IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トミーテックの特許一覧

<>
  • 特開-玩具 図1
  • 特開-玩具 図2
  • 特開-玩具 図3
  • 特開-玩具 図4
  • 特開-玩具 図5
  • 特開-玩具 図6
  • 特開-玩具 図7
  • 特開-玩具 図8
  • 特開-玩具 図9
  • 特開-玩具 図10
  • 特開-玩具 図11
  • 特開-玩具 図12
  • 特開-玩具 図13
  • 特開-玩具 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154141
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 29/22 20060101AFI20241023BHJP
   A63H 17/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A63H29/22 E
A63H29/22 G
A63H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067799
(22)【出願日】2023-04-18
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】306009927
【氏名又は名称】株式会社トミーテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 俊之
(72)【発明者】
【氏名】永瀧 琢也
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 建
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150DA06
2C150EB01
2C150FA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、さらなる製品コストの上昇を抑えることができる配線構造を持つ玩具を提供すること。
【手段】 モータと、ボタン電池を収容するための電池収容室と、が設けられた本体と、
前記ボタン電池を嵌め込んだ状態で保持するとともに、前記電池収容室に設けられた電池ホルダと、を備え、前記電池ホルダには、前記本体の外部から回動操作可能な操作部が付設され、前記ボタン電池の周面の電極は、前記電池ホルダを回動操作したときに、前記電池ホルダの回動位置に応じて、前記モータの1つの端子に接触又は離間するように構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータを駆動せるための電源となるボタン電池と、が設けられた玩具であって、
前記モータと、前記ボタン電池を収容するための電池収容室と、が設けられた本体と、
前記ボタン電池を嵌め込んだ状態で保持するとともに、前記電池収容室に設けられた電池ホルダと、を備え、
前記電池ホルダには、前記本体の外部から回動操作可能な操作部が付設され、
前記ボタン電池の周面の電極は、前記電池ホルダを回動操作したときに、前記電池ホルダの回動位置に応じて、前記モータの1つの端子に接触又は離間するように構成されている、
ことを特徴とする玩具。
【請求項2】
前記電池ホルダは前記電池収容室に対して着脱可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記本体は、玩具車両であって、前記電池収容室は下方に開口を有し、前記ボタン電池を保持した前記電池ホルダは、前記ボタン電池の周面側から前記開口に対して着脱される、ことを特徴とする請求項2に記載の玩具。
【請求項4】
前記開口の一部を閉塞し、前記電池ホルダの脱落を防止する閉塞部材が設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の玩具。
【請求項5】
前記モータは、モータ軸が前記玩具車両の前後方向で水平面に対して傾斜するように設けられ、モータハウジングにおける前記モータ軸が突出する側とは反対側の端部に前記1つの端子が設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の玩具。
【請求項6】
前記操作部は、前記電池ホルダを前記電池収容室に装着したとき、前記開口の下に突出する、ことを特徴とする請求項3に記載の玩具。
【請求項7】
前記ボタン電池を保持した前記電池ホルダは、前記操作部の回動操作によって、前記ボタン電池の中心から偏心した位置を中心に回動する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関し、特に、ボタン電池及びモータを搭載する玩具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボタン電池を電池収容ケースに収容し、且つ、ボタン電池を使用するカードゲーム等の本体ケ-スに装着し、電池ホルダを回転させることにより、本体ケースに設けられた電池ばねにボタン電池を接触又は離隔させるようにした、ボタン電池のスイッチ機構が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-186656号公報(実願昭59-72789号全文)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のスイッチ機構を用いれば、スイッチ機構を必要とする玩具において、ボタン電池及び電池ホルダをスイッチ機構として構成できるので、別に、電源スイッチを設ける必要がないため、玩具の部品点数が減る分、製品コストの上昇を抑えることができる。
このように電気回路の構造変更は製品コストの上昇を抑えるのに有効である。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、さらなる製品コストの上昇を抑えることができる配線構造を持つ玩具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
モータと、前記モータを駆動せるための電源となるボタン電池と、が設けられた玩具であって、
前記モータと、前記ボタン電池を収容するための電池収容室と、が設けられた本体と、
前記ボタン電池を嵌め込んだ状態で保持するとともに、前記電池収容室に設けられた電池ホルダと、を備え、
前記電池ホルダには、前記本体の外部から回動操作可能な操作部が付設され、
前記ボタン電池の周面の電極は、前記電池ホルダを回動操作したときに、前記電池ホルダの回動位置に応じて、前記モータの1つの端子に接触又は離間するように構成されている、
ことを特徴とする。
なお、ここで「電池収容室」とは、電池収容室として区画されたものに限らず、ボタン電池が電池ホルダを介して設置される空間を広く指すものとする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記電池ホルダは前記電池収容室に対して着脱可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記本体は、玩具車両であって、前記電池収容室は下方に開口を有し、前記ボタン電池を保持した前記電池ホルダは、前記ボタン電池の周面側から前記開口に対して着脱される、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、前記開口の一部を閉塞し、前記電池ホルダの脱落を防止する閉塞部材が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第3の手段であって、前記モータは、モータ軸が前記玩具車両の前後方向で水平面に対して傾斜するように設けられ、モータハウジングにおける前記モータ軸が突出する側とは反対側の端部に前記1つの端子が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第3の手段であって、前記操作部は、前記電池ホルダを前記電池収容室に装着したとき、前記開口の下に突出する、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1~第6のいずれかの手段であって、前記ボタン電池を保持した前記電池ホルダは、前記操作部の回動操作によって、前記ボタン電池の中心から偏心した位置を中心に回動する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、ボタン電池の周面がモータの一の端子に直接離接するので、ボタン電池と一の端子との間の接続部品が不要となり、その分、製品コストの上昇を抑えることができる。また、配線構造が簡素化されるため組み立てが容易となる。
【0013】
第2の手段によれば、ボタン電池を嵌め込んだ状態で電池ホルダを着脱できるので、ボタン電池の着脱が容易となる。
【0014】
第3の手段によれば、玩具車両の下方からボタン電池及び電池ホルダを着脱できるので、開口が視認できる状態でも、見栄えを害することが少なくなる。
【0015】
第4の手段によれば、ボタン電池及び電池ホルダの脱落を確実に防止することができる。
【0016】
第5の手段によれば、モータが斜めに設置されているので、玩具車両の前後方向の長さを小さくすることができる。
【0017】
第6の手段によれば、操作部が開口の下に突出するので、玩具車両の走行時には見えにくく、意匠性を害することもない。また、操作部が開口から突出しているので、操作し易い。
【0018】
第7の手段によれば、簡単に、ボタン電池の周面をモータの一の端子に確実に離接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】軌道走行バス玩具を示した斜視図である。
図2】軌道走行バス玩具の軌道を示した平面図である。
図3】バス車両の動力ユニットの斜視図である。
図4】バス車両の動力ユニットの斜視図である。
図5】動力ユニットの底面図である。
図6】操舵機構の底面図である。
図7】後部ブロックの左の分割ブロックを取り除いた状態を示す動力ユニットの側方斜視図である。
図8】減速歯車機構を示した斜視図である。
図9】DCモータとボタン電池及び電池ホルダとを示した側面図である。
図10】ボタン電池及び電池ホルダを離脱させた状態の後部ブロックの内部を示した動力ユニットの側面図である。
図11】ボタン電池及び電池ホルダの斜視図である。
図12】電池ホルダの斜視図である。
図13】ボタン電池及び電池ホルダを離脱させた状態の動力ユニットを底面側から見た斜視図である。
図14】モータ駆動回路の配線構造を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
《遊び方》
図1は、軌道走行バス玩具100を示した斜視図、図2は、軌道走行バス玩具100の軌道10を示した平面図である。
この軌道走行バス玩具100は,バス車両(玩具車両)20と、バス車両20が走行するループ状の軌道10とを備えている。この軌道走行バス玩具100の遊び方を説明すれば次の通りである。
【0022】
バス車両20の電源スイッチSW(図3参照)をONにし、バス車両20を所定の向きにして軌道10上に乗せる。すると、バス車両20は軌道10の上を所定方向に走行する。そして、バス車両20がバス停を構成する操作盤11の箇所に至ったとき、操作盤11の操作レバー12が軌道10に対して離間位置にあると、バス車両20がそこで停車する。その後、操作レバー12を軌道10に対して接近させると、バス車両20が再び走り出す。
また、操作レバー12を軌道10に対して接近させたままの状態にしておくと、操作盤11の箇所にバス車両20が至っても、バス停で停車せずにそのまま通過する。
なお、遊び終わったら、バス車両20の電源スイッチSWをOFFにする。
以下、この軌道走行バス玩具100について、軌道10及びバス車両20の順に詳しく説明する。
【0023】
《軌道10》
(軌道の形)
軌道10は、平面状の複数の直線状の小片及び曲線状小片を適宜に連結してループ状に構成されている。ここで、直線状の小片及び曲線状小片の本体は非磁性体である例えばプラスチックによって構成されている。また、小片同士の連結は、例えば、一方の小片の凸部を他方の小片の凹部に嵌合させることにより行われる。
【0024】
(軌道10の内部)
軌道10の走行路の幅方向中央には、強磁性体からなるワイヤ15が走行方向全域に亘って設けられている。そして、ワイヤ15とバス車両20との間に働く磁力によってバス車両20の走行時の操舵が行われる。この操舵機構についてはバス車両20の説明の箇所で説明する。
【0025】
(操作盤11)
操作盤11は軌道10に対して着脱可能に構成されている。勿論、操作盤11は軌道10に対して最初から固定されていてもよい。
【0026】
操作盤11には、操作レバー12が設けられている。操作レバー12は、軌道10の走行路に直交する方向に往復操作可能に構成されている。この操作レバー12には、軌道10の下まで延びるスライド板(図示せず)が連結されており、このスライド板には永久磁石が固定して取り付けられている。そして、操作レバー12が軌道10に対して離れる方向(引く方向)に操作されると、当該永久磁石の磁力の影響を受けて、バス車両20が停止する。この構成についてはバス車両20の説明の箇所で説明する。
【0027】
《バス車両20》
(動力ユニット21)
図3及び図4は、バス車両20の動力ユニット21の斜視図である。
バス車両20は、動力ユニット21にボディを被せることによって構成されている。
動力ユニット21は、前後方向に長尺である略直方体状となっている。この動力ユニット21の本体は、前部ブロック22と後部ブロック23とから構成されている。前部ブロック22及び後部ブロック23は、さらに、左右の2つの分割ブロックで構成され、各左右の分割ブロックはねじによって互いに結合されている。
【0028】
前部ブロック22は、図3及び図4に示すように、後部ブロック23に対して前後方向で離接可能に構成されている。
すなわち、後部ブロック23には、前方に突出する直棒状のレール23aが設けられている。このレール23aには、前後方向に長尺な長孔23bが形成されている。
一方、前部ブロック22には、レール23aが挿入される貫通孔22aが形成されている。
そして、レール23aの長孔23bには、前部ブロック22に設けられた円柱状の雌ねじ付きボス(図示せず)が挿入されている。当該雌ねじ付きボスには、前部ブロック22の左右の分割ブロックを互いに結合するための雄ねじ22bが螺合されている。
これによって、動力ユニット21は前後方向に伸縮可能となっている。そして、動力ユニット21の全長に応じた長さのボディを被せることで、全長の異なる軌道走行バス玩具100を構成することができる。
【0029】
(前輪32L、32R)
図5は、動力ユニット21の底面図、図6は、操舵機構24の底面図である。
前部ブロック22には操舵機構24を介して左右の前輪32L、32Rが取り付けられている。
すなわち、操舵機構24は、左右の前輪32L、32Rが取り付けられた左右のナックルアーム25L、25Rと、左右のナックルアーム25L、25Rを互いに結ぶタイロッド26と、タイロッド26に連結されタイロッド26を動作させる入力アーム27とを備えている。これら左右のナックルアーム25L、25R、タイロッド26及び入力アーム27は、前部ブロック22に係合する係合部材29によって、前部ブロック22に取り付けられている。
【0030】
ここで、左右のナックルアーム25L、25Rは左右の軸28L、28Rを中心に回動可能に構成されている。また、入力アーム27は、後端部のピン27aがタイロッド26の長孔26aに係合するとともに、中間部の軸27bを中心に回動可能となっている。この入力アーム27の先端部には永久磁石30が固定して取り付けられている。
この操舵機構24によれば、バス車両20が走行する際に、入力アーム27の永久磁石30が、磁力によって、軌道10に設けられたワイヤ15に引き寄せられる。これによって、タイロッド26、左右のナックルアーム25L、25Rが動作して左右の前輪32L、32Rの向きが変わり、バス車両20が軌道10に沿うように操舵される。
【0031】
(後輪33L、33R)
図7は、後部ブロック23の左の分割ブロックを取り除いた状態を示す動力ユニット21の側方斜視図である。
後部ブロック23には左右の後輪33L、33R(図5参照)が取り付けられている。この左右の後輪33L、33Rは動輪となっている。
すなわち、後部ブロック23にはDCモータ34が設けられている。DCモータ34は、モータハウジング34aからモータ軸34bが後方斜め上方に延在するような向きに設置されている。このDCモータ34の動力によって減速歯車機構35を介して左右の後輪33L、33Rが駆動される。
【0032】
図8は、減速歯車機構35を示した斜視図である。
減速歯車機構35は、モータ軸に付設されたウォーム35aと、大径歯車及び小径歯車の組が一体となった二重歯車35b~35dと、後輪車軸36に固定された歯車35eとから構成されている。モータ動力は、ウォーム35a、二重歯車35b~35d、歯車35eをこの順に介して後輪車軸36に伝達され、左右の後輪33L、33Rが回転駆動される。
【0033】
(モータ34の端子T1、T2)
図9は、DCモータ34とボタン電池40及び電池ホルダ42とを示した側面図である。
モータハウジング34aの尻には、ボタン電池40からプラス電源を取るための端子T1が形成されている。また、モータハウジング34aの外周は、後述のボタン電池40からマイナス電源を取るための端子T2となっている。このうち端子T1は、後述の電池収容室41内に露出している。
【0034】
(電池収容室41)
図10は、ボタン電池40及び電池ホルダ42を離脱させた状態の後部ブロック23の内部を示した動力ユニット21の側面図である。
後部ブロック23には、下方に開口する電池収容室41が形成されている。電池収容室41には、ボタン電池40を起立させた状態で電池ホルダ42ごと開口から着脱可能となっている。ボタン電池40を電池ホルダ42ごと装着した状態は図7に示されている。
なお、ボタン電池40及び電池ホルダ42は、ここでは、ボタン電池40の一端面が左、他端面が右を向いた状態で電池収容室41に対して着脱される。
【0035】
(ボタン電池40及び電池ホルダ42)
図11は、ボタン電池40及び電池ホルダ42の斜視図、図12は、電池ホルダ42の斜視図である。
ボタン電池40は、短円柱状に形成され、上記一端面及び周面がプラス電極、上記他端面がマイナス電極となっている。ここでは、特に制限はされないが、ボタン電池40としてLR44が用いられている。
【0036】
電池ホルダ42は、ボタン電池40が一端面側から嵌め込み可能に構成され、嵌め込み状態でボタン電池40を保持する。
すなわち、電池ホルダ42は、ボタン電池40のプラス電極側の一端面が当接される端面当接部43と、ボタン電池40の周面の一部が当接される周面当接部44とを備えている。周面当接部44の内面は、ボタン電池40の周面に当接するように弧状に形成されている。
周面当接部44は、端面当接部43に固定された一対の固定部44a、44bと、固定部44bに基端部が連結された可動部44cとから構成されている。固定部44bには操作レバー44dが形成されている。
ここで、一対の固定部44a、44bは、ボタン電池40が電池ホルダ42に嵌め込まれた状態で見ると、ボタン電池40の中心を挟んで互いに対向した位置に設けられている。また、可動部44cの先端部は固定部44aの近くまで延びている。この可動部44cは、弾性を有しており、ボタン電池40が嵌め込まれる際に弾性変形して、その弾性力によってボタン電池40の周面の一部に当接される。
なお、電池ホルダ42において、可動部44cに対向する部分には、周面当接部が無く、そこからは、電池ホルダ42に嵌め込んだボタン電池40の周面の一部が露出する。
【0037】
(ボタン電池40の装着)
図13は、ボタン電池40及び電池ホルダ42を離脱させた状態の動力ユニット21を底面側から見た斜視図である。
ボタン電池40は、電池ホルダ42に嵌め込まれた状態で、電池収容室41の開口から装着される。そして、装着状態では、電池ホルダ42の操作レバー44dが開口下に突出する(図7参照)。
【0038】
(閉塞部材45)
後部ブロック23には、電池収容室41の開口の一部を閉塞するための閉塞部材45が着脱可能に設けられている。
すなわち、閉塞部材45は、雄ねじ46を後部ブロック23の雌ねじ23aに螺合させることよって、後部ブロック23に取り付けられ、雄ねじ46を緩めることにより後部ブロック23から取り外される。
この閉塞部材45が取り外された状態で、ボタン電池40が嵌め込まれた電池ホルダ42が着脱される。閉塞部材45が後部ブロック23に螺着された状態では、閉塞部材45の一部が電池ホルダ42の外周に当接し、電池ホルダ42の下方への脱落が防止される。
【0039】
電池収容室41は、操作レバー44dを除き、電池ホルダ42がちょうど収まる大きさとなっている。そして、電池ホルダ42は、電池収容室41に装着された状態で、操作レバー44dの操作によって、周面当接部44の外面が電池収容室41の壁に摺接して、ボタン電池40の中心から偏心した位置を中心に第1位置と第2位置との間で回動(公転)する。
周面当接部44の外面と電池収容室41の壁との摺接は、周面当接部44の外面全体が同時に摺接する必要はなく、周面当接部44の外面の互いに離れた3点以上の箇所で同時に摺接するものであればよい。
そして、電池ホルダ42の回動に伴って、第1位置では、ボタン電池40の周面の一部がDCモータ34の端子T1に接触し、第2位置ではボタン電池40の周面がDCモータ34の端子T1から離れる。これによって、DCモータ34へのプラス電源の供給及び供給遮断が行われる。つまり、実施形態のボタン電池40及び電池ホルダ42は電源スイッチSWとしても機能する。
【0040】
次に、モータ駆動回路の配線構造について説明する。
図14は、モータ駆動回路の配線構造を示した斜視図である。
上述のように、DCモータ34の端子T1にはボタン電池40の周面が離接可能となっており、DCモータ34の端子T1にボタン電池40の周面が接触した時にボタン電池40からプラス電源が供給される。
また、電池収容室41に装着されたボタン電池40のマイナス電極は、電池収容室41内に設置された端子板49に接触している。
端子板49には、一端がモータ34の端子T2に接続された導線(配線)46の他端が接続されている。
そして、導線46の途中にはリードスイッチ47が介装されている。リードスイッチ47は常閉式のスイッチである。つまり、図示はしないが、例えば、リードスイッチ47の近接位置には別の固定磁石が設置され、バイアス効果により常閉スイッチとして動作するようになっている。この場合、操作レバー12に連結された逆磁性の永久磁石を近づけると、磁力線が打ち消し合い、リードスイッチ47が開く。
これにより、操作レバー12に連結された永久磁石の上に至るとリードスイッチ47が開かれ、DCモータ34に供給される電流が遮断され、DCモータ34が停止する。また、操作レバー12を軌道10に対して接近する方向(押し込む方向)に操作すると、永久磁石がリードスイッチ47の下から退くため、リードスイッチ47が閉じられ、DCモータ34に電流が供給され、バス車両20が走行状態となる。
【0041】
《実施形態の効果》
以上のように構成された軌道走行バス玩具100によれば次のような主たる効果を奏する。
ボタン電池40を嵌め込んだ電池ホルダ42ごと、電池収容室41に対して装着及び取外しができるので、ボタン電池40の取扱いが簡単となる。
【0042】
ボタン電池40を嵌め込んだ電池ホルダ42ごと電池収容室41に装着した状態で、電池ホルダ42を操作すると、ボタン電池40とDCモータ34の端子T1とが直接的に接続されるので、モータ駆動回路の配線構造が簡素化される。また、電池ホルダ42の操作によって、モータ駆動回路が開閉されるので、別途、開閉スイッチを設ける必要がなくなるので、部品点数を少なくすることができる。
【0043】
ボタン電池40は、ボタン電池40の中心から偏心した位置を中心に第1位置と第2位置との間で回動(公転)するので、ボタン電池40の周面をDCモータ34の端子T1に確実に離接させることができる。
【0044】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、その要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、軌道走行バス玩具100について説明したが、鉄道玩具のバス車両その他、モータを搭載する玩具一般に適用することができる。
【0045】
また、電池収容室41に、電池ホルダ42を装着するに際して、ボタン電池40の端面に平行に装着するようにしたが、当該端面に直交する方向から電池ホルダ42を装着するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、電池収容室41に対して電池ホルダ42が着脱可能となっていたが、電池ホルダ42が電池収容室41に予め組み付けられ、そこにボタン電池40を嵌め込む構造であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、モータハウジング34aに尻に端子T1を持つDCモータ34の場合を説明したが、その他のモータにも適用できる。
【0048】
また、上記実施形態では、電池ホルダ42の脱落防止用に閉塞部材45を設けたが、脱落が防げる構造となっていれば、閉塞部材45を設ける必要はない。例えば、電池ホルダ42を横から入れたり、電池ホルダ42を保持するための爪や板ばねその他の構造を設けることによって、電池ホルダ42の脱落を防げるのであれば、閉塞部材45を省略できる。
【符号の説明】
【0049】
10 軌道
20 バス車両(玩具車両)
21 動力ユニット
22 前部ブロック
23 後部ブロック
24 操舵機構
32L、32R 前輪
33L、33R 後輪
34 DCモータ
34a モータハウジング
34b モータ軸
35 減速歯車機構
40 ボタン電池
41 電池収容室
42 電池ホルダ
43 端面当接部
44 周面当接部
44a、44b 固定部
44c 可動部
44d 操作レバー
45 閉塞部材
49 端子板
100 軌道走行バス玩具
SW 電源スイッチ
T1、T2 端子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14