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特開2024-154235位置情報の設定方法、プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154235
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】位置情報の設定方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241023BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G05D1/02 J
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067965
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】知識 陽平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333FA01
3F333FA02
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301FF07
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】第1方向及び第2方向に単位領域が並ぶレイアウトにおいて、各単位領域の位置の設定精度を向上させる。
【解決手段】位置情報の設定方法は、対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び第2方向に並んだ配置領域内の、少なくとも1つの単位領域に、位置情報の設定に用いる参照物を配置するステップと、参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定するステップと、参照物を検出可能なセンサが搭載された移動体を、検出経路に従って移動させ、センサによって参照物の位置及び姿勢を検出させるステップと、参照物の位置及び姿勢に基づき、配置領域内におけるそれぞれの単位領域の位置情報を算出するステップと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並んだ配置領域内の、少なくとも1つの前記単位領域に、位置情報の設定に用いる参照物を配置するステップと、
前記参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定するステップと、
前記参照物を検出可能なセンサが搭載された前記移動体を、前記検出経路に従って移動させ、前記センサによって前記参照物の位置及び姿勢を検出させるステップと、
前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出するステップと、
を含む、
位置情報の設定方法。
【請求項2】
地図情報における前記単位領域の予測位置情報を取得するステップを更に含み、
前記検出経路を設定するステップにおいては、前記参照物が配置される単位領域の予測位置情報に基づき、前記検出経路を設定し、
前記単位領域の位置情報を算出するステップにおいては、前記地図情報における前記単位領域の位置情報を、前記予測位置情報から、前記参照物の位置及び姿勢に基づいて算出した前記単位領域の位置情報に更新する、請求項1に記載の位置情報の設定方法。
【請求項3】
前記参照物を配置するステップにおいては、前記配置領域のうちの四隅に位置する前記単位領域のそれぞれに、前記参照物を配置し、
前記参照物の位置及び姿勢を検出させるステップにおいては、前記四隅の単位領域に配置されるそれぞれの前記参照物の位置及び姿勢を検出させ、
前記単位領域の位置情報を算出するステップにおいては、前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記四隅の単位領域の位置を結んだ線で囲われた領域が矩形に近づくように、前記四隅の単位領域の位置情報を算出し、前記四隅の単位領域の位置情報に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出する、請求項1又は請求項2に記載の位置情報の設定方法。
【請求項4】
前記参照物の位置及び姿勢を検出させるステップにおいては、前記参照物のそれぞれについて、位置及び姿勢を複数回検出させ、
前記単位領域の位置情報を算出するステップにおいては、前記参照物のそれぞれについての複数回の検出結果に基づき、前記四隅の単位領域の位置情報を算出する、請求項3に記載の位置情報の設定方法。
【請求項5】
前記単位領域の位置情報を算出するステップにおいては、
前記四隅の単位領域のそれぞれについて、前記参照物の複数回の検出結果毎に、前記単位領域の推定位置を算出し、
前記四隅の単位領域の推定位置のうちから、前記四隅の単位領域の推定位置を結んだ線で囲われた領域と矩形とのずれ量が出来るだけ小さくなり、かつ、その推定位置と算出される可能性が出来るだけ高くなるような、前記四隅の単位領域の推定位置を選択して、選択した推定位置を、前記四隅の単位領域の位置とする、請求項4に記載の位置情報の設定方法。
【請求項6】
前記単位領域の位置情報に基づいて、前記単位領域が前記第1方向に並んだ領域である設置ラインを通って、前記設置ライン内における1つの前記単位領域へ向かう経路を設定するステップと、
移動体を前記経路に従って移動させるステップと、
前記経路に従って移動する移動体が、前記設置ライン内から前記第2方向側にはみ出すと判断された場合に、前記移動体に搭載されたセンサによって、前記単位領域に配置された対象物の位置及び姿勢を検出させるステップと、
をさらに含み、
前記単位領域の位置情報を算出するステップにおいては、前記対象物の位置及び姿勢の検出結果に基づき、前記単位領域の位置情報を更新する、請求項1又は請求項2に記載の位置情報の設定方法。
【請求項7】
対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並んだ配置領域内における、前記単位領域の位置情報をコンピュータに設定させるプログラムであって、
前記配置領域内における少なくとも1つの前記単位領域には、位置情報の設定に用いる参照物が配置されており、
前記参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定するステップと、
前記参照物を検出可能なセンサが搭載された前記移動体を、前記検出経路に従って移動させ、前記センサによって前記参照物の位置及び姿勢を検出させるステップと、
前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項8】
対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並んだ配置領域内における、前記単位領域の位置情報を設定する情報処理装置であって、
前記配置領域内における少なくとも1つの前記単位領域には、位置情報の設定に用いる参照物が配置されており、
前記参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定する経路設定部と、
前記参照物を検出可能なセンサが搭載された前記移動体が、前記検出経路に従って移動しつつ検出した、前記参照物の位置及び姿勢を取得する検出結果取得部と、
前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出する位置取得部と、
を含む、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置情報の設定方法、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動で移動して荷物を搬送する移動体が知られている。例えば特許文献1には、対象物が配置される仮置場空エリアまでの走行計画を作成し、作成した走行計画で、仮置場空エリアまで無人荷役車両を自動走行させる旨が記載されている。特許文献1には、仮置場の各エリアを示す仮置場エリアIDと、そのエリアの座標位置を示す区画情報とが予め記憶されている旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-135682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、対象物が配置される座標位置は、予め設定される場合があるが、設備において実際に対象物が配置される位置に対して、ずれて設定されてしまうおそれがある。また、対象物が配置される単位領域が、第1方向及び第2方向にマトリクス状に並ぶように、設備レイアウトが設定されている場合がある。この場合、実際の位置とのずれが特に大きくなってしまうおそれがある。そのため、第1方向及び第2方向に単位領域が並ぶレイアウトにおいて、各単位領域の位置の設定精度を向上させることが求められている。
【0005】
本開示は、第1方向及び第2方向に単位領域が並ぶレイアウトにおいて、各単位領域の位置の設定精度を向上可能な位置情報の設定方法、プログラム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る位置情報の設定方法は、対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並んだ配置領域内の、少なくとも1つの前記単位領域に、位置情報の設定に用いる参照物を配置するステップと、前記参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定するステップと、前記参照物を検出可能なセンサが搭載された前記移動体を、前記検出経路に従って移動させ、前記センサによって前記参照物の位置及び姿勢を検出させるステップと、前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出するステップと、を含む。
【0007】
本開示に係るプログラムは、対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並んだ配置領域内における、前記単位領域の位置情報をコンピュータに設定させるプログラムであって、前記配置領域内における少なくとも1つの前記単位領域には、位置情報の設定に用いる参照物が配置されており、前記参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定するステップと、前記参照物を検出可能なセンサが搭載された前記移動体を、前記検出経路に従って移動させ、前記センサによって前記参照物の位置及び姿勢を検出させるステップと、前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示に係る情報処理装置は、対象物が配置される可能性がある単位領域が、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並んだ配置領域内における、前記単位領域の位置情報を設定する情報処理装置であって、前記配置領域内における少なくとも1つの前記単位領域には、位置情報の設定に用いる参照物が配置されており、前記参照物が配置される単位領域から所定距離範囲内を通る、移動体の検出経路を設定する経路設定部と、前記参照物を検出可能なセンサが搭載された前記移動体が、前記検出経路に従って移動しつつ検出した、前記参照物の位置及び姿勢を取得する検出結果取得部と、前記参照物の位置及び姿勢に基づき、前記配置領域内におけるそれぞれの前記単位領域の位置情報を算出する位置取得部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、第1方向及び第2方向に単位領域が並ぶレイアウトにおいて、各単位領域の位置の設定精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図2図2は、移動体の構成の模式図である。
図3図3は、管理装置の模式的なブロック図である。
図4図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
図5図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
図6図6は、参照物の検出の一例を示す模式図である。
図7図7は、単位領域の位置情報の算出の一例を説明する模式図である。
図8図8は、単位領域の位置情報の算出の他の例を説明する模式図である。
図9図9は、単位領域の位置情報の設定を説明するフローチャートである。
図10図10は、移動体の単位領域への移動の一例を示す模式図である。
図11図11は、第2実施形態における単位領域の位置の算出の他の例を説明するグラフである。
図12図12は、第3実施形態に係る移動体の単位領域への移動の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(移動制御システム)
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と管理装置12と情報処理装置14とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備であるが、移動体10を運用する任意の設備であってよい。移動制御システム1においては、移動体10は、設備Wの領域AR内に配置された内に配置された対象物Pをピックアップして搬送する。領域ARは、対象物Pが設置されたり移動体10が移動したりする領域であり、例えば設備Wの床面である。移動体10が搬送する対象物Pは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。ただし、対象物Pは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。また、移動体10は、対象物Pを搬送するものにも限られず、設備W内を任意の目的で移動する装置であってよい。
【0013】
以降において、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、Y方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向、Y方向は、水平面に沿った方向といってもよい。また、X方向、Y方向に直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向を、Z方向とする。また、本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、移動体10などの「姿勢(向き)」とは、特に断りのない限り、領域ARの座標系における移動体10などの向きであり、Z方向から見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)を指す。
【0014】
(配置領域)
図1に示すように、領域AR内には、配置領域AR1が設定されている。配置領域AR1とは、対象物Pが設置される可能性がある単位領域Aが、領域ARに沿った第1方向(本例ではX方向)と、第1方向に交差して領域ARに沿う第2方向(本例ではY方向)とに並んだ領域である。配置領域AR1は、移動体10が移動可能な領域であり、言い換えれば、移動体10は、配置領域AR1の内の対象物Pが配置されていない領域を移動可能である。本実施形態では、配置領域AR1は、設備Wの床面に設定されており、例えば、床面に設定された対象物Pの仮置き場である。すなわち例えば、設備Wに対象物Pを搬送してきた搬送車両に積まれた対象物Pは、設置領域AR1内に仮置きされ、設置領域AR1内の対象物Pは、設備W内の別の場所(例えば棚などの置き場)に搬送される。ただし、設置領域AR1の用途は仮置き場であることに限られない。設置領域AR1は、対象物Pが設置される任意の用途の領域であってよい。
【0015】
単位領域Aとは、対象物Pの設置用に設定された領域である。単位領域Aの形状、及び大きさは、予め設定されている。図1の例では単位領域Aは矩形であるが、形状及び大きさは任意であってよい。また、単位領域Aは、対象物P毎に区画されており、単位領域Aにはそれぞれ対象物Pが1つ配置される。それぞれの単位領域Aには、設備Wの状況に応じて、対象物Pが配置されている場合もあるし、配置されていない場合もある。
【0016】
設置領域AR1は、単位領域Aが第1方向(本例ではX方向)に並んだ領域である設置ラインALが、第1方向に交差する第2方向(本例ではY方向)に並んだ領域ともいえる。言い換えれば、設置領域AR1は、単位領域AがX方向及びY方向にマトリクス状に並んだ領域である。設置領域AR1の外周や、設置領域AR1内で隣り合う単位領域A同士の間には、移動体10の進入を防止する壁が設けられていない。そのため、移動体10は、設置領域AR1外から設置領域AR1内に進入可能であり、設置領域AR1内において、単位領域A間を移動可能である。本実施形態では、Y方向に隣り合う設置ラインAL同士の間に、設置ラインALの境界を視認可能な線(例えば白線)が、X方向に延在して設けられている。また、X方向に隣り合う単位領域A同士の間にも、単位領域Aの境界を視認可能な線(例えば白線)が設けられていてもよい。ただし、これらの線は必須ではない。また、X方向に隣り合う単位領域A同士の間には、移動体10の進入を防止する壁が設けられないが、Y方向に隣り合う設置ラインAL同士の間には、壁が設けられていてもよい。
【0017】
図1の例では、設置ラインALとして、Y方向に並ぶ設置ラインAL1、AL2、AL3、AL4、AL5の5つが設けられている。また、図1の例では、設置ラインAL内に単位領域AがX方向に5つ設けられている。すなわち、設置ラインAL1には、X方向に向けて並ぶ単位領域A11~A15が設けられ、設置ラインAL2には、X方向に向けて並ぶ単位領域A21~A25が設けられ、設置ラインAL3には、X方向に向けて並ぶ単位領域A31~A35が設けられ、設置ラインAL4には、X方向に向けて並ぶ単位領域A41~A45が設けられ、設置ラインAL5には、X方向に向けて並ぶ単位領域A51~A55が設けられる。また、各設置ラインALにおいてX方向から数えて同じ番目にある単位領域A同士(例えば単位領域A15、A2、A35、A4、A55)は、Y方向に沿って並んでおり、言い換えれば、X方向において同じ位置にある。ただし、設置ラインALの数と、設置ラインAL内における単位領域Aの数とは、5つに限られず任意の複数であってよい。また、本実施形態では、設置ラインALに設けられる単位領域Aの数は、設置ラインAL毎に同じであるが、それに限られず、設置ラインAL毎に異なってもよい。
【0018】
移動制御システム1は、設置領域AR1の単位領域Aに対象物Pを配置する際には、対象物Pの前面PaをX方向と反対方向に向けて配置するように、移動体10による単位領域Aへの荷下ろしを制御する。すなわち、対象物Pが配置されている単位領域A内では、対象物Pの前面Paは、X方向と反対方向を向いている。ただし、全ての対象物Pの前面PaがX方向と反対方向を向いていることに限られず、例えば、少なくとも一部の対象物Pは、前面Paが、X方向と反対方向とずれた方向を向いていてよい。なお、対象物Pの前面Paとは、移動体10がアプローチしてくる側の面を指す。本実施形態では、対象物Pの前面Paに、移動体10の後述するフォーク24が挿入される開口Pbが形成されている。
【0019】
なお、設置領域AR1の数は任意であってよく、設備W内に1つ設定されていてもよいし、複数設定されていてもよい。また、設備W内の設置領域AR1以外の領域にも、対象物Pが配置される領域が設けられていてもよい。
【0020】
(ウェイポイント)
領域ARには、位置(座標)毎にウェイポイントWPが設定されている。後述する移動体10の経路は、ウェイポイントWPを繋ぐように設定される。すなわち、移動体10が通過を予定するウェイポイントWPを接続する経路が、移動体10の経路となる。ウェイポイントWPは、設置領域AR1の位置や通路などの、設備Wのレイアウトに応じて設定される。例えば、ウェイポイントWPは、領域AR内においてマトリクス状に設定されている。また、ウェイポイントWPは、設置領域AR1内において、単位領域A毎に設定されることが好ましい。例えば、それぞれの単位領域Aに対応する位置(座標)に、ウェイポイントWPが設定されている。単位領域Aに対応する位置(ウェイポイントWPが設定される位置)は、適宜設定されてよく、例えば、単位領域Aと重なる任意の位置であってよい。図1の例では、単位領域Aに対応するウェイポイントWPは、単位領域AのX方向と反対方向側の辺の、Y方向における中央位置に設定されている。
【0021】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能な装置である。本実施形態では、移動体10は、目標物を搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。ただし、移動体10は、目標物を搬送するフォークリフトであることに限られず、自動で移動可能な任意な装置であってよい。
【0022】
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、第1移動体10Aにおいてフォーク24が設けられていない側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられている側の方向を、後方向とする。
【0023】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢との少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の前方向における先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。
【0024】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0025】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0026】
(管理装置)
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。管理装置12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理装置12は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理装置12は、コンピュータであり、図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。
【0027】
通信部30は、制御部34に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0028】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、目的位置設定部40を含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、目的位置設定部40を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、目的位置設定部40の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、管理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0029】
目的位置設定部40は、移動体10の移動先である目的位置を設定する。具体的な処理内容については後述する。
【0030】
なお、管理装置12は、目的位置の設定以外の処理も実行してよい。例えば、管理装置12は、設備Wに設けられる移動体10以外の機構(例えばエレベータや扉など)を制御する情報も設定してよい。
【0031】
(情報処理装置)
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0032】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、位置取得部60と、経路設定部62と、検出結果取得部64とを含む。制御部54は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、位置取得部60と経路設定部62と検出結果取得部64とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、位置取得部60と経路設定部62と検出結果取得部64の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部52が保存する制御部54用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0033】
位置取得部60は、単位領域Aの予測位置の情報などを取得したり、単位領域Aの位置を設定したりする。経路設定部62は、移動体10の経路を設定し、検出結果取得部64は、移動体10による後述の参照物PAの検出結果を取得する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0034】
なお、本実施形態では、管理装置12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理装置12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0035】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、図5に示すように、通信部70と記憶部72と制御部74とを含む。通信部70は、制御部74に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部70による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部72は、制御部74の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0036】
制御部74は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部74は、経路取得部80と、移動制御部82と、検出制御部84とを含む。制御部74は、記憶部72からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、経路取得部80と移動制御部82と検出制御部84とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部74は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、経路取得部80と移動制御部82と検出制御部84との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部72が保存する制御部74用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0037】
経路取得部80は、移動体10の経路の情報を取得し、移動制御部82は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御し、検出制御部84は、センサ26Aによる参照物PAの検出結果を取得する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0038】
(移動制御システムの処理)
移動制御システム1の処理内容について、以下で説明する。
【0039】
(単位領域の位置情報)
情報処理装置14は、設備Wの地図情報を記憶している。設備Wの地図情報とは、設備W内の各位置の位置情報(本実施形態では各ウェイポイントWPの位置情報)を含む情報である。地図情報は、CAD情報など、設備Wの設計情報に基づいて設定されている。そのため、地図情報に含まれる各単位領域Aの位置情報(本例では各単位領域Aに対応するウェイポイントWPの位置情報)も、配置領域AR1の設計情報に基づいて予め設定されている。配置領域AR1の設計情報とは、配置領域AR1及び各単位領域Aのレイアウトに関する設計値である。配置領域AR1の設計情報は、例えば、設計時に設定された、設備W内における配置領域AR1の位置と、配置領域AR1内における単位領域Aの数及び配列と、単位領域Aの大きさ及び形状とを含んでよい。以降においては、設計情報に基づいて設定された単位領域Aの位置を、適宜、単位領域Aの予測位置と記載する。
【0040】
ここで、単位領域Aの予測位置は、設備Wにおいて実際に単位領域Aの位置を測定して設定されたものではないため、実際の単位領域Aの位置に対して、ずれている場合がある。特に、単位領域Aの予測位置は、設計時に決められた各単位領域Aの数、配列、大きさ及び形状などに基づいて、他の単位領域Aの予測位置から相対的に設定される場合もあるため、実際の位置に対するずれが特に大きくなるおそれがある。すなわち例えば、ウェイポイントW12が、ウェイポイントW11に対してX方向と反対側に単位領域A1つ分離れた位置に設定された場合には、ウェイポイントW12の予測位置は、ウェイポイントW11のずれ量も加算してずれることになる。また例えば、配置領域AR1においては、移動体10が、地図情報で示される単位領域Aの予測位置を辿って、設置ラインALに沿って移動するため、単位領域Aの予測位置のずれが大きい場合、実際の設置ラインALからはみ出して、隣の設置ラインALに進入してしまうおそれがある。そのため、第1方向及び第2方向に単位領域Aが並ぶ配置領域AR1において、地図情報における各単位領域Aの位置の設定精度を向上させることが求められている。それに対して、本実施形態においては、移動体10により単位領域Aに配置した参照物PAを検出させて、その検出結果に基づき、地図情報における各単位領域Aの位置情報を設定(更新)する。これにより、実際の位置とのずれを抑制して、単位領域Aの位置の設定精度を向上できる。以下、本処理について具体的に説明する。
【0041】
(参照物の配置)
図6は、参照物の検出の一例を示す模式図である。地図情報における単位領域Aの位置を設定(更新)する際には、配置領域AR1内の少なくとも1つの単位領域Aに、参照物PAを配置する。参照物PAとは、単位領域Aの位置情報の設定に用いる物体である。参照物PAは、移動体10のセンサ26Aにより位置及び姿勢を検出可能な任意の物体であってよいが、対象物Pと同じ種類の物体であることが好ましい。例えば、参照物PAは、パレット、又はパレット上に荷物が積載されたものであることが好ましい。
【0042】
参照物PAは、配置領域AR1内の任意の単位領域Aに配置されてもよいが、配置領域AR1内の複数の単位領域Aにそれぞれ配置されることが好ましい。本実施形態では、参照物PAは、配置領域AR1の四隅の単位領域Aのそれぞれに配置される。すなわち図6の例では、単位領域A11、A15、A51、A55に、参照物PAが1つずつ配置される。ただし、参照物PAは、配置領域AR1の四隅以外の単位領域Aにも配置されてよい。
【0043】
参照物PAは、実際の単位領域Aに対して、予め決められた位置及び姿勢となるように配置されることが好ましい。例えば、参照物PAは、実際の単位領域Aに対してずれなく配置されてよく、参照物PAの前面Paが、配置先の単位領域AのX方向と反対方向側の辺に沿うように配置されてよい。参照物PAを配置する主体は任意であってよく、例えば作業員により参照物PAが配置されてよい。この場合例えば、作業員は、単位領域Aの周囲の白線を目視して、参照物PAを単位領域Aに対してずれなく配置する。
【0044】
(検出経路の設定)
情報処理装置14の経路設定部62は、参照物PAを検出するために移動体10が移動する経路である検出経路R0を設定する。検出経路R0は、参照物PAが配置される単位領域Aから所定距離範囲内を通る経路である。参照物PAが配置される単位領域Aから所定距離範囲内とは、移動体10に搭載されたセンサ26Aにより、参照物PAの位置及び姿勢を検出可能な距離の範囲内であることを指す。すなわち、検出経路R0は、センサ26Aにより、単位領域A上の参照物PAの位置及び姿勢を検出可能な位置を通る経路といえる。
【0045】
検出経路R0の設定方法は任意であってよい。例えば本実施形態では、情報処理装置14は、位置取得部60により、参照物PAが配置される単位領域Aの予測位置の位置情報である、予測位置情報を取得する。例えば、情報処理装置14の記憶部52に、予測位置を含む地図情報が記憶されており、位置取得部60は、記憶部52から、参照物PAが配置される単位領域Aの予測位置情報を読み出す。図6の例では、位置取得部60は、参照物PAが配置される単位領域Aの予測位置情報として、単位領域A11に対応するウェイポイントWP11の予測位置情報(x011、y011)と、単位領域A15に対応するウェイポイントWP15の予測位置情報(x015、y015)と、単位領域A51に対応するウェイポイントWP51の予測位置情報(x051、y051)と、単位領域A55に対応するウェイポイントWP55の予測位置情報(x055、y055)と、を取得する。
【0046】
本実施形態では、経路設定部62は、参照物PAが配置される単位領域Aの予測位置情報に基づき、検出経路R0を設定する。経路設定部62は、地図情報から、参照物PAが配置される単位領域Aの予測位置に対して所定距離範囲内にあるウェイポイントWPを抽出し、抽出したウェイポイントWPを通る経路を、検出経路R0として設定する。参照物PAが配置される単位領域Aが複数ある場合には、経路設定部62は、それら全ての単位領域Aについて、単位領域Aの予測位置に対して所定距離範囲内にあるウェイポイントWPを抽出し、抽出した全てのウェイポイントWPを通る経路を、検出経路R0として設定する。図6の例では、経路設定部62は、ウェイポイントWP11、WP15、WP51、WP55の予測位置に対して所定距離範囲内にある、ウェイポイントWPa、WPb、WPc、WPdを通る経路を、検出経路R0として設定する。
【0047】
情報処理装置14は、検出経路R0の情報を、検出経路R0に従って移動予定の移動体10に送信し、移動体10の経路取得部80は、情報処理装置14により設定された検出経路R0の情報を取得する。なお、検出経路R0に従って移動する移動体10は、後述する対象物Pを搬送する移動体10(目的位置の単位領域Aまで移動する移動体10)と同じ移動体であってもよいし、別の移動体10であってもよい。
【0048】
このように、本実施形態においては、情報処理装置14が検出経路R0を設定するが、検出経路R0の設定主体は、情報処理装置14に限られず任意であってよい。例えば、移動体10の経路取得部80が、上記と同様の方法で検出経路R0を設定してよい。
【0049】
(検出経路に従った移動)
移動体10の移動制御部82は、検出経路R0に従って移動体10を移動させる。より詳しくは、本実施形態では、移動体10の経路取得部80が、検出経路R0(レイアウトパス)に基づいて、第2検出経路(走行パス)を設定することが好ましい。この場合、経路取得部80は、検出経路R0と移動体10の車両仕様の情報とに基づき、第2検出経路を設定する。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。第2検出経路も、検出経路R0と同様に、参照物PAが配置される単位領域Aから所定距離範囲内を通る経路である。さらに言えば、第2検出経路は、第2移動体10Bによる追従が可能であり、かつ参照物PAが配置される単位領域Aから所定距離範囲内を通る経路である。
【0050】
移動制御部82は、移動体10の位置情報を逐次把握することで、設定された経路(本例では第2検出経路)を通るように、移動体10を移動させる。移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、移動制御部82は、検出体の検出に基づき移動体10の位置及び姿勢の情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置及び姿勢を検出する。移動体10の位置及び姿勢の情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。
【0051】
(参照物の検出)
移動体10の検出制御部84は、移動体10の移動中に、センサ26Aに参照物PAの位置及び姿勢を検出させ、センサ26Aによる参照物PAの位置及び姿勢の検出結果を取得する。本実施形態では、検出制御部84は、移動体10が検出経路R0(本例では第2検出経路)に従って移動している最中に、所定期間ごとに、センサ26Aに周囲を検出させることで、参照物PAの位置及び姿勢を検出させる。参照物PAが複数配置されている場合には、検出制御部84は、それぞれの参照物PAの位置及び姿勢を検出させて、それぞれの参照物PAの位置及び姿勢の検出結果を取得する。
【0052】
例えばセンサ26Aがレーザ光を照射する構成の場合、検出制御部84は、移動体10が検出経路R0(本例では第2検出経路)を移動中に、センサ26Aを横方向(水平方向)に走査させつつ、センサ26Aからレーザ光を照射させる。参照物PAは、センサ26Aからのレーザ光を反射して、センサ26Aは、参照物PAからの反射光を受光する。検出制御部84は、センサ26Aが受光した参照物PAからの反射光に基づき、参照物PAの位置及び姿勢を算出する。例えば、検出制御部84は、センサ26Aが取得した個々の計測点(受光した個々の反射光)の集合を点群とすると、点群に基づいて、参照物PAの位置及び姿勢を算出してよい。
【0053】
移動体10の検出制御部84は、センサ26Aによる参照物PAの位置及び姿勢の検出結果を、情報処理装置14に送信する。すなわち、情報処理装置14の検出結果取得部64は、移動体10から、参照物PAの位置及び姿勢の検出結果を取得する。なお、本実施形態では、移動体10の検出制御部84が、センサ26Aの検出に基づく参照物PAの位置及び姿勢の算出結果を、参照物PAの位置及び姿勢の検出結果として情報処理装置14に送信するが、それに限られない。例えば、移動体10の検出制御部84は、センサ26Aによる検出データ(例えば点群のデータ)を、参照物PAの位置及び姿勢の検出結果として情報処理装置14に送信し、情報処理装置14の検出結果取得部64が、センサ26Aによる検出データから、参照物PAの位置及び姿勢を算出してもよい。
【0054】
(単位領域の位置情報の設定)
情報処理装置14の位置取得部60は、参照物PAの位置及び姿勢の検出結果に基づき、配置領域AR1内の各単位領域Aの位置情報を算出する。参照物PAの位置及び姿勢の検出結果に基づく各単位領域Aの位置情報の算出方法は任意であってよいが、以下で本実施形態における算出方法の例を説明する。
【0055】
図7は、単位領域の位置情報の算出の一例を説明する模式図である。本実施形態では、位置取得部60は、参照物PAの位置及び姿勢から、その参照物PAが配置された単位領域Aの位置を算出する。例えば、参照物PAの位置及び姿勢に対する単位領域Aの位置(相対位置)が予め設定されており、位置取得部60は、この予め設定された相対位置と、参照物PAの位置及び姿勢の検出結果とに基づき、その参照物PAが配置された単位領域Aの位置を算出する。参照物PAが複数配置されている場合には、位置取得部60は、参照物PAが配置されたそれぞれの単位領域Aについて、その単位領域Aに配置された参照物PAの位置及び姿勢に基づき、単位領域Aの位置を算出する。例えば図6及び7の例では、位置取得部60は、単位領域A11に配置された参照物PAの位置及び姿勢に基づき、単位領域A11に対応するウェイポイントWP11の位置情報(x11、y11)を算出し、単位領域A15に配置された参照物PAの位置及び姿勢に基づき、単位領域A15に対応するウェイポイントWP15の位置情報(x15、y15)を算出し、単位領域A51に配置された参照物PAの位置及び姿勢に基づき、単位領域A51に対応するウェイポイントWP51の位置情報(x51、y51)を算出し、単位領域A55に配置された参照物PAの位置及び姿勢に基づき、単位領域A55に対応するウェイポイントWP11の位置情報(x55、y55)を算出する。
【0056】
そして、位置取得部60は、図7のステップS1、S2に示すように、参照物PAが配置された単位領域Aの位置の算出結果に基づいて、配置領域AR1内における各単位領域Aの位置を算出する。本実施形態では、位置取得部60は、参照物PAが配置された単位領域Aの位置の算出結果と、配置領域AR1の設計情報とに基づいて、各単位領域Aの位置を算出する。例えば、単位領域A12に対応するウェイポイントWP12の位置(x12、y12)は、ウェイポイントWP11の位置(x11、y11)から、ウェイポイントWP15の位置(x15、y15)に向けて、配置領域AR1の設計情報に示された単位領域Aの長さ1つ分離れた位置として、算出される。
【0057】
図8は、単位領域の位置情報の算出の他の例を説明する模式図である。図8のステップS3、S4に示すように、位置取得部60は、参照物PAが配置された四隅の単位領域Aの位置を結んだ線Dに囲われた領域が矩形に近づくように、参照物PAが配置された四隅の単位領域Aの位置を、補正してもよい。この場合例えば、位置取得部60は、参照物PAが配置された四隅の単位領域Aの位置を結んだ線Dの、矩形の外周からの乖離度合いを算出する。そして、位置取得部60は、乖離度合いが所定値未満である場合には、線Dが十分に矩形であるとして、四隅の単位領域Aの位置を補正しない。一方、位置取得部60は、乖離度合いが所定値以上である場合には、線Dを矩形の外周に近づけるように、四隅の単位領域Aの位置の少なくとも一部を補正する。ここでの補正方法は任意であってよいが、例えば、位置取得部60は、補正後の四隅の単位領域Aの位置と、補正前の四隅の単位領域Aの位置とのずれ量(第1ずれ量)が所定値以下であり、かつ、補正後の四隅の単位領域Aの位置を結んだ線Dと矩形の外周とのずれ量(第2ずれ量)が所定値以下となるように、補正後の四隅の単位領域Aの位置を算出してよい。例えば、位置取得部60は、最適化計算により、第1ずれ量と第2ずれ量とができるだけ小さくなるような、補正後の四隅の単位領域Aの位置を算出してよい。
【0058】
四隅の単位領域Aの位置を補正した場合には、補正した位置を、その四隅の単位領域Aの位置として取り扱い、四隅の単位領域Aの補正した位置に基づいて、上述と同様の方法で、配置領域AR1内における各単位領域Aの位置を算出する。
【0059】
位置取得部60は、以上のようにして、配置領域AR1内における各単位領域Aの位置情報を算出する。位置取得部60は、地図情報における各単位領域Aの位置情報を、単位領域Aの予測位置情報から、算出した各単位領域Aの位置情報に更新する。これにより、地図情報に含まれる各単位領域Aの位置情報は、参照物PAの位置及び姿勢に基づき設定された、精度の高いデータとなる。
【0060】
(処理フロー)
以上説明した単位領域の位置情報の設定の処理フローを説明する。図9は、単位領域の位置情報の設定を説明するフローチャートである。本実施形態においては、単位領域Aの位置情報を設定する際に、四隅の単位領域Aに参照物PAを配置する。そして、図9に示すように、情報処理装置14は、経路設定部62により、参照物PAが配置された単位領域Aから所定距離範囲内を通る検出経路R0を設定して(ステップS10)、検出経路R0の情報を移動体10に送信する(ステップS12)。移動体10は、検出経路R0に従って移動して、四隅の単位領域Aに配置された参照物PAの位置及び姿勢の検出結果を取得して、情報処理装置14に送信する。情報処理装置14は、移動体10から参照物PAの位置及び姿勢の検出結果を取得して(ステップS14)、位置取得部60により、参照物PAの位置及び姿勢に基づき、四隅の単位領域Aの位置情報を算出し(ステップS16)、四隅の単位領域Aの位置情報に基づき、各単位領域Aの位置情報を算出する(ステップS18)。このようにして算出した各単位領域Aの位置情報を、地図情報における各単位領域Aの位置情報として設定する。
【0061】
(移動体の作業)
移動制御システム1は、以上のようにして設定した地図情報における単位領域Aの位置情報に基づいて、移動体10を単位領域Aに向けて移動させる作業(例えば、単位領域Aへ対象物Pを搬送する作業や、単位領域Aから対象物Pを搬送する作業)を、実行させる。以下、具体的に説明する。
【0062】
(目的位置の設定)
図10は、移動体の単位領域への移動の一例を示す模式図である。管理装置12の目的位置設定部40は、移動体10の移動先である目的位置を設定する。本実施形態では、移動体10が設置領域AR1内の単位領域Aに移動することを例にして説明するため、目的位置設定部40は、移動先となる単位領域Aに対応する位置を、目的位置に設定する。例えば、目的位置設定部40は、移動先となる単位領域Aに対応するウェイポイントWPを選択して、目的位置として設定する。目的位置設定部40は、設置領域AR1内の任意の単位領域A(ウェイポイントWP)を目的位置としてよく、例えば、搬送すべき対象物Pと、対象物Pの搬送元及び搬送先とを示す、予め設定されたオーダー情報に基づいて、目的位置とする単位領域A(ウェイポイントWP)を設定してよい。図10の例では、単位領域A15(ウェイポイントWP1)が目的位置に設定されている。
【0063】
管理装置12は、設定した目的位置の位置情報を、情報処理装置14に送信する。すなわち、情報処理装置14の位置取得部60は、管理装置12の目的位置設定部40が設定した目的位置の位置情報を取得するといえる。
【0064】
(第1経路の設定)
情報処理装置14の経路設定部62は、目的位置の位置情報に基づき、移動体10の第1経路R1(レイアウトパス)を設定する。経路設定部62は、移動元から目的位置までを繋ぐ各ウェイポイントWPを選択して、地図情報が示すそれらの各ウェイポイントWPの位置同士を繋ぐ経路を、第1経路R1として設定する。移動元の位置は任意に設定されてよく、例えば移動体10が移動を開始する位置に最も近いウェイポイントWPを、移動元として設定してもよい。
【0065】
本実施形態では、設置領域AR1の単位領域Aが目的位置に設定されている。そのため、経路設定部62は、目的位置の位置情報と地図情報における各単位領域Aの位置情報とに基づき、X方向(設置ラインALに沿った方向)に沿って設置領域AR1内を通って目的位置に向かうように、移動体10の第1経路R1(レイアウトパス)を設定する。経路設定部62は、領域外区間R1Aとアプローチ区間R1Bとを含むように、第1経路R1を設定する。
【0066】
領域外区間R1Aは、第1経路R1のうちで、配置領域AR1外から配置領域AR1に向かう区間である。本実施形態の例では、領域外区間R1Aは、配置領域AR1外の移動元から、配置領域AR1外と配置領域AR1内との境界位置までの区間である。領域外区間R1Aは、目的位置を含む設置ラインALに対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWP(図10の例ではウェイポイントWPE)と、目的位置を含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP(図10の例ではウェイポイントWP11)とを結ぶ区間を含むことが好ましい。また、領域外区間R1Aは、移動体10が切り返して、フォーク24が設けられる後方向を進行方向に切り替えるための区間も含むことが好ましい。
【0067】
アプローチ区間R1Bは、第1経路R1のうちで、X方向に沿って配置領域AR1内を通って目的位置に到達する区間である。アプローチ区間R1Bは、目的位置としての、地図情報に示される単位領域Aの位置に到達する区間ともいえる。本実施形態の例では、アプローチ区間R1Bは、領域外区間R1Aに接続される。すなわち、アプローチ区間R1Bは、領域外区間R1Aの終点(目的位置を含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP)から、目的位置までを、目的位置を含む設置ラインAL内でX方向に繋ぐ区間である。図10の例では、設置ラインAL1内の単位領域A11~A14には対象物P(他対象物)が位置しておらず、目的位置は、設置ラインAL1内の単位領域A15に対応する位置に設定されている。そのため、アプローチ区間R1Bは、地図情報に示されるウェイポイントWP11の位置から、WP12、WP13、WP14を経て、地図情報に示されるウェイポイントWP15の位置までを繋ぐ経路となっている。
【0068】
情報処理装置14は、設定した第1経路R1の情報を、移動体10に送信する。すなわち、移動体10の経路取得部80は、情報処理装置14により設定された第1経路R1の情報を取得する。
【0069】
このように、本実施形態においては、情報処理装置14が第1経路R1を設定するが、第1経路R1の設定主体は、情報処理装置14に限られず任意であってよい。例えば、移動体10の経路取得部80が、上記と同様の方法で、第1経路R1を設定してよい。
【0070】
(第2経路の設定)
移動体10の経路取得部80は、第1経路R1に基づき、第2経路R2(グローバルパス)を設定する。より詳しくは、経路設定部82は、第1経路R1と移動体10の車両仕様の情報とに基づき、第2経路R2を設定する。第2経路R2も、第1経路R1と同様に、目的位置である単位領域Aまで到達する経路である。さらに言えば、第2経路R2は、移動体10による追従が可能であり、かつ、目的位置である単位領域Aまで到達する経路である。
【0071】
経路設定部82は、第1経路R1の領域外区間R1Aに対応する領域外区間R2Aと、第1経路R1のアプローチ区間R1Bに対応するアプローチ区間R2Bとを含むように、第2経路R2を設定する。
【0072】
領域外区間R2Aは、第2経路R2のうちで、配置領域AR1外の位置から配置領域AR1に向かう区間である。領域外区間R2Aは、目的位置を含む設置ラインALに対してX方向と反対側に位置するウェイポイントWP(図10の例ではウェイポイントWPE)と、目的位置を含む設置ラインALに含まれる最もX方向と反対側に位置するウェイポイントWP(図10の例ではウェイポイントWP11)とを結ぶ区間を含むことが好ましい。また、領域外区間R2Aは、移動体10が切り返して、フォーク24が設けられる後方向を進行方向に切り替えるための区間も含むことが好ましい。
【0073】
アプローチ区間R2Bは、第2経路R2のうちで、X方向に沿って配置領域AR1内を通って目的位置に到達する区間である。アプローチ区間R2Bは、目的位置としての、地図情報に示される単位領域Aの位置に到達する区間ともいえる。本実施形態の例では、アプローチ区間R2Bは、領域外区間R2Aに接続される。すなわち、アプローチ区間R2Bは、領域外区間R2Aの終点から目的位置までを、目的位置を含む設置ラインAL内でX方向に繋ぐ区間である。図10の例では、アプローチ区間R2Bは、地図情報に示されるウェイポイントWP11の位置から、WP12、WP13、WP14を経て、地図情報に示されるウェイポイントWP15の位置までを繋ぐ経路となっている。
【0074】
このように、本実施形態においては、移動体10が第2経路R2を設定するが、第2経路R2の設定主体は、移動体10に限られず任意であってよい。例えば、情報処理装置14が第2経路R2を設定して、移動体10の経路取得部80は、情報処理装置14から、第2経路R2の情報を取得してもよい。また、本実施形態においては、第1経路R1に基づき第2経路R2を設定するが、第2経路R2の設定方法はそれに限られず任意であってよい。第2経路R2は、目的位置の位置情報と地図情報における各単位領域Aの位置情報とに基づいた任意の方法で設定されてよい。
【0075】
(移動体の移動)
移動体10の移動制御部82は、第2経路R2に従って移動体10を移動させて、移動体10を目的位置である単位領域Aに到達させる。移動制御部82は、移動体10の位置情報を逐次把握することで、第2経路R2を通るように、移動体10を移動させる。
【0076】
(効果)
以上説明したように、本実施形態においては、単位領域Aに配置した参照物PAの位置及び姿勢を移動体10に検出させて、その検出結果に基づいて、地図情報における各単位領域Aの位置情報を算出する。本実施形態によると、実際の単位領域Aに配置した参照物PAの位置及び姿勢から、単位領域Aの位置を算出するため、実際の位置とのずれを抑制して、単位領域Aの位置の設定精度を向上できる。また、移動体10により参照物PAを検出させるため、単位領域Aの位置の設定の作業負荷を抑制できる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、参照物PAの位置及び姿勢を複数回検出させる点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0078】
第2実施形態においては、移動体10の検出制御部84は、センサ26Aに、参照物PAの位置及び姿勢を複数回検出させて、参照物PAの位置及び姿勢についての複数回の検出結果を取得する。ここでの1回の検出とは、参照物PAの位置及び姿勢を算出可能な一群の検出を指す。すなわち例えば、レーザ光を照射する場合には、レーザ光を走査して取得した一群の点群から参照物PAの位置及び姿勢が算出されるため、1回の検出とは、参照物PAの位置及び姿勢を算出するための、一群の点群を取得することに該当する。参照物PAの位置及び姿勢を複数回検出させる方法は任意であってよいが、例えば、移動体10が、参照物PAから所定範囲内の位置を複数回通り、通る度に検出を行わせることで、参照物PAの位置及び姿勢を複数回検出させてよい。また、参照物PAから所定範囲内の位置で停止しつつ、参照物PAの位置及び姿勢を複数回検出させてもよい。
【0079】
第2実施形態においては、情報処理装置14の位置取得部60は、参照物PAの位置及び姿勢の複数回の検出結果に基づき、配置領域AR1内の各単位領域Aの位置情報を算出する。例えば、位置取得部60は、参照物PAの位置及び姿勢の複数回の検出結果に基づき、その参照物PAが配置された単位領域Aの位置を算出して、参照物PAが配置された単位領域Aの位置から、各単位領域Aの位置情報を算出する。この場合例えば、位置取得部60は、参照物PAの検出結果毎に、その参照物PAが配置された単位領域Aの位置を算出して、検出結果毎の単位領域Aの位置の平均値又は中央値を、その単位領域Aの位置として設定する。すなわち例えば参照物PAを5回検出した場合には、その参照物PAが配置された単位領域Aの位置を5回算出して、それぞれの単位領域Aの位置の算出値を平均した値(又は中央値)を、その単位領域Aの位置として設定する。参照物PAが複数配置されている場合には、位置取得部60は、参照物PAが配置されたそれぞれの単位領域Aについて、同様の方法で単位領域Aの位置を設定する。
【0080】
図11は、第2実施形態における単位領域の位置の算出の他の例を説明するグラフである。上述の説明では、検出結果毎の単位領域Aの位置の平均値を、その単位領域Aの位置としたが、それに限られない。以降においては、参照物PAの1回の検出結果から算出された単位領域Aの位置を、適宜、単位領域の推定位置と記載する。本例では、位置取得部60は、単位領域Aのそれぞれの推定位置をカウントして、単位領域Aの推定位置と、単位領域Aがその推定位置であると算出される可能性の高さ度合いとの対応関係を、推定位置毎に算出する。例えば、図11では、ある単位領域Aについて、推定位置と、その推定位置であると算出される可能性の高さ度合い(図11の例では確率密度)との対応関係の例が、グラフで示されている。本例においては、位置取得部60は、四隅の単位領域Aのそれぞれについて同様の処理を行って、四隅の単位領域Aのそれぞれについて、推定位置と可能性の高さ度合いとの対応関係を算出する。なお、図11の例では、確率分布を、その推定位置であると算出される可能性の高さ度合いとして扱っているが、それに限られず、例えば、その推定位置となる頻度を、その推定位置であると算出される可能性の高さ度合いとして扱ってよい。
【0081】
本例では、位置取得部60は、四隅の単位領域Aのそれぞれの推定位置のうちから、四隅の推定位置を結んだ線で囲われた領域と矩形とのずれ量(矩形ずれ量)が所定値以下となり、かつ、その推定位置と算出される可能性が所定値以上となるような、四隅の単位領域Aの推定位置を選択する。さらに好ましくは、位置取得部60は、最適化計算により、四隅の単位領域Aのそれぞれの推定位置のうちから、矩形ずれ量が出来るだけ小さくなり、かつ、その推定位置と算出される可能性が出来るだけ高くなるような、四隅の単位領域Aの推定位置を選択してよい。位置取得部60は、選択した四隅の単位領域Aの推定位置を、四隅の単位領域Aの位置として設定する。例えば、四隅の単位領域Aが単位領域A11、A15、A51、A55である場合、位置取得部60は、単位領域A11、A15、A51、A55のそれぞれの推定位置のうちで、単位領域A11、A15、A51、A55の推定位置同士を結んだ線と矩形とのずれ量(矩形ずれ量)が出来るだけ小さくなり、かつ、その推定位置と算出される可能性が出来るだけ高くなるような、単位領域A11、A15、A51、A55の推定位置を選択して、単位領域A11、A15、A51、A55の位置とする。このようにして四隅の単位領域Aの位置を算出することで、単位領域Aの位置の算出精度をより好適に向上できる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、単位領域Aの位置情報を設定した後に、単位領域Aに向かって移動する移動体10の検出結果に基づき、単位領域Aの位置情報を更新する点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。第3実施形態は、第2実施形態にも適用可能である。
【0083】
図12は、第3実施形態に係る移動体の単位領域への移動の一例を示す模式図である。第3実施形態においては、地図情報における各単位領域Aの位置情報を設定したら、第1実施形態と同様の方法で、移動体10の経路R(第1経路R1や第2経路R2)を設定する。移動体10は、目的位置の単位領域Aに向けて、設定された経路Rに従って移動する。
【0084】
ここで、移動体10の経路Rは、目的位置の単位領域Aを含む設置ラインALを通って、設置ラインAL内における1つの単位領域A(目的位置の単位領域A)へ向かうように設定される。言い換えれば、移動体10の経路Rは、地図情報において設定された、設置ラインALに含まれる単位領域Aの位置を通って、目的位置の単位領域Aの位置に向かうように設定される。すなわち図12の例では、経路Rは、地図情報に示されるウェイポイントWP11の位置から、WP12、WP13、WP14を経て、地図情報に示されるウェイポイントWP15の位置までを繋ぐように設定される。
【0085】
第3実施形態においては、移動体10は、検出制御部84により、移動体10が経路R(本例では第2経路R2)に従って移動している最中に、経路R上の設置ラインALから、Y方向側(又はY方向と反対側)にはみ出すかを判断する。例えば、検出制御部84は、センサ26Aにより、設置ラインALのY方向側における境界(例えば白線)を検出させ、移動体10の位置と境界の位置とに基づいて、移動体10が設置ラインALからはみ出すかを判断する。例えば、検出制御部84は、移動体10の位置と境界の位置とが所定距離未満の場合に、はみ出すと判断してよい。
【0086】
移動体10が設置ラインALからはみ出すと判断したら、検出制御部84は、センサ26Aに、目的位置の単位領域Aに配置された対象物Pの位置及び姿勢を検出させる。検出制御部84は、目的位置の単位領域Aに配置された対象物Pの位置及び姿勢の検出結果を、情報処理装置14に送信する。なお、対象物Pの位置及び姿勢の検出方法は、第1実施形態における参照物PAの位置及び姿勢の検出方法と同様であってよい。
【0087】
情報処理装置14の位置取得部60は、移動体10が設置ラインALからはみ出すと判断されて、移動体10から対象物Pの位置及び姿勢の検出結果を取得したら、対象物Pの位置及び姿勢の検出結果に基づいて、単位領域Aの位置を算出し直す。位置取得部60は、地図情報における単位領域Aの位置を、算出し直した単位領域Aの位置に更新する。
【0088】
例えば、位置取得部60は、対象物Pの位置及び姿勢の検出結果に基づいて、その対象物Pが配置された単位領域Aの位置を算出する。対象物Pが配置された単位領域Aの位置の算出方法は任意であってよいが、例えば、対象物Pの位置及び姿勢に対する単位領域Aの位置(相対位置)が予め設定されており、位置取得部60は、この予め設定された相対位置と、対象物Pの位置及び姿勢の検出結果とに基づき、その対象物Pが配置された単位領域Aの位置を算出する。位置取得部60は、対象物Pが配置された単位領域Aの位置のみを、算出し直した値に更新してもよい。また、位置取得部60は、算出し直された単位領域Aの位置に基づいて、その単位領域Aが含まれる設置ラインAL上の各単位領域Aの位置を算出し直して、更新してもよい。また例えば、位置取得部60は、算出し直された単位領域Aの位置に基づいて、全ての単位領域Aの位置を算出し直して、更新してもよい。
【0089】
このように、第3実施形態においては、移動体10が設置ラインALからはみ出す場合に、実際に配置された対象物Pの検出結果に基づき、地図情報における単位領域Aの位置を更新する。これにより、地図情報における単位領域Aの位置を、実際の位置により好適に近づけることができる。
【0090】
(効果)
本実施形態の第1態様に係る位置情報の設定方法は、対象物Pが配置される可能性がある単位領域Aが、第1方向(X方向)及び第1方向に交差する第2方向(Y方向)に並んだ配置領域AR1内の、少なくとも1つの単位領域Aに、位置情報の設定に用いる参照物PAを配置するステップと、参照物PAが配置された単位領域Aから所定距離範囲内を通る、移動体10の検出経路R0を設定するステップと、参照物PAを検出可能なセンサ26Aが搭載された移動体10を、検出経路R0に従って移動させ、センサ26Aによって参照物PAの位置及び姿勢を検出させるステップと、参照物PAの位置及び姿勢に基づき、配置領域AR1内におけるそれぞれの単位領域Aの位置情報を算出するステップと、を含む。本開示によると、実際の単位領域Aに配置した参照物PAの位置及び姿勢から、単位領域Aの位置を算出するため、実際の位置とのずれを抑制して、単位領域Aの位置の設定精度を向上できる。また、移動体10により参照物PAを検出させるため、単位領域Aの位置の設定の作業負荷を抑制できる。
【0091】
本実施形態の第2態様に係る位置情報の設定方法は、第1態様に係る位置情報の設定方法であって、地図情報における単位領域Aの予測位置情報を取得するステップを更に含む。検出経路R0を設定するステップにおいては、参照物PAが配置された単位領域Aの予測位置情報に基づき、検出経路R0を設定し、単位領域Aの位置情報を算出するステップにおいては、地図情報における単位領域Aの位置情報を、予測位置から、参照物PAの位置及び姿勢に基づいて算出した単位領域Aの位置情報に更新する。本開示によると、実際の単位領域Aに配置した参照物PAの位置及び姿勢から、地図情報における単位領域Aの位置を更新するため、地図情報における単位領域Aの位置の設定精度を向上できる。
【0092】
本実施形態の第3態様に係る位置情報の設定方法は、第1態様又は第2態様に係る位置情報の設定方法であって、参照物PAを配置するステップにおいては、配置領域AR1のうちの四隅に位置する単位領域Aのそれぞれに、参照物PAを配置し、参照物PAの位置及び姿勢を検出させるステップにおいては、四隅の単位領域Aに配置されたそれぞれの参照物PAの位置及び姿勢を検出させ、単位領域Aの位置情報を算出するステップにおいては、参照物PAの位置及び姿勢に基づき、四隅の単位領域Aの位置を結んだ線Dで囲われた領域が矩形に近づくように、四隅の単位領域Aの位置情報を算出し、四隅の単位領域Aの位置情報に基づき、配置領域AR1内におけるそれぞれの単位領域Aの位置情報を算出する。四隅の単位領域Aに参照物PAを配置して、四隅の単位領域Aの位置から、各単位領域Aの位置を設定することで、各単位領域Aの位置を、より高精度に算出することが可能となる。
【0093】
本実施形態の第4態様に係る位置情報の設定方法は、第3態様に係る位置情報の設定方法であって、参照物PAの位置及び姿勢を検出させるステップにおいては、参照物PAのそれぞれについて、位置及び姿勢を複数回検出させ、単位領域Aの位置情報を算出するステップにおいては、参照物PAのそれぞれについての複数回の検出結果に基づき、四隅の単位領域Aの位置情報を算出する。参照物PAを複数回検出させることで、単位領域Aの位置を、より高精度に算出することが可能となる。
【0094】
本実施形態の第5態様に係る位置情報の設定方法は、第4態様に係る位置情報の設定方法であって、単位領域Aの位置情報を算出するステップにおいては、四隅の単位領域Aのそれぞれについて、参照物PAの複数回の検出結果毎に、単位領域Aの推定位置を算出し、四隅の単位領域Aの推定位置のうちから、四隅の単位領域Aの推定位置を結んだ線で囲われた領域と矩形とのずれ量が出来るだけ小さくなり、かつ、その推定位置と算出される可能性が出来るだけ高くなるような、四隅の単位領域Aの推定位置を選択して、選択した推定位置を、四隅の単位領域Aの位置とする。このようにして四隅の単位領域Aの位置を算出することで、単位領域Aの位置の算出精度をより好適に向上できる。
【0095】
本実施形態の第6態様に係る位置情報の設定方法は、第1態様から第5態様のいずれかに係る位置情報の設定方法であって、単位領域Aの位置情報に基づいて、単位領域Aが第1方向に並んだ領域である設置ラインALを通って、設置ラインAL内における1つの単位領域Aへ向かう経路Rを設定するステップと、移動体10を経路Rに従って移動させるステップと、経路Rに従って移動する移動体10が、設置ラインAL内から第2方向側にはみ出すと判断された場合に、移動体10に搭載されたセンサ26Aによって、単位領域Aに配置された対象物Pの位置及び姿勢を検出させるステップと、をさらに含む。単位領域Aの位置情報を算出するステップにおいては、対象物Pの位置及び姿勢の検出結果に基づき、単位領域Aの位置情報を更新する。本開示によると、地図情報における単位領域Aの位置を、実際の位置により好適に近づけることができる。
【0096】
本実施形態の第7態様に係るプログラムは、対象物Pが配置される可能性がある単位領域Aが、第1方向及び第2方向に並んだ配置領域AR1内における、単位領域Aの位置情報をコンピュータに設定させる。配置領域AR1内における少なくとも1つの単位領域Aには、位置情報の設定に用いる参照物PAが配置されている。本プログラムは、参照物PAが配置された単位領域Aから所定距離範囲内を通る、移動体10の検出経路R0を設定するステップと、参照物PAを検出可能なセンサ26Aが搭載された移動体10を、検出経路R0に従って移動させ、センサ26Aによって参照物PAの位置及び姿勢を検出させるステップと、参照物PAの位置及び姿勢に基づき、配置領域AR1内におけるそれぞれの単位領域Aの位置情報を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。本開示によると、単位領域Aの位置の設定精度を向上できる。
【0097】
本実施形態の第8態様に係る情報処理装置14は、対象物Pが配置される可能性がある単位領域Aが、第1方向及び第2方向に並んだ配置領域AR1内における、単位領域Aの位置情報を設定する。配置領域AR1内における少なくとも1つの単位領域Aには、位置情報の設定に用いる参照物PAが配置されている。情報処理装置14は、参照物PAが配置された単位領域Aから所定距離範囲内を通る、移動体10の検出経路R0を設定する経路設定部62と、参照物PAを検出可能なセンサ26Aが搭載された移動体10が、検出経路R0に従って移動しつつ検出した、参照物PAの位置及び姿勢を取得する検出結果取得部64と、参照物PAの位置及び姿勢に基づき、配置領域AR1内におけるそれぞれの単位領域Aの位置情報を算出する位置取得部60と、を含む。本開示によると、単位領域Aの位置の設定精度を向上できる。
【0098】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0099】
10 移動体
12 管理装置
14 情報処理装置
A 単位領域
AL 設置ライン
AR1 設置領域
P 対象物
PA 参照物
R0 検出経路
WP ウェイポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12