IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ MEC Industry株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-屋根工事方法 図1
  • 特開-屋根工事方法 図2
  • 特開-屋根工事方法 図3
  • 特開-屋根工事方法 図4
  • 特開-屋根工事方法 図5
  • 特開-屋根工事方法 図6
  • 特開-屋根工事方法 図7
  • 特開-屋根工事方法 図8
  • 特開-屋根工事方法 図9
  • 特開-屋根工事方法 図10
  • 特開-屋根工事方法 図11
  • 特開-屋根工事方法 図12
  • 特開-屋根工事方法 図13
  • 特開-屋根工事方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154222
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】屋根工事方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20241023BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
E04G21/32 D
E04B1/348 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067947
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】520450189
【氏名又は名称】MEC Industry株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業者の安全を確保することができ、作業者が陸屋根に対する防水工事を行うことができる屋根工事方法を提供する。
【解決手段】幅方向中心線34の一方の半分36を分割して第A1~第A2分割点38,39を設定し、幅方向中心線の他方の半分37を分割して第B1~第B2分割点40,41を設定し、幅方向中心点35に中央作業ライン42を設定し、第A1~第A2分割点に第A1~第A2作業ライン43,44を設定するとともに、第B1~第B2分割点に第B1~第B2作業ライン45,46を設定する。次に、幅方向中心点に中心留め具47を設置し、第A1~第A2分割点に第A1~第A2留め具48,49を設置するとともに、第B1~第B2分割点に第B1~第B2留め具50,51を設置し、それら作業ライン長さの半分の長さ寸法の第1命綱31を付けて陸屋根18の上に乗った作業者26が第1命綱をそれら留め具に順に連結しつつ防水工事を行う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第1及び第2側縁と前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる第1及び第2端縁とを有して幅方向又は前後方向に長い建築物の屋根の上に作業者が乗り、前記作業者が前記屋根の上において所定の屋根工事を行う屋根工事方法であって、
前記屋根工事方法が、前記屋根の前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる幅方向中心線を設定し、前記幅方向中心線の幅方向中心点から前記第1側縁に延びる該幅方向中心線の一方の半分を分割して前記幅方向中心点から該第1側縁に向かって並ぶ第A1~第An分割点を設定するとともに、前記幅方向中心線の幅方向中心点から前記第2側縁に延びる該幅方向中心線の他方の半分を分割して前記幅方向中心点から該第2側縁に向かって並ぶ第B1~第Bn分割点を設定する第1設定工程と、
前記幅方向中心点から前記第1及び第2端縁に延びる中央作業ラインを設定し、前記第A1~第An分割点から前記第1及び第2端縁に延びる第A1~第An作業ラインを設定するとともに、前記第B1~第Bn分割点から前記第1及び第2端縁に延びる第B1~第Bn作業ラインを設定する第2設定工程と、
前記幅方向中心点に中心係止手段を設置し、前記第A1~第An分割点に第A1~第An係止手段を設置するとともに、前記第B1~第Bn分割点に第B1~第Bn係止手段を設置する係止手段設置工程と、
それら作業ラインの作業ライン長さの半分の長さと同一の長さ寸法又は該作業ライン長さの半分の長さよりもわずかに短い長さ寸法の第1命綱を付けて前記屋根の上に乗った前記作業者が該第1命綱をそれら係止手段に順に連結し、又は、前記第1命綱を前記屋根の上に乗った前記作業者に連結しつつ該第1命綱を該作業者がそれら係止手段に順に連結し、前記作業者がそれら作業ラインに沿って前記屋根工事を行う屋根工事工程とを有することを特徴とする屋根工事方法。
【請求項2】
前記屋根工事工程が、前記第1命綱を付けて前記屋根の上に乗った前記作業者が該第1命綱を前記中心係止手段に連結し、又は、前記第1命綱を前記屋根の上に乗った前記作業者に連結しつつ該第1命綱を該作業者が前記中心係止手段に連結し、前記作業者が中央作業ラインに沿って前記屋根工事を行う中央屋根工事工程と、前記第1命綱を前記中心係止手段から取り外すとともに該第1命綱を前記第A1係止手段から前記第An係止手段に向かって順に連結しつつ前記第A1作業ラインから前記第An作業ラインに沿って順に前記屋根工事を行う第A1~第An屋根工事工程と、前記第1命綱を前記中心係止手段から取り外すとともに該第1命綱を前記第B1係止手段から前記第Bn係止手段に向かって順に連結しつつ前記第B1作業ラインから前記第Bn作業ラインに沿って順に前記屋根工事を行う第B1~第Bn屋根工事工程とから形成されている請求項1に記載の屋根工事方法。
【請求項3】
前記作業者が、前記幅方向中心線の幅方向中心点から前記第1側縁までの前記屋根の一方の半分を工事する第1作業者と、前記幅方向中心線の幅方向中心点から前記第2側縁までの前記屋根の他方の半分を工事する第2作業者とから形成され、前記第1作業者が、前記中央屋根工事工程において幅方向中心点と第1端縁との間に延びる前記中央作業ラインの半分の屋根工事を行うとともに、前記第A1~第An屋根工事工程において前記第A1作業ラインから前記第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行い、前記第2作業者が、前記中央屋根工事工程において幅方向中心点と第2端縁との間に延びる前記中央作業ラインの半分の屋根工事を行うとともに、前記第B1~第Bn屋根工事工程において前記第B1作業ラインから前記第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行う請求項2に記載の屋根工事方法。
【請求項4】
前記屋根工事工程が、前記幅方向中心線の第B1分割点と前記第1側縁との間の幅方向中心線長さ又は前記幅方向中心線の第A1分割点と前記第2側縁との間の幅方向中心線長さと同一の長さ寸法又は該幅方向中心線長さよりもわずかに短い長さ寸法の第2命綱を付けて前記屋根の上に乗った前記作業者が該第2命綱を前記第B1係止手段又は前記第A1係止手段に連結した後、又は、前記第2命綱を前記屋根の上に乗った前記作業者に連結しつつ該第2命綱を該作業者が前記第B1係止手段又は前記第A1係止手段に連結した後、前記作業者がそれら作業ラインに沿って前記屋根工事を行う請求項1ないし請求項3いずれかに記載の屋根工事方法。
【請求項5】
前記第1設定工程が、前記幅方向中心線の幅方向中心点から前記第1側縁に延びる前記幅方向中心線の一方の半分を幅方向へ等分して幅方向へ等間隔離間して並ぶ前記第A1~第An分割点を設定し、前記幅方向中心線の他方の半分を幅方向へ等分して幅方向へ等間隔離間して並ぶ前記第B1~第Bn分割点を設定し、前記第A1~第An作業ラインが、前記中央作業ラインから前記第1側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並び、前記第B1~第Bn作業ラインが、前記中央作業ラインから前記第2側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる請求項1ないし請求項4いずれかに記載の屋根工事方法。
【請求項6】
前記中央作業ラインが、前記幅方向中心線に直交して前記幅方向中心点から前記第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延び、前記第A1~第An作業ラインが、前記幅方向中心線に直交して前記第A1~第An分割点から前記第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延びているとともに、前記第B1~第Bn作業ラインが、前記幅方向中心線に直交して前記第B1~第Bn分割点から前記第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延びている請求項1ないし請求項5いずれかに記載の屋根工事方法。
【請求項7】
前記建築物が、前後方向又は幅方向へ長い矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレートと、前後方向又は幅方向へ長い矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレートと、前記木質系天井プレートと前記木質系床プレートとの間に位置し、矩形に成形されて垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネルとから形成された木製ユニット家屋であり、前記屋根が、陸屋根であり、前記所定の屋根工事が、前記陸屋根に対する防水工事である請求項1ないし請求項6いずれかに記載の屋根工事方法。
【請求項8】
前記木質系床プレートと前記木質系天井プレートとが、CLTから作られ、前記木質系壁パネルが、ツーバイフォー材から作られている請求項7に記載の屋根工事方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が屋根の上において所定の屋根工事を行う屋根工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の陸屋根上に設けられた第1防水層に接着固定された太陽光パネルと、第1防水層において太陽光パネルが無い部分の全体を覆うとともに、第1防水層の反対側で太陽光パネルの全周にわたって太陽光パネルに重なっている第2防水層とを有し、第2防水層が太陽光パネルの平面視で太陽光パネルの受光範囲を避けた位置で太陽光パネルに重なっている防水構造を備えた建物が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7048807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の建物では、専門的な教育を受けた足場作業者が足場工事によって建物の周囲に足場を組み、屋根作業者が足場を利用して建物の陸屋根上に載って防水工事や太陽光パネル設置工事等を行う。建物に対して防水工事や太陽光パネル設置工事等の各種建築工事が終了した後、足場作業者が解体工事によって足場を解体する。この建物では、足場作業者の足場工事や足場の解体工事を省略することはできず、屋根に対する各種工事を無足場で行うことができない。又、足場工事や足場の解体工事に手間と時間とがかかり、屋根工事にかかる時間を短縮することができず、屋根工事にかかるコストを下げることができない。尚、足場を組まずに無足場で陸屋根上に載って各種工事を行う場合、常に屋根からの落下の危険があり、作業者の安全を確保することができず、作業者が安心して所定の屋根工事を行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、屋根からの落下の危険がなく、作業者の安全を確保することができ、作業者が安心して屋根に対する所定の屋根工事を行うことができる屋根工事方法を提供することにある。本発明の他の目的は、建築物の周囲に足場を組む必要や足場を解体する必要がなく、無足場で所定の屋根工事を行うことができ、屋根工事にかかる時間を短縮することができるとともに、屋根工事にかかるコストを下げることができる屋根工事方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第1及び第2側縁と前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる第1及び第2端縁とを有して幅方向又は前後方向に長い建築物の屋根の上に作業者が乗り、作業者が屋根の上において所定の屋根工事を行う屋根工事方法である。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、屋根工事方法が、屋根の前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる幅方向中心線を設定し、幅方向中心線の幅方向中心点から第1側縁に延びる幅方向中心線の一方の半分を分割して幅方向中心点から第1側縁に向かって並ぶ第A1~第An分割点を設定するとともに、幅方向中心線の幅方向中心点から第2側縁に延びる幅方向中心線の他方の半分を分割して幅方向中心点から第2側縁に向かって並ぶ第B1~第Bn分割点を設定する第1設定工程と、幅方向中心点から第1及び第2端縁に延びる中央作業ラインを設定し、第A1~第An分割点から第1及び第2端縁に延びる第A1~第An作業ラインを設定するとともに、第B1~第Bn分割点から第1及び第2端縁に延びる第B1~第Bn作業ラインを設定する第2設定工程と、幅方向中心点に中心係止手段を設置し、第A1~第An分割点に第A1~第An係止手段を設置するとともに、第B1~第Bn分割点に第B1~第Bn係止手段を設置する係止手段設置工程と、それら作業ラインの作業ライン長さの半分の長さと同一の長さ寸法又は作業ライン長さの半分の長さよりもわずかに短い長さ寸法の第1命綱を付けて屋根の上に乗った作業者が第1命綱をそれら係止手段に順に連結し、又は、第1命綱を前記屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第1命綱を作業者がそれら係止手段に順に連結し、作業者がそれら作業ラインに沿って屋根工事を行う屋根工事工程とを有することにある。
【0008】
本発明の屋根工事方法の一例としては、屋根工事工程が、第1命綱を付けて屋根の上に乗った作業者が該第1命綱を中心係止手段に連結し、又は、第1命綱を屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第1命綱を作業者が中心係止手段に連結し、作業者が中央作業ラインに沿って屋根工事を行う中央屋根工事工程と、第1命綱を中心係止手段から取り外すとともに第1命綱を第A1係止手段から第An係止手段に向かって順に連結しつつ第A1作業ラインから第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行う第A1~第An屋根工事工程と、第1命綱を中心係止手段から取り外すとともに第1命綱を第B1係止手段から第Bn係止手段に向かって順に連結しつつ第B1作業ラインから第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行う第B1~第Bn屋根工事工程とから形成されている。
【0009】
本発明の屋根工事方法の他の一例としては、作業者が、幅方向中心線の幅方向中心点から第1側縁までの屋根の一方の半分を工事する第1作業者と、幅方向中心線の幅方向中心点から第2側縁までの屋根の他方の半分を工事する第2作業者とから形成され、第1作業者が、中央屋根工事工程において幅方向中心点と第1端縁との間に延びる中央作業ラインの半分の屋根工事を行うとともに、第A1~第An屋根工事工程において第A1作業ラインから第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行い、第2作業者が、中央屋根工事工程において幅方向中心点と第2端縁との間に延びる中央作業ラインの半分の屋根工事を行うとともに、第B1~第Bn屋根工事工程において第B1作業ラインから第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行う。
【0010】
本発明の屋根工事方法の他の一例としては、屋根工事工程が、幅方向中心線の第B1分割点と第1側縁との間の幅方向中心線長さ又は幅方向中心線の第A1分割点と第2側縁との間の幅方向中心線長さと同一の長さ寸法又は幅方向中心線長さよりもわずかに短い長さ寸法の第2命綱を付けて屋根の上に乗った作業者が第2命綱を第B1係止手段又は第A1係止手段に連結した後、又は、第2命綱を屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第2命綱を作業者が第B1係止手段又は第A1係止手段に連結した後、作業者がそれら作業ラインに沿って屋根工事を行う。
【0011】
本発明の屋根工事方法の他の一例としては、第1設定工程が、幅方向中心線の幅方向中心点から第1側縁に延びる幅方向中心線の一方の半分を幅方向へ等分して幅方向へ等間隔離間して並ぶ第A1~第An分割点を設定し、幅方向中心線の他方の半分を幅方向へ等分して幅方向へ等間隔離間して並ぶ第B1~第Bn分割点を設定し、第A1~第An作業ラインが、中央作業ラインから第1側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並び、第B1~第Bn作業ラインが、中央作業ラインから第2側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。
【0012】
本発明の屋根工事方法の他の一例としては、中央作業ラインが、幅方向中心線に直交して幅方向中心点から第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延び、第A1~第An作業ラインが、幅方向中心線に直交して第A1~第An分割点から第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延びているとともに、第B1~第Bn作業ラインが、幅方向中心線に直交して第B1~第Bn分割点から第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延びている。
【0013】
本発明の屋根工事方法の他の一例としては、建築物が、前後方向又は幅方向へ長い矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレートと、前後方向又は幅方向へ長い矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレートと、木質系天井プレートと木質系床プレートとの間に位置し、矩形に成形されて垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネルとから形成された木製ユニット家屋であり、屋根が、陸屋根であり、所定の屋根工事が、陸屋根に対する防水工事である。
【0014】
本発明の屋根工事方法の他の一例としては、木質系床プレートと木質系天井プレートとが、CLTから作られ、木質系壁パネルが、ツーバイフォー材から作られている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る屋根工事方法によれば、それら作業ラインの作業ライン長さの半分の長さと同一の長さ寸法又は作業ライン長さの半分の長さよりもわずかに短い長さ寸法の第1命綱を付けて屋根の上に乗った作業者が第1命綱をそれら係止手段に順に連結し、又は、第1命綱を屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第1命綱を作業者がそれら係止手段に順に連結し、作業者がそれら作業ラインに沿って屋根工事を行うから、作業者が屋根の工事中に建築物の屋根を移動したときに、屋根の第1端縁から前後方向前方への作業者の移動が第1命綱によって阻止されるとともに、屋根の第2端縁から前後方向後方への作業者の移動が第1命綱によって阻止され、屋根の工事中における作業者の屋根の第1及び第2端縁から屋根下への落下を防ぐことができ、作業者の安全を確保しつつ作業者が安心して所定の屋根工事を行うことができる。屋根工事方法は、建築物の周囲に足場を組む必要や足場を解体する必要がないから、無足場で所定の屋根工事を行うことができる。屋根工事方法は、足場を組む場合と比較し、足場作業者の足場工事や足場の解体工事を省略することができ、屋根工事にかかる時間を大幅に短縮することができるとともに、屋根工事にかかるコストを下げることができる。
【0016】
第1命綱を付けて屋根の上に乗った作業者が第1命綱を中心係止手段に連結し、又は、第1命綱を屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第1命綱を作業者が中心係止手段に連結し、作業者が中央作業ラインに沿って屋根工事を行う中央屋根工事工程と、第1命綱を中心係止手段から取り外すとともに第1命綱を第A1係止手段から第An係止手段に向かって順に連結しつつ第A1作業ラインから第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行う第A1~第An屋根工事工程と、第1命綱を中心係止手段から取り外すとともに第1命綱を第B1係止手段から第Bn係止手段に向かって順に連結しつつ第B1作業ラインから第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行う第B1~第Bn屋根工事工程とから形成されている屋根工事方法は、中央作業ラインに沿って屋根工事を行った後、屋根の幅方向中心線の幅方向中心点から屋根の第1側縁に向かって第A1作業ラインから第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行い、更に、屋根の幅方向中心線の幅方向中心点から屋根の第2側縁に向かって第B1作業ラインから第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行うから、屋根工事を所定の規則に基づいて規則正しく行うことができ、屋根工事の作業効率を向上させることができるとともに、作業者が短時間で屋根工事を行うことができる。屋根工事方法は、中心係止手段や第A1~第An係止手段、第B1~第Bn係止手段に第1命綱を連結して屋根工事を行うから、屋根の工事中における作業者の屋根の第1及び第2端縁から屋根下への落下を防ぐことができ、作業者の安全を確保しつつ作業者が安心して所定の屋根工事を行うことができる。
【0017】
作業者が屋根の一方の半分を工事する第1作業者と屋根の他方の半分を工事する第2作業者とから形成され、第1作業者が幅方向中心点と第1端縁との間に延びる中央作業ラインの半分の屋根工事を行うとともに第A1作業ラインから第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行い、第2作業者が幅方向中心点と第2端縁との間に延びる中央作業ラインの半分の屋根工事を行うとともに第B1作業ラインから第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行う屋根工事方法は、第1及び第2作業者がそれぞれ中央作業ラインの半分の屋根工事を行い、第1作業者が第A1作業ラインから第An作業ラインに沿って順に屋根工事を行うとともに、第2作業者が第B1作業ラインから第Bn作業ラインに沿って順に屋根工事を行うから、第1及び第2作業者が屋根工事を所定の規則に基づいて規則正しく行うことができ、屋根工事の作業効率を向上させることができるとともに、第1及び第2作業者が短時間で屋根工事を行うことができる。
【0018】
幅方向中心線の第B1分割点と第1側縁との間の幅方向中心線長さ又は幅方向中心線の第A1分割点と第2側縁との間の幅方向中心線長さと同一の長さ寸法又は幅方向中心線長さよりもわずかに短い長さ寸法の第2命綱を付けて屋根の上に乗った作業者が第2命綱を第B1係止手段又は第A1係止手段に連結した後、又は、第2命綱を屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第2命綱を作業者が第B1係止手段又は第A1係止手段に連結した後、作業者がそれら作業ラインに沿って屋根工事を行う屋根工事方法は、作業者が屋根の工事中に建築物の屋根を移動したときに、屋根の第1側縁から幅方向外方への作業者の移動が第2命綱によって阻止されるとともに、屋根の第2側縁から幅方向外方への作業者の移動が第2命綱によって阻止され、屋根の工事中における作業者の屋根の第1及び第2側縁から屋根下への落下を防ぐことができ、作業者の安全を確保しつつ作業者が安心して所定の屋根工事を行うことができる。
【0019】
第1設定工程において、幅方向中心線の幅方向中心点から第1側縁に延びる幅方向中心線の一方の半分を幅方向へ等分して幅方向へ等間隔離間して並ぶ第A1~第An分割点を設定し、幅方向中心線の他方の半分を幅方向へ等分して幅方向へ等間隔離間して並ぶ第B1~第Bn分割点を設定し、第A1~第An作業ラインが中央作業ラインから第1側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並び、第B1~第Bn作業ラインが中央作業ラインから第2側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる屋根工事方法は、屋根を幅方向へ等分し、中央作業ラインから第1側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並ぶ第A1~第An作業ラインに沿って作業者が所定の屋根工事を行うとともに、中央作業ラインから第2側縁に向かって幅方向へ等間隔離間して並ぶ第B1~第Bn作業ラインに沿って作業者が所定の屋根工事を行うから、作業者が屋根工事を所定の規則に基づいて規則正しく行うことができ、屋根工事の作業効率を向上させることができるとともに、作業者が短時間で屋根工事を行うことができる。
【0020】
中央作業ラインが幅方向中心線に直交して幅方向中心点から第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延び、第A1~第An作業ラインが幅方向中心線に直交して第A1~第An分割点から第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延びているとともに、第B1~第Bn作業ラインが幅方向中心線に直交して第B1~第Bn分割点から第1及び第2端縁に向かって前後方向へ直状に延びている屋根工事方法は、作業者が中央作業ラインや第A1~第An作業ライン、第B1~第Bn作業ラインに沿って幅方向中心線から第1及び第2端縁に向かって直線的に屋根工事を行うことができ、作業者が屋根工事を規則正しく行うことができ、屋根工事の作業効率を向上させることができるとともに、作業者が短時間で屋根工事を行うことができる。
【0021】
建築物が前後方向又は幅方向へ長い矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレートと前後方向又は幅方向へ長い矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレートと木質系天井プレート及び木質系床プレートとの間に位置し、矩形に成形されて垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネルとから形成された木製ユニット家屋であり、屋根が陸屋根であり、所定の屋根工事が陸屋根に対する防水工事である屋根工事方法は、第1命綱を木質系天井プレートからなる陸屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第1命綱をそれら係止手段に順に連結し、作業者がそれら作業ラインに沿って陸屋根に対する防水工事を行うから作業者が陸屋根の工事中に陸屋根を移動したときに、陸屋根の第1端縁から前後方向前方への作業者の移動が第1命綱によって阻止されるとともに、陸屋根の第2端縁から前後方向後方への作業者の移動が第1命綱によって阻止され、陸屋根の工事中における作業者の陸屋根の第1及び第2端縁から屋根下への落下を防ぐことができ、作業者の安全を確保しつつ作業者が安心して所定の防水工事を行うことができる。屋根工事方法は、作業者が屋根の工事中に木質系天井プレートからなる陸屋根を移動したときに、陸屋根の第1側縁から幅方向外方への作業者の移動が第2命綱によって阻止されるとともに、陸屋根の第2側縁から幅方向外方への作業者の移動が第2命綱によって阻止され、陸屋根の工事中における作業者の陸屋根の第1及び第2側縁から屋根下への落下を防ぐことができる。屋根工事方法は、建築物の周囲に足場を組む必要や足場を解体する必要がないから、無足場で陸屋根の防水工事を行うことができる。屋根工事方法は、足場作業者の足場工事や足場の解体工事を省略することができ、陸屋根に対する防水工事にかかる時間を大幅に短縮することができるとともに、防水工事にかかるコストを下げることができる。
【0022】
木質系床プレートと木質系天井プレートとがCLTから作られ、木質系壁パネルがツーバイフォー材から作られている屋根工事方法は、第1命綱をCLTから作られた木質系天井プレートからなる陸屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第1命綱をそれら係止手段に順に連結し、作業者がそれら作業ラインに沿って陸屋根に対する防水工事を行うから作業者が陸屋根の工事中に陸屋根を移動したときに、陸屋根の第1端縁から前後方向前方への作業者の移動が第1命綱によって阻止されるとともに、陸屋根の第2端縁から前後方向後方への作業者の移動が第1命綱によって阻止され、陸屋根の工事中における作業者の陸屋根の第1及び第2端縁から屋根下への落下を防ぐことができ、作業者の安全を確保しつつ作業者が安心して所定の防水工事を行うことができる。屋根工事方法は、作業者が屋根の工事中にCLTから作られた木質系天井プレートからなる陸屋根を移動したときに、陸屋根の第1側縁から幅方向外方への作業者の移動が第2命綱によって阻止されるとともに、陸屋根の第2側縁から幅方向外方への作業者の移動が第2命綱によって阻止され、陸屋根の工事中における作業者の陸屋根の第1及び第2側縁から屋根下への落下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】屋根工事方法において防水工事をする木製ユニット家屋の一例を示す正面側から見た斜視図。
図2】背面側から見た図1の木製ユニット家屋の斜視図。
図3図1の木製ユニット家屋の正面図。
図4図1の木製ユニット家屋の側面図。
図5】第1及び第2命綱が連結された安全ベルトを取り付けた作業者の一例を示す斜視図。
図6】屋根工事方法の第1及び第2設定工程、係止手段設置工程の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図7】屋根工事方法の中央屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図8】屋根工事方法の第A1屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図9】屋根工事方法の第A2屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図10】屋根工事方法の第B1屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図11】屋根工事方法の第B2屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図12】屋根工事方法の中央屋根工事工程の他の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図13】屋根工事方法の第A1屋根工事工程及び第B1屋根工事工程の他の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
図14】屋根工事方法の第A2屋根工事工程及び第B2屋根工事工程の他の一例を説明する木製ユニット家屋の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照し、本発明に係る屋根工事方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、図1は、屋根工事方法において防水工事をする木製ユニット家屋10の一例を示す正面斜視図であり、図2は、図1の木製ユニット家屋10の背面斜視図である。図3は、図1の木製ユニット家屋10の正面図であり、図4は、図1の木製ユニット家屋10の背面図である。図1及び図2では、上下方向を矢印X、幅方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。
【0025】
屋根工事方法を行う図1の木製ユニット家屋10は、組立工場において組み立てられた後、運搬車両によって所定の設置場所へ運搬される。設置場所に運ばれた木製ユニット家屋10は、運搬車両からクレーンによって吊り上げられ、基礎工事によって作られた設置場所の基礎(べた基礎、布基礎)の基礎立上がりに敷設された土台の上に載置される。土台の上に載置された木製ユニット家屋10は、土台に対する位置の前後方向及び幅方向の微調整が行われた後、木製ユニット家屋10の木質系床プレート12(CLT)が土台に連結・固定される。木製ユニット家屋10の木質系床プレート12と土台とは、鉛直長ビス(鉛直ビス)と斜め長ビス(斜めビス)とによって固定される。尚、図示はしていないが、2棟以上の木製ユニット家屋を組み合わせて設置場所に建て付けることで、各種の間取の木製ユニット住宅が作られる。
【0026】
図1に示す木製ユニット家屋10は、水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレート11と、水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレート12と、垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネル13とから形成されている。木質系天井プレート11は、ひき板(ラミナ)を並べた後に繊維方向が直交するように接着剤(水性高分子イソシネアート系樹脂接着剤(非ホルムアルデヒド系接着剤))によって積層接着したCLT(Cross Laminated Timber)から作られている。
【0027】
CLTには、3層3プライ、3層4プライ、5層5プライ、5層7プライ、7層7プライ、9層9プライのいずれかを使用することができる。CLTとしては、スギから作られたスギCLTパネル、ヒノキから作られたヒノキCLTパネル、カラマツから作られたカラマツCLTパネル、トドマツから作られたトドマツCLTパネルを使用することができる。CLTは、優れた断熱性と高い省エネ効果を有し、優れた耐震性を有するとともに、鉄筋コンクリート造と比べて軽量である。尚、CLTとして今後開発されるあらゆる種類のCLTを使用することができる。
【0028】
木質系天井プレート11は、幅方向へ長い略矩形に成形され、幅向へ延びる第1端縁部14と、第1端縁部14から前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる第2端縁部15と、前後方向へ延びる第1側縁部16と、第1側縁部16から幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第2側縁部17とを有する。木質系天井プレート11は、木製ユニット家屋10の陸屋根18を形成する。木質系天井プレート11の上面には、前後方向へ等間隔離間して幅方向へ延びる複数本の垂木19が配置されている。それら垂木19には、野地合板20が取り付けられている。それら垂木19及び野地合板20は、木質系天井プレート11(CLT)に長ビスによって固定されている。尚、木製ユニット家屋10を4棟連結したときの陸屋根18の幅方向の寸法(長さ)が約11.0mであり、前後方向の寸法(長さ)が約9.1mであるが、陸屋根18の幅方向の寸法(長さ)や前後方向の寸法(長さ)に特に限定はない。
【0029】
木質系床プレート12は、木質系天井プレート11と同形同大であり、木質系天井プレート11と同様にCLTから作られている。木質系床プレート12は、幅方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1端縁部14と、第1端縁部14から前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる第2端縁部15と、前後方向へ延びる第1側縁部16と、第1側縁部16から幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第2側縁部17とを有する。木質系床プレート12(CLT)の上面には、フローリング21が施されている。フローリング21(遮音性能を高める特殊緩衝材のついた遮音木質床材)は、木質系床プレート12(CLT)の上面に接着剤によって接合されている。
【0030】
木質系壁パネル13は、幅方向へ延びる所定面積の木質系第1壁パネル13aと、幅方向へ延びる所定面積の木質系第2壁パネル13bと、前後方向へ延びる所定面積の木質系第3壁パネル13cとから形成されている。木質系第1~木質系第3壁パネル13a~13cは、ツーバイフォー材(2×4材)を使用したツーバイフォー工法によって作られ、略矩形に成形されている。
【0031】
木質系第1~第3壁パネル13a~13cは、図示はしていないが、前後方向又は幅方向へ延びる頭つなぎ(角木材)及び上枠(角木材)と、上枠から上下方向下方に位置して前後方向又は幅方向へ延びる下枠(角木材)と、上下枠の間に位置して上下方向へ延びる第1縦枠(角木材)と、第1縦枠から前後方向又は幅方向へ離間対向して上下方向へ延びる第2縦枠(角木材)と、第1及び第2縦枠の間に位置して上下方向へ延びていて前後方向又は幅方向へ離間して並ぶ複数のスタッド(角木材)とから形成されている。
【0032】
頭つなぎや上枠、下枠、第1縦枠、第2縦枠、スタッドは、規格化された釘によって連結されている。木質系第1~第3壁パネル13a~13cは、2×4材(頭つなぎ、上枠、下枠、第1縦枠、第2縦枠、スタッド)の各木材を組んで「枠組」を作り、剛性の高いダイヤフラムを構成している。
【0033】
木質系第1壁パネル13aは、前後方向へ延びる上端部22(頭つなぎ及び上枠)と、上端部22の上下方向下方に位置して前後方向へ延びる下端部23(下枠)と、上端部22と下端部23との間に位置して上下方向へ延びる両側縁部24,25(第1縦枠、第2縦枠)とを有する。木質系第1壁パネル13aには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0034】
木質系第2壁パネル13bは、木質系第1壁パネル13aから幅方向へ離間対向している。木質系第2壁パネル13bは、前後方向へ延びる上端部22(頭つなぎ及び上枠)と、上端部22の上下方向下方に位置して前後方向へ延びる下端部23(下枠)と、上端部22と下端部23との間に位置して上下方向へ延びる両側縁部24,25(第1縦枠、第2縦枠)とを有する。木質系第2パネル13bには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0035】
木質系第3壁パネル13cは、幅方向へ長い矩形に成形され、木質系第1壁パネル13aの側縁部24と木質系第2壁パネル13bの側縁部24との間に位置している。木質系第3壁パネル13cは、幅方向へ延びる上端部22(頭つなぎ及び上枠)と、上端部22の上下方向下方に位置して幅方向へ延びる下端部23(下枠)と、上端部22と下端部23との間に位置して上下方向へ延びる両側縁部24,25(第1縦枠、第2縦枠)とを有する。木質系第3パネル13cには、各種形状の窓枠(サッシ)が作られる。尚、木質系第1~第3壁パネル13a~13cには、図示はしていないが、配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が設置され、換気口やエアコンの冷媒管・ドレンホース用孔が穿孔される。
【0036】
木製ユニット家屋10では、木質系第1~第3壁パネル13a~13cが木質系天井プレート11及び木質系床プレート12に連結され、木質系第1壁パネル13aと木質系第3壁パネル13cとが連結されているとともに、木質系第2壁パネル13bと木質系第3壁パネル13cとが連結されている。木質系天井プレート11及び木質系床プレート12に木質系第1~第3壁パネル13a~13cを連結するとともに、木質系第1~第3壁パネル13a~13cを連結することで、木質系天井プレート11、木質系床プレート12、木質系第1~第3壁パネル13a~13cに囲繞された前後方向(又は幅方向)へ長い所定容積の内部居住空間が画成されている。
【0037】
木質系天井プレート11と木質系第1~第3壁パネル13a~13cとは、ホールダウン金物(引き寄せ金物)によって連結されるとともに、鉛直長ビス(鉛直ビス)と斜め長ビス(斜めビス)とのうちの少なくとも斜め長ビスによって連結される。木質系床プレート12と木質系第1~第3壁パネル13a~13cとは、ホールダウン金物(引き寄せ金物)によって連結されるとともに、鉛直長ビス(鉛直ビス)と斜め長ビス(斜めビス)とのうちの少なくとも斜め長ビスによって連結される。木質系第1~第3壁パネル13a~13cは、長ビスによって連結される。
【0038】
図5は、第1及び第2命綱31,32が連結された安全ベルト27を取り付けた作業者26の一例を示す斜視図であり、図6は、屋根工事方法の第1及び第2設定工程、係止手段設置工程の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図である。図5では、幅方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。尚、図6図14では、木製ユニット家屋10を4棟連結した木製ユニット住宅の陸屋根18を示す。
【0039】
屋根工事方法は、安全ベルト27を装着した作業者26(又は、第1及び第2作業者26a,26b)が木製ユニット家屋10の陸屋根18の上に乗り、作業者26(又は、第1及び第2作業者26a,26b)が陸屋根18に対する防水工事(屋根工事)を行う。屋根工事方法は、木製ユニット家屋10のみならず、W造やS造、RC造、SRC造、RS造、WRC造等のあらゆる建築物の陸屋根に対する屋根工事に利用することができ、平屋や2階建て以上の階層の陸屋根に対する屋根工事に利用することができる。
【0040】
防水工事には、FRP防水・ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水がある。屋根工事には、防水工事の他に、屋根カバー工事、屋根塗装工事、雨樋工事、天窓工事、アンテナ取付工事、太陽光パネル設置工事等が含まれる。屋根工事方法は、第1設定工程、第2設定工程、係止手段設置工程、屋根工事工程(中央屋根工事工程、第A1~第An屋根工事工程、第B1~第Bn屋根工事工程)を実施する。
【0041】
作業者26(又は、第1及び第2作業者26a,26b)が装着する安全ベルト27は、図5に示すように、肩ベルト28a、胸ベルト28b、胴ベルト28c、腿ベルト28d、骨盤ベルト28eから形成されている。安全ベルト27には、D環29にショックアブソーバ30が取り付けられ、ショックアブソーバ30に第1命綱31(第1ランヤード)及び第2命綱32(第2ランヤード)が連結されている。
【0042】
屋根工事方法では、図6に示すように、木製ユニット家屋10の幅方向へ長い陸屋根18(木質系天井プレート11)の前後方向の寸法を二分(二等分)して幅方向へ延びる幅方向中心線34を設定(仮想)する。次に、幅方向中心線34の幅方向の寸法を二分(二等分)する幅方向中心点35を設定(仮想)し、幅方向中心線34をその幅方向中心点35から第1側縁16aに延びる一方の半分36と幅方向中心点35から第2側縁17aに延びる他方の半分37とに分割(等分)する。
【0043】
幅方向中心線34の一方の半分36を幅方向へ等分(分割)し、幅方向中心点35から第1側縁16aに向かって並ぶ第A1分割点38及び第A2分割点39(第A1~第An分割点)を設定(仮想)するとともに、幅方向中心線34の他方の半分37を幅方向へ等分(分割)し、幅方向中心点35から第2側縁17aに向かって並ぶ第B1分割点40及び第B2分割点41(第B1~第Bn分割点)を設定(仮想)する(第1設定工程)。第A1分割点38及び第A2分割点39は、幅方向中心点35から第1側縁16aに向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。第B1分割点40及び第B2分割点41は、幅方向中心点35から第2側縁17aに向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。
【0044】
尚、第1設定工程では、幅方向中心線34の一方の半分36を幅方向へ不均等に分割し、第A1分割点38及び第A2分割点39(第A1~第An分割点)が幅方向中心点35から第1側縁16aに向かって幅方向へ所定間隔離間して不均等に並んでいてもよい。幅方向中心線34の他方の半分37を幅方向へ不均等に分割し、第B1分割点40及び第B2分割点41(第B1~第Bn分割点)が幅方向中心点35から第2側縁17aに向かって幅方向へ所定間隔離間して不均等に並んでいてもよい。
【0045】
それら分割点38,39,40,41を設定した後、幅方向中心点35から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ延びる中央作業ライン42を設定(仮想)し、幅方向へ等間隔離間して並ぶ第A1分割点38から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ延びる第A1作業ライン43を設定(仮想)するとともに、幅方向へ等間隔離間して並ぶ第A2分割点39(第An分割点)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ延びる第A2作業ライン44(第An作業ライン)を設定(仮想)する(第2設定工程)。
【0046】
更に、幅方向へ等間隔離間して並ぶ第B1分割点40から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ延びる第B1作業ライン45を設定(仮想)するとともに、幅方向へ等間隔離間して並ぶ第B2分割点41(第Bn分割点)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ延びる第B2作業ライン46(第Bn作業ライン)を設定(仮想)する(第2設定工程)。
【0047】
陸屋根18に設定(仮想)された中央作業ライン42は、幅方向中心線34に直交して幅方向中心点35から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ直状(直線状)に延びている。陸屋根18に設定(仮想)された第A1作業ライン43及び第A2作業ライン44(第A1~第An作業ライン)は、幅方向中心線34に直交して第A1分割点43及び第A2分割点44(第A1~第An分割点)から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ直状に延びている。第A1作業ライン及び第A2作業ライン43,44は、中央作業ライン42から第1側縁16aに向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。
【0048】
陸屋根18に設定(仮想)された第B1作業ライン45及び第B2作業ライン46(第B1~第Bn作業ライン)は、幅方向中心線34に直交して第B1分割点40及び第B2分割点41(第B1~第Bn分割点)から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ直状に延びている。第B1作業ライン45及び第B2作業ライン46は、中央作業ライン42から第2側縁17aに向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。
【0049】
尚、第1及び第2設定工程では、幅方向中心線34の一方の半分36を幅方向へ等分(分割)して第A1及び第A2分割点38,39を設定し、幅方向中心線34の他方の半分37を幅方向へ等分(分割)して第B1及び第B2分割点40,41を設定し、第A1及び第A2分割点38,39から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ延びる第A1及び第A2作業ライン43,44を設定するとともに、第B1及び第B2分割点40,41から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ延びる第B1及び第B2作業ライン45,46を設定しているが、陸屋根18の面積(大きさ)に応じて幅方向中心線34の一方の半分36に第A1~第An分割点が設定され、幅方向中心線34の一方の半分36に第B1~第Bn分割点が設定され、第A1~第An分割点から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ延びる第A1~第An作業ラインが設定されるとともに、第B1~第Bn分割点から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ延びる第B1~第Bn作業ラインが設定される。
【0050】
又、第2設定工程では、所定間隔離間して不均等に並ぶ第A1分割点38及び第A2分割点39(第A1~第An分割点)から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ延びる第A1作業ライン43及び第A2作業ライン44(第A1~第An作業ライン)を設定(仮想)し、幅方向へ所定寸法離間して不均等に並ぶ第B1分割点40及び第B2分割点41(第B1~第Bn分割点)から第1及び第2端縁14a,15aに向かって前後方向へ延びる第B1作業ライン45及び第B2作業ライン46(第B1~第Bn作業ライン)を設定(仮想)してもよい。この場合、第A1作業ライン43及び第A2作業ライン44が中央作業ライン42から第1側縁16aに向かって幅方向へ所定間隔離間して不均等に並び、第B1作業ライン45及び第B2作業ライン46が中央作業ライン42から第2側縁17aに向かって幅方向へ所定間隔離間して不均等に並ぶ。
【0051】
屋根工事方法では、図6に示すように、幅方向中心線34上に設定(仮想)された幅方向中心点35に中心留め具47(中心係止手段)を設置・固定し、幅方向中心線34上に設定(仮想)された第A1分割点38に第A1留め具48(第A1係止手段)を設置・固定するとともに、幅方向中心線34上に設定(仮想)された第A2分割点39(第An分割点)に第A2留め具49(第An係止手段)を設置・固定する(係止手段設置工程)。
【0052】
更に、幅方向中心線34上に設定(仮想)された第B1分割点40に第B1留め具50(第B1係止手段)を設置・固定するとともに、幅方向中心線34上に設定(仮想)された第B2分割点41(第Bn分割点)に第B2留め具51(第Bn係止手段)を設置・固定する(係止手段設置工程)。中心留め具47や第A1留め具48、第A2留め具49、第B1留め具50、第B2留め具51には、第1命綱31(第1ランヤード)の後記するフック33a及び第2命綱32(第2ランヤード)のフック33bが着脱可能に引っ掛けられる(係止される)。
【0053】
第A1留め具48及び第A2留め具49(第A1~第An係止手段)は、中心留め具47から第1側縁16aに向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。第B1留め具50及び第B2留め具51(第B1~第Bn係止手段)は、中心留め具47から第2側縁17aに向かって幅方向へ等間隔離間して並んでいる。尚、第A1留め具48及び第A2留め具49が中心留め具47から第1側縁16aに向かって幅方向へ所定間隔離間して不均等に並び、第B1留め具50及び第B2留め具51が中心留め具47から第2側縁17aに向かって幅方向へ所定間隔離間して不均等に並ぶ場合もある。
【0054】
第1命綱31(第1ランヤード)は、それら作業ライン42~46(中央作業ライン42、第A1作業ライン43、第A2作業ライン44、第B1作業ライン45、第B2作業ライン46)の作業ライン長さL1(図6参照)の半分の長さと同一の長さ寸法又は作業ライン長さL1の半分の長さよりもわずかに短い長さ寸法を有する。尚、わずかに短い長さ寸法とは、作業ライン長さL1の半分の長さよりも10cm~30cm短い長さ寸法である。
【0055】
第2命綱32(第2ランヤード)は、幅方向中心線34の第B1分割点40と第1側縁16aとの間の幅方向中心線長さL2(図6参照)と同一の長さ寸法又は幅方向中心線長さL2よりもわずかに短い長さ寸法を有する。又は、第2命綱32(第2ランヤード)は、幅方向中心線34の第A1分割点38と第2側縁17aとの間の幅方向中心線長さL2(図6参照)と同一の長さ寸法又は幅方向中心線長さL2よりもわずかに短い長さ寸法を有する。尚、わずかに短い長さ寸法とは、幅方向中心線長さL2よりも10cm~30cm短い長さ寸法である。
【0056】
図7は、屋根工事方法の中央屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図であり、図8は、屋根工事方法の第A1屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図である。図9は、屋根工事方法の第A2屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図であり、図10は、屋根工事方法の第B1屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図である。図11は、屋根工事方法の第B2屋根工事工程の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図である。図7では、幅方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。
【0057】
屋根工事方法の屋根工事工程では、ショックアブソーバ30に第1命綱31及び第2命綱32が連接された安全ベルト27を地上において作業者26が装着し、安全ベルト27を装着した作業者26がはしごや脚立、高所作業車等を利用して木製ユニット家屋10の陸屋根18の上に乗り、陸屋根18の中央において作業者26が第2命綱32のフック33bを第B1留め具50(第B1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第B1留め具50に連結する。
【0058】
第2命綱32を第B1留め具50に連結した後、作業者26が第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を中心留め具47に連結する。第1命綱31を中心留め具47に連結した後、図7に示すように、作業者26が中央作業ライン42に沿って幅方向中心点35から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(中央屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0059】
又は、作業者26が安全ベルト27を地上において装着し、安全ベルト27を装着した作業者26がはしごや脚立、高所作業車等を利用して木製ユニット家屋10の陸屋根18の上に乗り、陸屋根18の中央において作業者26が第1命綱31及び第2命綱32を安全ベルト27のショックアブソーバ30に連結し、第2命綱32のフック33bを第B1留め具50(第B1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第B1留め具50に連結する。第2命綱32を第B1留め具50に連結した後、作業者26が第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を中心留め具47に連結する。第1命綱31を中心留め具47に連結した後、図7に示すように、作業者26が中央作業ライン42に沿って幅方向中心点35(幅方向中心線)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(中央屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0060】
図7に示す中央作業ライン42において第1命綱31による作業者26の作業範囲(移動可能範囲)を円C1で示し、第2命綱32による作業者26の作業範囲(移動可能範囲)を円C2で示す。円C1に示すように、第1命綱31によって作業者26は、中央作業ライン42において第1端縁14a及び第2端縁15aから前方や後方への移動が制限(阻止)され、幅方向中心線34において第1側縁16aから幅方向外方への移動が第2命綱32によって制限(阻止)される。
【0061】
作業者26は、中央作業ライン42に沿って防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)から取り外し、第1命綱31と中心留め具47との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の幅方向中心点35から第1側縁16aに向かって幅方向へ移動し、第A1分割点38に移動する。尚、第2命綱32は第B1留め具50に連結された状態にある。
【0062】
第A1分割点38に移動した後、作業者26は、第1命綱31のフック33aを第A1留め具48(第A1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第A1留め具48に連結する。第1命綱31を第A1留め具48に連結した後、図8に示すように、作業者26は、第A1作業ライン43に沿って第A1分割点38(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第A1屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0063】
図8に示す第A1作業ライン43において第1命綱31による作業者26の作業範囲(移動可能範囲)を円C1で示し、第2命綱32による作業者26の作業範囲(移動可能範囲)を円C2で示す。円C1に示すように、第1命綱31によって作業者26は、第A1作業ライン43において第1端縁14a及び第2端縁15aから前方や後方への移動が制限(阻止)され、幅方向中心線34において第1側縁16aから幅方向外方への移動が第2命綱32によって制限(阻止)される。
【0064】
作業者は、第A1作業ライン43に沿って防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを第A1留め具48(第A1係止手段)から取り外し、第1命綱31と第A1留め具48との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の幅方向中心点35から第1側縁16aに向かって幅方向へ移動し、第A2分割点39に移動する。尚、第2命綱32は第B1留め具50に連結された状態にある。
【0065】
第A2分割点39に移動した後、作業者26は、第1命綱31のフック33aを第A2留め具49(第A2係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第A2留め具49に連結する。第1命綱31を第A2留め具49に連結した後、図9に示すように、作業者26は、第A2作業ライン44に沿って第A2分割点39(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第A2屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0066】
図9に示す第A2作業ライン44において第1命綱31による作業者26の作業範囲(移動可能範囲)を円C1で示し、第2命綱32による作業者26の作業範囲(移動可能範囲)を円C2で示す。円C1に示すように、第1命綱31によって作業者26は、第A2作業ライン44において第1端縁14a及び第2端縁15aから前方や後方への移動が制限(阻止)され、幅方向中心線34において第1側縁16aから幅方向外方への移動が第2命綱32によって制限(阻止)される。
【0067】
作業者26は、第A2作業ライン44に沿って防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを第A2留め具49(第A2係止手段)から取り外し、第1命綱31と第A2留め具49との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の第A2分割点39から第B1分割点40に向かって幅方向へ移動し、第B1分割点40に移動する。尚、第2命綱32は第B1留め具50に連結された状態にある。
【0068】
第B1分割点40に移動した後、作業者26は、第2命綱32のフック33bを第B1留め具50(第B1係止手段)から取り外し、第2命綱32と第B1留め具50との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の第B1分割点40から第A1分割点38に向かって幅方向へ移動し、第A1分割点38に移動する。第A1分割点38に移動した作業者26は、第2命綱32のフック33bを第A1留め具48(第A1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第A1留め具48に連結する。
【0069】
第2命綱32を第A1留め具48に連結した作業者26は、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の第A1分割点38から第B1分割点40に向かって幅方向へ移動し、第B1分割点40に移動する。第B1分割点40に移動した作業者26は、第1命綱31のフック33aを第B1留め具50(第B1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第B1留め具50に連結する。第1命綱31を第B1留め具50に連結した後、図10に示すように、作業者26は、第B1作業ライン45に沿って第B1分割点40(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第B1屋根工事工程(屋根工事工程))。第1命綱31によって作業者26は、第B1作業ライン45において第1端縁14a及び第2端縁15aから前方や後方への移動が制限(阻止)され、幅方向中心線34において第2側縁17aから幅方向外方への移動が第2命綱32によって制限(阻止)される。
【0070】
作業者26は、第B1作業ライン45に沿って防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを第B1留め具50(第B1係止手段)から取り外し、第1命綱31と第B1留め具50との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の第B1分割点40から第2側縁17aに向かって幅方向へ移動し、第B2分割点41に移動する。尚、第2命綱32は第A1留め具48に連結された状態にある。
【0071】
第B2分割点41に移動した後、作業者26は、第1命綱31のフック33aを第B2留め具51(第B2係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第B2留め具51に連結する。第1命綱31を第B2留め具51に連結した後、図11に示すように、作業者26は、第B2作業ライン46に沿って第B2分割点41(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第B2屋根工事工程(屋根工事工程))。第1命綱31によって作業者26は、第B2作業ライン46において第1端縁14a及び第2端縁15aから前方や後方への移動が制限(阻止)され、幅方向中心線34において第2側縁17aから幅方向外方への移動が第2命綱32によって制限(阻止)される。
【0072】
中央屋根工事工程、第A1~第A2屋根工事工程、第B1~第B2屋根工事工程が終了した後、作業者26は、第1命綱31のフック33aを第B2留め具51(第B2係止手段)から取り外すとともに、第2命綱32のフック33bを第A1留め具48(第A1係止手段)から取り外し、はしごや脚立、高所作業車等を利用して陸屋根18から降りる。
【0073】
屋根工事方法は、幅方向中心線34の第B1分割点40と第1側縁16aとの間の幅方向中心線長さL2又は幅方向中心線34の第A1分割点38と第2側縁17aとの間の幅方向中心線長さL2と同一の長さ寸法又は幅方向中心線長さL2よりもわずかに短い長さ寸法の第2命綱32を付けて陸屋根18(建築物の屋根)の上に乗った作業者26が第2命綱32を第B1係止手段又は第A1係止手段に連結した後、又は、第2命綱を木製ユニット家屋の陸屋根の上に乗った作業者に連結しつつ第2命綱を第B1留め具50(第B1係止手段)又は第A1留め具48(第A1係止手段)に連結するとともに、それら作業ライン42~45の作業ライン長さL1の半分の長さと同一の長さ寸法又は作業ライン長さL1の半分の長さよりもわずかに短い長さ寸法の第1命綱31を付けて陸屋根18の上に乗った作業者26が第1命綱31をそれら留め具48~51(それら係止手段)に順に連結し、又は、第1命綱31を陸屋根18の上に乗った作業者26に連結しつつ第1命綱31をそれら留め具48~51(それら係止手段)に順に連結し、作業者26がそれら作業ライン42~45に沿って屋根工事を行うから、作業者26が屋根工事中に陸屋根18を移動したときに、陸屋根18の第1側縁16aから幅方向外方への作業者26の移動が第2命綱32によって阻止されるとともに、陸屋根18の第2側縁17aから幅方向外方への作業者26の移動が第2命綱32によって阻止され、陸屋根18の工事中における作業者26の第1及び第2側縁16a,17aから屋根下への落下を防ぐことができるとともに、作業者26が屋根工事中に陸屋根18を移動したときに、陸屋根18の第1端縁14aから前後方向前方への作業者26の移動が第1命綱31によって阻止されるとともに、陸屋根18の第2端縁15aから前後方向後方への作業者26の移動が第1命綱31によって阻止され、屋根工事中における作業者26の陸屋根18の第1及び第2端縁14a,15aから屋根下への落下を防ぐことができる。
【0074】
屋根工事方法は、第2命綱32が陸屋根18の第1及び第2側縁16a,17aから屋根下への作業者26の落下を防ぎ、第1命綱31が陸屋根18の第1及び第2端縁14a,15aから屋根下への作業者26の落下を防ぐから、作業者26の安全を確保しつつ作業者26が安心して陸屋根18の防水工事(所定の屋根工事)を行うことができる。屋根工事方法は、建築物の周囲に足場を組む必要や足場を解体する必要がないから、無足場で所定の防水工事(屋根工事)を行うことができ、足場を組む場合と比較し、足場作業者の足場工事や足場の解体工事を省略することができ、防水工事にかかる時間を大幅に短縮することができるとともに、防水工事にかかるコストを下げることができる。
【0075】
屋根工事方法は、中央作業ライン42に沿って屋根工事を行った後、陸屋根18の幅方向中心線34の幅方向中心点35から陸屋根18の第1側縁16aに向かって第A1作業ライン43から第A2作業ライン44(第An作業ライン)に沿って順に防水工事(屋根工事)を行い、更に、陸屋根18の幅方向中心線34の幅方向中心点35から陸屋根18の第2側縁17aに向かって第B1作業ライン45から第B2作業ライン46(第Bn作業ライン)に沿って順に防水工事(屋根工事)を行うから、防水工事を所定の規則に基づいて規則正しく行うことができ、防水工事の作業効率を向上させることができるとともに、作業者が短時間で防水工事を行うことができる。
【0076】
図12は、屋根工事方法の中央屋根工事工程の他の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図であり、図13は、屋根工事方法の第A1屋根工事工程及び第B1屋根工事工程の他の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図である。図14は、屋根工事方法の第A2屋根工事工程及び第B2屋根工事工程の他の一例を説明する木製ユニット家屋10の上面図である。図12では、幅方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。
【0077】
図12図14に示す屋根工事方法は、幅方向中心線34の幅方向中心点35から第1側縁16aまでの陸屋根18の一方の半分を工事する第1作業者26aと、幅方向中心線34の幅方向中心点35から第2側縁17aまでの陸屋根18の他方の半分を工事する第2作業者26bとの2名の作業者26a,26bによって屋根工事工程が行われる。尚、第1設定工程、第2設定工程、係止手段設置工程は、既述のとおりである。
【0078】
屋根工事方法の屋根工事工程では、ショックアブソーバ30に第1命綱31及び第2命綱32が連接された安全ベルト27を地上において第1及び第2作業者26a,26bが装着し、安全ベルト27を装着した第1及び第2作業者26a,26bがはしごや脚立、高所作業車等を利用して木製ユニット家屋10の陸屋根18の上に乗る。第1作業者26aは、陸屋根18の中央において第2命綱32のフック33bを第B1留め具50(第B1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第B1留め具50に連結し、第2作業者26bは、陸屋根18の中央において第2命綱32のフック33bを第A1留め具48(第A1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第A1留め具48に連結する。
【0079】
又は、第1及び第2作業者26a,26bが安全ベルト27を地上において装着し、安全ベルト27を装着した第1及び第2作業者26a,26bがはしごや脚立、高所作業車等を利用して木製ユニット家屋10の陸屋根18の上に乗る。第1作業者26aは、陸屋根18の中央において第1命綱31及び第2命綱32を安全ベルト27のショックアブソーバ30に連結し、第2命綱32のフック33bを第B1留め具50(第B1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第B1留め具50に連結する。第2作業者26bは、陸屋根18の中央において第1命綱31及び第2命綱32を安全ベルト27のショックアブソーバ30に連結し、第2命綱32のフック33bを第A1留め具48(第A1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第2命綱32を第A1留め具48に連結する。
【0080】
第1作業者26aは、第2命綱32を第B1留め具50に連結した後、第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を中心留め具47に連結し、図12に示すように、中央作業ライン42に沿って幅方向中心点35から第1端縁14aに向かって前後方向へ移動しつつ、幅方向中心点35と第1端縁14aとの間に延びる中央作業ライン42の一方の半分の防水工事(屋根工事)を行う(中央屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0081】
第2作業者26bは、第2命綱32を第A1留め具48に連結した後、第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を中心留め具47に連結し、図12に示すように、中央作業ライン42に沿って幅方向中心点35から第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ、幅方向中心点35と第2端縁15aとの間に延びる中央作業ライン42の他方の半分の防水工事(屋根工事)を行う(中央屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0082】
第1作業者26aは、中央作業ライン42に沿って中央作業ライン42の一方の半分の防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)から取り外し、第1命綱31と中心留め具47との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の幅方向中心点35から第1側縁16aに向かって幅方向へ移動し、第A1分割点38に移動する。尚、第2命綱32は第B1留め具50に連結された状態にある。
【0083】
第A1分割点38に移動した後、第1作業者26aは、第1命綱31のフック33aを第A1留め具47(第A1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第A1留め具47に連結し、図13に示すように、第A1作業ライン43に沿って第A1分割点38(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第A1屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0084】
第1作業者26aは、第A1作業ライン43に沿って防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを第A1留め具48(第A1係止手段)から取り外し、第1命綱31と第A1留め具48との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の第A1分割点38から第1側縁16aに向かって幅方向へ移動し、第A2分割点39に移動する。尚、第2命綱32は第B1留め具50に連結された状態にある。
【0085】
第1作業者26aは、第A2分割点39に移動した後、第1命綱31のフック33aを第A2留め具49(第A2係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第A2留め具49に連結し、図14に示すように、第A2作業ライン44に沿って第A2分割点39(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第A2屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0086】
第2作業者26bは、中央作業ライン42に沿って中央作業ライン42の他方の半分の防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを中心留め具47(中心係止手段)から取り外し、第1命綱31と中心留め具47との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の幅方向中心点35から第2側縁17aに向かって幅方向へ移動し、第B1分割点40に移動する。尚、第2命綱32は第A1留め具48に連結された状態にある。
【0087】
第B1分割点40に移動した後、第2作業者26bは、第1命綱31のフック33aを第B1留め具50(第B1係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第B1留め具50に連結し、図13に示すように、第B1作業ライン45に沿って第B1分割点40(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第B1屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0088】
第2作業者26bは、第B1作業ライン45に沿って防水工事(屋根工事)を行った後、第1命綱31のフック33aを第B1留め具50(第B1係止手段)から取り外し、第1命綱31と第B1留め具50との連結を解除した後、幅方向中心線34に沿って又は幅方向中心線34上を陸屋根18の第B1分割点40から第2側縁17aに向かって幅方向へ移動し、第B2分割点41に移動する。尚、第2命綱32は第A1留め具48に連結された状態にある。
【0089】
第2作業者26bは、第B2分割点41に移動した後、第1命綱31のフック33aを第B2留め具51(第B2係止手段)に引っ掛けて(係止して)第1命綱31を第B2留め具51に連結し、図14に示すように、第B2作業ライン46に沿って第B2分割点41(幅方向中心線34)から第1端縁14a及び第2端縁15aに向かって前後方向へ移動しつつ防水工事(屋根工事)を行う(第B2屋根工事工程(屋根工事工程))。
【0090】
中央屋根工事工程、第A1~第A2屋根工事工程、第B1~第B2屋根工事工程が終了した後、第1及び第2作業者26a,26bは、第1命綱31のフック33aを第A2留め具49(第A2係止手段)及び第B2留め具51(第B2係止手段)から取り外すとともに、第2命綱32のフック33bを第B1留め具50(第B1係止手段)及び第A1留め具48(第A1係止手段)から取り外し、はしごや脚立、高所作業車等を利用して木製ユニット家屋10の陸屋根18から降りる。
【0091】
図12図14に示す屋根工事方法は、図7図11に示す屋根工事方法が有する効果に加え、以下の効果を有する。図12図14の屋根工事方法は、第1作業者26a及び第2作業者26bがそれぞれ中央作業ライン42の半分の屋根工事を行い、第1作業者26aが第A1作業ライン43から第A2作業ライン44に沿って順に屋根工事を行うとともに、第2作業者26bが第B1作業ライン45から第B2作業ライン46に沿って順に屋根工事を行うから、第1及び第2作業者26a,26bが防水工事(屋根工事)を所定の規則に基づいて規則正しく行うことができ、防水工事の作業効率を向上させることができるとともに、第1及び第2作業者26a,26bが短時間で防水工事を行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
10 木製ユニット家屋
11 木質系天井プレート
12 木質系床プレート
13 木質系壁パネル
13a 木質系第1壁パネル
13b 木質系第2壁パネル
13c 木質系第3壁パネル
14 第1端縁部
14a 第1端縁
15 第2端縁部
15a 第2端縁
16 第1側縁部
16a 第1側縁
17 第2側縁部
17a 第2側縁
18 陸屋根
19 垂木
20 野地合板
21 フローリング
22 上端部
23 下端部
24 側縁部
25 側縁部
26 作業者
26a 第1作業者
26b 第2作業者
27 安全ベルト
28a 肩ベルト
28b 胸ベルト
28c 胴ベルト
28d 腿ベルト
28e 骨盤ベルト
29 D環
30 ショックアブソーバ
31 第1命綱
32 第2命綱
33a,b フック
34 幅方向中心線
35 幅方向中心点
36 一方の半分
37 他方の半分
38 第A1分割点
39 第A2分割点(第An分割点)
40 第B1分割点
41 第B2分割点(第Bn分割点)
42 中央作業ライン
43 第A1作業ライン
44 第A2作業ライン(第An作業ライン)
45 第B1作業ライン
46 第B2作業ライン(第Bn作業ライン)
47 中心留め具(中心係止手段)
48 第A1留め具(第A1係止手段)
49 第A2留め具(第An係止手段)
50 第B1留め具(第B1係止手段)
51 第B2留め具(第Bn係止手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14