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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154177
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】コネクタ挿入方法および検査方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20241023BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241023BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J13/08 Z
H01R43/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067868
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】宮本 将尊
【テーマコード(参考)】
3C707
5E063
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS12
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS31
3C707KS33
3C707KT03
3C707KT05
3C707KX06
3C707LU06
3C707LV17
5E063KA01
(57)【要約】
【課題】第1コネクタを第2コネクタにスムーズに挿入することのできるコネクタ挿入方法および検査方法を提供する。
【解決手段】ロボットを用いて第1コネクタを第2コネクタに挿入するコネクタ挿入方法であって、前記ロボットで前記第1コネクタを把持する把持ステップと、前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸に対してずらした状態で、前記第1コネクタの先端部を前記第2コネクタに挿入する第1挿入ステップと、前記第1コネクタを変位させて前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸と一致させる軸合わせステップと、前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に前進させて前記第2コネクタに挿入する第2挿入ステップと、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを用いて第1コネクタを第2コネクタに挿入するコネクタ挿入方法であって、
前記ロボットで前記第1コネクタを把持する把持ステップと、
前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸に対してずらした状態で、前記第1コネクタの先端部を前記第2コネクタに挿入する第1挿入ステップと、
前記第1コネクタを変位させて前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸と一致させる軸合わせステップと、
前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に前進させて前記第2コネクタに挿入する第2挿入ステップと、を含むことを特徴とするコネクタ挿入方法。
【請求項2】
前記第1挿入ステップでは、前記第1コネクタの中心軸が前記第2コネクタの中心軸に対して傾斜している請求項1に記載のコネクタ挿入方法。
【請求項3】
前記第1挿入ステップと前記軸合わせステップとの間に行われ、
前記第1コネクタを前記第2コネクタの中心軸に直交する方向に移動させて前記先端部を前記第2コネクタに当接させる当接ステップを含む請求項2に記載のコネクタ挿入方法。
【請求項4】
前記軸合わせステップでは、前記第1コネクタの前記先端部を前記第2コネクタに当接させた状態を維持しつつ前記第1コネクタを変位させる請求項3に記載のコネクタ挿入方法。
【請求項5】
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタは、HDMIである請求項1に記載のコネクタ挿入方法。
【請求項6】
前記ロボットは、前記第1コネクタが前記第2コネクタに接触することにより生じる力を検出する力覚センサーを有し、
前記第1挿入ステップでは、前記力覚センサーが検出する力に基づいて前記第1コネクタの先端部を前記第2コネクタに挿入する請求項1に記載のコネクタ挿入方法。
【請求項7】
ロボットを用いて第1コネクタを第2コネクタに挿入して検査を行う検査方法であって、
前記第1コネクタを前記ロボットで把持する把持ステップと、
前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸に対してずらした状態で、前記第1コネクタの先端部を前記第2コネクタに挿入する第1挿入ステップと、
前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸と一致させる軸合わせステップと、
前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に前進させて前記第2コネクタに挿入する第2挿入ステップと、
前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に後退させて前記第2コネクタから引き抜く引き抜きステップと、を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項8】
前記第1コネクタまたは前記第2コネクタの耐久性を検査する請求項7に記載の検査方法。
【請求項9】
前記第2コネクタに前記第1コネクタを挿入するための挿入力、または前記第2コネクタから前記第1コネクタを引き抜くための引き抜き力を検査する請求項7に記載の検査方法。
【請求項10】
前記引き抜きステップの後に行われ、
前記第2コネクタに対して前記第1コネクタの挿抜を繰り返し行う、繰り返し挿抜ステップを含む請求項8に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ挿入方法および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットで第1コネクタを把持して第2コネクタに挿入するステップと、第1コネクタが第2コネクタに挿入されている状態で第1コネクタおよび第2コネクタを共振させるステップと、共振周波数に基づいて第1コネクタの挿入深さを調整するステップと、を行うロボット装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-012784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1のロボット装置では、第1コネクタを第2コネクタに挿入してから、その挿入深さを調整する工夫がされているものの、第1コネクタを第2コネクタに挿入する際の動作については何ら工夫がされていない。したがって、第1コネクタを第2コネクタにスムーズに挿入することができず、挿入に時間がかかったり、第1、第2コネクタが損傷したりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコネクタ挿入方法は、ロボットを用いて第1コネクタを第2コネクタに挿入するコネクタ挿入方法であって、
前記ロボットで前記第1コネクタを把持する把持ステップと、
前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸に対してずらした状態で、前記第1コネクタの先端部を前記第2コネクタに挿入する第1挿入ステップと、
前記第1コネクタを変位させて前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸と一致させる軸合わせステップと、
前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に前進させて前記第2コネクタに挿入する第2挿入ステップと、を含む。
【0006】
本発明の検査方法は、ロボットを用いて第1コネクタを第2コネクタに挿入して検査を行う検査方法であって、
前記第1コネクタを前記ロボットで把持する把持ステップと、
前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸に対してずらした状態で、前記第1コネクタの先端部を前記第2コネクタに挿入する第1挿入ステップと、
前記第1コネクタの中心軸を前記第2コネクタの中心軸と一致させる軸合わせステップと、
前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に前進させて前記第2コネクタに挿入する第2挿入ステップと、
前記第1コネクタを前記第1コネクタの中心軸に沿う方向に後退させて前記第2コネクタから引き抜く引き抜きステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るロボットシステムの構成図である。
図2】検査で用いるケーブルを示す平面図である。
図3】検査対象である電子機器を背面から見た図である。
図4】ロボットシステムを用いて行う検査方法のフローチャートである。
図5】検査方法を説明するための図である。
図6】検査方法を説明するための図である。
図7】検査方法を説明するための図である。
図8】検査方法を説明するための図である。
図9】検査方法を説明するための図である。
図10】検査方法を説明するための図である。
図11】検査方法を説明するための図である。
図12】検査方法を説明するための図である。
図13】検査方法を説明するための図である。
図14】検査方法を説明するための図である。
図15】第2実施形態の検査方法で用いる第1コネクタおよび第2コネクタを示す斜視図である。
図16】検査方法を説明するための図である。
図17】検査方法を説明するための図である。
図18】検査方法を説明するための図である。
図19】検査方法を説明するための図である。
図20】検査方法を説明するための図である。
図21】第4実施形態に係るロボットシステムの構成図である。
図22】第5実施形態に係るロボットシステムで行う検査で用いられる把持治具を示す斜視図である。
図23図22に示す把持治具の分解斜視図である。
図24】把持治具をツールが把持した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のコネクタ挿入方法および検査方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るロボットシステムの構成図である。図2は、検査で用いるケーブルを示す平面図である。図3は、検査対象である電子機器を背面から見た図である。図4は、ロボットシステムを用いて行う検査方法のフローチャートである。図5ないし図14は、それぞれ、検査方法を説明するための図である。
【0010】
図1に示すロボットシステム1は、把持したケーブル9を電子機器8に挿抜するロボット2と、ロボット2の駆動を制御する制御装置3と、を有する。
【0011】
ロボット2は、6つの駆動軸を有する6軸垂直多関節ロボットである。このようなロボット2は、ベース21と、ベース21に回動自在に連結されたロボットアーム22と、ロボットアーム22の先端に装着されたツール23と、ロボットアーム22とツール23との間に配置された力覚センサー24と、ツール23に配置された撮像装置25と、を有する。
【0012】
また、ロボットアーム22は、6本のアーム221、222、223、224、225、226が回動自在に連結された構成であり、6つの関節J1、J2、J3、J4、J5、J6を備えている。これら6つの関節J1~J6のうち、関節J2、J3、J5が曲げ関節であり、関節J1、J4、J6がねじり関節である。また、各関節J1、J2、J3、J4、J5、J6には、図示しないモーターおよびエンコーダーが設置されている。制御装置3は、ロボットシステム1の運転中、各関節J1~J6について、エンコーダーの出力が示す関節J1~J6の回転角度を目標位置に一致させるフィードバック制御を実行する。
【0013】
また、ツール23は、開閉する一対の爪部を有し、一対の爪部でケーブル9を挟持して把持する。ただし、ツール23の構成は、ケーブル9を把持することができれば、特に限定されない。例えば、ツール23は、吸着によりケーブル9を把持する構成であってもよい。
【0014】
また、力覚センサー24は、互いに直交する3つの検出軸を有し、各検出軸に沿う並進力(軸力)および各検出軸まわりの回転力(トルク)をそれぞれ独立して検出することができる。このような力覚センサー24は、ツール23が把持したケーブル9に加わる力を検出する。ただし、力覚センサー24の構成は、ツール23が把持したケーブル9に加わる力を検出することができれば、特に限定されない。
【0015】
また、撮像装置25は、例えば、3Dカメラ(ステレオカメラ)である。制御装置3は、撮像装置25が撮像した画像データを画像処理することにより、画像内にある対象物の位置(三次元座標)を特定することができる。ただし、撮像装置25の構成は、同様の機能を発揮することができれば、特に限定されない。
【0016】
制御装置3は、ロボット2の駆動を制御する。制御装置3は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサー(CPU)と、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部装置との接続を行う外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶されたプログラム等を読み込んで実行することができる。
【0017】
以上、ロボットシステム1について簡単に説明したが、その構成については、特に限定されない。例えば、ロボット2は、6軸垂直多関節ロボットでなくてもよく、水平多関節ロボット(スカラロボット)であってもよい。
【0018】
次に、上述したロボットシステム1を用いた検査方法について説明する。また、ロボットシステム1を用いたコネクタ挿入方法についても検査方法の中でまとめて説明する。この検査方法では、電子機器8に対してケーブル9の挿抜を繰り返し、第1コネクタ92および第2コネクタ81の耐久性を評価する。これにより、第1コネクタ92および第2コネクタ81の強度や、第2コネクタ81を支える部分の強度を簡単かつ精度よく評価することができる。ただし、検査内容は、特に限定されず、例えば、第1コネクタ92および第2コネクタ81の一方だけの耐久性を評価してもよいし、他の評価であってもよい。
【0019】
図2に示すように、ケーブル9は、実際に使用することができる本物のケーブルであり、可撓性を有するケーブル本体91と、ケーブル本体91の一端に配置された第1コネクタ92と、を有する。このように、本物のケーブル9を用いることにより、実際の使用状態を再現することができ、挿抜検査の精度を高めることができる。ただし、ケーブル9は、原寸大の模型(モックアップ)であってもよい。また、ケーブル9からケーブル本体91を省略してもよい。
【0020】
一方、図3に示すように、電子機器8は、その背面に第1コネクタ92が挿入される第2コネクタ81を有する。電子機器8は、ケーブル9の挿抜時にずれないように図示しない固定部材によって固定されている。電子機器8としては、特に限定されず、例えば、プロジェクター、プリンター、パーソナルコンピューター、ディスプレイ、ロボットコントローラー等が挙げられる。
【0021】
本実施形態では、第1コネクタ92がオスコネクタであり、第2コネクタ81がメスコネクタである。ただし、これに限定されず、第1コネクタ92がメスコネクタであり、第2コネクタ81がオスコネクタであってもよい。また、コネクタの規格は、特に限定されず、例えば、USBタイプA、USBタイプC、USBミニ、USBマイクロ、HDMI(登録商標)、VGA、LAN等、如何なる規格のものであってもよい。本実施形態では、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)である。HDMIは、映像および音声をまとめて1本のケーブルで送信可能な規格であり、AV(Audio/Visual)系の電子機器8を中心に広く使用されている。したがって、より多くの電子機器8を対象とした挿抜耐久検査を行うことができる。
【0022】
検査方法は、図4に示すように、第2コネクタ81の位置を検出する検出ステップS1と、ケーブル9を把持する把持ステップS2と、第1コネクタ92の軸をずらす軸ずらしステップS3と、第1コネクタ92の先端部を第2コネクタ81に挿入する第1挿入ステップS4と、第1コネクタ92の先端部を第2コネクタに当接させる当接ステップS5と、第1コネクタ92の軸を第2コネクタ81の軸に一致させる軸合わせステップS6と、第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入する第2挿入ステップS7と、第1コネクタ92を第2コネクタ81から引き抜く引き抜きステップS8と、第2コネクタ81に対して第1コネクタ92の挿抜を繰り返し行う繰り返し挿抜ステップS9と、第2コネクタ81の状態を検査する検査ステップS10と、を含む。
【0023】
なお、第1コネクタ92および第2コネクタ81は、共にHDMIであるため、平面視で、互いに直交する短軸および長軸を有する扁平形状をなす。そこで、以下では、説明の便宜上、第2コネクタ81の長軸に沿う軸をX軸とし、短軸に沿う方向をZ軸とし、中心軸O2に沿う軸をY軸とする。また、X軸に沿う方向をX軸方向、Y軸に沿う方向をY軸方向、Z軸に沿う方向をZ軸方向ともいう。また、各軸の矢印側をプラス側、反対側をマイナス側とも言う。
【0024】
≪検出ステップS1≫
検出ステップS1では、まず、制御装置3は、図5に示すように、撮像装置25の視野内に第2コネクタ81が位置するようにロボット2を動かし、撮像装置25で第2コネクタ81を撮像する。そして、制御装置3は、撮像装置25が取得した画像データを画像認識処理し、第2コネクタ81の位置の位置を検出する。なお、第2コネクタ81の位置とは、例えば、第2コネクタ81の先端つまり開口端の位置である。また、第2コネクタ81の位置とは、第2コネクタ81の位置と姿勢(向き)を含む意味である。
【0025】
≪把持ステップS2≫
把持ステップS2では、まず、制御装置3は、図6に示すように、撮像装置25の視野内に第1コネクタ92が位置するようにロボット2を動かし、撮像装置25で第1コネクタ92を撮像する。そして、制御装置3は、撮像装置25が取得した画像データを画像認識処理し、第1コネクタ92の位置を検出する。なお、第1コネクタ92の位置とは、例えば、第1コネクタ92の先端の位置である。また、第1コネクタ92の位置とは、第1コネクタ92の位置と姿勢(向き)を含む意味である。
【0026】
次に、制御装置3は、検出した位置に基づいてロボット2を動かし、ツール23で第1コネクタ92の所定位置を把持する。
【0027】
≪軸ずらしステップS3≫
軸ずらしステップS3では、まず、制御装置3は、図7に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92の向きを第2コネクタ81の向きに合わせる。つまり、第1コネクタ92の中心軸O1をY軸と一致させ、短軸をZ軸と一致させ、長軸をX軸と一致させる。図示の例では、中心軸O1を中心軸O2に一致させて、第1コネクタ92を第2コネクタ81に正対させている。
【0028】
次に、制御装置3は、図8に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92をZ軸まわりに所定角度だけ回転させ、その中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2に対して傾斜させる。これにより、第1コネクタ92の先端部分のうち、長軸方向の一端部(X軸方向マイナス側に位置する端部)が他端部(X軸方向プラス側に位置する端部)に対して第1コネクタ92の挿入方向前方側(Y軸方向プラス側)へ突出する。なお、以下では、説明の便宜上、前記一端部、つまり、図中のハッチングで示す部分を「先端部920」とも言う。
【0029】
なお、本実施形態では、図7に示す状態を経由して図8に示す状態としているが、これに限定されず、他の状態を経由して、または、他の状態を経由せずに直接、図8に示す状態としてもよい。また、回転軸は、特に限定されず、例えば、第1コネクタ92をX軸まわりに所定角度だけ回転させてもよい。
【0030】
また、軸ずらしステップS3を省略し、把持ステップS2において第1コネクタ92を把持する際に中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2に対して傾斜させてもよい。
【0031】
≪第1挿入ステップS4≫
第1挿入ステップS4では、制御装置3は、図9に示すように、ロボット2を動かして、第2コネクタ81に対する傾きを維持しつつ第1コネクタ92を平行移動させて、第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81に挿入する。ここで、軸ずらしステップS3において第1コネクタ92をZ軸まわりに回転させたことにより、先端部920の幅W1(X軸方向の長さ)が、第2コネクタ81の開口の幅W2(X軸方向の長さ)よりも小さくなっている。さらには、先端部920は、挿入方向先端側に先細りしている。そのため、例えば、図10に示すように、第1コネクタ92の中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2に対して平行とした姿勢で第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入する場合と比べて挿入成功確率を高めることができ、第2コネクタ81への挿入が容易となる。
【0032】
なお、第1コネクタ92や第2コネクタ81の位置の検出誤差、把持位置のずれ等に起因して第1コネクタ92の先端部920が第2コネクタ81にぶつかり、それ以上の挿入が阻止される場合もある。そこで、制御装置3は、力覚センサー24が検出する力に基づいて第1コネクタ92と第2コネクタ81との接触有無および接触状態を検出し、その検出結果に基づいて第1コネクタ92の位置を微調整しつつ本ステップを進める。これにより、第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81にスムーズに、かつ、より確実に挿入することができる。また、本ステップ中に、第1コネクタ92および第2コネクタ81に過度な力が加わり難くなり、これらの破損や変形を効果的に抑制することができる。
【0033】
ここで、第2コネクタ81の中心軸O2に対する第1コネクタ92の中心軸O1の傾斜角度θとしては、特に限定されないが、例えば、30°以上60°以下であることが好ましく、40°以上50°以下であることがより好ましく、45°程度であることがさらに好ましい。これにより、先端部920の幅W1を第2コネクタ81の開口の幅W2に対して十分に小さくすることができ、挿入成功確率をさらに高めることができ、本ステップをよりスムーズに、かつ、より確実に行うことができる。
【0034】
≪当接ステップS5≫
当接ステップS5では、制御装置3は、図11に示すように、ロボット2を動かして、第2コネクタ81に対する傾きを維持しつつ第1コネクタ92をX軸方向マイナス側に平行移動させて、先端部920を第2コネクタ81のX軸方向マイナス側に位置する内壁810に当接させる。これにより、第2コネクタ81に対して第1コネクタ92が位置決めされる。なお、当接したかの判定は、力覚センサー24が検出する力に基づいて行うことができる。
【0035】
≪軸合わせステップS6≫
軸合わせステップS6では、制御装置3は、図12に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92をZ軸まわりに回転させて、第1コネクタ92の先端面の全域が第2コネクタ81に挿入された状態とすると共に、第1コネクタ92の中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2と一致させる。この際、制御装置3は、先端部920が内壁810に当接した状態を維持しつつ、つまり、先端部920と内壁810との接点を中心に第1コネクタ92を回転させることが好ましい。これにより、本ステップをスムーズに行うことができる。
【0036】
≪第2挿入ステップS7≫
第2挿入ステップS7では、制御装置3は、図13に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92を中心軸O1に沿ってY軸方向プラス側に前進させて第2コネクタ81に挿入する。以上により、第1コネクタ92の挿入が完了し、第1コネクタ92と第2コネクタ81とが接続された状態となる。
【0037】
≪引き抜きステップS8≫
引き抜きステップS8では、制御装置3は、図14に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92を中心軸O1に沿ってY軸方向マイナス側に後退させて第2コネクタ81から引き抜く。
【0038】
≪繰り返し挿抜ステップS9≫
繰り返し挿抜ステップS9では、ロボット2を動かして、第1コネクタ92を中心軸O1に沿ってY軸方向プラス側に前進させて第2コネクタに挿入して図13に示した状態とし、その後、第1コネクタ92を中心軸O1に沿ってY軸方向マイナス側に後退させて第2コネクタ81から引く抜き図14に示した状態とする行為を1回の挿抜行為とし、これを検査で定められた回数だけ繰り返して行う。なお、第2挿入ステップS7が完了したときの第1コネクタ92の位置および引き抜きステップS8が完了したときの第1コネクタ92の位置を記録し、第1コネクタ92を2つの位置間で往復させることにより、本ステップをスムーズに行うことができる。
【0039】
≪検査ステップS10≫
検査ステップS10では、第2コネクタ81自身の状態や電子機器8の第2コネクタ81を保持する部分の状態を確認して、ケーブル9の挿抜に対する耐久性を評価する。評価は、例えば、制御装置3が、撮像装置25で第2コネクタ81を撮像し、その画像データを画像処理することにより行ってもよく、他の検査ロボットが行ってもよい。また、作業者が目視で行ってもよい。
【0040】
以上、検査方法について説明した。このような検査方法によれば、第2コネクタ81に対する第1コネクタ92の挿抜をスムーズに行うことができる。そのため、検査に要する時間を短縮することができる。
【0041】
以上、ロボットシステム1を用いたコネクタの挿入方法および検査方法について説明した。このようなコネクタ挿入方法は、前述したように、ロボット2を用いて第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入するコネクタ挿入方法であって、ロボット2で第1コネクタ92を把持する把持ステップS2と、第1コネクタ92の中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2に対してずらした状態で、第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81に挿入する第1挿入ステップS4と、第1コネクタ92を変位させて第1コネクタ92の中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2と一致させる軸合わせステップS6と、第1コネクタ92を第1コネクタ92の中心軸O1に沿う方向に前進させて第2コネクタ81に挿入する第2挿入ステップS7と、を含む。このような方法によれば、挿入成功確率が高まり、第2コネクタ81への第1コネクタ92の挿入をより確実に、かつ、スムーズに行うことができる。
【0042】
また、前述したように、第1挿入ステップS3では、第1コネクタ92の中心軸O1が第2コネクタ81の中心軸O2に対して傾斜している。これにより、先端部920の幅(X軸方向の長さ)が第2コネクタ81の開口の幅(X軸方向の長さ)よりも小さくなる。そのため、第1挿入ステップS4において、第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入し易くなる。
【0043】
また、前述したように、コネクタ挿入方法は、第1挿入ステップS4と軸合わせステップS6との間に行われ、第1コネクタ92を第2コネクタ81の中心軸O2に直交する方向、具体的にはX軸方向マイナス側に移動させて先端部920を第2コネクタ81に当接させる当接ステップS5を含む。これにより、軸合わせステップS6に先立って、第2コネクタ81に対して第1コネクタ92を位置決めすることができる。
【0044】
また、前述したように、軸合わせステップS6では、第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81に当接させた状態を維持しつつ第1コネクタ92を変位させる。これにより、本ステップを終えると同時に、第1コネクタ92の中心軸O1が第2コネクタ81の中心軸O2とほぼ一致する。言い換えると、本ステップを終えたときの、中心軸O2に対する中心軸O1のずれを小さく抑えることができる。
【0045】
また、前述したように、第1コネクタ92および第2コネクタ81は、HDMIである。HDMIは、映像および音声をまとめて送信可能な規格であり、AV(Audio/Visual)系の電子機器8を中心に広く使用されている。したがって、より多くの電子機器8を対象とした挿抜耐久検査を行うことができる。
【0046】
また、前述したように、ロボット2は、第1コネクタ92が第2コネクタ81に接触することにより生じる力を検出する力覚センサー24を有する。そして、第1挿入ステップS4では、力覚センサー24が検出する力に基づいて第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81に挿入する。これにより、第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81にスムーズに挿入することができる。また、第1コネクタ92および第2コネクタ81に過度な力が加わり難くなり、これらの破損や変形を効果的に抑制することができる。
【0047】
また、前述したように、検査方法は、ロボット2を用いて第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入して検査を行う検査方法であって、第1コネクタ92をロボット2で把持する把持ステップS2と、第1コネクタ92の中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2に対してずらした状態で、第1コネクタ92の先端部920を第2コネクタ81に挿入する第1挿入ステップS4と、第1コネクタの中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2と一致させる軸合わせステップS6と、第1コネクタ92を第1コネクタ92の中心軸O1に沿う方向に前進させて第2コネクタ81に挿入する第2挿入ステップS7と、第1コネクタ92を第1コネクタ92の中心軸O1に沿う方向に後退させて第2コネクタ81から引き抜く引き抜きステップS8と、を含む。このような検査方法によれば、第2コネクタ81への第1コネクタ92の挿抜をスムーズに行うことができ、検査に要する時間を短縮することができる。
【0048】
また、前述したように、検査方法では、第1コネクタ92または第2コネクタ81の耐久性を検査する。特に、本実施形態では、その両方の耐久性を検査する。これにより、第1、第2コネクタ92、81自身の強度や電子機器8の第2コネクタ81を支える部分の強度を簡単かつ精度よく評価することができる。
【0049】
また、前述したように、検査方法は、引き抜きステップS8の後に行われ、第2コネクタ81に対して第1コネクタ92の挿抜を繰り返し行う、繰り返し挿抜ステップS9を含む。これにより、第1コネクタ92および第2コネクタ81の耐久性を効果的に検査することができる。
【0050】
<第2実施形態>
図15は、第2実施形態の検査方法で用いる第1コネクタおよび第2コネクタを示す斜視図である。図16ないし図20は、それぞれ、検査方法を説明するための図である。
【0051】
本実施形態に係るロボットシステム1は、第1、第2コネクタ92、81の形状(規格)が異なること以外は、前述した第1実施形態のロボットシステム1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態のロボットシステム1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0052】
図15に示すように、本実施形態では、第1コネクタ92は、先端面922の下端部から前方へ突出する突出部923を有する。このような場合、以下のようにして電子機器8の耐久検査を行う。
【0053】
本実施形態の検査方法は、前述した第1実施形態から当接ステップS5が省略されており、検出ステップS1と、把持ステップS2と、軸ずらしステップS3と、第1挿入ステップS4と、軸合わせステップS6と、第2挿入ステップS7と、引き抜きステップS8と、繰り返し挿抜ステップS9と、検査ステップS10と、を含む。このうち、検出ステップS1、把持ステップS2、引き抜きステップS8、繰り返し挿抜ステップS9および検査ステップS10については、前述した第1実施形態と同様であるため、その説明を省略し、以下では、軸ずらしステップS3、第1挿入ステップS4、軸合わせステップS6および第2挿入ステップS7について説明する。
【0054】
≪軸ずらしステップS3≫
軸ずらしステップS3では、まず、制御装置3は、図16に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92の向きを第2コネクタ81の向きに合わせる。次に、制御装置3は、図17に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92をZ軸方向プラス側に移動させ、その中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2に対してZ軸方向に平行にずらす。
【0055】
≪第1挿入ステップS4≫
第1挿入ステップS4では、制御装置3は、図18に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92を中心軸O1に沿ってY軸方向プラス側へ移動させて、突出部923を第2コネクタ81に挿入すると共に、先端面922を第2コネクタ81の開口端に当接させる。このような方法によれば、例えば、中心軸O1、O2を一致させた状態で第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入する場合と比べて、第2コネクタ81への挿入が容易となる。
【0056】
≪軸合わせステップS6≫
軸合わせステップS6では、制御装置3は、図19に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92をZ軸方向マイナス側に移動させて、第1コネクタ92の中心軸O1を第2コネクタ81の中心軸O2と一致させる。
【0057】
≪第2挿入ステップS7≫
第2挿入ステップS7では、制御装置3は、図20に示すように、ロボット2を動かして、第1コネクタ92を中心軸O1に沿ってY軸方向プラス側に前進させて第2コネクタ81に挿入する。以上により、第1コネクタ92の挿入が完了し、第1コネクタ92と第2コネクタ81とが接続された状態となる。
【0058】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0059】
<第3実施形態>
本実施形態に係るロボットシステム1は、検査方法が異なること以外は、前述した第1実施形態のロボットシステム1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態のロボットシステム1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
【0060】
本実施形態の検査方法で行われる検査の内容は、第2コネクタ81に第1コネクタ92を挿入するための挿入力および第2コネクタ81から第1コネクタ92を引き抜くための引き抜き力の検査である。これにより、第2コネクタ81に対する第1コネクタ92の挿抜のし易さを評価することができる。
【0061】
本実施形態の検査方法は、検出ステップS1と、把持ステップS2と、軸ずらしステップS3と、第1挿入ステップS4と、当接ステップS5と、軸合わせステップS6と、第2挿入ステップS7と、引き抜きステップS8と、検査ステップS10と、を含む。つまり、前述した第1実施形態から繰り返し挿抜ステップS9が省略されている。なお、検出ステップS1、把持ステップS2、軸ずらしステップS3、第1挿入ステップS4、当接ステップS5、軸合わせステップS6、第2挿入ステップS7および引き抜きステップS8は、それぞれ、前述した第1実施形態と同様である。そのため、以下では、検査ステップS10についてのみ説明する。
【0062】
≪検査ステップS10≫
検査ステップS10では、制御装置3は、第2挿入ステップS7において第1コネクタ92に加わった力を力覚センサー24で検出し、検出した力に基づいて第1コネクタ92を第2コネクタ81に挿入するのに必要な挿入力を検出する。同様に、制御装置3は、引き抜きステップS8において第1コネクタ92に加わった力を力覚センサー24で検出し、検出した力に基づいて第1コネクタ92を第2コネクタ81から引き抜くのに必要な引き抜き力を検出する。これにより、第2コネクタ81に対する第1コネクタ92の挿抜のし易さを評価することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態の検査方法では、第2コネクタ81に第1コネクタ92を挿入するための挿入力、または第2コネクタ81から第1コネクタ92を引き抜くための引き抜き力を検査する。これにより、第2コネクタ81に対する第1コネクタ92の挿抜のし易さを評価することができる。
【0064】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0065】
<第4実施形態>
図21は、第4実施形態に係るロボットシステムの構成図である。
【0066】
本実施形態に係るロボットシステム1は、撮像装置25の配置が異なること以外は、前述した第1実施形態のロボットシステム1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態のロボットシステム1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0067】
図21に示すように、本実施形態のロボットシステム1では、撮像装置25がロボット2に配置されておらず、例えば、作業空間の直上に配置され、所定の位置に固定されている。
【0068】
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、電子機器8の姿勢によっては、第2コネクタ81を撮像装置25で撮像することができない場合がある。その場合には、例えば、別の方法によって第2コネクタ81の位置を予め求めておき、求めた位置を制御装置3に保存しておけばよい。
【0069】
<第5実施形態>
図22は、第5実施形態に係るロボットシステムで行う検査で用いられる把持治具を示す斜視図である。図23は、図22に示す把持治具の分解斜視図である。図24は、把持治具をツールが把持した状態を示す斜視図である。
【0070】
本実施形態に係るロボットシステム1は、検査の際に、第1コネクタ92に把持治具7を装着すること以外は、前述した第1実施形態のロボットシステム1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態のロボットシステム1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0071】
本実施形態の検査では、把持ステップS2に先立って第1コネクタ92に把持治具7を装着する。図22および図23に示すように、把持治具7は、第1コネクタ92を保持する基部72と、基部72と第1コネクタ92との間に介在するスペーサー71と、基部72に挿通する管状のロック部73と、を有する。また、スペーサー71は、スペーサー片711、712に分割されており、基部72は、基部片721、722に分割されている。これら各部は、例えば、樹脂材料で構成されている。
【0072】
把持治具7では、まず、スペーサー片711、712で第1コネクタ92のボディを挟み込んでスペーサー71を組み立てる。スペーサー71は、第1コネクタ92の位置決めを行う位置決め部713を有する。これにより、第1コネクタ92をスペーサー71に対して所定位置に配置することができると共に、位置決め後のずれを抑制することができる。位置決め部713の構成は、第1コネクタ92のボディ形状に応じて適宜設計することができ、本実施形態では、ボディのくびれに係合する凸部を有する構成となっている。
【0073】
次に、基部片721、722でスペーサー71を挟み込んで基部72を組み立てる。基部72は、スペーサー71の位置決めを行う位置決め部723を有する。これにより、スペーサー71を基部72に対して所定位置に配置することができると共に、位置決め後のずれを抑制することができる。位置決め部723の構成は、スペーサー71の形状に応じて適宜設計することがでる。本実施形態の位置決め部723は、基部72の先端部に形成され、スペーサー71が嵌め込まれる凹部を有する構成となっている。
【0074】
次に、基部72にロック部73を挿通することにより、スペーサー71および基部72の組み立て状態が維持される。基部72は、ロック部73の位置決めを行う位置決め部724を有する。これにより、ロック部73を基部72に対して所定位置に配置することができる。位置決め部724の構成は、ロック部73の形状に応じて適宜設計することができ、本実施形態では、ロック部73を突き当てる壁部を有する構成となっている。以上により、把持治具7の組み立てが完了する。このような構成によれば、把持治具7をケーブル9に容易に装着することができる。なお、把持治具7を装着した状態では、把持治具7の先端から第1コネクタ92の先端部、具体的にはオス端子部分(第2コネクタ81に挿入される部分)の全体が突出している。
【0075】
また、把持治具7は、ロック部73の上面に配置された画像認識用の認識マークM1を有する。認識マークM1は、ロック部73と一体形成されていてもよく、別体形成で接着剤等により接合されていてもよい。
【0076】
認識マークM1は、画像認識され易い構成となっている。具体的には、認識マークM1は、画像認識され易い色および光沢を有する。認識マークM1は、例えば、樹脂材料で構成され、光沢が十分に抑えられている。また、周囲とは異なる色に着色されている。そのため、認識マークM1およびその輪郭が画像データに鮮明に表れる。そのため、第1コネクタ92を直に撮像して得られた画像データに基づいて第1コネクタ92の位置を検出するよりも、第1コネクタ92の位置を精度よく検出することができる。また、認識マークM1は、画像認識に時間がかかり過ぎないように、小さ過ぎず大き過ぎない適度な大きさで構成されている。
【0077】
また、認識マークM1は、立体形状をなす。さらに、認識マークM1の側面は、テーパー状に傾斜し、撮像装置25が撮像して得られた画像データに表れる。そのため、認識マークM1に関する情報量が増え、その分、認識マークM1をより精度よく画像認識することができる。したがって、第1コネクタ92の位置をより精度よく検出することができる。ただし、認識マークM1の形状は、特に限定されず、側面がテーパー状でなくてもよいし、例えば、印刷層、シールの貼着等で形成された平面形状であってもよい。
【0078】
また、基部72は、ロボット2のツール23で把持される把持部725を有する。把持部725は、基部72の両側面に形成された一対の切り欠き部によって括れた形状となっている。そして、図24に示すように、把持ステップS2において、切り欠き部にツール23の爪部を差し込んで把持部725を挟持することにより、把持治具7を安定した姿勢で把持することができる。
【0079】
また、把持部725は、認識マークM1よりも基端側、つまり、挿入方向の後方に位置している。これにより、ツール23で把持部725を把持したときのツール23と第1コネクタ92との離間距離Dが大きくなり、例えば、ツール23で第1コネクタ92を直接把持した場合には第1コネクタ92を挿入できない程に奥まった場所にある第2コネクタ81に対しても第1コネクタ92を挿入することができる。そのため、検査の作業性が向上する。ただし、把持部725の配置は、特に限定されない。
【0080】
以上、把持治具7について説明した。把持治具7を第1コネクタ92に装着した状態における認識マークM1と把持部725との相対的位置関係(認識マークM1からのオフセット量)と、認識マークM1と第1コネクタ92との相対的位置関係(認識マークM1からのオフセット量)と、が予め既知とされており、これらの関係は制御装置3に保存されている。したがって、制御装置3は、撮像装置25が取得した画像から認識マークM1の位置を検出すれば、そこから把持部725および第1コネクタ92の位置をそれぞれ検出することができる。
【0081】
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0082】
以上、本発明のコネクタ挿入方法および検査方法を図示の実施形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物または工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…ロボットシステム、2…ロボット、21…ベース、22…ロボットアーム、221…アーム、222…アーム、223…アーム、224…アーム、225…アーム、226…アーム、23…ツール、24…力覚センサー、25…撮像装置、3…制御装置、7…把持治具、71…スペーサー、711…スペーサー片、712…スペーサー片、713…位置決め部、72…基部、721…基部片、722…基部片、723…位置決め部、724…位置決め部、725…把持部、73…ロック部、8…電子機器、81…第2コネクタ、810…内壁、9…ケーブル、91…ケーブル本体、92…第1コネクタ、920…先端部、922…先端面、923…突出部、D…離間距離、J1…関節、J2…関節、J3…関節、J4…関節、J5…関節、J6…関節、M1…認識マーク、O1…中心軸、O2…中心軸、S1…検出ステップ、S2…把持ステップ、S3…軸ずらしステップ、S4…第1挿入ステップ、S5…当接ステップ、S6…軸合わせステップ、S7…第2挿入ステップ、S8…引き抜きステップ、S9…繰り返し挿抜ステップ、S10…検査ステップ、W1…幅、W2…幅、θ…傾斜角度
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