】
(ステップS10)
調節部90は、外部空間ODにおける温度(外気温度)及び湿度(外気湿度)を取得する(外気の温度及び湿度を取得する工程)。調節部90は、湿度計95から外気湿度HUaを取得する。また、調節部90は、温度計96から外気温度Taを取得する。
【0064】
(ステップS20)
調節部90は、排気ガスEGにおける温度及び湿度を取得する(排気ガスの温度及び湿度を取得する工程)。調節部90は、湿度計91から湿度HUeを取得する。また、調節部90は、温度計92から温度Teを取得する。
【0065】
なお、燃料電池システム3において、排気ガスEGにおける湿度は、湿度計91により測定する場合に限らない。燃料電池システム3は、例えば、燃料電池ユニット10の運転状態(例えば、出力)における湿度を事前に測定し、事前に測定した結果を用いて、燃料電池ユニット10の運転状態から湿度を推定してもよい。
【0066】
(ステップS30)
調節部90は、ステップS10及びステップS20のそれぞれにおいて取得した温度及び湿度に基づいて、排気ガスと外気との混合ガスの温度と水蒸気量との関係を推定する(排気ガスと外気との混合ガスの温度と水蒸気量との関係を推定する工程)。
【0067】
排気ガスと外気との混合ガスの温度と水蒸気量との関係を推定する手法について詳細を説明する。
【0068】
飽和水蒸気圧は、温度に依存して変化する。温度T(単位:セルシウス度(℃))における飽和水蒸気圧e(T)(単位:ヘクトパスカル(hPa))は、式1により表される。
【0069】
【0070】
また、温度T(単位:セルシウス度(℃))における飽和水蒸気量a(t)(単位:グラム毎立方メートル(g/m3))は、飽和水蒸気圧e(T)(単位:ヘクトパスカル(hPa))を用いて式2により表される。
【0071】
【0072】
式1及び式2より、飽和水蒸気量a(T)(単位:グラム毎立方メートル(g/m3))は、式3で表される。
【0073】
【0074】
次に、外気に含まれる水蒸気量を算出する。外気における温度(外気温度)をTa(単位:セルシウス度(℃))、外気における湿度(外気湿度)をHUa(単位:%)とすると、外気における水蒸気量Aa(単位:グラム毎立方メートル(g/m3))は、式4で表される。
【0075】
【0076】
また、排気ガスに含まれる水蒸気量を算出する。排気ガスにおける温度をTe(単位:セルシウス度(℃))、排気ガスにおける湿度をHUe(単位:%)とすると、排気ガスにおける水蒸気量Ae(単位:グラム毎立方メートル(g/m3))は、式5で表される。
【0077】
【0078】
ここで、排気ガスが外気に排出されて、排気ガスと外気とが混合したガスについて検討する。排気ガスが外気と混合すると、例えば、外気に対する排気ガスの比率に比例して、混合ガスの温度及び水蒸気量が変化すると考えられる。
【0079】
具体的に例を用いて説明する。
図5は、第3実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム3の動作を説明する図である。
図5において、排気ガスEGにおける温度Teを60℃、湿度HUeを80%、外気温度Taを10℃、外気湿度HUaを50%とした例を用いて説明する。
【0080】
図5において、線Lsaは、飽和水蒸気量を示す。すなわち、線Lsaは、式3において示される飽和水蒸気量a(T)により求められる飽和水蒸気量曲線を示す。
【0081】
点Peは、排気ガスEGの温度と水蒸気量を示す。点Paは、外部空間ODにおける温度と水蒸気量を示す。
【0082】
排気ガスEGが外部空間ODに排出されて、排気ガスEGと外気とが混合すると、排気ガスEGと外気との混合ガスの温度及び水蒸気量は、点Peと点Paとの間を直線で結んだ線分Lsb上を変化すると考えられる。
【0083】
点Peと点Paとを直線で結んだ線分を示す温度T(単位:セルシウス度(℃))に対する水蒸気量b(T)(単位:グラム毎立方メートル(g/m3))の式は、式6で表される。
【0084】
【0085】
式6により、調節部90は、排気ガスと外気との混合ガスの温度と水蒸気量との関係を推定する。
【0086】
(ステップS40)
調節部90は、排気ガスと外気との混合ガスの水蒸気量が飽和水蒸気量より多くなる場合があるかを判定する(排気ガスと外気との混合ガスの水蒸気量が飽和水蒸気量より多くなる場合があるかを判定する工程)。調節部90は、排気ガスの温度Te(第1温度)と外気温度Taとの間の温度範囲における温度Tについて、ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合があるかどうかを判定する。
【0087】
図5に示す具体的な例を用いて説明する。
図5において、クロスハッチングで示す範囲Scは、ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなっている範囲を示す。範囲Scは、飽和水蒸気量a(T)より、ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が多い部分を示している。水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多いと、水蒸気量b(T)における飽和水蒸気量a(T)より多い分の水蒸気が白煙として析出する。言い換えると、範囲Scは、白煙が発生する温度範囲と量を示している。
【0088】
すなわち、排気ガスの温度Teと外気温度Taとの間の温度範囲における温度Tについて、ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなると、排気ガスEGが外気と混合したときに白煙が発生する。
【0089】
排気ガスの温度Teと外気温度Taとの間の温度範囲における温度Tについて、ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合がある場合(ステップS40のYES)、調節部90はステップS50に処理を進める。そして、調節部90は、ステップS50及びステップS60において、白煙の発生を抑制するように、調節弁71及び調節弁81を制御する。
【0090】
排気ガスの温度Teと外気温度Taとの間の温度範囲における温度Tについて、ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合がない場合(ステップS40のNO)、調節部90は白煙の発生はないと判断する。ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合がない場合(ステップS40のNO)、調節部90はステップS70に処理を進める。
【0091】
調節部90は、水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合があるかどうかを、例えば、実用的な温度範囲(例えば、-10℃から80℃)において、0.1℃刻みで飽和水蒸気量a(T)と水蒸気量b(T)との大小を比較して判定してもよい。また、調節部90は、水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合があるかどうかを、例えば、飽和水蒸気量a(T)及び水蒸気量b(T)について、方程式b(T)-a(T)=0を解いて、実数解が得られるかどうかによって判定してもよい。
【0092】
ステップS30で求めた水蒸気量b(T)が飽和水蒸気量a(T)より多くなる場合がない場合(ステップS40のNO)、白煙が生じないことから、排気ガスEGの温度調整をする必要がないので、調節弁71及び調節弁81のそれぞれを全閉としてもよい。
【0093】
(ステップS50)
調節部90は、調節弁71及び調節弁81のそれぞれを制御するための温度目標値を算出する(調節弁を制御するための温度目標値を算出する工程)。
【0094】
具体的に例を用いて説明する。
図6は、第3実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム3の動作を説明する図である。
図6において、
図5と同様に、排気ガスEGにおける温度Teを60℃、湿度HUeを80%、外気温度Taを10℃、外気湿度HUaを50%とした例を用いて説明する。
【0095】
最初に、熱交換ユニット40における目標温度T1について説明する。調節部90は、目標温度T1を、例えば、熱媒体RFbの温度T1Lより高く、飽和水蒸気量a(T)が排気ガスEGの水蒸気量となる温度T1Hより低くするように設定する。飽和水蒸気量a(T)が排気ガスEGの水蒸気量となる温度T1Hは、排気ガスEGにおける相対湿度が100%となる温度である。
【0096】
目標温度T1を熱媒体RFbの温度T1Lより高くするのは、原理上、熱媒体RFbの温度T1Lが熱交換ユニット40から排出された排気ガスEGの下限の温度であるからである。温度T1Lは、例えば、35℃である。目標温度T1を水蒸気量b(T)と飽和水蒸気量a(T)とが交わる温度T1Hより低くするのは、熱交換ユニット40において、排気ガスEGに含まれる水分を凝縮させるためである。
【0097】
なお、目標温度T1は、熱交換ユニット40の能力も加味して設定するが、なるべく低いほうが好ましい。
【0098】
次に、熱交換ユニット50における目標温度T2について説明する。熱交換ユニット40から排出される排気ガスEGは、水分が除去されたものの、水蒸気が飽和状態にあるため、外気と混ぜたときに白煙が生じる可能性がある。白煙が生じることを抑制するために、熱交換ユニット40から排出される排気ガスEGを熱交換ユニット50で再加熱して、排気ガスEGにおける相対湿度を下げる。
【0099】
調節部90は、目標温度T2を、例えば、目標温度T1における飽和水蒸気量を通る直線L1と、点Paを通り線Lsaに接する線との交点における温度T2Lより高く、熱媒体RFcの温度T2Hより低くするように設定する。点Paは、外気温度Taと、外気における水蒸気量Aaに関連する。したがって、温度T2L(最低温度)は、外気温度Taと、外気における水蒸気量Aaと、目標温度T1における飽和水蒸気量と、に基づいて定められる。温度T2L(最低温度)は、外気と排気ガスEGとの混合ガスにおいて、白煙が発生しない最低温度である。
【0100】
目標温度T2を温度T2Lより高くするのは、線Lsaは下に凸の曲線であることから、温度T2Lより高くすることにより、白煙の発生を抑制できるからである。目標温度T2を熱媒体RFcの温度T2Hより低くするのは、原理上、熱媒体RFcの温度T2Hが熱交換ユニット50から排出される排気ガスEGの上限の温度であるからである。温度TL1は、例えば、48℃である。
【0101】
なお、目標温度T2は、熱交換ユニット50の能力も加味して設定するが、なるべく高いほうが好ましい。
【0102】
(ステップS60)
調節部90は、調節弁71及び調節弁81のそれぞれを温度が温度目標値になるように制御する(温度が温度目標値になるように調節弁を制御する工程)。
【0103】
調節部90は、熱交換ユニット40において熱交換して排出された排気ガスEGの温度(第2温度)が目標温度T1になるように、調節弁71の開度を調節する。調節部90は、温度計93により検出される温度が目標温度T1となるように、例えば、PID(Proportional-Integral-Differential)制御により、調節弁71の開度を制御する。
【0104】
また、調節部90は、熱交換ユニット50において熱交換して排出された排気ガスEGの温度(第3温度)が目標温度T2になるように、調節弁81の開度を調節する。調節部90は、温度計94により検出される温度が目標温度T2となるように、例えば、PID制御により、調節弁81の開度を制御する。
【0105】
燃料電池システム3における動作について、具体的に例を用いて説明する。
図7は、第3実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム3の動作を模式的に説明する図である。
図7において、
図5及び
図6と同様に、排気ガスEGにおける温度Teを60℃、湿度HUeを80%、外気温度Taを10℃、外気湿度HUaを50%とした例を用いて説明する。
【0106】
燃料電池システム3は、熱交換ユニット40において排気ガスEGを冷却する。調節部90は、熱交換ユニット40において熱交換された排気ガスEGの温度が温度Teから目標温度T1になるように排気ガスEGを冷却する。熱交換ユニット40において、排気ガスEGを温度Teから目標温度T1になるように冷却することを、
図7において模式的に矢印Ar1により示す。排気ガスEGの温度が、温度Teから目標温度T1になると、水蒸気量Aeから目標温度T1における飽和水蒸気量である水蒸気量A1まで水蒸気量が減少する。排気ガスEGにおいて水蒸気量Aeが水蒸気量A1まで減少することを、
図7において模式的に矢印Ar2により示す。
【0107】
上述のように、排気ガスEGの温度が目標温度T1になると、排気ガスEGにおける水蒸気量は飽和水蒸気量となる。したがって、排気ガスEGの温度が下がると、白煙が発生する。そこで、熱交換ユニット50により排気ガスEGを温度が目標温度T2になるように再加熱する。排気ガスEGを目標温度T1から目標温度T2まで再加熱することを、
図7において模式的に矢印Ar3で示す。
【0108】
熱交換ユニット50において、再加熱された状態を点P2に示す。点Paと点P2を結ぶ線分を線Lscで示す。線Lscは、線Lsaと交わらない。したがって、燃料電池システム3の制御により、白煙の発生を抑制できる。
【0109】
(ステップS70)
調節部90は、処理を継続するかどうか判定する(処理を継続するか判定する工程)。処理を継続する場合(ステップS70のYES)、調節部90は、ステップS10に戻って処理を繰り返す。処理を終了する場合(ステップS70のNO)、調節部90は処理を終了する。
【0110】
<まとめ>
第3実施形態に係る燃料電池システムによれば、排気ガスにおける白煙の発生を抑制できる。第3実施形態に係る燃料電池システムによれば、排気ガスにおける白煙の発生を抑制できるように制御できる。また、第3実施形態に係る燃料電池システムによれば、白煙が発生しないように、第1熱交換ユニット及び第2熱交換ユニットのそれぞれに供給する熱媒体の流量を制御できることから、過剰な流量を流すことを抑制してエネルギー消費を抑制できる。さらに、第3実施形態に係る燃料電池システムによれば、白煙が発生しない場合に、排気ガスの冷却と再加熱を行わないようにして、エネルギーの消費をより抑制できる。
【0111】
なお、調節弁71が第1調節弁の一例、調節弁81が第2調節弁の一例、である。
【0112】
≪第4実施形態≫
第4実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、を備える。また、第4実施形態に係る燃料電池システムは、燃料電池セルから排出される排気ガスと熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、第1熱交換ユニットにより熱交換された排気ガスと熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、を備える。そして、第4実施形態に係る燃料電池システムにおいて、第1熱交換ユニットは、冷却ユニットから熱媒体を供給され、第1熱交換ユニットは、供給された熱媒体を、熱交換後に燃料電池ユニットに排出する。また、第4実施形態に係る燃料電池システムにおいて、第2熱交換ユニットは、燃料電池ユニットから熱媒体を供給され、第2熱交換ユニットは、供給された熱媒体を、熱交換後に冷却ユニットに排出する。
【0113】
第4実施形態に係る燃料電池システムについて、具体的な例を用いて説明する。
図8は、第4実施形態に係る発電装置の一例である燃料電池システム4の概略図である。燃料電池システム4は、燃料電池セルを用いた燃料電池システムである。
【0114】
<燃料電池システム4>
燃料電池システム4は、燃料電池ユニット10と、冷却ユニット20と、ポンプ30と、熱交換ユニット40と、熱交換ユニット50と、調節器60と、調節弁61と、を備える。なお、燃料電池システム2と共通する構成は、燃料電池システム2の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0115】
燃料電池システム4における熱媒体RFの流れについて説明する。熱媒体RFは、冷却ユニット20から熱交換ユニット40に供給される。そして、熱交換ユニット40において排気ガスEGと熱交換した熱媒体RFは、熱交換ユニット40から調節弁61を通って、燃料電池ユニット10に供給される。燃料電池ユニット10を冷却した熱媒体RFは、熱交換ユニット50に供給される。そして、熱交換ユニット50において排気ガスEGと熱交換した熱媒体RFは、冷却ユニット20に戻る。
【0116】
<まとめ>
第4実施形態に係る燃料電池システムによれば、排気ガスにおける白煙の発生を抑制できる。第4実施形態に係る燃料電池システムによれば、熱媒体が流れる経路を簡略化できる。
【0117】
なお、上記の動作例は、本実施形態に係る燃料電池システムにおける動作の一例であって、本実施形態に係る燃料電池システムは、上記の動作に限定されない。また、上記の動作例で示した数値についても、本実施形態に係る燃料電池システムにおける動作を説明するために例として用いる数値であって、本実施形態に係る燃料電池システムにおける動作は、当該数値に限定されない。
【0118】
以上、燃料電池システムを実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本開示の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0119】
1、2、3、4 燃料電池システム
10 燃料電池ユニット
11 燃料電池セル
12 温度検出器
20 冷却ユニット
30 ポンプ
40 熱交換ユニット
50 熱交換ユニット
60 調節器
61 調節弁
70 手動弁
71 調節弁
80 手動弁
81 調節弁
90 調節部
91、95 湿度計
92、93、94、96 温度計
EG 排気ガス
RF、RF1、RF2 熱媒体
RFb、RFb1、RFb2 熱媒体
RFc、RFc1、RFc2 熱媒体
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置用の燃料電池システムであって、
燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、
前記燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、
前記燃料電池セルから排出される排気ガスと第1熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、
前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスと第2熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、
を備え、
前記第1熱媒体は、前記冷却ユニットから前記燃料電池ユニットに供給される熱媒体から分岐され、
前記第2熱媒体は、前記燃料電池ユニットから前記冷却ユニットに戻る熱媒体から分岐される、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1熱媒体の流量を調節する第1調節弁と、
前記第2熱媒体の流量を調節する第2調節弁と、
を更に備える、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
外気温度及び外気湿度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける第1温度と、前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスにおける第2温度と、前記第2熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスにおける第3温度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける湿度と、に基づいて、前記第1調節弁及び前記第2調節弁のそれぞれの開度を調節する調節部を更に備える、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記調節部は、前記第2温度が第1目標温度になるように、前記第1調節弁の開度を調節し、
前記調節部は、前記第3温度が第2目標温度になるように、前記第2調節弁の開度を調節する、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1目標温度は、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスに含まれる水蒸気量が飽和水蒸気量と等しくなる温度より低い、
請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記第2目標温度は、前記外気温度と、外気における水蒸気量と、前記第1目標温度における飽和水蒸気量と、に基づいて定められる前記外気と前記排気ガスとの混合ガスにおいて白煙が発生しない前記第2熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスにおける最低温度より高い、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
外気温度及び外気湿度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける第1温度と、前記燃料電池セルから排出される前記排気ガスにおける湿度と、に基づいて、白煙の発生の有無を判定する判定部を更に備える、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
定置用の燃料電池システムであって、
燃料電池セルを備える燃料電池ユニットと、
前記燃料電池セルを冷却する熱媒体を供給する冷却ユニットと、
前記燃料電池セルから排出される排気ガスと前記熱媒体との間で熱交換する第1熱交換ユニットと、
前記第1熱交換ユニットにより熱交換された前記排気ガスと前記熱媒体との間で熱交換する第2熱交換ユニットと、
を備え、
前記第1熱交換ユニットは、前記冷却ユニットから前記熱媒体を供給され、
前記第1熱交換ユニットは、供給された前記熱媒体を、熱交換後に前記燃料電池ユニットに排出し、
前記第2熱交換ユニットは、前記燃料電池ユニットから前記熱媒体を供給され、
前記第2熱交換ユニットは、供給された前記熱媒体を、熱交換後に前記冷却ユニットに排出する、
燃料電池システム。