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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154113
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20241023BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F3/044
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067758
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 誠
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB02
3L053BB04
3L260AB07
3L260BA54
3L260DA10
3L260FB44
(57)【要約】
【課題】2台の空調機のうちの一方が故障した場合であっても、複数の部屋を効率よく空調できる空調システムを提供する。
【解決手段】第1空調機5と、第2空調機6と、第1空調機5と部屋2a、2bとの間を接続する第1主ダクト14において、第1空調機5と部屋2a、2bとの間に設けられ、第1主ダクト14を開閉する第1ダンパー18と、第2空調機6と部屋2c、2dとの間を接続する第2主ダクト19において、第2空調機6と部屋2c、2dとの間に設けられ、第2主ダクト19を開閉する第2ダンパー20と、部屋2a、2bと部屋2c、2dとの間を接続する第3主ダクト21に設けられ、第3主ダクト21を開閉する第3ダンパー22と、第1ダンパー18、第2ダンパー20、及び第3ダンパー22の開閉を制御するコントローラと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空調機と、
第2空調機と、
前記第1空調機と第1空調対象エリアとの間を接続する第1ダクトにおいて、前記第1空調機と前記第1空調対象エリアとの間に設けられ、前記第1ダクトを開閉する第1開閉機構と、
前記第2空調機と第2空調対象エリアとの間を接続する第2ダクトにおいて、前記第2空調機と前記第2空調対象エリアとの間に設けられ、前記第2ダクトを開閉する第2開閉機構と、
前記第1空調対象エリアと前記第2空調対象エリアとの間を接続する第3ダクトに設けられ、前記第3ダクトを開閉する第3開閉機構と、
前記第1開閉機構、前記第2開閉機構、及び前記第3開閉機構の開閉を制御するコントローラと、を備える空調システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1空調機及び前記第2空調機が正常な場合は、前記第1開閉機構及び前記第2開閉機構を開状態に制御し、前記第3開閉機構を閉状態に制御する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1空調機が故障し前記第2空調機が正常な場合には、前記第1開閉機構を閉状態に制御し、前記第2開閉機構及び前記第3開閉機構を開状態に制御し、前記第2空調機が故障し前記第1空調機が正常な場合には、前記第1開閉機構及び前記第3開閉機構を開状態に制御し、前記第2開閉機構を閉状態に制御する、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記第1空調対象エリア及び前記第2空調対象エリアのそれぞれは、複数の部屋であり、前記コントローラは、前記第1空調機が故障し前記第2空調機が正常な場合には、前記第2空調機によって、前記複数の部屋のうち、あらかじめ設定された特定の部屋の空調を継続させる、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項5】
前記特定の部屋をユーザに設定させる設定部を備える、
請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記複数の部屋のうち、前記特定の部屋以外のそれぞれの部屋について、空調の継続要求をユーザに入力させる入力部を備え、
前記コントローラは、前記入力部に継続要求が入力された部屋の空調を継続させる、請求項4に記載の空調システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1空調機が故障し前記第2空調機が正常であり、前記第2空調機の空調能力が不足していると判定した場合に、前記特定の部屋以外の部屋に対して、空調の停止を促す、
請求項4に記載の空調システム。
【請求項8】
前記第3ダクトの両端には、それぞれ前記第3開閉機構が設けられ、
前記コントローラは、前記第1空調機及び前記第2空調機が正常な場合は、前記第3ダクトの両端に設けられた前記第3開閉機構を閉状態に制御する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物において、部屋毎に空調機を設置する代わりに、出力が大きい空調機を設置して、複数の部屋を空調する全館空調システムが知られている。全館空調システムは、出力の大きい空調機1台で、居室、トイレ、脱衣所を含む家全体の部屋の空調を実施できるため、冬季に発生しやすいヒートショックを防止できるなど健康面でも優れたシステムである。しかし、空調機が故障した場合には、住宅内の空調機能が全て停止するため、これを回避するために空調機を2台設置する例がある(例えば、特許文献1)。特許文献1には、第1室内空調機と第2室内空調機の一方が故障した場合に、第1室内空調機と第2室内空調機の他方によって、空調を継続させる全館空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6990260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された全館空調システムにおいては、2台の室内空調機はダクトに接続されていないため、2台の室内空調機のうちの一方が故障した場合に、複数の部屋を効率よく空調できないという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、2台の空調機のうちの一方が故障した場合であっても、複数の部屋を効率よく空調できる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空調システムは、第1空調機と、第2空調機と、第1空調機と第1空調対象エリアとの間を接続する第1ダクトにおいて、第1空調機と第1空調対象エリアとの間に設けられ、第1ダクトを開閉する第1開閉機構と、第2空調機と第2空調対象エリアとの間を接続する第2ダクトにおいて、第2空調機と第2空調対象エリアとの間に設けられ、第2ダクトを開閉する第2開閉機構と、第1空調対象エリアと第2空調対象エリアとの間を接続する第3ダクトに設けられ、第3ダクトを開閉する第3開閉機構と、第1開閉機構、第2開閉機構、及び第3開閉機構の開閉を制御するコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の空調システムによれば、2台の空調機のうちの一方が故障した場合であっても、複数の部屋を効率よく空調できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の空調システムの構成を説明する図である。
図2】実施の形態1の空調システムに用いられる室内機の構成を説明する図である。
図3】実施の形態1の空調システムにおいて、第1空調機が故障した場合の動作を説明する図である。
図4】実施の形態1の空調システムにおいて、第2空調機が故障した場合の動作を説明する図である。
図5】実施の形態1の空調システムに用いられるコントローラについて説明する図である。
図6】実施の形態1の空調システムに用いられるコントローラが実行する処理のフローチャートである。
図7】実施の形態2の空調システムに用いられる可変風量装置の構成について説明する図である。
図8】実施の形態2の空調システムにおいて、2つの部屋が重要な部屋に設定された状態で、第1空調機が故障した場合の空調システムの動作を説明する図である。
図9】実施の形態2の空調システムに用いられるコントローラについて説明する図である。
図10】実施の形態2の空調システムに用いられるコントローラが実行する処理のフローチャートである。
図11】実施の形態3の空調システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の空調システムの構成を説明する図である。空調システム100は、一戸建て住宅、集合住宅、オフィスビル等の建物において、1台の空調機によって複数の部屋を空調する、いわゆる全館空調システムである。
図1は、住宅の垂直断面を模式的に表した図であり、実施の形態1の空調システム100が住宅に設置された状態を示している。実施の形態1の空調システム100は、実際には、リビング、キッチン、居室の他に、洗面所とトイレも空調するが、理解しやすくするために、図1では、4つの部屋2a、2b、2c、2dを有する平屋住宅の例を示している。
【0011】
住宅1には、室内機3aと室外機4aとを有する第1空調機5と、室内機3bと室外機4bとを有する第2空調機6とが設置される。第1空調機5及び第2空調機6は、空調対象となる部屋に近い場所に設置されるのが望ましい。室内機3a、3bは、住宅の壁7の室内側に設置され、室外機4a、4bは、壁7の屋外側に設置される。室内機3aと室外機4aとは、熱交換をするための冷媒配管、室内機3aから室外機4aへ電源を供給するための電源線、及び通信線が壁7を貫通して可とう配管8aの内部で接続される。同様に、室内機3bと室外機4bとは、熱交換をするための冷媒配管、室内機3bから室外機4bへ電源を供給するための電源線、及び通信線が壁7を貫通して可とう配管8bの内部で接続される。
【0012】
図2は、実施の形態1の空調システムに用いられる室内機の構成を説明する図である。室内機3a、3bは、吸気口9と、熱交換器11と、送風用ファン12と、放出口13と、を備えている。熱交換器11には、室外機4a、4bと接続される冷媒配管10が組み込まれている。送風用ファン12には、複数の部屋を空調するために、比較的出力の大きなファンが用いられる。室内機3a、3bは、送風用ファン12を動作させることにより、室内の空気を吸気口9から室内機3a、3bの内部に取り入れ、熱交換器11を通過させる。熱交換器11を通過した室内の空気は、熱交換器11により熱交換され、送風用ファン12によって放出口13から室内機3a、3bの外部に送風される。
【0013】
図1は、第1空調機5と第2空調機6が共に正常な状態を示している。
図1に示されるように、第1空調機5の室内機3aには、第1主ダクト14が接続される。第1主ダクト14は、天井裏15に施工される。第1主ダクト14には、分岐ダクト16a、16bが接続されている。分岐ダクト16a、16bは、それぞれ、部屋2a、2bの送出口17a、17bに接続されている。第1空調機5の室内機3aによって空調された空気は、第1主ダクト14、分岐ダクト16a、16b、送出口17a、17bを経由して部屋2a、2bに送られ、部屋2a、2bの空調が実施される。
【0014】
また、第2空調機6の室内機3bには、第2主ダクト19が接続される。第2主ダクト19は、天井裏15に施工される。第2主ダクト19には、分岐ダクト16c、16dが接続されている。分岐ダクト16c、16dは、それぞれ、部屋2c、2dの送出口17c、17dに接続されている。第2空調機6の室内機3bによって空調された空気は、第2主ダクト19、分岐ダクト16c、16d、送出口17c、17dを経由して部屋2c、2dに送られ、部屋2c、2dの空調が実施される。
【0015】
なお、以下において、分岐ダクト16a~16dを区別する必要がないときは、分岐ダクト16a~16dを分岐ダクト16として説明し、送出口17a~17dを区別する必要がないときは、送出口17a~17dを送出口17として説明し、部屋2a~2dを区別する必要がないときは、部屋2a~2dを部屋2として説明することがある。また、第1空調機5と第2空調機6が共に正常な状態において、第1空調機5により空調される部屋2a、2bを第1空調対象エリア、第2空調機6により空調される部屋2c、2dを第2空調対象エリアとして説明することがある。
【0016】
第1空調機5の第1主ダクト14には、最初に接続される分岐ダクト16aに分岐する手前に第1ダンパー18が設置される。すなわち、第1ダンパー18は、第1空調機5と
第1空調対象エリアとの間に設置される。第1ダンパー18は、第1主ダクト14を開閉する第1開閉機構として機能する。第1空調機5が正常な場合には、第1ダンパー18は、開いた状態にされており、第1空調機5から第1主ダクト14、及び分岐ダクト16a、16bを経由して各部屋2a、2bへの空調が行える状態になっている。
【0017】
第2空調機6の第2主ダクト19には、最初に接続される分岐ダクト16dに分岐する手前に第2ダンパー20が設置される。すなわち、第2ダンパー20は、第2空調機6と第2空調対象エリアとの間に設置される。第2ダンパー20は、第2主ダクト19を開閉する第2開閉機構として機能する。第2空調機6が正常な場合には、第2ダンパー20は、開いた状態にされており、第2空調機6から第2主ダクト19、及び分岐ダクト16d、16cを経由して各部屋2d、2cへの空調が行える状態になっている。
【0018】
天井裏15に設置される第1主ダクト14と第2主ダクト19とは、第3主ダクト21を介して接続される。第3主ダクト21の中間位置には、第3ダンパー22が設けられる。第3ダンパー22は、第3主ダクト21を開閉する第3開閉機構として機能する。第1空調機5及び第2空調機6が正常な場合には、第3ダンパー22は、閉じた状態に保持されている。
【0019】
図1に示されるように、第1空調機5と第2空調機6が共に正常な場合は、室内機3a、3bに、それぞれ接続される第1主ダクト14の第1ダンパー18と第2主ダクト19の第2ダンパー20が開状態で、第3主ダクト21に設けられた第3ダンパー22が閉状態となっている。このような状態にすることにより、第1空調機5は、部屋2a、2bの空調を行い、第2空調機6は、部屋2c、2dの空調を行う。このようにして、家全体の空調を行う空調システム100が構築される。なお、各部屋2a、2b、2c、2dには、それぞれ、温度を設定するためのリモコン23a、23b、23c、23dが設置されている。なお、以下において、リモコン23a~23dを区別する必要がないときは、リモコン23a~23dをリモコン23として説明することがある。
【0020】
各部屋2a、2b、2c、2dの床24には、それぞれ、床下排気口25a、25b、25c、25dが設けられている。床下排気口25a~25dは、各部屋2a~2dの空気を床下26に排気する開口を有している。室内機3a、3bの近くの床24には、それぞれ、床下吸気口27a、27bが設けられている。床下吸気口27a、27bは、床下26の空気を室内機3a、3bに吸気する開口を有している。各部屋2a~2dの空気は、床下排気口25a~25dから床下26、及び床下吸気口27a、27bを経由して室内機3a、3bの吸気口9に導かれる。このようにして、空調された空気が循環する。なお、図示は省略するが、第1空調機5及び第2空調機6には、外気の新鮮な空気を熱交換して取り入れるために熱交換機付きの換気扇が接続されてもよい。
【0021】
第3主ダクト21の風路が長くなる場合には、第3ダンパー22を第3主ダクト21の両端に2つ設けてもよい。このような構成とすることにより、第1空調機5及び第2空調機6のダクトに対する圧力損失を軽減することができる。
【0022】
以上、2台の空調機(すなわち、第1空調機5と第2空調機6)が正常な場合の空調システム100について説明したが、次に、2台の空調機の内、1台が故障した場合の空調システム100について説明する。まず、第1空調機5が故障した場合について、図3を用いて説明する。
【0023】
図3は、実施の形態1の空調システムにおいて、第1空調機が故障した場合の動作を説明する図である。図3に示されるように、第1空調機5が故障した場合には、第1空調機5の室内機3aに接続される第1主ダクト14の第1ダンパー18を閉状態として、第1ダンパー18と故障した第1空調機5との間の破線で示す風路を閉鎖する。空調機が2台とも正常な場合に閉じられていた第3主ダクト21の中間位置に設けられた第3ダンパー22を開状態とする。正常な第2空調機6の室内機3bに接続される第2主ダクト19の第2ダンパー20は、2台の空調機が正常な時と同じく開いた状態を保持することにより、第2主ダクト19から第3主ダクト21を経由して第1主ダクト14の第1ダンパー18までの風路が構築される。
【0024】
第2ダンパー20が開状態を保持しているので、正常な第2空調機6によって空調された空気は、第2主ダクト19及び分岐ダクト16d、16cを経由して送出口17d、17cから部屋2d、2cに導かれ、部屋2d、2cを空調する。また、第3ダンパー22が開状態となることにより、第2主ダクト19から第3主ダクト21を経由して第1主ダクト14の第1ダンパー18までの風路が形成される。正常な第2空調機6で空調された空気は、第2主ダクト19、第3主ダクト21、第1主ダクト14、及び分岐ダクト16b、16aを経由して送出口17b、17aから部屋2b、2aに導かれ、部屋2b、2aを空調する。
【0025】
すなわち、第1空調機5が正常な場合に空調した空気を送出していた部屋2a、2bに対し、第2空調機6から空調運転を継続することが可能となる。なお、故障した第1空調機5の室内機3aに接続される第1主ダクト14の第1ダンパー18を閉状態とすることにより、正常な第2空調機6の主ダクトに対する圧力損失を第1ダンパー18から故障した第1空調機5までの風路の長さ分だけ軽減することができ、1台の空調機で家全体の部屋への空調を継続するための空調能力を助長している。
【0026】
次に、第2空調機6が故障した場合について、図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態1の空調システムにおいて、第2空調機が故障した場合の動作を説明する図である。図4に示されるように、第2空調機6が故障した場合には、第2空調機6の室内機3bに接続される第2主ダクト19の第2ダンパー20を閉状態として、第2ダンパー20と故障した第2空調機6との間の破線で示す風路を閉鎖する。空調機が2台とも正常な場合に閉じられていた第3主ダクト21の中間位置に設けられた第3ダンパー22を開状態とする。正常な第1空調機5の室内機3aに接続される第1主ダクト14の第1ダンパー18は、2台の空調機が正常な時と同じく開いた状態を保持することにより、第1主ダクト14から第3主ダクト21を経由して第2主ダクト19の第2ダンパー20までの風路が構築される。
【0027】
第1ダンパー18が開状態を保持しているので、正常な第1空調機5で空調された空気は、第1主ダクト14、及び分岐ダクト16a、16bを経由して送出口17a、17bから部屋2a、2bに導かれ、部屋2a、2bを空調する。また、第3ダンパー22を開状態とすることにより、第1主ダクト14から第3主ダクト21を経由して第2主ダクト19の第2ダンパー20までの風路が形成される。正常な第1空調機5で空調された空気は、第1主ダクト14、第3主ダクト21、第2主ダクト19、及び分岐ダクト16c、16dを経由して送出口17c、17dから部屋2c、2dに導かれ、部屋2c、2dを空調する。
【0028】
すなわち、第2空調機6が正常な場合に空調した空気を送出していた部屋2c、2dに対し、第1空調機5から空調運転を継続することが可能となる。なお、故障した第2空調機6の室内機3bに接続される第2主ダクト19の第2ダンパー20を閉状態とすることにより、正常な第1空調機5の主ダクトに対する圧力損失を第2ダンパー20から故障した第2空調機6までの風路の長さ分だけ軽減することができ、1台の空調機で家全体の部屋への空調を継続するための空調能力を助長している。
【0029】
次に、実施の形態1の空調システム100の一連の制御を担うコントローラ28について図5を用いて説明する。コントローラ28は、居住者が操作しやすいようリビング等に設置されているのが望ましく、コントローラ28を動作させる制御電源41は、商用電源33から直接供給されていてもよいし、室内機3a又は室内機3bから供給されていてもよい。
【0030】
図5は、実施の形態1の空調システムに用いられるコントローラの機能について説明する図である。コントローラ28は、第1空調機通信部34と、第2空調機通信部35と、リモコン通信部36と、ダンパー制御部37と、制御電源41とを備えている。コントローラ28は、例えば、少なくとも一つのメモリと少なくとも一つのプロセッサとを有するマイクロコンピュータを備えている。
【0031】
第1空調機通信部34は、第1空調機5の通信部5aと双方向通信を行う。第1空調機通信部34は、第1空調機5に対して、第1空調機5の運転モード(冷房運転、暖房運転など)、空調能力に関わる出力指令、及び第1空調機5の室内機3aに搭載される送風用ファン12の風量指令を行い、第1空調機5から、運転モード、出力状態を常時受信する。
【0032】
第2空調機通信部35は、第2空調機6の通信部6aと双方向通信を行う。第2空調機通信部35は、第2空調機6に対して、第2空調機6の運転モード(冷房運転、暖房運転など)、空調能力に関わる出力指令、及び第2空調機6の室内機3bに搭載される送風用ファン12の風量指令を行い、第2空調機6から、運転モード、出力状態を常時受信する。このようにして、コントローラ28は、第1空調機5及び第2空調機6の運転状態が正常であるか否かを確認する。
【0033】
ダンパー制御部37は、第1ダンパー18、第2ダンパー20、及び第3ダンパー22に接続され、第1ダンパー18,第2ダンパー20,及び第3ダンパー22の開閉を制御する。ダンパー制御部37は、2台の空調機が正常な場合、及び1台が故障して異常な場合に、主ダクト(具体的には、第1主ダクト14、第2主ダクト19、第3主ダクト21)に設けられた各ダンパー(具体的には、第1ダンパー18,第2ダンパー20,第3ダンパー22)をそれぞれ制御するための開閉指令を行う。各ダンパー18、20、22の開閉に用いるモータの種類は問わないが、コントローラ28を稼働している低電圧の直流電源で動作が可能なステッピングモータが望ましく、コントローラ28から各ダンパー18、20、22への制御用配線と並行して電源供給が可能となる。
【0034】
リモコン通信部36は、各部屋2に設置されるリモコン23a、23b、23c、23dの通信部38と双方向通信を行う。各リモコン23には部屋2の温度を検出する温度検出素子39が搭載されている。リモコン23で設定される部屋の設定温度情報と、温度検出素子39による実際の温度情報とがコントローラ28のリモコン通信部36に転送され、コントローラ28は、各部屋2の温度が設定された温度になるように、第1空調機5及び第2空調機6に対して出力指令を行う。
【0035】
次に、実施の形態1の空調システム100の制御方法について説明する。
図6は、実施の形態1の空調システムに用いられるコントローラが実行する処理のフローチャートである。
【0036】
ステップS1において、コントローラ28は、第1空調機5と第2空調機6が正常に運転しているかどうかを確認する。コントローラ28は、第1空調機5と第2空調機6が正常に運転している場合(すなわち、ステップS1においてYesの場合)、処理をステップS2に進める。
ステップS2において、コントローラ28は、第1ダンパー18と第2ダンパー20を開いた状態とし、第3ダンパー22を閉じた状態に制御し、処理を終了する。
【0037】
ステップS1において、コントローラ28は、第1空調機5と第2空調機6のどちらか1台の故障を検出した場合(すなわち、ステップS1においてNоの場合)、処理をステップS3に進める。
ステップS3において、コントローラ28は、各部屋2に設置されるリモコン23a、23b、23c、23dに対して、第1空調機5又は第2空調機6に故障が発生したことを通知し、処理をステップS4に進める。
ステップS3において、コントローラ28は、正常な1台の空調機による空調運転に備えるために、第3ダンパー22を開いた状態に制御し、処理をステップS5に進める。
【0038】
ステップS5において、コントローラ28は、第1空調機5が故障したか否かを判定する。コントローラ28は、第1空調機5の故障を検出した場合(すなわち、ステップS5においてYesの場合)、処理をステップS6に進める。
ステップS6において、コントローラ28は、第1ダンパー18を閉じた状態に制御し、処理を終了する。
ステップS5において、コントローラ28は、第2空調機6の故障を検出した場合(すなわち、ステップS5においてNоの場合)、処理をステップS7に進める。
ステップS7において、コントローラ28は、第2ダンパー20を閉じた状態に制御し、処理を終了する。
【0039】
なお、ステップS5において、コントローラ28は、第1空調機5が故障したか否かを判定しているが、ステップS5において、コントローラ28が、第1空調機5が故障した
と判定した場合、第2空調機6が故障したか否かを判定してもよい。これにより、第1空調機5と第2空調機6がともに故障した場合には、コントローラ28は、空調システム100を停止させ、コントローラ28又は各部屋2のリモコン23に対し表示、アラーム等で異常状態を表示させる。これにより、ユーザは、早めに第1空調機5と第2空調機6の修理を依頼することができる。
【0040】
以上のように、実施の形態1の空調システム100によれば、第1空調機5と、第2空調機6と、第1空調機5と第1空調対象エリアとの間を接続する第1ダクト(具体的には、第1主ダクト14)において、第1空調機5と第1空調対象エリアと間に設けられ、第1主ダクト14を開閉する第1ダンパー18と、第2空調機6と第2空調対象エリアとの間を接続する第2ダクト(具体的には、第2主ダクト19)において、第2空調機6と第2空調対象エリアとの間に設けられ、第2主ダクト19を開閉する第2ダンパー20と、第1空調対象エリアと第2空調対象エリアとの間を接続する第3ダクト(具体的には、第3主ダクト21)に設けられ、第3主ダクト21を開閉する第3ダンパー22と、第1ダンパー18、第2ダンパー20、及び第3ダンパー22の開閉を制御するコントローラ28と、を備えるので、2台の空調機のうちの一方が故障した場合であっても、2つの空調対象エリアにある複数の部屋2を効率よく空調できる。
【0041】
また、実施の形態1の空調システム100によれば、コントローラ28は、第1空調機5が故障し第2空調機6が正常な場合には、第1ダンパー18を閉状態に制御し、第2ダンパー20及び第3ダンパー22を開状態に制御し、第2空調機6が故障し第1空調機5が正常な場合には、第1ダンパー18及び第3ダンパー22を開状態に制御し、第2ダンパー20を閉状態に制御するので、第1空調機5と第2空調機6のうちの1台の空調機が故障した場合、故障した空調機側の主ダクトの風路の一部をダンパーで閉路することにより、正常な空調機側からのダクトに対する圧力損失を軽減し、1台の空調機で家全体(すなわち、2つの空調対象エリア全体)の空調を継続することができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態1においては、2台の空調機のうちの1台が故障しても、1台の空調機で家全体の空調を継続しているが、一般的に全館空調システムを構築する場合、設定する室内温度と外気温(最高気温又は最低気温)との差が大きくなる夏季、冬季でも家全体の空調性能(冷房能力又は暖房能力)を満足することが可能となる出力を有する空調機が選定される。あらかじめ空調機の故障を見込んで空調性能の大きな空調機を設置してもよいが、費用が嵩むとともに、空調機本体が大きくなることにより空調機の設置場所にも制約を受ける。また、特に、夏季又は冬季においては、1台の空調機で家全体の空調を継続しようとすると、空調機を最大出力で運転させても、空調性能が不足し、設定温度に到達するまでに時間を要することが想定される。
【0043】
そこで、実施の形態2においては、空調の継続が必要となる重要な部屋をあらかじめ設定しておいて、その他の部屋に対する空調は一旦運転を停止させる。これにより、重要な部屋に対して、空調性能が不足することなく空調運転を継続できる。
重要な部屋とは、リビング、キッチンなど居住者の使用頻度の高い部屋、冬場に空調が停止するとヒートショックにより健康に害を与えやすく時には命に係わる疾病を引き起こす恐れのある脱衣所、トイレ、又は、体感温度の機能が鈍くなりやすい傾向にあるお年寄りの部屋等が該当する。換言すると、重要な部屋とは、優先度が高い部屋であり、優先的に空調を継続させたい部屋である。
【0044】
例として、第1空調機5が故障した場合に、第2空調機6により、重要な部屋として設定された部屋2a、2cの空調を継続する方法を図7図8を用いて説明する。なお、重要な部屋は、後述するコントローラ28aを用いて設定される。
【0045】
図7は、実施の形態2の空調システムに用いられる可変風量装置の構成について説明する図である。図7に示されるように、可変風量装置29は、送出口17に設けられる。可変風量装置29は、部屋2の温度を制御するために、空調機により熱交換された空気の風量を調整する。可変風量装置29は、第1主ダクト14又は第2主ダクト19から分岐された分岐ダクト16が接続される分岐ダクト接続部30を有している。分岐ダクト接続部30には、風路の開口面積を多段階に制御可能なダンパー31が、支持棒32に支えられて設けられている。ダンパー31は、設定温度と部屋2の温度差が大きい場合は開口面積を大きくして風量を多くし、設定温度と部屋2の温度が近づくにつれて開口面積を小さく
して風量を少なくするように制御される。
【0046】
図8は、実施の形態2の空調システムにおいて、2つの部屋が重要な部屋に設定された状態で、第1空調機が故障した場合の空調システムの動作を説明する図である。図8において、2つの部屋2a、2cが、あらかじめ重要な部屋に設定されている。図8に示されるように、各部屋2の送出口17a、17b、17c、17dのそれぞれには、可変風量装置29a、29b、29c、29dが設けられており、可変風量装置29a、29b、29c、29dのそれぞれは、ダンパー31a、31b、31c、31dを有している。
【0047】
空調システム101は、第1空調機5が故障した場合、第1ダンパー18を閉じ、第2ダンパー20は開状態を保持し、第3ダンパー22を開状態とすることにより、正常な第2空調機6から第2主ダクト19、第3主ダクト21、分岐ダクト16を経由して、家全体の4つの部屋2を空調している状態とする。空調システム101は、この状態において、あらかじめ重要な部屋に設定された部屋2a、2c以外の部屋2b、2dの送出口17b、17dに設けられた可変風量装置29b、29dのダンパー31b、31dを完全に閉じ、部屋2b、2dへの第2空調機6からの空調を停止する。
【0048】
一方、空調システム101は、あらかじめ重要な部屋に設定された部屋2a、2cの送出口17a、17cに設けられた可変風量装置29a、29cのダンパー31a、31cを制御可能な状態に維持する。このようにして、空調システム101は、正常な第2空調機6により、重要な部屋に設定された部屋2a、2cの2部屋分の空調を継続して実施することになる。これにより、空調システム101は、大きな空調能力が必要となる夏季、冬季でも、1台の空調機により、空調性能が不足することなく空調運転を継続できる。
【0049】
図9は、実施の形態2の空調システムに用いられるコントローラについて説明する図である。実施の形態2の空調システム101に用いられるコントローラ28aは、リモコン通信部36が通信するリモコン23が、風量制御部40を備えており、可変風量装置29a~29dを制御する点において、実施の形態1の空調システム100に用いられるコントローラ28と相違している。コントローラ28aは、リモコン23の通信部38に可変風量装置29のダンパー31の開口面積指令を送る。リモコン23の風量制御部40は、可変風量装置29のダンパー31の開口面積を制御して、各部屋2への風量を制御する。
【0050】
次に、実施の形態2の空調システムの制御方法について説明する。
図10は、実施の形態2の空調システムに用いられるコントローラが実行する処理のフローチャートである。
【0051】
図10において、ステップS1からステップS7は、図6のフローチャートを用いて説明した処理と同じである。コントローラ28aは、ステップS6又はステップS7の処理を行った後、処理をステップS8に進める。
【0052】
ステップS8において、コントローラ28aは、ユーザによりあらかじめ重要な部屋に設定された部屋(換言すれば、優先部屋)の空調を継続し、それ以外の部屋の空調を停止するように制御する。具体的には、コントローラ28は、1台の空調機が故障した場合、ユーザによりあらかじめ設定された優先部屋の送出口17に設けられた可変風量装置29のダンパー31を制御可能な状態とし、それ以外の部屋の送出口17に設けられた可変風量装置29のダンパー31を閉じた状態に制御する。ユーザは、優先的に空調を継続させたい部屋をあらかじめ設定しておく。優先的に空調を継続させたい部屋とは、空調を行うことが重要な部屋であり、例えば、リビング、キッチン、トイレ、脱衣所、お年寄りの部屋である。
コントローラ28a又はリモコン23は、空調を継続させたい特定の部屋(換言すれば、重要な部屋、優先部屋)をユーザに設定させる設定部を備えている。
【0053】
ステップS9において、コントローラ28aは、ステップS8において、空調を停止した部屋2のリモコン23に対して、その部屋の空調を継続させる必要があるか否かを確認するための信号を送信し、処理をステップS10に進める。
リモコン23は、コントローラ28aから、リモコン23が設置された部屋の空調を継続させる必要があるか否かを確認するための信号を受信すると、空調の継続要求をユーザに入力させる入力部を備えている。
【0054】
ステップS10において、コントローラ28aは、ステップS9において送信した、空調を継続させる必要があるか否かを確認する信号に対するリモコン23からの受信を確認する。コントローラ28は、リモコン23から空調継続要求有りの信号を受信した場合(すなわち、ステップS10においてYesの場合)、処理をステップS11に進める。
ステップS11において、コントローラ28aは、該当する部屋(すなわち、空調継続要求有りの信号が送信された部屋)の可変風量装置29のダンパー31を風量制御が可能な状態に復帰させる。
ステップS10において、コントローラ28aは、リモコン23から空調継続要求有りの信号を受信しない場合(すなわち、ステップS5においてNоの場合)、処理をステップS12に進める。
【0055】
ステップS10において、コントローラ28aが、空調を停止した多数の部屋のリモコン23から空調継続要求有の信号を受信した場合は、ユーザによりあらかじめ設定された優先部屋以外にも空調する部屋が多くなる。例えば、ステップS9からステップS11において、優先部屋以外の全ての部屋から空調継続要求有りの信号を受信した場合には、1台の空調機で家全体の空調を行うことになり、夏季、冬季などにおいては、空調機が最大出力で運転していても、設定した温度に対して空調制御が追い付かないことが想定される。
【0056】
そこで、ステップS12において、コントローラ28aは、空調機1台による運転で空調能力が不足しているか否かを判定する。空調機の空調能力が不足していることを判定する方法の詳細な説明は省略するが、例えば、空調機が2台とも正常な状態で運転していた時のリビング等の比較的大きな部屋の設定温度への移行時間をデータベースとして格納しておき、空調機1台で運転する場合の設定温度への移行時間とを比較して、明らかに設定温度に近づく時間が遅い状態を検出することで空調能力が不足していると判定する方法などがある。コントローラ28aは、空調機1台による運転で空調能力が不足していると判定した場合(すなわち、ステップS12においてYesの場合)、処理をステップS13に進め、空調機1台による運転で空調能力が不足していないと判定した場合(すなわち、ステップS12においてNоの場合)、処理を終了する。
【0057】
ステップS13において、コントローラ28aは、空調停止が可能な部屋を探し、その部屋の空調の停止を促し、処理を終了する。コントローラ28aは、例えば、空調継続要求有りの信号が送信された部屋の空調を停止させる。具体的には、コントローラ28aは、空調を停止させる部屋のリモコン23に対して、空調運転の停止要求信号を送信し、停止要求信号を受信したリモコン23に対して、ユーザが空調を停止させる操作を行うことにより、その部屋の空調は停止される。
【0058】
以上のように、実施の形態2の空調システム101によれば、実施の形態1の空調システム100と同様に、2台の空調機のうちの1台の空調機が故障した場合でも、第3ダンパー22を開状態にすることにより、正常な空調機から故障した空調機が空調を実施していた部屋に対しても空調を継続できる。
【0059】
また、実施の形態2の空調システム101によれば、第1空調機5及び第2空調機6の一方が故障し、第1空調機5及び第2空調機6の他方が正常な場合には、この正常な空調機によって、複数の部屋のうち、あらかじめ設定された特定の部屋の空調を継続させるので、空調の継続が必要となる重要な部屋に対して、快適な空調を継続させることができる。例えば、居住者の使用頻度の高いリビング、キッチン、冬場に空調が停止するとヒートショックにより健康に害を与えやすく、時には命に係わる疾病を引き起こす恐れのある脱衣所、トイレ、及び体感温度の機能が鈍くなりやすい傾向にあるお年寄りの部屋の空調を優先して実施することができる。これにより、身体に快適で健全な空調運転を継続し、熱中症の予防にも貢献できる。
【0060】
また、実施の形態2の空調システム101によれば、あらかじめ設定された特定の部屋以外の部屋であっても、空調の継続要求が入力された部屋に対して空調を継続させるので、空調の継続が必要となる重要な部屋以外についても空調運転を継続できる。また、夏季、冬季など空調機を最大出力で運転しても空調能力が不足する事態に備えるため、あらかじめ設定された特定の部屋以外の空調を全て停止し、空調を停止した部屋からの空調継続の要求を確認しながら、極力、空調を行う部屋を少なくし、1台の空調機による空調能力を確保でき、年中を通して快適な空調運転を継続できる。
【0061】
また、実施の形態2の空調システム101によれば、第1空調機5及び第2空調機6の一方が故障し第1空調機5及び第2空調機6の他方が正常であり、この正常な空調機の
空調能力が不足していると判定した場合に、あらかじめ設定された特定の部屋以外の部屋に対して、空調の停止を促すので、1台の空調機でも空調能力を維持でき、夏季、冬季でも快適な空調運転を継続することができる。
【0062】
実施の形態3.
実施の形態1及び2において、空調システムが平屋住宅に設置された場合について説明したが、空調システムは2階建ての住宅に設置されてもよい。実施の形態3では、空調システムが2階建ての住宅に設置される例について説明する。
図11は、実施の形態3の空調システムの構成を説明する図である。図11は、住宅の垂直断面を模式的に表した図であり、空調システム102が2階建ての住宅に設置された状態を示している。以下において、実施の形態3の空調システム102が、実施の形態1及び2の空調システム100,101と相違する点について説明する。
【0063】
図11の例では、1階には部屋2a、2bがあり、2階に部屋2c、2dがあり、第1空調機5は1階に設置され、第2空調機6は2階に設置されている。図11は、第1空調機5と第2空調機6が共に正常な状態を示している。図11において、1階に設置された第1空調機5は、第1主ダクト14を経由して1階の部屋2a、2bを空調し、2階の第2空調機6は、第2主ダクト19を経由して2階の部屋2c、2dを空調する。
【0064】
2階建ての住宅に設置される空調システム102は、第1主ダクト14と第2主ダクト19とを接続する第3主ダクト21の風路が長くなるため、第3主ダクト21の両端に、第3ダンパー22が設けられている。このような構成とすることにより、第3主ダクト21による圧力損失を低減でき、複数の部屋2を効率よく空調できる。
【0065】
また、1階、及び2階の各部屋2の境界となる箇所に、第1主ダクト14と第2主ダクト19の中間部を第3主ダクト21で接続することで、第3主ダクト21の風路を短くでき、1台の空調機が故障した場合の風路に対する第3主ダクト21の圧力損失を低減できる。
【0066】
実施の形態3の空調システム102によれば、2階建ての住宅に設置される場合においても、上記した実施の形態1及び2と同様の効果が得られる。
【0067】
また、実施の形態3の空調システム102によれば、第3主ダクト21の両端には、それぞれ第3ダンパー22が設けられ、第1空調機5及び第2空調機6が正常な場合は、第3主ダクト21の両端に設けられた第3ダンパー22を閉状態に制御することにより、第1空調機5及び第2空調機6の第3主ダクト21による圧力損失を低減でき、複数の部屋2を効率よく空調できる。
【0068】
なお、上記した各実施の形態において、部屋2の数が4つの場合について説明したが、部屋2の数は4つに限らない。空調システムは、2台の空調機のうちの少なくとも1台が、複数の部屋を空調するように構成されていればよい。
【0069】
また、上記した実施の形態2では、2台の空調機のうちの1台が故障した場合に、特定の部屋以外の部屋の空調を一旦停止させてから、特定の部屋以外の部屋に対して、その部屋の空調の継続の要否を確認し、空調の継続の要求があった部屋に対して、空調を再開させる例について説明したが、特定の部屋以外の部屋の空調を一旦停止させずに、特定の部屋以外の部屋に対して、その部屋の空調の継続の要否を確認し、空調の継続の要求があった部屋に対してのみ、空調を継続し、継続の要求がなかった部屋に対して、空調を停止させてもよい。
【0070】
また、特定の部屋以外の部屋の空調を一旦停止させずに、特定の部屋以外の部屋に対して、その部屋の空調の継続の要否を確認し、空調の継続の要求があった部屋に対して空調を継続させる場合に、空調能力が不足するかを判定した後に、空調の継続の要求があった部屋の一部又は全部の部屋に対して、空調を停止させてもよい。
【0071】
また、上記した実施の形態2では、空調継続要求を入力する入力部がリモコン23に設けられる例について説明したが、この入力部は、コントローラ28に設けられてもよい。また、空調能力が不足していると判定した場合に、リモコン23に対して空調の停止を促す例について説明したが、コントローラ28に対して空調の停止を促してもよい。
【0072】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
第1空調機と、
第2空調機と、
前記第1空調機と第1空調対象エリアとの間を接続する第1ダクトにおいて、前記第1空調機と前記第1空調対象エリアとの間に設けられ、前記第1ダクトを開閉する第1開閉機構と、
前記第2空調機と第2空調対象エリアとの間を接続する第2ダクトにおいて、前記第2空調機と前記第2空調対象エリアとの間に設けられ、前記第2ダクトを開閉する第2開閉機構と、
前記第1空調対象エリアと前記第2空調対象エリアとの間を接続する第3ダクトに設けられ、前記第3ダクトを開閉する第3開閉機構と、
前記第1開閉機構、前記第2開閉機構、及び前記第3開閉機構の開閉を制御するコントローラと、を備える空調システム。
(付記2)
前記コントローラは、前記第1空調機及び前記第2空調機が正常な場合は、前記第1開閉機構及び前記第2開閉機構を開状態に制御し、前記第3開閉機構を閉状態に制御する、
付記1に記載の空調システム。
(付記3)
前記コントローラは、前記第1空調機が故障し前記第2空調機が正常な場合には、前記第1開閉機構を閉状態に制御し、前記第2開閉機構及び前記第3開閉機構を開状態に制御し、前記第2空調機が故障し前記第1空調機が正常な場合には、前記第1開閉機構及び前記第3開閉機構を開状態に制御し、前記第2開閉機構を閉状態に制御する、
付記1又は付記2に記載の空調システム。
(付記4)
前記第1空調対象エリア及び前記第2空調対象エリアのそれぞれは、複数の部屋であり、前記コントローラは、前記第1空調機が故障し前記第2空調機が正常な場合には、前記第2空調機によって、前記複数の部屋のうち、あらかじめ設定された特定の部屋の空調を継続させる、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の空調システム。
(付記5)
前記特定の部屋をユーザに設定させる設定部を備える、
付記4に記載の空調システム。
(付記6)
前記複数の部屋のうち、前記特定の部屋以外のそれぞれの部屋について、空調の継続要求をユーザに入力させる入力部を備え、
前記コントローラは、前記入力部に継続要求が入力された部屋の空調を継続させる、付記4又は付記5に記載の空調システム。
(付記7)
前記コントローラは、前記第1空調機が故障し前記第2空調機が正常であり、前記第2空調機の空調能力が不足していると判定した場合に、前記特定の部屋以外の部屋に対して、空調の停止を促す、
付記4から付記6のいずれか一項に記載の空調システム。
(付記8)
前記第3ダクトの両端には、それぞれ前記第3開閉機構が設けられ、
前記コントローラは、前記第1空調機及び前記第2空調機が正常な場合は、前記第3ダクトの両端に設けられた前記第3開閉機構を閉状態に制御する、
付記1から付記7のいずれか一項に記載の空調システム。
【符号の説明】
【0073】
1 住宅、 2a,2b,2c,2d 部屋、 3a,3b 室内機、 4a,4b 室外機、 5 第1空調機、 6 第2空調機、7 壁、 8a,8b 可とう配管、 9 吸気口、 10 冷媒配管、 11 熱交換器、 12 送風用ファン、 13 放出口、 14 第1主ダクト、 15 天井裏、 16a,16b,16c,16d 分岐ダクト、 17a,17b,17c,17d 送出口、 18 第1ダンパー、 19 第2主ダクト、 20 第2ダンパー、 21 第3主ダクト、 22 第3ダンパー、 23a,23b,23c,23d リモコン、24 床、 25a,25b,25c,25d 床下排気口、 26 床下、 27a,27b 床下吸気口、 28,28a コントローラ、 29,29a,29b,29c,29d 可変風量装置、 30 分岐ダクト接続部、 31,31a,31b,31c,31d ダンパー、 32 支持棒、 33 商用電源、 34 第1空調機通信部、 35 第2空調機通信部、 36 リモコン通信部、 37 ダンパー制御部、 5a,6a,38通信部、 39 温度検出素子、 40 風量制御部、 41 制御電源、 100,101,102 空調システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11