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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154120
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】浴室暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 15/00 20220101AFI20241023BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241023BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241023BHJP
   F24D 19/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F24F7/06 B
F24F13/02 G
F24D19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067767
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 尚史
【テーマコード(参考)】
3L058
3L072
3L073
3L080
【Fターム(参考)】
3L058BE05
3L058BG01
3L072AB06
3L072AB10
3L072AF01
3L072AF03
3L072AG05
3L073BB01
3L073BB07
3L080AE05
(57)【要約】
【課題】浴室30の湿度が高くても脱衣室40を暖房できる浴室暖房システム1を提供する。
【解決手段】 浴室暖房システム1は、浴室30内の空気を暖める浴室暖房機10と、浴室暖房機10から供給された浴室30内の空気を脱衣室40に導く送風ダクト20とを備え、
浴室暖房機10は、浴室30内の空気を吸い込み浴室30と送風ダクト40との一方あるいは双方に送風する循環ファン15と、循環ファン15による送風先を切り換える上流側ダンパ17とを備え、
送風ダクト20は、脱衣室40の床下に設置された床下ダクト20eを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を暖める浴室暖房機と、前記浴室暖房機から供給された前記浴室内の空気を脱衣室に導く送風ダクトとを備え、
前記浴室暖房機は、前記浴室内の空気を吸い込み前記浴室と前記送風ダクトとの一方あるいは双方に送風する循環ファンと、前記循環ファンによる送風先を切り換える上流側ダンパとを備え、
前記送風ダクトは、前記脱衣室の床下に設置された床下ダクトを備える浴室暖房システム。
【請求項2】
前記上流側ダンパを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記循環ファンによって吸い込まれた空気を前記浴室に流すように前記上流側ダンパを制御する請求項1記載の浴室暖房システム。
【請求項3】
前記送風ダクトは、下流側に設けられた下流側ダクトを備え、
前記下流側ダクトには、前記下流側ダクトに到達した空気に対し前記浴室暖房機に戻すか屋外に排気するかを切り換える下流側ダンパが設けられている請求項1記載の浴室暖房システム。
【請求項4】
前記上流側ダンパおよび前記下流側ダンパを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記循環ファンによって吸い込まれた空気を前記送風ダクトに流すように前記上流側ダンパを制御すると共に、前記下流側ダクトに到達した空気を屋外に排気するように前記下流側ダンパを制御する請求項3記載の浴室暖房システム。
【請求項5】
前記浴室と前記脱衣室との間に設けられ、前記脱衣室から前記浴室に給気を行うガラリを更に備える請求項4記載の浴室暖房システム。
【請求項6】
前記上流側ダンパおよび前記下流側ダンパを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記循環ファンによって吸い込まれた空気を前記浴室と前記送風ダクトとの双方に流すように前記上流側ダンパを制御すると共に、前記下流側ダクトに到達した空気を前記浴室暖房機に戻すように前記下流側ダンパを制御する請求項3記載の浴室暖房システム。
【請求項7】
前記浴室の温度を検出する浴室温度センサと、前記脱衣室の温度を測定する脱衣室温度センサとを更に備え、
前記制御部は、前記浴室温度センサが検出した浴室温度が目標温度より低い場合、前記送風ダクトへの送風量に比べて前記浴室への送風量が多くなるように前記上流側ダンパを調整し、
前記制御部は、前記浴室温度センサが検出した浴室温度が前記目標温度以上の場合、前記浴室温度センサが検出した浴室温度から前記脱衣室温度センサが検出した脱衣室温度を減算し、減算により得られた前記浴室と前記脱衣室との温度差が目標温度差以上の場合に前記浴室への送風量に比べて前記送風ダクトへの送風量が多くなるように前記上流側ダンパを調整する請求項6記載の浴室暖房システム。
【請求項8】
前記送風ダクトは、前記浴室と前記脱衣室との間の壁内に設置された壁内ダクトを備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の浴室暖房システム。
【請求項9】
前記床下ダクトは、前記脱衣室の床面に対して、U字状、O字状、およびM字状のいずれかの形状に配置された請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の浴室暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴室と脱衣室を暖房できる浴室暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
寒い脱衣室から暖かい浴室に入室した際の室温の急激な変化により、利用者の血圧が急峻に変動し、身体に大きな負担を掛ける、いわゆるヒートショックと呼ばれる現象が知られている。このヒートショックを防止するため、浴室と脱衣室の両方を暖房し、室温の急激な変化を抑制する浴室暖房システムが、従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された従来の浴室暖房システムは、浴室と脱衣室の間にガラリを設け、浴室の暖かい空気を、ガラリを介して脱衣室に流入させることにより、浴室と脱衣室の両方の暖房を実現していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-333071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の浴室暖房システムは、浴槽のお湯張りなどにより浴室の湿度が高くなった場合、脱衣室の湿度上昇を防ぐためにガラリを閉じていた。このため、従来の浴室暖房システムは、浴室の湿度が高くなると、脱衣室を暖房できないといった課題を有していた。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、浴室の湿度が高くても脱衣室を暖房できる浴室暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る浴室暖房システムは、浴室内の空気を暖める浴室暖房機と、浴室暖房機から供給された浴室内の空気を脱衣室に導く送風ダクトとを備え、浴室暖房機は、浴室内の空気を吸い込み浴室と送風ダクトとの一方あるいは双方に送風する循環ファンと、循環ファンによる送風先を切り換える上流側ダンパとを備え、送風ダクトは、脱衣室の床下に設置された床下ダクトを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る浴室暖房システムは、浴室の湿度が高くても脱衣室を暖房できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る浴室暖房システムの構造を示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る浴室暖房システムの構造を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る浴室暖房システムの外観を示す平面図である。
図4】浴室暖房機の構造を示す断面図である。
図5】浴室暖房機の構造を示す断面図である。
図6】浴室暖房機の外観を示す平面図である。
図7】送風ダクトの構造を模式的に示す図である。
図8】床下ダクトの形状の別の例を示す平面図である。
図9】床下ダクトの形状の別の例を示す平面図である。
図10】浴室暖房モードによる浴室暖房システムの動作を模式的に示す図である。
図11】換気モードによる浴室暖房システムの動作を模式的に示す図である。
図12】2室暖房モードによる浴室暖房システムの動作を模式的に示す図である。
図13】2室暖房モードにおける上流側ダンパの制御手順を示すフローチャートである。
図14】実施の形態1に係る浴室暖房システムが有する制御部のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
実施の形態1.
図1および図2は、実施の形態1に係る浴室暖房システム1の構造を示す断面図である。図3は、実施の形態1に係る浴室暖房システム1の外観を示す平面図である。なお、図1は、図3のI-I線に沿って切断した断面図として図示されている。また、図2は、図3のII-II線に沿って切断した断面図として図示されている。
【0010】
図1から図3に示すように、浴室暖房システム1は、浴室30内の空気を暖める浴室暖房機10と、浴室暖房機10から供給された浴室30内の空気を脱衣室40に導く送風ダクト20とを備えている。浴室暖房機10は、直方体形状を有し、浴室30の天井裏に設置されている。浴室暖房機10の底面には、浴室30内の空気を吸い込む吸込口11と、吸い込んだ空気を浴室30内に吹き出す吹出口12とが設けられている。また、浴室暖房機10の側面のうち脱衣室40側の側面10aには、吸込口11から吸い込まれた空気を送風ダクト20に送り出す送出口13が設けられている。さらに、浴室暖房機10の側面のうち側面10aに直交する側面10bには、送風ダクト20を流れる空気を引き戻して循環させる循環口14が設けられている。
【0011】
送風ダクト20は、上流側の端部に設けられた上流側ダクト20aと、下流側の端部に設けられた下流側ダクト20bとを備えている。上流側ダクト20aの先端は、送出口13に接続されている。また、下流側ダクト20bには開口21が設けられ、この開口21が循環口14に接続されている。下流側ダクト20bの先端には、下流側ダクト20bに到達した空気を屋外に排気する排気口22が設けられている。
【0012】
さらに、下流側ダクト20bには、下流側ダンパ23が内蔵されている。下流側ダンパ23は、下流側ダクト20bに到達した空気を循環口14から浴室暖房機10に戻すか、あるいは排気口22から屋外に排気するかを切り換える。
具体的には、下流側ダンパ23は、板状に形成され、基端部に設けられた軸を中心に回転可能である。下流側ダンパ23は、例えばステッピングモータのような駆動手段(図示せず)によって駆動される。下流側ダンパ23は、下流側ダクト20b内において排気口22に向かう風路を閉鎖する位置、または下流側ダクト20b内において循環口14に向かう風路を閉鎖する位置まで回転することができる。これにより、下流側ダンパ23は、下流側ダクト20bに到達した空気を、浴室暖房機10と排気口22とのいずれか一方に流すことができる。
【0013】
浴室30には、浴槽31と浴室リモコン32とが設けられている。利用者は、浴室リモコン32を操作して、湯張り、追い焚き等の操作が行える。浴室リモコン32には、浴室30の温度を検出する浴室温度センサ33が内蔵されている。脱衣室40は、浴室30の隣に設置されている。脱衣室40の浴室30側の壁には、利用者が脱衣室40から浴室30に入るためのドア41と、脱衣室リモコン42が設けられている。利用者は、脱衣室リモコン42を操作して、湯張り、追い焚き等の操作が行える。脱衣室リモコン42には、脱衣室40の温度を検出する脱衣室温度センサ43が設けられている。また、ドア41には、脱衣室40から浴室30に給気を行うガラリ44が設けられている。
なお、ガラリ44とは、室内の様子が外部に見えないようにしつつ換気を行う通気口をいう。また、ガラリ44の代わりにダンパを用いてもよい。
【0014】
図4および図5は、浴室暖房機10の構造を示す断面図である。図6は、浴室暖房機10の外観を示す平面図である。なお、図4は、図6のIV-IV線に沿って切断した断面図として図示されている。また、図5は、図6のV-V線に沿って切断した断面図として図示されている。図4から図6に示すように、浴室暖房機10の内部には、循環ファン15と、ヒーター16と、上流側ダンパ17とが設けられている。循環ファン15は、浴室30内の空気を吸込口11から吸い込み、吹出口12と送出口13との一方あるいは双方に送風する。また、ヒーター16は、循環ファン15と吹出口12との間の風路上に設けられ、循環ファン15から送られた空気を加熱する。このため、暖まった空気が吹出口12から浴室30に流れ込む。
【0015】
さらに、上流側ダンパ17は、循環ファン15の下流に配置され、循環ファン15による送風先を切り換える。具体的には、上流側ダンパ17は、板状に形成され、基端部に設けられた軸を中心に回転可能である。上流側ダンパ17は、例えばステッピングモータのような駆動手段(図示せず)によって駆動される。
上流側ダンパ17は、循環ファン15と送出口13との間の風路を閉鎖する位置、循環ファン15と吹出口12との間の風路を閉鎖する位置、またはそれらの位置の間における任意の位置まで回転することができる。これにより、上流側ダンパ17は、循環ファン15からの空気を、送出口13と吹出口12とのいずれか一方に流すことができる。また、上流側ダンパ17は、循環ファン15から送出口13に流れる空気と、循環ファン15から吹出口12に流れる空気との割合を調節して、双方に空気を流すことができる。
【0016】
また、浴室暖房機10は、循環ファン15を駆動させるファンモータ18と、制御部19とを備えている。制御部19は、ヒーター16、上流側ダンパ17、ファンモータ18、下流側ダンパ23、浴室リモコン32、脱衣室リモコン42などの各機器と信号線(図示せず)で接続され、制御部19はこれらの機器を制御する。
【0017】
図7は、送風ダクト20の構造を模式的に示す図である。以下の説明では、浴室30から脱衣室40に向かう方向および脱衣室40から浴室30に向かう方向をX方向、上下の方向をZ方向、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
図7に示すように、送風ダクト20は、浴室30の天井裏に設置された上流側ダクト20aおよび下流側ダクト20bと、浴室30の側壁と脱衣室40の側壁との間の壁内に設置された壁内ダクト20c,20dと、脱衣室40の床下に設置された床下ダクト20eとを備えている。壁内ダクト20cの両端は、上流側ダクト20aと床下ダクト20eとに接続されている。また、壁内ダクト20dの両端は、下流側ダクト20bと床下ダクト20eとに接続されている。
【0018】
上流側ダクト20aおよび下流側ダクト20bは、X方向に延びている。また、壁内ダクト20c,20dは、Z方向に延びている。
床下ダクト20eは、U字状に形成され、上流部Aと中央部Bと下流部Cとから構成されている。床下ダクト20eの上流部Aが壁内ダクト20cに接続されると共に、床下ダクト20eの下流部Cが壁内ダクト20dに接続されている。床下ダクト20eの上流部Aおよび下流部Cは、X方向に延び、それぞれ床下ダクト20eの中央部Bの両端に接続されている。また、床下ダクト20eの中央部Bは、脱衣室40の床の中央をY方向に延びている。
【0019】
このように、U字状に形成された床下ダクト20eが脱衣室40の床下に設置されているので、床下ダクト20eを流れる暖かい空気によって床下の空気が暖められる。そして、暖められた床下の空気が床下内を拡散して床全体を暖める。その結果、脱衣室40の温度が上昇する。
床下ダクト20eを流れる空気は、浴室30から吸い込んだ空気のため、浴槽31のお湯張りなどにより浴室30の湿度が高くなった場合、床下ダクト20eを流れる空気に含まれる水分量が増加する。しかし、床下ダクト20eを流れる空気は、脱衣室40の床下を通過するだけで脱衣室40に流入することはない。このため、たとえ床下ダクト20eを流れる空気に含まれる水分量が増加しても、脱衣室40の湿度が上昇することはない。その結果、浴室暖房システム1は、浴室30の湿度が高くても脱衣室40を暖房することができる。
【0020】
図2に示すように、床下ダクト20eの中央部Bは、上流部Aから下流部Cに向けて下方に傾斜している。このため、中央部Bを通過する空気に含まれる水蒸気が凝結して水滴になった場合、この水滴は、中央部Bを上流部Aから下流部Cに向かって流れる。このように、凝結した水滴が中央部Bのダクト内に溜まらないので、脱衣室40の床下における湿度の上昇を防止することができる。
ここで、中央部Bと同様に、上流部Aと下流部Cにも傾斜を持たせ、下流部Cと壁内ダクト20dとが接続する部分を一番低くなるように設置してもよい。この場合、下流部Cと壁内ダクト20dとの接続部分に図示しない排水管を接続することにより、床下ダクト20eのいずれの箇所で凝固した水滴も壁内ダクト20dとの接続部分まで流れ、排水管から排出される。このように、凝結した水滴が床下ダクト20eのいずれの箇所にも溜まらないので、脱衣室40の床下における湿度の上昇をより効果的に防止することができる。
【0021】
また、壁内ダクト20c,20dが、浴室30の側壁と脱衣室40の側壁との間の壁内に設置されているので、壁内ダクト20c,20dを流れる暖かい空気によって脱衣室40の側壁が暖められる。このように、床下ダクト20eによって床を暖めると共に、壁内ダクト20c,20dによって側壁を暖めることによって、床と側壁との2面の温度が上昇する。その結果、脱衣室40の温度を効果的に上昇させることができる。
【0022】
なお、床下ダクト20eの形状はU字状に限定されない。例えば、図8に示すように、床下ダクト20eの形状はO字状であってもよい。O字状に形成された床下ダクト20eであれば、脱衣室40の床における周辺部に床下ダクト20eが配置されるので、床の周辺から中心に向かって熱が拡がり、床が効率的に暖められる。その結果、脱衣室40の温度の上昇が促進される。
また、図9に示すように、床下ダクト20eの形状はM字状であってもよい。M字状に形成された床下ダクト20eであれば、脱衣室40の床全体に満遍なく床下ダクト20eが配置されるので、床全体に熱が拡がり、床が効率的に暖められる。その結果、脱衣室40の温度の上昇が促進される。
【0023】
次に、実施の形態1に係る浴室暖房システム1の動作について説明する。浴室暖房システム1は、浴室暖房モード、換気モードおよび2室暖房モードといった3つの動作モードを有している。
【0024】
まず、浴室30のみを暖房する浴室暖房モードについて説明する。図10は、浴室暖房モードによる浴室暖房システム1の動作を模式的に示す図である。図10に示すように、利用者が脱衣室リモコン42を操作して、浴室暖房モードによる運転を指示した場合、脱衣室リモコン42から制御部19に向けて指示信号が送信される。指示信号を受信した制御部19は、上流側ダンパ17に制御信号を送信する。制御信号を受信した上流側ダンパ17は、送出口13に向かう風路を閉鎖するように動作する。
また、制御部19は、下流側ダンパ23に制御信号を送信する。制御信号を受信した下流側ダンパ23は、排気口22に向かう風路を閉鎖するように動作する。さらに、制御部19は、ファンモータ18とヒーター16とに制御信号を送信する。制御信号を受信したファンモータ18は動作を開始し、循環ファン15を駆動させる。また、制御信号を受信したヒーター16は発熱する。
【0025】
このような制御によって、吸込口11から吸い込まれた浴室30内の空気は、上流側ダンパ17によって吹出口12に向かい、ヒーター16で暖められた後に、吹出口12から浴室30に吹き出す。その結果、浴室30の温度が上昇する。また、下流側ダンパ23によって排気口22に向かう風路が閉鎖されているので、排気口22から外気が流入することが防止される。
このように、浴室暖房モードであれば、吸込口11から吸い込まれた全ての空気がヒーター16で暖められ、暖められた全ての空気が浴室30に戻される。その結果、本実施の形態の浴室暖房システム1は、浴室30の温度を急激に上昇させることができる。
【0026】
次に、浴室30内の空気を屋外に排気する換気モードについて説明する。図11は、換気モードによる浴室暖房システム1の動作を模式的に示す図である。図11に示すように、利用者が脱衣室リモコン42を操作して、換気モードによる運転を指示した場合、脱衣室リモコン42から制御部19に向けて指示信号が送信される。指示信号を受信した制御部19は、上流側ダンパ17に制御信号を送信する。制御信号を受信した上流側ダンパ17は、吹出口12に向かう風路を閉鎖するように動作する。
また、制御部19は、下流側ダンパ23に制御信号を送信する。制御信号を受信した下流側ダンパ23は、循環口14に向かう風路を閉鎖するように動作する。さらに、制御部19は、ファンモータ18に制御信号を送信する。制御信号を受信したファンモータ18は動作を開始し、循環ファン15を駆動させる。
【0027】
このような制御によって、吸込口11から吸い込まれた浴室30内の空気は、上流側ダンパ17によって送出口13に向かい、送風ダクト20に送り出される。送風ダクト20に流れ込んだ空気は、脱衣室40の床下を通過し、下流側ダンパ23によって排気口22から屋外に排気される。換気モードでは、送風ダクト20内のすべての空気を排気させるため、下流側ダンパ23は循環口14に向かう風路を閉鎖した状態とする。また、脱衣室40から浴室30への給気は、ドア41に設けられたガラリ44を通して行われる。
このように、換気モードであれば、浴室30内の湿度の高い空気を、送風ダクト20を通して屋外に排気することができる。また、脱衣室40の湿度の低い空気をガラリ44を介して浴室30に導入することができる。その結果、本実施の形態の浴室暖房システム1は、浴室30内の空気の湿度上昇を抑え、カビ等の発生を効果的に抑制することができる。
【0028】
次に、浴室30と脱衣室40を暖房する2室暖房モードについて説明する。図12は、2室暖房モードによる浴室暖房システム1の動作を模式的に示す図である。図12に示すように、利用者が脱衣室リモコン42を操作して、2室暖房モードによる運転を指示した場合、脱衣室リモコン42から制御部19に向けて指示信号が送信される。指示信号を受信した制御部19は、上流側ダンパ17に制御信号を送信する。制御信号を受信した上流側ダンパ17は、吹出口12への送風と送出口13への送風とが同時に行えるように開度を調整する。
また、制御部19は、下流側ダンパ23に制御信号を送信する。制御信号を受信した下流側ダンパ23は、排気口22に向かう風路を閉鎖するように動作する。さらに、制御部19は、ファンモータ18とヒーター16とに制御信号を送信する。制御信号を受信したファンモータ18は動作を開始し、循環ファン15を駆動させる。また、制御信号を受信したヒーター16は発熱する。
【0029】
このような制御によって、吸込口11から吸い込まれた浴室30内の空気は、開度が調整された上流側ダンパ17によって、その一部が吹出口12に向かう。吹出口12に向かった空気は、ヒーター16で暖められた後に、吹出口12から浴室30に吹き出す。その結果、浴室30の温度が上昇する。
また、吸込口11から吸い込まれた空気の他の一部は送出口13に向かい、送風ダクト20に送り出される。送風ダクト20に流れ込んだ空気は、脱衣室40の床下を通過する。浴室30内の暖かい空気が送風ダクト20に流れ込んでいるので、脱衣室40の床下にU字状に設置された送風ダクト20からの熱が脱衣室40に伝達する。その結果、脱衣室40の温度が上昇する。
【0030】
脱衣室40の床下を通過した空気は送風ダクト20を更に進み、循環口14より浴室暖房機10内に戻される。2室暖房モードでは、送風ダクト20内のすべての空気を循環させるため、下流側ダンパ23は排気口22に向かう風路を閉鎖した状態とする。
このように、2室暖房モードであれば、一台の浴室暖房機10を用いて、浴室30と脱衣室40の2室を同時に暖房することができる。よって、本実施の形態の浴室暖房システム1は、浴室30と脱衣室40とに別々に暖房機を設置する場合に比べて、暖房機の購入コストを低減させることができる。
【0031】
なお、運転モードの設定の指示は、利用者が脱衣室リモコン42から行っていたが、脱衣室リモコン42に限定されることなく、例えば、利用者が浴室リモコン32から行ってもよい。また、利用者が携帯するスマートホンなどから行ってもよい。
【0032】
次に、2室暖房モードにおける上流側ダンパ17の制御について、図13のフローチャートを用いて説明する。図13に示すように、制御部19は、脱衣室リモコン42からの指示信号を受け付ける(ステップS10)。受け付けた指示信号が「2室暖房モードによる運転」を指示する信号の場合、制御部19は、浴室温度センサ33が検出した浴室30の温度情報を浴室リモコン32から受信する(ステップS11)。そして、制御部19は、この温度情報が示す浴室温度と目標温度K1とを比較する(ステップS12)。比較の結果、浴室温度が目標温度K1より低い場合、制御部19は、送風ダクト20への送風量に比べて浴室30への吹出量が増加するように、上流側ダンパ17の開度を調整する(ステップS13)。この調整によって、脱衣室40の暖房に比べて浴室30の暖房が優先的に行われる。
【0033】
ステップS12において、浴室温度が目標温度K1以上の場合、制御部19は、脱衣室温度センサ43が検出した脱衣室40の温度情報を脱衣室リモコン42から受信する(ステップS14)。制御部19は、この温度情報が示す脱衣室温度を、ステップS11において受信した温度情報が示す浴室温度から減算し、浴室30と脱衣室40の温度差を算出する(ステップS15)。そして、制御部19は、算出した浴室30と脱衣室40の温度差と、目標温度差K2との比較を行う(ステップS16)。浴室30と脱衣室40の温度差が目標温度差K2より大きい場合、浴室30への吹出量に比べて送風ダクト20への供給量が増加するように、上流側ダンパ17の開度を調整する(ステップS17)。この調整によって、浴室30の暖房に比べて脱衣室40の暖房が優先的に行われる。
また、ステップS13において、浴室30と脱衣室40の温度差が目標温度差K2以下の場合、浴室30の暖房を優先するため、ステップS13の処理を行う。
なお、目標温度K1は、例えば、30℃である。また、目標温度差K2は、例えば、7℃である。
【0034】
このように、上流側ダンパ17を制御することにより、浴室30と脱衣室40の温度差を小さくすることができる。その結果、本実施の形態の浴室暖房システム1は、室温の急激な変化による利用者の身体の負担を軽減させることができる。
【0035】
図14は、実施の形態1に係る浴室暖房システム1が有する制御部19のハードウェア構成の例を示す図である。図14には、プログラムを実行するハードウェアを用いて制御部19の機能が実現される場合におけるハードウェア構成が記載されている。制御部19は、プロセッサ50と、メモリ51とを有する。
【0036】
プロセッサ50は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ50は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)であってもよい。制御部19の各機能は、プロセッサ50と、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、内蔵メモリであるメモリ51に格納される。メモリ51は、不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであって、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0037】
以上のように、実施の形態1に係る浴室暖房システム1は、浴室30内の空気を暖める浴室暖房機10と、浴室暖房機10から供給された浴室30内の空気を脱衣室40に導く送風ダクト20とを備えている。浴室暖房機10は、浴室30内の空気を吸い込み、浴室30と送風ダクト20との一方あるいは双方に送風する循環ファン15と、循環ファン15による送風先を切り換える上流側ダンパ17とを備えている。また、送風ダクト20は、脱衣室40の床下に設置された床下ダクト20eを備えている。
このため、上流側ダンパ17によって循環ファン15の送風先が送風ダクト20に切り換わることにより、浴室30内の暖かい空気が、脱衣室40に向けて送風ダクト20を流れる。そして、脱衣室40に向かった暖かい空気が、送風ダクト20が備える床下ダクト20eを通過することにより、脱衣室40の床が暖められる。その結果、脱衣室40の温度が上昇する。
【0038】
ここで、床下ダクト20eを流れる空気は、浴室30から吸い込んだ空気のため、浴槽31のお湯張りなどにより浴室30の湿度が高くなった場合、床下ダクト20eを流れる空気に含まれる水分量が増加する。しかし、床下ダクト20eを流れる空気は、脱衣室40の床下を通過するだけで脱衣室40に流入することはない。このため、たとえ床下ダクト20eを流れる空気に含まれる水分量が増加しても、脱衣室40の湿度が上昇することはない。その結果、浴室暖房システム1は、浴室30の湿度が高くても脱衣室40を暖房することができる。
【0039】
以上の各実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能である。また、実施の形態同士を組み合わせることも可能であり、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0040】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0041】
(付記1)
浴室内の空気を暖める浴室暖房機と、前記浴室暖房機から供給された前記浴室内の空気を脱衣室に導く送風ダクトとを備え、
前記浴室暖房機は、前記浴室内の空気を吸い込み前記浴室と前記送風ダクトとの一方あるいは双方に送風する循環ファンと、前記循環ファンによる送風先を切り換える上流側ダンパとを備え、
前記送風ダクトは、前記脱衣室の床下に設置された床下ダクトを備える浴室暖房システム。
(付記2)
前記上流側ダンパを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記循環ファンによって吸い込まれた空気を前記浴室に流すように前記上流側ダンパを制御する付記1記載の浴室暖房システム。
(付記3)
前記送風ダクトは、下流側に設けられた下流側ダクトを備え、
前記下流側ダクトには、前記下流側ダクトに到達した空気に対し前記浴室暖房機に戻すか屋外に排気するかを切り換える下流側ダンパが設けられている付記1記載の浴室暖房システム。
(付記4)
前記上流側ダンパおよび前記下流側ダンパを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記循環ファンによって吸い込まれた空気を前記送風ダクトに流すように前記上流側ダンパを制御すると共に、前記下流側ダクトに到達した空気を屋外に排気するように前記下流側ダンパを制御する付記3記載の浴室暖房システム。
(付記5)
前記浴室と前記脱衣室との間に設けられ、前記脱衣室から前記浴室に給気を行うガラリを更に備える付記4記載の浴室暖房システム。
(付記6)
前記上流側ダンパおよび前記下流側ダンパを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記循環ファンによって吸い込まれた空気を前記浴室と前記送風ダクトとの双方に流すように前記上流側ダンパを制御すると共に、前記下流側ダクトに到達した空気を前記浴室暖房機に戻すように前記下流側ダンパを制御する付記3記載の浴室暖房システム。
(付記7)
前記浴室の温度を検出する浴室温度センサと、前記脱衣室の温度を測定する脱衣室温度センサとを更に備え、
前記制御部は、前記浴室温度センサが検出した浴室温度が目標温度より低い場合、前記送風ダクトへの送風量に比べて前記浴室への送風量が多くなるように前記上流側ダンパを調整し、
前記制御部は、前記浴室温度センサが検出した浴室温度が前記目標温度以上の場合、前記浴室温度センサが検出した浴室温度から前記脱衣室温度センサが検出した脱衣室温度を減算し、減算により得られた前記浴室と前記脱衣室との温度差が目標温度差以上の場合に前記浴室への送風量に比べて前記送風ダクトへの送風量が多くなるように前記上流側ダンパを調整する付記6記載の浴室暖房システム。
(付記8)
前記送風ダクトは、前記浴室と前記脱衣室との間の壁内に設置された壁内ダクトを備える付記1から付記7のいずれか一項に記載の浴室暖房システム。
(付記9)
前記床下ダクトは、前記脱衣室の床面に対して、U字状、O字状、およびM字状のいずれかの形状に配置された付記1から付記8のいずれか一項に記載の浴室暖房システム。
【符号の説明】
【0042】
1 浴室暖房システム、10 浴室暖房機、11 吸込口、12 吹出口、13 送出口、14 循環口、15 循環ファン、16 ヒーター、17 上流側ダンパ、18 ファンモータ、19 制御部、20 送風ダクト、20a 上流側ダクト、20b 下流側ダクト、20c,20d 壁内ダクト、20e 床下ダクト、22 排気口、23 下流側ダンパ、30 浴室、31 浴槽、32 浴室リモコン、33 浴室温度センサ、40 脱衣室、41 ドア、42 脱衣室リモコン、43 脱衣室温度センサ、44 ガラリ、K1 目標温度、K2 目標温度差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14