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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154207
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】帯電装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
G03G15/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067918
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩田 裕
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA10
2H200FA17
2H200GA23
2H200GA34
2H200GB22
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200HB31
2H200JA02
2H200JB10
2H200LA06
2H200LA14
2H200LA17
2H200LB02
2H200LB08
2H200LB15
(57)【要約】
【課題】帯電ローラ軸及び/又はクリーニングローラ軸と軸受部材との当接による異常音の発生を効果的に防止することができる帯電装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電装置5は、帯電ローラ51と、クリーニングローラ52と、軸受部材53,53と、付勢部材54,54と、を備え、付勢部材54,54による帯電ローラ51の像担持体(3)への押圧状態での軸受部材53,53の帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aとの押圧側の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触されるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかるように構成されている。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に当接して前記像担持体を帯電する帯電ローラと、前記帯電ローラに当接して前記帯電ローラを清掃するクリーニングローラと、前記帯電ローラのローラ軸である帯電ローラ軸及び前記クリーニングローラのローラ軸であるクリーニングローラ軸の双方を回転軸線回りに回転可能に支持する軸受部材と、前記軸受部材を前記像担持体に向けて付勢することにより前記クリーニングローラを前記帯電ローラに押圧し、かつ、前記帯電ローラを前記像担持体に押圧する付勢部材と、を備え、
前記付勢部材により前記帯電ローラが前記像担持体に押圧されるときに、前記軸受部材が押圧側を前記回転軸線に沿った回転軸線方向における内側に、かつ、前記押圧側とは反対側を前記回転軸線方向における外側に向けるように回動する帯電装置であって、
前記付勢部材による前記帯電ローラの前記像担持体への押圧状態での前記軸受部材の前記帯電ローラ軸及び/又は前記クリーニングローラ軸との押圧側の対向部において、前記帯電ローラ軸及び/又は前記クリーニングローラ軸に対して、前記回転軸線方向に沿って平行に接触されるか、又は、前記回転軸線方向における外側が内側よりも遠ざかるように構成されている、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材には、前記帯電ローラ軸を受ける第1軸受部と、前記クリーニングローラ軸を受ける第2軸受部と、が設けられており、
前記第2軸受部は、前記第1軸受部よりも前記回転軸線方向における内側に位置し、前記クリーニングローラ軸の長さは、前記帯電ローラ軸の長さよりも短い、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材は、前記帯電ローラが前記像担持体に押圧されていない非押圧状態では前記対向部が前記帯電ローラ軸及び/又は前記クリーニングローラ軸に対して傾斜している、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材は、前記非押圧状態では前記帯電ローラ軸及び前記クリーニングローラ軸に対して前記対向部の前記回転軸線方向における外側が内側よりも遠ざかるように傾斜している、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項3に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材を前記像担持体側及び前記像担持体とは反対側への移動方向に移動可能に支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材には、前記軸受部材を前記移動方向に沿って案内する案内部が設けられ、
前記軸受部材には、前記案内部に案内される被案内部が設けられ、
前記軸受部材は、前記被案内部と前記対向部とが直交しており、
前記支持部材における前記案内部は、前記回転軸線方向に直交する直交方向に対して傾斜している、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
請求項3に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材を前記像担持体側及び前記像担持体とは反対側への移動方向に移動可能に支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材には、前記軸受部材を前記移動方向に沿って案内する案内部が設けられ、
前記軸受部材には、前記案内部に案内される被案内部が設けられ、
前記支持部材における前記案内部は、前記回転軸線方向に直交する直交方向に延びており、
前記軸受部材は、前記被案内部と前記対向部とが鋭角になるように交差している、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材における前記対向部は、前記軸受部材の底面に対する高さが前記回転軸線方向において等しい又は略等しい、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
請求項6に記載の帯電装置であって、
前記軸受部材における前記対向部は、前記軸受部材の底面に対する前記外側の高さが前記内側の高さよりも低い、ことを特徴とする帯電装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の帯電装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、帯電ローラ及びクリーニングローラを備えた帯電装置、及び、複写機、複合機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の帯電装置として、像担持体(感光体)に当接して像担持体を帯電する帯電ローラと、帯電ローラに当接して帯電ローラを清掃するクリーニングローラと、帯電ローラのローラ軸である帯電ローラ軸及びクリーニングローラのローラ軸であるクリーニングローラ軸の双方を回転軸線回りに回転可能に支持する軸受部材と、軸受部材を像担持体に向けて付勢することにより帯電ローラを像担持体に押圧する付勢部材と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2015-79060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、帯電ローラ及びクリーニングローラを備えた従来の帯電装置においては、次のような不都合がある。これについて、図7Aから図7Dを参照しながら以下に説明する。
【0005】
図7A及び図7Bは、それぞれ、付勢部材54,54により帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されていない非押圧状態での従来の帯電装置5Xを示す側面図及び断面図である。図7C及び図7Dは、それぞれ、従来の帯電装置5Xにおける軸受部材53X,53Xの初期状態及び摩耗状態を示す断面図である。
【0006】
図7Aから図7Dに示すように、従来の帯電装置5Xでは、帯電ローラ51と、クリーニングローラ52と、軸受部材53X,53Xと、付勢部材54,54(巻ばね)と、を備えている。
【0007】
帯電ローラ51は、像担持体として作用する感光体ドラム3に当接して感光体ドラム3を帯電する。クリーニングローラ52は、帯電ローラ51に当接して帯電ローラ51を清掃する。軸受部材53X,53Xは、帯電ローラ51のローラ軸である帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ52のローラ軸であるクリーニングローラ軸52aの双方を回転軸線α,β(図7A参照)回りに回転可能に支持する。付勢部材54,54は、軸受部材53X,53Xを感光体ドラム3に向けて付勢することによりクリーニングローラ52を帯電ローラ51に押圧し、かつ、帯電ローラ51を感光体ドラム3に押圧する。
【0008】
この例では、軸受部材53X,53Xには、帯電ローラ軸51aを受ける第1軸受部531,531と、クリーニングローラ軸52aを受ける第2軸受部532,532と、が設けられている。第2軸受部532,532は、第1軸受部531,531よりも回転軸線α,βに沿った回転軸線方向Wにおける内側に位置している。また、クリーニングローラ軸52aの長さL2(図7B参照)は、帯電ローラ軸51aの長さL1(図7B参照)よりも短い。
【0009】
図7Cに示すように、従来の帯電装置5Xは、付勢部材54,54により帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されるときに、帯電ローラ軸51a及びクリーニングローラ軸52aの回転や軸受部材53X,53Xの感光体ドラム3への移動等を確保するための隙間(あそび)により、軸受部材53X,53Xが押圧側(押圧方向Eにおける下流側)を回転軸線方向Wにおける内側に、かつ、押圧側とは反対側を回転軸線方向Wにおける外側に向けるように回動する。このとき、軸受部材53X,53Xの帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aとの押圧側の対向部(53a,53a),(53b,53b)において帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して回転軸線方向Wにおける内側が外側よりも遠ざかる。
【0010】
そうすると、図7Dに示すように、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端部の角部(51b,51b),(52b,52b)が軸受部材53X,53Xに押され、軸受部材53X,53Xの帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aとの押圧側の対向部(53a,53a),(53b,53b)が角部(51b,51b),(52b,52b)に応じて摩耗する。このように、対向部(53a,53a),(53b,53b)が角部(51b,51b),(52b,52b)に応じて摩耗すると、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端面(51c,51c),(52c,52c)が対向部(53a,53a),(53b,53b)に埋まって段差部を生じてしまい、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端面(51c,51c),(52c,52c)と軸受部材53X,53Xの段差部との当接による異常音の発生の原因となる。このことは、軸受部材53X,53Xにおいて第2軸受部532,532が第1軸受部531,531よりも回転軸線方向Wにおける内側に位置し、クリーニングローラ軸52aの長さL2(図7B参照)が帯電ローラ軸51aの長さL1(図7B参照)よりも短い場合に、特に顕著となる。
【0011】
そこで、本開示は、帯電ローラ軸及び/又はクリーニングローラ軸と軸受部材との当接による異常音の発生を効果的に防止することができる帯電装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本開示に係る帯電装置は、像担持体に当接して前記像担持体を帯電する帯電ローラと、前記帯電ローラに当接して前記帯電ローラを清掃するクリーニングローラと、前記帯電ローラのローラ軸である帯電ローラ軸及び前記クリーニングローラのローラ軸であるクリーニングローラ軸の双方を回転軸線回りに回転可能に支持する軸受部材と、前記軸受部材を前記像担持体に向けて付勢することにより前記クリーニングローラを前記帯電ローラに押圧し、かつ、前記帯電ローラを前記像担持体に押圧する付勢部材と、を備え、前記付勢部材により前記帯電ローラが前記像担持体に押圧されるときに、前記軸受部材が押圧側を前記回転軸線に沿った回転軸線方向における内側に、かつ、前記押圧側とは反対側を前記回転軸線方向における外側に向けるように回動する帯電装置であって、前記付勢部材による前記帯電ローラの前記像担持体への押圧状態での前記軸受部材の前記帯電ローラ軸及び/又は前記クリーニングローラ軸との押圧側の対向部において、前記帯電ローラ軸及び/又は前記クリーニングローラ軸に対して、前記回転軸線方向に沿って平行に接触されるか、又は、前記回転軸線方向における外側が内側よりも遠ざかるように構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本開示に係る画像形成装置は、前記本開示に係る帯電装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によると、帯電ローラ軸及び/又はクリーニングローラ軸と軸受部材との当接による異常音の発生を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を正面から視た概略断面図である。
図2A】本実施の形態に係る帯電装置の基本構成の正面側を帯電ローラ側から視た斜視図である。
図2B】本実施の形態に係る帯電装置の基本構成の背面側を帯電ローラ側から視た斜視図である。
図3A】本実施の形態に係る帯電装置の基本構成の正面側を帯電ローラ側から視た分解斜視図である。
図3B】本実施の形態に係る帯電装置の基本構成の背面側を帯電ローラ側から視た分解斜視図である。
図4A】非押圧状態での第1実施形態に係る帯電装置を示す側面図である。
図4B】非押圧状態での第1実施形態に係る帯電装置を示す断面図である。
図4C】押圧状態での第1実施形態に係る帯電装置を示す断面図である。
図5A】非押圧状態での第2実施形態に係る帯電装置を示す側面図である。
図5B】非押圧状態での第2実施形態に係る帯電装置を示す断面図である。
図5C】押圧状態での第2実施形態に係る帯電装置を示す断面図である。
図6A】非押圧状態での第3実施形態に係る帯電装置を示す側面図である。
図6B】非押圧状態での第3実施形態に係る帯電装置を示す断面図である。
図6C】押圧状態での第3実施形態に係る帯電装置を示す断面図である。
図7A】非押圧状態での従来の帯電装置を示す側面図である。
図7B】非押圧状態での従来の帯電装置を示す断面図である。
図7C】従来の帯電装置における軸受部材の初期状態を示す断面図である。
図7D】従来の帯電装置における軸受部材の摩耗状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
[画像形成装置]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100を正面から視た概略断面図である。画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置である。図において、符号Xは正面から視て左右方向、符号X1,X2はそれぞれ左側、右側を表している。符号Yは左右方向Xに直交する奥行方向、符号Y1,Y2はそれぞれ操作側(正面側)、操作側とは反対側(背面側)を表している。符号Zは上下方向、鉛直方向を表している。
【0018】
画像形成装置100は、画像読取装置106により読み取られた画像データ、又は、外部から伝達された画像データに応じて、画像形成処理を行う。なお、画像形成装置100は、用紙Pに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置であってもよい。
【0019】
画像形成装置100は、原稿送り装置108と、画像形成装置本体110とを備えている。画像形成装置本体110には、画像形成部102と用紙搬送系103とが設けられている。
【0020】
画像形成部102は、露光装置1(露光ユニット)、現像装置2(現像ユニット)、像担持体(静電潜像担持体)として作用する感光体ドラム3、クリーニング装置4、帯電ローラ51及びクリーニングローラ52を有する帯電装置5(帯電ユニット)、トナー収容容器6及び定着装置7(定着ユニット)を備えている。これらの構成部材は、画像形成装置100の本体フレーム101に支持されている。また、用紙搬送系103は、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ82、排出ローラ31及び排出トレイ14を備えている。帯電装置5は、感光体ドラム3の表面3fを一様に帯電する。露光装置1は、一様に帯電された感光体ドラム3の表面3fに静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面3fに形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0021】
画像形成装置本体110の上部には、原稿Gの画像を読み取るための画像読取装置106が設けられている。画像読取装置106は、原稿Gが載置される原稿載置台107を備えている。原稿載置台107は、透明の強化ガラスからなる四角形状ものとされている。また、原稿載置台107の上側には原稿送り装置108が設けられている。画像形成装置100では、画像読取装置106で読み取られた原稿Gの画像は、画像データとして画像形成装置本体110に送られ、用紙P上に画像が記録される。
【0022】
画像形成装置本体110には用紙搬送路W1が設けられている。給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82は、用紙Pを用紙搬送路W1に供給する。用紙搬送路W1は、用紙Pを転写ローラ10及び定着装置7を経て排出トレイ14に導く。転写ローラ10は、感光体ドラム3の表面3fに形成されたトナー像を用紙Pに転写する。定着装置7は、用紙P上に転写されたトナー像を用紙Pに加熱定着する。用紙搬送路W1の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、搬送ローラ12a、レジストローラ13、転写ローラ10、定着装置7における定着ローラ71及び加圧ローラ72、排出ローラ31が配設されている。
【0023】
画像形成装置100では、給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82にて供給された用紙Pはレジストローラ13まで搬送される。次に、用紙Pはレジストローラ13により用紙Pと感光体ドラム3上のトナー像とを整合するタイミングで転写ローラ10に搬送される。感光体ドラム3上のトナー像は転写ローラ10により用紙P上に転写される。その後、用紙Pは定着装置7における定着ローラ71及び加圧ローラ72に通過し、搬送ローラ12a及び排出ローラ31を経て排出トレイ14上に排出される。用紙Pの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙Pは排出ローラ31から反転用紙搬送路W2へ逆方向に搬送される。用紙Pは反転搬送ローラ12b~12bを経て用紙Pの表裏を反転してレジストローラ13へ再度導かれる。そして、用紙Pは、表面と同様にして、裏面にトナー像が形成されて定着された後、排出トレイ14へ向けて排出される。
【0024】
〔本実施の形態について〕
図2A及び図2Bは、それぞれ、本実施の形態に係る帯電装置5の基本構成の正面側及び背面側を帯電ローラ51側から視た斜視図である。図3A及び図3Bは、それぞれ、本実施の形態に係る帯電装置5の基本構成の正面側及び背面側を帯電ローラ51側から視た分解斜視図である。
【0025】
本実施の形態に係る帯電装置5は、帯電ローラ51と、クリーニングローラ52と、一対の軸受部材53,53と、一対の付勢部材54,54(巻ばね)と、支持部材55と、を備えている。
【0026】
帯電ローラ51は、感光体ドラム3の表面3f(図1参照)に当接して(この例では従動回転して)感光体ドラム3の表面3fを帯電する。クリーニングローラ52は、帯電ローラ51の表面51fと接触して(この例では従動回転して)帯電ローラ51の表面51fを清掃する。クリーニングローラ52は、帯電ローラ51を間にして感光体ドラム3とは反対側に設けられている。軸受部材53,53は、それぞれ、単一のものであり、帯電ローラ51のローラ軸である帯電ローラ軸51a及びクリーニングローラ52のローラ軸であるクリーニングローラ軸52aの双方を回転軸線α,β(図3A参照)回りに回転可能に一体的に支持する。
【0027】
付勢部材54,54は、それぞれ、軸受部材53,53を感光体ドラム3に向けて付勢することによりクリーニングローラ52を帯電ローラ51に押圧し、かつ、帯電ローラ51を感光体ドラム3に押圧する。支持部材55は、軸受部材53,53を感光体ドラム3側及び感光体ドラム3とは反対側への移動方向Mに移動可能に支持する。
【0028】
詳しくは、支持部材55には、軸受部材53,53を移動方向Mに沿って案内する案内部551,551(この例では移動方向Mに延びる案内溝)が設けられている。軸受部材53,53には、案内部551,551に案内される被案内部533,533(この例では所定の直線方向に延びる突出部)(図3A図3B参照)が設けられている。
【0029】
軸受部材53,53には、帯電ローラ軸51aを受ける第1軸受部531,531(図3A図3B参照)と、クリーニングローラ軸52aを受ける第2軸受部532,532(図3A図3B参照)と、が設けられている。第1軸受部531,531及び第2軸受部532,532は、回転軸線α,βに沿った回転軸線方向Wに延びる凹状部とされている。案内部551,551は、支持部材55の回転軸線方向W及び移動方向Mの双方に直交する幅方向Hにおける両内側面に設けられている。被案内部533,533は、軸受部材53,53の幅方向Hにおける両外側面に設けられている。
【0030】
また、付勢部材54,54は、軸受部材53,53と支持部材55との間に配置された状態で軸受部材53,53を感光体ドラム3に向けて付勢する。軸受部材53,53には、付勢部材54,54の一端部を係止する係止部534,534(図3A図3B参照)が設けられている。支持部材55には、付勢部材54,54の他端部を係止する係止部552,552(図3A図3B参照)が設けられている。これにより、軸受部材53,53と支持部材55との間に配置されたときに、付勢部材54,54を確実に保持することができる。
【0031】
ところで、軸受部材53,53を支持部材55に取り付けた状態において、第1軸受部531,531と第2軸受部532,532とが回転軸線方向Wにおける同じ位置していると、クリーニングローラ52のクリーニングローラ軸52aを第2軸受部532,532に挿入する際に第1軸受部531,531が邪魔になりクリーニングローラ52のクリーニングローラ軸52aを第2軸受部532,532に挿入することが困難となる。
【0032】
この点、第2軸受部532,532は、第1軸受部531,531よりも回転軸線方向Wにおける内側に位置している。クリーニングローラ軸52aの長さL2(図3A参照)は、帯電ローラ軸51aの長さL1(図3A参照)よりも短い。これにより、軸受部材53,53を支持部材55に取り付けた状態において、クリーニングローラ52のクリーニングローラ軸52aを第2軸受部532,532に挿入し易くすることができる。
【0033】
図4A及び図4Bは、それぞれ、非押圧状態での第1実施形態に係る帯電装置5を示す側面図及び断面図である。図4Cは、押圧状態での第1実施形態に係る帯電装置5を示す断面図である。図5A及び図5B、それぞれ、非押圧状態での第2実施形態に係る帯電装置5を示す側面図及び断面図である。図5Cは、押圧状態での第2実施形態に係る帯電装置5を示す断面図である。また、図6A及び図6B、それぞれ、非押圧状態での第3実施形態に係る帯電装置5を示す側面図及び断面図である。図6Cは、押圧状態での第3実施形態に係る帯電装置5を示す断面図である。
【0034】
ここで、非押圧状態は、付勢部材54,54により帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されていない状態であり、押圧状態は、付勢部材54,54により帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されている状態である。
【0035】
本実施の形態に係る帯電装置5は、非押圧状態(図4A図4B図5A図5B図6A図6B参照)から、帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されるときに(図4C図5C図6C参照)、軸受部材53,53が押圧側(押圧方向Eにおける下流側)を回転軸線方向Wにおける内側に、かつ、押圧側とは反対側を回転軸線方向Wにおける外側に向けるように幅方向Hに沿った回動軸線回りに回動する。
【0036】
第1実施形態から第3実施形態では、帯電装置5は、付勢部材54,54による帯電ローラ51の感光体ドラム3への押圧状態(図4C図5C図6C参照)での軸受部材53,53の帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52a(この例では双方)との押圧側の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触されるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかるように構成されている。
【0037】
ここで、対向部(53a,53a),(53b,53b)において帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに回転軸線方向Wに沿って平行に接触される状態は、第1実施形態では図4Cに示す平行接触状態であり、第2実施形態では図5Cに示す平行接触状態であり、第3実施形態では図6Cに示す平行接触状態である。また、対向部(53a,53a),(53b,53b)において回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかる状態は、第1実施形態では図4Bに示す非押圧状態と図4Cに示す平行接触状態との間の押圧状態であり、第2実施形態では図5Bに示す非押圧状態と図5Cに示す平行接触状態との間の押圧状態であり、第3実施形態では図6Bに示す非押圧状態と図6Cに示す平行接触状態との間の押圧状態である。
【0038】
第1実施形態から第3実施形態によれば、付勢部材54,54による帯電ローラ51の感光体ドラム3への押圧状態での軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触されるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかる。従って、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端部の角部(51b,51b),(52b,52b)が軸受部材53,53に押されることを有効に回避することができる。これにより、軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)の角部(51b,51b),(52b,52b)に応じた摩耗、ひいては、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端面(51c,51c),(52c,52c)が対向部(53a,53a),(53b,53b)に埋まって段差部を生じてしまうことを効果的に防止することができる。ひいては、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端面(51c,51c),(52c,52c)と軸受部材53,53の段差部との当接による異常音の発生を抑制することができる。このことは、本実施の形態のように、軸受部材53,53において第2軸受部532,532が第1軸受部531,531よりも回転軸線方向Wにおける内側に位置し、クリーニングローラ軸52aの長さL2(図3A参照)が帯電ローラ軸51aの長さL1(図3A参照)よりも短い場合に、特に有効となる。
【0039】
第1実施形態から第3実施形態において、軸受部材53,53は、帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されていない非押圧状態(図4B図5B図6B参照)では対向部(53a,53a),(53b,53b)が帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して傾斜している。
【0040】
従って、非押圧状態で軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)を帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して傾斜させることができる。これにより、帯電ローラ51を感光体ドラム3に押圧させたときに、軸受部材53,53が回動しても、簡単な構成でありながら、軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触させるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側を内側よりも容易に遠ざけることができる。
【0041】
第1実施形態から第3実施形態において、軸受部材53,53は、帯電ローラ51の感光体ドラム3への非押圧状態(図4B図5B図6B参照)では帯電ローラ軸51a及びクリーニングローラ軸52a(回転軸線α,β)に対して対向部(53a,53a),(53b,53b)の回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかるように傾斜している。
【0042】
ここで、非押圧状態での対向部(53a,53a),(53b,53b)の帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対する傾斜角度は、付勢部材54,54により帯電ローラ51が感光体ドラム3に押圧されるときに、軸受部材53,53が回動する回動角度と等しいか或いは回動角度よりも大きい角度である。
【0043】
また、帯電ローラ51の感光体ドラム3への押圧により軸受部材53,53が回動するときに、軸受部材53,53における被案内部533,533が支持部材55における案内部551,551に規制されない場合(規制されない程度に案内部551,551の幅が大きく、かつ、対向部(53a,53a),(53b,53b)が平行接触に至る程度に押圧力が大きい場合)には、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して対向部(53a,53a),(53b,53b)を回転軸線方向Wに沿って平行に接触することができる。一方、帯電ローラ51の感光体ドラム3への押圧により軸受部材53,53が回動するときに、軸受部材53,53における被案内部533,533が支持部材55における案内部551,551に途中で規制されるか、或いは、規制されないときでも対向部(53a,53a),(53b,53b)が平行接触に至らない(平行接触に至らない程度に押圧力が小さい)場合には、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して対向部(53a,53a),(53b,53b)の回転軸線方向Wにおける外側を内側よりも遠ざけることができる。
【0044】
従って、帯電ローラ51を感光体ドラム3に押圧させる際に軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触されるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかるような構成を容易に実現させることができる。
【0045】
(第1実施形態)
ところで、既存の軸受部材53,53は、一般的には、被案内部533,533と対向部(53a,53a),(53b,53b)とが直交しており、既存の支持部材55における案内部551,551は、一般的には、回転軸線方向Wに直交する直交方向Tに延びている。
【0046】
この点、本実施の形態では、図4Aから図4Cに示すように、軸受部材53,53は、被案内部533,533と対向部(53a,53a),(53b,53b)とが直交しているが、支持部材55における案内部551,551は、直交方向Tに対して傾斜している。この例では、案内部551,551は、直交方向Tに対して、感光体ドラム3側が外側に、かつ、感光体ドラム3とは反対側が内側になるように傾斜している。
【0047】
この構成では、軸受部材53,53において被案内部533,533と対向部(53a,53a),(53b,53b)とが直交している。従って、既存の軸受部材53,53を用いて、帯電ローラ51を感光体ドラム3に押圧させる際に軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触されるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかるような構成を容易に実現させることができる。
【0048】
本実施の形態において、軸受部材53,53における対向部(53a,53a),(53b,53b)は、軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)に対する高さha,hb(図4B参照)(厚み)が回転軸線方向Wにおいて等しい又は略等しい。
【0049】
(第2実施形態及び第3実施形態)
本実施の形態では、図5B及び図5C図6B及び図6Cに示すように、支持部材55における案内部551,551は、回転軸線方向Wに直交する直交方向Tに延びているが、軸受部材53,53は、被案内部533,533と対向部(53a,53a),(53b,53b)とが鋭角になるように交差している。
【0050】
この構成では、支持部材55における案内部551,551が直交方向Tに延びている。従って、既存の支持部材55を用いて、帯電ローラ51を感光体ドラム3に押圧させる際に軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)において、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aに対して、回転軸線方向Wに沿って平行に接触されるか、又は、回転軸線方向Wにおける外側が内側よりも遠ざかるような構成を容易に実現させることができる。
【0051】
(第2実施形態)
本実施の形態では、図5B及び図5Cに示すように、軸受部材53,53における対向部(53a,53a),(53b,53b)は、軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)に対する高さha,hb(図5B参照)(厚み)が回転軸線方向Wにおいて等しい又は略等しい。この例では、軸受部材53,53における被案内部533,533は、軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)に直交する側面53e,53eに対して傾斜している。軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)は、非押圧状態では(図5A図5B参照)回転軸線方向Wに対して傾斜しており、押圧状態では(図5C参照)回転軸線方向Wに沿っている。
【0052】
この構成によると、軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)の回転軸線方向Wにおける内側において、軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)の角部(51b,51b),(52b,52b)に応じた摩耗、ひいては、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端面(51c,51c),(52c,52c)が対向部(53a,53a),(53b,53b)に埋まって段差を生じてしまうことを確実に防止することができる。
【0053】
(第3実施形態)
本実施の形態では、図6B及び図6Cに示すように、軸受部材53,53における対向部(53a,53a),(53b,53b)は、軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)に対する外側の高さ〔ha(ha2),ha(ha2)〕,〔hb(hb2),hb(hb2)〕(図6B参照)(厚み)が内側の高さ〔ha(ha1),ha(ha1)〕,〔hb(hb1),hb(hb1)〕(図6B参照)(厚み)よりも低い。この例では、高さ(ha,ha),(hb,hb)が内側から外側に遠ざかるに次第に低くなっている。この例では、軸受部材53,53における被案内部533,533は、軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)に直交する側面53e,53eに沿っている。軸受部材53,53の底面(53c,53c),(53d,53d)は、非押圧状態では(図6A図6B参照)回転軸線方向Wに沿っており、押圧状態では(図6C参照)回転軸線方向Wに対して傾斜している。
【0054】
この構成によると、軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)の回転軸線方向Wにおける内側において、軸受部材53,53の対向部(53a,53a),(53b,53b)の角部(51b,51b),(52b,52b)に応じた摩耗、ひいては、帯電ローラ軸51a及び/又はクリーニングローラ軸52aの端面(51c,51c),(52c,52c)が対向部(53a,53a),(53b,53b)に埋まって段差を生じてしまうことを確実に防止することができる。
【0055】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0056】
100 画像形成装置
3 感光体ドラム(像担持体)
3f 表面
5 帯電装置
51 帯電ローラ
51a 帯電ローラ軸
51b 角部
51c 端面
51f 表面
52 クリーニングローラ
52a クリーニングローラ軸
52b 角部
52c 端面
53 軸受部材
531 第1軸受部
532 第2軸受部
533 被案内部
534 係止部
53a 対向部
53b 対向部
53c 底面
53d 底面
53e 側面
54 付勢部材
55 支持部材
551 案内部
552 係止部
E 押圧方向
H 幅方向
M 移動方向
T 直交方向
W 回転軸線方向
ha 高さ
hb 高さ
ha1 内側の高さ
ha2 外側の高さ
hb1 内側の高さ
hb2 外側の高さ
α 回転軸線
β 回転軸線
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D