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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154242
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】緩衝材及び緩衝材の組立方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B65D81/05 500A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067973
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】田畑 綾華
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA80
3E066BA05
3E066CA04
3E066FA06
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA02
3E066MA09
(57)【要約】
【課題】装置により組み立て可能で、かつ緩衝距離を確保することができる緩衝材及び緩衝材の組立方法を提供する。
【解決手段】緩衝材100は、上部材10と下部材20で構成される。下部材20は、底板21と、底板21の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部22と、を備える。上部材10は、天板15と、天板15の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部16と、を備える。下部材20の上に被梱包物の例である製品400を配置し、製品400の上に上部材10を重ねて配置する。上部材10の側壁部16は、底板21と天板15とが対向して形成する空間の外に延在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第1の部材と、
天板と、前記天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第2の部材と、を備え、
前記第1の部材の前記底板の上に被梱包物が配置され、該被梱包物の上に前記第2の部材が配置され、前記第2の部材の側壁部は、前記第1の部材の前記底板と前記第2の部材の前記天板とが対向して形成する空間の外に延在する、
緩衝材。
【請求項2】
前記第1の部材の側壁部は、空間を規定し、該空間に被梱包物が配置される、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記第1の部材は、前記底板を浮かせて支持する脚部を備える、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記第1の部材の側壁部は、前記被梱包物と係合する係合部を備える、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項5】
前記第2の部材の前記側壁部は、前記底板と前記天板とから形成される空間の外に延在する、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項6】
前記第2の部材の前記側壁部は、前記天板を越えて延在する部分を備える、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項7】
前記第2の部材の前記側壁部は、前記被梱包物と係合する係合部を備える、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項8】
前記第1の部材と前記第2の部材の少なくとも一方は、折り込まれた一枚の板材から構成されている、請求項1から7の何れか1項に記載の緩衝材。
【請求項9】
底板と、前記底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第1の部材と、天板と、前記天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第2の部材と、を備え、前記第1の部材の前記底板の上に被梱包物が配置され、該被梱包物の上に前記第2の部材が配置され、前記第2の部材の側壁部は、前記第1の部材の前記底板と前記第2の部材の前記天板とが対向して形成する空間の外に延在する、緩衝材の組立方法であって、
前記底板と、前記底板の対向する一対の辺それぞれに繋がる一対の側壁部と、を有する平板状のワークを、中央部に開口を有するフレームを有する支持部に配置し、
前記ワークの中央部を押すことにより、前記底板を前記フレームの開口に押し込み、前記一対の辺をそれぞれ折り曲げて、前記一対の側壁部をそれぞれ前記底板から起立させる、
緩衝材の組立方法。
【請求項10】
底板と、前記底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第1の部材と、天板と、前記天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第2の部材と、を備え、前記第1の部材の前記底板の上に被梱包物が配置され、該被梱包物の上に前記第2の部材が配置され、前記第2の部材の側壁部は、前記第1の部材の前記底板と前記第2の部材の前記天板とが対向して形成する空間の外に延在する、緩衝材の組立方法であって、
前記天板と、前記天板の対向する一対の辺それぞれに繋がる一対の側壁部と、を有する平板状のワークを、中央部に開口を有するフレームを有する支持部に配置し、前記ワークの中央部を押すことにより、前記天板を前記フレームの開口に押し込み、前記一対の辺をそれぞれ折り曲げて、前記一対の側壁部を前記天板から起立させる、
緩衝材の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、緩衝材及び緩衝材の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱の緩衝材に関して、組立作業が容易で、落下時の衝撃を緩和するための緩衝距離(以下、クリアランス)を確保することができる緩衝材が提案されている。例えば、特許文献1には、平坦なシートの四辺を立ち上げることで各方向に緩衝部が形成される緩衝材が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、箱体内の対向底側辺に対称状態で配置し、両支持脚筒部の間にベース部を介在し、ベース部の両側辺で前記支持脚筒部を箱体の底の両側壁に押圧して組み立てた状態の支持脚筒部を対向させて維持し、補強側筒部の組立を行った補強側筒は支持脚筒両端部に、位置させて箱体へ収納することができる包装材を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-019051号公報
【0005】
【特許文献2】特開平6-293362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された緩衝材は、手作業での組立作業を前提とし、複雑な構造を有する。そのため、この緩衝材は、自動組立装置による組み立てには適さない。
【0007】
また、製品に、突出部分等の脆弱部がある場合、脆弱部と緩衝材が接触すると、落下衝撃が脆弱部に伝わって、脆弱部が破損するおそれがある。このため、脆弱部に接触する部分に避け穴を作成しなければならず、緩衝距離を確保するための穴もあるため緩衝材の剛性が低下する。
【0008】
特許文献2に開示された緩衝材は、自動包装機での組立は難しく、また両支持脚に上下以外の緩衝機能がない。
【0009】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、装置により組み立て可能で、かつ緩衝距離を確保することができる緩衝材及び緩衝材の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る緩衝材は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、2つの部材で構成される。第1の部材は、底板と、底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える。第2の部材は、天板と、天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える。第1の部材の底板の上に被梱包物が配置され、被梱包物の上に第2の部材が配置される。第2の部材の側壁部は、第1の部材の底板と第2の部材の天板とが対向して形成する空間の外に延在する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る緩衝材によれば、第1の部材と第2の部材により空間が形成され、この空間に被梱包材が配置されるため、クリアランスを確保することができる。この緩衝材は構成がシンプルであり、組立装置により、比較的容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態に係る緩衝材の使用形態を示す図
図2】実施の形態に係る下部材の斜視図
図3】実施の形態に係る下部材の上面図
図4】実施の形態に係る下部材の展開図
図5】実施の形態に係る下部材と外装箱の使用形態を示す図
図6】実施の形態に係る上部材の斜視図
図7】実施の形態に係る上部材の上面図
図8】実施の形態に係る上部材の展開図
図9】実施の形態に係る上部材と製品との係合関係を示す図
図10】実施の形態に係る下部材と製品と上部材との、上部材の天板を除去した状態での斜視図
図11】実施の形態に係る下部材と上部材の正面図
図12】実施の形態に係る下部材と上部材と製品の正面図の部分拡大図
図13】応用例に係る下部材と製品の斜視図
図14】応用例に係る下部材と製品との斜視図
図15図14に示す応用例に係る下部材と製品との側面図
図16】実施の形態に係る組立装置の斜視図
図17】(A)組立装置への下部材形成用ワークの配置位置を示す図、(B)組立装置への上部材形成用ワークの配置位置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る緩衝材100を図1図12を参照して説明する。
図1に示すように、緩衝材100は、上部材10と下部材20とから構成され、側面が開放された箱体形状を有する。緩衝材100は、外装箱200と協働して、側面から突出する突出部分を有する製品400を保護する。
【0014】
開示の理解を容易にするため、緩衝材100の高さ方向を+Z軸方向、緩衝材100の矩形状の底板の一辺と平行な方向をY軸方向、Y軸方向及びZ軸方向と直交する方向をX軸方向とするXYZ座標系を設定し、適宜参照する。
【0015】
使用段階では、緩衝材100は、外装箱200の内部に収納され、緩衝材100の内側に、包装対象の製品400が収納される。具体的には、外装箱200内の底フラップ201の上に下部材20が配置される。下部材20の底板21の上に、製品400が配置される。これにより、製品400は、底フラップ201、202から浮いた状態で、外装箱200内に支持される。製品400の上面が、上部材10により閉塞され、外装箱200の天フラップ203が封止される。
【0016】
以下の説明では、理解を容易にするため、包装対象の製品400はほぼ矩形状の本体と、本体の対向する2側面400aと400bから突出する突出部分401、402を備えるものとする。
【0017】
下部材20は、外装箱200に収容され、下面から製品400に加わる衝撃を緩衝する。下部材20は、1枚の板材、例えば、段ボール紙を組み立てることで形成される、上面が開放された箱体である。下部材20は、第1の部材の一例である。
【0018】
斜視図に相当する図2、平面図に相当する図3、展開図に相当する図4に示すように、下部材20は、底板21と、X軸方向の両側壁となる一対の側壁部22と、を有する。下部材20は、底板21と、一対の側壁部22と、により形成される空間に製品400を収納する。
【0019】
底板21は、平面視で、外装箱200とほぼ同様の、矩形状の外形形状を有する。底板21のX軸方向に対向する二側辺から、一対の側壁部22が立ち上がっている。
【0020】
底板21の側壁部22が立ち上がる辺の各中央部近傍には、台形状の開口22aが形成されている。これは、後述する脚部22bが形成されているためである。
【0021】
本実施の形態では、側壁部22の上辺と下辺の長さは等しく、Wとする。また、組み立てた状態での一対の側壁部22の外面の間隔をWとする。長さWと距離Wと外装箱200の内寸U1、U2を等しくすることで、下部材20の、外装箱200内の位置を固定する。ただし、これに限らず、図5に例示するように、段ボール使用量を削減するために距離Wを外装箱200の内寸U1よりも短くすることができる。この場合は、下部材20の脚部22bの先端部の幅を底フラップ201と202の間隔とをほぼ等しくし、下部材20の脚部22bの先端部を底フラップ201と202の間の凹部に入れることで、下部材20の外装箱200内の位置を固定してもよい。
【0022】
図1に示すように、上部材10は、製品400の上に載置された状態で外装箱200に収容され、上面から製品400に加わる衝撃を緩衝する。上部材10は、1枚の板材、例えば、段ボール紙を組み立てることで形成される。上部材10は、第2の部材の一例である。
【0023】
斜視図に相当する図6、平面図に相当する図7、展開図に相当する図8に示すように、上部材10は、天板15と、天板15のX軸方向の両側壁となる一対の側壁部16と、を有する。
【0024】
天板15は、突出部分401及び402を除いた製品400の本体部の底面積と同じ、もしくは段ボールの製造公差を考慮したひと回り大きい面積を有し、製品400の本体部分の上に載置される。
【0025】
一対の側壁部16は、天板15のX軸方向の両側辺から起立している。起立した一対の側壁部16の外面間の距離Vは、外装箱200の内寸Uから、下部材20を構成する段ボールの2枚分の厚さを減算した値もしくは段ボールの製造公差を考慮した値である。また、一対の側壁部16の長さVは、外装箱200の内寸Uとほぼ等しいかもしくは段ボールの製造公差を考慮した値であり、天板15よりも長く形成されている。
【0026】
一対の側壁部16は、底板21と天板15とが形成する空間外にZ軸方向に延在し、外装箱200の上面との間にクリアランス空間を形成し、外装箱200に対して天板15を支持する支持部として機能する。
【0027】
一対の側壁部16は、Y軸方向のクリアランスを確保し、脆弱な突出部分401,402を保護する空間を形成するために、Y軸方向に天板15を越えた領域に延在する突出部分11~14を備える。突出部分11~14は、また、製品400と係合するために、天板15の下側-Z軸方向にも突出する。
【0028】
この構成においては、図9に模式的に示すように、突出部分11の辺11aは、外装箱200の一方の内壁に当接し、突出部分12の辺12aは、外装箱200の対向する他方の内壁に当接する。また、突出部分11の辺11bは、製品400の一方の側面400aに当接し、突出部分12の辺12bは、製品400の他方の側面400bに当接する。
【0029】
同様に、突出部分13の辺13aは、外装箱200の一方の内壁に当接し、突出部分14の辺14aは、外装箱200の他方の内壁に当接する。また、突出部分13の辺13bは、製品400の一方の側面400aに当接し、突出部分14の辺14bは、製品400の他方の側面400bに当接する。
【0030】
これにより、一方の側壁部16の突出部分11と突出部分12とで、製品400の本体部の+X側端部をY軸方向に挟み込む。また、これにより、他方の側壁部16の突出部分13と突出部分14とで、製品400の本体部の-X側端部をY軸方向に挟み込む。従って、一対の側壁部16は、製品400と係合する係合部としての機能を有する。側壁部16との係合により、外装箱200内の製品400のY軸方向の位置が固定される。
【0031】
また、製品400の突出部分401の突出長さをLとすると、突出長さLは、突出部分11、13の辺11c、13cの長さより小さい。同様に、製品400の突出部分402の突出長さをLとすると、突出長さLは、突出部分12、14の辺12c、14cの長さより小さい。これにより、製品400の突出部分401は、突出部分11、13とで形成される空間に保護され、突出部分402は、突出部分12,14とで形成される空間に保護される。
【0032】
突出部分11、13の辺11c、13cの長さ、及び突出部分12、14の辺12c、14cの長さを調整することで、任意の突出長さの突出部分を有する製品を保護することができると共に外装箱200内の製品400のY軸方向の位置を調整できる。
【0033】
図10に示すように、上部材10は、外装箱200の内部で、下部材20と組み合わされて、製品400を囲むように使用される。また、脆弱部を保護する上部材10の材質を上げ、下部材20の材質を下げるなど、部材に必要な強度に合わせて材質を変更することでコスト削減が可能である。なお、図9は、天板15を取り除いて状態での斜視図である。
【0034】
下部材20の底板21から側壁部22の上辺までの距離をWとし、上部材10の天板15から上辺までの距離をVとする。距離Wを製品400の高さと距離Vを足し合わせた数値に等しい値にすることで、天面方向からの衝撃を、下部材20の側壁部22と上部材10の側壁部16とで負荷することができ、高い緩衝性を確保できる。しかし、材料使用量を削減するために、下部材20の側壁部22の距離Wを小さくし、天面方向からの衝撃を上部材10の側壁部16だけで負荷してもよい。
【0035】
図11及び図12に示すように、上部材10と下部材20を組み合わせた際に、突出部分11~14が、上部材10の内側に入るように、側壁部16を傾斜させることが望ましい。天板15と側壁部16がなす角度をθとすると、90°≦θ<180°の範囲で、側壁部16を傾斜させることが望ましい。側壁部16を傾斜させることにより、製品400の形状が完全な直方体でなく、図13,14に例示するように、台形体で、製品400の1対の側壁部の片側の辺がもう片側の辺よりも多少小さいような形状でも、角度θを変化させることで突出部分11~14が製品400と接触するようにし、緩衝機能を持たせることができる。なお、対向する側壁部16の傾斜角θは互いに異なっていてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る緩衝材100は、上部材10と下部材20で構成される。下部材20は、底板21と、底板21の一対の辺からそれぞれ立ち上がった側壁部22と、を備える。上部材10は、天板15と、天板15の一対の辺からそれぞれ立ち上がった側壁部16と、を備える。下部材20の上に被梱包物の例である製品400を配置し、製品400の上に上部材10を重ねて配置する。上部材10の側壁部16は、下部材20の底板21と上部材10の天板15とにより形成される空間のY軸方向及びX軸方向の外に延在する。
このような構成を有することにより、脆弱な部分である突出部分401,402を有する製品400を衝撃から保護することができる。
【0037】
応用例
上記実施の形態では、製品400の突出部分401、402を保護するためのY軸方向のクリアランスを、上部材10の突出部分11~14により確保している。下部材20に、製品400の突出部分401、402を保護するためのY軸方向のクリアランスを確保するための構成を配置してもよい。例えば、図14に例示するように、下部材20の一対の側壁部22の両端または片端に、側壁部22が分裂するように切れ込みを入れることで、側壁部22に、突出部分23~26を配置してもよい。突出部分23~26を形成する切り込みは、製品400の側面400a又は400bとほぼ等しい位置に形成されることが望ましい。こうすると、図15に模式的に示すように、突出部分23、24は製品400の側面400aに接触し、突出部分25、26は製品400の側面400bに接触する。これにより、突出部分23と突出部分25とで、製品400の本体部+X側端部をY軸方向に挟み込み、突出部分24と突出部分26とで、製品400の本体部の-X側端部をY軸方向に挟み込むことができ、底板21と側壁部22とに製品400と係合する係合部を形成することができる。
【0038】
この構成によれば、Y軸方向の衝撃に対して、突出部分11~24と突出部分23~26が製品400と外装箱200の間に存在し、衝撃を和らげる。なお、下部材20に突出部分23~26を形成する場合には、上部材10に突出部分11~14を設けない構成も可能である。ただし、設けることが望ましい。
【0039】
また、この構成によれば、側壁部22に切り込みを形成し、さらに、側壁部22を支えつつ、底板21の切り込みより端の部分を―Z軸方向に押しこむだけで突出部分23~26を作成することができ、製造が容易である。
【0040】
さらに、突出部分23~26は、底面方向に突出させ、脚部22bと同じ、もしくは若干小さい突出長さになるようにすることで、実施の形態1と同じ外装箱200の高さで、突出部分401、402を保護するためのクリアランスが確保でき緩衝能力の向上が期待できる。
【0041】
次に、上記構成を有する緩衝材100を組み立てる組立装置300の一例を説明する。
図16に示すように、組立装置300は、押下部310と、平板状態の上部材10又は下部材20を支持する支持部320を備える。
【0042】
押下部310は、X-Y平面に配置されたフレーム311と、フレーム311上をX軸方向及びY軸方向に移動可能で、Z軸方向に伸縮する押し治具312と、押し治具312の下端部に取り付けられた吸着装置313とを備える。
【0043】
押し治具312は、先端に配置された吸着装置313で、平板状態のワーク、ここでは、上部材10の天板15形成部分又は下部材20の底板21形成部分を吸着し、支持部320上に位置合わせし、載置する。続いて、押し治具312は、吸着したまま上部材10の天板15形成部分又は下部材20の底板21形成部分を下方に押し下げる。
【0044】
支持部320は、X-Y平面に配置されたフレーム321と、フレーム321上をX軸方向に移動可能なX軸方向可動フレーム322と、X軸方向可動フレーム322に固定された折り爪部材323と、フレーム321上をY軸方向に移動可能なY軸方向可動フレーム324と、を備える。
【0045】
X軸方向可動フレーム322とY軸方向可動フレーム324とは、ワークのサイズに合わせて、X軸方向とY軸方向にそれぞれ移動し、中央部に開口327を形成する。
折り爪部材323は、X軸方向可動フレーム322からほぼ垂直に立ち上がる起立部と外側に傾斜した傾斜部とを有し、平板状のワークの中央部分が開口327に押し込まれるときに、ワークの周縁部を折り曲げる。
【0046】
即ち、底板21又は天板15と、底板21又は天板15の対向する一対の辺それぞれに繋がる一対の側壁部22又は側壁部16と、を有する平板状のワークを、中央部に開口327を有するフレームを有する支持部320に配置する。
そして、ワークの中央部を押すことにより、底板21又は天板15をフレームの開口327に押し込み、一対の辺をそれぞれ折り曲げて、一対の側壁部22又は16をそれぞれ底板21又は15から起立させる。
【0047】
本実施形態では、下部材20の組み立て用と上部材10の組み立て用に、組立装置300をそれぞれ1台使用する。区別のため、下部材20を組み立てるための組立装置を300A,上部材10を組み立てるための組立装置を300Bとする。
【0048】
外装箱200を搬送装置、例えば、ベルトコンベアで、組立装置300Aの開口327の直下に位置するように搬送し、続いて、組立装置300Aから組立装置300Bに外装箱200を搬送し、組立装置300Bから外装箱200を搬出するように、搬送システムを構成する。また、外装箱200を組立装置300Aから組立装置300Bに搬送する途中で、製品400を外装箱200内に配置するように、配置用ロボットなどを設置する。
【0049】
次に、製品400の外形寸法に応じた外装箱200形成用のワークと、平板状態の上部材10形成用のワークと平板状態の下部材20形成用のワークを用意する。
【0050】
さらに、図17(A)に示すように、組立装置300Aの折り爪部材323が、下部材20形成用のワークの底板21形成予定領域と側壁部22形成予定領域の境界線に臨むように、組立装置300AのX軸方向可動フレーム322を位置合わせする。同様に、図17(B)に示すように、組立装置300Bの折り爪部材323が、上部材10形成用のワークの天板15形成予定領域と側壁部16形成予定領域の境界線に臨むように、組立装置300BのX軸方向可動フレーム322を位置合わせする。なお、境界線に予め折り目、ミシン目等の折り曲げを容易とする加工を施しておいてもよい。
【0051】
以上の準備工程後、外装箱200を、例えば、製函機で組み立て、底面を閉じ、上面を開いた状態とする。
次に、搬送装置により組立装置300Aの真下まで搬送し、外装箱200の上面が、組立装置300Aの開口327に位置合わせされた状態とする。
【0052】
次に、組立装置300Aの押し治具301は吸着装置303で下部材20形成用ワークの底板21形成予定領域を吸着し、図17(A)に示す位置に位置合わせする。位置合わせが完了すると、押し治具301は伸長して、底板21に相当する部分を開口327を介して外装箱200内に半押し状態で挿入する。このとき、底板21の両側の側壁部22に相当する部分は、折り爪部材323にガイドされ、起立させられる。
【0053】
この状態で、外装箱200を組立装置300Aから300Bに搬送する。その間に、ロボットアームで、製品400を外装箱200の上面から挿入する。下部材20が外装箱200に半挿しの状態で挿入されているため、下部材20は少し広がった状態で保持されており、ここの底板21の上に製品400が配置される。製品400を挿入するときに、下部材20を外装箱200の中に完全に収まるように押し込む。
【0054】
外装箱200が組立装置300Bに到達すると、組立装置300Bは、上部材10形成用ワークの天板15形成予定領域を吸着装置303で吸着し、図17(B)に示すように位置合わせする。続いて、押し治具301を伸長して、天板15の中央部を外装箱200に挿入する。このとき、側壁部16が折り爪部材323にガイドされ、立ち上がり、製品400が側壁部16と係合する。また、上部材10を構成する板材の弾性により、側壁部16は、図11及び図12に示すように角度θ傾斜した状態となる。以上で、一連の緩衝材組み立て作業が完了する。
最後に、外装箱200を封函機まで移動させ、天面を閉じることで包装作業が完了する。
【0055】
このように、本実施の形態にかかる緩衝材100は比較的簡易な構造の組立装置300により、容易に組み立て可能である。
【0056】
なお、組立装置300の構成、システム配置等は一例であり、適宜変更可能である。例えば、1台の組立装置で、下部材20の組み立てと上部材10の組み立てを行って、順に外装箱200に挿入するようにしてもよい。
【0057】
以上、本開示の実施の形態を説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上部材10と下部材を構成する板材は、ダンボール以外の材料、例えば、金属板、樹脂版等でもよい。
【0058】
(付記1)
底板と、前記底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第1の部材と、
天板と、前記天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第2の部材と、を備え、
前記第1の部材の前記底板の上に被梱包物が配置され、該被梱包物の上に前記第2の部材が配置され、前記第2の部材の側壁部は、前記第1の部材の前記底板と前記第2の部材の前記天板とが対向して形成する空間の外に延在する、
緩衝材。
【0059】
(付記2)
前記第1の部材の側壁部は、空間を規定し、該空間に被梱包物が配置される、付記1に記載の緩衝材。
【0060】
(付記3)
前記第1の部材は、前記底板を浮かせて支持する脚部を備える、付記1又は2に記載の緩衝材。
【0061】
(付記4)
前記第1の部材の側壁部は、前記被梱包物と係合する係合部を備える、付記1から3の何れか1つに記載の緩衝材。
【0062】
(付記5)
前記第2の部材の前記側壁部は、前記底板と前記天板とから形成される空間の外に延在する、付記1から4の何れか1つに記載の緩衝材。
【0063】
(付記6)
前記第2の部材の前記側壁部は、前記天板を越えて延在する部分を備える、付記1から5の何れか1つに記載の緩衝材。
【0064】
(付記7)
前記第2の部材の前記側壁部は、前記被梱包物と係合する係合部を備える、付記1から6のいずれか1つに記載の緩衝材。
【0065】
(付記8)
前記第1の部材と前記第2の部材の少なくとも一方は、折り込まれた一枚の板材から構成されている、請求項1から7の何れか1つに記載の緩衝材。
【0066】
(付記9)
底板と、前記底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第1の部材と、天板と、前記天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第2の部材と、を備え、前記第1の部材の前記底板の上に被梱包物が配置され、該被梱包物の上に前記第2の部材が配置され、前記第2の部材の側壁部は、前記第1の部材の前記底板と前記第2の部材の前記天板とが対向して形成する空間の外に延在する、緩衝材の組立方法であって、
前記底板と、前記底板の対向する一対の辺それぞれに繋がる一対の側壁部と、を有する平板状のワークを、中央部に開口を有するフレームを有する支持部に配置し、
前記ワークの中央部を押すことにより、前記底板を前記フレームの開口に押し込み、前記一対の辺をそれぞれ折り曲げて、前記一対の側壁部をそれぞれ前記底板から起立させる、
緩衝材の組立方法。
【0067】
(付記10)
底板と、前記底板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第1の部材と、天板と、前記天板の一対の辺から立ち上がる一対の側壁部と、を備える第2の部材と、を備え、前記第1の部材の前記底板の上に被梱包物が配置され、該被梱包物の上に前記第2の部材が配置され、前記第2の部材の側壁部は、前記第1の部材の前記底板と前記第2の部材の前記天板とが対向して形成する空間の外に延在する、緩衝材の組立方法であって、
前記天板と、前記天板の対向する一対の辺それぞれに繋がる一対の側壁部と、を有する平板状のワークを、中央部に開口を有するフレームを有する支持部に配置し、前記ワークの中央部を押すことにより、前記天板を前記フレームの開口に押し込み、前記一対の辺をそれぞれ折り曲げて、前記一対の側壁部を前記天板から起立させる、
緩衝材の組立方法。
【符号の説明】
【0068】
10 上部材、11 突出部分、11a 辺、11b 辺、11c 辺、12 突出部分、12a 辺、12b 辺、12c 辺、13 突出部分、13a 辺、13b 辺、13c 辺、14 突出部分、15 天板、16 側壁部、20 下部材、21 底板、22 側壁部、22a 開口、22b 脚部、23 突出部分、24 突出部分、25 突出部分、26 突出部分、100 緩衝材、200 外装箱、201 底フラップ、202 底フラップ、203 上面フラップ、300 組立装置、300A、300B 組立装置、301 押し治具、310 押下部、311 フレーム、312 押し治具、303、313 吸着装置、320 支持部、321 フレーム、322 X軸方向可動フレーム、323 折り爪部材、324 Y軸方向可動フレーム、327 開口、400 製品、401、402 突出部分、401a、401b 側面
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