(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154162
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】光デバイス及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
H04B 10/50 20130101AFI20241023BHJP
H04B 10/67 20130101ALI20241023BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H04B10/50
H04B10/67
H04J14/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067838
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏昌
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA15
5K102AD01
5K102AD15
5K102AH24
5K102PB12
5K102PC12
5K102PH15
5K102PH22
5K102PH24
5K102PH31
5K102RB02
5K102RB03
(57)【要約】
【課題】光学部品の削減による小型化を図ることができる光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、P偏光の送信光を発光する発光部と、受信光を受光する受光部と、送信光を出力する送信ポートとを有する。光デバイスは、受信光を入力する受信ポートと、受信ポートからの受信光をS偏光に偏光する偏光調整部とを有する。光デバイスは、発光部からのP偏光の送信光を伝搬路内に伝搬させて出力すると共に、偏光調整部からのS偏光の受信光を伝搬路内に伝搬させて出力する光フィルタを有する。光デバイスは、光フィルタと発光部との間及び、光フィルタと受光部との間に配置され、発光部からのP偏光の送信光を光フィルタに出力すると共に、光フィルタからのS偏光の受信光を受光部に出力する偏光部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直線偏光状態の送信光を発光する発光部と、
受信光を受光する受光部と、
前記送信光を出力する送信ポートと、
受信光を入力する受信ポートと、
前記受信ポートからの前記受信光を前記第1の直線偏光状態に対して直交関係にある第2の直線偏光状態に偏光する偏光調整部と、
前記発光部からの前記第1の直線偏光状態の送信光を伝搬路内に伝搬させて出力すると共に、前記偏光調整部からの前記第2の直線偏光状態の受信光を前記伝搬路内に伝搬させて出力する光フィルタと、
前記光フィルタと前記発光部との間及び、前記光フィルタと前記受光部との間に配置され、前記発光部からの前記第1の直線偏光状態の送信光を前記光フィルタに出力すると共に、前記光フィルタからの前記第2の直線偏光状態の受信光を前記受光部に出力する偏光部と、
を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記発光部は、
波長毎に異なる複数の発光素子を有し、異なる波長の前記第1の直線偏光状態の送信光を発光し、
前記受光部は、
波長毎に異なる複数の受光素子を有し、異なる波長の受信光を受光し、
前記光フィルタは、
前記複数の発光素子からの各波長の前記第1の直線偏光状態の送信光を合波すると共に、前記偏光調整部からの各波長の前記第2の直線偏光状態の受信光を分波し、
前記偏光部は、
波長毎に異なる複数の偏光素子を有し、前記光フィルタと前記発光素子との間及び、前記光フィルタと前記受光素子との間に配置される該当波長の前記偏光素子を用いて、前記発光素子からの前記該当波長の前記第1の直線偏光状態の送信光を前記光フィルタに出力すると共に、前記光フィルタからの前記該当波長の前記第2の直線偏光状態の受信光を前記受光素子に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記発光部は、
前記第2の直線偏光状態の送信光を発光する発光素子と、
前記発光素子からの前記第2の直線偏光状態の送信光を前記第1の直線偏光状態の送信光に変換する波長板と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記発光部、前記送信ポート、前記光フィルタ及び前記偏光部を内蔵する送信回路と、前記受光部、前記受信ポート及び前記偏光調整部を内蔵する受信回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記発光部、前記送信ポート、前記光フィルタ、前記偏光調整部及び前記偏光部を内蔵する送信回路と、前記受光部及び前記受信ポートを内蔵する受信回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記発光部と前記送信ポートとの間の光路の直線上に前記偏光部及び前記光フィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記偏光調整部からの前記第2の直線偏光状態の受信光を前記第1の直線偏光状態の受信光に変換する波長板を有し、
前記光フィルタは、
前記発光部からの前記第1の直線偏光状態の送信光を伝搬路内に伝搬させて出力すると共に、前記波長板からの前記第2の直線偏光状態の受信光を前記伝搬路内に伝搬させて出力することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項8】
送信光を送信する送信回路及び受信光を受信する受信回路を含む光デバイスと、前記光デバイスを制御する制御回路とを有する光モジュールであって、
前記光デバイスは、
第1の直線偏光状態の送信光を発光する発光部と、
受信光を受光する受光部と、
前記送信光を出力する送信ポートと、
受信光を入力する受信ポートと、
前記受信ポートからの前記受信光を前記第1の直線偏光状態に対して直交関係にある第2の直線偏光状態に偏光する偏光調整部と、
前記発光部からの前記第1の直線偏光状態の送信光を伝搬路内に伝搬させて出力すると共に、前記偏光調整部からの前記第2の直線偏光状態の受信光を前記伝搬路内に伝搬させて出力する光フィルタと、
前記光フィルタと前記発光部との間及び、前記光フィルタと前記受光部との間に配置され、前記発光部からの前記第1の直線偏光状態の送信光を前記光フィルタに出力すると共に、前記光フィルタからの前記第2の直線偏光状態の受信光を前記受光部に出力する偏光部と、
を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
前記送信回路は、
前記発光部、前記送信ポート、前記光フィルタ及び前記偏光部を内蔵すると共に、
前記受信回路は、
前記受光部、前記受信ポート及び前記偏光調整部を内蔵することを特徴とする請求項8に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記送信回路は、
前記発光部、前記送信ポート、前記光フィルタ、前記偏光調整部及び前記偏光部を内蔵すると共に、
前記受信回路は、
前記受光部及び前記受信ポートを内蔵することを特徴とする請求項8に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信需要の増加に伴い、光ファイバ通信ネットワークの市場は高速大容量化が加速しており、例えば、100Gbpsや400Gbps等の高速大容量の光伝送を可能としている。このような光ファイバ通信ネットワークを構成するコンポーネントの一つに光モジュールがある。
【0003】
光モジュールは、ネットワーク市場の拡大と共に、CFP(C Form-factor Pluggable)/CFP2/CFP4/QSFP(Quad Small Form-factor Pluggable)28等の複数のForm Factorの光モジュールが存在する。例えば、100Gbpsの光モジュールは、光信号が伝送できる距離によってもLR(10km)やER(40km)等とカテゴリ分けされ、変調方式も2値変調方式や4値変調方式等がある。
【0004】
図12は、光モジュール100の一例を示す説明図である。
図12に示す光モジュール100は、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)110と、ROSA(Receiver Optical Sub Assembly)120と、制御回路130とを有する。TOSA110は、送信側光ファイバ140Aと光接続する。TOSA110は、例えば、4チャネルの電気信号を波長が異なる4波の光信号に変換して変換後の光信号を送信側光ファイバ140Aから出力する送信回路である。ROSA120は、受信側光ファイバ140Bと光接続する。ROSA120は、受信側光ファイバ140Bから入力した波長が異なる4波の光信号を4チャネルの電気信号に変換して出力する受信回路である。制御回路130は、TOSA110及びROSA120を制御する。
【0005】
図13は、TOSA110の一例を示す説明図である。
図13に示すTOSA110は、入力部111と、発光部112と、光合波器113と、送信ポート114Aと、送信側レセプタクル114とを有する。尚、発光部112及び光合波器113は、光部品で構成し、光部品は、図示せぬTEC(Thermo Electric Cooler)を含むものとする。入力部111は、制御回路130からの電気信号を発光部112内の4個の各LD(Laser-Diode)に入力する。発光部112は、波長が異なる光を発振する4個のLDを有し、波長λ0の送信光を発振する#0のLDと、波長λ1の送信光を発振する#1のLDと、波長λ2の送信光を発振する#2のLDと、波長λ3の送信光を発振する#3のLDとを有する。入力部111は、#0~#3の各LDに電気信号を入力する。光合波器113は、発光部112内のLD毎に異なる波長の送信光を合波する光合波素子である。送信ポート114Aは、送信側レセプタクル114を介して送信側光ファイバ140Aと光接続し、光合波器113で合波した送信光を出力するポートである。送信側レセプタクル114は、送信側光ファイバ140Aと送信ポート114Aとを光接続するための接合部品である。尚、説明の便宜上、
図13に示す(f0)~(f3)の各LDの送信光が進む光進行方向を黒三角、光を進む光線を線で表している。
【0006】
図14は、ROSA120の一例を示す説明図である。
図14に示すROSA120は、受信側レセプタクル121と、受信ポート121Aと、光分波器122と、受光部123と、出力部124とを有する。尚、光分波器122及び受光部123は、光部品で構成し、光部品は、図示せぬTIA(Trans-Impedance Amplifier)を含むものとする。
図14に示す受光部123は、波長が異なる光を受信する4個のPD(Photo-Diode)を有し、波長λ0の受信光を受光する#0のPDと、波長λ1の受信光を受光する#1のPDと、波長λ2の受信光を受光する#2のPDと、波長λ3の受信光を受光する#3のPDとを有する。出力部124は、受光部123内の各PDで光電変換された電気信号を制御回路130に出力する。受信側レセプタクル121は、受信側光ファイバ140BとROSA120内の受信ポート121Aとを光接続するための接合部品である。受信ポート121Aは、受信側レセプタクル121を介して受信側光ファイバ140Bと光接続し、受信側光ファイバ140Bからのランダムな偏光方向の受信光を入力するポートである。光分波器122は、受信ポート121Aからの受信光から異なる波長λ0~λ3の光に分波し、異なる波長に応じたPDに出力する。尚、説明の便宜上、
図14に示す(f0)~(f3)の各受信光が進む光進行方向を白三角、光を進む光線を線で表している。
【0007】
また、制御回路130は、例えば、TOSA110やROSA120の各デバイス制御用IC、電源用IC、各種モニタ回路やフィルタ回路等、さまざま役割をもった回路が複数のICや多くのパッシブ部品で基板上に配置されて電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-191241号公報
【特許文献2】特開2004-117793号公報
【特許文献3】米国特許第7594766号明細書
【特許文献4】米国特許第10634844号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光モジュールでは、例えば、100Gbpsの光ファイバ通信ネットワークが開始された初期の頃はCFPモジュールが主流であったが、その後、CFP2、CFP4と呼ばれるForm Factorが現れ、現在はQSFPモジュールが主流である。これらのForm Factorの違いは、光モジュール自体のサイズのみならず、消費電力や外部インターフェイスの仕様、内部のROMデータの仕様等の様々な点で光モジュールの仕様の違いを生み出している。特に、光モジュールのサイズは大きく変化している。
【0010】
例えば、CFPモジュールの筐体サイズは、(縦:ファイバ方向)×(横)×(高さ)≒13cm×7.5cm×1.4cmと比較的大きい。これに対して、現在の主流であるQSFPモジュールの筐体サイズは、(縦)×(横)×(高さ)≒5.2cm×1.8cm×0.85cmとなっているため、CFPモジュールに比較して小さい。従って、体積比はCFP:QSFP≒16:1で約16分の1、モジュールの面積(縦)×(横)に着目しても、面積比はCFP:QSFP≒10:1と約10分の1に小さくなっている。
【0011】
一方、TOSA110やROSA120の筐体面積は、概算であるが、(縦)×(横)≒2cm×0.7cm程度であり、TOSA110やROSA120自体のサイズはCFPからQSFPへ光モジュールの主流が変化しているものの、大きく変化していない。その理由は、TOSA110やROSA120の内部構成や主要電気光学特性において、パッケージサイズの変更を伴う要求が無かったためである。
【0012】
しかしながら、近年、TOSA110やROSA120の内部にSOA(Semiconductor Optical Amplifier:光半導体増幅器)が内蔵される要求があり、この場合のTOSA及びROSAは長手方向にサイズを拡張する必要がある。
【0013】
また、波長多重数も4波ではなく、例えば、8波に拡張された、さらなる波長多重化を進めた光モジュールの構想(400GBASE-FR8/LR8)もある。この場合、LD数やPD数も4個から8個に増えるので、TOSA110及びROSA120自体のパッケージサイズが大きくなる。従って、今後は、アプリケーションにもよるが、TOSA110及びROSA120の筐体サイズは拡大傾向にあると予想される。
【0014】
このように光ファイバ通信ネットワークの成熟とともに、Form FactorもCFPからQSFPへと世代交代が進んだことで、光モジュールのサイズそのものが小さくなる一方、光部品であるTOSA110及びROSA120のサイズは拡大傾向にある。従って、TOSA110及びROSA120のサイズの拡大傾向に応じて制御回路130の面積は小さくなってきている。
【0015】
そこで、光モジュール100の設計者は、制御回路130内の限られた基板スペースに複数のICや多くのパッシブ部品を配置しなければならず、回路特性や部品特性をある程度犠牲にしてでも、回路規模や部品サイズを優先した設計が必要となる。つまり、制御回路130の基板面積が小さくなると、設計者にとっては、回路規模や部品サイズの厳しい制約のために、設計の自由度が低下してしまう。
【0016】
このような課題に対して、制御回路130の基板面積の拡大のために、基板の上下の両面に部品を配置することや、基板を上下に2枚並べた構造を採用する等の対応が考えられるが、それでも、制御回路130の基板面積は不足しているのが実情である。
【0017】
制御回路130の基板面積を拡大させることができれば、回路規模や部品サイズの制約が緩和され、自由度の高い設計が可能になることは明らかである。しかしながら、制御回路130の基板面積を拡大させるためには、光モジュール自体のサイズを大きくするか、TOSA110及びROSA120の光部品を小型化する必要がある。光部品の小型化を実現させることで制御回路130の基板面積を拡大させることが求められている。
【0018】
一つの側面では、光学部品の削減による小型化を図ることができる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一つの態様の光デバイスは、第1の直線偏光状態の送信光を発光する発光部と、受信光を受光する受光部と、送信光を出力する送信ポートと、受信光を入力する受信ポートと、を有する。光デバイスは、受信ポートからの受信光を第1の直線偏光状態に対して直交関係にある第2の直線偏光状態に偏光する偏光調整部を有する。光デバイスは、発光部からの第1の直線偏光状態の送信光を伝搬路内に伝搬させて出力すると共に、偏光調整部からの第2の直線偏光状態の受信光を伝搬路内に伝搬させて出力する光フィルタを有する。光デバイスは、光フィルタと発光部との間及び、光フィルタと受光部との間に配置され、発光部からの第1の直線偏光状態の送信光を前記光フィルタに出力すると共に、光フィルタからの第2の直線偏光状態の受信光を受光部に出力する偏光部を有する。
【発明の効果】
【0020】
一つの側面によれば、光学部品の削減による小型化を図る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施例の光モジュールの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施例1のOSAの一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施例1のOSA内のTOSA及びROSAの一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、偏光調整部の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、他の偏光調整部の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、他の偏光調整部の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施例2のOSAの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施例3のOSAの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施例3のOSA内のTOSA及びROSAの一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施例4のOSAの一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、実施例4のOSA内のTOSA及びROSAの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願が開示する光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0023】
図1は、本実施例の光モジュール1の一例を示す説明図である。
図1に示す光モジュール1は、OSA(Optical Sub-Assembly)2と、制御回路5とを有する。OSA2は、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)3と、ROSA(Receiver Optical Sub Assembly)4とを有する。TOSA3は、例えば、4チャネルの電気信号を波長が異なる4波の光信号に変換して出力する送信回路である。ROSA4は、波長が異なる4波の光信号を4チャネルの電気信号に変換して出力する受信回路である。制御回路5は、OSA2内のTOSA3及びROSA4を制御する。TOSA3は、送信側光ファイバ6Aと光接続する。ROSA4は、受信側光ファイバ6Bと光接続する。制御回路5は、後述するが、OSA2を小型化することで、斜線部分Xの面積を拡張できる。
【0024】
図2は、実施例1のOSA2の一例を示す説明図、
図3は、実施例1のOSA2内のTOSA3及びROSA4の一例を示す説明図である。TOSA3は、入力部11と、発光部12と、複数の第1のPBS(Polarizing Beam Splitter)13と、光フィルタ14と、第2のPBS15と、送信ポート16Aと、送信側レセプタクル16とを有する。ROSA4は、受信側レセプタクル17と、受信ポート17Aと、偏光調整部18と、受光部19と、出力部20とを有する。
【0025】
尚、説明の便宜上、
図2中で、#0のLD~#3のLD(Laser Diode)の送信光の進む光進行方向を黒三角、光線を実線で示す。また、受信光の進む光進行方向を白三角、光線を破線で示す。光の偏光方向の定義は、二重丸がS偏光を、両側矢印がP偏光を表現している。
【0026】
発光部12は、波長が異なる光を発振する4個の発光素子であるLD(Laser Diode)を有し、波長λ0の光を発振する#0のLD12Aと、波長λ1の光を発振する#1のLD12Bと、波長λ2の光を発振する#2のLD12Cと、波長λ3の光を発振する#3のLD12Dとを有する。尚、説明の便宜上、発光部12内の各LD12A~12Dは、平行方向に偏向するP偏光の光を発振するものとする。
【0027】
受光部19は、波長が異なる光を受信する4個の受光素子であるPD(Photo-Diode)を有する。受光部19は、波長λ0の受信光を受光する#0のPD19Aと、波長λ1の受信光を受光する#1のPD19Bと、波長λ2の受信光を受光する#2のPD19Cと、波長λ3の受信光を受光する#3のPD19Dとを有する。
【0028】
第1のPBS13は、波長毎に異なる発光部12と光フィルタ14との間、波長毎に異なる受光部19と光フィルタ14との間に配置される。第1のPBS13は、発光部12からのP偏光の送信光を光フィルタ14に出力すると共に、光フィルタ14からのS偏光の受信光を受光部19に出力する偏光部である。第1のPBS13は、4個の第1のPBS13A~13Dを有する。波長λ0の光が通過する#0の第1のPBS13Aは、光フィルタ14内の光フィルタF0と#0のLD12Aとの間、光フィルタ14内の光フィルタF0と#0のPD19Aとの間に配置される。波長λ1の光が通過する#1の第1のPBS13Bは、光フィルタ14内の光フィルタF1と#1のLD12Bとの間、光フィルタ14内の光フィルタF1と#1のPD19Bとの間に配置される。波長λ2の光が通過する#2の第1のPBS13Cは、光フィルタ14内の光フィルタF2と#2のLD12Cとの間、光フィルタ14内の光フィルタF2と#2のPD19Cとの間に配置される。波長λ3の光が通過する#3の第1のPBS13Dは、光フィルタ14内の反射ミラー14Aと#3のLD12Dとの間、光フィルタ14内の反射ミラー14Aと#3のPD19Dとの間に配置される。第1のPBS13は、P偏光の光成分を透過すると共に、S偏光の光成分の光進行方向を90度曲げて出力する。つまり、第1のPBS13A~13Dは、LD12A~12DからのP偏光の光成分を入射した場合にP偏光の光成分を透過して光フィルタ14に出力する。また、第1のPBS13は、光フィルタ14からのS偏光の光成分を入射した場合にS偏光の光成分の光進行方向を90度曲げてS偏光の光成分をPD19A~19Dに出力する。
【0029】
光フィルタ14は、送信光に対して光合波素子として機能し、受信光に対して光分波素子として機能する光波長フィルタである。光フィルタ14は、誘電体多層膜や回折格子の技術を利用した光学素子で構成する。光フィルタ14は、前述した通り、波長λ0、λ1、λ2に透過帯を有する光フィルタF0、F1、F2と反射ミラー14Aとを備える。なお、光フィルタF0は、透過帯に含まれる波長の光(λ0)を透過し、透過帯から外れたその他の波長(λ1、λ2、λ3)の光を反射する。光フィルタF1は、透過帯に含まれる波長の光(λ1)を透過し、透過帯から外れたその他の波長(λ2、λ3)の光を反射する。光フィルタF3は、透過帯に含まれる波長の光(λ2)を透過し、透過帯から外れたその他の波長(λ3)の光を反射する。反射ミラー14Aは、波長λ0~λ3の全ての波長の光を反射し、光フィルタF0~F2や第1のPBS13Dに光の進行方向を曲げる。このように、光フィルタ14を構成する光フィルタF0~F2と反射ミラー14Aとにより、光フィルタ14内に光の伝搬路が形成される。光フィルタ14は、光の進む向きを逆にするだけで「合波」と「分波」とを実現できる。光フィルタ14は、#0~#3の各第1のPBS13A~13Dからの各波長λ0~λ3の送信光を合波し、合波後の送信光を第2のPBS15に出力する。また、光フィルタ14は、第2のPBS15からの受信光を各波長λ0~λ3の受信光に分波し、分波後の受信光を#0~#3の各第1のPBS13A~13Dに出力する。
【0030】
偏光調整部18は、受信ポート17Aからのランダム偏光の受信光の偏光方向をS偏光に揃える光学素子部品である。ランダム偏光の受信光とは、ランダムな偏光方向、例えば、S偏光やP偏光を含む受信光である。
図4は、偏光調整部18の一例を示す説明図である。
図4に示す偏光調整部18は、PBS31と、λ/2波長板32と、全反射ミラー33とを有する。尚、説明の便宜上、
図4に示す偏光調整部18は、ビームを2光束で伝搬する構成である。
【0031】
PBS31は、
図4中の左側からランダム偏光方向の光を入射すると、P偏光に偏光している光の成分はそのまま透過してλ/2波長板32に出力すると共に、S偏光に偏光している光の成分は光の進行方向を90度曲げて反射して出力する。λ/2波長板32は、PBS31を透過したP偏光の光を入射すると、P偏光の偏光方向を90度回転してS偏光の光に変換し、変換後のS偏光の光を全反射ミラー33に出力する。全反射ミラー33は、λ/2波長板32からのS偏光の光の進行方向を90度曲げて反射して出力する。
【0032】
偏光調整部18は、PBS31で反射したS偏光の光と、全反射ミラー33で反射したS偏光の光とが平行光線となって出力できる。つまり、偏光調整部18は、ランダム偏光の光を直線偏光(S偏光)に揃えることができる。尚、偏光調整部18は、全反射ミラー33の代わりにPBSを使用しても良く、適宜変更可能である。
【0033】
第2のPBS15は、S偏光の光の進行方向を90度曲げて出力すると共に、P偏光の光を透過出力する。つまり、第2のPBS15は、光フィルタ14からのP偏光の送信光を送信ポート16Aに透過出力する。更に、第2のPBS15は、偏光調整部18からのS偏光の受信光の光進行方向を90度曲げて光フィルタ14に出力する。
【0034】
実施例1の光モジュール1の動作について説明する。#0~#3のLDは、入力部11からの電気信号に応じて、波長毎のP偏光の送信光を第1のPBS13に夫々出力する。#0~#3の第1のPBS13は、波長毎のP偏光の送信光を光フィルタ14に出力する。光フィルタ14は、#0~#3の第1のPBS13からの各波長λ0~λ3のP偏光の送信光を合波し、合波後のP偏光の送信光を第2のPBS15に出力する。第2のPBS15は、合波後のP偏光の送信光を透過して送信ポート16A経由で送信側光ファイバ6Aに出力する。
【0035】
また、偏光調整部18は、受信側光ファイバ6Bと光接続する受信ポート17Aから受信したランダム偏光の受信光をS偏光の受信光に変換し、変換後のS偏光の受信光を第2のPBS15に出力する。第2のPBS15は、S偏光の受信光の光進行方向を90度曲げて光フィルタ14に出力する。光フィルタ14は、S偏光の受信光をλ0~λ3の波長毎のS偏光の受信光に分波し、分波後のS偏光の受信光を各第1のPBS13A~13Dに出力する。#0~#3の第1のPBS13A~13Dは、S偏光の受信光の光進行方向を90度曲げて波長に応じた#0~#3の各PD19A~19Dに出力する。そして、#0~#3の各PD19A~19Dは、S偏光の受信光を電気信号に変換し、変換後の電気信号を出力部20に出力する。
【0036】
実施例1のOSA2は、送信光と受信光との偏光方向を直交関係にし、単一の光フィルタ14を用いて、送信光に必要な光合波と、受信光に必要な光分波とを実行できるため、OSA2の光合波及び光分波に使用する光部品の搭載面積を小さくできる。しかも、TOSA3内に光合波及び光分波で共有する光フィルタ14を配置してROSA4内の光分波素子が不要となるため、ROSA4の光分波素子を搭載する面積を小さくできる。その結果、光モジュール1内の制御回路5の基板面積を拡大できる。
【0037】
尚、実施例1の光モジュール1では、送信光の偏光方向がP偏光の場合に偏光調整部18において受信光の偏光方向をS偏光に揃える構成にした。
【0038】
TOSA3内では、発光部12と送信側光ファイバ6Aとの間の光路上に第1のPBS13、光フィルタ14、第2のPBS15を光が直進できる直線配置の構成にした。その結果、発光部12から送信光を送信側光ファイバ6Aに出力する際の光パワーの損失を小さくするためのレーザビームのアライメント作業を容易になる。
【0039】
TOSA3内部の光合波素子とROSA4内部の光分波素子の部品構成が同一で入射する光の進行方向が逆であることに着目し、送信光と受信光との偏光方向を互いに直交関係にすることで送信光と受信光を区別できる。更に、光合波素子と光分波素子とを共用する光フィルタ14を使用することで、ROSA4の光分波素子を削減可能とし、光モジュール1における光部品の総面積を削減できる。
【0040】
OSA2を用いた光モジュール1の内部構成は、
図1に示すOSA2の面積が小さくなることに伴って、斜線部分Xの制御回路5の基板面積を拡大できる。更に、光合波及び光分波で共有する光フィルタ14を使用することで光部品の小型化することで制御回路5の基板面積の拡大に寄与する。その結果、制御回路5の規模や搭載する部品サイズの制約を緩和できる。TOSA3及びROSA4の組立技術や光学素子の製造技術の発展によっても、面積拡大の寄与は変化するので断定的な表現はできないが、大雑把にROSA4の面積は従来比で50%~80%程度は削減できる。
【0041】
従来のTOSA及びROSAの筐体部分の面積は、例えば、約2cm×0.7cm=1.4cm2程度であるのに対し、QSFPの光モジュールの場合、制御回路の基板面積は、様々なレイアウトが考えられるが、2.5cm×1.6cm=4cm2程度である。これに対して、実施例1のOSA2では、ROSA4の面積は50%~80%程度削減できた場合、ROSA4は、例えば、1.4cm2から0.7cm2~0.28cm2程度に小さくなる。このとき、制御回路5の基板面積は従来の4cm2から4.7cm2~5.12cm2と従来比で18%~28%程度拡大できる。
【0042】
尚、実施例1の偏光調整部18は、
図4に示す構成を例示したが、これに限定されるものではなく、
図5に示す偏光調整部18Aや
図6に示す偏光調整部18Bとしても良く、適宜変更可能である。
【0043】
図5は、他の偏光調整部18Aの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、
図5に示す偏光調整部18Aは、ビームを2光束で伝搬する構成を例示する。
図5に示す偏光調整部18Aは、
図4に示す偏光調整部18と比べて、λ/2波長板32を配置する箇所が異なり、PBS31Aと、全反射ミラー33Aと、λ/2波長板32Aとを有する。PBS31Aは、ランダム偏光の光を入射すると、P偏光に偏光している光の成分はそのまま透過して全反射ミラー33Aに出力すると共に、S偏光に偏光している光の成分は光の進行方向を90度曲げて出力する。全反射ミラー33Aは、P偏光の光の光進行方向を90度曲げて反射し、P偏光の光をλ/2波長板32Aに出力する。λ/2波長板32Aは、全反射ミラー33Aを透過したP偏光の光を入射すると、P偏光の偏光方向を90度回転してS偏光の光に変換する。そして、偏光調整部18Aは、PBS31Aで反射したS偏光の光と、λ/2波長板32Aを通過したS偏光の光とは、S偏光の状態で平行光線となって出力する。つまり、偏光調整部18Aは、ランダム偏光の光を直線偏光(S偏光)に揃えることができる。
【0044】
図6は、他の偏光調整部18Bの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、
図6に示す偏光調整部18Bは、PBC(Polarizing Beam Combiner)を使用して2光束を1本のビームにする場合を例示している。
図6に示す偏光調整部18Bは、PBS31Bと、λ/2波長板32Bと、第1の全反射ミラー33Bと、第2の全反射ミラー34Bと、PBC35Bとを有する。PBS31Bは、ランダム偏光の光からS偏光の光成分をPBC35Bに出力すると共に、ランダム偏光の光からP偏光の光成分をλ/2波長板32Bに出力する。λ/2波長板32Bは、P偏光の光成分を90度回転してS偏光の光成分に変換し、変換後のS偏光の光成分を第1の全反射ミラー33Bに出力する。第1の全反射ミラー33Bは、S偏光の光成分の光進行方向を90度曲げて第2の全反射ミラー34Bに出力する。更に、第2の全反射ミラー34Bは、S偏光の光成分の光進行方向を90度曲げてPBC35Bに出力する。PBC35Bは、PBS31BからのS偏光の光成分と、第2の全反射ミラー34BからのS偏光の光成分とを合波し、ランダム偏光をS偏光に揃えた光成分として出力する。
【0045】
尚、実施例1の光モジュール1では、送信光の偏光方向をP偏光とした場合、偏光調整部18を使用して受信光の偏光方向をS偏光に揃える場合を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。送信光の偏光方向をS偏光としても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の光モジュール1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
発光部12内の#0~#3の各LD12A~12Dは、偏光方向がS偏光の送信光を発光する。受光部19内の#0~#3の各PD19A~19Dは、偏光方向がS偏光の受信光を受光する。#0~#3の各λ/2波長板21は、S偏光の送信光を90度偏光回転してP偏光の送信光を第1のPBS13に出力する。#0のλ/2波長板21Aは、#0のLD12Aと#0の第1のPBS13Aとの間に配置し、#0のLD12Aからの波長λ0のS偏光の送信光をP偏光の送信光に変換し、変換後の波長λ0のP偏光の送信光を#1の第1のPBS13Bに出力する。#1のλ/2波長板21Bは、#1のLD12Bと#1の第1のPBS13Bとの間に配置し、#1のLD12Bからの波長λ1のS偏光の送信光をP偏光の送信光に変換し、変換後の波長λ1のP偏光の送信光を#1の第1のPBS13Bに出力する。#2のλ/2波長板21Cは、#2のLD12Cと#2の第1のPBS13Cとの間に配置し、#2のLD12Cからの波長λ2のS偏光の送信光をP偏光の送信光に変換し、変換後の波長λ2のP偏光の送信光を#2の第1のPBS13Cに出力する。#3のλ/2波長板21Dは、#3のLD12Dと#3の第1のPBS13Dとの間に配置し、#3のLD12Dからの波長λ3のS偏光の送信光をP偏光の送信光に変換し、変換後の波長λ3のP偏光の送信光を#3の第1のPBS13Dに出力する。
#0~#3の第1のPBS13A~13Dは、送信光がP偏光であるため、P偏光の送信光を透過して光フィルタ14に出力する。そして、光フィルタ14は、#0~#3の各第1のPBS13A~13Dを透過したP偏光の送信光を合波し、合波後のP偏光の送信光を第2のPBS15に出力する。そして、第2のPBS15は、合波後のP偏光の送信光を透過して送信ポート16A経由で送信側光ファイバ6Aに出力する。
更に、偏光調整部18は、受信側光ファイバ6Bと接続する受信ポート17Aから受光したランダム偏光の受信光をS偏光の受信光に偏光し、S偏光の受信光を第2のPBS15に出力する。第2のPBS15は、受信光がS偏光であるため、S偏光の受信光の光進行方向を90度度曲げて光フィルタ14に出力する。そして、光フィルタ14は、S偏光の受信光を通過する場合、S偏光の受信光を波長毎に分波し、波長毎の受信光を波長毎の#0~#3の第1のPBS13A~13Dに出力する。#0~#3の各第1のPBS13A~13Dは、受信光がS偏光であるため、S偏光の受信光の光進行方向を90度曲げて波長に対応した#0~#3のPD19A~19Dに出力する。
実施例2のOSA2Aは、送信光と受信光との偏光方向を直交関係にし、単一の光フィルタ14を用いて、送信光に必要な光合波と、受信光に必要な光分波とを実行できるため、OSA2Aの光合波及び光分波に使用する光部品の搭載面積を小さくできる。TOSA3内に光合波及び光分波で共有する光フィルタ14を配置してROSA4内の光分波素子が不要となるため、ROSA4の光分波素子を搭載する面積を小さくできる。その結果、光モジュール1内の制御回路5の基板面積を拡大できる。
尚、実施例1及び2のOSA2(2A)では、4波長の4波多重の場合を例示したが、4波多重に限定されるものではなく、例えば、8波長の8波多重やn波長のn波多重のマルチチャネルの光モジュールにも適用可能である。