(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154111
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】有機性廃棄物の収集・処理ステーション
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20220101AFI20241023BHJP
B09B 3/65 20220101ALI20241023BHJP
C02F 3/28 20230101ALI20241023BHJP
B09B 5/00 20060101ALN20241023BHJP
B09B 101/67 20220101ALN20241023BHJP
【FI】
B09B3/00
B09B3/65 ZAB
C02F3/28 A
B09B5/00 P
B09B101:67
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067754
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】507394639
【氏名又は名称】株式会社サムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪田 勇
(72)【発明者】
【氏名】岡野 公美
(72)【発明者】
【氏名】鴨沢 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】阪田 乾仁
(72)【発明者】
【氏名】阪田 光子
【テーマコード(参考)】
4D004
4D040
【Fターム(参考)】
4D004AA01
4D004AA03
4D004AA06
4D004AA07
4D004AA12
4D004BA03
4D004BA04
4D004CA13
4D004CA18
4D004CA46
4D004CB04
4D040AA12
4D040AA23
4D040AA27
4D040AA42
(57)【要約】
【課題】本発明は、災害時や事故等により電力会社からの電力が停止しても稼動し続けることが可能な有機性廃棄物の収集・処理ステーションを提供する。
【解決手段】本発明の有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は、個々に持ち込まれて収集された有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーション1であって、有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は所定の敷地14内に設置され、持ち込まれた有機性廃棄物を収集する回収部2と、回収部2に収集された有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する処理部3と、処理部3で有機性廃棄物を処理した後の排液を貯留する貯留部4と、この貯留部4に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置5と、メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置6と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に持ち込まれて収集された有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションであって、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーションは所定の敷地内に設置され、
持ち込まれた前記有機性廃棄物を収集する回収部と、
前記回収部に収集された前記有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、
前記処理部で前記有機性廃棄物を処理した後の排液を貯留する貯留部と、
この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置と、
前記メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置と、を備えていることを特徴とする有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項2】
前記メタンガス発電装置で発電された電力を蓄電する蓄電装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項3】
前記メタン発酵装置は、前記貯留部の前記排液が供給されて該排液を発酵原料とするための前処理を行う調整槽と、
この調整槽内で前処理された前記排液が供給されて前記メタンガスを生成する発酵槽と、
この発酵槽で生成された前記メタンガスを貯留するガス貯留槽と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項4】
前記メタン発酵装置は、前記発酵槽内から排出される消化液を貯留する消化液貯留槽と、
前記消化液貯留槽内の消化液から固形物である残渣を回収する残渣回収部と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項5】
前記消化液貯留槽内の消化液を液体肥料に生成するとともに前記残渣回収部内の残渣を固形肥料に生成する肥料生成部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみや使用済み紙おむつ等の有機性廃棄物を収集し、収集した有機性廃棄物を処理してリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設、病院、一般家庭、小規模の保育施設等で廃棄される生ごみは一般可燃ごみとして自治体で定められたごみ回収袋に収納され、自治体ごとに定められたごみ集積所に集積された後に、ごみ回収業者によって回収されている。ごみ回収業者によって回収された生ごみはごみ焼却場にて焼却されている。また、近年では、被介護者や乳幼児に衛生用品としての紙おむつ等が広く用いられている。このような紙おむつ等を使用した後の使用済み衛生用品は、一般可燃ごみとして収集されてごみ焼却場で焼却処理されている。
【0003】
上記生ごみや使用済み衛生用品は共に有機性廃棄物であり、このような有機性廃棄物は、雑菌が増殖し、臭気が発生する。介護施設や病院等では、施設内の特定の場所に有機性廃棄物を保管し、ごみ回収業者が回収しているが、一般家庭や小規模保育施設では有機性廃棄物は、他の可燃ごみとともにごみ箱に廃棄され、自治体等で定められたごみ回収袋に収納した状態で、自治体のごみ集積所に廃棄され、定期的に回ってくるごみ回収業者によって回収されてごみ焼却場に搬送されて焼却処理されている。
【0004】
介護施設や病院等では、有機性廃棄物を保管しておく保管場所を設置することができるので、菌が繁殖しても特に問題はなく、臭気も環境に影響を与えることはないが、一般家庭や小規模の保育施設では有機性廃棄物として特に使用済み紙おむつは、他の可燃ごみとともに家庭内や施設内で保管されるため、菌の繁殖によって家庭内や施設内での保管場所の周囲に菌が付着したり、臭気が家庭内や施設内に充満したりする。
【0005】
このため、家庭内や施設内で有機性廃棄物を保管する際には、ビニール製等の密封性の良い袋に密封した状態で保管され、一般可燃ごみとして地域のごみ集積場に集積され、ごみ集積場に集積された有機性廃棄物は他の可燃ごみ等と一緒にごみ回収業者によって収集されてごみ焼却場に搬送されて焼却処理される。また、介護施設や病院等から廃棄された有機性の廃棄物も最終的にごみ焼却場に搬送されて焼却処理される。このため、ごみ焼却場で可燃ごみとともに有機性の廃棄物を焼却処理する際に燃料代等が高くなり、焼却コストが高くなる。
【0006】
一方、近年では有機性廃棄物である使用済み衛生用品を分解処理することによってパルプ、プラスチック等のリサイクル資源を回収することが特許文献1等で提案されている。使用済み衛生用品からパルプ、プラスチック等のリサイクル資源を回収する場合、比較的大量の使用済み衛生用品を分解処理した方が処理コストが低減し、リサイクル資源の回収量も多くなるので、使用済み衛生用品が毎日廃棄される介護施設や病院からの使用済み衛生用品を分解処理した方がコスト、回収効率の面から良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、介護施設や病院等では、保管場所を設置することができ、有機性廃棄物の臭気も外部に影響を与えることはないが、一般家庭や小規模の保育施設では、上記のように可燃ごみを廃棄するごみ箱に有機性廃棄物として特に使用済み紙おむつ等の使用済み衛生用品を廃棄すると、菌の増殖や臭気の問題が発生する。このため、有機性廃棄物を早期にごみ集積場やごみ焼却場に廃棄することが必要となる。
【0009】
また、近年、一般的に行われているペットボトルの回収や、使用済み油の回収、びん・缶類の回収によりリサイクル資源とすることが、焼却のための処理費用を削減でき、自然環境への影響も少なくすることができることが周知となっているが、一般家庭より排出される有機性廃棄物である生ごみや使用済み衛生用品については、このように回収し、リサイクル資源とすることがなされていない。
【0010】
そこで、本出願人は、特願2022-51926において所定の敷地内に設置されて、個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収することができる使用済み衛生用品の収集・処理ステーション(おむつステーション)を提案した。
【0011】
所定の敷地内に設けた上記おむつステーションに、使用済み衛生用品(使用済み紙おむつ)を個々に持ち込むことで、一般家庭、小規模保育施設等から廃棄される使用済み衛生用品をいつでも処理し、リサイクル資源を回収することができる。介護施設、病院等から廃棄される使用済み衛生用品も持ち込むことで処理しリサイクル資源を回収できる。
【0012】
しかしながら、上記おむつステーションでは、おむつステーション内で使用済み衛生用品を処理するための電力を、電力会社から購入しているため、災害や電力事故等によって停電が生じると、おむつステーションの稼動が停止してしまうという課題を有している。このため、災害や電力事故等により停電が生じた際に、病院、介護施設、一般家庭等から毎日排出される使用済み衛生用品を処理し続けることができない。
【0013】
そこで、本発明は、災害時や事故等により電力会社からの電力が停止しても稼動し続けることが可能な有機性廃棄物の収集・処理ステーションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、個々に持ち込まれて収集された有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションであって、前記有機性廃棄物の収集・処理ステーションは所定の敷地内に設置され、持ち込まれた前記有機性廃棄物を収集する回収部と、前記回収部に収集された前記有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、前記処理部で前記有機性廃棄物を処理した後の排液を貯留する貯留部と、この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置と、前記メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の態様は、前記メタンガス発電装置で発電された電力を蓄電する蓄電装置を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の態様は、前記メタン発酵装置は、前記貯留部の前記排液が供給されて該排液を発酵原料とするための前処理を行う調整槽と、この調整槽内で前処理された前記排液が供給されてメタンガスを生成する発酵槽と、この発酵槽で生成された前記メタンガスを貯留するガス貯留槽と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の態様は、前記メタン発酵装置は、前記発酵槽内から排出される消化液を貯留する消化液貯留槽と、前記消化液貯留槽内の消化液から固形物である残渣を回収する残渣回収部と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明の第5の態様は、前記消化液貯留槽内の消化液を液体肥料に生成するとともに前記残渣回収部内の残渣を固形肥料に生成する肥料生成部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、回収部で回収された有機性廃棄物を処理部で処理してリサイクル資源を回収した後の排液を貯留部で貯留し、この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタン発酵装置によりメタンガスを生成する。生成されたメタンガスを燃料として発電装置により発電し、この発電された電力で、有機性廃棄物の収集・処理ステーションで必要とされる電力を賄うことができる。
【0020】
これにより、災害時や事故等により電力会社からの電力が停止しても有機性廃棄物の収集・処理ステーションを稼動し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る有機性廃棄物の収集・処理ステーションの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る有機性廃棄物の収集・処理ステーションを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るおむつステーションの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るおむつステーションを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るおむつステーションの分離機と取出送り装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図6】
図6は、分離機と取出送り装置を示し、(a)は搬送台車上の使用済み紙おむつを分離機内に投入する状態を示す側面図、(b)は分離機内のプラパル、その他を搬送台車に排出する状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、開閉扉で投入口を閉塞した状態の分離機を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【
図8】
図8は、開閉扉が投入口を開放した状態の分離機を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るおむつステーションのメタン発酵装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る有機性廃棄物の収集・処理ステーションの実施形態について説明する。本実施形態の有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は、所定の敷地14内に設置されて、所定の個々に持ち込まれて収集された有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する。本実施形態における有機性廃棄物として、食品工場、商業施設、食堂、学校給食等から排出される生ごみ、病院、介護施設、一般家庭等から排出される使用済み紙おむつ、下水、し尿処理場から排出される排液、残渣等が挙げられる。
[有機性廃棄物の収集・処理ステーション]
【0023】
図1および
図2に示すように、有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は、持ち込まれた有機性廃棄物を収集する回収部2と、回収部2に収集された有機性廃棄物を処理しリサイクル資源を回収する処理部3と、処理部3で有機性廃棄物を処理した後の排液を貯留する貯留部4と、この貯留部4に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置5と、メタンガスを燃料として発電する発電装置6と、を備えている。
【0024】
また、本実施形態の有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は、発電装置6で発電された電力を蓄電する蓄電装置7を備えている。さらに、有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は、メタン発酵装置5から排出される消化液、メタン発酵後の残渣から肥料を生成する肥料生成部8と、肥料生成部8によって生成された肥料や、処理部3で処理された後に発酵原料とならないがリサイクル可能なリサイクル資源を貯留しておくリサイクル資源貯留部9と、を備えている。
【0025】
また、本実施形態の有機性廃棄物の収集・処理ステーション1には、雨水タンク10と、地下水を汲み上げる井戸11と、
図2に示すように、有機性廃棄物の収集・処理ステーション1の建屋12の屋上に配置されて太陽光で電力を発電する太陽光発電装置(ソーラーパネル)13が設けられている。
【0026】
有機性廃棄物として食品工場、商業施設、食堂、学校給食等から排出される生ごみを処理する場合、処理する生ごみを回収する回収部2には、生ごみを密封した状態に収納しているビニール袋内から生ごみのみを取り出す装置や、密封状態で生ごみを収納したビニール袋等を、そのまま破砕する破砕装置等が設けられている。密封袋から取り出したり、密封袋ごと破砕された生ごみは、処理部3に送られる。
【0027】
処理部3には、回収部2で回収された、あるいは破砕された生ごみを洗浄する洗浄装置や、生ごみに付着している雑菌を殺菌する殺菌装置、生ごみに含まれる塩素成分を除去する脱塩素装置、有機性を有さないビニールや、ガラス片、鉄片等を取り除く分別装置が設けられている。そして、これらの洗浄装置、殺菌装置、脱塩装置、分別装置によって処理された生ごみを含む処理排液が貯留部4に貯留される。貯留部4に貯留された有機性廃棄物である生ごみを含む排液は、メタン発酵装置5に送られる。
【0028】
メタン発酵装置5には、図示しない調整槽、発酵槽、ガス貯留槽、消化液貯留槽、残渣回収部が設けられている。有機性廃棄物であり、生ごみを処理した排液および排液に含まれる生ごみが発酵槽内でメタン発酵するために必要な温度や、排液水素イオン濃度が調整され、調整された後の排液が発酵槽内に送られる。発酵槽内では、嫌気性のメタン生成菌が有機性の排液を分解し、メタンガス等のガスを生成する。生成されたメタンガスは、ガス貯留槽内に貯留される。ガス貯留槽内に貯留されたメタンガスは、メタンガス発電装置(発電装置)6に送られ、メタンガスを燃焼させることによって発電される。発電装置6によって発電された電力は、蓄電装置7に蓄電される。
【0029】
また、発酵槽内の消化液は消化液貯留槽に排出され、発酵槽内の固形の残渣物は残渣回収部に回収される。これらの消化液や、残渣物は、肥料生成部8に送られて液体肥料、固形肥料の原料となる。また、処理部3において生ごみから分別した有機性を有さないビニールやガラス片、鉄片は、さらにプラスチック、ガラス、鉄に分別して、リサイクル資源貯留部9に貯留される。
[おむつステーション]
【0030】
次に、有機性廃棄物として使用済み衛生用品である使用済み紙おむつを処理し、リサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーション(以下「おむつステーション」という)15について説明する。
【0031】
図3及び
図4に示すように、所定の敷地16は、一般道路17沿いに設けられ、ガードレール18に設けた入口19から敷地16内に入り、使用済み紙おむつ20をおむつステーション15に廃棄した後に出口21から一般道路17に出るようになっている。このため、敷地16には、おむつステーション15の一般道路17側に、駐車スペース22が設けられている。また、いわゆるドライブスルー方式で使用済み紙おむつをおむつステーション15に廃棄することもできる。
【0032】
おむつステーション15は、敷地16内に建てられた密封性の良い建屋23として形成されており、建屋23内に回収部24、処理部25、貯留部26が設けられている。また貯留部26に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置27と、メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置(発電装置)28と、を備えている。
【0033】
また、本実施形態のおむつステーション15は、メタンガス発電装置28で発電された電力を蓄電する蓄電装置29を備えている。さらに、おむつステーション15は、メタン発酵装置27から排出される消化液、メタン発酵後の残渣から肥料を生成する肥料生成部30と、肥料生成部30によって生成された肥料や、処理部25で処理された後に発酵原料とならないがリサイクル可能なリサイクル資源を貯留しておくリサイクル資源貯留部31とが設けられている。
【0034】
さらに、おむつステーション15には、雨水タンク32と、地下水を汲み上げる井戸33と、
図4に示すように、おむつステーション15の建屋23の屋上に配置されて太陽光で電力を発電する太陽光発電装置(ソーラーパネル)34が設けられている。また、建屋23の駐車スペース22側には、使用済み紙おむつ20を廃棄する際の手続等を行うための受付用の受付窓35と、廃棄するための使用済み紙おむつ20をおむつステーション15内に廃棄する投入口36が設けられている。この投入口36からおむつステーション15内の回収部24に使用済み紙おむつ20が投入される。
【0035】
上記回収部24は、持ち込まれた使用済み紙おむつ20が投入される投入口36を有する回収ボックス37と、この回収ボックス37内に投入された使用済み紙おむつ20を取り出して処理部25に送る取出送り装置38と、を備えている。
【0036】
回収ボックス37内には、予め決められた密封性の良い回収袋内に収集された状態の使用済み紙おむつ20が投入される。回収袋として溶解性の回収袋が用いられている。溶解性の回収袋としては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を主成分にした水溶性フィルムで形成されたソルバッグ(登録商標 株式会社 アイセロ製)が用いられる。この溶解性回収袋は、温水(例えば、70℃以上)で溶けるフィルムから作られており、細菌、ウイルス等を通さない性質を持っている。この溶解性回収袋に使用済み紙おむつ20を収納させて収集する。
【0037】
おむつステーション15に使用済み紙おむつ20を廃棄する場合には、無料で溶解性の回収袋を、使用済み紙おむつ20を廃棄する人に配布しても良いし、他のビニール袋内に収集された使用済み紙おむつ20を持ち込んだ場合には、受付にて溶解性の回収袋におむつステーション15の担当者が入れ替えても良い。溶解性の回収袋に収集された使用済み紙おむつ20は、回収ボックス37に隣接して設けられた取出送り装置38の搬送台車40上に送られる。使用済み紙おむつ20を取出送り装置38の搬送台車40上に送る場合、人力により回収ボックス37を傾けても良く、自動的に回収ボックス37を傾斜して搬送台車40上に使用済み紙おむつ20を送ってもよい。
【0038】
取出送り装置38は、
図5(a)、(b)に示すように、ベルトコンベア39が底部に設けられた搬送台車40と、この搬送台車40を昇降させる昇降装置41とで形成されている。搬送台車40が下部側に位置している状態で、搬送台車40の底部側のベルトコンベア39上に、回収ボックス37によって回収された使用済み紙おむつ(溶解性回収袋に密封されて収集されている)20が送られる。搬送台車40のベルトコンベア39上に使用済み紙おむつ20が送られると、
図6(a)に示すように、昇降装置41が、搬送台車40を上部側へ引き上げる。この状態から、ベルトコンベア39が稼動して、傾斜している処理部25の分離機42内に使用済み紙おむつ20を搬送し、処理部25の分離機42内に使用済み紙おむつ20を投入する。
【0039】
処理部25は、回収部24から取り出された使用済み紙おむつ20を、紙おむつを構成する素材に処理液により分離する分離機42と、分離機42内で固形物と分離された排液中からパルプを回収するパルプ回収装置43と、分離機42内で排液と分離された固形物からパルプとプラスチックを選別する選別機44と、選別機44によってパルプと選別されプラスチックが付着したプラパルを回収するプラパル回収装置45と、を備えている。
【0040】
分離機42は、
図7(a)、(b)、
図8(a)、(b)に示すように、箱体形状の筐体46内に、外胴分離槽と、外胴分離槽内に回転自在に配置された内胴分離槽と、内胴分離槽を回転駆動する駆動部とが設けられている。筐体46の一側には、円形状の投入口47が設けられている。筐体46の一側には円形状の開閉扉48が設けられており、投入口47を開閉する。また、筐体46の一側には、投入口47の外側に、投入口47の下部側形状に沿って湾曲した案内板49が設けられている。筐体46は、
図6に示すように、投入口47側が床50に対して上方に位置するように傾斜した投入位置と、投入口47側が床50に接触した状態で筐体46の他側が床50に対して上方に位置するように傾斜した排出位置とに傾斜可能となっている。
【0041】
そして、筐体46が投入位置に傾斜した状態で、取出送り装置38のベルトコンベア39上の使用済み紙おむつ20が案内板49を通して分離機42の内胴分離槽内に投入される。このとき、搬送台車40は、昇降装置41により上部に位置している。また、分離機42内で使用済み紙おむつ20が処理液とともに攪拌されて分解処理された後に、筐体46が排出位置に傾斜した状態で、内胴分離槽内の固形物として残ったパルプ、プラスチックが搬送台車40上に排出される。
【0042】
分離機42によって使用済み紙おむつ20を処理液とともに攪拌して分解処理した後には、排液がパルプ回収装置43に送られて排液中のパルプが回収される。パルプ回収装置43によってパルプが回収された後の排液は、貯留部26の高分子除去装置51で排液中の高分子が除去された後に排液貯留部52内に送られ貯留される。分離機42内から取出送り装置38によって取り出された固形物であるパルプ、プラスチックは、選別機44に送られる。
【0043】
選別機44は、外胴選別槽と、この外胴選別槽内に回転自在に設けられた内胴選別槽と、内胴選別槽内に乾燥風を供給する乾燥風供給部と、内胴選別槽を回転駆動する駆動部とが設けられている。そして、分離機42から取出送り装置38によって取り出された固形物のパルプ、プラスチックが内胴選別槽内で乾燥されてパルプとプラスチックとが選別される。
【0044】
この場合、プラスチックの表面にはパルプが付着した状態で分離機42から選別機44に送られるため、内胴選別槽を回転駆動させながら乾燥風を吹き付けることでプラスチックの表面のパルプが剥がれる。選別機44によってパルプとプラスチックとが選別されると、パルプは乾燥風がフィルターを通過することで捕捉され、表面にパルプが付着した状態のプラスチック(プラパル)はプラパル回収装置45によって回収される。
【0045】
そして、パルプ回収装置43で回収されたパルプ、プラパル回収装置45で回収されたプラパルは、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に集められ保管される。さらに、高分子除去装置51にて高分子が除去された排液は、排液貯留部52に貯留された後に、メタン発酵装置27へ送られ、メタン発酵の発酵原料として用いられる。
【0046】
図9に示すように、メタン発酵装置27は、貯留部26の排液貯留部52の排液が供給されてこの排液を発酵原料とするための前処理を行う調整槽53と、この調整槽53内で前処理された排液が供給されてメタンガスを生成する発酵槽54と、この発酵槽54で生成されたメタンガスを貯留するガス貯留槽55と、を備えている。また、メタン発酵装置27は、発酵槽54内から排出される消化液を貯留する消化液貯留槽56と、消化液貯留槽56内の消化液から固形物である残渣を回収する残渣回収部57と、を備えている。
【0047】
そして、発酵槽54内で生成されたメタンガスを多く含むガスは、メタンガス発電装置28に送られてガス発電、バイオガス発電に使用される。ガス発電としては、例えば、スターリングエンジンをユニット化したコジェネレーションシステム等が用いられる。メタンガス発電装置28により発電した電力は、蓄電装置29にて蓄電される。蓄電装置29に蓄電された電力は、おむつステーション15を稼働させるために必要な電力として使用される。
【0048】
蓄電装置29に蓄電された電力は、分離機42を駆動する電力や、選別器を駆動する電力、メタン発酵装置27を駆動する電力、肥料を生成する肥料生成部30での電力の他、おむつステーション15を稼働させるための電力として使用される。この場合、太陽光発電装置34が発電した電力も蓄電装置29に蓄電され、メタンガスによる発電と太陽光による発電とで生成した電力で、おむつステーション15を稼働させるために必要とされる全電力を賄うことができ、電力会社からの電力を購入することがなく、メタンガスにより発電した電力と、太陽光により発電した電力のうち余剰の電力を電力会社に販売することもできる。
【0049】
おむつステーション15から運び出されたリサイクル資源としてのパルプは、再び紙おむつの原料や、段ボールの原料、その他に利用される。おむつステーション15から運び出されたプラパルは、固形燃料の材料や、付着しているパルプをさらに除去したプラスチックをペレット状にしてごみ箱等に再成形される。この場合、おむつステーション15で回収されるプラパルから付着しているパルプを取り除いたプラスチックで、使用済み紙おむつ20を収納する密封性の回収袋を成形してもよく、他のプラスチック製品を成形してもよい。
【0050】
また、おむつステーション15の建屋23内には、使用済み紙おむつ20を処理するために必要な資材、例えば処理液を生成する薬剤、装置をメンテナンスするための機材等を保管するとともに、おむつステーション15を維持管理するための作業を行う作業スペース58が設けられている。さらに、建屋23内には、このおむつステーション15を維持管理する管理室59が設けられており、管理作業員が24時間駐在する。また、管理室59の駐車スペース22側の受付に、受付窓35が設けられている。
【0051】
次に、おむつステーション15の利用方法と、おむつステーション15内での使用済み紙おむつ20の処理方法、及び回収方法、おむつステーション15の稼動について以下に説明する。一般家庭や小規模保育所等で使用された後の使用済み紙おむつ20は、家庭内や保育施設内で密封性の良い収集袋、例えばビニール袋等や密封性のある回収箱等に廃棄される。収集袋や回収箱に収集された使用済み紙おむつ20を車両あるいは徒歩にておむつステーション15の敷地16内に搬送する。車両を用いた場合は、敷地16の入口19から車両ごと敷地16内に入り、駐車スペース22に車両を止める。
【0052】
次に、収集袋や回収箱に集積された使用済み紙おむつ20を、おむつステーション15の受付にて廃棄することを申し出る。受付では、収集袋や回収箱内に使用済み紙おむつ20以外のものが混入されていないか確認し、使用済み紙おむつ20のみであることが確認されると、そのまま、投入口36から回収ボックス37内に、持ってきた使用済み紙おむつ20を投入する。使用済み紙おむつ20を投入口47から投入した後は、車両あるいは徒歩にて出口21から一般道路17に出る。以上により、一般家庭や小規模保育所内から出る使用済み紙おむつ20をおむつステーション15にて廃棄処理することができる。
【0053】
なお、一般家庭や小規模保育施設にて使用した後の使用済み紙おむつ20は、おむつステーション15に、個々に持ち込むことで廃棄処理することができるが、このおむつステーション15に、病院や介護施設等にて使用した後の使用済み紙おむつ20を持ち込んでもよい。この場合、病院や介護施設等で使用した後の使用済み紙おむつ20は大量となるが、病院や介護施設等からは、一日に廃棄する使用済み紙おむつ20の量がおおよそ決まっている。したがって、おむつステーション15の処理能力を超えない範囲内で、病院や介護施設からの使用済み紙おむつ20を処理することができる。
【0054】
また、大規模な病院や介護施設の敷地内におむつステーション15を設置することで、病院や介護施設からの使用済み紙おむつ20を処理するとともに、一般家庭や小規模保育施設等からの使用済み紙おむつ20を持ち込むことで、使用済み紙おむつ20を処理することが可能となる。
【0055】
投入口36から回収ボックス37内に投入された使用済み紙おむつ20は、搬送台車40上に載置された状態で昇降装置41によって上部に移動され、これとともに
図6(a)に示すように分離機42が投入位置に傾斜する。この状態からベルトコンベア39が稼動して搬送台車40上の使用済み紙おむつ20を分離機42の内胴分離槽内に投入する。内胴分離槽内に使用済み紙おむつ20が投入され、開閉扉48にて投入口47を閉じた後に、分離機42が稼動する。この分離機42の外胴分離槽内には、水、消毒剤、石灰からなる処理液が供給され、処理液と共に使用済み紙おむつ20が内胴分離槽の回転によって掻き上げられて処理液により使用済み紙おむつ20が分解処理される。
【0056】
所定の回転数で内胴分離槽が回転し、所定時間経過した後に、外胴分離槽内から排液をパルプ回収装置43に排出する。排液をパルプ回収装置43に排出した後に内胴分離槽を回転させて脱水し、排液を全てパルプ回収装置43に排出する。このとき、内胴分離槽内には、固形物としてプラスチックとその他が残り、プラスチックには少量のパルプが付着している。以下、少量のパルプが付着したプラスチックをプラパルという。パルプ回収装置43に排出された排液からは、パルプが回収され、パルプが回収された後の排液は、高分子除去装置51によって高分子が除去される。高分子除去装置51によって高分子が除去された排液は、排液貯留部52に貯留される。
【0057】
パルプ回収装置43にて回収されたパルプは、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に運ばれて保管される。また、排液貯留部52に貯留された排液は、メタン発酵装置27の調整槽53に送られる。調整槽53では、発酵槽54内でメタン発酵するために必要な温度や、排液の濃度等が調整され、調整した後の排液は、発酵槽54に送られる。発酵槽54内では、嫌気性のメタン生成菌が有機性廃棄物を分解し、メタンガス等のバイオガスを生成する。
【0058】
発酵槽54内では、有機性廃棄物である排液中のタンパク質、炭水化物、脂質が加水分解により低分子化され、タンパク質、炭水化物はアミノ酸・糖類から酢酸に変わり、脂質は長鎖脂肪酸から水素、二酸化炭素が生成される。そして、メタン生成菌によって酢酸、水素、二酸化炭素は分解され、メタンガス(CH4)等のガスが生成される。生成されたメタンガスや他のガスはガス貯留槽55に貯留される。
【0059】
排液が排出された後の内胴分離槽内には、固形物であるプラパル、その他が残り、これらのプラパル、その他は、分離機42が排出位置に傾斜して搬送台車40上に排出される。搬送台車40に排出されたプラパル、その他は、選別機44に投入される、選別機44に投入されたプラパル、その他は、温風にて乾燥される。選別機44にて乾燥されると、プラスチックの表面に付着しているパルプが剥がれ、プラスチックから剥がれたパルプはパルプ回収装置43で回収される。回収されたパルプは、リサイクル資源としてリサイクル資源貯留部31に貯留される。
【0060】
おむつステーション15内では、複数人の作業者が使用済み紙おむつ20を処理するための作業を行っている。受付では、集積された使用済み紙おむつ20内に、使用済み紙おむつ20以外のものが含まれているか否かを検査する検査員、投入口36から回収ボックス37内に投入された使用済み紙おむつ20が分離機42にて分解処理可能か否かを確認する確認員、分離機42内に投入する処理液を調合し分離機42のメンテナンスを行う整備員、パルプ回収装置43、プラパル回収装置45から回収されたパルプをリサイクル資源貯留部31に貯留するためのリサイクル資源収集員がおむつステーション15内で24時間勤務している。
【0061】
おむつステーション15内で各種の作業を行う検査員、確認員、整備員、リサイクル資源収集員は、例えばシルバー人材として高齢者や、ユニバーサル雇用(登録商標 株式会社サムズ)として障害者を雇用することで、おむつステーション15を稼動することができる。また、交代性で勤務シフトを組むことで、一人の高齢者や障害者が勤務する時間を短くし、24時間休むことなくおむつステーション15を稼動することで、一般家庭や小規模保育所にて使用した使用済み紙おむつ20をいつでも廃棄処理することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のおむつステーション15では、回収部24で回収された有機性廃棄物を処理部25で処理してリサイクル資源を回収した後の排液を貯留部26で貯留し、この貯留部26に貯留された排液を発酵原料としてメタン発酵装置27によりメタンガスを生成する。生成されたメタンガスを燃料として発電装置28により発電し、この発電された電力で、おむつステーション15で必要とされる電力を賄うことができる。これにより、 災害時や事故等により電力会社からの電力が停止してもおむつステーション15を稼動し続けることができる。
【0063】
また、本実施形態のおむつステーション15には、雨水タンク32、井戸33が設けられているので、公共の水道を必要とすることなくおむつステーション15を稼働することができる。これにより、災害や浄水場での事故等によって断水状態となっても、雨水タンク32内の水、井戸33からの井戸水を用いることによっておむつステーション15を稼働し続けることができる。
【0064】
さらに、本実施形態のおむつステーション15は、電気、水をおむつステーション15内で産出し、おむつステーション15内でこれらの電気、水を消費する、いわゆる「自産自消」を実現することができるので、電力会社による電力を消費することがなく、二酸化炭素の排出量の増加を防止することでカーボンニュートラルを実現することができる。また、使用済み紙おむつ20からリサイクル資源を回収し、処理した後の排液から電力を生成することで、地域の未利用資源を有効活用することができて、循環型社会を形成するとともに、地域の活性化を図ることができる。さらに、メタン発酵装置により生成したメタンガスで発電することで、太陽光発電や風力発電に比較して安定的な電力を出力することができ、エネルギー源の多様化を図ることができる。
【0065】
また、おむつステーション15を所定の敷地として、広域避難所・自治会・町会等の近隣住民組織の敷地(公民館の敷地)、道の駅の敷地、スーパーマーケットや量販店の敷地、病院・介護施設等の敷地、コンビニエンスストア・ガソリンスタンドの敷地、高速道路のサービスエリアの敷地、下水処理場の敷地に設けることにより、大規模な災害が生じた際の避難所として有効に利用することができる。すなわち、大規模な災害時の断水、停電が発生しても、おむつステーション15は自ら電力を生み出し、自ら電力を消費するステーションなので、避難者の避難生活に必要なインフラが整備されている。したがって、おむつステーション15は、大規模な災害の発生時の避難所として利用することができる。
【0066】
また、本実施形態のおむつステーション15によれば、所定の敷地16内に設置された使用済み紙おむつ20のおむつステーション15に、使用済み紙おむつ20を個々に持ち込むと、おむつステーション15内の回収部24により収集され、処理部25により処理されリサイクル資源が回収される。これにより、介護施設、病院等から廃棄される使用済み紙おむつ20を処理しリサイクル資源を回収できると共に、一般家庭、小規模保育施設等から廃棄される使用済み紙おむつ20もいつでも処理し、リサイクル資源を回収することが可能となる。
【0067】
また、一般家庭や小規模の保育施設で使用した使用済み紙おむつ20をおむつステーション15に持ち込むことで使用済み紙おむつ20を廃棄することができる。また、一般家庭や小規模の保育施設内に使用済み紙おむつ20を保管する期間が短くなるので、一般家庭や小規模の保育施設内での使用済み紙おむつ20による菌の増殖や臭気の問題を解決することができる。
【0068】
さらに、介護施設や病院等から廃棄される使用済み紙おむつ20を、おむつステーション15に持ち込むことにより、介護施設や病院内に保管場所を設置する必要がなくなり、使用済み紙おむつ20を早期に処理することが可能となる。
【0069】
さらに、おむつステーション15内で作業を行う作業者として、高齢者や障害者を雇用することで、高齢者や障害者の雇用を増やすことが可能となる。
【0070】
なお、上記実施の形態において、所定の敷地として一般道路17に隣接した土地に設けた例を示したが、おむつステーション15の設置場所として、自治会、町会等の近隣住民組織の敷地(公民館の敷地)、道の駅の敷地、スーパーマーケットや量販店の敷地、病院・介護施設等の敷地、コンビニエンスストア・ガソリンスタンドの敷地、高速道路のサービスエリアの敷地、下水処理場の敷地に設けてもよい。おむつステーション15を設ける敷地は、おむつステーション15を利用する利用者にとって使用済み紙おむつ20を処理する手間を省くことができる場所であれば、いずれの場所に設置してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、おむつステーション15の処理部25、貯留部26等の施設を敷地16の地上に設けた例を示したが、建屋23の地下に、処理部25、貯留部26等の施設を設けても良い。この場合、建屋23の地上部分に、新規な紙おむつを販売する売店や、使用済み紙おむつ20を廃棄するための回収袋の販売を行う売店等を設けても良い。また、敷地16の地下部分に処理部25や、貯留部26等の施設を設けて、地上部分を公園や公共施設に利用してもよい。
【0072】
また、おむつステーション15に、使用済み紙おむつ20を持ち込むごとにポイントを付与し、一定のポイントが貯まると新規な紙おむつと交換できるようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態における分離機42の内胴分離槽内に設けられて、内胴分離槽の回転によって使用済み紙おむつ20が掻き上げられる突起に、切断刃を設けても良い。内胴分離槽内の突起に切断刃を設けることにより、例えば使用済み紙おむつ20がビニール袋内に収納されていても切断刃によってビニール袋を破断することができる。また、紙おむつがパンツ型の場合でも、切断刃により使用済み紙おむつ20を破断することで、使用済み紙おむつ20を確実に分解処理することが可能となる。
【0074】
なお、上記実施形態のおむつステーション15で用いられるメタンガス発酵装置27は、株式会社ビオストック社製の超小型バイオガスプラントを用いることができる。また、発電装置28は、株式会社プロマテリアル社製のメタン発酵及び脱臭機能付バイオガス発電装置を用いることができる。
【0075】
また、
図1、
図2に示す実施形態では、有機性廃棄物として生ごみを主に考慮した有機性廃棄物の収集・処理ステーションの例を示しており、
図3、
図4に示す実施形態では、有機性廃棄物として使用済み紙おむつを収集・処理するおむつステーションの例を示している。生ごみを主とした有機性廃棄物の収集・処理ステーション1においても、おむつステーション15において得られる効果と同等の効果が得られる。また、設置場所についても、有機性廃棄物の収集・処理ステーション1は、おむつステーション15と同様の場所に設置してもよい。さらに、有機性廃棄物の収集・処理ステーション1とおむつステーション15を、同一の敷地内に併設してもよい。
【0076】
また、上記有機性廃棄物の収集・処理ステーション1、おむつステーション15は、車両等を収容するガレージ内やコンテナ内に設置することもできる。ガレージ内やコンテナ内に設置した場合、設備がコンパクトなので建築コストを抑制することができ、省スペースの面積(敷地)でも設置することができる。さらに、ガレージやコンテナを複数棟設けることで大規模な有機性廃棄物の収集・処理ステーション1、おむつステーション15を建設することができる。また、ガレージ内やコンテナ内に小型メタン発酵施設も設置することができるので、近隣への環境負荷を低減することができる。
【0077】
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によって本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る有機性廃棄物の収集・処理ステーションは、有機性廃棄物として、生ごみ、食品残渣、使用済み紙おむつを処理することができる。さらに、使用済み紙おむつ以外に尿取りパッドや、下着ライナー等の使用済み衛生用品も処理することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 有機性廃棄物の収集・処理ステーション
2 回収部
3 処理部
4 貯留部
5 メタン発酵装置
6 メタンガス発電装置(発電装置)
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様は、個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションであって、前記有機性廃棄物の収集・処理ステーションは一般道路沿いに設けられて入口から入って前記使用済み衛生用品を個々に持ち込むことが可能な所定の敷地内に設置され、持ち込まれた前記使用済み衛生用品を収集する回収部と、前記回収部に収集された前記使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、前記処理部で前記使用済み衛生用品を処理した後の排液を貯留する貯留部と、この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置と、前記メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置と、前記有機性廃棄物の収集・処理ステーション内で使用する水を供給する雨水タンク又は井戸と、を備えていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションであって、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーションは一般道路沿いに設けられて入口から入って前記使用済み衛生用品を個々に持ち込むことが可能な所定の敷地内に設置され、
持ち込まれた前記使用済み衛生用品を収集する回収部と、
前記回収部に収集された前記使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、
前記処理部で前記使用済み衛生用品を処理した後の排液を貯留する貯留部と、
この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置と、
前記メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置と、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーション内で使用する水を供給する雨水タンク又は井戸と、を備えていることを特徴とする有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションであって、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーションは一般道路沿いに設けられて入口から入って前記使用済み衛生用品を個々に持ち込むことが可能な所定の敷地内に設置され、
持ち込まれた前記使用済み衛生用品を収集する回収部と、
前記回収部に収集された前記使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、
前記処理部で前記使用済み衛生用品を処理した後の排液を貯留する貯留部と、
この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置と、
前記メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置と、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーション内で使用する水を供給する雨水タンク又は井戸と、を備え、
前記メタン発酵装置は、前記貯留部の前記排液が供給されて該排液を発酵原料とするための前処理を行う調整槽と、
この調整槽内で前処理された前記排液が供給されて前記メタンガスを生成する発酵槽と、
この発酵槽で生成された前記メタンガスを貯留するガス貯留槽と、を備えていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の第3の態様は、前記メタン発酵装置は、前記発酵槽内から排出される消化液を貯留する消化液貯留槽と、前記消化液貯留槽内の消化液から固形物である残渣を回収する残渣回収部と、を備えていることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の第4の態様は、前記消化液貯留槽内の消化液を液体肥料に生成するとともに前記残渣回収部内の残渣を固形肥料に生成する肥料生成部を備えていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に持ち込まれて収集された使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する有機性廃棄物の収集・処理ステーションであって、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーションは一般道路沿いに設けられて入口から入って前記使用済み衛生用品を個々に持ち込むことが可能な所定の敷地内に設置され、
持ち込まれた前記使用済み衛生用品を収集する回収部と、
前記回収部に収集された前記使用済み衛生用品を処理しリサイクル資源を回収する処理部と、
前記処理部で前記使用済み衛生用品を処理した後の排液を貯留する貯留部と、
この貯留部に貯留された排液を発酵原料としてメタンガスを生成するメタン発酵装置と、
前記メタンガスを燃料として発電するメタンガス発電装置と、
前記有機性廃棄物の収集・処理ステーション内で使用する水を供給する雨水タンク又は井戸と、を備え、
前記メタン発酵装置は、前記貯留部の前記排液が供給されて該排液を発酵原料とするための前処理を行う調整槽と、
この調整槽内で前処理された前記排液が供給されて前記メタンガスを生成する発酵槽と、
この発酵槽で生成された前記メタンガスを貯留するガス貯留槽と、を備えていることを特徴とする有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項2】
前記メタンガス発電装置で発電された電力を蓄電する蓄電装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項3】
前記メタン発酵装置は、前記発酵槽内から排出される消化液を貯留する消化液貯留槽と、
前記消化液貯留槽内の消化液から固形物である残渣を回収する残渣回収部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。
【請求項4】
前記消化液貯留槽内の消化液を液体肥料に生成するとともに前記残渣回収部内の残渣を固形肥料に生成する肥料生成部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の有機性廃棄物の収集・処理ステーション。