(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154233
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】制御方法、プログラム及び移動体
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241023BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067963
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】知識 陽平
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333FA01
3F333FA02
3F333FA05
3F333FA08
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD17
5H301KK02
5H301KK03
(57)【要約】
【課題】他の搬送対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達する。
【解決手段】制御方法は、自動で移動する移動体の制御方法であって、対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の単位領域に対応する位置を、移動体の目的位置に設定するステップと、目的位置以外の単位領域内に配置される対象物である他対象物の情報を取得するステップと、他対象物に干渉せずに配置領域内を通って目的位置に向かう、移動体の経路を設定するステップと、経路に従って前記移動体を移動させるステップと、を含み、他対象物の情報に基づき、配置領域内における移動体の移動速度と、経路のうちの配置領域内を通る区間との、少なくとも一方を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動で移動する移動体の制御方法であって、
対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の前記単位領域に対応する位置を、前記移動体の目的位置に設定するステップと、
前記目的位置以外の前記単位領域内に配置される前記対象物である他対象物の情報を取得するステップと、
前記他対象物に干渉せずに前記配置領域内を通って前記目的位置に向かう、前記移動体の経路を設定するステップと、
前記経路に従って前記移動体を移動させるステップと、
を含み、
前記他対象物の情報に基づき、前記配置領域内における前記移動体の移動速度と、前記経路のうちの前記配置領域内を通る区間との、少なくとも一方を設定する、
制御方法。
【請求項2】
前記経路を設定するステップにおいては、前記配置領域内において前記第1方向に向けて前記目的位置に到達するアプローチ区間を含むように、前記経路を設定する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記移動体を移動させるステップにおいては、前記経路のうちで前記配置領域内を通るアプローチ区間のうちの、前記移動体が前記目的位置よりも前に通る中間位置までの第1アプローチ区間での前記移動速度を、前記中間位置から前記目的位置までの第2アプローチ区間での前記移動速度よりも、高くする、請求項1又は請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記移動体を移動させるステップにおいては、前記第1アプローチ区間に対して前記第1方向に交差する第2方向側に位置する前記単位領域における、前記他対象物の情報に基づいて、前記第1アプローチ区間での前記移動速度を設定する、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記移動体を移動させるステップにおいては、前記経路のうちの、前記配置領域外を通る領域外区間での前記移動速度を、前記配置領域内を通るアプローチ区間での前記移動速度よりも、高くする、請求項1又は請求項2に記載の制御方法。
【請求項6】
前記経路を設定するステップにおいては、前記第1方向に交差する第2方向から前記配置領域内に進入し、前記他対象物が配置されていない前記単位領域を経由して、前記目的位置に到達するアプローチ区間を含むように、前記経路を設定する、請求項1又は請求項2に記載の制御方法。
【請求項7】
前記経路を設定するステップにおいては、
前記第2方向から前記配置領域内に進入し、前記他対象物が配置されていない前記単位領域を経由して、前記目的位置に対して前記第1方向と反対方向側の前記単位領域と重なる直前位置に到達する第1アプローチ区間と、
前記直前位置から前記第1方向に向けて前記目的位置に到達する第2アプローチ区間と、
を含むように、前記アプローチ区間を設定する、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記経路を設定するステップにおいては、前記他対象物と干渉せず、かつ、前記アプローチ区間が最短となるように、前記アプローチ区間を設定する、請求項6に記載の制御方法。
【請求項9】
前記経路を設定するステップにおいては、
前記配置領域内における前記移動体の移動速度の情報と、前記配置領域外における前記移動体の移動速度の情報とを取得し、
前記配置領域内における前記移動速度と、前記配置領域外における前記移動速度とに基づき、目的位置までの予測到達時間が最短となるように、前記配置領域外を通る領域外区間領域外区間及び前記アプローチ区間を設定する、請求項6に記載の制御方法。
【請求項10】
前記移動体を移動させるステップにおいては、
搬送対象となる対象物の位置及び姿勢を検出し、
前記対象物の位置及び姿勢に基づき、前記対象物をピックアップするために経路を更新する必要があるかを判断し、
前記経路を更新する必要があるかの判断結果に基づき、以降の制御内容を設定する、請求項1又は請求項2に記載の制御方法。
【請求項11】
自動で移動する移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の前記単位領域に対応する位置を、前記移動体の目的位置に設定するステップと、
前記目的位置以外の前記単位領域内に配置される前記対象物である他対象物の情報を取得するステップと、
前記他対象物に干渉せずに前記配置領域内を通って前記目的位置に向かう、前記移動体の経路を設定するステップと、
前記経路に従って前記移動体を移動させるステップと、
を含み、
前記他対象物の情報に基づき、前記配置領域内における前記移動体の移動速度と、前記経路のうちの前記配置領域内を通る区間との、少なくとも一方を設定する、
プログラム。
【請求項12】
自動で移動する移動体であって、
前記移動体の経路を取得する経路取得部と、
前記経路に従って前記移動体を移動させる移動制御部と、
を含み、
前記経路は、対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の前記単位領域に対応する位置が、前記移動体の目的位置に設定され、前記目的位置以外の前記単位領域内に配置される前記対象物である他対象物の情報が取得されることで、前記他対象物に干渉せずに前記配置領域内を通って前記目的位置に向かうように、設定され、
前記配置領域内における前記移動体の移動速度と、前記経路のうちの前記配置領域内を通る区間との、少なくとも一方は、前記他対象物の情報に基づき設定される、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法、プログラム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動で移動して荷物を搬送する移動体が知られている。例えば特許文献1には、走行領域に作業者がいる場合には低速走行し、走行領域に作業者がいる場合には高速走行する自動搬送車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、移動体は、他の搬送対象物が置かれている可能性がある領域を移動しつつ目的位置に向かう場合がある。そのため、このような場合において、他の搬送対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが求められている。
【0005】
本開示は、他の搬送対象物が置かれている可能性がある領域を移動しつつ目的位置に向かう際に、他の搬送対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達可能な制御方法、プログラム及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御方法は、自動で移動する移動体の制御方法であって、対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の前記単位領域に対応する位置を、前記移動体の目的位置に設定するステップと、前記目的位置以外の前記単位領域内に配置される前記対象物である他対象物の情報を取得するステップと、前記他対象物に干渉せずに前記配置領域内を通って前記目的位置に向かう、前記移動体の経路を設定するステップと、前記経路に従って前記移動体を移動させるステップと、を含み、前記他対象物の情報に基づき、前記配置領域内における前記移動体の移動速度と、前記経路のうちの前記配置領域内を通る区間との、少なくとも一方を設定する。
【0007】
本開示に係るプログラムは、自動で移動する移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の前記単位領域に対応する位置を、前記移動体の目的位置に設定するステップと、前記目的位置以外の前記単位領域内に配置される前記対象物である他対象物の情報を取得するステップと、前記他対象物に干渉せずに前記配置領域内を通って前記目的位置に向かう、前記移動体の経路を設定するステップと、前記経路に従って前記移動体を移動させるステップと、を含み、前記他対象物の情報に基づき、前記配置領域内における前記移動体の移動速度と、前記経路のうちの前記配置領域内を通る区間との、少なくとも一方を設定する。
【0008】
本開示に係る移動体は、自動で移動する移動体であって、前記移動体の経路を取得する経路取得部と、前記経路に従って前記移動体を移動させる移動制御部と、を含み、前記経路は、対象物が配置される可能性がある単位領域が第1方向に並んだ配置領域内における、所定の前記単位領域に対応する位置が、前記移動体の目的位置に設定され、前記目的位置以外の前記単位領域内に配置される前記対象物である他対象物の情報が取得されることで、前記他対象物に干渉せずに前記配置領域内を通って前記目的位置に向かうように、設定され、前記配置領域内における前記移動体の移動速度と、前記経路のうちの前記配置領域内を通る区間との、少なくとも一方は、前記他対象物の情報に基づき設定される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、他の搬送対象物が置かれている可能性がある領域を移動しつつ目的位置に向かう際に、他の搬送対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
【
図3】
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
【
図6】
図6は、第1経路の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第2経路の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、移動制御システムの処理フローを説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1経路の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態における移動体の制御の例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る移動制御システムの処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(移動制御システム)
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と管理装置12と情報処理装置14とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備であるが、移動体10を運用する任意の設備であってよい。移動制御システム1においては、移動体10は、設備Wの領域AR内に配置された内に配置された対象物Pをピックアップして搬送する。領域ARは、対象物Pが設置されたり移動体10が移動したりする領域であり、例えば設備Wの床面である。移動体10が搬送する対象物Pは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。ただし、対象物Pは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。また、移動体10は、対象物Pを搬送するものにも限られず、設備W内を任意の目的で移動する装置であってよい。
【0013】
以降において、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、Y方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向、Y方向は、水平面に沿った方向といってもよい。また、X方向、Y方向に直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向を、Z方向とする。また、本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、移動体10などの「姿勢(向き)」とは、特に断りのない限り、領域ARの座標系における移動体10などの向きであり、Z方向から見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)を指す。
【0014】
(配置領域)
図1に示すように、領域AR内には、配置領域AR2が設定されている。配置領域AR2とは、対象物Pが設置される可能性がある単位領域Aが、領域ARに沿った第1方向(本例ではX方向)に並んだ領域である。配置領域AR2は、移動体10が移動可能な領域であり、言い換えれば、移動体10は、配置領域AR2の内の対象物Pが配置されていない領域を移動可能である。本実施形態では、配置領域AR2は、設備Wの床面に設定されており、例えば、床面に設定された対象物Pの仮置き場である。すなわち例えば、設備Wに対象物Pを搬送してきた搬送車両に積まれた対象物Pは、設置領域AR2内に仮置きされ、設置領域AR2内の対象物Pは、設備W内の別の場所(例えば棚などの置き場)に搬送される。ただし、設置領域AR2の用途は仮置き場であることに限られない。設置領域AR2は、対象物Pが設置される任意の用途の領域であってよい。
【0015】
単位領域Aとは、対象物Pの設置用に設定された領域である。単位領域Aの形状、及び大きさは、予め設定されている。
図1の例では単位領域Aは矩形であるが、形状及び大きさは任意であってよい。また、単位領域Aは、対象物P毎に区画されており、単位領域Aにはそれぞれ対象物Pが1つ配置される。それぞれの単位領域Aには、設備Wの状況に応じて、対象物Pが配置されている場合もあるし、配置されていない場合もある。
【0016】
本実施形態では、設置領域AR2は、単位領域Aが第1方向(本例ではX方向)に並んだ領域である設置ラインALが、第1方向に交差する第2方向(本例ではY方向)に並んだ領域である。言い換えれば、設置領域AR2は、単位領域AがX方向及びY方向にマトリクス状に並んだ領域である。設置領域AR2の外周や、設置領域AR2内で隣り合う単位領域A同士の間には、移動体10の進入を防止する壁が設けられていない。そのため、移動体10は、設置領域AR2外から設置領域AR2内に進入可能であり、設置領域AR2内において、単位領域A間を移動可能である。本実施形態では、Y方向に隣り合う設置ラインAL同士の間に、設置ラインALの境界を視認可能な線(例えば白線)が、X方向に延在して設けられている。また、X方向に隣り合う単位領域A同士の間にも、単位領域Aの境界を視認可能な線(例えば白線)が設けられていてもよい。ただし、これらの線は必須ではない。また、
図1の例では、設置ラインALとして、Y方向に並ぶ設置ラインAL1、AL2、AL3、AL4、AL5の5つが設けられているが、設置ラインALの数はそれに限られず、任意の複数であってよいし、1つであってもよい。また、
図1の例では、設置ラインAL内に単位領域AがX方向に5つ設けられている。すなわち、設置ラインAL1には、X方向に向けて並ぶ単位領域A
11~A
15が設けられ、設置ラインAL2には、X方向に向けて並ぶ単位領域A
21~A
25が設けられ、設置ラインAL3には、X方向に向けて並ぶ単位領域A
31~A
35が設けられ、設置ラインAL4には、X方向に向けて並ぶ単位領域A
41~A
45が設けられ、設置ラインAL5には、X方向に向けて並ぶ単位領域A
51~A
55が設けられる。ただし、設置ラインAL内における単位領域Aの数は、それに限られず任意の複数であってよい。また、設置ラインALに設けられる単位領域Aの数は、設置ラインAL毎に同じであるが、それに限られず、設置ラインAL毎に異なってもよい。
【0017】
移動制御システム1は、設置領域AR2の単位領域Aに対象物Pを配置する際には、対象物Pの前面Paを、X方向と反対方向に向けて配置するように、移動体10などによる単位領域Aへの荷下ろしを制御する。すなわち、対象物Pが配置されている単位領域A内では、対象物Pの前面Paは、X方向と反対方向を向いている。ただし、全ての対象物Pの前面PaがX方向と反対方向を向いていることに限られず、例えば、少なくとも一部の対象物Pは、前面Paが、X方向と反対方向とずれた方向を向いていてよい。なお、対象物Pの前面Paとは、移動体10がアプローチしてくる側の面を指す。本実施形態では、対象物Pの前面Paに、移動体10の後述するフォーク24が挿入される開口Pbが形成されている。
【0018】
なお、設置領域AR2の数は任意であってよく、設備W内に1つ設定されていてもよいし、複数設定されていてもよい。また、設備W内の設置領域AR2以外の領域にも、対象物Pが配置される領域が設けられていてもよい。以降においては、領域ARのうちの設置領域AR2以外の領域を、通常領域AR1と記載する。
【0019】
(ウェイポイント)
領域ARには、位置(座標)毎にウェイポイントWPが設定されている。後述する移動体10の第1経路R1は、ウェイポイントWPを繋ぐように設定される。すなわち、移動体10が通過を予定するウェイポイントWPを接続する経路が、移動体10の第1経路R1となる。ウェイポイントWPは、設置領域AR2の位置や通路などの、設備Wのレイアウトに応じて設定される。例えば、ウェイポイントWPは、領域AR内においてマトリクス状に設定されている。また、ウェイポイントWPは、設置領域AR2内において、単位領域A毎に設定されることが好ましい。例えば、それぞれの単位領域Aに対応する位置(座標)に、ウェイポイントWPが設定されている。単位領域Aに対応する位置(ウェイポイントWPが設定される位置)は、適宜設定されてよく、例えば、単位領域Aと重なる任意の位置であってよい。
図1の例では、単位領域Aに対応するウェイポイントWPは、単位領域AのX方向と反対方向側の辺の、Y方向における中央位置に設定されている。
【0020】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能な装置である。本実施形態では、移動体10は、真横に移動できない非ホノロミックなシステムである。本実施形態では、移動体10は、目標物を搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。ただし、移動体10は、目標物を搬送するフォークリフトであることに限られず、自動で移動可能な任意な装置であってよい。
【0021】
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の後方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、後方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、前方向とする。
【0022】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢との少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の後方向における先端と、車体20の前方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。
【0023】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0024】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0025】
(管理装置)
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。管理装置12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理装置12は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理装置12は、コンピュータであり、
図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。
【0026】
通信部30は、制御部34に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0027】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、目的位置設定部40と対象物情報取得部42とを含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、目的位置設定部40と対象物情報取得部42とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、目的位置設定部40と対象物情報取得部42との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、管理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0028】
目的位置設定部40は、移動体10の移動先である目的位置Gを設定する。対象物情報取得部42は、設備Wに置かれている対象物Pの情報である設置対象物情報を取得する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0029】
なお、管理装置12は、目的位置Gの設定と設置対象物情報の取得以外の処理も実行してよい。例えば、管理装置12は、設備Wに設けられる移動体10以外の機構(例えばエレベータや扉など)を制御する情報も設定してよい。
【0030】
(情報処理装置)
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)やRCS(Robot Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、
図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0031】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、目的位置取得部60と、対象物情報取得部62と、第1経路設定部64とを含む。制御部54は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、目的位置取得部60と対象物情報取得部62と第1経路設定部64とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、目的位置取得部60と対象物情報取得部62と第1経路設定部64の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部52が保存する制御部54用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0032】
目的位置取得部60は、目的位置Gの情報を取得し、対象物情報取得部62は、設備Wに置かれている対象物Pの情報である設置対象物情報を取得し、第1経路設定部64は、移動体10の第1経路R1を設定する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0033】
なお、本実施形態では、管理装置12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理装置12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0034】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。
図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、
図5に示すように、通信部70と記憶部72と制御部74とを含む。通信部70は、制御部74に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部70による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部72は、制御部74の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0035】
制御部74は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部74は、第1経路取得部80と、第2経路設定部82と、移動制御部84とを含む。制御部74は、記憶部72からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、第1経路取得部80と第2経路設定部82と移動制御部84とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部74は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、第1経路取得部80と第2経路設定部82と移動制御部84との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部72が保存する制御部74用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0036】
第1経路取得部80は、第1経路R1の情報を取得し、第2経路設定部82は、第1経路R1に基づいて第2経路R2を設定し、移動制御部84は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。これらの具体的な処理内容については後述する。なお、本実施形態ではこのように移動体10が第2経路R2を設定するが、後述のようにそれに限られず、例えば情報処理装置14が第2経路R2を設定して、移動体10に送信してもよい。
【0037】
(移動制御システムの処理)
移動制御システム1の処理内容について、以下で説明する。
【0038】
(目的位置の設定)
管理装置12の目的位置設定部40は、移動体10の移動先である目的位置Gを設定する。本実施形態では、移動体10が設置領域AR2内の単位領域Aに移動することを例にして説明するため、目的位置設定部40は、移動先となる単位領域Aに対応する位置を、目的位置Gに設定する。例えば、目的位置設定部40は、移動先となる単位領域Aに対応するウェイポイントWPGを選択して、目的位置Gとして設定する。目的位置設定部40は、設置領域AR2内の任意の単位領域A(ウェイポイントWP)を目的位置Gとしてよく、例えば、搬送すべき対象物Pと、対象物Pの搬送元及び搬送先とを示す、予め設定されたオーダー情報に基づいて、目的位置Gとする単位領域A(ウェイポイントWP)を設定してよい。
【0039】
管理装置12は、設定した目的位置Gの位置情報を、情報処理装置14に送信する。すなわち、情報処理装置14の目的位置取得部60は、管理装置12の目的位置設定部40が設定した目的位置Gの位置情報を取得するといえる。目的位置Gの位置情報は、目的位置Gの位置を示す任意の情報であってよく、例えば目的位置Gの座標を示す情報でもよいし、目的位置Gに対応するウェイポイントWPGの識別子を示す情報であってよい。
【0040】
(設置対象物情報の取得)
管理装置12の対象物情報取得部42は、設備Wに置かれている対象物Pの情報である設置対象物情報を取得する。設置対象物情報は、設備W内に置かれている対象物Pを示す対象物情報と、その対象物Pが置かれている位置を示す設置情報とを含む。なお、例えば対象物P毎に識別子が付与されており、その識別子を示す情報を対象物情報としてよい。また、設置情報は、設備W内での対象物Pの位置情報といえ、その対象物Pが設置されている座標を示す情報でもよいし、その対象物Pが設置される位置(例えばウェイポイントWP)毎に識別子が付与されており、その識別子を示す情報であってよい。対象物情報取得部42は、設置対象物情報を任意の方法で取得してよい。例えば、移動体10が対象物Pを荷下ろしした際に、その対象物Pの情報と荷下ろしした位置情報とを管理装置12に送信して、対象物情報取得部42は、それらの情報を設置対象物情報として取得してよい。
【0041】
設置対象物情報は、設置領域AR2の各単位領域Aに置かれている対象物Pの対象物情報と、その対象物Pの設置情報とを含む。さらに言えば、設置対象物情報は、設置領域AR2の目的位置G以外の単位領域A内に配置される対象物Pの情報を含む。すなわち、移動体10が目的位置Gに向かっている最中に、目的位置Gに対応する単位領域A以外の単位領域A内に配置されている対象物Pを、他対象物とする。この場合、設置対象物情報は、他対象物の設置情報を含むといえる。すなわち、対象物情報取得部42は、目的位置G以外の単位領域A内に配置されている対象物P(他対象物)の設置情報(他対象物が置かれている単位領域Aの位置情報やその単位領域Aに対応するウェイポイントWPの位置情報)を取得するといえる。
【0042】
管理装置12は、取得した設置対象物情報を、情報処理装置14に送信する。すなわち、情報処理装置14の対象物情報取得部62は、管理装置12から、設置対象物情報を取得するといえる。
【0043】
(第1経路の設定)
図6は、第1経路の一例を示す模式図である。情報処理装置14の第1経路設定部64は、設置対象物情報と目的位置Gの位置情報とに基づき、移動体10の第1経路R1を設定する。ただし第1経路R1の設定主体は情報処理装置14に限られず、移動体10の制御装置28が行ってもよい。この場合、移動体10の制御装置28が、目的位置取得部60、対象物情報取得部62、および第1経路設定部64の処理を実行してよい。
【0044】
第1経路R1は、レイアウトパスと呼んでもよい。本実施形態では、第1経路設定部64は、他対象物の設置情報(目的位置G以外の単位領域A内に配置されている対象物Pの位置情報)と、目的位置Gの位置情報とに基づき、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう経路を、第1経路R1として設定する。本実施形態では、第1経路設定部64は、移動体10の移動元Sから目的位置Gまでの各ウェイポイントWPを繋ぐ経路を第1経路R1として設定する。すなわち、第1経路設定部64は、他対象物と所定距離以上離れつつ、移動元Sから目的位置Gまでを繋ぐ各ウェイポイントWPを選択して、それらの各ウェイポイントWPを繋ぐ経路を、第1経路R1として設定する。移動元Sの位置は任意に設定されてよく、例えば移動体10が移動を開始する位置に最も近いウェイポイントWPを、移動元Sとして設定してもよい。本実施形態の例では、移動元Sは、通常領域AR1内(設置領域AR2外)に位置しているが、移動元Sは設置領域AR2内にあってもよい。つまり、第1経路R1は、設置領域AR2内から、同じ設置領域AR2内の別の場所までの経路であってもよい。
【0045】
第1経路設定部64は、配置領域AR2内において方向Xに向けて目的位置Gに到達するアプローチ区間R1Bを含むように、第1経路R1を設定する。より詳しくは、
図6に示すように、第1経路設定部64は、領域外区間R1Aとアプローチ区間R1Bとを含むように、第1経路R1を設定する。
【0046】
(領域外区間)
領域外区間R1Aは、第1経路R1のうちで、移動元Sからアプローチ区間R1Bの始点まで向かう区間である。本実施形態の例では、移動元Sが配置領域AR2外(すなわち通常領域AR1内)なので、領域外区間R1Aは、移動元Sから、配置領域AR2外を通って配置領域AR2に向かう区間である。本実施形態の例では、領域外区間R1Aは、通常領域AR1内の移動元Sから、通常領域AR1と配置領域AR2との境界位置まで、通常領域AR1内を通る区間(移動元SのウェイポイントWPから境界位置のウェイポイントWPまでの、通常領域AR1内の各ウェイポイントWPを繋ぐ区間)である。ただし、移動元Sが配置領域AR2内である場合、領域外区間R1Aは、配置領域AR2内の移動元Sから、後述のアプローチ区間R1Bの始点まで向かう区間であってよい。
【0047】
さらに言えば、領域外区間R1Aは、区間R1Aaと区間R1Abとを含むことが好ましい。区間R1Aaは、移動元Sから、目的位置Gを含む設置ラインALに対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWPまでの区間である。移動体10は、区間R1Aaにおいて、高速移動が可能であるため、フォーク24が設けられない前方向を進行方向として移動する場合がある。この場合、区間R1Aaは、移動体10が切り返す(進行方向に対する車体の向きを反対にする)ための区間も含むことが好ましい。
図6の例では、区間R1Aaとして、移動元Sに対応するウェイポイントWP0から、目的位置Gを含む設置ラインAL1に対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWP1bを経て、ウェイポイントWP1bに対してウェイポイントWP0と反対側に位置するウェイポイントWP1aまでを繋ぐ経路が設定されている。ウェイポイントWP0からウェイポイントWP1bまでの区間は、移動体10が、フォーク24が設けられない前方向を進行方向として移動するための区間であり、ウェイポイントWP1bからウェイポイントWP1aに戻る区間は、移動体10が切り返して、フォーク24が設けられる後方向を進行方向に切り替えてウェイポイントWP1bに到達するための区間となる。ただし、切り返すための区間を設けることは必須ではない。例えば、移動元Sから目的位置Gまでの距離が短いなどのケースにおいては、移動体10は、フォーク24が設けられない前方向を進行方向とせず、フォーク24が設けられる後方向を進行方向として区間R1Aaを移動する場合がある。このような場合には、切り返すための区間が不要となる。
【0048】
区間R1Abは、目的位置Gを含む設置ラインALに対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWPから、目的位置Gを含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP(通常領域AR1と配置領域AR2との境界位置)までを、X方向に沿って接続する区間である。
図6の例では、区間R1Abとして、目的位置Gを含む設置ラインAL1に対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWP1bから、設置ラインAL1上の最もX方向と反対側のウェイポイントWP1c(単位領域A
11に対応するウェイポイント)までを、X方向に沿って繋ぐ経路が設定されている。
【0049】
このように、領域外区間R1Aは、配置領域AR2外を通る区間であるが、一部の区間において、目的位置Gが設定される配置領域AR2とは異なる配置領域AR2内を通っていてもよい。
【0050】
(アプローチ区間)
アプローチ区間R1Bは、第1経路R1のうちで、X方向に沿って配置領域AR2内を通って目的位置Gに到達する区間である。アプローチ区間R1Bは、配置領域AR2内の対象物Pが配置されていない単位領域Aを通って目的位置Gに到達する区間ともいえる。本実施形態の例では、アプローチ区間R1Bは、領域外区間R1Aに接続される。すなわち、アプローチ区間R1Bは、領域外区間R1Aの終点である通常領域AR1と配置領域AR2との境界位置(目的位置Gを含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP)から、目的位置Gまでを、目的位置Gを含む設置ラインAL内でX方向に繋ぐ区間である。
図6の例では、設置ラインAL1内の単位領域A
11~A
14には対象物P(他対象物)が位置しておらず、目的位置Gは、設置ラインAL1内の単位領域A
15に対応する位置に設定されている。そのため、アプローチ区間R1Bは、単位領域A
11に対応するウェイポイントWP1cから、単位領域A
15に対応するウェイポイントWPGまでを、設置ラインAL1内でX方向に繋ぐ経路となっている。
【0051】
情報処理装置14は、設定した第1経路R1の情報を、移動体10に送信する。すなわち、移動体10の第1経路取得部80は、情報処理装置14により設定された第1経路R1の情報を取得する。第1経路R1の情報とは、第1経路R1の位置を示す任意の情報であってよいが、本実施形態では、第1経路R1に含まれるウェイポイントWPの位置情報であってよい。
【0052】
このように、本実施形態においては、情報処理装置14が第1経路R1を設定するが、第1経路R1の設定主体は、情報処理装置14に限られず任意であってよい。例えば、移動体10の第1経路取得部80が、上記と同様の方法で、第1経路R1を設定してよい。
【0053】
(第2経路の設定)
図7は、第2経路の一例を示す模式図である。移動体10の第2経路設定部82は、第1経路R1に基づき、第2経路R2を設定する。第2経路R2は、走行パスとも呼べる。より詳しくは、第2経路設定部82は、第1経路R1と移動体10の車両仕様の情報とに基づき、第2経路R2を設定する。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。第2経路R2も、第1経路R1と同様に、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう経路である。さらに言えば、第2経路R2は、移動体10による追従が可能であり、かつ、第1経路R1に対して所定距離内を通りつつ目的位置Gまで到達する経路である。
【0054】
本実施形態では、第2経路設定部82は、配置領域AR2内において方向Xに向けて目的位置Gに到達するアプローチ区間R2Bを含むように、第2経路R2を設定する。第2経路設定部82は、第1経路R1の領域外区間R1Aに対応する領域外区間R2Aと、第1経路R1のアプローチ区間R1Bに対応するアプローチ区間R2Bとを含むように、第2経路R2を設定する。
【0055】
領域外区間R2Aは、第2経路R2のうちで、配置領域AR2外(すなわち通常領域AR1内)を通って配置領域AR2に向かう区間である。本実施形態の例では、領域外区間R2Aは、移動元Sから、通常領域AR1と配置領域AR2との境界位置まで、通常領域AR1内を通る区間といえる。
【0056】
さらに言えば、領域外区間R2Aは、第1経路R1の区間R1Aaに対応する区間R2Aaと、第1経路R1の区間R1Abに対応する区間R2Abとを含むことが好ましい。区間R2Aaは、移動元Sから、目的位置Gを含む設置ラインALに対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWPまでの区間である。区間R2Aa(区間R1Aa)において、移動体10が、フォーク24が設けられない前方向を進行方向として移動する場合には、区間R2Aaは、移動体10が切り返すための区間も含むことが好ましい。
図7の例では、区間R2Aaとして、移動元Sに対応するウェイポイントWP0からウェイポイントWP1aまでを繋ぐ経路と、ウェイポイントWP1aから曲線状にウェイポイントWP1dまでを繋ぐ経路とが設定されている。ウェイポイントWP1dは、目的位置Gを含む設置ラインAL1に対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWPである。ただし、区間R2Aa(区間R1Aa)において、移動体10が、フォーク24が設けられる後方向を進行方向として移動する場合には、切り返すための区間の設定は不要となる。
【0057】
区間R2Abは、目的位置Gを含む設置ラインALに対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWPから、目的位置Gを含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP(通常領域AR1と配置領域AR2との境界位置)までを、X方向に沿って接続する区間である。
図7の例では、区間R2Abとして、ウェイポイントWP1dから、単位領域A
11に対応するウェイポイントWP1cまでを、X方向に沿って繋ぐ経路が設定されている。
【0058】
アプローチ区間R2Bは、第2経路R2のうちで、X方向に沿って配置領域AR2内を通って目的位置Gに到達する区間である。アプローチ区間R2Bは、配置領域AR2内の対象物Pが配置されていない単位領域Aを通って目的位置Gに到達する区間ともいえる。本実施形態の例では、アプローチ区間R2Bは、領域外区間R2Aに接続される。すなわち、アプローチ区間R2Bは、領域外区間R2Aの終点である通常領域AR1と配置領域AR2との境界位置(目的位置Gを含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP)から、目的位置Gまでを、目的位置Gを含む設置ラインAL内でX方向に繋ぐ区間である。
図7の例では、アプローチ区間R2Bは、単位領域A
11に対応するウェイポイントWP1cから、単位領域A
15に対応するウェイポイントWPGまでを、設置ラインAL1内でX方向に繋ぐ経路となっている。
【0059】
このように、本実施形態においては、移動体10が第2経路R2を設定するが、第2経路R2の設定主体は、移動体10に限られず任意であってよい。例えば、情報処理装置14が第2経路R2を設定して、移動体10の第2経路設定部82は、情報処理装置14から、第2経路R2の情報を取得してもよい。また、本実施形態においては、第1経路R1に基づき第2経路R2を設定するが、第2経路R2の設定方法はそれに限られず任意であってよい。第2経路R2は、他対象物の設置情報と目的位置Gの位置情報とに基づいた任意の方法で設定されてよい。
【0060】
(移動体の移動)
移動体10の移動制御部84は、第2経路R2に従って、移動体10を移動させる。移動制御部84は、移動体10の位置情報を逐次把握することで、第2経路R2を通るように、移動体10を移動させる。移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、移動制御部84は、検出体の検出に基づき移動体10の位置及び姿勢の情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置及び姿勢を検出する。移動体10の位置及び姿勢の情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。
【0061】
図7の例では、移動体10は、ウェイポイントWP0からウェイポイントWP1aまで、フォーク24が設けられない前方向を進行方向として、区間R2Aaに従って移動する。そして、移動体10は、ウェイポイントWP1aで切り返して、フォーク24が設けられる後方向を進行方向として、区間R2Aabに従って旋回しつつウェイポイントWP1dまで移動して、ウェイポイントWP1dにおける進行方向をX方向に向ける。そして、移動体10は、ウェイポイントWP1dからウェイポイントWP1cまで、区間R2Abに従って移動する。そして、移動体10は、ウェイポイントWP1cから、目的位置GであるウェイポイントWPGまで、アプローチ区間R2Bに従って移動する。
【0062】
本実施形態の例では、目的位置Gに対応する単位領域Aに搬送対象となる対象物Pが配置されている。そのため、移動制御部84は、移動体10が目的位置GであるウェイポイントWPGまで到達したら、フォーク24を制御することで、目的位置Gに設けられた対象物Pの開口Pbにフォーク24を挿入して、対象物Pをピックアップ(荷取り)する。なおこの場合、移動制御部84は、ウェイポイントWPGから、又は、ウェイポイントWPGに到達する前の位置から、センサ26Aによって対象物Pの前面Paの位置及び姿勢を検出させてもよい。そして、移動制御部84は、対象物Pの前面Paの位置及び姿勢に基づいて、対象物Pまでの第3経路を設定して、その第3経路に従って対象物Pにアプローチして、対象物Pをピックアップしてもよい。すなわちこの場合、移動制御部84は、検出した対象物Pの位置及び姿勢に対して、所定の位置及び姿勢(移動体10が対象物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢)となる第3経路を設定して、その第3経路に従って対象物Pにアプローチしてもよい。また例えば、移動制御部84は、対象物Pの位置及び姿勢の検出結果と、移動体10の位置及び姿勢の検出結果とに基づき、フィードバック制御(直接フィードバック制御)を行うことで、移動体10を対象物Pにアプローチさせてもよい。この場合、対象物Pの位置及び姿勢に基づいた第3経路に従ったアプローチ中に、直接フィードバック制御に切り替えてもよい。
【0063】
(移動速度の設定)
本実施形態において、移動制御部84は、上述のように第2経路R2に従った移動を行う際に、配置領域AR2内における移動体10の移動速度を設定する。すなわち、移動制御部84は、第2経路R2のうちの配置領域AR2内を通るアプローチ区間R2Bにおける、移動体10の移動速度を設定する。ここで、アプローチ区間R2Bは、他対象物の設置情報に基づき、他対象物と干渉しないように設定されている。そのため、移動制御部84は、他対象物の設置情報(目的位置G以外の単位領域A内に配置されている対象物Pの位置情報)に基づき、配置領域AR2内における移動体10の移動速度を設定しているといえる。
【0064】
より詳しくは、第2経路R2のアプローチ区間R2B上の、移動体10が目的位置Gよりも前に通る位置を、すなわち、アプローチ区間R2Bの始点(
図7の例ではウェイポイントWP1c)と目的位置G(
図7の例ではウェイポイントWPG)との間の位置を、中間位置とする。また、アプローチ区間R2Bのうちの中間位置までの区間を第1アプローチ区間R2Baとし、アプローチ区間R2Bにおける中間位置から目的位置Gまでの区間を第2アプローチ区間R2Bbとする。この場合、移動制御部84は、第1アプローチ区間R2Baでの移動体10の移動速度を、第2アプローチ区間R2Bbでの移動体10の移動速度よりも、高く設定する。なお、第1アプローチ区間R2Baは、アプローチ区間R2Bの始点(
図7の例ではウェイポイントWP1c)から中間位置までの区間であってよい。
【0065】
中間位置は任意の方法で設定してよい。例えば、目的位置Gから所定距離離れたアプローチ区間R2B上の位置を、中間位置として設定してよい。この場合の所定距離も任意に設定してよいが、例えば、対象物Pの開口Pbにフォーク24を挿入可能となるように、移動体10の向き及びY方向における位置を調整するために必要な、X方向における走行距離を、所定距離として設定してよい。より具体的には、領域外区間R2Aの区間R2Abの始点(
図7の例ではウェイポイントWP1d)から、目的位置G(
図7の例ではウェイポイントWPG)までの距離を距離D
ijとする。また、対象物Pの開口Pbにフォーク24を挿入可能となるように、移動体10の向き及びY方向における位置を調整するために必要な、X方向における走行距離を、距離Lfとする。また、移動体10が旋回によりX方向を向くために必要なX方向における走行距離を、距離Ltとする。なお、
図7も例では、移動体10は、ウェイポイントWP1aから旋回移動してウェイポイントWP1dでX方向を向くため、距離Ltは、ウェイポイントWP1aとウェイポイントWP1dとの間のX方向における距離となる。この場合、移動制御部84は、「距離D
ij≧距離Lf+距離Lt」が成立する場合に、目的位置GからX方向と反対側に距離Lfだけ離れたアプローチ区間R2B上の位置を、中間位置として設定してよい。なお、移動制御部84は、「距離D
ij≧距離Lf+距離Lt」が成立しない場合には、中間位置を設定せず、アプローチ区間R2Bの全区間を第2アプローチ区間R2Bbとして、移動速度を低く設定してよい。
【0066】
また、移動制御部84は、第1アプローチ区間R2Baに対してY方向側及びY方向と反対方向側に位置する単位領域Aにおける、他対象物の情報に基づいて、第1アプローチ区間R2Baでの移動速度を設定してもよい。すなわち例えば、第1アプローチ区間R2Baと重なる単位領域Aに対して、Y方向側又はY方向と反対側で隣接する単位領域Aを隣接単位領域とすると、移動制御部84は、他対象物の設置情報に基づいて、隣接単位領域に対象物Pが位置しているかを判断する。移動制御部84は、隣接単位領域に対象物Pが位置している場合の第1アプローチ区間R2Baでの移動速度を、隣接単位領域に対象物Pが位置していない場合における第1アプローチ区間R2Baでの移動速度よりも、低くする。また例えば、第1アプローチ区間R2Baを、隣接単位領域に対象物Pが位置している区間と隣接単位領域に対象物Pが位置していない区間とに区分して、隣接単位領域に対象物Pが位置している区間の移動速度を、隣接単位領域に対象物Pが位置していない区間の移動速度よりも、低くしてよい。なお、隣接単位領域に対象物Pが位置している場合の移動速度は、例えば、第2アプローチ区間R2Bbでの移動速度と同じに設定してよい。
【0067】
また、移動制御部84は、第1アプローチ区間R2Baに対してY方向の両側に他対象物が位置している場合と、第1アプローチ区間R2Baに対してY方向の片側(Y方向側又はY方向と反対側)にのみ他対象物が位置している場合とで、処理を異ならせてもよい。この場合例えば、Y方向の両側に他対象物が位置している場合には、移動制御部84は、上述のように、隣接単位領域に対象物Pが位置している区間の移動速度を、隣接単位領域に対象物Pが位置していない区間の移動速度よりも、低くする。一方、第1アプローチ区間R2Baに対してY方向の片側にのみ他対象物が位置している場合には、移動制御部84は、第1アプローチ区間R2Baを、Y方向の反対側(他対象物が位置していない側)に平行移動するようにシフトさせて、シフトした第1アプローチ区間R2Baに従って移動体10を移動させてよい。この場合の第1アプローチ区間R2Baの移動速度は、隣接単位領域に対象物Pが位置していない区間の移動速度と同じとしてよい。シフトさせた第1アプローチ区間R2Baに従って移動して、移動体10が目的位置Gの対象物Pに近づいたら、移動制御部84は、センサ26Aによって対象物Pの前面Paの位置及び姿勢を検出させてよい。そして、移動制御部84は、対象物Pの前面Paの位置及び姿勢に基づいて、対象物Pまでの第3経路を設定して、その第3経路に従って対象物Pにアプローチしてよい。
【0068】
また、移動制御部84は、領域外区間R2Aにおける移動速度を、アプローチ区間R2Bにおける移動速度よりも、高くする。より詳しくは、移動制御部84は、領域外区間R2Aのうちで、対象物Pを置くことが許可されていない領域(対象物Pを設置する領域が設定されていない領域)を通る区間における移動速度を、アプローチ区間R2Bにおける移動速度よりも、高くする。
【0069】
本実施形態では、移動制御部84は、第1アプローチ区間R2Baにおける移動速度を、第2アプローチ区間R2Bbでの移動速度よりも高くし、領域外区間R2Aにおける移動速度を、第1アプローチ区間R2Baにおける移動速度よりも更に高くする。ただしそれに限られず、本実施形態では、第1アプローチ区間R2Baにおける移動速度を第2アプローチ区間R2Bbでの移動速度よりも高くすることと、領域外区間R2Aにおける移動速度をアプローチ区間R2Bにおける移動速度よりも高くすることとの、少なくとも一方を行うものであってよい。
【0070】
移動制御部84は、以上のようにして第2経路R2における移動体10の移動速度を設定し、設定した移動速度で、移動体10を第2経路R2に従って移動させる。
【0071】
なお、本実施形態においては、移動体10が第2経路R2での移動体10の移動速度を設定するが、移動速度の設定主体は、移動体10に限られず任意であってよい。例えば、情報処理装置14が移動速度を設定して、移動体10の移動制御部84は、情報処理装置14から、移動速度の情報を取得してもよい。また、本実施形態では、第2経路R2の各区間について移動速度を設定するが、それに限られず、第1経路R1の各区間に対して、上述の説明と同様の方法で、移動速度を設定してよい。この場合、第1経路R1の各区間で設定された移動速度を、それらの第1経路R1の各区間に対応する第2経路R2の各区間の移動速度として、適用する。
【0072】
また、以上の説明では、移動体10は、目的位置Gに対応する単位領域Aに設置された対象物Pをピックアップしていた。ただしそれに限られず、移動体10は、目的位置Gに対応する単位領域Aに対象物Pをドロップ(荷下ろし)してもよい。この場合でも、第1経路R1及び第2経路R2は、以上の説明と同様の方法で設定されてよく、移動速度も以上の説明と同様の方法で設定されてよい。この場合、移動体10は、対象物Pを保持した状態で、第2経路R2に従って目的位置Gまで到達し、目的位置Gに対応する単位領域Aに、対象物Pを荷下ろしする。
【0073】
(処理フロー)
以上説明した移動制御システム1の処理内容のフローを説明する。
図8は、移動制御システムの処理フローを説明するフローチャートである。
図8に示すように、情報処理装置14は、目的位置Gの情報と、他対象物の設置情報とを取得し(ステップS10)、目的位置Gの情報と他対象物の設置情報とに基づき、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう第1経路R1を設定する(ステップS12)。移動体10は、情報処理装置14から第1経路R1の情報を取得して、第1経路R1に基づいて、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう第2経路R2を設定する(ステップS14)。そして、移動体10は、第2経路R2における各区間の移動速度を設定して(ステップS16)、設定した移動速度で、第2経路R2に従って移動する(ステップS18)。なお、この処理フローでは、第2経路R2を設定した後、第2経路R2での移動速度を設定したが、それに限られない。例えば、移動速度が所定の条件を満たすように(例えば移動速度が最大となったり移動時間が最小となったりする、第2経路R2を設定してよい。ここでの所定の条件は、例えば、移動速度が最大となることや、移動時間が最小となることなどが挙げられる。この場合例えば、移動速度が最大となるような第2経路R2を求める最適化計算や、移動時間が最小となるような第2経路R2を求める最適化計算を実行してよい。そして、最適化計算で求められた第2経路R2を、実際に用いる第2経路R2とし、最適化計算において設定された移動速度を、その第2経路R2における移動速度に設定する。
【0074】
(効果)
以上説明したように、本実施形態においては、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう経路を設定し、かつ、他対象物の情報に基づいて、配置領域AR2内における移動体10の移動速度を設定する。これにより、単位領域がX方向に並んだ配置領域AR2内を適切な移動速度で移動することが可能となり、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。より詳しくは、本実施形態では、対象物Pが設置されている可能性がある配置領域AR2でも移動速度よりも、配置領域AR2外(通常領域AR1内)における移動速度を、高くする。これにより、対象物Pが設置されている可能性がある配置領域AR2では精密な動作をさせつつ、対象物Pが設置されない通常領域AR1では高速移動させることができるため、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。また、本実施形態では、中間位置までの第1アプローチ区間R2Baでの移動速度を、中間位置から目的位置Gまでの第2アプローチ区間R2Bbでの移動速度よりも、高くする。そのため、配置領域AR2内ではあるが目的位置Gから離れた第1アプローチ区間R2Baでは高速移動させつつ、目的位置Gに近い第2アプローチ区間R2Bbでは精密な動作をさせることが可能となるため、他対象物との干渉を避けて目的位置Gに高精度でアプローチさせつつ、目的位置Gに早く到達することが可能となる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、他対象物の情報に基づき、配置領域AR2内における移動体10の移動速度を設定するのに対し、第2実施形態では、他対象物の情報に基づき、移動体10の経路のうちの配置領域AR2内を通る区間(アプローチ区間)を設定する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と組み合わせてもよいが、第1実施形態における移動速度の設定処理を行わなくてもよい。言い換えれば、本開示においては、他対象物の情報に基づき、配置領域AR2内における移動体10の移動速度と配置領域AR2内を通る区間との、少なくとも一方を設定するものであればよく、これらの両方を設定してもよい。以降で第2実施形態について説明するが、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0076】
第2実施形態においては、他対象物の情報に基づき、配置領域AR2内を通るアプローチ区間を設定する。以下、具体的に説明する。
【0077】
(第1経路の設定)
図9は、第1経路の一例を示す模式図である。第2実施形態においては、情報処理装置14の第1経路設定部64は、他対象物の位置情報と目的位置Gの位置情報とに基づき、領域外区間R1Aとアプローチ区間R1Bとを含むように、第1経路R1を設定する。
【0078】
(領域外区間)
第2実施形態における領域外区間R1Aは、第1実施形態と同様に、配置領域AR2外(通常領域AR1内)の位置から、配置領域AR2外を通って配置領域AR2に向かう区間である。ここで、目的位置Gに対してX方向の反対側にある配置領域AR2内の位置(ウェイポイントWP)であって、その位置と目的位置Gとの間の単位領域Aに他対象物が配置されていない位置を、直前位置とする。また、直前位置に対してY方向側又はY方向の反対方向側にある通常領域AR1内の位置(ウェイポイントWP)であって、その位置と直前位置との間に他対象物が配置されていない位置を、進入開始位置とする。第2実施形態の領域外区間R1Aは、移動元Sを始点として進入開始位置を終点とする、通常領域AR1内を通る区間(移動元SのウェイポイントWPから進入開始位置のウェイポイントWPまでの、通常領域AR1内の各ウェイポイントWPを繋ぐ区間)となる。
【0079】
図9の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする第1経路R1においては、単位領域A
13と重なるウェイポイントWP2bが直前位置とされ、ウェイポイントWP2bに対してY方向側に位置するウェイポイントWP2aが進入開始位置とされている。そのため、単位領域A
15を目的位置Gとする領域外区間R1Aは、通常領域AR1内において、移動元S(ウェイポイントWP0)とウェイポイントWP2aとを接続する区間となる。同様に、
図9の例では、単位領域A
55を目的位置Gとする第1経路R1においては、単位領域A
53と重なるウェイポイントWP3cが直前位置とされ、ウェイポイントWP3cに対してY方向の反対方向側に位置するウェイポイントWP3aが進入開始位置とされている。そのため、単位領域A
55を目的位置Gとする領域外区間R1Aは、通常領域AR1内において、移動元S(ウェイポイントWP0)とウェイポイントWP3aとを接続する区間となる。
【0080】
第1経路設定部64は、領域外区間R1Aに、移動体10が切り返すための区間も含めてよい。例えば、第1経路設定部64は、他対象物の情報に基づき、直前位置に対して進入開始位置と反対側に隣り合う単位領域A(ウェイポイントWP)に、他対象物が置かれているかを判断し、置かれている場合には、領域外区間R1Aに切り返すための区間を含めてよい。一方で、直前位置に対して進入開始位置と反対側に隣り合う単位領域A(ウェイポイントWP)に他対象物が置かれていない場合には、領域外区間R1Aに切り返すための区間を含めず、例えばアプローチ区間R1Bに切り返すための区間を含めてよい。
図9の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする第1経路R1においては、直前位置であるウェイポイントWP2bのY方向と反対側のウェイポイントWP2cに他対象物が置かれてないため、領域外区間R1Aに切り返すための区間が含まれていない。一方で、単位領域A
55を目的位置Gとする第1経路R1においては、直前位置であるウェイポイントWP3cのY方向と反対側のウェイポイントWPに他対象物が置かれているため、領域外区間R1Aに切り返すための区間が含まれる。具体的には、単位領域A
55を目的位置Gとする領域外区間R1Aでは、ウェイポイントWP0からウェイポイントWP3aを経てウェイポイントWP3bまでの区間は、フォーク24が設けられない前方向を進行方向として移動するための区間とされ、ウェイポイントWP3bからウェイポイントWP3aに戻る区間は、移動体10が切り返すための区間とされる。なお、ウェイポイントWP3bは、ウェイポイントWP3aに対してウェイポイントWP0と反対側に位置する。
【0081】
第2実施形態における領域外区間R1Aは、配置領域AR2外を通る区間であるが、一部の区間において、目的位置Gが設定される配置領域AR2とは異なる配置領域AR2内を通っていてもよい。
【0082】
(アプローチ区間)
第1実施形態におけるアプローチ区間R1Bは、設置領域AR2内を第1方向(X方向)に進行する区間のみで構成されていたが、第2実施形態におけるアプローチ区間R1Bは、設置領域AR2内を第2方向(本例ではY方向やY方向の反対方向)に進行する区間を含む点で、第1実施形態と異なる。具体的には、第2実施形態におけるアプローチ区間R1Bは、第2方向(Y方向又はY方向の反対方向)から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して、目的位置Gに到達する。
【0083】
より詳しくは、第2実施形態におけるアプローチ区間R1Bは、第1アプローチ区間R1Bcと、第2アプローチ区間R1Bdとを含む。第1アプローチ区間R1Bcは、第2方向(Y方向又はY方向の反対方向)から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して直前位置に到達する区間である。より詳しくは、第1アプローチ区間R1Bcは、領域外区間R1Aに接続される区間であり、進入開始位置を始点として直前位置を終点とする区間である。第1アプローチ区間R1Bcは、進入開始位置から直前位置まで、Y方向に沿って延在する。また、領域外区間R1Aに切り返すための区間を含めない場合には、アプローチ区間R1Bに切り返すための区間を含めてよい。
【0084】
図9の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする第1アプローチ区間R1Bcには、切り返すための区間が含まれている。この第1アプローチ区間R1Bcは、進入開始位置であるウェイポイントWP2aから、直前位置であるウェイポイントW2bを経由してウェイポイントW2cまでを接続するY方向に沿った区間と、ウェイポイントW2cからウェイポイントW2bに戻る区間とを含む。ウェイポイントW2cは、ウェイポイントW2bに対してY方向と反対側に隣接するウェイポイントである。ウェイポイントWP2aからウェイポイントW2cまでの区間は、フォーク24が設けられない前方向を進行方向として移動するための区間とされ、ウェイポイントW2cからウェイポイントW2bに戻る区間は、切り返すための区間とされる。また、
図9の例では、単位領域A
55を目的位置Gとする第1アプローチ区間R1Bcには、切り返すための区間が含まれない。この第1アプローチ区間R1Bcは、進入開始位置であるウェイポイントWP3aから直前位置であるウェイポイントWP3cまでを接続するY方向に沿った区間となる。
【0085】
第2アプローチ区間R1Bdは、直前位置からX方向に向けて目的位置Gに到達する区間である。第2アプローチ区間R1Bdは、第1アプローチ区間R1Bcに接続される。すなわち、第2アプローチ区間R1Bdは、直前位置から目的位置Gまでを接続するX方向に沿った区間である。
図9の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする第2アプローチ区間R1Bdは、直前位置であるウェイポイントWP2bと、目的位置Gである単位領域A
15のウェイポイントWPGとを接続する区間となる。同様に
図9の例では、単位領域A
55を目的位置Gとする第2アプローチ区間R1Bdは、直前位置であるウェイポイントWP3cと、目的位置Gである単位領域A
55のウェイポイントWPGとを接続する区間となる。
【0086】
(第1経路の設定の具体例)
以上のように、第2実施形態においては、領域外区間R1Aとアプローチ区間R1Bとを含むように、第1経路R1を設定する。以下、第1経路R1の設定の具体例を説明する。
【0087】
例えば、第1経路設定部64は、他対象物と干渉せず、かつ、アプローチ区間R1Bが最短となるように、第1経路R1を設定してよい。すなわち、上記の説明の条件を満たす領域外区間R1Aとアプローチ区間R1Bを含む第1経路R1の候補が複数設定できる場合には、第1経路設定部64は、それらの第1経路R1の候補のうちから、アプローチ区間R1Bが最短となる第1経路R1の候補を、第1経路R1として選択する。アプローチ区間R1Bを短くすることで、移動速度が低い設置領域AR2内での走行距離を短くして、目的位置Gに早く到達することが可能となる。
【0088】
また例えば、第1経路設定部64は、設置領域AR2内における移動速度の情報と、設置領域AR2外(通常領域AR1内)における移動速度の情報とを取得し、これらの移動速度の情報に基づき、目的位置Gまでの予測到達時間が最短となるように、第1経路R1を設定してよい。第1経路設定部64は、設置領域AR2内及び設置領域AR2内の移動速度の情報を、任意の方法で取得してよいが、例えば予め設定された移動速度の情報を取得してよい。第1経路設定部64は、設置領域AR2外の移動速度に基づき領域外区間R1Aの移動に要する予測時間を算出し、設置領域AR2内の移動速度に基づきアプローチ区間R1Bの移動に要する予測時間を算出することで、それらの予測時間の合計値(予測到達時間)が最小となる領域外区間R1Aと領域外区間R1Aとの組み合わせを、例えば最適化計算などにより導出する。第1経路設定部64は、予測到達時間が最小となる領域外区間R1Aと領域外区間R1Aとを、第1経路R1として設定する。このように予測到達時間が最小となるように第1経路R1を設定することで、目的位置Gに早く到達することが可能となる。
【0089】
また例えば、第1経路設定部64は、設置領域AR2内における目的位置Gの相対位置に応じて、言い換えれば各単位領域Aにおける、目的位置Gの単位領域Aの位置に応じて、第1経路R1を設定してよい。この場合においては、設置領域AR2に対象物Pを荷下ろしする際には、設置ラインALの各単位領域Aに前詰めで対象物Pが荷下ろしされるように、荷下ろしが制御されていることが好ましい。前詰めとは、設置ラインALにおいて、X方向の反対側の単位領域Aから先に対象物Pを荷下ろしすることを指し、言い換えれば、設置ラインALにおいて対象物Pが置かれていない最もX方向の反対側の単位領域Aに、対象物Pを荷下ろしする。またこの場合においては、設置領域AR2から対象物Pを荷積みする際には、設置ラインALのX方向の反対側の単位領域Aから先に対象物Pを荷積みするように、荷積みが制御されていることが好ましい。言い換えれば、設置ラインALにおいて対象物Pが置かれている最もX方向の反対側の単位領域Aから、対象物Pを荷積みする。
【0090】
目的位置Gの単位領域Aの位置に応じた第1経路R1の設定方法の具体例を説明する。第1経路設定部64は、目的位置Gの単位領域A(ウェイポイントWP)の、設置領域AR2内でのX方向における相対位置jと、設置領域AR2内でのY方向における相対位置iとを、取得する。相対位置jは、目的位置Gの単位領域A(ウェイポイントWP)が、設置ラインAL内の各単位領域A(ウェイポイントWP)のうちで、X方向の反対方向から何番目に位置しているかを示す情報である。また、設置領域AR2が移動元Sに対してY方向側に位置している場合、相対位置iとは、目的位置Gの単位領域Aを含む設置ラインALが、各設置ラインALのうちでY方向から何番目に位置しているかを示す情報である。すなわち
図9の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする場合、相対位置iは1であり、相対位置jは5である。
【0091】
第1経路設定部64は、X方向における相対位置jが2以下である場合には、第2実施形態で説明したような、Y方向の反対方向から配置領域AR2内に進入するアプローチ区間R1Bを設定することなく、第1実施形態と同様に、配置領域AR2でX方向にのみ進入するように、アプローチ区間R1B(第1経路R1)を設定する。
【0092】
一方、第1経路設定部64は、X方向における相対位置jが3以上である場合には、第2実施形態で説明したように、Y方向の反対方向から配置領域AR2内に進入するアプローチ区間R1Bを含むように、第1経路を設定する。より詳しくは、第1経路設定部64は、設置ラインALの全数を2で除した値よりも相対位置iが小さい場合であって、相対位置iよりもY方向側の全ての設置ラインALに他対象物が配置されていない第1条件と、全ての設置ラインALの単位領域Aのうちで相対位置jよりもX方向と反対側にある単位領域Aに、他対象物が配置されていない第2条件とを満たす場合には、次のようにして第1経路R1を設定する。すなわちこの場合、第1経路設定部64は、相対位置jに対してX方向と反対側に2つ分離れた単位領域A
(i、j-2)(ウェイポイントWP)を直前位置として選択し、設置領域AR2に対してY方向側に隣接する通常領域AR1内のウェイポイントWPのうちで、直前位置に対してX方向の位置が重なるウェイポイントWPを、進入開始位置として選択する。すなわち
図9の例では、単位領域A
15が目的位置Gの場合、単位領域A
13(ウェイポイントWP2b)が直前位置となり、単位領域A
13に対してX方向の位置が重なるウェイポイントWP2aが、進入開始位置となる。更に、第1経路設定部64は、相対位置iに対してY方向と反対側に1つ離れ、かつ、相対位置jに対してX方向と反対側に2つ離れた単位領域A
(i+1、j-2)(ウェイポイントWP)に、対象物Pが位置してない旨の第3条件を満たすかを判断する。単位領域A
(i+1、j-2)に対象物Pが位置しない場合、単位領域A
(i+1、j-2)を切り返しするための位置として設定して、第1経路R1を設定する。
図9の例では、単位領域A
15が目的位置Gの場合、単位領域A
23に対象物Pが位置しないため、単位領域A
23のウェイポイントWP2cが切り返すための位置として設定される。
【0093】
なお、単位領域A
(i+1、j-2)に対象物Pが位置してない旨の第3条件が満たされない場合には、第1経路設定部64は、設置領域AR2に対してY方向側に隣接する通常領域AR1内のウェイポイントWPのうちで、単位領域A
(i、j-1)(
図9の例では単位領域A
14)とX方向の位置が重なるウェイポイントWP(
図9の例ではウェイポイントWP2d)を、切り返すための位置として設定して、第1経路R1を設定する。
【0094】
一方、設置ラインALの全数を2で除した値よりも相対位置iが大きい場合であって、相対位置iよりもY方向と反対方向側の全ての設置ラインALに他対象物が配置されていない第4条件と、全ての設置ラインALの単位領域Aのうちで相対位置jよりもX方向と反対側にある単位領域Aに、他対象物が配置されていない5条件とを満たす場合には、次のようにして第1経路R1を設定する。すなわちこの場合、第1経路設定部64は、相対位置jに対してX方向と反対側に2つ分離れた単位領域A
(i、j-2)(ウェイポイントWP)を直前位置として選択し、設置領域AR2に対してY方向と反対側に隣接する通常領域AR1内のウェイポイントWPのうちで、直前位置に対してX方向の位置が重なるウェイポイントWPを、進入開始位置として選択する。すなわち
図9の例では、単位領域A
55が目的位置Gの場合、単位領域A
53(ウェイポイントWP3c)が直前位置となり、単位領域A
53に対してX方向の位置が重なるウェイポイントWP3aが、進入開始位置となる。更に、第1経路設定部64は、相対位置iに対してY方向と反対側に1つ離れ、かつ、相対位置jに対してX方向と反対側に2つ離れた単位領域A
(i-1、j-2)(ウェイポイントWP)に、対象物Pが位置してない旨の第6条件を満たすかを判断する。単位領域A
(i-1、j-2) (
図9の例では単位領域A
43)に対象物Pが位置しない場合、単位領域A
(i-1、j-2)を切り返しするための位置として設定して、第1経路R1を設定する。
【0095】
単位領域A
(i-1、j-2)に対象物Pが位置してない旨の第6条件が満たされない場合には、第1経路設定部64は、設置領域AR2に対してY方向側と反対方向に隣接する通常領域AR1内のウェイポイントWPのうちで、単位領域A
(i、j-1)(
図9の例では単位領域A
14)とX方向の位置が重なるウェイポイントWPを、切り返すための位置として設定して、第1経路R1を設定する。
図9の例では、単位領域A
55が目的位置Gの場合、単位領域A
43に対象物Pが位置するため、単位領域A
54とX方向の位置が重なるウェイポイントWP3bが、切り返すための位置として設定される。
【0096】
(第2経路の設定)
図10は、第2経路の一例を示す模式図である。移動体10の第2経路設定部82は、第1経路R1に基づき、第2経路R2を設定する。第1経路R1に基づいた第2経路R2の設定方法は、第1実施形態と同様である。
【0097】
本実施形態では、第2経路設定部82は、領域外区間R2Aとアプローチ区間R2Bとを含むように、第2経路R2を設定する。
【0098】
第2実施形態における領域外区間R2Aは、第1実施形態と同様に、配置領域AR2外(通常領域AR1内)の位置から、配置領域AR2外を通って配置領域AR2に向かう区間である。第2実施形態の領域外区間R2Aは、移動元Sを始点として進入開始位置から所定距離範囲内の位置を終点とする、通常領域AR1内を通る区間となる。
図10の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする領域外区間R2Aは、移動元Sを始点として、ウェイポイントWP2aから所定距離範囲内の位置を終点としている。
図10の例では、単位領域A
55を目的位置Gとする領域外区間R2Aは、移動元Sを始点として、ウェイポイントWP3bで切り返して、ウェイポイントWP3aから所定距離範囲内の位置を終点としている。
【0099】
第2実施形態におけるアプローチ区間R2Bは、第2方向(Y方向又はY方向の反対方向)から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して、目的位置Gに到達するものとなる。
【0100】
より詳しくは、第2実施形態におけるアプローチ区間R2Bは、第1アプローチ区間R2Bcと、第2アプローチ区間R2Bdとを含む。第1アプローチ区間R2Bcは、第2方向(Y方向又はY方向の反対方向)から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して、直前位置から所定距離範囲内の位置に到達する区間である。より詳しくは、第1アプローチ区間R1Bcは、進入開始位置から所定距離範囲内の位置を始点として、直前位置から所定距離範囲内の位置を終点とする区間である。
図10の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする第1アプローチ区間R1Bcは、ウェイポイントWP2aから所定距離範囲内の位置を始点として、Y方向と反対側に向けて進んで配置領域AR2内に進入し、ウェイポイントWP2cで切り返して、単位領域A
14のウェイポイントWP2eを終点としている。同様に
図10の例では、単位領域A
55を目的位置Gとする第1アプローチ区間R1Bcは、ウェイポイントWP3aから所定距離範囲内の位置を始点として、Y方向に向けて進んで配置領域AR2内に進入し、単位領域A
54のウェイポイントWP3dを終点としている。
【0101】
第2アプローチ区間R2Bdは、X方向に向けて目的位置Gに到達する区間である。第2アプローチ区間R2Bdは、第1アプローチ区間R2Bcに接続される。すなわち、第2アプローチ区間R2Bdは、直前位置から所定距離範囲内の位置から目的位置Gまでを接続するX方向に沿った区間である。
図10の例では、単位領域A
15を目的位置Gとする第2アプローチ区間R2Bdは、ウェイポイントWP2eと、目的位置Gである単位領域A
15のウェイポイントWPGとを接続する区間となる。同様に
図10の例では、単位領域A
55を目的位置Gとする第2アプローチ区間R2Bdは、ウェイポイントWP3dと、目的位置Gである単位領域A
55のウェイポイントWPGとを接続する区間となる。
【0102】
(効果)
以上説明したように、第2実施形態においては、他対象物の情報に基づき、移動体10の経路のうちの配置領域AR2内を通るアプローチ区間を設定する。これにより、低速となる配置領域AR2内での走行距離を適切に設定することが可能となるため、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。さらに言えば、第2実施形態においては、第2方向から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して、目的位置Gに到達するように、アプローチ区間を設定する。通常、配置領域AR2では移動方向が第1方向に設定されているが、このように第2方向から横切って配置領域AR2内に入る経路を設定することで、配置領域AR2内における走行距離を短くして、目的位置に早く到達することが可能となる。
【0103】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、搬送対象となる対象物Pの位置及び姿勢を検出し、対象物Pの位置及び姿勢に基づき、対象物Pをピックアップするために経路を更新する必要があるかを判断し、経路を更新する必要があるかの判断結果に基づき、以降の制御内容を設定する。第3実施形態において、第1実施形態や第2実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態のいずれにも適用可能である。
【0104】
(第2経路に従った移動)
図11は、第3実施形態における移動体の制御の例を示す模式図である。第3実施形態においては、移動体10の移動制御部84は、第1実施形態や第2実施形態の方法で設定した第2経路R2(アプローチ区間R2B)に従って移動体10を移動させて、移動体10を、目的位置Gに対してX方向の反対側の位置である検出位置に到達させる。
図11の例では、単位領域A
35のウェイポイントWPGが目的位置Gとして設定されており、移動体10が、第1実施形態の方法で設定したアプローチ区間R2Bに従って移動して、単位領域A
35のウェイポイントWPGに対してX方向の反対側にある、単位領域A
34のウェイポイントWP3(検出位置)に到達した場合を示している。
【0105】
(対象物の検出)
第3実施形態においては、移動制御部84は、検出位置において、センサ26Aにより、移動体10のX方向側を検出させる。例えばセンサ26Aがレーザ光を照射する構成の場合、移動制御部84は、センサ26Aを横方向(水平方向)に走査させつつ、X方向に向けて、センサ26Aからレーザ光を照射させる。検出位置のX方向側にある対象物Pは、センサ26Aからのレーザ光を反射する。センサ26Aは、対象物Pからの反射光を受光する。移動制御部84は、センサ26Aが受光した反射光の検出結果に基づき、計測点の集合である点群を取得する。本実施形態では、移動制御部84は、反射光の検出結果に基づき、反射光が反射された箇所の位置(座標)を、計測点として算出する。移動制御部84は、各計測点(点群)に基づき、例えばRANSACアルゴリズムを用いて直線を抽出し、その直線の位置及び姿勢を、対象物Pの前面Paの位置及び姿勢として算出する。ただし、センサ26Aの検出結果に基づく対象物Pの前面Paの位置及び姿勢の算出方法は、任意であってよい。
【0106】
なお、
図10の例では、移動制御部84は、目的位置GのウェイポイントWPGに対してX方向と反対側に隣接するウェイポイントWP3を検出位置として、その検出位置で対象物Pを検出させたが、対象物Pを検出する位置はそれに限られず任意であってよい。移動制御部84は、目的位置Gをセンサ26Aで検出可能な任意の位置で対象物Pを検出させてよく、配置領域AR2内と配置領域AR2外とのいずれで検出させてもよい。
【0107】
(第3経路の設定要否の判断)
移動制御部84は、対象物Pの前面Paの位置及び姿勢に基づいて、対象物Pをピックアップするために経路の更新が必要であるか(第3経路R3の設定が必要であるか)を判断する。より詳しくは、移動制御部84は、第2経路R2に従った移動を続けることにより対象物Pをピックアップできるかを、判断する。例えば、移動制御部84は、第2経路R2に従って移動して対象物Pに到達した際のフォーク24のツメ24A、24Bの位置が、検出した対象物Pの前面Paの開口Pbの位置からずれるかを判断する。移動制御部84は、ずれない場合には、第3経路R3の設定が不要と判断し、ずれる場合には、第3経路R3の設定が必要と判断する。
【0108】
(第3経路の設定が不要な場合)
移動制御部84は、第3経路R3の設定が不要と判断した場合、第2経路R2に従った移動を続けて対象物Pをピックアップさせることを、以降の制御として、その制御を実行する。
【0109】
(第3経路の設定が必要な場合)
第3経路R3の設定が必要と判断した場合には、移動制御部84は、対象物Pの前面Paの位置及び姿勢に基づいて、対象物Pをピックアップ可能な第3経路R3を設定する。移動制御部84は、検出した対象物Pの位置及び姿勢に対して、所定の位置及び姿勢(移動体10が対象物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢)となる経路を、第3経路R3として設定する。
【0110】
移動制御部84は、設定した第3経路R3に従って移動体10が移動して対象物Pをピックアップし、ピックアップした位置から別の場所に移動する(例えば検出位置に戻る)際に、移動体10及びピックアップした対象物Pの少なくとも一方が、他対象物に干渉するかを判断する。例えば、移動制御部84は、第3経路R3と、移動体10及び対象物Pの大きさとに基づき、移動体10及び対象物Pが通過する領域を算出する。そして、移動制御部84は、移動体10及び対象物Pが通過する領域が、目的位置Gを含む設置ラインALに隣接する設置ラインALの単位領域A(隣接単位領域)を通るかを算出する。移動体10及び対象物Pが通過する領域が隣接単位領域を通らない場合には(移動体10及び対象物Pが隣接する設置ラインALにはみ出さない場合には)、移動制御部84は、他対象物に干渉しないと判断する。また、移動制御部84は、移動体10及び対象物Pが通過する領域が隣接単位領域を通る場合であっても、隣接単位領域に他対象物が配置されていない場合には、他対象物に干渉しないと判断する。なお、移動制御部84は、他対象物の位置情報に基づき、隣接単位領域に他対象物が配置されているかを判断する。
【0111】
移動制御部84は、他対象物に干渉しないと判断した場合には、第2経路R2から第3経路R3に切り替えて、第3経路R3に従って移動体10を移動させて対象物Pをピックアップさせることを、以降の制御とする。
【0112】
一方、移動制御部84は、隣接単位領域に他対象物が配置されている場合には、他対象物に干渉すると判断する。移動制御部84は、他対象物に干渉すると判断した場合には、以降で説明する所定制御を、移動体10の以降の動作とする。
図11の例では、目的位置Gである単位領域A
35に配置された対象物Pの前面Paは、設置ラインAL4側を向いており、第2経路R2では対象物Pをピックアップできないので、移動制御部84は、第3経路R3の設定が必要と判断する。そして、
図11の例では、移動体10及び対象物Pが通過する領域が通る設置ラインAL4上の単位領域A
45に、他対象物が配置されているため、移動制御部84は、他対象物に干渉すると判断して、以降で説明する所定制御を、以降の制御とする。
【0113】
(所定制御)
所定制御は、他対象物と干渉しないための制御である。所定制御の例を以降で説明する。
【0114】
例えば、移動制御部84は、他対象物と干渉すると判断した場合には、情報処理装置14に、その旨の情報を送信する。情報処理装置14は、他対象物と干渉する旨の情報を取得したら、その対象物P(
図11の例では単位領域A
35上の対象物P)をピックアップするジョブを行わない旨のフラグを設定する。情報処理装置14は、移動体10を、その位置で停止させる旨の指令を送信してもよいし、その対象物Pをピックアップするジョブ以外のジョブを行う旨の指令を送信してもよい。ここで、干渉すると判断された他対象物(
図11の例では単位領域A
45上の対象物P)に対しては、その他対象物を目的地(他の場所)に移動させるジョブが、予め設定されている。情報処理装置14は、他対象物のジョブのスケジュールを変更せずに、対象物Pをピックアップするジョブを行わない旨のフラグを立てたまま、他対象物のジョブの実施を待つ。他対象物のジョブが割り当てられた移動体(移動体10又は他の移動体)は、他対象物を目的地に移動するジョブを実行したら、他対象物が移動された旨の情報を、情報処理装置14に送信する。情報処理装置14は、他対象物が移動された旨の情報を取得したら、対象物Pをピックアップするジョブを行わない旨のフラグを、解除する。これにより、移動体10や別の移動体に対して、対象物Pをピックアップするジョブが設定されて、その対象物Pがピックアップされる。すなわち、本例では、干渉する他対象物が予定通りのスケジュールで移動されるのを待って、対象物Pをピックアップする制御を行う。これにより、予め設定された他対象物のジョブのスケジュールへの影響を抑えつつ、対象物Pをピックアップできる。
【0115】
また例えば、他対象物をピックアップするジョブのスケジュールを変更してもよい。この場合例えば、情報処理装置14は、他対象物と干渉する旨の情報を取得したら、対象物Pをピックアップするジョブを行わない旨のフラグを立てつつ、干渉すると判断された他対象物のジョブの開始時刻を、予め設定された時刻よりも早く設定し直す。他対象物のジョブが割り当てられた移動体は、他対象物を目的地に移動するジョブを実行したら、他対象物が移動された旨の情報を、情報処理装置14に送信する。情報処理装置14は、他対象物が移動された旨の情報を取得したら、対象物Pをピックアップするジョブを行わない旨のフラグを、解除する。これにより、移動体10や別の移動体に対して、対象物Pをピックアップするジョブが設定されて、その対象物Pがピックアップされる。そのため、本例によると、対象物Pをピックアップするジョブが遅れることを抑制できる。なお、他対象物のジョブのスケジュールを変更しないか、そのジョブの開始時刻を変更するかは、例えば対象物Pのジョブの優先度に基づき決定されてよい。すなわち例えば、情報処理装置14は、他対象物と干渉する旨の情報を取得したら、予め設定された対象物Pのジョブの優先度の情報を取得して、優先度が所定条件を満たす場合(例えば優先度が所定の閾値より高い場合)、他対象物のジョブの開始時刻を早く設定し直してよい。
【0116】
また例えば、他対象物を目的地以外の場所に移動させてから、対象物Pをピックアップするジョブを再開してもよい。すなわちこの場合、情報処理装置14は、他対象物と干渉する旨の情報を取得したら、対象物Pをピックアップするジョブを行わない旨のフラグを立てつつ、干渉すると判断された他対象物を、その他対象物の目的地以外の退避場所に移動させる旨のジョブを設定する。退避場所は適宜設定されてよく、他対象物の目的地以外であって、移動体10及び対象物Pが通過する領域と重ならない任意の位置であってよい。情報処理装置14は、他対象物を退避場所に移動させる旨のジョブを、移動体10や他の移動体に送信する。他対象物を退避場所に移動させる旨のジョブを取得した移動体は、そのジョブを実行して、他対象物を退避場所に移動させる。その移動体は、他対象物を退避場所に移動するジョブを実行したら、他対象物が移動された旨の情報を、情報処理装置14に送信する。情報処理装置14は、他対象物が移動された旨の情報を取得したら、対象物Pをピックアップするジョブを行わない旨のフラグを、解除する。これにより、移動体10や別の移動体に対して、対象物Pをピックアップするジョブが設定されて、その対象物Pがピックアップされる。なお、情報処理装置14は、他対象物に対して、退避場所から元の目的位置に移動させる旨のジョブも設定して、移動体10や他の移動体に送信し、そのジョブを実行させる。本例によると、他対象物を一旦退避場所に移動させるため、対象物Pをピックアップするジョブが遅れることを抑制しつつ、対象物Pをピックアップできる。
【0117】
(制御フロー)
次に、第3実施形態における処理フローを説明する。
図12は、第3実施形態に係る移動制御システムの処理フローを説明するフローチャートである。
図12に示すように、移動体10は、第2経路R2に従って設置領域AR2内に移動し(ステップS20)、対象物Pの位置及び姿勢を検出する(ステップS22)。移動体10は、対象物Pの位置及び姿勢が検出されるまで第2経路R2に従った移動を継続させてよい。移動体10は、対象物Pの位置及び姿勢に基づき、第3経路R3の設定が必要かを判断し(ステップS24)、第3経路R3の設定が不要な場合(ステップS24;No)、第2経路R2での移動を継続させて対象物Pをピックアップする(ステップS26)。一方、第3経路R3の設定が必要な場合であって(ステップS24;Yes)、第3経路R3を用いても他対象物に干渉しない場合には(ステップS28;Yes)、移動体10は、第3経路R3に切り替えて、第3経路R3で移動して対象物Pをピックアップする(ステップS30)。一方、第3経路R3を用いると他対象物に干渉する場合(ステップS28;No)、上述した所定制御を行う(ステップS32)。
【0118】
(サイドシフトが可能な場合)
なお、移動体10は、フォーク24を左右方向に動かすサイドシフトが可能な場合もある。サイドシフトが可能な場合、移動制御部84は、第2経路R2での移動を継続しつつ、サイドシフトによりフォーク24を左右方向に移動させることで、対象物Pをピックアップできるかを判断する。移動制御部84は、サイドシフトを用いずに第2経路R2での移動を継続した場合には対象物Pをピックアップできないが、第2経路R2での移動を継続しつつサイドシフトにより対象物Pをピックアップ可能である場合には、第3経路R3の設定が不要と判断してよい。この場合、移動制御部84は、第2経路R2での移動を継続しつつ、サイドシフトを用いて対象物Pをピックアップすることを、以降の制御とする。一方、移動制御部84は、サイドシフトを用いてもピックアップできない場合には、第3経路R3の設定が必要と判断して、上述と同様の制御を行う。
【0119】
さらに言えば、移動制御部84は、サイドシフトを用いてピックアップできる場合であっても、第3経路R3を用いた場合に他対象物に干渉しない場合には、第3経路R3の設定が必要と判断して、上述と同様の制御を行ってよい。すなわちこの場合、移動制御部84は、サイドシフトを用いてピックアップできると判断した場合であっても、第3経路R3を設定する。そして、移動制御部84は、上述と同様の方法で、第3経路R3を用いた場合に他対象物に干渉するかを判断し、他対象物に干渉しない場合には、第2経路R2から第3経路R3に切り替えて、第3経路R3に従って移動体10を移動させて対象物Pをピックアップさせることを、以降の制御とする。一方、移動制御部84は、第3経路R3を用いた場合に他対象物に干渉すると判断した場合には、第2経路R2での移動を継続しつつ、サイドシフトを用いて対象物Pをピックアップすることを、以降の制御とする。サイドシフトを用いた場合には、対象物Pをずれた状態でピックアップすることになるため、ピックアップした対象物Pをドロップする際の位置や姿勢がずれてしまうおそれがある。そのため、サイドシフトを用いてピックアップできる場合であっても、第3経路R3を用いた場合に他対象物に干渉しない場合には、第3経路R3を適用することで、対象物Pをずれた状態でピックアップすることを抑制できる。
【0120】
このように、第3実施形態においては、対象物Pの位置及び姿勢を検出し、対象物Pの位置及び姿勢に基づき、対象物Pをピックアップするために第3経路R3を設定する必要があるかを判断し、第3経路R3を設定する必要があるかの判断結果に基づき、以降の制御内容を設定する。そのため、本実施形態によると、対象物Pがずれて置かれていた場合にも、他対象物との干渉を抑制しつつ、対象物Pをピックアップできる。
【0121】
(効果)
以上説明したように、本開示の第1態様の制御方法は、自動で移動する移動体10の制御方法であって、対象物Pが配置される可能性がある単位領域Aが第1方向(X方向)に並んだ配置領域AR2内における、所定の単位領域Aに対応する位置を、移動体10の目的位置Gに設定するステップと、目的位置G以外の単位領域A内に配置される対象物Pである他対象物の情報を取得するステップと、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう、移動体の経路を設定するステップと、経路に従って移動体10を移動させるステップと、を含む。本制御方法は、他対象物の情報に基づき、配置領域AR2内における移動体10の移動速度と、経路のうちの配置領域AR2内を通る区間(アプローチ区間)との、少なくとも一方を設定する。本開示によると、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう経路を設定する。そして、本開示によると、他対象物の情報に基づいて、配置領域AR2内における移動体10の移動速度とアプローチ区間との少なくとも一方を設定する。これにより、単位領域がX方向に並んだ配置領域AR2内を、適切な速度又は経路で移動することが可能となり、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。
【0122】
本開示の第2態様の制御方法は、第1態様に係る制御方法であって、経路を設定するステップにおいては、配置領域AR2内において第1方向(X方向)に向けて目的位置Gに到達するアプローチ区間を含むように、経路を設定する。本開示によると、移動体10は、対象物Pが第1方向に並ぶ配置領域AR2を適切に移動して、目的位置に到達することができる。
【0123】
本開示の第3態様の制御方法は、第1態様又は第2態様に係る制御方法であって、移動体10を移動させるステップにおいては、経路のうちで配置領域内を通るアプローチ区間のうちの、移動体10が目的位置Gよりも前に通る中間位置までの第1アプローチ区間での移動速度を、中間位置から目的位置Gまでの第2アプローチ区間での移動速度よりも、高くする。すなわち、本開示によると、配置領域AR2内ではあるが目的位置Gから離れた第1アプローチ区間では高速移動させつつ、目的位置Gに近い第2アプローチ区間では低速で精密な動作をさせることが可能となるため、他対象物との干渉を避けて目的位置Gに高精度でアプローチさせつつ、目的位置Gに早く到達することが可能となる。
【0124】
本開示の第4態様の制御方法は、第1態様から第3態様のいずれかに係る制御方法であって、移動体10を移動させるステップにおいては、第1アプローチ区間に対して第1方向(X方向)に交差する第2方向(Y方向又はY方向の反対方向)側に位置する単位領域Aにおける、他対象物の情報に基づいて、第1アプローチ区間での移動速度を設定する。本開示によると、隣接する単位領域Aに他対象物が置かれているかに応じて、第1アプローチ区間での速度を設定するため、他対象物との干渉を避けて目的位置Gに適切に到達することが可能となる。
【0125】
本開示の第5態様の制御方法は、第1態様から第4態様のいずれかに係る制御方法であって、移動体10を移動させるステップにおいては、経路のうちの、配置領域AR2外を通る領域外区間での移動速度を、アプローチ区間での移動速度よりも、高くする。これにより、対象物Pが設置されている可能性がある配置領域AR2では精密な動作をさせつつ、対象物Pが設置されない通常領域AR1では高速移動させることができるため、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。
【0126】
本開示の第6態様の制御方法は、第1態様から第5態様のいずれかに係る制御方法であって、経路を設定するステップにおいては、第1方向(X方向)に交差する第2方向(Y方向又はY方向の反対方向)から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して、目的位置Gに到達するアプローチ区間を含むように、経路を設定する。このように第2方向から横切って配置領域AR2内に入る経路を設定することで、配置領域AR2内における走行距離を短くして、目的位置に早く到達することが可能となる。
【0127】
本開示の第7態様の制御方法は、第6態様に係る制御方法であって、経路を設定するステップにおいては、第2方向から配置領域AR2内に進入し、他対象物が配置されていない単位領域Aを経由して、目的位置Gに対して第1方向と反対方向側の単位領域Aと重なる直前位置に到達する第1アプローチ区間と、直前位置から第1方向に向けて目的位置Gに到達する第2アプローチ区間と、を含むように、アプローチ区間を設定する。本開示によると、第2方向から横切って配置領域AR2内に入る経路と、第1方向で目的位置にアプローチする経路とを設定することで、目的位置G、早くかつ適切に到達することが可能となる。
【0128】
本開示の第8態様の制御方法は、第6態様又は第7態様に係る制御方法であって、経路を設定するステップにおいては、他対象物と干渉せず、かつ、アプローチ区間が最短となるように、アプローチ区間(経路)を設定する。本開示によると、配置領域AR2内を通る区間を出来るだけ短くするため、移動速度が低い設置領域AR2内での走行距離を短くして、目的位置Gに早く到達することが可能となる。
【0129】
本開示の第9態様の制御方法は、第6態様又は第7態様に係る制御方法であって、経路を設定するステップにおいては、配置領域AR2外を通る領域外区間も含むように経路を設定し、配置領域AR2内における移動体10の移動速度の情報と、配置領域AR2外における移動体10の移動速度の情報とを取得し、配置領域AR2内における移動速度と配置領域AR2外における移動速度とに基づき、目的位置Gまでの予測到達時間が最短となるように、領域外区間及びアプローチ区間を設定する。このように予測到達時間が最小となるように経路を設定することで、目的位置Gに早く到達することが可能となる。
【0130】
本開示の第10態様の制御方法は、第1態様から第9態様のいずれかに係る制御方法であって、移動体10を移動させるステップにおいては、搬送対象となる対象物Pの位置及び姿勢を検出し、対象物Pの位置及び姿勢に基づき、対象物Pをピックアップするために経路を更新する必要があるかを判断し、経路を更新する必要があるかの判断結果に基づき、以降の制御内容を設定する。本開示によると、対象物Pがずれて置かれていた場合にも、他対象物との干渉を抑制しつつ、対象物Pをピックアップできる。
【0131】
本開示の第11態様のプログラムは、自動で移動する移動体10の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、対象物Pが配置される可能性がある単位領域Aが第1方向(X方向)に並んだ配置領域AR2内における、所定の単位領域Aに対応する位置を、移動体10の目的位置Gに設定するステップと、目的位置G以外の単位領域A内に配置される対象物Pである他対象物の情報を取得するステップと、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かう、移動体の経路を設定するステップと、経路に従って移動体10を移動させるステップと、をコンピュータに実行させる。本プログラムは、他対象物の情報に基づき、配置領域AR2内における移動体10の移動速度と、経路のうちの配置領域AR2内を通る区間(アプローチ区間)との、少なくとも一方を設定する。本開示によると、単位領域がX方向に並んだ配置領域AR2内を、適切な速度又は経路で移動することが可能となり、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。
【0132】
本開示の第12態様の移動体10は、自動で移動する移動体であって、移動体10の経路を取得する経路取得部(第1経路取得部80)と、経路に従って移動体10を移動させる移動制御部84と、を含む。経路は、対象物Pが配置される可能性がある単位領域Aが第1方向に並んだ配置領域AR2内における、所定の単位領域Aに対応する位置が、移動体10の目的位置Gに設定され、目的位置G以外の単位領域A内に配置される対象物Pである他対象物の情報が取得されることで、他対象物に干渉せずに配置領域AR2内を通って目的位置Gに向かうように、設定される。配置領域AR2内における移動体10の移動速度と、経路のうちの配置領域AR2内を通る区間との、少なくとも一方は、他対象物の情報に基づき設定される。本開示によると、単位領域がX方向に並んだ配置領域AR2内を、適切な速度又は経路で移動することが可能となり、他対象物との干渉を抑制しつつ、目的位置に早く到達することが可能となる。
【0133】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0134】
10 移動体
12 管理装置
14 情報処理装置
A 単位領域
AL 設置ライン
AR1 通常領域
AR2 設置領域
G 目的位置
P 対象物
WP ウェイポイント