(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154129
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】トレイ供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241023BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20241023BHJP
B65B 23/02 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G43/08 C
B65B23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067781
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】才田 和輝
【テーマコード(参考)】
3E043
3F027
3F522
【Fターム(参考)】
3E043AA01
3E043BA19
3E043DA04
3E043DB04
3E043FA01
3E043GA02
3F027AA01
3F027CA01
3F027DA16
3F027EA01
3F027FA18
3F522BB01
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD05
3F522DD22
3F522DD34
3F522EE16
3F522GG13
3F522GG23
3F522GG45
3F522HH02
3F522JJ01
3F522KK03
3F522LL58
(57)【要約】
【課題】入卵計画に基づいてトレイを供給する際の作業者のミスを低減する。
【解決手段】複数の卵Eが収容されたトレイTを次工程に供給するトレイ供給部2と、予め設定された入卵計画情報と連携しトレイTを識別してトレイ供給部2を制御する制御装置3とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の卵が収容されたトレイを次工程に供給するトレイ供給部と、
予め設定された入卵計画情報と連携し前記トレイを識別して前記トレイ供給部を制御する制御装置とを備える、トレイ供給装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記トレイを識別して前記入卵計画情報に合致しない前記トレイを次工程に供給させないように前記トレイ供給部を制御する、請求項1に記載のトレイ供給装置。
【請求項3】
前記トレイ又は前記トレイが収納される什器に設けられ、前記トレイに収容された卵の情報又はロット情報が紐付けられた識別子を読み取る識別子読取部とをさらに備え、
前記制御装置は、前記識別子読取部により読み取られた前記識別子に紐付けられた卵の情報又はロット情報に基づいて、前記入卵計画情報と連携して前記トレイ供給部を制御する、請求項1又は2に記載のトレイ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
卵を選別して包装するGPセンター(Grading and Packing Center)には、複数の養鶏場から、原卵を収容した複数のトレイが搬入される。GPセンターにおいて原卵は、選別装置により等級別に選別されて、容器に包装され、各等級別に保管される。そして、GPセンターは、スーパーマーケット等からの受注に応じて、等級別に容器に包装された製品を出荷する。
【0003】
また、GPセンターには、搬入されたトレイを選別装置に供給するためのトレイ押出機等のトレイ供給装置を備えている。このトレイ供給装置は、複数のトレイを収納したラックからトレイを供給するものである。
【0004】
ところで、GPセンターでは、卵製品の生産計画や受注情報等に基づいて入卵計画が定められている場合がある。入卵計画には、例えば仕入先、鶏種、給餌された飼料の配合、採卵日や卵殻の色等のロット毎に入卵すべきトレイ数(卵数)が定められている。そして、作業者は、この入卵計画に基づいて、適切なラックをトレイ供給装置にセットしている。
【0005】
しかしながら、トレイ供給装置に間違ったラックを設置したり、必要数に満たない状態でロットを終了したり、必要数に満たない状態で次ロットのトレイが収納されたラックを設置する等の作業ミスが発生する恐れがある。このような作業ミスが発生すると手戻り作業が必要となってしまい、また、適切なラックをトレイ供給装置にセットするための管理も煩雑となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、入卵計画に基づいてトレイを供給する際の作業者のミスを低減することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係るトレイ供給装置は、複数の卵が収容されたトレイを次工程に供給するトレイ供給部と、予め設定された入卵計画情報と連携し前記トレイを識別して前記トレイ供給部を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
このトレイ供給装置であれば、入卵計画情報と連携しトレイを識別してトレイ供給部を制御するので、例えば間違ったトレイを設置したり、必要数に満たない状態でロットを終了したり、必要数に満たない状態で次ロットのトレイを設置する等のトレイを供給する際の作業者のミスを低減することができる。
【0010】
具体的な実施の態様としては、前記制御装置は、前記トレイを識別して前記入卵計画情報に合致しない前記トレイを次工程に供給させないように前記トレイ供給部を制御することが望ましい。
この構成であれば、入卵計画情報に合致しないトレイを次工程に供給しないようにできる。
【0011】
本発明のトレイ供給装置は、前記トレイ又は前記トレイが収納される什器に設けられ、前記トレイに収容された卵の情報が紐付けられた識別子を読み取る識別子読取部とをさらに備え、前記制御装置は、前記識別子読取部により読み取られた前記識別子に紐付けられた卵の情報に基づいて、前記入卵計画情報と連携して前記トレイ供給部を制御することが望ましい。
この構成であれば、トレイをトレイ供給部に設置した際に自動的に識別子を読み取ることになり、作業者のミスを一層低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
このように構成した本発明によれば、入卵計画に基づいてトレイを供給する際の作業者のミスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトレイ供給装置及び選別装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】同実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】変形実施形態に係るトレイ供給装置及び選別装置の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るトレイ供給装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0015】
<トレイ供給装置100の基本構成>
本実施形態のトレイ供給装置100は、
図1に示すように、例えばGPセンターに設けられた選別装置10にトレイTを供給するものである。
【0016】
なお、選別装置10は、
図1に示すように、トレイTから卵搬送部11に卵Eを供給する卵供給部12と、卵搬送部11により搬送される卵Eを洗浄して乾燥する洗卵乾燥部13と、卵搬送部11を搬送される卵Eを計量する計量部14と、計量部14の計量結果に基づいて卵Eを等級別に選別する選別部15とを備えている。なお、本実施形態では、選別装置10により等級別に選別されて容器Pに収容された卵E(製品)は在庫管理される。
【0017】
具体的にトレイ供給装置100は、複数の卵Eが収容されたトレイTを次工程(ここでは選別工程)に供給するトレイ供給部2と、トレイ供給部2を制御する制御装置3とを備えている。
【0018】
本実施形態のトレイ供給部2は、トレイTが設置されるトレイ設置部21と、トレイ設置部21に設置されたトレイTを押し出すトレイ押出部22と、トレイ押出部22により押し出されたトレイTを搬送するトレイ搬送部23とを有している。
【0019】
トレイ設置部21は、複数のトレイTが収納されたラックやパレットなどの什器Rが設置されるものであっても良いし、什器Rに収納されていないトレイTが設置されるものであっても良い。なお、本実施形態のトレイ設置部21は、複数のトレイTが収納された什器Rが設置されるものである。
【0020】
トレイ押出部22は、トレイ設置部21に設置されたトレイTを1つずつトレイ搬送部23に向けて押し出すものである。什器Rに設置されたトレイTを押し出す場合には、什器Rを上下に昇降移動させて、什器R内の押し出されるトレイTをトレイ搬送部23に移載する高さにして、トレイTを押し出す構成とすることができる。
【0021】
トレイ搬送部23は、選別装置10の卵供給部12に接続されており、トレイ押出部22により押し出されたトレイTを卵供給部12に搬送するものである。トレイ搬送部23は、例えばベルトコンベヤ等のコンベヤを用いて構成されている。
【0022】
制御装置3は、予め設定された入卵計画情報と連携しトレイTを識別してトレイ供給部2を制御するものである。この制御装置3は、トレイ供給部2の制御の他に、選別装置10の制御を一括して行うものであっても良い。
【0023】
なお、制御装置3は、CPU、メモリ、入出力インターフェイス、AD変換器、ディスプレイ等の表示装置などを有するコンピュータにより構成されている。なお、制御装置3は、物理的に一体のコンピュータにより構成されたものであっても良いし、それぞれ物理的に別体をなすコンピュータにより構成されたものであっても良い。
【0024】
そして、制御装置3は、メモリに格納されたプログラムに基づいて、CPU及び周辺機器が協働することにより、
図2に示すように、トレイ供給制御部31、計画情報取得部32、計画情報格納部33、識別子情報格納部34、識別子情報受付部35等としての機能を発揮する。
【0025】
ここで、入卵計画情報とは、製品の生産計画又は発注元からの受注情報等に基づいて定められる入卵計画を示す情報である。具体的に入卵計画情報は、例えば仕入先、鶏種、給餌された飼料の配合等の飼料情報、採卵日や卵殻の色等のロット毎に入卵すべきトレイ数(卵数)が定められた情報である。この入卵計画情報は、計画情報取得部32により別の管理装置から取得されて、計画情報格納部33に予め格納されている。
【0026】
<入卵計画例>
入卵計画は、例えば、入卵すべきロット情報及びトレイ数とロットの入卵順とを規定するものである。
(入卵順1)
ロット1「仕入先:A農場、鶏種:ジュリア、飼料情報:〇〇、採卵日:2023/3/9、卵殻色:白」-トレイ数150
(入卵順2)
ロット2「仕入先:A農場、鶏種:ジュリアライト、飼料情報:〇〇、採卵日:2023/3/10、卵殻色:白」-トレイ数200
(入卵順3)
ロット3「仕入先:B農場、鶏種:ジュリア、飼料情報:△△、採卵日:2023/3/10、卵殻色:褐色」-トレイ数250
なお、上記の「〇〇」「△△」は、それぞれ給餌された飼料の配合等の飼料情報を示す。
【0027】
そして制御装置3のトレイ供給制御部31は、トレイTを識別して入卵計画情報に合致しないトレイTを次工程(選別工程)に供給させないようにトレイ供給部2を制御する。
【0028】
トレイTを次工程に供給させいない態様には、トレイ供給部2(例えばトレイ押出部22)の供給動作を停止させる、又は、トレイ供給部2(例えばトレイ設置部21)からトレイTを排出させる等が考えられる。
【0029】
また、入卵計画情報に合致しないトレイTとは、例えば、入卵計画情報で指定された卵Eの情報又はロット情報とは異なるトレイT、入卵計画情報で指定されたトレイ数を超えたトレイT等である。
【0030】
本実施形態では、トレイT又は什器Rに、トレイTに収容された卵Eの情報(例えば仕入先、鶏種、飼料情報、採卵日、卵殻の色等)又はロット情報が紐付けられた識別子IDが設けられている。なお、識別子IDとは、バーコード、QRコード(登録商標)等の二次元コード、又は、RFIDのICタグ等である。
【0031】
識別子IDは、トレイT又は什器Rに着脱可能に設けられるものであれば、汎用のトレイT又は什器Rを用いることができる。なお、識別子IDは、トレイT又は什器Rに印字される等により着脱不能に設けられたものであっても良い。また、識別子IDに紐付けられる卵Eの情報又はロット情報は、各養鶏場の入力端末で入力することができる。なお、ロット情報については、各養鶏場に対して予め設定された専用のものであっても良い。
【0032】
本実施形態のトレイ供給装置100は、トレイT又は什器Rに設けられた識別子IDを読み取る識別子読取部4を更に備えている。識別子読取部4は、トレイT又は什器Rに設けられた識別子IDに対応する識別子リーダ(例えば、バーコードリーダ、二次元コードリーダ、RFIDリーダ等)である。識別子読取部4により読み取られた識別子情報は、制御装置3の識別子情報受付部35に送信される。
【0033】
そして、制御装置3のトレイ供給制御部31は、識別子読取部4により読み取られた識別子IDに紐付けられた卵Eの情報又はロット情報に基づいて、入卵計画情報と連携してトレイ供給部2を制御する。ここで、制御装置3の識別子情報格納部34には、識別子IDと当該識別子IDに紐付けられた卵Eの情報又はロット情報との対応データが事前に格納されている。
【0034】
具体的にトレイ供給制御部31は、受け付けた識別子情報と、識別子情報格納部34に格納された対応データとを照らし合わせて、トレイ設置部21に設置されたトレイTの卵Eの情報又はロット情報を識別する。
【0035】
また、トレイ供給制御部31は、識別したトレイTの卵Eの情報又はロット情報と、計画情報格納部33に格納された入卵計画情報とを照らし合わせて、トレイ設置部21に設置されたトレイTが入卵計画に合致したものか否かを判断する。
【0036】
<トレイ供給装置100の動作>
次に、本実施形態のトレイ供給装置100を用いたトレイ供給方法について説明する。以下に示すトレイ供給装置100の動作は、制御装置3により各部が制御されることにより行われる。
【0037】
作業者は、卵Eを収容した複数のトレイTが収納された什器Rをトレイ設置部21に順次設置する(
図1参照)。ここで、トレイ設置部21に設置されたトレイT又は什器Rの識別子IDを識別子読取部4により読み取る。識別子読取部4で読み取られた識別子情報は、制御装置3の識別子情報受付部35に送信される。
【0038】
そして、制御装置3のトレイ供給制御部31は、受け付けた識別子情報と、識別子情報格納部34に格納された対応データとを照らし合わせて、トレイ設置部21に設置されたトレイTの卵Eの情報又はロット情報を識別する。
【0039】
さらに、トレイ供給制御部31は、識別したトレイTの卵Eの情報又はロット情報と、計画情報格納部33に格納された入卵計画情報とを照らし合わせて、トレイ設置部21に設置されたトレイTが入卵計画に合致したものか否かを判断する。なお、計画情報格納部33には、計画情報取得部32が取得した入卵計画情報が予め格納されている。
【0040】
トレイTが入卵計画に合致したものであれば、トレイ供給制御部31は、トレイ押出部22を制御して、トレイTをトレイ搬送部23に押し出す。そして、押し出されたトレイTは、トレイ搬送部23により卵供給部12に搬送される。
【0041】
一方、トレイTが入卵計画に合致しないものであれば、トレイ供給制御部31は、トレイ供給部2の供給動作(具体的にはトレイ押出部22の押出動作)を停止させる、又は、トレイ供給部2のトレイ設置部21からトレイTを排出させる。
【0042】
<本実施形態の効果>
本実施形態のトレイ供給装置100によれば、入卵計画情報と連携しトレイTを識別してトレイ供給部2を制御するので、例えば間違ったトレイTを設置したり、必要数に満たない状態でロットを終了したり、必要数に満たない状態で次ロットのトレイTを設置する等のトレイTを供給する際の作業者のミスを低減することができる。
【0043】
<本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0044】
例えば、トレイ供給装置100がトレイTを供給する選別装置10は、容器Pに収容された卵E(製品)を生産するものの他に、自動倉庫50に保管される保管トレイUに等級別に卵Eを収容するものであっても良い。この場合、等級別に選別された卵Eを収容した保管トレイUは、分配ゲート51を通じて自動倉庫50に保管される。
【0045】
また、前記実施形態のトレイ供給部2は、トレイ設置部21、トレイ押出部22及びトレイ搬送部23を有する構成であったが、次工程にトレイTを供給する構成であれば、その他の構成であっても良い。
【0046】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
100・・・トレイ供給装置
E・・・卵
T・・・トレイ
2・・・トレイ供給部
3・・・制御装置