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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154203
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】浄水装置および浄水具
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/72 20230101AFI20241023BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20241023BHJP
   C02F 1/30 20230101ALI20241023BHJP
【FI】
C02F1/72 101
B01J35/02 J
C02F1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067911
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】川越 崇己
(72)【発明者】
【氏名】田口 典明
(72)【発明者】
【氏名】阪本 正文
(72)【発明者】
【氏名】坪田 美波
【テーマコード(参考)】
4D037
4D050
4G169
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA16
4D037CA11
4D050AA02
4D050AB06
4D050BB20
4D050BC06
4D050CA07
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA17
4G169BA48A
4G169BB04A
4G169BC50A
4G169BC60A
4G169CA05
4G169CA10
4G169DA06
4G169HA01
4G169HB01
4G169HE05
4G169HF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】貯水槽内の水を効果的に浄化できる浄水装置を提供する。
【解決手段】浄水装置10は、内部に水が貯留される貯水槽12、および貯水槽内に設けられた光触媒部材16を備える。光触媒部材は、基体と基体の表面に担持された光触媒とを含み、螺旋状に延びる立体形状を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水が貯留される貯水槽および前記貯水槽内に設けられた光触媒部材を備える浄水装置であって、
前記光触媒部材は、基体と前記基体の表面に担持された光触媒とを含み、螺旋状に延びる立体形状を有している、浄水装置。
【請求項2】
前記光触媒部材の上端部に設けられた浮き部材を備える、請求項1記載の浄水装置。
【請求項3】
前記光触媒部材は、軸方向に伸縮可能に形成されており、前記浮き部材の浮力によって前記貯水槽内の水位に応じて伸縮する、請求項2記載の浄水装置。
【請求項4】
前記光触媒部材の下端部に設けられた錘部材を備える、請求項2または3記載の浄水装置。
【請求項5】
前記光触媒部材の下端部は、前記貯水槽の底壁に固定されている、請求項2または3記載の浄水装置。
【請求項6】
前記光触媒部材は、上端部から下端部に向かって径小となる対数螺旋状に形成されている、請求項1または2記載の浄水装置。
【請求項7】
前記貯水槽の壁部に設けられ、前記光触媒部材に対して光を照射する光源を備える、請求項1または2記載の浄水装置。
【請求項8】
前記浮き部材の内部に設けられ、前記光触媒部材に対して光を照射する光源を備える、請求項1または2記載の浄水装置。
【請求項9】
貯水槽内に貯留された水を浄化するための浄水具であって、
基体と前記基体の表面に担持された光触媒とを含み、前記貯水槽内に設けられたときに螺旋状に延びる立体形状となることが可能な光触媒部材、および
前記光触媒部材の上端部に設けられた浮き部材を備える、浄水具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は浄水装置および浄水具に関し、特にたとえば、表面に光触媒を担持する光触媒部材を用いて貯水槽内の水を浄化する、浄水装置およびそれに用いる浄水具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浄水装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の技術では、透光性及び通水性を有する塊状体の表面に浄水作用を有する光触媒をコーティングした浄水具が水面近傍に配置される。また、水を強制的に対流させるための対流装置が設けられると共に、浄水具に向けて紫外線を強制的に照射する紫外線照射装置が設けられる。さらに、上方に開口部を有する網状枠体の内部に浄水具が配設され、浄水具を水面上に保持するための浮きが浄水具の周囲に配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-61776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、浄水具を水面近傍に設けるので、水面近傍の水しか浄化することができず、浄水効果が十分とは言えない。特許文献1の技術では、水を強制的に対流させる対流装置を設けることで、浄水効果を向上させているが、対流装置を設けると機構が複雑となり、コストが上昇してしまう。
【0005】
それゆえに、この開示の主たる目的は、新規な、浄水装置および浄水具を提供することである。
【0006】
この開示の他の目的は、貯水槽内の水を効果的に浄化できる、浄水装置および浄水具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示は、内部に水が貯留される貯水槽および貯水槽内に設けられた光触媒部材を備える浄水装置であって、光触媒部材は、基体と基体の表面に担持された光触媒とを含み、螺旋状に延びる立体形状を有している、浄水装置である。
【0008】
第1の開示によれば、螺旋状に延びる立体形状の光触媒部材を備えるので、貯水槽内の水に対して光触媒部材(光触媒)を広範囲で接触させることができる。したがって、光触媒を水面近傍にしか配置しない場合と比較して、貯水槽内の水を短時間で効果的に浄化できる。
【0009】
第2の開示は、第1の開示に従属し、光触媒部材の上端部に設けられた浮き部材を備える。
【0010】
第3の開示は、第2の開示に従属し、光触媒部材は、軸方向に伸縮可能に形成されており、浮き部材の浮力によって貯水槽内の水位に応じて伸縮する。
【0011】
第3の開示によれば、貯水槽内の水位が変化する場合にも適切に対応でき、貯水槽内の水位に依存することなく貯水槽内の水を効率よく浄化できる。
【0012】
第4の開示は、第2または第3の開示に従属し、光触媒部材の下端部に設けられた錘部材を備える。
【0013】
第5の開示は、第2または第3の開示に従属し、光触媒部材の下端部は、貯水槽の底壁に固定されている。
【0014】
第6の開示は、第1または第2の開示に従属し、光触媒部材は、上端部から下端部に向かって径小となる対数螺旋状に形成されている。
【0015】
第7の開示は、第1または第2の開示に従属し、貯水槽の壁部に設けられ、光触媒部材に対して光を照射する光源を備える。
【0016】
第8の開示は、第1または第2の開示に従属し、浮き部材の内部に設けられ、光触媒部材に対して光を照射する光源を備える。
【0017】
第9の開示は、貯水槽内に貯留された水を浄化するための浄水具であって、基体と基体の表面に担持された光触媒とを含み、貯水槽内に設けられたときに螺旋状に延びる立体形状となることが可能な光触媒部材、および光触媒部材の上端部に設けられた浮き部材を備える、浄水具である。
【0018】
第9の開示によれば、第1の開示と同様に、貯水槽内の水を短時間で効果的に浄化できる。
【発明の効果】
【0019】
この開示によれば、螺旋状に延びる立体形状を有する光触媒部材を備えるので、貯水槽内の水を短時間で効果的に浄化できる。
【0020】
この開示の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この開示の第1実施例の浄水装置を設置した様子を概略的に示す図である。
図2】浄水装置を示す斜視図である。
図3】浄水装置を示す縦断面図である。
図4図3のIV-IV線で切断した浄水装置の断面を示す断面図である。
図5】浄水装置が備える浄水具を示す分解斜視図である。
図6】浄水具が備える光触媒部材を示す平面図である。
図7】浄水具が備える浮き部材を示す分解斜視図である。
図8】貯水槽内の水位が下がった状態の浄水装置を示す斜視図である。
図9】この開示の第2実施例の浄水装置を示す斜視図である。
図10図9の浄水装置を示す縦断面図である。
図11図9の浄水装置を示す分解斜視図である。
図12】この開示の第3実施例の浄水装置が備える浮き部材を示す横断面図である。
図13図12の浮き部材を示す分解斜視図である。
図14図12の浮き部材が備える浮き本体の示す斜視図である。
図15】この開示の第4実施例の浄水装置が備える浄水具を示す斜視図である。
図16図15の浄水具を示す正面図である。
図17】この開示の第5実施例の浄水装置が備える浄水具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施例]
図1および図2を参照して、この開示の第1実施例である浄水装置10は、浄水具14が備える光触媒部材16を用いて貯水槽12内に貯留された水を浄化する装置である。この実施例では、浄水装置10は、屋外に設置され、家庭菜園の水やり等に用いられる雨水を貯留して浄化する。たとえば、浄水装置10の貯水槽12は、架台100上に設置される。また、貯水槽12には、建物102の雨樋104から延びる導水管106が接続され、この導水管106から貯水槽12内に雨水が供給される。
【0023】
ただし、浄水装置10の設置態様および用途は、上記のものに限定されず、貯水槽12内には、水道水または井戸水などを貯留しておいてもよいし、貯水槽12内の水は、他の用途に使用することもできる。以下、浄水装置10の構成について、具体的に説明する。
【0024】
図2図4に示すように、浄水装置10は、貯水槽12およびその内部に設けられた浄水具14を備える。浄水具14は、光触媒部材16、浮き部材18および錘部材20などによって構成される。貯水槽12は、槽本体30と、槽本体30の上部開口に着脱可能に設けられた蓋体32とを備え、有頂有底の円筒状に形成される。槽本体30および蓋体32のそれぞれは、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂およびアクリル樹脂などの透光性(透明性)を有する材料によって形成される。
【0025】
槽本体30は、円筒状の側壁30aと、側壁30aの下端開口を封止する円板状の底壁30bとを備える。一方、蓋体32は、外側に向かって下り勾配となるテーパ状の天壁32aと、天壁32aの外縁部から下方に突出する短円筒状に形成されて、側壁30aの上端部に外嵌めされる嵌合部32bとを備える。天壁32aの中央部には、導水管106が接続される接続口32cが形成される。また、側壁30aの下端部には、水栓付きの取水管34が設けられ、側壁30aの上端部には、オーバーフロー管36が設けられる。なお、図示は省略するが、底壁30bには水抜き栓を設けておくとよい。
【0026】
図2図4と共に図5および図6を参照して、貯水槽12の内部には、浄水具14が設けられる。上述のように、浄水具14は、光触媒部材16、浮き部材18および錘部材20などを備える。
【0027】
光触媒部材16は、基体の表面に光触媒(光触媒粒子)が担持(コーティング)された部材であり、長尺の帯状体が螺旋状に延びる立体形状を有している。光触媒部材16に含まれる光触媒は、紫外線などの光が照射されることで励起して活性酸素種を生成し、この活性酸素種によって水中の有機物を分解したり、細菌を除去(除菌)したりすることで、水を浄化する。光触媒としては、酸化チタンおよび酸化タングステン等の公知の光触媒を用いるとよく、これらの中でも酸化チタンが好適に用いられる。
【0028】
光触媒部材16の基体は、アルミニウムおよびステンレス鋼などの金属、またはポリ塩化ビニルおよびポリアミド等の合成樹脂などの耐水性および弾力性を有する材料で形成される。基体の厚みは、金属の場合で、たとえば0.5mm~1.0mm程度、合成樹脂の場合で、たとえば1mm~2mm程度である。
【0029】
また、この実施例では、光触媒部材16は、一方端部(上端部)から他端部(下端部)に向かって径小となる対数螺旋状に形成される。また、光触媒部材16は、コイルばねのように螺旋の軸方向(上下方向)に伸縮可能に形成されており、最も縮んだ状態では平板状になることが可能である。この際、光触媒部材16は、最も縮んだ状態で光触媒部材16どうしが上下方向に重ならないように、平面視で渦巻き状に形成されることが好ましく、主面が上下方向を向く(つまり幅方向が略水平方向となる)ように形成されることが好ましい。これにより、光触媒部材16の主面が上方および下方からの光を受け易くなる。
【0030】
なお、この実施例の光触媒部材16は、図5に示すように、外部から力が加わらない状態では、一方端部が外縁部となり他端部が中央部となる平板形状を保持し、浮き部材18および錘部材20によって伸長方向に引っ張られることで、螺旋状に延びる立体形状を保持する。
【0031】
また、光触媒部材16の一方端部には、光触媒部材16に浮き部材18を取り付けるための第1ねじ22が挿通される第1ねじ挿通孔16aが形成される。また、光触媒部材16の一方端部には、第1ねじ挿通孔16aの両側に、浮き部材18に形成された位置決めボス40eが挿通されるボス孔16bが形成される。さらに、光触媒部材16の他端部には、光触媒部材16に錘部材20を取り付けるための第2ねじ24が挿通される第2ねじ挿通孔16cが形成される。
【0032】
図2図4と共に図5および図7を参照して、浮き部材18は、光触媒部材16の一方端部(上端部)に取り付けられる。浮き部材18は、浮き本体40と浮き蓋42とを備え、中央部に貫通孔18aを有する中空のドーナツ状に形成される。浮き本体40および浮き蓋42のそれぞれは、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂などの透光性を有しかつ比較的軽量の材料によって形成される。
【0033】
浮き本体40は、円環板状の底壁40a、底壁40aの外側縁から上方に突出する短円筒状の外側壁40b、および底壁40aの内側縁から上方に突出する短円筒状の内側壁40cを備える。一方、浮き蓋42は、円環板状の天壁42a、天壁42aの外縁部から下方に突出して外側壁40bに内嵌めされる環状突起である第1嵌合部42b、および天壁42aの内縁部から下方に突出して内側壁40cに外嵌めされる環状突起である第2嵌合部42cを備える。また、図3に示すように、外側壁40bと第1嵌合部42bとの間、および内側壁40cと第2嵌合部42cとの間のそれぞれには、Oリング44が設けられる。
【0034】
また、底壁40aの下面外縁部には、窪み部が形成され、この窪み部には、第1ねじ22が螺合されるねじ穴40dが形成される。また、ねじ穴40dの両側には、位置決めボス40eが形成される。
【0035】
図2図4と共に図5を参照して、錘部材20は、光触媒部材16の他端部(下端部)に取り付けられる。錘部材20は、鉄などの金属によって円柱状に形成される。図示は省略するが、錘部材20の上面中央部には、第2ねじ24が螺合されるねじ穴が形成される。
【0036】
浄水具14を組み立てる際には、図5からよく分かるように、浮き部材18の位置決めボス40eを光触媒部材16のボス孔16bに挿入すると共に、光触媒部材16の第1ねじ挿通孔16aを介して浮き部材18のねじ穴40dに第1ねじ22を螺合することで、浮き部材18が光触媒部材16の一方端部に位置決めされた状態で固定される。また、光触媒部材16の第2ねじ挿通孔16cを介して錘部材20のねじ穴に第2ねじ24を螺合することで、錘部材20が光触媒部材16の他端部に固定される。これにより、光触媒部材16、浮き部材18および錘部材20が一体化された浄水具14が形成される。
【0037】
このような浄水装置10では、上述のように、貯水槽12の内部に浄水具14が設けられる。この際、光触媒部材16は、錘部材20の重みによって、その他端部(下端部)が貯水槽12の底壁30bの近傍位置で保持される。また、浮き部材18および光触媒部材16の中央部を通すように導水管106が貯水槽12の天壁32aに接続される。そして、光触媒部材16に太陽光が照射されることで、貯水槽12内の水が浄化される。
【0038】
図2および図3に示すように、貯水槽12内の水位Wが高い場合(高水位の場合)には、浮き部材18の浮力によって光触媒部材16が伸長されて対数螺旋状の立体形状を保持することで、貯水槽12内の水の略全体(略全水深)に亘るように光触媒部材16が配置される。すなわち、光触媒部材16を螺旋状の立体形状を有することで、貯水槽12内の水に対して光触媒部材16(光触媒)を広範囲で接触させることができるので、光触媒を水面近傍にしか配置しない場合と比較して、貯水槽12内の水を短時間で効果的に浄化できる。
【0039】
また、図8に示すように、貯水槽12内の水位Wが変動すると、これに伴って浮き部材18が上下動して光触媒部材16が伸縮し、水位Wが低い場合(低水位の場合)にも、貯水槽12内の水と光触媒部材16との接触面積が維持される。すなわち、浄水装置10は、貯水槽12内の水位Wが変化する場合にも適切に対応でき、貯水槽12内の水を効率よく浄化できる。
【0040】
なお、側壁30aの内面を浮き部材18が上下動する際のガイドとして機能させることもできる。すなわち、貯水槽12の側壁30aと浮き部材18の外側壁40bとの間の隙間を小さくして、貯水槽12の側壁30a内面に沿って浮き部材18を摺動させてもよい。また、側壁30aの内面には、上下方向に延びかつ周方向に所定間隔で配置される複数のガイド突起を形成しておくこともできる。
【0041】
以上のように、この第1実施例によれば、螺旋状に延びる立体形状の光触媒部材16を備えるので、貯水槽12内の水に対して光触媒部材16を広範囲で接触させることができる。したがって、光触媒を水面近傍にしか配置しない場合と比較して、貯水槽12内の水を短時間で効果的に浄化できる。
【0042】
また、貯水槽12内の水位Wに応じて光触媒部材16が伸縮するので、貯水槽12内の水位が変化する場合にも適切に対応できる。すなわち、貯水槽12内の水位Wに依存することなく、貯水槽12内に貯留された水を効率よく浄化できる。
【0043】
[第2実施例]
次に、図9図11を参照して、この開示の第2実施例である浄水装置10について説明する。なお、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0044】
図9図11に示すように、第2実施例では、光触媒部材16の他端部(下端部)は、貯水槽12の底壁30bに直接固定される。すなわち、貯水槽12の底壁30bには、第2ねじ24が螺合されるねじ穴30cが形成される。そして、光触媒部材16の第2ねじ挿通孔16cを介して底壁30bのねじ穴30cに第2ねじ24を螺合することで、光触媒部材16の他端部が底壁30bに固定される。
【0045】
また、この第2実施例では、貯水槽12の底壁30bの下面(外面)には、光触媒部材16に対して光を照射する光源50が設けられる。光源50は、円環板状の基板50aと、基板50aの上面に分散配置された複数のLED50b(発光ダイオード)とを含む。また、底壁30bの下面には、放射状に延びる光源取付部52が設けられる。この光源取付部52に形成される環状の溝部52aに基板50aが嵌め入れられることで、底壁30bの下面に光源50が取り付けられる。なお、複数のLED50bは、図示しない電源によって点灯制御される。
【0046】
この第2実施例によれば、太陽光の有無に関わらず、つまり夜間や雨天時などにおいても、貯水槽12内の水を効果的に浄化できる。また、太陽光が比較的当たり難い光触媒部材16の下面(底壁30b側の主面)および他端部(下端部)にも光を確実に照射することができるので、太陽光と合わせて貯水槽12内の水をより効果的に浄化できる。
【0047】
なお、上述の第2実施例では、光源を貯水槽の底壁に設けるようにしたが、これに代えて、或いはこれと共に、貯水槽の側壁または天壁に光源を設けることもできる。つまり、光触媒部材に対して光を照射する光源の設置態様は、適宜変更可能であり、貯水槽の壁部のいずれに光源を設けても構わない。
【0048】
[第3実施例]
続いて、図12図14を参照して、この開示の第3実施例である浄水装置10について説明する。なお、上述の第1実施例または第2実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0049】
図12図14に示すように、第3実施例では、底壁30bの下面に設けられる光源50(第1光源)の代わりに、或いは光源50と共に、浮き部材18の内部には、光触媒部材16に対して光を照射する光源54(第2光源)が設けられる。光源54は、円環板状の基板54aと、基板54aの下面に分散配置された複数のLED54bとを含む。また、浮き部材18の底壁40aの上面には、放射状に延びる光源取付部56(第2取付部)が設けられる。この光源取付部56に形成される環状の溝部56aに基板54aが嵌め入れられることで、浮き部材18の内部に光源54が取り付けられる。なお、複数のLED54bは、図示しない電源によって点灯制御される。
【0050】
この第3実施例によれば、太陽光の有無に関わらず、つまり夜間や雨天時などにおいても、貯水槽12内の水を効果的に浄化できる。
【0051】
なお、上述の各実施例の浄水装置10の構成は、単なる一例であり、貯水槽12および浄水具14(光触媒部材16、浮き部材18および錘部材20)などの具体的構成は、適宜変更可能である。
【0052】
たとえば、上述の実施例では、光触媒部材16を伸縮可能に形成したが、図15および図16に示す第4実施例のように、光触媒部材16を予め螺旋状に形成する、つまり伸縮しない固定形状とすることもできる。この場合、浄水具14は、光触媒部材16が一定形状を保持したまま、浮き部材18の浮力によって貯水槽12内の水位Wに応じて上下動する。
【0053】
また、上述の実施例では、光触媒部材16に対して浮き部材18をねじ止めするようにしたが、第4実施例のように、光触媒部材16の一方端部に浮き取付部60を一体成形して、この浮き取付部60に浮き部材18を嵌め入れることで、光触媒部材16の一方端部に浮き部材18を取り付けるようにしても構わない。なお、この場合にも、光触媒部材16の他端部に錘部材を設けることもできる。光触媒部材16の他端部に錘部材を設けることで、光触媒部材16の形状を安定させることができる。
【0054】
また、図17に示す第5実施例のように、光触媒部材16に略鉛直方向に延びるリブ16dを形成して、光触媒部材16の断面形状を十字状にすることもできる。これにより、光触媒部材16の表面積を増加させることができ、側方からの光にも対応し易くなるので、貯水槽12内の水をより効果的に浄化できる。また、光触媒部材16の螺旋形状を保持し易くなる。
【0055】
なお、光触媒部材の断面形状は、適宜変更可能であり、T字状、L字状または円形などの断面形状にすることもできる。さらに、上述の実施例では、光触媒部材の主面が略上下方向を向く(つまり幅方向が略水平方向となる)ようにしたが、光触媒部材の主面は、横方向を向く(つまり幅方向が略鉛直方向となる)ようにしてもよいし、斜め方向を向くようにしてもよい。さらにまた、上述の実施例では、光触媒部材16の基体として表面が滑らかなものを用いているが、光触媒部材の基体は、発泡樹脂、不織布および金網などの多孔性の材料(或いは表面に凹凸を有する材料)で形成することもでき、基体の内部まで光触媒を担持させることもできる。
【0056】
また、上述の実施例では、光触媒部材を上端部から下端部に向かって径小となる対数螺旋状に形成しているが、下端部から上端部に向かって径小となる対数螺旋状でもよい。また、光触媒部材は、螺旋の軸方向に同径の螺旋状に形成することもできるし、螺旋の軸方向における中央部が両端部よりも径小となるひょうたん形の螺旋状や、螺旋の軸方向における中央部が両端部よりも径大となる提灯形の螺旋状に形成することもできる。さらに、上述の実施例では、光触媒部材を縦向きに配置している(つまり螺旋の軸方向が上下方向に延びる)が、光触媒部材を伸縮させない場合には、光触媒部材を横向きに配置する(つまり螺旋の軸方向が横方向に延びる)こともできる。さらにまた、光触媒部材は必ずしも変位可能に設けられる必要はない。
【0057】
さらに、上述の実施例では、貯水槽の全体が透光性を有するようしにたが、貯水槽の天壁のみ、側壁のみ、天壁と側壁の半分(たとえば南側の半分)のみなど、貯水槽の一部のみが透光性を有するようにしてもよい。たとえば、貯水槽の天壁および側壁の南側部分(つまり太陽側の部分)のみを透明にし、側壁の北側部分および底壁には、アルミ箔などを用いて形成された反射板を設けておくこともできる。また、貯水槽内に光源を設ける場合には、貯水槽は必ずしも透光性を有する必要はない。同様に、浮き部材は必ずしも透光性を有する必要はなく、浮き部材の一部のみが透光性を有するようにしてもよい。
【0058】
さらにまた、上述の実施例では、貯水槽を円筒状に形成しているが、貯水槽の形状は適宜変更可能である。たとえば、貯水槽は、対数螺旋状の光触媒部材の外形に沿う円錐台状に形成することもできるし、角筒状および球状などに形成することもできる。
【0059】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 …浄水装置
12 …貯水槽
14 …浄水具
16 …光触媒部材
18 …浮き部材
20 …錘部材
図1
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