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特開2024-154131手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154131
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/42 20060101AFI20241023BHJP
   B66C 1/10 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B66C1/42 J
B66C1/10 Z
B66C1/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067783
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】523138792
【氏名又は名称】協和建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088731
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】小松 誠
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA07
3F004AA08
3F004AB14
3F004AE01
3F004EA40
(57)【要約】
【課題】本発明は手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメントに関し、バケットに建設資材やその他の積荷を搭載した状態で手押し一輪車を吊上げることができるものである。
【解決手段】手押し一輪車10のフレーム16は上面に全周のバケット支持枠16-1を形成しており、フレーム16によるバケット12の支持は全周の張出部12-1がバケット支持枠16-1に乗ることにより行われる。アタッチメント30はクレーンの吊上げ金具に掛装される基体32にフック式の前側支持部38、後側支持部40を設置し、自重下回動させることによりフックをバケット支持枠16-1の前部16-1A, 16-1Bの夫々に下側から係合させて一輪車の吊上げを行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメントであって、手押し一輪車はバケットと、車輪と、バケット及び車輪の支持のためのフレームとを備え、フレームはバケットを前側上辺部にて載置支持するための前側支持部と、バケットを後側上辺部にて載置支持するための後側支持部とを備え、アタッチメントは、クレーンの吊上げ金具に対し掛装可能な基体と、バケットの前側支持部と並行な回転中心の周りをフリーに回動するべく上端側において基体に連結され、下端側においてフレームの前側支持部と係合可能な前側係止具と、フレームの後側支持部と並行な回転中心の周りをフリーに回動するべく上端側において基体に連結され、下端側においてバケットの後側支持部と係合可能な後側係止具と、を具備して成る手押し一輪車の昇降のためのアタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前側係止具は下端に後向きの前側フックを、後側係止具は下端に前向きの後側フックを、夫々、備えており、前側係止具及び後側係止具の夫々の自重下の回動により前側フック及び後側フックはフレームの前側支持部及び前側支持部の夫々と下側より係合するべく、前側係止具と後側係止具との間の間隔dはフレームにおける前側支持部及び後側支持部間の間隔Dより適宜小さくされた手押し一輪車の昇降のためのアタッチメント。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、前側係止具及び後側係止具の各々は、基体に対して遊嵌された棒状の回動支持部と、上端において対応の回動支持部に一体連結され、かつ回動支持部の両端より対応のフックに向け垂下形成したアームとを具備しており、前側係止具及び後側係止具はフレームの対応の前側支持部及び後側支持部に、夫々、フック2か所において係合される手押し一輪車の昇降のためのアタッチメント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記基体は矩形枠形状をなしかつ略重心位置に孔を穿設し、この孔は中継環を介してクレーンの吊上げ金具に連結される手押し一輪車の昇降のためのアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメントに関し、バケットに建設資材やその他の積荷を搭載した状態で手押し一輪車を吊上げることができるものである。
【背景技術】
【0002】
手押し一輪車は資材搬送用のトラックから建設現場等の作業現場までの道路が狭い場合に資材の搬送に便利であるが、崖の上などの作業現場等では手押し一輪車すら通過可能な道路が無いことがあるため、手押し一輪車を資材を搭載したまま作業現場に設置したクレーンなどの作業機を使用して吊上げることがある。このような作業のためクレーンの吊り金具に直接的に掛止可能なフックや穴を設置した改造型の手押し一輪車が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-196175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は既存の手押し一輪車のフレーム部分にフックを溶接したり穴加工を施したものであるが、通常一般の作業現場では、そのような特殊な加工がされた手押し一輪車が準備されていることはなく、クレーンによる吊り上げ作業を行う場合に、クレーンの吊り金具に対する掛止めのため手押し一輪車に対して従来通り手作業による面倒なワイヤロープ掛け作業をせざるを得ないことになっていた。
【0005】
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、既存の手押し一輪車そのままで,即ち溶接や機械加工を施すことなく、簡易かつ軽量かつ安価なアタッチメントを準備することだけで大きな負担を伴うことなく、吊上げ作業の迅速かつ確実化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バケットと、車輪と、バケット及び車輪の支持のためのフレームとを備え、フレームはバケットを前側上辺部にて載置支持するための前側支持部と,バケットを後側上辺部にて載置支持するための後側支持部とを備えたタイプの手押し一輪車に適用可能であり、手押し一輪車を溶結や機械加工等の改造等を伴うことなく、資材を装填した状態において吊上げ作業共することができるアタッチメントに係るものであり、本アタッチメントは、クレーンの吊上げ金具に対し掛装可能な基体と、バケットの前側支持部と並行な回転中心の周りをフリーに回動するべく上端側において基体に連結され、下端側においてフレームの前側支持部と係合可能な前側係止具と、フレームの後側支持部と並行な回転中心の周りをフリーに回動するべく上端側において基体に連結され、下端側においてバケットの後側支持部と係合可能な後側係止具とを具備する。
【0007】
前側係止具は下端に後向きの前側フックを、後側係止具は下端に前向きの後側フックを、夫々、備えており、前側係止具及び後側係止具の夫々の自重下の回動により前側フック及び後側フックはフレームの前側支持部及び前側支持部の夫々と下側より係合するべく、前側係止具と後側係止具との間の間隔dはフレームにおける前側支持部及び後側支持部間の間隔Dより適宜小さくされる。また、前側係止具及び後側係止具の各々は、基体に対して遊嵌された棒状の回動支持部と、上端において対応の回動支持部に一体連結され、かつ回動支持部の両端より対応のフックに向け垂下形成したアームとを具備しており、前側係止具及び後側係止具はフレームの対応の前側支持部及び後側支持部に、夫々、フック2か所において係合される。また、基体は矩形枠形状とし、略重心位置に吊上げ金具に対する掛装孔を穿設し、C形状の中継環を介してクレーンの吊上げ金具に連結するこことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は既存の手押し一輪車に一切の改造を必要とせず、簡易かつ軽量なアタッチメントを準備するだけでクレーンの吊上げ金具に対するワンタッチ式の掛装が可能であり、クレーンを手押し一輪車のフレーム部分に係合させることにより、クレーンによる吊上げ作業を高能率かつ安全かつ迅速確実に実現可能であり、アタッチメントの準備はもとより必要であるが、構成が簡易であり、板材や、棒材、パイプ材等の安価な鉄素材の溶接構造のみで実現可能であることからコスト的に極めて低廉なものとして済ませることができ、実用性と経済性を兼備した汎用性が高いものである。また、本発明のアタッチメントはクレーンによる吊り上げ力を手押し一輪車のフレームに負担させるものであるため、強度的に比較的脆弱であるバケットに対し吊り上げ力が直接加わる恐れがない効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は手押し一輪車の吊上げのための準備状態にあるこの発明の手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメントの側面図である。
図2図2は手押し一輪車の平面図(図1のII-II線に沿った矢視図)である。
図3図3図2のIII-III線に沿った手押し一輪車のバケット後端部の矢視断面図である。
図4図4図2のIV-IV線に沿った手押し一輪車のバケット前端部の矢視断面図である。
図5図5はこの発明の手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメントの斜視図である。
図6図6図1の状態から手押し一輪車の吊上げ状態に移行後のこの発明のアタッチメントを示す側面図である。
図7図7は手押し一輪車の吊上げ状態において積荷がバケットの前側に片寄った場合を示す側面図である。
図8図8は手押し一輪車の吊上げ状態において積荷がバケットの後側に片寄った場合を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、手押し一輪車10はバケット12と、車輪14と、フレーム16とを備える。フレーム16はこの実施形態においては基本的には鉄素材よりなるパイプ材の溶接による組立構造であり、パイプ材を車体前後に幾分細長い矩形を呈するように溶接等により構成されるバケット支持枠16-1 (バケット支持枠16-1の矩形形状については図2及び図5も参照)と、車体後部の両側に一対設けられ(図1には片側のみ図示)、全体として略V字形状をなし、上端部がバケット支持枠16-1の下面に溶接され、車体両側に配置される主支持脚16-2と、主支持脚16-2の下部に両後端部にて溶接され、略水平に前方に延出し、前端部がU字状に車輪14の前部を巡るように配置された車輪支持枠16-3と、車体前部の両側に一対設けられ(図1には片側のみ図示)、幾分傾斜しつつ上端部がバケット支持枠16-1の下面に溶接され、下端部が車輪支持枠16-3に溶接された補助支持脚16-4とから構成される。左右の主支持脚16-2間は、補強のため、横方向パイプ16-5(図1に破線で示す)により連結されている。車輪支持枠16-3には車輪支持ブラケット18が一対垂下するように溶接され、車輪支持ブラケット18に車軸20が周知の適宜の方式により軸支される。
【0011】
フレーム16の矩形形状において車体前側に車幅方向のパイプ部分16-1A、車体後側に車幅方向のパイプ部分16-1Bを呈し(パイプ部分16-1A, 16-1Bの配置については図5も参照)、本実施形態においては、これらのフレーム部位16-1A及び16-1Bにて手押し一輪車10の吊り上げ時の荷重を受ける本発明の前側支持部,後側支持部を構成する。図1においてバケット支持枠16-1から車体後方に左右両側にパイプ材よりなるハンドル22の端部が溶接され、ハンドル22は取手22-1に至るまで延びている(図2も参照)。
【0012】
この実施形態においては、バケット12は、上端の全外周に沿って外側に向けて略水平方向に延出する張出部12-1を備え(張出部12-1の全周にわたる形状については図5を参照)、かつバケット12は張出部12-1の全周における直ぐ内側に資材収容部を形成するため前側にあっては緩慢な傾斜面を後側にあっては急峻な傾斜面を呈する窪み部12-2を形成する。図1及び図5に示すように、バケット12の張出部12-1は、フレーム16におけるバケット支持枠16-1を構成するパイプ材の円形断面の頂点付近に留まっており(図2図4も参照)、バケット支持枠16-1を構成するパイプ材は少なくとも半径分は外部に露出しているため、この構造はフレーム16によるバケット12の全荷重の支持機能を損なうことなく、クレーンによる手押し一輪車10の吊上げ操作の際の後述フックの外側でかつ下側からのフレーム16の係合代の提供を可能とする。図3及び図5に示すように、バケット支持枠16-1の車体後部における幅方向中央部下面にはブラケット26が溶接固定されており、ブラケット26から一体にボルト28が直立され、ボルト28はバケット張出部12-1の車体後後方延長部に形成されるバカ孔に挿通され、蝶ナット29により締結することによりバケット12をフレーム16に固定化することができる。蝶ナット29を緩め、抜去することにより手押し一輪車10に具備される一般的な機能であるバケット12をフレーム16に対するバケット前部の当接部を支点とする前側への回動動作が可能である。
【0013】
次に、本発明の実施形態における手押し一輪車の吊上げのためのアタッチメント30は図5の斜視図にてその全体が示される。アタッチメント30は、クレーンとの連結のための板状及びアングル状鋼材の溶接構造としての全体として細長の矩形枠形状を呈する基体32を備えており、基体32は矩形枠形状における縦方向の中間に溶接されたアングル板32-1を備え、アングル板32-1にクレーンの吊上げ金具との掛装用の孔32-2が穿設され、孔32-2は基体32の略重心に位置している。基体32は車体前部側のアングル板の両端に溶接された一対の軸受部材32-3を備え、車体後部側のアングル板の両端に溶接された一対の軸受部材32-4を備える。
【0014】
アタッチメント30は、更に、基体32の前側端部に前側係止具38、基体32の後側端部に後側係止具40が夫々備えている。前側係止具38はこの実施形態にあっては鉄よりなる棒材より形成され、中間は車幅方向に略水平に延びる回動支持部38-1を形成しており、回動支持部38-1は、その両端において、基体32の前側における夫々の軸受部材32-3に形成される開口部32-3Aに遊嵌され、下向きに垂下されるアーム38-2を形成し、アーム38-2の下端が逆J字形状をなして車体の後方(基体32内向き)に延出する前部フック38-3を車幅方向に一対形成する。後側係止具40の構造は後側係止具38と基本的には同一であり、鋼成棒材の曲折ないしは溶接構造であり回動支持部40-1が基体32の後部における軸受部材32-4に形成された開口部32-4Aを介し遊嵌され、鉛直下向きのアーム40-2を形成し、アーム40-2の下端がJ字形状をなして車体の前方(基体32内向き)を指向する後部フック40-3を車幅方向に一対形成する。前部フック38-3及び後部フック40-3は図1に示すようにスムースな湾曲形状を呈しており、手押し一輪車の吊上げのためのフレーム16における前側パイプ部分16-1A及び後側のパイプ部分16-1B、夫々、との係合時における積荷不均衡時のバランス取り動作のためのパイプ部分16-1A, 16-1Bのフック38-3, 40-3対向内面に対する円滑な回動運動を阻害することがないようにされている。
【0015】
前側及び後側の係止具38, 40の回動支持部38-1, 40-1を挿通させる基体32の開口部32-3A, 32-4Aについては図5においては模式的に丸孔(バカ孔)として描かれ、図1図6図8では具体的にアングル材に鉄片を溶接することにより残される開口部として描かれている相違が存するが、開口部32-3A, 32-4Aは回動支持部38-1, 40-1の回動による前側及び後側の係止具38, 40のフレームに対する係止機能を損なうことがないように構成されていれば足りる。
【0016】
アタッチメント30は、更に、図1に示すように、クレーン掛装用孔32-2に開口部より挿入されるC形状(逆向きでも良い)の中継環48を備える。クレーンによる手押し一輪車10の吊上げの際に中継環48に車両設置型クレーン若しくはクレーン機能付きのパワーショベル等の吊り金具50の鉤状先端が掛装される。クレーン掛装用孔32-2にC形状の中継環48を装着した構成は、手押し一輪車10の吊上げの際における、バケット12に対する積荷の重量バランスの不均衡に対して、バケット12及び基体32に対する前側係止具38及び後側係止具40の角度自在の連結方式と相俟って相まって、不均衡の吸収を行いつつ手押し一輪車10の安定状態での吊上げを実現させることができる。
【0017】
図1において、アタッチメント30は、手押し一輪車の吊り上げのための準備状態を示す。アタッチメント30は基体32の略重心に設置されたクレーン掛装用孔32-2に中継環48を介して車両設置型クレーン若しくはクレーン機能付きのパワーショベル等の吊り金具50に掛装されて、基体32は略水平状態をとる。アタッチメント30において、前側係止具38も後側係止具40も基体32に対し回転方向には拘束が無いので、前側のアーム38-2も後側のアーム40-2も、自身に加わる重力下、鉛直方向下向きに垂下され、前部フック38-3の先端と後部フック40-3の先端とが向き合う配置となる。この準備状態における前側のアーム38-2と後側のアーム40-2の車体前後方向の間隔dは、クレーンによるアタッチメント30における前部フック38-3及び後部フック40-3の掛装部位であるフレーム16における前側パイプ部分16-1Aと後側のパイプ部分16-1B間の間隔Dに対して後述のように適当に小さく(d<Dとなるように)されている。
【0018】
図1の準備状態から手押し一輪車の吊り上げのため、アタッチメント30を車体に近づけ、前側係止具38のアーム38-2を想像線38-2Aのように前方に開いておいたアーム38-2を自重により直立位置に向け戻して行くと、フレーム16のバケット支持枠16-1における車体前側における前側パイプ部分16-1Aに当たるため、それ以上の回動は阻止され、アタッチメント30の引き上げ方向においては前部フック38-3のJ型の先端は前側パイプ部分16-1Aに下側に回り込んだ状態となる。このことはアタッチメント30における後側係止具40におけるアーム40-2についても同様であり、アーム40-2を想像線40-2Aのように後方に開いておいてアタッチメント30を車体に向け近づけ、アーム40-2を直立位置に戻して行くと、フレーム16のバケット支持枠16-1における車体後ろ側におけるパイプ部分16-1Bに当たるため、それ以上の回動は阻止され、アタッチメント30の引き上げ方向においては後部フック40-3の逆J型の先端はパイプ部分16-1Bに下側に回り込んだ状態となる。この状態において、クレーンの吊り金具50を引き上げてゆくことにより、図6に示すようにアタッチメント30を介しクレーンによる手押し一輪車の吊り上げが可能となる。アタッチメント30は手押し一輪車の高強度部分であるフレーム部分にクレーンによる吊り上げ力を印加しており、鉄板を素材とする強度的には脆弱なバケット12に吊り上げ力が直接掛かることは無い。
【0019】
前側係止具38のアーム38-2と後側係止具40のアーム40-2間の間隔dと、フレーム前側パイプ部分16-1Aとフレーム後側パイプ部分16-1B間の間隔Dとの関係であるが、アーム38-2, 40-2の自重での戻りの途中において下端のフック38-3, 40-3がフレーム16の前側パイプ部分16-1A, 後側パイプ部分16-1B夫々に下側より離脱不能に係合するようにdに対してDが大きい必要(d<D)があるが、アーム38-2, 40-2の大きな回動角度に関わらずフック38-3, 40-3のパイプ部分16-1A, 16-1Bとの係合が外れることがないようにdに対してDが大きくなり過ぎないように決められる。
【0020】
積荷の不均衡の場合の動作を説明すると、手押し一輪車10をアタッチメント30によりクレーンの吊り金具50により吊上げた図6の状態は疑似的な4節リンク機構を構成する。即ちこの4節のリンク機構は、上辺である基体32と、下辺であるバケット支持枠16-1と、左側辺である前側係止具38と、右側辺である後側係止具40の4辺を備え、かつ隣接する辺同志を回動可能とする4節は、夫々、基体32と前側係止具38の上端部との接合部(回動支持部38-1と軸受部材42-3との遊嵌部)、前側係止具38の下端部とバケット支持枠16-1の左側端部との接合部(フック38-3とパイプ部分16-1Aとの係合部)、バケット支持枠16-1の右側端部と後側係止具40の下端との接合部(フック40-3とパイプ部分16-1Bとの係合部)、及び後側係止具40の上端部と基体32の右側端部との接合部(回動支持部40-1と軸受部材32-4との嵌合部)から構成される。そのため、図7のように積荷がラインМにて示すようにバケット12の前部に偏在した場合においては、手押し一輪車は前部が下がり、後部が上がるように4節リンク機構の各辺は自在に回動する。また、図8のように積荷がラインМ´にて示すようにバケット12の後部に偏在した場合においては、手押し一輪車は前部が上がり、後部が下がるように4節のリンク機構の各辺は自在に回動する。そして、基体32は重心位置に形成されたクレーン掛装用孔32-2(図5も参照)にC状の中継環48を介して回動及び滑動可能に連結されているため、基体32は積荷不均衡下を解消するべく所期の傾斜位置を取ることができ重量バランスの均衡化機能が損なわれることがない。
【0021】
本実施形態においては、フレーム16が全周にわたるバケット支持枠16-1を備えたタイプの手押し一輪車について説明しているが、本発明の思想はこのような構成に限定されることなく、前側係止具及び後側係止具の回動動作によりフレームを車体前後において支持可能な手押し一輪車であれば(一例として例えば特開2021-172180に記載のもの)、本発明のアタッチメントによる吊上げ動作は可能である。
【符号の説明】
【0022】
10…手押し一輪車
12…バケット
12-1…バケットの張出部
14…車輪
16…フレーム
16-1…フレームのバケット支持枠
16-1A…バケット支持枠の車体前側部分
16-1B…バケット支持枠の車体後側部分
30…アタッチメント
32…基体
32-2…クレーンの吊上げ金具との掛装用孔
32-3…基体における前側の軸受部材
32-4…基体における前側の軸受部材
38…前側係止具
38-1…前側係止具の回動支持部
38-2…前側係止具のアーム
38-3…前側係止具のフック
40…後側係止具
40-1…後側係止具の回動支持部
40-2…後側係止具のアーム
40-3…後側係止具のフック
48…中継環
50…クレーンの吊り金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8