(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154114
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】立位状態スタック装置および立位状態スタック装置を備えた加工装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/06 20060101AFI20241023BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20241023BHJP
B65H 29/14 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B65H31/06
B65H31/26
B65H29/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067760
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000161057
【氏名又は名称】株式会社ミヤコシ
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 利浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利浩
(72)【発明者】
【氏名】戸巻 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 鈴司
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 清丸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直樹
【テーマコード(参考)】
3F049
3F054
【Fターム(参考)】
3F049AA02
3F049DA02
3F049DB18
3F049LA15
3F049LB01
3F054AA01
3F054BA11
3F054BD03
3F054BF12
3F054BH05
3F054BH08
3F054CA13
(57)【要約】
【課題】区分けのために側面に突出部を有した用紙群を幅方向に整列できる立位状態スタック装置とする。
【解決手段】搬送部10で区分けされた用紙Wを立位部12で立位状態としてスタック部20に搬送し、前記スタック部20で、区分けのために側面に突出部W3を有した用紙群W2とし、前記スタック部20に、前記用紙群2の前記突出部W3を有した側面を叩く幅方向の整列動作を行うジョガー41を備えた幅方向整列機構40を設け、前記突出部W3が前記ジョガー41を通過する時には前記ジョガー41の整列動作を停止して、前記突出部W3を回避するように構成し、区分けのために側面に突出部W3を有した用紙群W2を幅方向に整列できる立位状態スタック装置とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置から排出された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部から供給された前記用紙を立位状態に立ち上げる立位部と、
前記立位部で立ち上がった前記立位状態の用紙を用紙群として集積とするスタック部と、
前記搬送部に設けられ、搬送される前記用紙の幅方向位置を、前記搬送部の用紙搬送面に平行かつ用紙搬送方向と直交する方向にずらすことで区分けを行う区分け機構と、
前記スタック部に設けられ、集積された前記用紙群を幅方向に整列させる幅方向整列機構と、を備え、
前記区分け機構で幅方向位置がずらされた前記用紙は、前記用紙群において、前記用紙群の幅方向一方の側面から突出した突出部として形成され、
前記幅方向整列機構は、前記用紙群の幅方向一方の側面を叩くように可動して前記用紙群の幅方向整列を行うジョガーと、前記ジョガーに対向して前記用紙群の幅方向他方の面に当接するように設けられたストッパプレートと、前記突出部を検知するセンサと、前記ジョガーを制御するジョガー制御部とを備え、
前記ジョガーが叩く前記用紙群の幅方向一方の側面は、前記突出部が位置する幅方向一方の側面であり、
前記ジョガー制御部は、前記センサによる前記突出部の検知結果に基づいて、前記ジョガーを、前記突出部を回避するように制御する構成であることを特徴とする立位状態スタック装置。
【請求項2】
請求項1記載の立位状態スタック装置において、
前記センサは、前記ジョガーよりも前記用紙群の搬送方向上流側で、前記ジョガーを通過しようとしている前記突出部を検出する上流側センサと、前記ジョガーよりも前記用紙群の搬送方向下流側で、前記ジョガーを通過終了した前記突出部を検出する下流側センサであり、
前記ジョガー制御部は、前記スタック部での前記用紙群の集積を開始してから前記上流側センサが前記突出部を検知するまでは、前記ジョガーを、前記用紙群の幅方向一方の側面に当接する当接位置と前記用紙群の幅方向一方の側面から離間する離間位置の間を移動させて前記用紙群の幅方向一方の側面を叩く前記用紙群を整列させる整列動作を実行し、前記上流側センサが前記突出部を検知した場合、前記ジョガーを前記突出部と干渉しない突出部回避位置で停止させ、前記整列動作を中断し、前記下流側センサが前記突出部を検知した場合、前記ジョガーの前記整列動作を再開する構成である立位状態スタック装置。
【請求項3】
請求項2記載の立位状態スタック装置において、
前記ジョガーの離隔位置と突出部回避位置が別の位置であり、
前記ジョガーの離隔位置を調整できる構成とした立位状態スタック装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の立位状態スタック装置において、
前記搬送部は、前記用紙搬送面が前記加工装置の用紙排出部よりも低い位置となるように設けられ、前記用紙排出部から排出された前記用紙は落下しながら前記搬送部の前記用紙搬送面に供給される構成とし、
前記区分け機構は、前記搬送部の前記用紙搬送面上で前記加工装置の前記用紙排出部に隣接して設けられ、
前記区分け機構による区分けは、前記用紙排出部から排出され落下途中の用紙の幅方向他方の面における用紙搬送方向中央をキックして前記用紙の幅方向位置をずらすことである立位状態スタック装置。
【請求項5】
請求項4記載の立位状態スタック装置において、
前記区分け機構は検査装置を備え、
前記検査装置は、前記加工装置から排出された前記用紙の情報を読み取り、
前記区分け機構は、前記検査装置が読み取りした前記情報により区分けを行うタイミングを決定する構成とした立位状態スタック装置。
【請求項6】
立位状態スタック装置を備え、
前記立位状態スタック装置は、請求項1から3いずれかに記載された構成であることを特徴とする立位状態スタック装置を備えた加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置で生産された圧着葉書等のシート状製品、刷本などの用紙を立位状態で用紙群として集積する立位状態スタック装置およびその立位状態スタック装置を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工装置で生産されたシート状製品、刷本などの用紙を立位状態で用紙群として集積するスタック装置としては、集積した用紙群を幅方向に整列できるようにしたものが知られている。
例えば、特許文献1に、加工された用紙を挟送ベルト機構で下方から上方に向けて送り、整列テ―ブル上で縦揃えの用紙群として集積し、集積した用紙群の両側面に抑止定規平板を接して幅方向に整列する構成のスタック装置が記載されている。
縦揃えの用紙群として集積することが、立位状態で用紙群として集積することである。
【0003】
また、集積した用紙群を目視で確認できるように区分けるために、用紙群の中から区分けに応じた枚数毎に用紙を側面から突出させ、その突出部により用紙群の区分けを行い、突出部を目視することで区分けを確認できるようにしたスタック装置が知られている。
例えば、特許文献2に、無端回転ベルトの水平搬送部に設けた区分付器により、水平に搬送される用紙を所定枚数毎に位置をずらし、上昇搬送部と上側無端回転ベルトにより垂直に搬送し、その垂直に搬送した用紙を水平板の上面に沿って縦列の用紙群として集積し、集積した用紙群の中の位置ずれした用紙が用紙群の側面より突出する構成のスタック装置が記載されている。
縦列の用紙群として集積することが、立位状態で用紙群として集積することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59-173654号公報
【特許文献2】特開昭61-150961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたスタック装置によれば、集積した用紙群を幅方向に整列できるが、集積した用紙群を区分けすることができない。
特許文献2に記載されたスタック装置によれば、集積した用紙群の区分けができるが、用紙群を幅方向に整列できない。
そこで両方のスタック装置を組み合わせて用紙群の整列と区分けができるスタック装置とすることが考えられるが、用紙群の中から区分けの枚数毎にずらされた用紙が突出した状態で集積した用紙群の両側面に、抑止定規平板を接して用紙群を整列しようとすると、用紙群のずらされた用紙の突出部と抑止定規平板が干渉してしまうので、整列できない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、用紙群を目視確認できるように区分けでき、しかも用紙群を幅方向に整列できる立位状態スタック装置および立位状態スタック装置を備えた加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の立位状態スタック装置は、加工装置から排出された用紙を搬送する搬送部と、前記搬送部から供給された前記用紙を立位状態に立ち上げる立位部と、前記立位部で立ち上がった前記立位状態の用紙を用紙群として集積とするスタック部と、前記搬送部に設けられ、搬送される前記用紙の幅方向位置を、前記搬送部の用紙搬送面に平行かつ用紙搬送方向と直交する方向にずらすことで区分けを行う区分け機構と、前記スタック部に設けられ、集積された前記用紙群を幅方向に整列させる幅方向整列機構と、を備え、
前記区分け機構で幅方向位置がずらされた前記用紙は、前記用紙群において、前記用紙群の幅方向一方の側面から突出した突出部として形成され、前記幅方向整列機構は、前記用紙群の幅方向一方の側面を叩くように可動して前記用紙群の幅方向整列を行うジョガーと、前記ジョガーに対向して前記用紙群の幅方向他方の面に当接するように設けられたストッパプレートと、前記突出部を検知するセンサと、前記ジョガーを制御するジョガー制御部とを備え、前記ジョガーが叩く前記用紙群の幅方向一方の側面は、前記突出部が位置する幅方向一方の側面であり、前記ジョガー制御部は、前記センサによる前記突出部の検知結果に基づいて、前記ジョガーを、前記突出部を回避するように制御する構成であることを特徴とする立位状態スタック装置である。
【0008】
本発明の立位状態スタック装置においては、前記センサは、前記ジョガーよりも前記用紙群の搬送方向上流側で、前記ジョガーを通過しようとしている前記突出部を検出する上流側センサと、前記ジョガーよりも前記用紙群の搬送方向下流側で、前記ジョガーを通過終了した前記突出部を検出する下流側センサであり、
前記ジョガー制御部は、前記スタック部での前記用紙群の集積を開始してから前記上流側センサが前記突出部を検知するまでは、前記ジョガーを、前記用紙群の幅方向一方の側面に当接する当接位置と前記用紙群の幅方向一方の側面から離間する離間位置の間を移動させて前記用紙群の幅方向一方の側面を叩く前記用紙群を整列させる整列動作を実行し、前記上流側センサが前記突出部を検知した場合、前記ジョガーを前記突出部と干渉しない突出部回避位置で停止させ、前記整列動作を中断し、前記下流側センサが前記突出部を検知した場合、前記ジョガーの前記整列動作を再開する構成である立位状態スタック装置とすることができる。
【0009】
この構成によれば、上流側センサと下流側センサを使用してジョガーを通過する突出部を検出して突出部がジョガーと干渉するかを判断して突出部を回避するので、用紙群の搬送速度や区分けされる用紙の枚数によらず、突出部がジョガーと干渉する位置にあるかを判断でき、複雑な構成や制御を用いることなく突出部を回避して用紙群の幅方向の整列を実施できる。
【0010】
本発明の立位状態スタック装置においては、前記ジョガーの離隔位置と突出部回避位置が別の位置であり、前記ジョガーの離隔位置を調整できる構成とした立位状態スタック装置とすることができる。
この構成によれば、ジョガーの離隔位置を調整することで、用紙群の側面を叩く動作が変わり、ジョガーの用紙群の側面を叩く動作を用紙群の整列の状態に応じたものとすることが可能であるため、用紙群の幅方向の整列品質をより向上させることができる。
【0011】
本発明の立位状態スタック装置においては、前記搬送部は、前記用紙搬送面が前記加工装置の用紙排出部よりも低い位置となるように設けられ、前記用紙排出部から排出された前記用紙は落下しながら前記搬送部の前記用紙搬送面に供給される構成とし、
前記区分け機構は、前記搬送部の前記用紙搬送面上で前記加工装置の前記用紙排出部に隣接して設けられ、前記区分け機構による区分けは、前記用紙排出部から排出され落下途中の用紙の幅方向他方の面における用紙搬送方向中央をキックして前記用紙の幅方向位置をずらすことである立位状態スタック装置とすることができる。
この構成によれば、搬送部の用紙搬送面に向けて落下途中の用紙の側面における搬送方向中央をキックして用紙の幅方向位置をずらすので、キックした用紙のみを正確に幅方向に移動して位置をずらして区分けすることができ、区分けのときにキックする対象の用紙以外の用紙をずらすことがなく、しかもキックした用紙は平行に幅方向に移動するので、用紙が立位状態で集積されるとき天地方向が干渉することがなく、集積される用紙群の整列品質を維持できる。
【0012】
本発明の立位状態スタック装置においては、前記区分け機構は検査装置を備え、
前記検査装置は、前記加工装置から排出された前記用紙の情報を読み取り、
前記区分け機構は、前記検査装置が読み取りした前記情報により区分けを行うタイミングを決定する構成とした立位状態スタック装置とすることができる。
この構成によれば、区分けするタイミングが区分けする用紙の枚数によらず、検査装置の検査結果に応じたタイミングで区分けするので、立位状態スタック装置の運転を止めることなく自動で区分けするタイミングで区分けが行われるので、作業性や生産性を向上できる。
【0013】
本発明の立位状態スタック装置を備えた加工装置は、立位状態スタック装置を備え、前記立位状態スタック装置は、請求項1から3いずれかに記載された構成であることを特徴とする立位状態スタック装置を備えた加工装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の立位状態スタック装置によれば、立位状態の用紙を、側面に区分けのための突出部を形成した用紙群として集積でき、用紙群を幅方向に整列するジョガーは突出部を回避して整列動作をするので、用紙群を目視確認できるように区分けした用紙群を幅方向に整列できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の立位状態スタック装置を備えた加工装置の側面図である。
【
図2】本発明の立位状態スタック装置の側面図である。
【
図3】本発明の立位状態スタック装置の上面図である。
【
図4】本発明の用紙、用紙群の各端面、搬送部、立位部、スタック部の向きの説明用模式図である。
【
図7】本発明の区分け機構の他の実施の形態を示す上面図である。
【
図10】本発明の天地方向整列機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の立位状態スタック装置を備えた加工装置の実施の形態を
図1に基づき説明する。
図1は、立位状態スタック装置を備えた加工装置の側面図である。
図1に示すように、加工装置70は、圧着葉書等のシート状の製品(以下用紙という)を加工する装置であり、本発明の立位状態スタック装置1が排出側に設けてある。
加工装置70は、ロール状の連続紙80を供給する給紙部71、給紙部71から供給された連続紙80の表裏両面に水性糊を塗工するコーティング部72、水性糊が塗工された連続紙80にスリットおよび縦ミシン目の加工を行う第1加工部73、縦ミシン目に沿って連続紙80をV折またはZ折などの任意の形状に折り畳むプラウ部74、折り畳まれた連続紙80にスリットおよび横ミシン目(シートカット)の加工を行うことで連続紙80を製品単位の長さに切断して用紙とする第2加工部75、用紙を圧着する圧着部76、用紙の検査を行う検査装置部77で構成され、検査装置部77の排出側に本発明の立位状態スタック装置1が設けてある。
【0017】
コーティング部72は、連続紙80の表裏一方の面に水性糊を塗工する第1の塗工部81、表裏一方の面に塗工された水性糊を乾燥させる第1の乾燥部82、連続紙80の表裏他方の面に水性糊を塗工する第2の塗工部83、表裏他方の面に塗工された水性糊を乾燥させる第2の乾燥部84を備える。
給紙部71から供給された連続紙80は、コーティング部72で糊付けされ、糊付けされた面が内側になるように第1加工部73で縦方向(連続紙80の搬送方向)に折り目がつけられ、プラウ部74で折り畳まれる。折り畳まれた連続紙80は、第2加工部75で圧着葉書に切断され、圧着部76での圧着、検査装置部77での検査を経て、用紙排出部70aから立位状態スタック装置1に向けて排出される。
立位状態スタック装置1は、加工装置70の用紙排出部70aから排出された用紙を立位状態で集積する。
【0018】
加工装置70は、
図1に示すものに限定されず、任意の加工装置を使用することができる。また、本発明の立位状態スタック装置1は、
図1に示す加工装置70により加工した圧着葉書を立位状態で用紙群として集積するものに限定されず、任意のシート状の製品、刷本などを立位状態で用紙群として集積する装置として使用できる。
すなわち、本発明の立位状態スタック装置1は、圧着葉書、シート状の製品、刷本などの加工装置70で加工した用紙を立位状態で用紙群として集積するものである。
加工装置70は
図1に示すものに限定されず、加工した用紙を複数列で排出する構成であってもよい。加工装置70が複数列で用紙を排出する構成である場合、本発明の立位状態スタック装置1を排出される各用紙の列ごとに設けることで、各用紙の列ごとに立位状態で用紙群として集積する構成とすることができる。
【0019】
次に、本発明の立位状態スタック装置1の実施の形態を説明する。
本発明の立位状態スタック装置1の全体構成を
図2、
図3に基づき説明する。
図2は本発明の立位状態スタック装置の側面図、
図3は本発明の立位状態スタック装置の上面図である。
図2、
図3に示すように、立位状態スタック装置1は加工装置70から排出された用紙Wを倒伏位状態で搬送する搬送部10、搬送部10から倒伏位状態で供給された用紙Wを立位状態に立ち上げる立位部12、立位部12で立ち上がった立位状態の用紙Wを用紙群W2として集積するスタック部20で構成されている。
倒伏位状態とは用紙Wが水平方向に向かう横向きの姿勢の状態である。立位状態とは用紙Wの搬送方向下流側の端面が上で搬送方向上流側の端面が下となる垂直方向に向かう縦向きの姿勢の状態である。
【0020】
以下の説明においては、用紙W、用紙群W2の各端面、搬送部10、立位部12、スタック部20の向きを
図4に示すようにして説明する。
図4は本発明の用紙、用紙群の各端面、搬送部、立位部、スタック部の向きの説明用模式図である。
搬送部10、立位部12の用紙Wを搬送する方向の向きを用紙搬送方向とする。
用紙Wの用紙搬送方向と直交する方向を幅方向とする。
用紙Wの用紙搬送方向と直交する方向の一方の端面を幅方向一方の面W-1とし、用紙Wの用紙搬送方向と直交する方向の他方の端面を幅方向他方の面W-2とする。
用紙Wの用紙搬送方向下流側の端面を天面W-3とし、用紙Wの用紙搬送方向上流側の端面を地面W-4とする。
用紙Wの用紙搬送方向と直交する方向の長さを用紙Wの幅とし、用紙Wの用紙搬送方向の長さを用紙Wの長さとする。
【0021】
スタック部20の用紙群W2を搬送する方向の向きを用紙群搬送方向とする。
用紙群W2の用紙群搬送方向と直交する方向を幅方向とする。
用紙群W2の用紙群搬送方向と直交する方向の一方の面を幅方向一方の側面W2-1とし、用紙群W2の用紙群搬送方向と直交する方向の他方の面を幅方向他方の側面W2-2とする。
用紙群W2の用紙群搬送方向の最も下流側の用紙Wで構成される最も下流側面を先頭面W2-3とし、用紙群W2の用紙群搬送方向の最も上流側の用紙Wで構成される最も上流側面を最後尾面W2-4とし、用紙群W2の複数の用紙Wの天面W-3で構成される面を上面W2-5とし、用紙群W2の複数の用紙Wの地面W-4で構成される面を下面W2-6とする。
【0022】
搬送部10は搬送される用紙Wの区分けを行う区分け機構30を備えている。
スタック部20は用紙群W2の幅方向の整列を行う幅方向整列機構40、用紙群W2の天地方向の整列を行う天地方向整列機構50を備えている。
搬送部10および立位部12は、用紙搬送方向と直交する方向の一方に一方の側板15を有し、他方に他方の側板16を有しており、区分け機構30は図示しない取り付け部品を介して一方の側板15と他方の側板16における用紙搬送方向上流側寄りに設けられている。幅方向整列機構40、天地方向整列機構50は図示しない取り付け部品を介して一方の側板15と他方の側板16における用紙搬送方向下流側寄りに設けられている。
【0023】
用紙Wの区分けとは、搬送される用紙Wを任意の枚数ごとに分けることである。
用紙群W2の幅方向の整列とは、用紙群W2の各用紙Wの幅方向一方の面W-1、幅方向他方の面W-2をそれぞれ同じ幅方向位置に揃えて用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1、幅方向他方の側面W2-2をそれぞれ一直線状に整列することである。
用紙群W2の天地方向の整列とは、用紙群W2の各用紙Wの天面W-3、地面W-4をそれぞれ同じ高さ位置に揃えて用紙群W2の上面W2-5、下面W2-6をそれぞれ一直線状に整列することである。
【0024】
図2、3に示すように、搬送部10は、加工装置70の用紙排出部70aから排出された用紙Wを受け取り、立位部12へ向けて倒伏位状態で搬送するための搬送コンベア11で構成されている。
搬送コンベア11は、一方の側板15と他方の側板16における用紙搬送方向上流側部分に亘って設けられた駆動ローラと従動ローラと複数のガイドローラに無端の搬送ベルトを巻き掛け、駆動ローラを図示しないモータにより駆動することで搬送ベルトを回転して用紙Wを搬送するものである。つまり、搬送コンベア11は図示しないモータにより駆動され、モータの駆動の制御により搬送コンベア11の用紙搬送速度が制御される。
搬送コンベア11の用紙搬送速度は、加工装置70から排出される用紙Wの搬送速度、つまり用紙排出速度および用紙Wのサイズに応じて決定される。
【0025】
実施の形態では、加工装置70の用紙排出速度よりも搬送コンベア11の用紙搬送速度を低速にすることで、
図3に示すように加工装置70から搬送コンベア11へ先に排出された用紙Waの搬送方向上流側端(以下後端という)に、後から排出された用紙Wbの搬送方向下流側端(以下先端という)が重なる状態、所謂さしみ状の状態で用紙Wを搬送するようにしている。
搬送される用紙Wの区分けを行う区分け機構30は、一方の側板15と他方の側板16の用紙搬送方向上流側寄りに設けられ、加工装置70から排出される用紙Wを所定の枚数毎に幅方向に移動して用紙Wの幅方向位置をずらすものである。
これにより、
図5に示されるように搬送コンベア11上にさしみ状の状態で並んでいる複数の用紙Wにおける幅方位置がずれている一つの用紙Wcの幅方向一方の面Wc-1が他の用紙Wの幅方向一方の面W-1よりも幅方向に突出した状態とすることで、一つの用紙Wcの幅方向位置を他の用紙Wの幅方向位置とずらすことができる。
【0026】
図5、
図6に基づき区分け機構30を詳細に説明する。
図5は本発明の区分け機構の上面図、
図6は本発明の区分け機構の正面図である。
図5、6に示すように、区分け機構30は、一つの用紙Wの側面をキックして幅方向位置をずらすキック部材31、キック部材31を駆動させるキック部材駆動部32、キック部材31の可動を制御するキック部材制御部33、キック部材31とキック部材駆動部32とキック部材制御部33を保持するキック部材保持部34、キック部材保持部34を両方の側板15、16に取り付けるキック部材取り付け部35を備える。
【0027】
キック部材取り付け部35は、一方の側板15と他方の側板16に用紙搬送方向の位置を調整可能に取り付けてある。
実施の形態では、キック部材取り付け部35は、一方の側板15に固定した一方の取付部材36aの上部に用紙搬送方向にスライドして移動可能に嵌合して取り付けた一方の縦材35aと、他方の側板16に固定した他方の取付部材36bの上部に用紙搬送方向にスライドして移動可能に嵌合して取り付けた他方の縦材35bと、一方の縦材35aと他方の縦材35bとに亘って用紙搬送方向と直交する方向に向けて設けた2本のバー35cと、一方の縦材35aが一方の取付部材36aに沿って移動しないようにロックする一方のロック手段35dと、他方の縦材35bが他方の取付部材36bに沿って移動しないようにロックする他方のロック手段35eとで構成されている。ロック手段35d、35eはハンドル付のボルトで、締め付けることでロックし、弛めることでロック解除する。
【0028】
この構成であるので、両方のロック手段35d、35eのロックを解除することでキック部材取り付け部35を用紙搬送方向に移動することができ、任意の位置でロックすることでキック部材取り付け部35の用紙搬送方向の位置を調整できる。
キック部材保持部34は、キック部材取り付け部35に用紙搬送方向と直交する方向の位置を調整可能に取り付けてある。
実施の形態では、キック部材保持部34は、2本のバー35cに沿って用紙搬送方向と直交する方向にスライドして移動可能な第1縦板34a-1および第2縦板34a-2と、第1縦板34a-1および第2縦板34a-2の下部に設けられている横板34bと、微調整部材34cを備えている。微調整部材34cは2本のバー35cに沿って用紙搬送方向と直交する方向にスライドして移動可能な調整用縦板34c-1と、第1縦板34a-1に螺合し調整用縦板34c-1に回転可能で、かつ用紙搬送方向には移動しないように取り付けられている螺子稈34c-2と、螺子稈34c-2に設けたハンドル34c-3と、調整用縦板34c-1を移動しないようにロックするロック手段34c-4を備え、ロック手段34c-4はハンドル付のボルトを締め付けることで調整用縦板34c-1を2本のバー35cに移動しないようにロックし、弛めることで移動可能となるようにロック解除する。
【0029】
この構成であるので、ロック手段34c-4のロックを解除することで第1縦板34a-1、第2縦板34a-2、調整用縦板34c-1が2本のバー35cに沿って移動可能となるので、手動によりキック部材保持部34を用紙搬送方向と直交する方向に移動してキック部材保持部34の用紙搬送方向と直交する方向の位置を調整できる。
さらに、ロック手段34c-4で調整用縦板34c-1をロックし、ハンドル34c-3で螺子稈34c-2を回転することで第1縦板34a-1が2本のバー35cに沿って移動するので、キック部材保持部34の用紙搬送方向と直交する方向の位置を微調整できる。
キック部材制御部33とキック部材駆動部32は横板34bに設けられている。キック部材駆動部32の可動部分にキック部材31が設けてある。
キック部材駆動部32を駆動することでキック部材31は用紙搬送方向と直交する方向に搬送部10の用紙搬送面と平行に移動する。例えば、キック部材駆動部32をモータの回転を直線往復移動に変換する構成のものとし、その移動部分にキック部材31を設け、モータを回転することでキック部材31が、用紙搬送方向と直交する方向に往復移動する構成である。
【0030】
キック部材保持部34はキック部材取り付け部35とともに用紙搬送方向に移動し、キック部材取り付け部35に対して用紙搬送方向と直交する方向に移動し、そのキック部材保持部34にキック部材制御部33とキック部材駆動部32とキック部材31が設けてあるので、キック部材取り付け部35とともにキック部材31が用紙搬送方向に移動し、キック部材保持部34とともにキック部材31が用紙搬送方向と直交する方向に移動するので、キック部材31の用紙搬送方向の位置および用紙搬送方向と直交する方向の位置を調整できる。
【0031】
このことにより、キック部材31の用紙搬送方向と直交する方向の位置を、用紙Wの幅に応じて調整することで、幅が異なる用紙Wでもキック部材31とキックする用紙Wcの幅方向他方の面Wc-2との用紙搬送方向と直交する方向の位置関係を同じとすることができるから、幅の異なる用紙Wを同様にキックできる。
また、キック部材31の用紙搬送方向の位置を、用紙Wの長さに応じて調整することで、長さが異なる用紙Wでもキックする用紙Wcの幅方向他方の面Wc-2における用紙搬送方向中心をキックすることができるから、長さが異なる用紙Wを同様にキックできる。
したがって、幅が異なる用紙Wでも、長さが異なる用紙Wでも同様にキックして区分けできる。
【0032】
キック部材保持部34の2本のバー35cは、搬送部10の用紙搬送面と平行で、用紙搬送面よりも上方に設けてあるので、キック部材保持部34は搬送部10の搬送面と平行に移動し、どの位置に移動してもキック部材31と搬送部10の用紙搬送面との上下方向の距離は同一であり、キック部材31で用紙Wを同じようにキックできる。
キック部材31の用紙搬送方向の位置、用紙搬送方向と直交する方向の位置を調整する構成はこの構成に限ることはなく、任意な構成とすることができる。
【0033】
図2に示すように、区分け機構30は加工装置70の用紙排出部70aに隣接した位置に設けてあり、キック部材31は加工装置70から排出直後の用紙W、つまり後述する落下途中の用紙Wdをキックするようにしてある。
搬送部10の搬送コンベア11は加工装置70の用紙排出部70aよりも低い位置に設けてあり、搬送部10の用紙搬送面は加工装置70の用紙排出部70aよりも下方に位置し、用紙排出部70aから排出された用紙Wdは搬送部10の用紙搬送面に向けて落下しながら供給され、用紙排出部70aから所定の距離離れた用紙搬送面に接触するように供給される。
【0034】
図5に示すように、キック部材31は、搬送部10の用紙搬送面に向けて落下しながら供給される途中で用紙搬送面に接触していない落下途中の用紙Wdの幅方向他方の面Wd-2における搬送方向中央と対向した位置に設けられている。
落下途中の用紙Wdの幅方向一方の面Wd-1と対向した位置には用紙Wdを受けとめる緩衝部材(図示しない)が設けてある。
そして、所定の枚数目の用紙Wが
図5に示す落下途中の位置まで搬送された時に、区分け機構30のキック部材31を用紙搬送方向と直交する方向の一方に可動し、落下途中の用紙Wdの幅方向他方の面Wd-2における用紙搬送方向中央をキックすることで、落下途中の用紙Wdを用紙搬送方向と直交する方向の一方に向けて平行に移動する。
図5ではキック部材31は落下途中の用紙Wdをキックしていない状態を図示している。
【0035】
キック部材31でキックされた落下途中の用紙Wdは用紙搬送方向と直交する方向の一方に向けて平行に移動しながら用紙搬送方向に搬送され、搬送部10の用紙搬送面に接触するとともに、先端が先行する用紙Wの後端に重なり、幅方向の位置がずれた一つの用紙Wcとなる。なお、キックされた落下途中の用紙Wdは図示しない緩衝部材により受けとめられ用紙搬送方向と直交する方向の一方への移動が規制され所定の位置となるようにしてある。
【0036】
これにより、一つの用紙Wcの幅方向一方の面Wc-1が他の用紙Wの幅方向一方の面W-1よりも用紙搬送方向と直交する方向の一方に突出し、一つの用紙Wcの用紙搬送方向と直交する方向の位置(つまり幅方向位置)を他の用紙Wの用紙搬送方向と直交する方向の位置(つまり幅方向位置)とずらす区分け動作を行うことができる。
また、一つの用紙Wcは平行に移動するので、幅方向の位置がずれた一つの用紙Wcの天面Wc-3、地面Wc-4と他の用紙Wの天面W-3、地面W-4はそれぞれ平行である。
用紙Wの用紙搬送方向中央とは、用紙Wの長さの二分の一の位置である。
【0037】
キック部材31により幅方向の位置がずらされた用紙Wcは、
図3に示すように、スタック部20において立位状態で集積された用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1から突出し、区分けのための突出部W3を形成する。突出部W3により、用紙群W2の所定の枚数で区分けされた個所が目視で確認できるので、用紙群W2を目視確認できるように区分けできる。
したがって、用紙群W2から所定の枚数の用紙Wを簡単に取り出しできる。
【0038】
実施の形態の区分け機構30は、キック部材31が落下途中の用紙Wdの幅方向他方の面Wd-2をキックするので、キックする際にキック部材31が搬送コンベア11に接触することを回避し、キック部材31のキックの動作に不具合が生じることを回避できるので、キック部材31で用紙Wdの幅方向他方の面Wd-2を正確にキックすることができる。
また、落下途中の用紙Wdをキックして用紙搬送方向と直交する方向の一方に移動するので、その用紙Wdが移動する時に搬送部10の用紙搬送面に接触している他の用紙Wに触れて位置をずらすこと回避でき、搬送部10により複数の用紙Wを正しく並んだ状態で搬送することができる。
したがって、用紙Wをスタック部20で立位状態で用紙群W2として集積した際に、位置がずらされた用紙Wc以外の用紙Wの位置がずれた状態の用紙群W2となることを回避できる。
【0039】
また、キック部材31は落下途中の用紙Wdの幅方向他方の面Wd-2の搬送方向中央をキックするので、落下途中の用紙Wdは幅方向に平行移動して幅方向位置がずらされ、用紙搬送方向などの幅方向以外の方向に移動し位置がずれることがないので、位置がずれた用紙Wcの天面Wc-3、地面Wc-4と他の用紙Wの天面W-3、地面W-4がそれぞれ平行で、用紙搬送方向と直交する方向に向かうので、立位部12により立位状態で搬送された各用紙W、Wcの天面W-3、Wc-3の全面が天地方向整列機構50の後述する天地ストッパ51に均等に当接し、折れ曲がることがないから、スタック部20の用紙群搬送方向上流側で用紙が詰まることがなく、スタック部20で用紙Wを立位状態で用紙群W2として集積することができる。つまり、立位状態で搬送される用紙Wの天面W-3が用紙搬送方向と直交する方向に対して斜めであると、天地ストッパ51に当接した時に折れ曲がり、用紙Wがスタック部20の用紙群搬送方向上流側で詰まることがある。
【0040】
また、幅方向の位置がずらされた用紙Wdは用紙搬送方向には位置がずれないので、スタック部20において立位状態となった時に天地方向が干渉することがない。このため用紙Wが立位状態となった時に紙が折れ曲がるなどの不具合を防止できる。
これらのことから、集積される用紙群W2の整列品質を維持できる。
また、立位状態で集積された用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1から突出した突出部W3が用紙群W2の高さ方向に亘って同一の幅で突出した状態(突出長さが上下方向で同じ状態)となり、区分けされた用紙群W2をスタック部20から取り出すときの作業性を向上できる。
【0041】
キック部材31の可動は、キック部材制御部33からの制御により、キック部材駆動部32を制御することで行い、キック部材31が可動するタイミングはキック部材制御部33により制御される。
キック部材31の可動を開始するタイミングを検出するため、
図1に示す加工装置70では、用紙Wを搬送する任意のローラにエンコーダ(図示せず)を設けている。
キック部材制御部33は、エンコーダから出力されるパルス数および用紙Wの長さより算出した、任意の区分けを開始したいタイミングで、キック部材31の可動を開始できる。キック部材31の可動の開始後は、区分けしたい任意の用紙Wの枚数に応じて、用紙Wの長さや搬送速度から算出される一定の時間間隔(周期)でキック部材31の可動を行う。
【0042】
例えば、キック部材31は、加工装置70から排出された用紙Wの枚数が区分けする枚数となった時に、その用紙Wの幅方向他方の面W-2における用紙搬送方向中央をキックするタイミングで次のように可動する。
加工装置70から排出される用紙Wの枚数をカウントする手段(先に述べたエンコーダなど)と、加工装置70から排出される用紙Wの用紙排出速度と用紙Wの長さに基づき用紙Wの排出から用紙Wの搬送方向中央がキック部材31に到達するまでの用紙搬送時間を算出する手段を設け、カウント手段がカウントした用紙Wの枚数が区分けする用紙枚数となった時点から、算出した用紙搬送時間が経過後にキック部材31を可動して落下途中の用紙Wdの幅方向他方の面Wd-2における用紙搬送方向中央をキックする。
キック部材31が可動するタイミングの決め方はこの決め方に限ることはなく、区分けする用紙Wの枚数、用紙Wの長さ、加工装置70の用紙排出速度等により任意に決めることができる。
【0043】
本発明の区分け機構30の他の実施形態を
図7に基づき説明する。
図7は本発明の区分け機構の他の実施の形態を示す上面図である。
図7に示すように、キック部材31よりも用紙搬送方向上流側に用紙Wを検知して情報を読み取る検知装置38を備え、検知装置38の検知結果によりキック部材31が可動するタイミングを制御する構成としてある。検知装置38以外の構成は
図5、
図6に示す区分け機構30と同様であるので説明を省略する。
検知装置38が読み取る情報としては、区分けする用紙W(位置をずらす用紙W)に事前に設けたマークや、用紙Wに印刷されている宛先等の文字情報、印刷のエラーの情報等があげられる。検知装置38が読み取る情報はこれらの例に限定されず任意の情報とすることができる。
【0044】
検知装置38は、加工装置70から排出されて搬送部10の搬送コンベア11に供給される用紙Wがキック部材31に到達する前に、その用紙Wの情報を読み取り、読み取った情報から区分けする用紙Wを決定し、キック部材31を可動するタイミングを決定する。
例えば、検知装置38が読み取った情報からキック部材31を可動するタイミングを決定し、キック部材制御部33に可動の指令を送り、キック部材制御部33がキック部材駆動部32を駆動してキック部材31をキック動作する。
または、検知装置38が読み取った情報をキック部材制御部33に送り、キック部材制御部33がキック部材31を可動するタイミングを決定してキック部材31をキック動作する。
【0045】
この構成の区分け機構30であれば、立位状態スタック装置1の運転を止めることなく、検知結果から自動で区分けする用紙Wを決定してキック部材31をキック動作できるため、作業性や生産性を向上できる。
また、区分けする用紙Wの枚数によりキック部材31を可動するタイミングを決定するのではないので、不規則な枚数で区分けすることができる。
【0046】
図2と
図3に示すように、立位部12は、上ベルト13と下ベルト14で構成されている。上ベルト13と下ベルト14は、一方の側板15と他方の側板16における用紙搬送方向下流側部分に亘って設けられた上下の駆動ローラと上下の従動ローラと複数の上下のガイドローラに亘って巻き掛けられた無端の搬送ベルトで、上下の駆動ローラを図示しないモータにより同期して駆動することで上ベルト13と下ベルト14を同期して回転させて、用紙Wを挟持して搬送するものである。つまり、上ベルト13と下ベルト14は同期して駆動される。
実施の形態では、上ベルト13と下ベルト14は、用紙搬送方向と直交する方向に間隔をおいて複数列で並列に設けられた複数のベルトでそれぞれ構成されている。
【0047】
上ベルト13の下面と下ベルト14の上面が重なり合い、その重なり合った部分で用紙Wを挟持してスタック部20に向けて搬送する。その重なり合った部分は、搬送コンベア11から用紙Wを受け取る用紙受部からスタック部20に用紙Wを渡す用紙渡部に向けて順次高くなるように上向き円弧状に湾曲している。重なり合った部分の用紙受部は搬送コンベア11の上面と同じ高さで、用紙渡部はスタック部20の用紙群搬送面と同じ高さである。
つまり、立位部12(上ベルト13と下ベルト14)は、搬送部10の用紙搬送面(搬送コンベア11の上面)と同じ高さから用紙搬送方向下流側に向かってスタック部20の用紙群搬送面の高さまで順次高くなるように上向き円弧状に湾曲した用紙搬送経路12aを形成する。
【0048】
下ベルト14の上面の用紙搬送方向上流側部は用紙受部(上ベルト13)よりも搬送コンベア11寄りに突出し、下ベルト14の上面の用紙搬送方向下流側部は用紙渡部と同じ高さで、上ベルト13の下面の用紙搬送方向下流側部は下ベルト14よりも上方に垂直に立ち上っており、用紙Wは、搬送コンベア11から下ベルト14の上面の用紙搬送方向上流側部に搬送され、上ベルト13の下面と下ベルト14の上面の間で挟持された状態で搬送される。
用紙Wは、用紙搬送方向下流側から、上ベルト13と下ベルト14によって形成された用紙搬送経路12aに沿って立ち上げられ、立位状態となって立位部12からスタック部20へ搬送される。
【0049】
用紙Wは、用紙搬送経路12aにより先に排出された用紙Waの後端に後から排出された用紙Wbの先端が重なる状態で搬送されているため、先に排出された用紙Waが先に立ち上げられ、その用紙Waの先端が上ベルト13の下面の垂直な立上り部に接し、後端における上ベルト13側の面に、後から送られる用紙Wbの先端が重なった状態で立ち上げられる。
このため、先に立ち上げられた用紙Waは後から送られる用紙Wbに押し出されるように立位部12の用紙搬送経路12aの用紙渡部からスタック部20へ立位状態で搬送され、スタック部20で複数の用紙Wが立位状態で用紙群W2として集積される。
【0050】
図2、
図3に示すように、スタック部20は、立位部12から立位状態で搬送される用紙Wを用紙群W2として集積するスタック部上流側ベルト21およびスタック部下流側ベルト22、用紙群搬送面に沿って用紙群搬送方向に移動可能である用紙ストッパ23、先に述べた幅方向整列機構40と天地方向整列機構50を備えている。用紙群搬送面はスタック部上流側ベルト21の上面およびスタック部下流側ベルト22の上面で構成されている。
なお、
図2、
図3では幅方向整列機構40は後述するジョガー41のみを図示し、それ以外は図示を省略しており、天地方向整列機構50は後述する天地ストッパ51のみを図示し、それ以外は図示を省略している。
【0051】
スタック部上流側ベルト21は、駆動ローラと従動ローラと複数のガイドローラに巻き掛けした無端の搬送ベルトで、立位部12の用紙搬送経路12aの用紙渡部に隣接して設けられており、駆動ローラを図示しないモータで駆動することで回転し、用紙群W2をスタック部下流側ベルト22に向けて搬送する。スタック部上流側ベルト21は、モータを駆動制御することにより立位部12からの用紙Wの供給される速度に応じた用紙群搬送速度で駆動される。
スタック部下流側ベルト22は、駆動ローラと従動ローラと複数のガイドローラに巻き掛けした無端の搬送ベルトで、スタック部上流側ベルト21の用紙群搬送方向下流側に隣接して設けられ、駆動ローラを図示しないモータで駆動することで回転し、用紙群W2を搬送する。スタック部下流側ベルト22は、モータを駆動制御することにより立位部12からの用紙Wの供給される速度に応じた用紙群搬送速度で駆動される。
【0052】
スタック部上流側ベルト21の搬送ベルト上面とスタック部下流側ベルト22の搬送ベルト上面は同一高さで連続し、スタック部上流側ベルト21とスタック部下流側ベルト22とで用紙群搬送面を構成している。
スタック部上流側ベルト21の用紙群W2を搬送する距離は短く、スタック部下流側ベルト22の用紙群W2を搬送する距離はスタック部上流側ベルト21の用紙群W2を搬送する距離よりも長い。
実施の形態では、スタック部上流側ベルト21とスタック部下流側ベルト22は、用紙群搬送方向と直交にする方向に間隔をおいて複数列で並列に設けられた複数のベルトでそれぞれ構成されている。
【0053】
立位部12から立位状態でスタック部20に搬送された用紙Wはスタック部上流側ベルト21に向けて順次搬送され、最初に搬送された先頭の用紙Wの搬送方向前面が用紙ストッパ23に当接し、その状態でスタック部20への用紙Wの供給に伴って用紙ストッパ23が用紙群搬送方向下流側に移動し、立位部12の上ベルト13における下ベルト14よりも上方の垂直な立上り部(用紙搬送経路12aの用紙渡部よりも上方の部分)と用紙ストッパ23との間で用紙Wが立位状態で集積された用紙群W2を形成する。
用紙群W2は、上述の区分け機構30により区分けのために幅方向位置がずらされた一つの用紙Wcが、用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1から突出した突出部W3を形成して集積され、最初に搬送された先頭の用紙Wの搬送方向前面が用紙群W2の先頭面W2-3である。
【0054】
スタック部20で集積された用紙群W2は、幅方向整列機構40および天地方向整列機構50により用紙幅方向および用紙天地方向に整列され、その整列した状態でスタック部下流側ベルト22により用紙群搬送方向下流側に搬送され、同時に用紙ストッパ23も用紙群搬送方向下流側に移動する。
用紙ストッパ23は、用紙群搬送面に沿って用紙群搬送方向上流側に向けて小さな力でスムーズに移動し、用紙群搬送面に沿って用紙群搬送方向下流側に向けては小さな力では移動せずに大きな力を加えることで移動する構成としてある。
例えば、一方向クラッチにより一方向には回転し、他方向には回転しないローラを用紙ストッパ23に取り付け、そのローラをスタック部下流側ベルト22の上面に載置し、用紙ストッパ23を用紙群搬送方向上流側に向けて移動するとローラに一方向に回転する力が作用し、用紙ストッパ23を用紙群搬送方向下流側に向けて移動するとローラに他方向に回転する力が作用するように構成する。
【0055】
この構成とすることで、用紙ストッパ23を用紙群搬送方向上流側に向けて移動するときには、ローラが一方向に回転するので小さな力で移動し、用紙ストッパ23を用紙群搬送方向下流側に向けて移動するときには、ローラが他方向に回転せずにスタック部下流側ベルト22の上面を滑りながら移動するので、大きな力を加えなければならない。
これにより、用紙ストッパ23が、立位部12から搬送される先頭の用紙Wの搬送方向前面に当接した状態で、スタック部20への用紙Wの供給に伴って用紙群搬送方向下流側に用紙群搬送面に沿って移動する際には、大きな力を必要とするので、用紙群W2の先頭面W2-3が用紙ストッパ23に押しつけられ、立位部12の上ベルト13の下面の垂直な立上り部と用紙ストッパ23との間で複数の用紙Wが押し付け合ったしっかりとした状態で集積され、用紙群W2の突出部W3間の区分けした枚数の用紙Wを崩れることなく容易に取り出しできる。
【0056】
また、用紙群W2から区分けした枚数の用紙を取り出した後には、先の説明と同様にしっかりとした状態で集積できるようにするために用紙ストッパ23を用紙群搬送方向上流側に移動して残存している用紙群W2の先頭面W2-3に押しつけるが、用紙ストッパ23はローラが回転するので容易に用紙群搬送方向上流側に移動することができ、用紙ストッパ23を用紙群W2の先頭面W2-3に簡単に押しつけできる。
【0057】
スタック部下流側ベルト22の用紙群搬送速度を、スタック部上流側ベルト21の用紙群搬送速度よりも速くして正常な用紙集積ができるようにしている。
すなわち、立位部12の上ベルト13における下ベルト14よりも上方の垂直部と用紙ストッパ23との間で用紙Wが集積されて用紙群W2を形成していくが、用紙群W2の用紙群搬送方向の長さが長くなると用紙群W2の用紙群搬送方向下流側の用紙Wの重さが用紙群搬送方向上流側の用紙Wにかかってしまい、立位部12の上ベルト13と下ベルト14の間の用紙搬送経路12aから上方に搬送される用紙Wが、後述する天地ストッパ51に当たる前に用紙群W2の用紙群搬送方向の最も上流側の用紙W(用紙群W2の最後尾面W2-4となる用紙)との摩擦により止まってしまい、正常な用紙集積ができなくなってしまう。
【0058】
このことを解消して正常な用紙集積ができるようにするために、立位部12に隣接するスタック部上流側ベルト21の用紙群搬送速度よりも、スタック部上流側ベルト21の用紙群搬送方向下流側に位置するスタック部下流側ベルト22の用紙群搬送速度を速くすることで、用紙群W2の用紙群搬送方向下流側(用紙ストッパ23側)の用紙Wが用紙群搬送方向上流側(立位部12側)の用紙Wよりも速く移動し、用紙群搬送方向下流側の用紙Wの重さが用紙群搬送方向上流側の用紙Wにかからないようにして、後述する天地ストッパ51に当たる前に用紙群W2の最後尾面W2-4となる用紙Wとの摩擦により用紙Wが止まらないようにしている。
【0059】
図8、
図9に基づいて幅方向整列機構40を詳細に説明する。
図8は本発明の幅方向整列機構の上面図、
図9は本発明の幅方向整列機構の正面図である。なお、
図8、
図9では天地方向整列機構50は図示が省略されている。
図8、
図9に示すように、幅方向整列機構40は、スタック部20の立位部12寄りに設けてあり、スタック部20で集積された用紙群W2の用紙群搬送方向と直交する方向(
図9で用紙群搬送方向正面から見て左右方向)の整列、つまり用紙群W2の幅方向の整列を行う。
幅方向整列機構40は、用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩いて用紙群W2を幅方向に整列させるジョガー41、ジョガー41を駆動させるジョガー駆動部42、ジョガー41と対向して設けられ用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2に当接するストッパプレート43、ストッパプレート43を振動させる幅方向整列用エアバイブレーター44、用紙群W2の突出部W3を検知するためのセンサ45、ジョガー41の動作を制御するジョガー制御部46、ジョガー取り付け部47、ストッパプレート取り付け部48で構成される。
【0060】
ジョガー41は板状で、スタック部20の用紙群搬送方向と直交する方向の一方寄りに設けてあり、ジョガー駆動部42により用紙群搬送面に平行かつ用紙群搬送方向と直交する方向に可動されることで、用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩いて、用紙群W2を幅方向に整列させる。
ジョガー41が叩く用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1は、用紙群W2の突出部W3が形成される面である。
つまり、ジョガー41は用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩くことで用紙群W2を幅方向に整列させる整列動作を行う部材で、用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩く面は平面で用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を損傷しないようにしてある。
【0061】
実施の形態では、ジョガー41はスタック部上流側ベルト21の用紙群搬送面よりも上方の位置に設けられ、スタック部上流側ベルト21により搬送される用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩いて幅方向に整列する。
この構成により、立位状態で集積された直後の用紙群W2を幅方向に整列し、幅方向に整列した状態の用紙群W2をスタック部下流側ベルト22で搬送するので、スタック部20の用紙群搬送方向下流側にはジョガー41が存在しないので、用紙群W2の突出部W3により区分けされている複数枚の用紙Wを取り出す時にジョガー41が邪魔にならず用紙取出し作業がやり易い。
【0062】
ジョガー取り付け部47は、一方の側板15に設けた固定部47aと、固定部47aに用紙群搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられた2本のバー47bからなる移動部と、移動部である2本のバー47bを任意の位置で固定するボルトなどの固定手段47cを備えている。
ジョガー41を可動するジョガー駆動部42は、ジョガー取り付け部47の移動部である2本のバー47bに跨って取り付けられたエアシリンダーで、そのエアシリンダーの2本のピストンロッド42aが用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1に向かい、2本のピストンロッド42aの先端に板状のジョガー41が取り付けてあり、ジョガー41をジョガー駆動部42とともに用紙群搬送方向と直交する方向に移動できる。
この構成により、ジョガー41は用紙群W2の幅方向に移動することができるので、搬送する用紙群W2の幅に応じてジョガー41の用紙群W2の幅方向の位置を調整することで、幅の異なる用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を同様に叩くことができる。
【0063】
2本のピストンロッド42aを伸長動作することでジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1に当接する当接位置に移動し、2本のピストンロッド42aを縮小動作することでジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1から離れる離隔位置に移動する。離隔位置に移動したジョガー41は、用紙群W2の突出部W3よりも用紙群搬送方向と直交する方向の一方寄りに位置し、用紙群W2が搬送されても突出部W3と干渉しない。つまりこの実施の形態では離隔位置と、後述する突出部回避位置が同一である。
2本のピストンロッド42aを伸縮動作してジョガー41を当接位置と離隔位置の間を移動することで、ジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩くことができ、この動作が整列動作である。
なお、ジョガー駆動部42はエアシリンダーに限ることはなく、ジョガー41を用紙群W2の幅方向に往復移動して当接位置と離隔位置とに移動できる構成のものであればよい。
【0064】
ストッパプレート43は、スタック部20の立位部12寄りで用紙群搬送方向と直交する方向の他方寄りの位置に、ジョガー41と対向して用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2に当接するように設けられた板状の部材であり、ジョガー41により叩かれた用紙群W2を受け止め、用紙群W2を幅方向他方に移動しないように支持する。
ストッパプレート43が当接する用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2は突出部W3が形成されない面であり、ストッパプレート43は用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2に当接する位置に設置され、整列動作時に用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2から離隔する方向に移動させることはない。
【0065】
つまり、ストッパプレート43はジョガー41で叩かれる側面と反対側の側面に接して用紙群W2を幅方向に支持するものである。
ストッパプレート43は用紙群搬送方向に長い板状で、用紙群W2の側面に当接する面は用紙群搬送方向に長い平面であるから、用紙群W2を幅方向に確実に支持できる。
ストッパプレート43は、用紙群W2を整列させるため、幅方向整列用エアバイブレーター44により振動する。ストッパプレート43の振動数は、幅方向整列用エアバイブレーター44に流入するエアの流量で制御できる。ストッパプレート43の振動数は、用紙Wの種類等に応じて適宜設定される。
【0066】
ストッパプレート取り付け部48は、他方の側板16に設けた固定部48aと、固定部48aに用紙群搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられた2本のバー48bからなる移動部と、移動部である2本のバー48bを任意の位置で固定するボルトなどの固定手段48cを備えている。
ストッパプレート43は2本のバー48bからなる移動部に設けてあり、2本のバー48bからなる移動部とともに用紙群搬送方向と直交する方向に移動可能で、固定手段48cにより2本のバー48bからなる移動部を固定することでストッパプレート43を任意の位置で固定できる。
幅方向整列用エアバイブレーター44はストッパプレート43に取り付けしてある。
この構成により、ストッパプレート43は用紙群W2の幅方向に移動することができるので、搬送する用紙群W2の幅に応じてストッパプレート43の用紙群W2の幅方向の位置を調整することで、幅の異なる用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2にストッパプレート43を同様に当接することができる。
【0067】
この実施の形態のスタック部20によれば、用紙群W2は、幅方向整列機構40の用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1に平行なジョガー41と、用紙群W2の幅方向他方の側面W2-2に平行なストッパプレート43の間で、ジョガー41が幅方向一方の側面W2-1を叩くことで挟持され、用紙群幅方向に整列されて用紙群搬送方向下流側へ送られる。
ジョガー41は用紙群W2の突出部W3が形成されている側面である幅方向一方の側面W2-1を叩くため、用紙群W2が突出部W3により区分けされた状態で搬送されるとジョガー41が突出部W3と干渉して突出部W3を損傷したり、用紙群W2を幅方向に整列できないことがあるので、区分けされた用紙群W2の場合には、ジョガー41が用紙群W2の突出部W3を回避する必要がある。
【0068】
このため、本発明の幅方向整列機構40は突出部W3を検知するセンサ45を備える。ジョガー41は、センサ45の検知結果に基づいて、ジョガー制御部46により可動が制御される。
ジョガー制御部46は、ジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩く位置を突出部W3が通過する間(つまり、突出部W3がジョガー41を通過する間)は、突出部W3と干渉しない位置(つまり突出部回避位置)で停止し突出部W3を回避するようにジョガー41を制御する。
【0069】
実施の形態では、センサ45は
図8、
図9に示すように、ジョガー取り付け部47の2本のバー47bからなる移動部のセンサ取り付け用ブラケット47dに設けた上流側センサ45aと下流側センサ45bを備えている。
上流側センサ45aは、ジョガー41よりも用紙群搬送方向上流側で、ジョガー41に接近した位置の突出部W3を検出する。つまり上流側センサ45aはジョガー41を通過開始しようとしている突出部W3を検出する。
下流側センサ45bは、ジョガー41よりも用紙群搬送方向下流側で、ジョガー41に接近した位置の突出部W3を検出する。つまり下流側センサ45bはジョガー41を通過終了した突出部W3を検出する。
【0070】
ジョガー制御部46は、スタック部20で用紙群W2の集積が開始されてから上流側センサ45aが突出部W3を検知するまでは、ジョガー41の用紙群W2を幅方向に整列させる幅方向の整列動作を実行する。この幅方向の整列動作は、先に述べたジョガー駆動部42の2本のピストンロッド42aを伸長動作、縮小動作してジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1に当接する当接位置と、用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1から離隔する離隔位置の間を移動して用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩く動作である。
ジョガー制御部46は、幅方向の整列動作中に上流側センサ45aが突出部W3を検知した場合、ジョガー駆動部42の2本のピストンロッド42aを縮小動作しジョガー41を離隔位置(この離隔位置は突出部W3と干渉しない位置である)に移動して停止させ、幅方向の整列動作を中断する。
ジョガー制御部46は、幅方向の整列動作の中断後、下流側センサ45bが突出部W3を検知した場合、ジョガー41の幅方向の整列動作を再開する。
【0071】
このように、ジョガー41はジョガー制御部46の制御により、突出部W3と干渉することがないように突出部W3を回避して、突出部W3が設けられる用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩いて幅方向に整列させることができるので、突出部W3を損傷することがなく、突出部W3で区分けされた用紙群W2を幅方向に整列できる。
上流側センサ45a、下流側センサ45bを使用した場合には、用紙群W2の搬送速度や区分けされる用紙Wの枚数に関係なく、上流側センサ45a、下流側センサ45bの検知結果のみで突出部W3がジョガー41と干渉する位置にあるかを判断できる。
よって、上流側センサ45a、下流側センサ45bを使用する場合には、ジョガー制御部46は検知結果に応じてジョガー41の離隔位置での停止、幅方向の整列動作の再開を行うのみであり、複雑な構成や制御を用いることなく、ジョガー41による突出部W3が設けられた用紙群W2の幅方向の整列を実施できる。
【0072】
センサ45は、上流側センサ45aのみとして次のように制御してもよい。
スタック部20の用紙群搬送速度、ジョガー41の用紙群搬送方向の長さなどにより突出部W3がジョガー41を通過するに要する時間を算出してジョガー制御部46に入力する。
ジョガー制御部46は、スタック部20で用紙群W2の集積が開始されてから上流側センサ45aが突出部W3を検知するまでは、ジョガー41の用紙群W2を幅方向に整列させる幅方向の整列動作を実行する。
上流側センサ45aの突出部W3の検出によりジョガー41を離隔位置で停止して幅方向の整列動作を中止する。
この後、通過に要する時間が経過したらジョガー駆動部42の2本のピストンロッド42aを伸長動作、縮小動作してジョガー41を当接位置、離隔位置に移動して用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩く幅方向の整列動作を再開する。
【0073】
この実施の形態では、ジョガー41の整列動作において、ジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1から離れる離隔位置と突出部W3を回避する突出部回避位置が同一であるので、ジョガー駆動部42は、ジョガー41が幅方向一方の側面W2-1を叩く当接位置と離間位置の2箇所に可動する制御ができればよいので、エアシリンダーのような簡易な構成でジョガー41の整列動作を実施できる。このため、ジョガー駆動部42の構成を安価にし、制御も容易に行うことができる。
これに限ることはなく、ジョガー41が突出部W3と干渉しない突出部回避位置と幅方向一方の側面W2-1を叩くときに幅方向一方の側面W2-1から離れる離間位置を別の位置とすることができる。
【0074】
例えば、ジョガー41の離隔位置を突出部W3と干渉する位置とし、離隔位置よりも用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1と離隔し突出部W3と干渉しない位置を突出部回避位置とする。
または、当接位置と離隔位置に移動するジョガー41を上方に移動して突出部W3に干渉しない突出部回避位置に移動する。例えば、ジョガー取り付け部47を一方の側板15に横向き姿勢と縦向き姿勢とに亘って上下方向に回動するように取り付け、ジョガー取り付け部47を横向き姿勢とすることでジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1と対向して幅方向の整列動作ができ、ジョガー取り付け部47を縦向き姿勢とすることでジョガー41が用紙群W2よりも上方の位置に移動して突出部W3を回避する位置となるようにする。
すなわち、当接位置と離隔位置に移動して幅方向の整列動作するジョガー41を、突出部回避位置に移動できる構成とする。
【0075】
この構成とした場合、ジョガー41の整列動作中には、ジョガー41を突出部回避位置に移動しないので、ジョガー41の離隔位置を調整可能としてジョガー41が用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩く動作を任意に設定することできる。
例えば、ジョガー41の離隔位置を当接位置に近い位置としてジョガー41の移動距離を短くすることで、ジョガー41の単位時間当たりの移動回数が多く、叩く力が小さな叩く動作となり、ジョガー41の離隔位置を当接位置から遠い位置としてジョガー41の移動距離を長くすることで、ジョガー41の単位時間当たりの移動回数が少なく、叩く力が大きな叩く動作となる。
また、ジョガー41を移動する速度を調整して幅方向一方の側面W2-1を叩く度合いを調整できるようにしてもよい。
このように、用紙群W2の整列の状態に応じて用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩く動作の調整が可能であるため、整列品質をより向上させることができる。
【0076】
図10に基づいて天地方向整列機構50を詳細に説明する。
図10は本発明の天地方向整列機構の側面図である。
図10に示すように、天地方向整列機構50は、用紙群W2の上面W2-5を整列させる天地ストッパ51および駆動ローラ52、天地ストッパ51を振動させる天地整列用エアバイブレーター53、駆動ローラ52の回転を制御するローラ駆動用モータ54、天地方向整列機構50の各部材を保持する天地方向整列機構保持部55で構成される。天地方向整列機構50は、スタック部20で集積された用紙群W2の天地方向の整列を行う。
【0077】
天地ストッパ51は、スタック部上流側ベルト21の用紙群W2を搬送する部分の上方の位置に設けられ、天地ストッパ51の用紙群搬送方向の長さはスタック部上流側ベルト21の用紙群搬送長さより僅かに長く、立位部12の用紙搬送経路12aの用紙渡部から立位状態で上方に搬送される用紙Wの天面W-3が天地ストッパ51に当たり受け止め、その用紙Wがスタック部上流側ベルト21に送られて用紙群W2を集積する。
集積された用紙群W2の下面W2-6はスタック部上流側ベルト21の上面(用紙群搬送面)に接し、上面W2-5が天地ストッパ51の下面を滑りながらスタック部下流側ベルト22に向けて搬送される。これにより用紙群W2はスタック部上流側ベルト21と天地ストッパ51とで天地方向に整列される。
【0078】
また、天地ストッパ51は、スタック部20に集積される用紙群W2の天地方向の整列のため、天地整列用エアバイブレーター53により振動する。天地ストッパ51の振動数は、天地整列用エアバイブレーター53に流入するエアの流量で制御できる。天地ストッパ51の振動数は、用紙Wの種類等に応じて適宜設定される。
駆動ローラ52は、天地ストッパ51の用紙群搬送方向下流側端部よりも用紙群搬送方向下流側で、スタック部下流側ベルト22の用紙群搬送方向上流側部と対向した位置に設けられ、駆動ローラ52はスタック部20に集積される用紙群W2の天地方向の整列のため、用紙群W2の上面W2-5に当接している。
【0079】
駆動ローラ52は、ローラ駆動用モータ54によって回転駆動され、用紙群W2を用紙群搬送方向下流側へ送るように回転する。駆動ローラ52の回転速度は、スタック部下流側ベルト22の回転速度と同じで、駆動ローラ52の用紙群搬送速度とスタック部下流側ベルト22の用紙群搬送速度は同じであり、用紙群W2は駆動ローラ52で上面W2-5を押えられながら搬送されるとともにスタック部下流側ベルト22により搬送される。
この構成により、用紙群W2の上部に駆動ローラ52による搬送力で用紙群搬送方向下流側に向かう負荷がかかることにより、用紙群W2の用紙群搬送方向下流側の用紙Wの重さが用紙群搬送方向上流側にかかることが軽減する。駆動ローラ52の表面には、用紙群W2との摩擦力を上げるためシリコンゴム等を巻き付ける構成としてもよい。
【0080】
天地方向整列機構保持部55は、一方の側板15と他方の側板16の間に上下方向に位置調節可能に設けられている保持部56と、保持部56を上下に移動して位置を調整する位置調節部57で構成されている。位置調節部57は、一方の側板15と他方の側板16に亘って設けた横材57aに螺子稈57bを上下動せずに回転可能に設け、その螺子稈57bを保持部56に螺合し、ハンドル57cで螺子稈57bを回転することで保持部56が上下方向に移動するようにし、その螺子稈57bを取手付ボルトなどのロック手段57dでロックすることで螺子稈57bを回転しないようにして保持部56を上下方向に移動しないようにロックする構成である。
位置調節部57は、この構成に限ることがなく任意の構成とすることができる。
【0081】
そして、天地ストッパ51、駆動ローラ52、天地整列用エアバイブレーター53、ローラ駆動用モータ54は天地方向整列機構保持部55の保持部56に設けられている。
この構成の天地方向整列機構50によれば、天地方向整列機構保持部55の保持部56の上下方向の位置を位置調節部57で調節することで、天地ストッパ51、駆動ローラ52を上下方向に移動して上下方向の位置を調節できるので、用紙群W2の高さ(用紙Wの長さ)に応じて保持部56の上下方向の位置を位置調節部57で調節することで、天地ストッパ51、駆動ローラ52を高さの異なる用紙群W2の高さに合わせることができる。
スタック部20に集積され幅方向および天地方向が整列された用紙群W2はスタック部下流側ベルト22により搬送される。
【0082】
加工装置70から排出された用紙Wを立位状態で用紙群W2と集積する一連の動作を説明する。
加工装置70から排出された用紙Wは搬送部10によりさしみ状の状態で立位部12に搬送される。搬送部10に設けた区分け機構30で搬送される一つの用紙Wcを幅方向一方にキックして幅方向位置をずらして区分け動作をする。
立位部12で用紙Wを立ち上げながらスタック部20に向けて搬送し、用紙Wを立位状態でスタック部20に供給する。スタック部20は、搬送された立位状態の用紙Wを区分けのための突出部W3を有する用紙群W2として集積するとともに、幅方向整列機構40、天地方向整列機構50によって幅方向、天地方向がそれぞれ整列される。
【0083】
幅方向整列機構40は、ジョガー41で用紙群W2の幅方向一方の側面W2-1を叩くことで整列し、用紙群W2の突出部W3を検知し、ジョガー制御部46でジョガー41を突出部W3を回避する位置に移動できる構成であるから、区分けのための突出部W3を有した用紙群W2の整列品質を維持できる。
また、用紙群W2の突出部W3を上流側センサ45a、下流側センサ45bを使用して検出する構成であるから、用紙群W2の搬送速度や区分けされる用紙枚数によらず、上流側センサ45a、下流側センサ45bの検知結果のみでジョガー41を突出部W3を回避する位置に移動でき、ジョガー制御部46は検知結果に応じてジョガー41を制御するのみであり、複雑な構成や制御を用いることなく、ジョガー41による突出部W3が設けられた用紙群W2の幅方向の整列を実施できる。
【符号の説明】
【0084】
1…立位状態スタック装置、10…搬送部、12…立位部、13…上ベルト、14…下ベルト、20…スタック部、21…スタック部上流側ベルト、22…スタック部下流側ベルト、23…用紙ストッパ、30…区分け機構、31…キック部材、38…検知装置、40…幅方向整列機構、41…ジョガー、43…ストッパプレート、45…センサ、45a…上流側センサ、45b…下流側センサ、46…ジョガー制御部、50…天地方向整列機構、51…天地ストッパ、52…駆動ローラ、70…加工装置、70a…用紙排出部、W…用紙、W-1…幅方向一方の面、W-2…幅方向他方の面、W-3…天面、W-4…地面、W2…用紙群、W2-1…幅方向一方の側面、W2-2…幅方向他方の側面、W3…突出部。