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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154104
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】電解合成システム
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20241023BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20241023BHJP
   C25B 3/26 20210101ALI20241023BHJP
   C25B 3/03 20210101ALI20241023BHJP
   C25B 15/023 20210101ALI20241023BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20241023BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20241023BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20241023BHJP
   C07C 1/12 20060101ALI20241023BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241023BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20241023BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20241023BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20241023BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241023BHJP
【FI】
C25B9/00 G
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B3/26
C25B3/03
C25B15/023
C25B15/08 302
C25B9/65
C07C9/04
C07C1/12
H01M8/04 Z
H01M8/04858
H01M8/04746
H01M8/12 101
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067737
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 和貴
(72)【発明者】
【氏名】牧 美里
(72)【発明者】
【氏名】米田 英昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 潤平
【テーマコード(参考)】
4H006
4K021
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AC13
4K021AA01
4K021AC02
4K021BA02
4K021BC01
4K021BC09
4K021CA05
4K021CA08
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC03
4K021DC11
4K021DC15
4K021EA06
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB29
5H127AC07
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA14
5H127BA59
5H127BB02
5H127DC02
5H127DC96
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】電解合成システム(10)は、電解装置(12)と、合成装置(16)と、ガス吸着型蓄電池(20)と、制御装置(22)とを備える。ガス吸着型蓄電池(20)は、充電中に大気中の二酸化炭素ガスを電極に吸着し、当該電極に吸着された二酸化炭素ガスを放電中に放出する。制御装置(22)は、電極への二酸化炭素ガスの吸着量が所定の第1閾値を超えると、放電用スイッチ(SW2)を制御して、ガス吸着型蓄電池(20)の放電を開始させる。
【効果】本発明のシステムによれば、改質器、改質ガスの供給ライン等を設けなくても、電力を蓄電することができる。その結果、設置場所が制限されることを低減することができる。また、ガス吸着型蓄電池によって二酸化炭素ガスを安定的に獲得することができ、その結果、メタネーションリアクタの稼働率を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を電解して水素ガスを生成する電解装置と、前記水素ガスを用いて炭化水素を合成する合成装置とを備える電解合成システムであって、
充電中に大気中の二酸化炭素ガスを電子とともに電極に吸着し、前記電極に吸着された前記二酸化炭素ガスを前記電子とともに前記電極から放出するガス吸着型蓄電池と、
前記ガス吸着型蓄電池と前記電解装置または前記合成装置とを繋ぎ、前記ガス吸着型蓄電池からの二酸化炭素を流す第1配管と、
前記ガス吸着型蓄電池の電力を前記電解装置に供給するための放電用スイッチと、
前記電極への前記二酸化炭素ガスの吸着量を取得するための吸着センサと、
1以上のプロセッサを有する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記吸着量が所定の第1閾値を超えると、前記放電用スイッチを制御して、前記ガス吸着型蓄電池の放電を開始させる、電解合成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電解合成システムであって、
前記電解装置が生成した前記水素ガスを含む生成ガスを前記合成装置に流す第2配管と、
前記第2配管に設けられ、前記電解装置によって生成された前記生成ガスを貯留するガスタンクと、
前記ガスタンクと前記合成装置との間の前記第2配管上に設けられた開閉弁と、
前記ガスタンクに貯留される前記生成ガスの貯留量を取得するためのタンクセンサと、
を備え、
前記第1配管は、前記ガス吸着型蓄電池と前記電解装置とを繋いでおり、
前記制御装置は、前記貯留量が所定の第2閾値を超える場合に、前記開閉弁を制御して、前記ガスタンクに貯留された前記生成ガスを前記合成装置に供給し、前記貯留量が前記第2閾値以下の場合には、前記開閉弁を制御して、前記ガスタンクに貯留された前記生成ガスの前記合成装置への供給を停止させる、電解合成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電解合成システムであって、
前記電解装置は、前記二酸化炭素ガスと前記水蒸気とを共電解する共電解装置であり、
前記合成装置は、前記共電解により生成される前記水素ガスと一酸化炭素とを反応させて前記炭化水素を合成するFT合成器である、電解合成システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電解合成システムであって、
前記ガス吸着型蓄電池以外の第2電池と、
発電装置の電力を前記ガス吸着型蓄電池に供給するための第1充電用スイッチと、
前記第2電池の電力を前記ガス吸着型蓄電池に供給するための第2充電用スイッチと、
を備え、
前記制御装置は、前記発電装置の電力が第3閾値以上の場合は、前記第1充電用スイッチおよび前記第2充電用スイッチを制御して、前記発電装置の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電し、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第1充電用スイッチおよび前記第2充電用スイッチを制御して、前記第2電池の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電する、電解合成システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電解合成システムであって、
前記ガス吸着型蓄電池と前記合成装置とを繋ぐ前記第1配管に設けられ、前記ガス吸着型蓄電池から放出された前記二酸化炭素ガスを貯留する第1ガスタンクと、
前記第1ガスタンクと前記合成装置との間の前記第1配管上に設けられた第1開閉弁と、
前記第1ガスタンクに貯留される前記二酸化炭素ガスの貯留量を取得するための第1タンクセンサと、
を備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素ガスの貯留量が所定の第4閾値を超える場合に、前記第1開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスを前記合成装置に供給し、前記二酸化炭素ガスの貯留量が前記第4閾値以下の場合には、前記第1開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスの前記合成装置への供給を停止させる、電解合成システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電解合成システムであって、
前記電解装置が生成した前記水素ガスを前記合成装置に流す第2配管と、
前記第2配管に設けられ、前記電解装置によって生成された前記水素ガスを貯留する第2ガスタンクと、
前記第2ガスタンクと前記合成装置との間の前記第2配管上に設けられた第2開閉弁と、
前記第2ガスタンクに貯留される前記水素ガスの貯留量を取得するための第2タンクセンサと、
前記水素ガスを貯留するバックアップタンクと、
前記バックアップタンクと前記第2ガスタンクとを繋ぐ第3配管と、
前記バックアップタンクと前記第2ガスタンクとの間の前記第3配管上に設けられた第3開閉弁と、
を備え、
前記制御装置は、
前記二酸化炭素ガスの貯留量が所定の第4閾値を超え、且つ、前記水素ガスの貯留量が第5閾値を超える場合は、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスと前記第2ガスタンクに貯留された前記水素ガスを前記合成装置に供給し、
前記二酸化炭素ガスの貯留量が前記第4閾値を超え、且つ、前記水素ガスの貯留量が前記第5閾値以下の場合は、前記第1開閉弁~前記第3開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスと前記バックアップタンクに貯留された前記水素ガスを前記合成装置に供給し、
前記二酸化炭素ガスの貯留量が前記第4閾値以下の場合には、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスおよび前記第2ガスタンクに貯留された前記水素ガスの前記合成装置への供給を停止させる、電解合成システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電解合成システムであって、
燃料電池と、
前記第2開閉弁と前記合成装置との間の前記第2配管から分岐し、前記燃料電池に接続される第1分岐管と、
前記第1分岐管に設けられる第4開閉弁と、
を備え、
前記制御装置は、前記ガス吸着型蓄電池に供給される発電装置の電力が第3閾値以上の場合は、前記発電装置の電力を前記ガス吸着型蓄電池に供給するための第1充電用スイッチを制御して、前記発電装置の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電し、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第4開閉弁を制御して前記水素ガスを前記燃料電池に供給し、前記燃料電池の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電する、電解合成システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電解合成システムであって、
前記合成装置が合成した前記炭化水素が流れる炭化水素排出路から分岐し、前記燃料電池に接続される第2分岐管と、
前記第2分岐管が前記炭化水素排出路から分岐する分岐部に設けられ、前記第2分岐管との接続と、前記炭化水素排出路との接続とを択一的に切り替える経路切替器と、
前記燃料電池と前記第1ガスタンクとを繋ぐ第4配管と、
を備え、
前記制御装置は、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第4開閉弁と前記経路切替器とを制御して、前記燃料電池に前記水素ガスと前記炭化水素を供給し、前記燃料電池に発電を実施させる、電解合成システム。
【請求項9】
請求項8に記載の電解合成システムであって、
前記第2配管から分岐し、前記第1配管に接続される第3分岐管と、
前記第3分岐管が前記第2配管から分岐する分岐部に設けられ、前記第2配管との接続と、前記第3分岐管との接続とを択一的に切り替える第2経路切替器と、
を備え、
前記燃料電池は、前記電解装置であり、
前記制御装置は、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第2経路切替器を制御して、前記電解装置での発電によって発生する前記二酸化炭素ガスを、前記第1ガスタンクに供給する、電解合成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解合成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用により、廃棄物の発生の大幅な削減に向けた取り組みが活発化している。この実現に向けて、電解合成システムに関する研究開発が行われている。電解合成システムは、水蒸気を電解して水素ガスを生成する電解装置と、水素ガスを用いて炭化水素を合成する合成装置とを備えている。
【0003】
下記特許文献1には、固体酸化物形燃料電池と、メタネーション反応器と有するシステムが開示されている。固体酸化物形燃料電池は、燃料極と酸素極と電解質膜とを含むセルを複数積層して構成される。固体酸化物形燃料電池の燃料極には、燃料を改質して生成される改質ガスが供給される。固体酸化物形燃料電池の燃料極からは、水素と一酸化炭素もしくは二酸化炭素とが排出される。メタネーション反応器は、水素と、一酸化炭素もしくは二酸化炭素とを反応させてメタンに変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-204783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体酸化物形燃料電池で発電する場合、当該固体酸化物形燃料電池に改質ガスを供給するために、改質器、供給ライン等を設ける必要がある。また、固体酸化物形燃料電池から排出される二酸化炭素ガスをメタネーション反応器に供給する場合、二酸化炭素ガスを供給するタイミングは、固体酸化物形燃料電池の作動中のみに限られる。そのため、メタネーション反応器の稼働率が低下する。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、水蒸気を電解して水素ガスを生成する電解装置と、前記水素ガスを用いて炭化水素を合成する合成装置とを備える電解合成システムであって、充電中に大気中の二酸化炭素ガスを電子とともに電極に吸着し、前記電極に吸着された前記二酸化炭素ガスを前記電子とともに前記電極から放出するガス吸着型蓄電池と、前記ガス吸着型蓄電池と前記電解装置または前記合成装置とを繋ぎ、前記ガス吸着型蓄電池からの二酸化炭素を流す第1配管と、前記ガス吸着型蓄電池の電力を前記電解装置に供給するための放電用スイッチと、前記電極への前記二酸化炭素ガスの吸着量を取得するための吸着センサと、1以上のプロセッサを有する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記吸着量が所定の第1閾値を超えると、前記放電用スイッチを制御して、前記ガス吸着型蓄電池の放電を開始させる。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様によれば、改質器、改質ガスの供給ライン等を設けなくても、電力を蓄電することができる。その結果、設置場所が制限されることを低減することができる。また、ガス吸着型蓄電池によって二酸化炭素ガスを安定的に獲得することができ、その結果、メタネーションリアクタの稼働率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態による電解合成システムの構成を示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態による制御装置のシステム制御処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態の変形例による電解合成システムの構成を示す概略図である。
図4図4は、第2実施形態による電解合成システムの構成を示す概略図である。
図5図5は、第2実施形態による制御装置のシステム制御処理の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の変形例1による電解合成システムの構成を示す概略図である。
図7図7は、第2実施形態の変形例2による電解合成システムの構成を示す概略図である。
図8図8は、第2実施形態の変形例3による電解合成システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、電解合成システム10は、電解装置12と、ガスタンク14と、合成装置16と、炭化水素タンク18と、ガス吸着型蓄電池20と、制御装置22とを備える。
【0011】
電解装置12は、水を電解する装置である。電解装置12は、複数の電解セルが積層されたセルスタックを備えている。各電解セルは、電解質膜と、燃料極と、酸素極とを有する。電解質膜は、燃料極と酸素極とに挟持される。
【0012】
本実施形態では、電解装置12は、水と二酸化炭素ガスとを共電解する共電解装置12Aである。共電解装置12Aに用いられる電解質膜は、例えば、イットリア安定化ジルコニア等の固体電解質膜である。
【0013】
電解装置12には、水源30から水供給路40を介して水が供給される。電解装置12に供給される水は、液水であってもよいし、水蒸気であってもよい。水供給路40は、電解装置12における各電解セルの燃料極と水源30とを連通する配管である。電解装置12には、ガス吸着型蓄電池20から第1配管42を介して二酸化炭素ガスが供給される。第1配管42は、電解装置12における各電解セルの燃料極とガス吸着型蓄電池20とを連通する。電解装置12には、ブロワー等の酸素供給源(図示せず)から酸素供給路(図示せず)を介して酸素ガスが供給される。前記酸素供給路は、電解装置12における各電解セルの酸素極と前記酸素供給源とを連通する配管である。
【0014】
電解装置12は、電力が供給されると電解を開始する。電解が開始されると、本実施形態では、水素ガスと一酸化炭素ガスとを含む生成ガスが生成される。生成ガスは、第2配管44に流出する。第2配管44は、電解装置12における各電解セルの燃料極と合成装置16とを連通する。
【0015】
電解装置12の作動温度は、数百度に達し、高温である。電解装置12に発生する熱を合成装置16で利用するために、電解装置12と合成装置16とは、熱伝導路46により接続される。熱伝導路46は、電解装置12に発生する熱を合成装置16に伝導する経路である。熱伝導路46は、ヒートパイプを含んでもよい。
【0016】
ガスタンク14は、第2配管44に設けられる。ガスタンク14の流入口は、第2配管44の上流部44aの下流端に接続される。ガスタンク14の流出口は、第2配管44の下流部44bの上流端に接続される。ガスタンク14は、電解装置12によって生成された生成ガス(水素ガスおよび一酸化炭素ガス)を貯留する。ガスタンク14に貯留された生成ガスは、合成装置16に供給される。
【0017】
合成装置16は、水素ガスを用いて、炭化水素を合成する装置である。本実施形態では、合成装置16は、水素ガスと一酸化炭素ガスとを反応させて炭化水素を合成するFT合成器16Aである。FT合成器16Aには、共電解装置12Aによって生成された生成ガス(水素ガスおよび一酸化炭素ガス)がガスタンク14から供給される。FT合成器16Aは、触媒を介して水素ガスと一酸化炭素ガスとを反応させて炭化水素を合成する。触媒は、例えば、コバルト等の金属を含む。合成装置16によって合成された炭化水素は、炭化水素排出路48に排出される。
【0018】
炭化水素タンク18は、炭化水素排出路48に設けられる。炭化水素タンク18の流入口は、炭化水素排出路48の上流部48aの下流端に接続される。炭化水素タンク18の流出口は、炭化水素排出路48の下流部48bの上流端に接続される。炭化水素タンク18は、合成装置16によって合成された炭化水素を貯留する。
【0019】
ガス吸着型蓄電池20は、充電中に大気中の二酸化炭素ガスを電極に吸着し、電極に吸着された二酸化炭素ガスを放電中に放出する装置である。ガス吸着型蓄電池20は、筐体と、筐体の内部に配された複数の蓄電セルとを有する。各蓄電セルは、キノン系の材料が含まれる2つの電極と、2つの電極に挟持される電解質膜とを有する。蓄電セルでは、充電中、ガス吸着型蓄電池20の筐体内の二酸化炭素がキノン系の置換基に電子とともに結合する。一方、放電中、キノン系の置換基に結合された二酸化炭素ガスが分離する。この技術は、電気スイング吸着法(Electric Swing Adsorption)と称される場合がある。各蓄電セルの電極から放出された二酸化炭素ガスは、第1配管42を通じて、電解装置12の燃料極に供給される。なお、ガス吸着型蓄電池20の筐体内は大気と連通している。
【0020】
ガス吸着型蓄電池20には、発電装置32が電気的に接続される。本実施形態では、発電装置32は、太陽エネルギーを電力に変換する太陽光発電装置であるが、これに限定されない。例えば、地熱発電機であってもよく、風力発電装置、水力発電装置であってもよい。要は、再生可能なエネルギーを発電する発電装置であってもよい。なお、発電装置32は、電力源として電解装置12と合成装置16とに接続されてもよい。発電装置32が電解装置12と合成装置16とに接続されていない場合、電解装置12と合成装置16とは他の電源に接続される。
【0021】
発電装置32とガス吸着型蓄電池20とを接続する充電ラインLN1には、第1充電用スイッチSW1が設けられている。第1充電用スイッチSW1は、発電装置32の電力を電解装置12に供給するためのスイッチである。第1充電用スイッチSW1がオフの場合、発電装置32の電力は、ガス吸着型蓄電池20に供給されない。一方、第1充電用スイッチSW1がオンの場合、発電装置32の電力は、ガス吸着型蓄電池20に供給される。
【0022】
ガス吸着型蓄電池20には、電解装置12が電気的に接続される。ガス吸着型蓄電池20と電解装置12とを接続する放電ラインLN2には、放電用スイッチSW2が設けられている。放電用スイッチSW2は、ガス吸着型蓄電池20の電力を電解装置12に供給するためのスイッチである。放電用スイッチSW2がオフの場合、ガス吸着型蓄電池20の電力が電解装置12に供給されない。一方、放電用スイッチSW2がオンの場合、ガス吸着型蓄電池20の電力が電解装置12に供給される。
【0023】
制御装置22は、電解合成システム10を制御するコンピュータである。制御装置22は、操作ユニットと、記憶ユニットと、演算ユニットとを備える。操作ユニットは、オペレータの指示を受け付け可能な入力装置である。記憶ユニットは、様々なデータを記憶する記憶装置である。記憶ユニットは、揮発性メモリと不揮発性メモリとによって構成され得る。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。演算ユニットは、CPU、MPU等の1以上のプロセッサを含む。
【0024】
制御装置22には、複数のセンサが接続される。複数のセンサは、吸着センサ50と、2つのタンクセンサ52とを含む。
【0025】
吸着センサ50は、ガス吸着型蓄電池20に設けられる。吸着センサ50は、蓄電セルの電極への二酸化炭素ガスの吸着量を取得するために用いられるセンサである。
【0026】
吸着センサ50は、例えば、電流センサである。蓄電セルの電極への二酸化炭素ガスの吸着量が多いほど、当該電極に流れる電流値が小さくなる関係にある。つまり、ガス吸着型蓄電池20は、バッテリ残量が多い程、流れる電流が小さくなる。また、ガス吸着型蓄電池20を流れる電流が小さい程、バッテリ残量が高くなり、吸着量が多くなる。この関係に基づいて、吸着センサ50によって検出される値(電流値)が、二酸化炭素ガスの吸着量として換算され得る。吸着センサ50は、複数の蓄電セルの各々に設けられてもよい。この場合、二酸化炭素ガスの吸着量は、複数の吸着センサ50の各々が検出する値(電流値)の平均等の統計値から換算される。或いは、吸着センサ50は、複数の蓄電セルのうち、代表の蓄電セルに設けられてもよい。この場合、二酸化炭素ガスの吸着量は、代表の吸着センサ50が検出する値(電流値)から換算される。なお、吸着センサ50は、電流センサに限定されない。
【0027】
2つのタンクセンサ52の1つは、ガスタンク14に設けられるタンクセンサ52Aである。タンクセンサ52Aは、ガスタンク14に貯留される生成ガスの貯留量を検出するために用いられるセンサである。2つのタンクセンサ52の残り1つは、炭化水素タンク18に設けられるタンクセンサ52Bである。タンクセンサ52Bは、炭化水素タンク18に貯留される炭化水素の貯留量を検出するために用いられるセンサである。
【0028】
タンクセンサ52は、例えば、圧力センサである。タンク内に貯留されるガスの貯留量が多いほど、当該タンク内の圧力が大きくなる関係にある。この関係に基づいて、タンクセンサ52によって検出される値(圧力値)が、生成ガスの貯留量または炭化水素の貯留量に換算され得る。なお、タンクセンサ52は、圧力センサに限定されない。
【0029】
制御装置22は、吸着センサ50の検出結果と、タンクセンサ52の検出結果とに基づいて、電解合成システム10における複数の制御対象部を制御する。複数の制御対象部は、水源30と、第1充電用スイッチSW1と、放電用スイッチSW2と、開閉弁BLとを含む。開閉弁BLは、ガスタンク14と合成装置16との間の第2配管44に設けられる。開閉弁BLは、ガスタンク14の流出口に設けられてもよい。開閉弁BLが閉弁する場合、ガスタンク14に貯留される生成ガスは合成装置16に供給されない。一方、開閉弁BLが開弁する場合、ガスタンク14に貯留される生成ガスは合成装置16に供給される。
【0030】
次に、制御装置22のシステム制御処理に関して、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。電解合成システム10の停止中に、電解合成システム10の起動指令を受けると、制御装置22は、システム制御処理を開始し、ステップS1に移行する。なお、電解合成システム10の停止中、水源30は停止され、第1充電用スイッチSW1および放電用スイッチSW2はオフであり、開閉弁BLは閉弁している。
【0031】
ステップS1において、制御装置22は、タンクセンサ52Aに基づいて、ガスタンク14に貯留される生成ガスの貯留量を取得し、当該貯留量を所定の閾値(第2閾値)と比較する。
【0032】
生成ガスの貯留量が閾値(第2閾値)を超える場合、制御装置22は、ガスタンク14に生成ガスを補充する必要がないと判定する。この場合、制御装置22は、ステップS6に移行する。ステップS6の内容は後述する。一方、生成ガスの貯留量が閾値(第2閾値)以下である場合、制御装置22は、ガスタンク14に生成ガスを補充する必要があると判定する。この場合、制御装置22は、ステップS2に移行する。
【0033】
ステップS2において、制御装置22は、第1充電用スイッチSW1をオンにして、ガス吸着型蓄電池20への充電を開始する。その後、制御装置22は、ステップS3に移行する。
【0034】
ステップS3において、制御装置22は、吸着センサ50に基づいて、蓄電セルの電極への二酸化炭素ガスの吸着量を取得し、当該吸着量を所定の閾値(第1閾値)と比較する。
【0035】
二酸化炭素ガスの吸着量が閾値(第1閾値)以下である場合、制御装置22は、電解装置12に供給される電力に相当する充電量がガス吸着型蓄電池20にないと判定する。この場合、制御装置22は、ステップS3に留まる。一方、二酸化炭素ガスの吸着量が閾値(第1閾値)を超えると、制御装置22は、ステップS4に移行する。
【0036】
ステップS4において、制御装置22は、まず、第1充電用スイッチSW1をオフにする。第1充電用スイッチSW1がオフになると、ガス吸着型蓄電池20の各蓄電セルの電極から二酸化炭素ガスが放出され始める。電極から放出された二酸化炭素ガスは、第1配管42を通じて、電解装置12に供給される。
【0037】
その後、制御装置22は、水源30を駆動するとともに、放電用スイッチSW2をオンにし、ステップS5に移行する。放電用スイッチSW2がオンになると、ガス吸着型蓄電池20の電力が電解装置12に供給される。電力が供給されると、電解装置12では、水源30から供給される水と、ガス吸着型蓄電池20から供給される二酸化炭素ガスとの電解が始まる。電解が始まると、当該電解によって生成された生成ガス(水素ガスおよび一酸化炭素ガス)がガスタンク14に貯留され始める。
【0038】
ステップS5において、制御装置22は、タンクセンサ52Aに基づいて、ガスタンク14に貯留される生成ガスの貯留量を取得し、当該貯留量を所定の閾値(第2閾値)と比較する。生成ガスの貯留量が閾値(第2閾値)以下である場合、制御装置22は、生成ガスの貯留量が閾値(第2閾値)を超えるまで、ステップS5に留まる。一方、生成ガスの貯留量が閾値(第2閾値)を超えると、制御装置22は、水源30を停止するとともに、放電用スイッチSW2をオフにし、ステップS6に移行する。
【0039】
水源30が停止すると、電解装置12への水の供給が停止する。放電用スイッチSW2がオフになると、電解装置12への二酸化炭素ガスの供給が停止する。そのため、電解装置12による電解が停止する。なお、電解装置12に発生する熱を合成装置16で利用するために、電解装置12への電力の供給は継続される。供給源は、発電装置32であってもよいし、発電装置32以外の電源であってもよい。
【0040】
ステップS6において、制御装置22は、開閉弁BLを開弁して、ガスタンク14に貯留された水素ガスと一酸化炭素ガスとを合成装置16に供給し、当該合成装置16に炭化水素の合成を開始させる。その後、制御装置22は、ステップS7に移行する。
【0041】
ステップS7において、制御装置22は、タンクセンサ52Bに基づいて、炭化水素タンク18に貯留される炭化水素の貯留量を取得し、当該貯留量を所定の閾値と比較する。炭化水素の貯留量が閾値以下である場合、制御装置22は、炭化水素の貯留量が閾値を超えるまで、ステップS7に留まる。一方、炭化水素の貯留量が閾値を超えると、制御装置22は、開閉弁BLを閉弁して、合成装置16による炭化水素の合成を停止する。その後、制御装置22は、システム制御処理を終了する。
【0042】
以上のように、本実施形態では、制御装置22は、ガス吸着型蓄電池20における電極への二酸化炭素ガスの吸着量が所定の閾値(第1閾値)を超えると、放電用スイッチSW2を制御して、ガス吸着型蓄電池20の放電を開始させる。
【0043】
これにより、改質器、改質ガスの供給ライン等を設けなくても、電力を蓄電することができる。その結果、設置場所が制限されることを低減することができる。また、ガス吸着型蓄電池20によって二酸化炭素ガスを安定的に獲得することができ、その結果、メタネーションリアクタの稼働率を高めることができる。
【0044】
ガス吸着型蓄電池20から放出される二酸化炭素ガスは、電解装置12に供給される。電解装置12は、ガス吸着型蓄電池20の電力を用いて、二酸化炭素ガスを水とともに共電解し得る。したがって、電解の効率化を図ることができる。共電解によって得られた生成ガス(水素ガスと一酸化炭素ガス)はガスタンク14に貯留される。したがって、合成装置16(FT合成器16A)の合成に必要なガスを備蓄することができる。
【0045】
制御装置22は、生成ガスの貯留量が所定の閾値(第2閾値)を超える場合に、開閉弁BLを制御して、ガスタンク14に貯留された生成ガスを合成装置16に供給する。一方、生成ガスの貯留量が閾値(第2閾値)以下の場合、制御装置22は、開閉弁BLを制御して、生成ガスの合成装置16への供給を停止させる。これにより、合成装置16の合成に必要なガスを安定して供給することができ、その結果、炭化水素の合成効率を高めることができる。
【0046】
本実施形態では、電解装置12は共電解装置12Aであり、合成装置16はFT合成器16Aである。したがって、サバティエ反応を用いて炭化水素を合成する場合に比べて、当該合成に必要なエネルギーを低減することができる。
【0047】
上記の第1実施形態は、下記のように変形されてもよい。
【0048】
図3は、第1実施形態の変形例による電解合成システム10の構成を示す概略図である。図3では、第1実施形態で説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、第1実施形態と重複する説明は割愛する。
【0049】
第1実施形態の発電装置32が再生可能なエネルギーを発電する発電装置の場合、自然環境に応じてガス吸着型蓄電池20を充分に充電できない。また、発電装置32が再生可能なエネルギーを発電する発電装置でない場合であっても、停電時等に、ガス吸着型蓄電池20を充電できないことがある。そこで、本変形例の電解合成システム10のように、予備電源として第2電池24が備えられてもよい。
【0050】
第2電池24は、充電時に、二酸化炭素ガスを吸着しない。第2電池24は、一般的に用いられるリチウムイオン電池等の2次電池である。第2電池24には、電気センサ54が設けられる。電気センサ54は、充電量を取得するために用いられるセンサである。電気センサ54は、電流センサであってもよいし、電圧センサであってもよいし、抵抗センサであってもよい。
【0051】
第2電池24は、充電ラインLN3を介してガス吸着型蓄電池20に接続される。充電ラインLN3には第2充電用スイッチSW3が設けられている。第2充電用スイッチSW3は、第2電池24の電力をガス吸着型蓄電池20に供給するためのスイッチである。第2充電用スイッチSW3がオフの場合、第2電池24の電力は、ガス吸着型蓄電池20に供給されない。一方、第2充電用スイッチSW3がオンの場合、第2電池24の電力は、ガス吸着型蓄電池20に供給される。
【0052】
第2電池24は、充電ラインLN4を介してガス吸着型蓄電池20に接続される。充電ラインLN4には第3充電用スイッチSW4が設けられている。第3充電用スイッチSW4は、発電装置32の電力を第2電池24に供給するためのスイッチである。第3充電用スイッチSW4がオフの場合、発電装置32の電力は第2電池24に供給されない。一方、第3充電用スイッチSW4がオンの場合、発電装置32の電力は第2電池24に供給される。
【0053】
第2電池24が備えられる場合、制御装置22は、上述のシステム制御処理と並行して第1電池制御処理と、第2電池制御処理とを実行する。
【0054】
第1電池制御処理は、電解合成システム10の停止中に第2電池24を充電する処理である。制御装置22は、電気センサ54に基づいて、第2電池24の充電量を取得し、当該充電量を充電閾値と比較する。第2電池24の充電量が所定の充電閾値以下になる場合、制御装置22は、第3充電用スイッチSW4をオンにして第2電池24を充電する。
【0055】
第2電池制御処理は、電解合成システム10の停止の有無にかかわらず、ガス吸着型蓄電池20または第2電池24を充電する処理である。制御装置22は、発電装置32に設けられる電力センサ56が検出する発電装置32の電力を第3閾値と比較する。
【0056】
発電装置32の電力が第3閾値以上の場合、制御装置22は、発電装置32の電力を用いてガス吸着型蓄電池20を充電する。この場合、第1充電用スイッチSW1がオンにされ、第2充電用スイッチSW3がオフにされる。一方、発電装置32の電力が第3閾値未満の場合、制御装置22は、第2電池24の電力を用いてガス吸着型蓄電池20を充電する。この場合、第1充電用スイッチSW1がオフにされ、第2充電用スイッチSW3がオンにされる。
【0057】
このように本変形例によれば、ガス吸着型蓄電池20を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置12を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、ガスタンク14を介して合成装置16に安定して水素ガスと一酸化炭素ガスとを供給することができる。
【0058】
〔第2実施形態〕
次に、図4を用いて第2実施形態を説明する。図4では、第1実施形態で説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、第1実施形態のガスタンク14は、特許請求の範囲の記載に対応させて、第2ガスタンク26Bと称する。同様に、第1実施形態のタンクセンサ52Aは、第2タンクセンサ52Aと称する。同様に、第1実施形態の開閉弁BLは、第2開閉弁BL2と称する。また、本実施形態では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0059】
本実施形態では、電解装置12は、水を電解する水電解装置12Bである。水電解装置12Bは、AEM型水電解装置であってもよいし、PEM型水電解装置であってもよい。AEM型水電解装置では、電解質膜としてアニオン交換膜が用いられる。PEM型水電解装置では、電解質膜としてプロトン交換膜が用いられる。なお、水電解装置12Bの電解質膜は、共電解装置12Aで用いられる固体電解質膜であってもよい。
【0060】
水電解装置12Bによって生成される生成ガスは、水素ガスである。そのため、本実施形態では、水素ガスが第2ガスタンク26Bに貯留される。一方、一酸化炭素ガスはガスタンク14に貯留されない。換言すると、ガスタンク14と第2ガスタンク26Bとの構成は同じであるが、ガスタンク14に貯留される生成ガスと、第2ガスタンク26Bに貯留される生成ガスとのガス成分が異なる。
【0061】
本実施形態では、合成装置16は、水素ガスと二酸化炭素ガスとを反応させて炭化水素を合成するメタネーション器16Bである。メタネーション器16Bに用いられる触媒は、例えば、ニッケル等の金属を含む。
【0062】
本実施形態では、第1配管42の接続が第1実施形態と異なる。第1実施形態では、第1配管42は、電解装置12とガス吸着型蓄電池20とを繋いだ。これに対し、本実施形態では、第1配管42は、電解装置12と合成装置16とを繋いでいる。
【0063】
本実施形態では、第1ガスタンク26Aとバックアップタンク28とが新たに備えられる。第1ガスタンク26Aは、第1配管42に設けられる。第1ガスタンク26Aの流入口は、第1配管42の上流部42aの下流端に接続される。第1ガスタンク26Aの流出口は、第1配管42の下流部42bの上流端に接続される。本実施形態では、第1配管42は、ガス吸着型蓄電池20と合成装置16とを連通する。そのため、ガス吸着型蓄電池20の各蓄電セルの電極から放出された二酸化炭素ガスは、第1配管42を通じて、第1ガスタンク26Aに貯留される。第1ガスタンク26Aと合成装置16との間の第1配管42には、第1開閉弁BL1が設けられる。
【0064】
バックアップタンク28は、予備の水素ガスを貯留するタンクである。バックアップタンク28は、第3配管49によって第2ガスタンク26Bと繋がれる。第3配管49は、バックアップタンク28と第2ガスタンク26Bとを連通している。
【0065】
バックアップタンク28と第2ガスタンク26Bとの間の第3配管49には、第3開閉弁BL3が設けられる。第3開閉弁BL3が閉弁する場合、バックアップタンク28に貯留される水素ガスは第2ガスタンク26Bに供給されない。一方、第3開閉弁BL3が開弁する場合、バックアップタンク28に貯留される水素ガスは第2ガスタンク26Bに供給される。
【0066】
本実施形態では、制御装置22には第1タンクセンサ52Cが新たに接続される。第1タンクセンサ52Cは、第1ガスタンク26Aに貯留される二酸化炭素ガスの貯留量を検出するために用いられるセンサである。第1タンクセンサ52Cは、例えば、圧力センサであるが、これに限定されない。
【0067】
次に、制御装置22のシステム制御処理に関して、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。図5では、図2で説明したステップと同等のステップには同一の符号が付されている。なお、本実施形態のシステム制御処理では、第1実施形態のシステム制御処理と重複する説明は割愛する。
【0068】
電解合成システム10の停止中に、電解合成システム10の起動指令を受けると、制御装置22は、システム制御処理を開始し、ステップS10に移行する。なお、本実施形態で新たに備えられた第1開閉弁BL1と第3開閉弁BL3とは、第1実施形態の開閉弁BLである第2開閉弁BL2と同様に、電解合成システム10の停止中は、閉弁している。
【0069】
ステップS10において、制御装置22は、第1タンクセンサ52Cに基づいて、第1ガスタンク26Aに貯留される二酸化炭素ガスの貯留量を取得し、当該貯留量を所定の閾値(第4閾値)と比較する。
【0070】
二酸化炭素ガスの貯留量が閾値(第4閾値)以下である場合、制御装置22は、ガスタンク14に生成ガスを補充する必要があると判定する。この場合、制御装置22は、ステップS2に移行する。一方、二酸化炭素ガスの貯留量が閾値(第4閾値)を超える場合、制御装置22は、第1ガスタンク26Aに二酸化炭素ガスを補充する必要がないと判定する。この場合、制御装置22は、ステップS11に移行する。
【0071】
ステップS11において、制御装置22は、第2タンクセンサ52Aに基づいて、第2ガスタンク26Bに貯留される水素ガスの貯留量を取得し、当該貯留量を所定の閾値(第5閾値)と比較する。
【0072】
水素ガスの貯留量が閾値(第5閾値)を超える場合、制御装置22は、第2ガスタンク26Bに水素ガスを補充する必要がないと判定する。この場合、制御装置22は、ステップS6に移行する。一方、水素ガスの貯留量が閾値(第5閾値)以下である場合、制御装置22は、第2ガスタンク26Bに水素ガスを補充する必要があると判定する。この場合、制御装置22は、ステップS12に移行する。
【0073】
ステップS12において、制御装置22は、第3開閉弁BL3を開弁して、バックアップタンク28に貯留された水素ガスを第2ガスタンク26Bに供給し始める。第3開閉弁BL3が開弁された場合、制御装置22は、水素ガスの貯留量が閾値(第5閾値)を超えるまで、第2ガスタンク26Bに水素ガスを供給し続ける。水素ガスの貯留量が閾値(第5閾値)を超えると、制御装置22は、第3開閉弁BL3を閉弁した後、ステップS6に移行する。
【0074】
以上のように、本実施形態では、制御装置22は、第1実施形態と同様に、ガス吸着型蓄電池20における電極への二酸化炭素ガスの吸着量が所定の閾値(第1閾値)を超えると、放電用スイッチSW2を制御して、ガス吸着型蓄電池20の放電を開始させる。
【0075】
これにより、改質器、改質ガスの供給ライン等を設けなくても、電力を蓄電することができる。その結果、設置場所が制限されることを低減することができる。また、ガス吸着型蓄電池20によって二酸化炭素ガスを安定的に獲得することができ、その結果、メタネーションリアクタの稼働率を高めることができる。
【0076】
ガス吸着型蓄電池20から放出される二酸化炭素ガスは、第1ガスタンク26Aに貯留される。電解装置12が水電解することによって得られた生成ガス(水素ガス)は第2ガスタンク26Bに貯留される。したがって、合成装置16(メタネーション器16B)の合成に必要なガスを備蓄することができる。また、電解装置12は、ガス吸着型蓄電池20の電力を用いて水電解し得る。したがって、電解の効率化を図ることができる。
【0077】
二酸化炭素ガスの貯留量が第4閾値を超える場合、制御装置22は、第1開閉弁BL1を制御して、第1ガスタンク26Aに貯留された二酸化炭素ガスを合成装置16に供給する。一方、二酸化炭素ガスの貯留量が第4閾値以下の場合、制御装置22は、第1開閉弁BL1を制御して、第1ガスタンク26Aに貯留された二酸化炭素ガスの合成装置16への供給を停止させる。これにより、合成装置16の合成に必要な二酸化炭素ガスを安定して供給することができ、その結果、炭化水素の合成効率を高めることができる。
【0078】
二酸化炭素ガスの貯留量が第4閾値を超え、且つ、水素ガスの貯留量が第5閾値を超える場合、制御装置22は、第1開閉弁BL1および第2開閉弁BL2を制御して、第1ガスタンク26Aに貯留された二酸化炭素ガスと第2ガスタンク26Bに貯留された水素ガスとを合成装置16に供給する。一方、二酸化炭素ガスの貯留量が所定の第4閾値を超え、且つ、水素ガスの貯留量が第5閾値以下の場合は、第1開閉弁BL1~第3開閉弁BL3を制御して、第1ガスタンク26Aに貯留された二酸化炭素ガスとバックアップタンク28に貯留された水素ガスとを合成装置16に供給する。他方、二酸化炭素ガスの貯留量が所定の第4閾値以下の場合、制御装置22は、第1開閉弁BL1および第2開閉弁BL2を制御して、第1ガスタンク26Aに貯留された二酸化炭素ガスと第2ガスタンク26Bに貯留された水素ガスとの合成装置16への供給を停止させる。これにより、合成装置16の合成に必要な二酸化炭素ガスと水素ガスとの双方を安定して供給することができ、その結果、炭化水素の合成効率を高めることができる。
【0079】
上記の第2実施形態は、下記のように変形されてもよい。
【0080】
図6は、第2実施形態の変形例1による電解合成システム10の構成を示す概略図である。図6では、第2実施形態で説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、第2実施形態と重複する説明は割愛する。
【0081】
第2実施形態の発電装置32が太陽エネルギーを電力に変換する装置である場合、夜間に、ガス吸着型蓄電池20を充電できない。また、発電装置32が太陽エネルギーを電力に変換する装置でない場合であっても、停電時等に、ガス吸着型蓄電池20を充電できないことがある。そこで、本変形例の電解合成システム10のように、予備電源として燃料電池60が備えられてもよい。燃料電池60は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、或いは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)等の燃料電池60Aである。
【0082】
燃料電池60は、放電ラインLN5を介してガス吸着型蓄電池20と電気的に接続される。燃料電池60には、第1分岐管61を介して水素ガスが供給される。第1分岐管61は、第2ガスタンク26Bと合成装置16との間の第2配管44から分岐し、燃料電池60に接続される。第1分岐管61には、第4開閉弁BL4が設けられる。水素ガスが燃料電池60に供給されると、燃料電池60では、大気中の酸素ガスと水素ガスとの電気化学反応により発電が開始される。発電が開始されると、燃料電池60の電力に基づいてガス吸着型蓄電池20が充電される。
【0083】
本変形例では、燃料電池60は、当該燃料電池60に発生する熱を合成装置16で利用するために、熱伝導路62を介して合成装置16と接続される。熱伝導路62は、燃料電池60に発生する熱を合成装置16に伝導する経路である。熱伝導路62は、熱伝導路46と同じであってもよい。また、熱伝導路62は、ヒートパイプを含んでもよい。
【0084】
燃料電池60(燃料電池60A)が備えられる場合、制御装置22は、上述のシステム制御処理と並行して燃料電池制御処理を実行する。燃料電池制御処理が開始されると、制御装置22は、発電装置32に設けられる電力センサ56が検出する発電装置32の電力を第3閾値と比較する。
【0085】
発電装置32の電力が第3閾値以上の場合、制御装置22は、発電装置32の電力を用いてガス吸着型蓄電池20を充電する。この場合、第1充電用スイッチSW1がオンにされ、第4開閉弁BL4は閉弁される。
【0086】
一方、発電装置32の電力が第3閾値未満の場合、制御装置22は、燃料電池60の電力を用いてガス吸着型蓄電池20を充電する。この場合、第1充電用スイッチSW1がオフにされ、第4開閉弁BL4は開弁される。
【0087】
このように本変形例によれば、ガス吸着型蓄電池20を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置12を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、ガスタンク14を介して合成装置16に安定して水素ガスと二酸化炭素ガスとを供給することができる。
【0088】
図7は、第2実施形態の変形例2による電解合成システム10の構成を示す概略図である。図7では、上述した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、第2実施形態と重複する説明は割愛する。
【0089】
上述のように、ガス吸着型蓄電池20を充電できないことがある。そこで、本変形例の電解合成システム10のように、予備電源として燃料電池60が備えられてもよい。本変形例では、燃料電池60は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)等の燃料電池60Bである。
【0090】
燃料電池60には、第1分岐管61を介して水素ガスが供給される。また、燃料電池60には、第2分岐管63を介して炭化水素が供給される。第2分岐管63は、炭化水素排出路48から分岐し、燃料電池60に接続される。本変形例では、第2分岐管63は、炭化水素タンク18よりも下流の炭化水素排出路48から分岐しているが、炭化水素タンク18よりも上流の炭化水素排出路48から分岐してもよい。また、第2分岐管63は、第1分岐管61を介して燃料電池60に間接的に接続されているが、第1分岐管61を介さずに燃料電池60に直接的に接続されてもよい。第2分岐管63が炭化水素排出路48から分岐する分岐部には、経路切替器PT1が設けられる。経路切替器PT1は、第2分岐管63との接続と、炭化水素排出路48との接続とを択一的に切り替える機器である。経路切替器PT1は、三方弁であってもよい。
【0091】
水素ガスと炭化水素とが燃料電池60に供給されると、燃料電池60では、大気中の酸素ガスと水素ガスと炭化水素との電気化学反応により発電が開始される。発電が開始されると、燃料電池60の電力に基づいてガス吸着型蓄電池20が充電される。また、上記の電気化学反応により発生する二酸化炭素ガスは、第4配管64を介して第1ガスタンク26Aに供給される。第4配管64は、燃料電池60と第1ガスタンク26Aとを繋ぐ配管であり、当該燃料電池60と第1ガスタンク26Aとを連通している。
【0092】
燃料電池60(燃料電池60B)が備えられる場合、制御装置22は、上述のシステム制御処理と並行して、燃料電池制御処理を実行する。燃料電池制御処理が開始されると、制御装置22は、発電装置32に設けられる電力センサ56が検出する発電装置32の電力を第3閾値と比較する。
【0093】
発電装置32の電力が第3閾値以上の場合、制御装置22は、発電装置32の電力を用いてガス吸着型蓄電池20を充電する。この場合、第1充電用スイッチSW1がオンにされ、第4開閉弁BL4は閉弁される。また、経路切替器PT1は、第2分岐管63との接続に切り替えずに、炭化水素排出路48との接続を維持する。
【0094】
一方、発電装置32の電力が第3閾値未満の場合、制御装置22は、燃料電池60の電力を用いてガス吸着型蓄電池20を充電する。この場合、第1充電用スイッチSW1がオフにされ、第4開閉弁BL4は開弁される。また、経路切替器PT1は、炭化水素排出路48との接続から第2分岐管63との接続に切り替える。
【0095】
このように本変形例によれば、ガス吸着型蓄電池20を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置12を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、ガスタンク14を介して合成装置16に安定して水素ガスと二酸化炭素ガスとを供給することができる。
【0096】
図8は、第2実施形態の変形例3による電解合成システム10の構成を示す概略図である。図8では、上述した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、第2実施形態と重複する説明は割愛する。
【0097】
燃料電池60は、電解装置12であってもよい。すなわち、電解装置12は、電解機能に加えて、発電機能を有する。この場合、制御装置22は、電解装置12を、電解モードと電池モードとに切り替える。
【0098】
すなわち、発電装置32の電力が第3閾値以上の場合、制御装置22は、電解モードを電解装置12に実行させる。この場合、電解装置12は、発電装置32の電力を用いて、水の電解を実行する。
【0099】
電解装置12に電解モードを実行させる場合、制御装置22は、第1充電用スイッチSW1をオンにし、第4開閉弁BL4を閉弁する。また、制御装置22は、経路切替器PT1を制御して、当該経路切替器PT1に炭化水素排出路48を接続する。さらに、制御装置22は、第2経路切替器PT2を制御して、当該第2経路切替器PT2に第2配管44を接続する。これにより、電解装置12の電解によって生成される水素ガスは、第2配管44を介して、第2ガスタンク26Bに供給される。
【0100】
第2経路切替器PT2は、第2配管44との接続と、第3分岐管65との接続とを択一的に切り替える機器である。第3分岐管65は、第2配管44から分岐し、第1配管42に接続される。第3分岐管65が第2配管44から分岐する分岐部に第2経路切替器PT2が設けられる。第2経路切替器PT2は、三方弁であってもよい。
【0101】
発電装置32の電力が第3閾値未満の場合、制御装置22は、電池モードを電解装置12に実行させる。この場合、電解装置12は、ガス吸着型蓄電池20を充電する。すなわち、電解装置12のリバーシブル運転により、電解装置12によるSOFC発電でガス吸着型蓄電池20が充電される。
【0102】
電解装置12に電池モードを実行させる場合、制御装置22は、第1充電用スイッチSW1をオフにし、第4開閉弁BL4を開弁する。また、制御装置22は、経路切替器PT1を制御して、当該経路切替器PT1に第2分岐管63を接続する。さらに、制御装置22は、第2経路切替器PT2を制御して、当該第2経路切替器PT2に第3分岐管65を接続する。これにより、電解装置12では発電が行われ、ガス吸着型蓄電池20が充電される。また、電解装置12の発電により発生する二酸化炭素ガスは、第3分岐管65および第1配管42をこの順に介して、第1ガスタンク26Aに供給される。
【0103】
このように本変形例によれば、ガス吸着型蓄電池20を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置12を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、ガスタンク14を介して合成装置16に安定して水素ガスと二酸化炭素ガスとを供給することができる。また、本変形例では、電解装置12とは別に燃料電池60を設ける必要がないため、部品点数を低減することができる。
【0104】
以上の開示に関して、以下に付記を記載する。
【0105】
(付記1)
本開示は、水蒸気を電解して水素ガスを生成する電解装置(12)と、前記水素ガスを用いて炭化水素を合成する合成装置(16)とを備える電解合成システム(10)であって、充電中に大気中の二酸化炭素ガスを電子とともに電極に吸着し、前記電極に吸着された前記二酸化炭素ガスを前記電子とともに前記電極から放出するガス吸着型蓄電池(20)と、前記ガス吸着型蓄電池と前記電解装置または前記合成装置とを繋ぎ、前記ガス吸着型蓄電池からの二酸化炭素を流す第1配管(42)と、前記ガス吸着型蓄電池の電力を前記電解装置に供給するための放電用スイッチ(SW2)と、前記電極への前記二酸化炭素ガスの吸着量を取得するための吸着センサ(50)と、1以上のプロセッサを有する制御装置(22)と、を備え、前記制御装置は、前記吸着量が所定の第1閾値を超えると、前記放電用スイッチを制御して、前記ガス吸着型蓄電池の放電を開始させる。
【0106】
これにより、改質器、改質ガスの供給ライン等を設けなくても、電力を蓄電することができる。その結果、設置場所が制限されることを低減することができる。また、ガス吸着型蓄電池によって二酸化炭素ガスを安定的に獲得することができ、その結果、メタネーションリアクタの稼働率を高めることができる。
【0107】
(付記2)
付記1に記載の電解合成システムであって、前記電解装置が生成した前記水素ガスを含む生成ガスを前記合成装置に流す第2配管(44)と、前記第2配管に設けられ、前記電解装置によって生成された前記生成ガスを貯留するガスタンク(14)と、前記ガスタンクと前記合成装置との間の前記第2配管上に設けられた開閉弁(BL)と、前記ガスタンクに貯留される前記生成ガスの貯留量を取得するためのタンクセンサ(52A)と、を備え、前記第1配管は、前記ガス吸着型蓄電池と前記電解装置とを繋いでおり、前記制御装置は、前記貯留量が所定の第2閾値を超える場合に、前記開閉弁を制御して、前記ガスタンクに貯留された前記生成ガスを前記合成装置に供給し、前記貯留量が前記第2閾値以下の場合には、前記開閉弁を制御して、前記ガスタンクに貯留された前記生成ガスの前記合成装置への供給を停止させてもよい。
【0108】
これにより、合成装置の合成に必要なガスを安定して供給することができ、その結果、炭化水素の合成効率を高めることができる。
【0109】
(付記3)
付記2に記載の電解合成システムであって、前記電解装置は、前記二酸化炭素ガスと前記水蒸気とを共電解する共電解装置(12A)であり、前記合成装置は、前記共電解により生成される前記水素ガスと一酸化炭素とを反応させて前記炭化水素を合成するFT合成器(16A)であってもよい。
【0110】
これにより、サバティエ反応を用いて炭化水素を合成する場合に比べて、当該合成に必要なエネルギーを低減することができる。
【0111】
(付記4)
付記1に記載の電解合成システムであって、前記ガス吸着型蓄電池以外の第2電池(24)と、発電装置(32)の電力を前記ガス吸着型蓄電池に供給するための第1充電用スイッチ(SW1)と、前記第2電池の電力を前記ガス吸着型蓄電池に供給するための第2充電用スイッチ(SW3)と、を備え、前記制御装置は、前記発電装置の電力が第3閾値以上の場合は、前記第1充電用スイッチおよび前記第2充電用スイッチを制御して、前記発電装置の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電し、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第1充電用スイッチおよび前記第2充電用スイッチを制御して、前記第2電池の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電してもよい。
【0112】
これにより、ガス吸着型蓄電池を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、ガスタンクを介して合成装置に安定して生成ガスを供給することができる。
【0113】
(付記5)
付記1に記載の電解合成システムであって、前記ガス吸着型蓄電池と前記合成装置とを繋ぐ前記第1配管に設けられ、前記ガス吸着型蓄電池から放出された前記二酸化炭素ガスを貯留する第1ガスタンク(26A)と、前記第1ガスタンクと前記合成装置との間の前記第1配管上に設けられた第1開閉弁(BL1)と、前記第1ガスタンクに貯留される前記二酸化炭素ガスの貯留量を取得するための第1タンクセンサ(52C)と、を備え、前記制御装置は、前記二酸化炭素ガスの貯留量が所定の第4閾値を超える場合に、前記第1開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスを前記合成装置に供給し、前記二酸化炭素ガスの貯留量が前記第4閾値以下の場合には、前記第1開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスの前記合成装置への供給を停止させてもよい。
【0114】
これにより、合成装置の合成に必要な二酸化炭素ガスを安定して供給することができ、その結果、炭化水素の合成効率を高めることができる。
【0115】
(付記6)
付記5に記載の電解合成システムであって、前記電解装置が生成した前記水素ガスを前記合成装置に流す第2配管(44)と、前記第2配管に設けられ、前記電解装置によって生成された前記水素ガスを貯留する第2ガスタンク(26B)と、前記第2ガスタンクと前記合成装置との間の前記第2配管上に設けられた第2開閉弁(BL2)と、前記第2ガスタンクに貯留される前記水素ガスの貯留量を取得するための第2タンクセンサ(52A)と、前記水素ガスを貯留するバックアップタンク(28)と、前記バックアップタンクと前記第2ガスタンクとを繋ぐ第3配管(49)と、前記バックアップタンクと前記第2ガスタンクとの間の前記第3配管上に設けられた第3開閉弁(BL3)と、を備え、前記制御装置は、前記二酸化炭素ガスの貯留量が所定の第4閾値を超え、且つ、前記水素ガスの貯留量が第5閾値を超える場合は、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスと前記第2ガスタンクに貯留された前記水素ガスを前記合成装置に供給し、前記二酸化炭素ガスの貯留量が前記第4閾値を超え、且つ、前記水素ガスの貯留量が前記第5閾値以下の場合は、前記第1開閉弁~前記第3開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスと前記バックアップタンクに貯留された前記水素ガスを前記合成装置に供給し、前記二酸化炭素ガスの貯留量が前記第4閾値以下の場合には、前記第1開閉弁および前記第2開閉弁を制御して、前記第1ガスタンクに貯留された前記二酸化炭素ガスおよび前記第2ガスタンクに貯留された前記水素ガスの前記合成装置への供給を停止させてもよい。
【0116】
これにより、合成装置の合成に必要な水素ガスと二酸化炭素ガスとを安定して供給することができ、その結果、炭化水素の合成効率を高めることができる。
【0117】
(付記7)
付記6に記載の電解合成システムであって、燃料電池(60)と、前記第2開閉弁と前記合成装置との間の前記第2配管から分岐し、前記燃料電池に接続される第1分岐管(61)と、前記第1分岐管に設けられる第4開閉弁(BL4)と、を備え、前記制御装置は、前記ガス吸着型蓄電池に供給される発電装置の電力が第3閾値以上の場合は、前記発電装置の電力を前記ガス吸着型蓄電池に供給するための第1充電用スイッチを制御して、前記発電装置の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電し、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第4開閉弁を制御して前記水素ガスを前記燃料電池に供給し、前記燃料電池の電力を用いて前記ガス吸着型蓄電池を充電してもよい。
【0118】
これにより、ガス吸着型蓄電池を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、合成装置に安定して水素ガスと二酸化炭素ガスとを供給することができる。
【0119】
(付記8)
付記7に記載の電解合成システムであって、前記合成装置が合成した前記炭化水素が流れる炭化水素排出路(48)から分岐し、前記燃料電池に接続される第2分岐管(63)と、前記第2分岐管が前記炭化水素排出路から分岐する分岐部に設けられ、前記第2分岐管との接続と、前記炭化水素排出路との接続とを択一的に切り替える経路切替器(PT1)と、前記燃料電池と前記第1ガスタンクとを繋ぐ第4配管(64)と、を備え、前記制御装置は、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第4開閉弁と前記経路切替器とを制御して、前記燃料電池に前記水素ガスと前記炭化水素を供給し、前記燃料電池に発電を実施させてもよい。
【0120】
これにより、ガス吸着型蓄電池を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、合成装置に安定して水素ガスと二酸化炭素ガスとを供給することができる。
【0121】
(付記9)
付記8に記載の電解合成システムであって、前記第2配管から分岐し、前記第1配管に接続される第3分岐管(65)と、前記第3分岐管が前記第2配管から分岐する分岐部に設けられ、前記第2配管との接続と、前記第3分岐管との接続とを択一的に切り替える第2経路切替器(PT2)と、を備え、前記燃料電池は、前記電解装置であり、前記制御装置は、前記発電装置の電力が前記第3閾値未満の場合は、前記第2経路切替器を制御して、前記電解装置での発電によって発生する前記二酸化炭素ガスを、前記第1ガスタンクに供給してもよい。
【0122】
これにより、ガス吸着型蓄電池を常に運転させることができる。そのため、作動中の電解装置を意図せずに停止させることを抑制することができる。その結果、合成装置に安定して水素ガスと二酸化炭素ガスとを供給することができる。また、電解装置とは別に燃料電池を設ける必要がないため、部品点数を低減することができる。
【0123】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0124】
10…電解合成システム 12…電解装置
12A…共電解装置 12B…水電解装置
14…ガスタンク 16…合成装置
16A…FT合成器 16B…メタネーション器
18…炭化水素タンク 20…ガス吸着型蓄電池
22…制御装置 24…第2電池
26A…第1ガスタンク 26B…第2ガスタンク
28…バックアップタンク 30…水源
32…発電装置 50…吸着センサ
52(52A~52C)…タンクセンサ 54…電気センサ
56…電力センサ 60…燃料電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8