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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154161
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】聴取装置用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20241023BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
H04R25/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067835
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115636
【氏名又は名称】リオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】添田 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】弥永 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆志
(72)【発明者】
【氏名】芝 操枝
(72)【発明者】
【氏名】芝 幹雄
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BE03
(57)【要約】
【課題】安定性と開放感とを両立させた聴取装置用アタッチメントの提供。
【解決手段】アタッチメント100は、発音体90を受け入れる受入部110と、装用時に耳珠に対向する耳珠対向部120と、装用時に対珠に対向する対珠対向部130とを有している。耳珠対向面及び対珠対向面は、それぞれ複数の外耳形状を平均化した耳型統計形状における耳珠及び対珠に沿うような形状をなしていることから、アタッチメント100は想定される位置に嵌り易くずれ難いため、耳に対し発音体90を安定して保持することができる。また、装用時には、耳珠対向部120の端部の近傍において外耳道入口の一部が塞がれずに開放された状態で維持されるため、開放感を確保することができる。そして、発音体90の概ね全体が耳珠対向部120と対珠対向部130とに挟まれた空間に収まるため、筐体92が想定外の態様で外耳に接触してユーザに不快感を与えるのを防ぐことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴取装置を構成する発音体の外殻に対して着脱可能な聴取装置用アタッチメントであって、
前記外殻の少なくとも一部を取り囲んで前記発音体を固定する受入部と、
それぞれが前記受入部の外面から突出して耳の異なる部位に対向する複数の対向部と
を備え、
前記聴取装置用アタッチメントが取り付けられた前記発音体の装用時に、個々の前記対向部が耳の異なる部位に接することで前記発音体を耳甲介内に保持し、前記複数の対向部のうち耳珠に対向する部位の近傍において外耳道入口の一部を開放することを特徴とした聴取装置用アタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の聴取装置用アタッチメントにおいて、
前記複数の対向部は、
耳珠に対向する第1曲面を有した耳珠対向部と、対珠に対向する第2曲面を有した対珠対向部とを含み、
前記耳珠対向部及び前記対珠対向部は、
それぞれの一端部が接続する接続部において前記第1曲面及び前記第2曲面が滑らかに交差するとともに、それぞれの長手方向において前記一端部の反対側に位置する他端部の表面が曲面をなしており、
前記装用時に、前記耳珠対向部と前記対珠対向部とに挟まれた空間に前記発音体が収められ、前記接続部が珠間切痕付近に適合し、前記耳珠対向部の前記他端部の近傍において外耳道入口の一部を開放することを特徴とする聴取装置用アタッチメント。
【請求項3】
請求項2に記載の聴取装置用アタッチメントにおいて、
前記受入部と前記耳珠対向部と前記対珠対向部とに囲まれて形成された貫通孔をさらに有した聴取装置用アタッチメント。
【請求項4】
請求項1に記載の聴取装置用アタッチメントにおいて、
前記複数の対向部は、
耳珠に対向する第1曲面を有した耳珠対向部と、対珠に対向する第2曲面を有した対珠対向部とを含み、
前記耳珠対向部及び前記対珠対向部は、
それぞれの一端部の間に間隙を有しているとともに、それぞれの長手方向において前記一端部の反対側に位置する他端部の表面が曲面をなしており、
前記装用時に、前記耳珠対向部と前記対珠対向部とに挟まれた空間に前記発音体が収められ、前記間隙が珠間切痕付近に位置し、前記耳珠対向部の前記他端部の近傍において外耳道入口の一部を開放することを特徴とする聴取装置用アタッチメント。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の聴取装置用アタッチメントにおいて、
前記耳珠対向部及び前記対珠対向部は、
少なくとも一方が、前記受入部の外面から外方に伸びてその前記他端部が前記受入部から離れており、ばね性を有していることを特徴とする聴取装置用アタッチメント。
【請求項6】
請求項1に記載の聴取装置用アタッチメントにおいて、
前記複数の対向部は、
耳珠に対向する曲面を有した耳珠対向部と、耳甲介の後部に接する細長く伸びてばね性を有した梁状部とを含み、
前記装用時に、前記梁状部が非装用時よりも前記受入部の側に屈曲された状態で対耳輪に沿わせて装用され、耳珠対向部の近傍において外耳道入口の一部を開放することを特徴とする聴取装置用アタッチメント。
【請求項7】
請求項1に記載の聴取装置用アタッチメントにおいて、
前記複数の対向部は、
外耳道入口の上部に対向する第1曲面を有した外耳道入口上部対向部と、珠間切痕に適合する形状を有しており端部が耳珠に対向する珠間切痕適合部と、対珠に対向する第2曲面及び耳甲介の後部に対向する第3曲面を有した耳甲介後部対向部とを含み、前記珠間切痕適合部の前記端部と前記外耳道入口上部対向部との間に間隙を有しており、
前記装用時に、前記珠間切痕適合部が珠間切痕付近に適合し、前記第1曲面と前記第2曲面と前記第3曲面とにより前記発音体を耳甲介内に保持して、前記珠間切痕適合部の前記端部の近傍において外耳道入口の一部を開放することを特徴とする聴取装置用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外耳に装用されるイヤホンや補聴器等の聴取装置に対して着脱可能なアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
聴取装置を装用する際に、ユーザの耳に合わせたアタッチメントが使用される。一般的なアタッチメントは外耳道を塞ぐものが多く、良好な装用感が得られにくい。また、外耳道を塞がないものも存在するが、それらは耳朶に引っ掛けるような構造をなしていることから、形状が比較的大きい。大きなアタッチメントは、補聴器のように常時使用するものの場合には特に、耳に対し大きな負荷になる。
【0003】
そのような背景の下、保持力や装着感を向上するために様々なアタッチメントが開発されている(例えば、特許文献1-3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-522042号公報
【特許文献2】特開2016-63276号公報
【特許文献3】特開2020-161984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたアタッチメント(イヤピース)は、スカート状に形成された保持部全体が耳甲介の広い領域に接するものであり、外耳道の大半が塞がれてしまう。また、特許文献2に記載されたアタッチメント(スピーカカバー)や特許文献3に記載されたアタッチメントは、それ自体は大きくないが、それが取り付けられた聴取装置を装用する際には、やはり外耳道の大半が塞がれてしまう。外耳道の大半が塞がれると、開放感が損なわれて不快感の要因となりうる。アタッチメントの本来の役割は、聴取装置を耳に安定して保持することであるが、聴取装置を快適に装用するためには開放感の確保も重要である。
【0006】
そこで、本発明は、安定性と開放感とを両立させた聴取装置用アタッチメントの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の聴取装置用アタッチメントを採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
すなわち、本発明の聴取装置用アタッチメントは、聴取装置を構成する発音体の外殻に対して着脱可能な聴取装置用アタッチメントであって、外殻の少なくとも一部を取り囲んで発音体を固定する受入部と、それぞれが受入部の外面から突出して耳の異なる部位に対向する複数の対向部とを備えており、聴取装置用アタッチメントが取り付けられた発音体の装用時に、個々の対向部が耳の異なる部位に接することで発音体を耳甲介内に保持し、複数の対向部のうち耳珠に対向する部位の近傍において外耳道入口の一部を開放する(第1態様)。
【0009】
この態様の聴取装置用アタッチメントによれば、複数の対向部が耳の異なる部位に接するため、発音体を安定して保持することができるとともに、耳珠に対向する部位の近傍において外耳道入口の一部が塞がれずに開放された状態で維持されるため、開放感を得ることができる。
【0010】
好ましくは、上述した第1態様の聴取装置用アタッチメントにおいて、複数の対向部は、耳珠に対向する第1曲面を有した耳珠対向部と、対珠に対向する第2曲面を有した対珠対向部とを含み、耳珠対向部及び対珠対向部は、それぞれの一端部が接続する接続部において第1曲面及び第2曲面が滑らかに交差するとともに、それぞれの長手方向において一端部の反対側に位置する他端部の表面が曲面をなしており、装用時に、耳珠対向部と対珠対向部とに挟まれた空間に発音体が収められ、接続部が珠間切痕付近に適合し、耳珠対向部の他端部の近傍において外耳道入口の一部を開放する(第2態様)。或いは、耳珠対向部及び対珠対向部は、それぞれの一端部の間に間隙を有しているとともに、それぞれの長手方向において一端部の反対側に位置する他端部の表面が曲面をなしており、装用時に、耳珠対向部と対珠対向部とに挟まれた空間に発音体が収められ、間隙が珠間切痕付近に位置し、耳珠対向部の他端部の近傍において外耳道入口の一部を開放する(第3態様)。
【0011】
第2態様又は第3態様の聴取装置用アタッチメントによれば、耳珠対向部が耳珠に接しつつ対珠対向部が対珠に接するため、発音体を安定して保持することができるとともに、耳珠対向部の他端部の近傍において外耳道入口の一部が塞がれない状態で維持されるため、開放感を得ることができる。また、耳に接しうる各面が曲面をなしているため、ユーザは不快感や違和感を覚えることなく発音体を装用することができる。
【0012】
より好ましくは、第2態様又は第3態様の聴取装置用アタッチメントにおいて、耳珠対向部及び対珠対向部は、少なくとも一方が、受入部の外面から外方に伸びてその他端部が受入部から離れており、ばね性を有している。
【0013】
この態様の聴取装置用アタッチメントによれば、耳珠対向部や対珠対向部が受入部の外面から外方に伸びて長尺を有しているため、耳甲介に対する接触面積が増え、これらがばね性を有しているため、耳甲介の形状に柔軟に追従させることができるとともにばねの反発力により保持力が高まるため、発音体をより安定して保持することができる。
【0014】
また、好ましくは、上述した第1態様の聴取装置用アタッチメントにおいて、複数の対向部は、外耳道入口の上部に対向する第1曲面を有した外耳道入口上部対向部と、珠間切痕に適合する形状をなしており端部が耳珠に対向する珠間切痕適合部と、対珠に対向する第2曲面及び耳甲介の後部に対向する第3曲面を有した耳甲介後部対向部とを含み、珠間切痕適合部の端部と外耳道入口上部対向部との間に間隙を有しており、装用時に、珠間切痕適合部が珠間切痕付近に適合し、第1曲面と第2曲面と第3曲面とにより発音体を耳甲介内に保持して、珠間切痕適合部の端部の近傍において外耳道入口の一部を開放する。
【0015】
この態様の聴取装置用アタッチメントによれば、珠間切痕適合部が珠間切痕に適合する形状をなしているため、装着時にアタッチメントの位置決めを容易に行うことができるとともに、装用時のずれを防止することができる。また、外耳道入口上部対向部が外耳道入口の上部(上側の壁面)に接し、耳甲介後部対向部が対珠及び耳甲介後部に接するため、発音体を安定して保持することができるとともに、珠間切痕適合部の端部の近傍において外耳道入口の一部が塞がれない状態で維持されるため、開放感を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の聴取装置用アタッチメントによれば、安定性と開放感とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のアタッチメント100を示す平面図及び底面図である。
図2】発音体90を単体で示す図及び発音体90にアタッチメント100が取り付けられた状態を示す図である。
図3】アタッチメント100を示す側面図及び部分断面図(図1中のIII-III線に沿う断面図)である。
図4】アタッチメント100が耳型統計形状AEに嵌った状態を示す図である。
図5】対珠対向部のサイズのバリエーションを示す図である。
図6】第1実施形態の第1変形例としてのアタッチメント200を示す平面図及び底面図である。
図7】発音体90にアタッチメント200が取り付けられた状態を示す図である。
図8】第1変形例における対珠対向部のサイズのバリエーションを示す図である。
図9】第1実施形態の第2変形例としてのアタッチメント300を示す平面図及び側面図である。
図10】アタッチメント300が耳型統計形状AEに嵌った状態を示す図である。
図11】第2実施形態のアタッチメント400を示す平面図及び底面図である。
図12】発音体90にアタッチメント400が取り付けられた状態を示す図である。
図13】アタッチメント400が耳型統計形状AEに嵌った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施形態は聴取装置用アタッチメント(以下、単に「アタッチメント」と称する。)の好ましい例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではない。説明の便宜のため、図面においては左耳用のアタッチメントを示し、その形状について、装用時に外側に露出される側の面を平面(上面)とし、その反対側、すなわち耳甲介に対向する側の面を底面(下面)として説明する。また、アタッチメントの部位に関し、外耳における方向に沿って上、下、前、後として示す場合がある。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態のアタッチメント100を示す平面図及び底面図である。
アタッチメント100は、イヤホンや補聴器等の聴取装置を構成する発音体の外殻(筐体)に対して着脱可能な構造を有した部品である。ここで、発音体とは、音響変換ユニットが筐体に収容されてなる、電気信号を振動に変換して音を発する又は伝える部位(骨伝導又は軟骨伝導の振動子を含む)のことであり、例えば、イヤホンにおけるスピーカ部や補聴器におけるレシーバ部等が該当する。
【0020】
アタッチメント100は、大別すると、発音体を受け入れる受入部110と、装用時に耳珠に対向する耳珠対向部120と、装用時に対珠に対向する対珠対向部130とで構成されており、これらの部位110,120,130が一体的に成形されている。
【0021】
受入部110は、略環状をなしており、受入孔112が穿孔されているとともに、その中心軸に沿う方向にある程度の厚みを有している。受入部110の内周面上には、その中心軸に対して略対称となる位置に突起113が1つずつ設けられている。受入部110は、受入孔112で発音体を受け入れ、突起113を発音体に設けられた窪みに嵌め込むことにより発音体を固定する。外耳に接触することとなる耳珠対向部120及び対珠対向部130は、軟質材料で形成してもよいし硬質材料で形成してもよい。
【0022】
耳珠対向部120及び対珠対向部130は、接続部140において相互に接続しているとともに、それぞれが受入部110の外面における異なる領域に接続している。言い換えると、耳珠対向部120及び対珠対向部130は、それぞれ受入部110の外面における異なる領域から異なる方向に突出しており、その一端部同士が接続部140において接続している。接続部140は、装用時に珠間切痕付近に位置する。また、アタッチメント100は、接続部140の近傍に、受入部110と耳珠対向部120と対珠対向部130とに囲まれて形成された貫通孔142を有している。貫通孔142の存在により、装用時に珠間切痕付近の領域が完全には塞がれないため、開放感を向上することができる。
【0023】
耳珠対向部120は、滑らかな曲面をなした面120aを有しており、面120aが耳珠の裏に接する。耳珠対向部120の長手方向における接続部140と反対側の端部120bは、その表面が滑らかに形成されている。また、対珠対向部130は、滑らかな曲面をなした面130aを有しており、面130aが対珠の裏に接する。対珠対向部130の長手方向における接続部140と反対側の端部130bは、その表面が滑らかに形成されている。面120a,130a及び端部120b,130bを滑らかな形状とすることにより、これらの部位が外耳に接触しても、ユーザは不快感や違和感を覚えることなくアタッチメント100を装用することができる。
【0024】
図1中(A)において受入孔112の輪郭の一部が対珠対向部130に隠れていることから分かるように、対珠対向部130は、その一部が受入孔112の上方に位置している。また、図1中(B)において受入孔112の輪郭の一部が耳珠対向部120に隠れていることから分かるように、耳珠対向部120は、その一部が受入孔112の下方に位置している。
【0025】
図2中(A)は、発音体90を示す平面図である。発音体90は、その外殻をなす筐体92と、筐体92に収容された不図示の音響変換ユニットと、音響変換ユニットに電気信号を入力するための被覆電線94とで構成されている。筐体92は、その厚み方向に貫通する貫通孔96を複数の箇所(図示の例においては4か所)に有しており、これらの貫通孔96も装用時における開放感の向上に寄与している。また、筐体92は、略円盤状をなしており、その中心軸に対して略対称となる位置に窪み98が3つずつ設けられている。
【0026】
図2中(B)は、発音体90にアタッチメント100が取り付けられた状態、すなわち受入部110が発音体90を受け入れた状態を示す平面図である。アタッチメント100を取り付ける際には、筐体92に設けられた窪み98に対しアタッチメント100の受入部110に設けられた突起113を合わせるようにして発音体90が嵌め込まれる。これにより、筐体92と受入部110とが係合し、発音体90がアタッチメント100に対して固定される。
【0027】
図2中(C)は、発音体90にアタッチメント100が取り付けられた状態を示す側面図である。受入部110の上下に筐体92の一部が見えていることから、受入部110が筐体92の外周面の一部を取り囲んでいることが分かる。筐体92は、概ね全体が耳珠対向部120と対珠対向部130とに挟まれた空間に収まっており、耳甲介に対向する筐体92の底部がアタッチメント100の外側に突出していない。このような配置とすることにより、筐体92が想定外の態様で外耳に接触してユーザに不快感を与えることを防止することができる。
【0028】
図3中(A)は、耳珠対向面120aの傾斜を視認し易い方向からアタッチメント100を示した側面図であり、図3中(B)は、対珠対向面130aの傾斜を視認し易い方向からアタッチメント100を示した側面図である。傾斜角度を把握し易くするために、これらの図においては、曲面である耳珠対向面120a及び対珠対向面130aを平面に単純化した場合における交差角度を示している。
【0029】
耳珠対向面120aは、受入部110の上端114に平行な仮想面に対し、角度θをなしている。対珠対向面130aは、受入部110の上端114に平行な仮想面に対し、角度θをなしている。このような耳珠対向面120aと対珠対向面130aとが受入部110の周方向に伸びて接続し合うことで、接続部140においては耳珠対向面120aと対珠対向面130aとが概ね角度θ(図示されていない)をなして滑らかに交差している。なお、「概ね」としたのは、耳珠対向面120a及び対珠対向面130aが曲面であり、実際には交差しても頂部が尖らないためである。
【0030】
これらの角度θ~θはいずれも、所定の母集団に属する複数の人から耳型を採取して得られた複数の外耳形状を平均化した耳型統計形状にアタッチメント100がぴたりと嵌まるような角度、より具体的には、耳珠対向面120aが耳型統計形状における耳珠の裏に沿い、対珠対向面130aが耳型統計形状における対珠の裏に沿い、接続部140が珠間切痕付近の形状に適合するような角度に設計されている。このような形状とすることにより、アタッチメント100を多くの人の外耳にフィットさせることができる。なお、耳型統計形状の元となる所定の母集団は、ランダムに集めた人で構成してもよいし、或いは、年齢や性別等によるカテゴリに属する人や複数のカテゴリの組み合わせ(例えば、或る年代以上の女性等)に属する人で構成してもよい。
【0031】
図3中(C)は、受入部110の一部を示す部分断面図(図1中のIII-III線に沿う断面図)である。受入部110においては、上端114及び下端115と外周面116との間をつなぐ角部117が丸く形成されている。アタッチメント100の装用時には、角部117の一部が耳甲介腔の表面に接する(外耳の形状によっては接しない場合もありうる)が、角部117が丸く形成されていることから、ユーザは不快感や違和感を覚えることなく装用することができる。
【0032】
図4は、アタッチメント100が耳型統計形状AEに嵌った状態、すなわちアタッチメント100が取り付けられた発音体90を装着した状態を示している。
【0033】
この発音体90を耳甲介に装着すると、図4中(A)に示されるように、耳珠対向部120が耳珠TRの裏に接し、対珠対向部130が対珠ATの裏に接し、接続部140が珠間切痕INに位置して、発音体90が耳甲介に嵌った状態で保持される。
【0034】
図4中(B)及び(C)は、それぞれ装用した状態における耳珠対向部120の耳珠TRの突端付近での断面及び対珠対向部130の対珠ATの突端付近での断面を示している。いずれの図においても、発音体90の内部構造については図示を省略している。これらの図から、耳珠対向面120aの形状が耳珠TRの表面形状に合致しており、対珠対向面130aの形状が耳珠ATの表面形状に合致していることが分かる。
【0035】
このように、耳珠対向面120aは耳珠TRの形状に沿うように形成されており、また、対珠対向面130aは対珠ATの形状に沿うように形成されているため、アタッチメント100は想定される位置に嵌り易く、ずれにくい。したがって、アタッチメント100を用いることにより、耳に対し発音体90を安定して保持することができる。
【0036】
また、耳珠対向部120の端部120bの近傍に外耳道ECが見えていることから、この位置において外耳道入口の一部が塞がれずに開放されていることが分かる。このように、アタッチメント100によれば、装用時に外耳道入口の一部が塞がれない状態で維持されるため、開放感を得ることができ、発音体90を快適に装用することが可能となる。
【0037】
図5は、対珠対向部のサイズのバリエーションを示す図である。
上述したアタッチメント100における対珠対向部130をSサイズとすると、図5中(A)は、Mサイズの対珠対向部132を有したアタッチメント102を示しており、図5中(B)は、Lサイズの対珠対向部134を有したアタッチメント104を示している。サイズの違いを把握し易くするために、各図中の対珠対向部132,134に対珠対向部130の輪郭を重ねて2点鎖線で示している。
【0038】
Mサイズの対珠対向部132は、Sサイズの対珠対向部130の約1.5倍の長さを有しており、先端部132bが受入部110から離れた位置にある。また、Lサイズの対珠対向部134は、Sサイズの対珠対向部130の約2倍の長さを有しており、先端部134bが受入部110からさらに離れた位置にあり、先端部134bの幅も広がっている。また、対珠対向部132,134は、ばね性を有している。対珠対向部132,134をより長い形状とすることにより、耳甲介に対する接触面積を増やすことができ、また、ばね性により、装用時に対珠対向部132,134を耳甲介の形状に柔軟に追従させながらばねの反発力を利用して保持力を高めることができるため、発音体90をより安定して保持することが可能となる。
【0039】
〔第1実施形態の第1変形例〕
図6は、第1実施形態の第1変形例としてのアタッチメント200を示す平面図及び底面図である。
以下の説明においては、第1実施形態と共通する点についての説明を適宜省略する。また、説明の便宜のため、第1実施形態の変形例や他の実施形態の構成部位のうち、第1実施形態の構成部位と同等のものについては、その符号の下2桁以下を第1実施形態の構成部位と同じ値で表すこととする。例えば、受入部は下2桁が「10」の符号で表され、耳珠対向部は下2桁が「20」の符号で表される。
【0040】
図6に示されるように、アタッチメント200は、耳珠対向部220と対珠対向部230とが接続しておらず、両者の間に間隙が設けられている点、及び、耳珠対向部220が伸長してばね性を有しており、その第1端部220bが受入部110から大きく離れている点において、上述したアタッチメント100と異なっている。
【0041】
アタッチメント200においては、耳珠対向部220と対珠対向部230とが接続しておらず、耳珠対向部220は第1端部220bの反対側に第2端部220cを有しており、対珠対向部230は第1端部230bの反対側に第2端部230cを有している。そして、耳珠対向面220a及び対珠対向面230aをそれぞれの第2端部を超えて延長させた仮想面同士の交差部Pが、装用時に珠間切痕付近に位置し、耳珠対向部220の第2端部220cと対珠対向部230の第2端部230cとの間に設けられた間隙もまた、珠間切痕付近に位置することとなる。このように、アタッチメント200によれば、装用時に珠間切痕付近の領域がほとんど塞がれないため、より大きな開放感を確保することができる。
【0042】
また、耳珠対向部220が伸長してばね性を有していることから、耳甲介に対する接触面積を増やすことができ、装用時に耳珠対向部220を耳甲介の形状に柔軟に追従させながらばねの反発力を利用して保持力を高めることができるため、発音体90をより安定して保持することが可能となる。
【0043】
図7は、発音体90にアタッチメント200が取り付けられた状態、すなわち受入部210が発音体90を受け入れた状態を示す平面図及び側面図である。
図7中(B)に示されるように、筐体92は、概ね全体が耳珠対向部220と対珠対向部230とに挟まれた空間に収まっており、筐体92の底部がアタッチメント200の外側に突出していない。このような配置とすることにより、筐体92が想定外の態様で外耳に接触してユーザに不快感を与えることを防止することができる。
【0044】
図示を省略するが、アタッチメント200における耳珠対向面220a及び対珠対向面230aの傾斜角度は、アタッチメント100と同様に、耳型統計形状に基づいて設計されている。また、このようなアタッチメント200が取り付けられた発音体90の装用時においても、耳珠対向部220の第1端部220bの近傍において、外耳道入口の一部が塞がれない状態で維持されるため、発音体90の快適な装用が可能となる。
【0045】
図8は、第1変形例における対珠対向部のサイズのバリエーションを示す図である。
上述したアタッチメント200における対珠対向部230をSサイズとすると、図8中(A)は、Mサイズの対珠対向部232を有したアタッチメント202を示しており、図8中(B)は、Lサイズの対珠対向部234を有したアタッチメント204を示している。サイズの違いを把握し易くするために、各図中の対珠対向部232,234に対珠対向部230の輪郭を重ねて2点鎖線で示している。
【0046】
Mサイズの対珠対向部232は、Sサイズの対珠対向部230を伸長させてばね性を持たせたものであり、Lサイズの対珠対向部234は、Mサイズの対珠対向部232をさらに伸長させてばね性を持たせたものである。対珠対向部232,234をこのような形状とすることにより、耳甲介に対する接触面積を増やすことができ、装用時に対珠対向部132,134を耳甲介の形状に柔軟に追従させながらばねの反発力を利用して保持力を高めることができる。また、アタッチメント202,204は、一旦装着されると耳珠対向部及び対珠対向部の2か所で反発力が作用するため、よりずれにくい。したがって、アタッチメント202,204を用いることにより、耳に対し発音体90をさらに安定して保持することが可能となる。
【0047】
〔第1実施形態の第2変形例〕
図9は、第1実施形態の第2変形例としてのアタッチメント300を示す平面図及び側面図である。
第2変形例のアタッチメント300は、上述した第1変形例のアタッチメント200をさらに変形させたものであり、対珠対向部に代えて、細長く伸びた梁状部350が設けられている点において、アタッチメント200と異なっている。なお、耳珠対向部320の形状は、アタッチメント200における耳珠対向部220の形状と同一である。
【0048】
図9中(A)に示されるように、耳珠対向部320及び梁状部350は、それぞれ受入部310の外面における異なる領域から異なる方向に突出している。また、図9中(B)に示されるように、梁状部350は、受入部310の外面に接続する梁根元部350aから斜め上方に少し伸びたところで屈曲し、緩やかに下方にカーブしながら梁先端部350bまで伸びている。梁状部350は、ばね性を有しており、初期状態よりも内側に撓った状態で装用され、梁状部350の外面が耳甲介の後部に接する。なお、梁状部350の形状はこれに限定されない。例えば、カーブの大きさや撓りの程度を異ならせたバリエーションを設けることも可能である。
【0049】
図10は、アタッチメント300が耳型統計形状AEに嵌った状態、すなわちアタッチメント300が取り付けられた発音体90を装着した状態を示している。
【0050】
この発音体90を耳甲介に装着する際には、耳珠対向部320が耳珠TRの裏に接し、梁根元部350a付近の部位が対珠ATの裏に接して、梁状部350は初期状態よりも受入部310側に丸めながら耳甲介舟に挿入され、対耳輪AHに沿わせるように装着されて、梁先端部350bが対耳輪下脚ICの下側に収められて、発音体90が耳甲介に嵌った状態で保持される。
【0051】
アタッチメント300は、耳珠対向部320の表面が耳珠TRの形状に沿うように形成されているとともにばね性を有しており、また、梁状部350もばね性を有しており装着時の変形により反発力を生じることから、一旦装着されると2か所で反発力が作用するため、よりずれにくい。したがって、アタッチメント300を用いることにより、耳に対し発音体90をさらに安定して保持することが可能となる。
【0052】
また、耳珠対向部320の端部320bの近傍に外耳道ECが見えていることから、この位置において外耳道入口の一部が塞がれずに開放されていることが分かる。このように、アタッチメント300によっても、装用時に外耳道入口の一部が塞がれない状態で維持されるため、ユーザは開放感を得ることができ、発音体90を快適に装用することが可能となる。
【0053】
〔第2実施形態〕
図11は、第2実施形態のアタッチメント400を示す平面図及び底面図である。
第2実施形態のアタッチメント400は、大別すると、発音体を受け入れる受入部410と、装用時に外耳道入口の上部に対向する外耳道入口上部対向部460と、装用時に珠間切痕付近に適合する珠間切痕適合部470と、装用時に耳甲介の後部に対向する耳甲介後部対向部480とで構成されており、これらの部位410,460,470,480が一体的に成形されている。
【0054】
上述した第1実施形態のアタッチメント100と比較すると、アタッチメント400は、受入部と外耳の異なる部位に対向する複数の対向部とを有しているという観点では共通しているが、個々の対向部が対向する外耳の部位が異なっている。なお、受入部410の形状は、アタッチメント100における受入部410の形状と同一である。
【0055】
外耳道入口上部対向部460は、滑らかな曲面をなした面460aを有しており、面460aが外耳道入口の上部に接する。珠間切痕適合部470は、耳型統計形状における珠間切痕にぴたりと嵌まるような形状に設計されており、その外面470aが珠間切痕付近に接し、端部470bが耳珠に対向する。装着時には、珠間切痕適合部470を珠間切痕付近に適合させることにより、耳甲介におけるアタッチメント400の位置が定められる。耳甲介後部対向部480は、滑らかな曲面をなした面480a,480bを有しており、面480aが対珠の裏に接し、面480bが耳甲介の後部に接する。
【0056】
外耳道入口上部対向部460と珠間切痕適合部470との間には間隙が設けられており、装用時にはこの間隙が耳珠の奥側に位置することとなる。したがって、アタッチメント400によれば、耳珠の奥側において外耳道入口の一部が塞がれずに開放されるため、開放感を確保することができる。また、外耳に接する面460a,470a,480a,480bが滑らかな曲面をなしているため、ユーザは不快感や違和感を覚えることなくアタッチメント400を装用することができる。
【0057】
耳甲介後部対向部480は、一端部で外耳道入口上部対向部460に接続しつつ他端部で珠間切痕適合部470に接続している。また、これら3つの部位460,470,480は、受入部410の外面における異なる領域に接続している。言い換えると、これら3つの部位460,470,480は、それぞれ受入部410の外面における異なる領域から異なる方向に突出しており、部位460,480の端部同士、及び、部位470,480の端部同士が接続している。
【0058】
図11中(A)において受入孔412の輪郭の一部が耳甲介後部対向部480に隠れていることから分かるように、耳甲介後部対向部480は、その一部が受入孔412の上方に位置している。また、図11中(B)において受入孔412の輪郭の一部が外耳道入口上部対向部460及び珠間切痕適合部470に隠れていることから分かるように、外耳道入口上部対向部460及び珠間切痕適合部470は、それぞれの一部が受入孔412の下方に位置している。
【0059】
図12は、発音体90にアタッチメント400が取り付けられた状態、すなわち受入部410が発音体90を受け入れた状態を示す平面図及び側面図である。
【0060】
図12中(B)に示されるように、筐体92は、概ね全体が外耳道入口上部対向部460と珠間切痕適合部470と耳甲介後部対向部480とに挟まれた空間に収まっており、耳甲介の底部に対向する筐体92の底部がアタッチメント400の外側に突出していない。このような配置とすることにより、筐体92が想定外の態様で外耳に接触してユーザに不快感を与えることを防止することができる。
【0061】
図13は、アタッチメント400が耳型統計形状AEに嵌った状態、すなわちアタッチメント400が取り付けられた発音体90を装着した状態を示している。
【0062】
この発音体90を耳甲介に装着すると、図13中(A)に示されるように、珠間切痕適合部470が珠間切痕INの付近に接し、外耳道入口上部対向部460が外耳道入口の上部(外耳道入口の上側の壁面)に接し、耳甲介後部対向部480が耳甲介の後部に接して、発音体90が耳甲介に嵌った状態で保持される。また、珠間切痕適合部470の端部470bは、耳珠TRに対向する。
【0063】
上述したように、珠間切痕適合部470は珠間切痕INの形状にぴたりと嵌まるような形状をなしているため、珠間切痕適合部470を手掛かりとしてアタッチメント400の位置決めを容易に行うことができる。また、一旦装着されると、珠間切痕適合部470が珠間切痕INの付近からずれにくくアタッチメント400が前後に回転しにくいため、アタッチメント400を用いることにより、耳に対し発音体90を安定して保持することができる。
【0064】
また、図13中(A)において破線で示したように、外耳道入口上部対向部460と珠間切痕適合部470との間に設けられた間隙は、耳珠TRの奥側に位置している。図13中(A)と同じ視点からみた耳型統計形状AEを単体で示した図13中(B)から、外耳道ECの入口は耳珠TRの奥側にも広がっていることが明らかである。したがって、アタッチメント400が取り付けられた発音体90の装用時には、外耳道入口上部対向部460と珠間切痕適合部470との間の位置において、外耳道入口の一部が塞がれない状態で維持されるため、開放感を得ることができ、発音体90を快適に装用することが可能となる。
【0065】
〔本発明の優位性〕
以上のように、上述した実施形態及び変形例の各アタッチメントによれば、以下のような効果が得られる。
【0066】
(1)アタッチメント100,102,104,200,202,204によれば、装用時に耳珠に接する耳珠対向面及び対珠に接する対珠対向面が、それぞれ耳型統計形状における耳珠の裏及び対珠の裏に沿うように形成されていることから、想定される位置に嵌り易く、ずれにくいため、耳に対し発音体90を安定して保持することができる。
【0067】
(2)アタッチメント100,102,104,200,202,204,300によれば、装用時に耳珠対向部の端部の近傍において外耳道入口の一部が塞がれずに開放された状態で維持されるため、開放感を得ることができ、発音体90を快適に装用することが可能となる。
【0068】
(3)アタッチメント102,104,202,204によれば、対珠対向部がより長く形成されているため、耳甲介に対する接触面積を増やすことができ、対珠対向部がばね性を有しているため、耳甲介の形状に柔軟に追従させつつばねの反発力の作用により保持力を高めることができるため、耳に対し発音体90をより安定して保持することが可能となる。
【0069】
(4)アタッチメント200,300によれば、耳珠対向部がより長く形成されているため、耳甲介に対する接触面積を増やすことができ、耳珠対向部がばね性を有しているため、耳甲介の形状に柔軟に追従させつつばねの反発力の作用により保持力を高めることができるため、耳に対し発音体90をより安定して保持することが可能となる。
【0070】
(5)アタッチメント300によれば、細長い形状をなしておりばね性を有した梁状部350が設けられているため、装着時に梁状部350を初期状態よりも丸めながら耳甲介舟に挿入して対耳輪~対耳輪下脚に沿わせるように収めることができ、装着時の変形に対するばねの反発力の作用により保持力を高めることができるため、ずれにくく、耳に対し発音体90をより安定して保持することが可能となる。
【0071】
(6)アタッチメント400によれば、装用時に珠間切痕付近に適合する珠間切痕適合部470が耳型統計形状における珠間切痕にぴたりと嵌まるような形状をなしていることから、多くの人の耳の珠間切痕付近に適合し易いため、珠間切痕適合部470を手掛かりとしてアタッチメント400の位置決めを容易に行うことができる。
【0072】
(7)アタッチメント400によれば、外耳道入口上部対向面460aと耳珠対向面480aと耳甲介後部対向面480bとによって耳甲介に嵌るように保持され、また、珠間切痕適合部470が珠間切痕付近からずれにくくアタッチメント400が前後に回転しにくいため、耳に対し発音体90を安定して保持することができる。
【0073】
(8)アタッチメント400によれば、装用時に外耳道入口上部対向部460と珠間切痕適合部470との間の位置において外耳道入口の一部が塞がれずに開放された状態で維持されるため、開放感を得ることができ、発音体90を快適に装用することが可能となる。
【0074】
(9)アタッチメント100,102,104,200,202,204,400によれば、筐体92の概ね全体が、受入部の外面から突出した他の部位に挟まれた空間に収まっており、耳甲介に対向する筐体92の底部がアタッチメントの外側に突出しないため、発音体90の装着時に筐体92が想定外の態様で外耳に接触してユーザに不快感を与えることを防止することができる。
【0075】
(10)アタッチメント100,102,104,200,202,204,300,400によれば、耳に対し発音体90を安定して保持することができるとともに、外耳道入口の一部が塞がれないため、開放感が得られ発音体90を快適に装用することができるため、長時間の装用においてもユーザが疲労感を覚えにくいことから、ユーザのQOLを向上することが可能となる。
【0076】
本発明は、上述した実施形態及び変形例に制約されることなく、種々に変形して実施することが可能である。
【0077】
上述した実施形態においては、受入部が略環状をなしており、受入孔で発音体を受け入れ発音体の外周の一部を取り囲んだ状態で固定しているが、受入部の形状はこれに限定されない。例えば、略環状の一部が途切れた略C字状の形状としてもよいし、或いは、環状の一部に底を設けた形状(有底で浅い筒形状)とし、筒の内部に発音体の一部を収容した状態で固定してもよい。
【0078】
上述した実施形態においては、発音体90において筐体92に収容された音響変換ユニットに被覆電線94が接続されているが、音響変換ユニットに対し無線接続により電気信号を入力する構成としてもよく、その場合には被覆電線94は不要である。
【0079】
その他、上述した実施形態及び変形例の各アタッチメントに関する説明の過程で挙げた構成や数値等は、あくまで例示であり、本発明の実施に際して適宜に変形が可能である。
【符号の説明】
【0080】
100,200,300,400 アタッチメント
110,210,310,410 受入部
120,220,320 耳珠対向部 (対向部)
130,230 対珠対向部 (対向部)
140 接続部
142 貫通孔
350 梁状部 (対向部)
460 外耳道入口上部対向部(対向部)
470 珠間切痕適合部 (対向部)
480 耳甲介後部対向部 (対向部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13