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  • 特開-画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154261
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241023BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068004
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】小林 優也
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA24
2H270LA71
2H270LA72
2H270MA14
2H270MA35
2H270MB27
2H270SA09
2H270SB16
2H270SB20
2H270SB23
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 冷却液の減少に起因するプリント画質の低下を抑制する画像形成装置を得る。
【解決手段】 画像形成装置において、冷却装置11は、冷却液を循環させて内部装置から吸熱するとともに排熱する。冷却液減少量推定部42は、当該画像形成装置の稼働履歴に基づいて冷却液の減少量を推定する。制御部41は、(a)内部装置に対して画像形成のプロセス制御を行い、(b)推定された減少量に応じてプロセス制御を変更する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において、
内部装置と、
冷却液を循環させて前記内部装置から吸熱するとともに排熱する冷却装置と、
当該画像形成装置の稼働履歴に基づいて前記冷却液の減少量を推定する冷却液減少量推定部と、
前記内部装置に対して画像形成のプロセス制御を行い、推定された前記減少量に応じて前記プロセス制御を変更する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記内部装置は、現像装置であり、
前記制御部は、前記減少量が所定の第1閾値を超えた場合、前記現像装置の現像バイアスを高くすること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
定着器をさらに備え、
前記制御部は、前記減少量が前記第1閾値を超えた場合、前記現像装置の現像バイアスを高くするとともに、前記定着器の定着温度を高くすること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記内部装置が設置されている内部空間に対する吸気または排気を行う空冷ファンをさらに備え、
前記制御部は、前記減少量が所定の第1閾値を超えた場合を、前記空冷ファンを稼働させること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記減少量が所定の第1閾値を超えた場合、前記プロセス制御を変更し、前記減少量が所定の第2閾値を超えた場合、前記冷却装置の動作を停止させ、
前記第2閾値は、前記第1閾値より大きいこと、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記冷却液減少量推定部は、(a)当該画像形成装置の稼働履歴として、当該画像形成装置の動作期間における複数の機内温度範囲のそれぞれについての累積時間と、当該画像形成装置の非動作期間の累積時間とを特定し、(b)当該画像形成装置の動作期間における複数の機内温度範囲のそれぞれについての累積時間と、当該画像形成装置の非動作期間の累積時間とに基づいて、前記減少量を推定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、液冷システムを備え、当該画像形成装置の稼働状況に応じて、液冷システムにおける熱交換器の冷却能力を変化させている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-169276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような液冷システムは、冷却液を循環させて吸熱および排熱を行っている。このような液冷システムにおける冷却液は、揮発などによって経時的に減少していく。冷却液が減少すると、冷却液の流量が小さくなって冷却効率が低下しプリント画質が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、冷却液の減少に起因するプリント画質の低下を抑制する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、内部装置と、冷却液を循環させて前記内部装置から吸熱するとともに排熱する冷却装置と、当該画像形成装置の稼働履歴に基づいて前記冷却液の減少量を推定する冷却液減少量推定部と、前記内部装置に対して画像形成のプロセス制御を行い、推定された前記減少量に応じて前記プロセス制御を変更する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷却液の減少に起因するプリント画質の低下を抑制する画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
図3図3は、図1におけるタンク22における冷却液の液位について説明する図である。
図4図4は、図1図3に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。図1に示す画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式のプリント機能を有する装置である。
【0012】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a~1d、露光装置2および現像装置3a~3dを有する。感光体ドラム1a~1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体であり、感光体ドラム1a~1d上には静電潜像が形成される。露光装置2は、感光体ドラム1a~1dに光(ここではレーザー光)を照射して感光体ドラム1a~1d上に静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0013】
現像装置3a~3dは、トナーカートリッジ内のトナーを現像ローラー4で感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させて現像を行い、トナー画像を形成する。感光体ドラム1aおよび現像装置3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像装置3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像装置3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像装置3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0014】
中間転写ベルト5は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を転写され担持する環状の像担持体である。中間転写ベルト5は、駆動ローラー6aおよびテンションローラー6bに張架され、駆動ローラー6aからの駆動力によって、感光体ドラム1aとの接触位置から感光体ドラム1dとの接触位置への方向へ周回していく。
【0015】
2次転写ローラー7は、搬送されてくるプリントシート(プリント用紙など)を中間転写ベルト5に接触させ、中間転写ベルト5上のトナー像をプリントシートに2次転写する。トナー像を2次転写されたプリントシートは、定着器10へ搬送される。定着器10は、ヒーターを備え、ヒーターを使用して加熱加圧方式でトナー像をプリントシートに定着する。
【0016】
濃度センサー8は、中間転写ベルト5に光を照射し、その反射光(例えば正反射光と拡散反射光)を受光し、受光した反射光の光量に対応する電気信号を出力する反射型光学式センサーである。濃度センサー8は、キャリブレーション用トナー像(後述の調整用画像パターンなど)が中間転写ベルト5に1次転写された後、中間転写ベルト5上のそのトナー像の濃度を光学的に検出する。
【0017】
1次転写ローラー9a~9dは、それぞれ、中間転写ベルト5を挟んで、感光体ドラム1a~1dに対向して配置され、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を感光体ドラム1a~1dから中間転写ベルト5へ1次転写する。
【0018】
さらに、図1に示す画像形成装置は、液冷方式の冷却装置11を備える。冷却装置11は、冷却液を循環させて画像形成装置における内部装置(ここでは、現像装置3a~3d)から吸熱するとともに排熱する。具体的には、冷却装置11は、例えば図1に示すように、吸熱部21、タンク22、ポンプ23、排熱部24、および配管25を備える。吸熱部21は、内部装置に設けられた伝熱部材を介して内部装置(ここでは、現像装置3a~3d)から冷却液へ熱を伝達させる。タンク22は、冷却液を蓄積している。ポンプ23は、冷却液に圧力を与えて、配管25を介して冷却液を吸熱部21および排熱部24に循環させる。排熱部24は、ラジエター、およびラジエターへの通風を行うファンを備える。また、タンク22には、液漏れセンサー22aが設けられている。液漏れセンサー22aは、例えばPI(Photo Interruption)センサーであって、タンク22内の冷却液の液位が所定位置未満であるか否かを検出する。
【0019】
図2は、図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図2に示すように、図1に示す画像形成装置は、コントローラー31をさらに備える。
【0020】
コントローラー31は、画像形成装置内の各部を電気的に制御する。コントローラー31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピューターなどを備え、ハードウェア処理およびソフトウェア処理の一方または両方を行う各種処理部として動作する。
【0021】
ここでは、コントローラー31は、制御部41および冷却液減少量推定部42として動作する。
【0022】
制御部41は、ユーザーにより指定された対象画像に対して所定の画像処理(ガンマ曲線による階調調整、ハーフトーニングなど)を行い、図1に示す機械的構成(感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなど)による画像形成のプロセス制御(感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなどへのパラメーターの設定)を行って、画像処理後の対象画像のプリントを実行する。
【0023】
冷却液減少量推定部42は、当該画像形成装置の稼働履歴に基づいて上述の冷却液の減少量を推定する。なお、稼働履歴と冷却液の減少量との対応関係(導出式、変換テーブルなど)が予め実験などで特定されており、冷却液減少量推定部42は、その対応関係に従って、当該画像形成装置の稼働履歴に対応する上述の冷却液の減少量を特定する。そして、制御部41は、冷却液減少量推定部42により推定された減少量に応じて上述のプロセス制御(設定すべきパラメーターの値)を変更する。
【0024】
具体的には、例えば、冷却液減少量推定部42は、(a)当該画像形成装置の稼働履歴として、当該画像形成装置の動作期間における複数の機内温度範囲のそれぞれについての累積時間と、当該画像形成装置の非動作期間の累積時間とを特定し、(b)当該画像形成装置の動作期間における複数の機内温度範囲のそれぞれについての累積時間と、当該画像形成装置の非動作期間(電源オフの期間およびスリープ期間、つまり室温の期間)の累積時間とに基づいて、減少量を推定する。
【0025】
例えば、非動作期間の累積時間をt0、第1機内温度範囲(温度T1以下の範囲)の累積時間をt1、第2機内温度範囲(温度T1より大きく温度T2以下の範囲)の累積時間をt2、第3機内温度範囲(温度T2より大きい範囲)の累積時間をt3としたとき、次式に従って、減少量DCが導出される。
【0026】
DC=a0×t0+a1×t1+a2×t2+a3×t3
【0027】
ここで、a0、a1、a2およびa3は、t0、t1、t2およびt3のそれぞれについての重み係数であり、実験などで予め特定される。
【0028】
機内温度が高いほど冷却液の揮発量が増えるため、このように、機内温度に応じた重み係数a0、a1、a2およびa3を使用することで、正確に減少量DCが推定される。
【0029】
この実施の形態では、制御部41は、推定された減少量が所定の第1閾値を超えた場合(つまり、冷却液の残量が少なくなった場合)、冷却能力が低下し現像装置3a~3dの温度上昇が発生していると推定し、プリント画質を維持するために現像装置3a~3dの現像バイアスを高くする。
【0030】
また、制御部41は、推定された減少量がその第1閾値を超えた場合、現像装置3a~3dの現像バイアスを高くするとともに、定着器10の定着温度を高くするようにしてもよい。
【0031】
さらに、当該画像形成装置では、内部装置が設置されている内部空間に対する吸気または排気を行う空冷ファン(図示せず)が設置されている。制御部41は、推定された減少量がその第1閾値を超えた場合を、その空冷ファンを稼働させるようにしてもよい。これにより、冷却液の減少に起因する冷却能力の低下が補償される。
【0032】
また、制御部41は、減少量が所定の第1閾値を超えた場合、上述のようにプロセス制御を変更し、その後、減少量が、第1閾値より大きい所定の第2閾値を超えた場合、冷却装置11の動作を停止させる。
【0033】
図3は、図1におけるタンク22における冷却液の液位について説明する図である。例えば図3に示すように、冷却液の減少量が第1閾値以下である場合、冷却液の液位は正常液位となっている。その後、経時的に冷却液が減少し、冷却液の減少量が第1閾値を超えると、冷却液の液位は第1液位より低くなる。さらに、その後、経時的に冷却液が減少し、冷却液の減少量が第2閾値を超えると、冷却液の液位は第2液位より低くなる。また、第2液位は、液漏れが検出される液位より高く設定されている。
【0034】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。図4は、図1図3に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0035】
制御部41は、定期的に機内温度を監視し、上述の累積時間をカウントしていく。なお、電源オフの期間の機内温度については、例えば、電源オンに切り替えられた直後の温度(つまり、室温)とされる。
【0036】
制御部41は、ユーザーからの要求に従って、対象画像に対して所定の画像処理を行い、感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなどを制御して、画像処理後の対象画像のプリントを実行する。このような動作によって、機内温度が変化する。
【0037】
また、制御部41および冷却液減少量推定部42は、定期的に、以下の処理を実行する。
【0038】
まず、制御部41は、液漏れセンサー22aの出力に基づいて、冷却液の液漏れが検出されているか否かを判定する(ステップS1)。
【0039】
冷却液の液漏れが検出されていないと判定された場合、冷却液減少量推定部42は、上述のようにして現時点での冷却液の減少量DCを導出する(ステップS2)。
【0040】
制御部41は、減少量DCが第1閾値を超えたか否かを判定する(ステップS3)。
【0041】
減少量DCが第1閾値を超えたと判定した場合、制御部41は、上述のように、プリント画質の維持のためのプロセス制御の切り替え(現像バイアスの変更、定着温度の変更など)、および空冷ファンの稼働(ステップS4,S5)の他、ユーザー、管理者、サービスパーソンなどへの警告メッセージの送信(例えば電子メールの送信や、操作パネルでのメッセージの表示など)を行う(ステップS6)。
【0042】
また、制御部41は、減少量DCが第2閾値を超えたか否かを判定する(ステップS7)。
【0043】
減少量DCが第2閾値を超えたと判定した場合、制御部41は、ポンプ23の過負荷に起因する故障を抑制するために、冷却装置11の動作(ポンプ23の動作)を停止させる(ステップS8)。
【0044】
他方、ステップS1において、冷却液の液漏れが検出されていると判定された場合、制御部41は、減少量DCに最大値を強制設定する(ステップS9)。これにより、減少量DCが第1閾値を超えたと判定され、また、減少量DCが第2閾値を超えたと判定されるため、上述のステップS4,S5,S6,S8の処理が実行される。
【0045】
なお、ユーザー、管理者、サービスパーソンなどによるメンテナンスにより、冷却液の補充や冷却装置11の交換などが行われた場合、上述の累積時間はゼロにリセットされる。
【0046】
以上のように、上記実施の形態によれば、冷却装置11は、冷却液を循環させて内部装置から吸熱するとともに排熱する。冷却液減少量推定部42は、当該画像形成装置の稼働履歴に基づいて冷却液の減少量を推定する。制御部41は、(a)内部装置に対して画像形成のプロセス制御を行い、(b)推定された減少量に応じてプロセス制御を変更する。
【0047】
これにより、液漏れセンサー22a以外に残量検出用のセンサーを設けなくても冷却液の減少量が正確に推定され、冷却液の減少に起因するプリント画質の低下が抑制される。
【0048】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0049】
例えば、上記実施の形態において、減少量DCが第1閾値を超えたと判定された場合、複数シートへのプリント時のシート間の間隔を長くするようにしてもよい。これにより、機内温度の上昇が抑制される。
【0050】
また、上記実施の形態では、冷却装置11は、現像装置3a~3dの冷却を行っているが、現像装置3a~3dおよび他の内部装置の冷却を行ってもよいし、現像装置3a~3dとは別の内部装置の冷却を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
3a~3d 現像装置(内部装置の一例)
10 定着器
11 冷却装置
41 制御部
42 冷却液減少量推定部
図1
図2
図3
図4