(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154227
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】逸走防止付きパレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B65D19/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067956
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】鴨川 一道
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA11
3E063AA18
3E063AA40
3E063BA01
3E063BB01
(57)【要約】
【課題】逸走防止枠解除時の吊ワイヤー引掛りリスクを排除してより安全な吊搬作業を実施することに寄与する逸走防止付きパレットを提供する。
【解決手段】逸走防止付きパレット20は、重機1を搭載する積載パレット2と、積載パレット2の全周方向に設けられた逸走防止部と、を備え、積載パレット2に重機1が積載されたか否かを検知する積載パレット2の上に搭載される重機1の重量を測定する重量センサ11と、積載パレット2が吊上げられたか否かを検知する積載パレット2の加速度を測定することで吊上げを感知する加速度センサ12と、を更に備え、重量センサ11により重機1が積載されたと検知され、且つ加速度センサ12により積載パレット2が吊上げられたと検知された場合に前面及び側面の逸走防止部が起動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載対象を搭載するパレットと、
前記パレットの全周方向に設けられた逸走防止部と、を備える
逸走防止付きパレット。
【請求項2】
請求項1に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記パレットは、鉛直方向上面から見たときに四角形状であるときに、
前記パレットの4辺のうち、前面及び側面の前記逸走防止部が前記パレットの吊上げと連動して起動する
逸走防止付きパレット。
【請求項3】
請求項2に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記パレットに前記積載対象が積載されたか否かを検知する第1センサと、
前記パレットが吊上げられたか否かを検知する第2センサと、を更に備え、
前記第1センサにより前記積載対象が積載されたと検知され、且つ前記第2センサにより前記パレットが吊上げられたと検知された場合に前記前面及び前記側面の前記逸走防止部が起動する
逸走防止付きパレット。
【請求項4】
請求項3に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記第2センサとして、前記パレットの加速度を測定することで吊上げを感知する加速度センサを更に備える
逸走防止付きパレット。
【請求項5】
請求項3に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記第1センサとして、前記パレットの上に搭載される前記積載対象の重量を測定する重量センサを更に備える
逸走防止付きパレット。
【請求項6】
請求項2に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記逸走防止部のうち前面の前記逸走防止部は、その先端が前記パレットとの接続部側を中心軸として鉛直方向上方に回転可能なスロープである
逸走防止付きパレット。
【請求項7】
請求項2に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記逸走防止部のうち側面部の前記逸走防止部は、枠及び支柱からなる
逸走防止付きパレット。
【請求項8】
請求項2に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記逸走防止部のうち後面の前記逸走防止部は、常に前記パレットの平面から突出している
逸走防止付きパレット。
【請求項9】
請求項2に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記逸走防止部と干渉しない位置に設けられ、前記パレットを吊上げる際に吊具と連結させる吊ピースを更に備える
逸走防止付きパレット。
【請求項10】
請求項2乃至9のいずれか1項に記載の逸走防止付きパレットにおいて、
前記パレットが着座状態にあるか否かを検出する着座リミットスイッチを更に備え、
前記着座リミットスイッチが前記パレットの着座を検出した時は、前記前面及び前記側面の前記逸走防止部が解除される
逸走防止付きパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逸走防止付きパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「自動搬送装置は、パレットと無人搬送車との間に設けられ、パレットを無人搬送車上で揺動自在に支持する支持部材と、パレットに設けた開閉扉を閉状態に保持する閉保持手段と、パレットの無人搬送車上での揺動を規制する揺動ロック手段と、無人搬送車がパレット内の部品が搬出されるシュータに接触した際に、揺動ロック手段及び閉保持手段を解除する解除手段とを備えた」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パレット搬送時に、パレットに乗せた自動車が逸走することを防止する装置が特許文献1に記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された構成では、積載された自動車を同一平面内で搬送することが前提であり、吊上げや吊下げには不適である。
【0006】
例えば、福島第1原子力発電所の廃炉作業等の現場では、クローラタイプの重機を地面から作業現場まで吊上げる必要がある。
【0007】
クレーンによる重機吊上げ吊下しなどの吊搬作業時においては、安全面からも重機にも同様の逸走防止対策が必要である。
【0008】
本発明の目的は、安全な吊搬作業を実施することに寄与する逸走防止付きパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、積載対象を搭載するパレットと、前記パレットの全周方向に設けられた逸走防止部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安全な吊搬作業を実施することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の逸走防止付きパレットの平面図である。
【
図2】実施例1の逸走防止付きパレットの側面図である。
【
図3】実施例1の逸走防止付きパレットによる重機の吊上げ状態を示す側面図である。
【
図4】実施例1の逸走防止付きパレットでのセンサ駆動フローである。
【
図5】実施例2の逸走防止付きパレットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の逸走防止付きパレットの実施例を、図面を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0013】
<実施例1>
本発明の逸走防止付きパレットの実施例1について
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は実施例1の逸走防止付きパレットの平面図、
図2はその側面図、
図3は重機の吊上げ状態を示す側面図、
図4はセンサ駆動フローである。
【0014】
最初に、逸走防止付きパレットの全体構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明における逸走防止付きパレットの平面図である。
【0015】
図1に示す逸走防止付きパレット20は、積載パレット2、スロープ3、ストッパ4、逸走防止枠5、支柱6、吊ピース7、重量センサ11、加速度センサ12、制御ユニット13、電動シリンダ14、バッテリ15等を備えている。
【0016】
積載パレット2は、重機1を鉛直方向上方あるいは下方に移動させる際に搭載するための領域であり、重機1の荷重を支えている。この積載パレット2は、鉛直方向上面から見たときに四角形状である。
【0017】
本実施例の逸走防止付きパレット20は、その積載パレット2の全周方向に逸走防止部が設けられている。
【0018】
本実施例では、前面の逸走防止部はその先端が積載パレット2との接続部側を中心軸として鉛直方向上方に回転可能なスロープ3で構成され、側面部の逸走防止部は逸走防止枠5及び支柱6で構成され、後面の逸走防止部は常に積載パレット2の平面から突出しているストッパ4で構成される。
【0019】
この積載パレット2の4辺の逸走防止部のうち、前面及び側面の逸走防止部は、積載パレット2の吊上げと連動して起動するものとする。
【0020】
なお、逸走防止部における「前面」は重機1を積載パレット2に搭載する際に重機1がアクセスする面、「後面」は「前面」に相対する面、「側面」は「前面」及び「側面」に接する2つの面とする。
【0021】
スロープ3は、重機1を積載パレット2に進入または退出させる際の地面との段差を解消し、円滑な乗入れを可能とする部分であり、逸走防止付きパレット20の吊上げ時に立ち上がり、前方ストッパとしての役割も果たす部分である。
【0022】
ストッパ4は、重機1を積載パレット2に積載する際の後方移動を制限し、吊上げ移動時の後方への逸走を防止する部分である。
【0023】
側面の逸走防止枠5及びその柱となる支柱6は、吊上げ時に各々の側面当たり3本の支柱6が立上ることで逸走防止枠5も起動し、側面側への逸走防止を図る。
【0024】
電動シリンダ14は、前面のスロープ3と支柱6を起伏させるシリンダである。
【0025】
積載パレット2の上面は、スロープ3、ストッパ4、逸走防止枠5及び支柱6も含めて平面であることがメンテナンス等の観点から望ましいが、逸走防止枠5以外の部分を厚くする必要があるなどの対策をとることが望まれることになるため、ストッパ4及び逸走防止枠5の部分は凸となることは許容することが望ましい。
【0026】
吊ピース7は、スロープ3、ストッパ4、逸走防止枠5及び支柱6と干渉しない位置に設けられており、積載パレット2を吊上げる際に吊具10(
図2等を参照)と連結させる部分であり、四角形状の積載パレット2の4辺のそれぞれの角の部分に設けられている。
【0027】
重量センサ11は、積載パレット2に組み込まれており、積載パレット2に重機1が積載されたか否かを検知するセンサである。具体的には、重機1のクローラーがその上に載ると、積載パレット2の上に搭載される重機1の重量を測定する。なお、重量センサ11は、重機1の重量を測定する構成である必要は無く、積載パレット2の上に重機1が搭載されているか否かを検知する構成であってもよい。重量センサ11は一般的な構成でよく、様々な公知の重量を検知可能なセンサを使用可能である。
【0028】
加速度センサ12は、後面のストッパ4の内に組み込まれており、積載パレット2の加速度を測定することで積載パレット2が吊上げられたか否かを検知するセンサである。加速度センサ12もスマートフォンなどでも使用されているような一般的な構成のセンサを採用可能であり、様々な公知の加速度を検知可能なセンサを使用可能である。
【0029】
制御ユニット13は、重量センサ11及び加速度センサ12の状態を認識して同期化させる部分であり、本実施例では重量センサ11により重機1が積載されたと検知され、且つ加速度センサ12により積載パレット2が吊上げられたと検知された場合に前面及び側面のスロープ3、逸走防止枠5及び支柱6を起動させる。そのために、少なくとも重量センサ11、加速度センサ12及び伝導シリンダ14と優先あるいは無線により電気的に接続されている。
【0030】
この制御ユニット13は、CPUやメモリ、インターフェース等を備えたコンピュータやFPGA(Field-Programmable Gate Array)にプログラムを読み込ませて計算を実行させることで実現できる。これらのプログラムは各構成内の内部記録媒体や外部記録媒体(図示省略)に格納されており、CPUによって読み出され、実行される。
【0031】
なお、動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバや内部記憶媒体や外部記録媒体から各装置にインストールされてもよい。
【0032】
また、各々は独立している必要はなく、2つ以上を一体化,共通化して、処理のみを分担してもよい。また、少なくとも一部の構成が有線もしくは無線のネットワークを介して接続されているものとすることができる。
【0033】
バッテリ15は、上述の重量センサ11、加速度センサ12、制御ユニット13、電動シリンダ14の電源である。
【0034】
バッテリ15や、重量センサ11、加速度センサ12、制御ユニット13、支柱6、吊ピース7、電動シリンダ14の数や配置は
図1の態様に限定されず、いずれか1つ以上の構成を1個以上搭載することができる。
【0035】
図2は、逸走防止付きパレット20の吊上げ前や吊下し後において逸走防止部が解除された通常状態を示す。
【0036】
吊上げ前の準備として、吊上げに使用するクレーンを配置したうえで、クレーンフック9と専用天秤8の間及び専用天秤8と吊ピース7の間を、シャックルと吊ワイヤーやスリングもしくは吊チェーンなどの吊具10で連結させて逸走防止付きパレット20を吊上げる。
【0037】
図2に示すように、逸走防止付きパレット20を吊上げしていない状態では、スロープ3と逸走防止枠5と支柱6は伏せた状態であり、重機1が自走してスロープ3を介し、積載パレット2への進入または退出が可能な状態である。
【0038】
同様に、逸走防止付きパレット20を移動先で吊下した際には、逸走防止付きパレット20が着座を感知すると、自動で逸走防止枠5とスロープ3が伏せ状態となり、スロープ3を介して重機1を積載パレット2からの退出または進入が可能な状態となる。
【0039】
このように、逸走防止付きパレット20を吊上げしていない状態では、スロープ3や逸走防止枠5、支柱6は立ち上がらない仕様であることが望ましい。
【0040】
図3は、逸走防止付きパレット20の吊上げ状態すなわちクレーンの巻上操作で吊荷を地面から離す地切り状態を示す図である。
【0041】
図3に示すように、クレーンにて逸走防止付きパレット20を吊上げて地切りさせると、逸走防止付きパレット20に搭載した重量センサ11と加速度センサ12とが吊上げ状態であることを感知する。
【0042】
制御ユニット13は、2つの吊上げ感知条件が揃った時点で、側面の逸走防止枠5と支柱6、前方のスロープ3が自動で立ち上がり、後方のストッパ4と併せて、重機1の周囲に逸走防止部が形成される。
【0043】
また、移動先で逸走防止付きパレット20を吊下して逸走防止付きパレット20を着座させると、加速度センサ12の感知が解除される。このため、制御ユニット13は、2つの吊上げ条件を満たさない為、自動で逸走防止枠5とスロープ3を伏せ状態とする。これにより、スロープ3を介して重機1を積載パレット2からの退出または進入が可能な状態となる。
【0044】
次いで、
図4を用いて逸走防止付きパレット20による吊上げ作業時の重量センサ11と加速度センサ12を用いた逸走防止枠5とスロープ3の動作の流れについて説明する。
【0045】
まず、搭載作業が開始される(S101)と、重機1が積載パレット2へ乗り入れられる(S102)。
【0046】
この際、制御ユニット13は、重量センサ11が重機1を検知したか否かを判定する(S103)。検知したと判定されたときは処理をS104に進め、検知してないと判定されたときは処理をS102に戻し、搭載が完了するまで待機する。
【0047】
その後、積載パレット2の吊上げを実行する(S104)。この際、制御ユニット13は、加速度センサ12が吊上げを検知したか否かを判定する(S105)。検知したと判定されたときは処理をS106に進め、逸走防止枠5及び支柱6とスロープ3とを起伏させて、逸走防止対策を完了させる(S106)ことで、安全な吊上げ作業を実現させる。
【0048】
これに対し、検知してないと判定されたときは処理をS104に戻し、吊上げが開始されるまで待機する。
【0049】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0050】
上述した本発明の実施例1の逸走防止付きパレット20は、重機1を搭載する積載パレット2と、積載パレット2の全周方向に設けられた逸走防止部と、を備える。
【0051】
これによって、クローラタイプの重機1を高所に持ち上げる等の特殊な環境であっても安全に吊搬作業を実施することができる。
【0052】
ここで、従来の逸走防止付きパレットは、逸走防止枠と吊ワイヤーが連結されており、重機をパレットに乗入れ後、吊ワイヤーを巻き上げることで、吊ワイヤーと連結された逸走防止枠が立ち上がっているものがあった。このような構造では、逸走防止解除には、移動先で逸走防止枠が完全に倒れるまで吊ワイヤーを弛ませる必要があるため、吊ワイヤーが逸走防止枠へ引掛りやすくなる問題があった。
【0053】
これに対し、積載パレット2は、鉛直方向上面から見たときに四角形状であるときに、積載パレット2の4辺のうち、前面及び側面の逸走防止部が積載パレット2の吊上げと連動して起動することにより、クレーンによる重機1の吊上げや吊下しなどの吊搬作業時において、逸走防止部の起伏を自動化させることができ、逸走防止枠解除時の吊ワイヤー引掛りリスクを排除した安全な吊搬作業を実現することができる。
【0054】
更に、積載パレット2に重機1が積載されたか否かを検知する第1センサと、積載パレット2が吊上げられたか否かを検知する第2センサと、を更に備え、第1センサにより重機1が積載されたと検知され、且つ第2センサにより積載パレット2が吊上げられたと検知された場合に前面及び側面の逸走防止部が起動することで、吊上げ状態となった状態で確実に逸走防止部を自動で起伏させることができ、さらに安全な吊搬作業を実現することができる。
【0055】
また、第2センサとして、積載パレット2の加速度を測定することで吊上げを感知する加速度センサ12を更に備えることや第1センサとして、積載パレット2の上に搭載される重機1の重量を測定する重量センサ11を更に備えることにより、簡易な構成で吊上げ状態であるかを判定できるようになる。
【0056】
更に、逸走防止部のうち前面の逸走防止部は、その先端が積載パレット2との接続部側を中心軸として鉛直方向上方に回転可能なスロープ3であることで、積載対象の搭載が非常に容易となり、吊搬作業に要する時間を短くすることができる。
【0057】
また、逸走防止部のうち側面部の逸走防止部は、逸走防止枠5及び支柱6からなることにより、側面側出の逸走を簡易な構成で防ぐことができる。
【0058】
更に、逸走防止部のうち後面の逸走防止部は、常に積載パレット2の平面から突出していることで、積載パレット2に積載対象を搭載する際に積載パレット2を乗り過ごすことを防ぐことができ、より安全な作業を実現することができる。
【0059】
また、逸走防止部と干渉しない位置に設けられ、積載パレット2を吊上げる際に吊具10と連結させる吊ピース7を更に備えることにより、逸走防止部が起動する場合にも逸走防止部と干渉することが無いため、安全な作業を実現することができる。
【0060】
<実施例2>
本発明の実施例2の逸走防止付きパレットについて
図5を用いて説明する。
図5は実施例2の逸走防止付きパレットの平面図である。
【0061】
図5に示す本実施例の逸走防止付きパレット20Aは、
図1に示す逸走防止付きパレット20に加えて、積載パレット2が着座状態であるか否かを検出する着座リミットスイッチ16を更に備えている点が異なる。
【0062】
着座リミットスイッチ16は、逸走防止付きパレット20の下面に組み込まれたリミットスイッチなどで構成され、積載パレット2が着座状態であるか否かを検出することで逸走防止付きパレット20の地切り有無を物理的に判別することで、上記で示した重量センサ11と加速度センサ12による吊上げ状態感知を補完する。
【0063】
制御ユニット13Aは、逸走防止付きパレット20が着座状態であれば、着座リミットスイッチ16が押し込まれた状態であり、逸走防止が起動するひつようがないことから、着座リミットスイッチ16が積載パレット2の着座を検出した時は、前面及び側面の逸走防止部を解除する。
【0064】
その他の構成・動作は前述した実施例1の逸走防止付きパレットと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0065】
本発明の実施例2の逸走防止付きパレットにおいても、前述した実施例1の逸走防止付きパレットとほぼ同様な効果が得られる。
【0066】
また、積載パレット2が着座状態であるか否かを検出する着座リミットスイッチ16を更に備え、着座リミットスイッチ16が積載パレット2の着座を検出した時は、前面及び側面の逸走防止部が解除されることにより、不要なタイミングで逸走防止部が機能していることを確実に抑制でき、積み込みや積み下ろし作業をより容易に実行できるようになる。
【0067】
なお、吊上げ状態であるか否かの認識は、加速度センサ12の替わりに着座リミットスイッチ16でも可能ではあるが、着座リミットスイッチ16では単純に持ち上がっているか否かしかわからないことから、加速度センサ12を用いることが望ましい。
【0068】
<実施例3>
本発明の実施例3の逸走防止付きパレットについて説明する。
【0069】
本実施例の逸走防止付きパレットは、更に安全な機能として、キャリブレーション吊上げ機能を備えている。
【0070】
より具体的には、制御ユニットでは、逸走防止付きパレット20を数センチ吊上げてセンシングする、いわゆる
図3に示すように地面・床面から数センチ以上吊上げたまま一旦停止して、水平とみなせる状態であるか否かを確認する地切り状態であることを確認出来た際に、逸走防止部を起動させるものである。
【0071】
その他の構成・動作は前述した実施例1の逸走防止付きパレットと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0072】
本発明の実施例3の逸走防止付きパレットにおいても、前述した実施例1の逸走防止付きパレットとほぼ同様な効果が得られる。
【0073】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0074】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0075】
例えば、積載対象がクローラタイプの重機である場合について説明したが、積載対象はクローラタイプの重機に限定されず、ホイールタイプの重機や各種の車両、更には様々な積み荷など、様々な物体を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1…重機(積載対象)
2…積載パレット
3…スロープ(逸走防止部)
4…ストッパ(逸走防止部)
5…逸走防止枠(逸走防止部)
6…支柱(逸走防止部)
7…吊ピース
8…専用天秤
9…クレーンフック
10…吊具
11…重量センサ(第1センサ)
12…加速度センサ(第2センサ)
13,13A…制御ユニット
14…電動シリンダ
15…バッテリ
16…着座リミットスイッチ
20,20A…パレット