IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154262
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068005
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 英雄
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA26
2H270LA71
2H270LA91
2H270MB27
2H270SA09
2H270SA20
2H270SB21
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 冷却装置を適切に制御して消費電力を小さくする画像形成装置を得る。
【解決手段】 画像形成装置は、現像装置3a~3d、冷却装置11、および制御部11を備える。冷却装置11は、冷却動作を行い冷却動作において現像装置3a~3dから吸熱するとともに排熱する。制御部41は、現像装置3a~3dにおけるトナーについてのトナー比率および劣化度合いに基づいて、冷却装置11の冷却動作のオン/オフを行う。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置と、
冷却動作を行い前記冷却動作において前記現像装置から吸熱するとともに排熱する冷却装置と、
前記現像装置におけるトナーについてのトナー比率および劣化度合いに基づいて、前記冷却動作のオン/オフを行う制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、(a)前記トナー比率が第1閾値未満でありかつ前記劣化度合いが第2閾値未満である場合には、前記冷却動作をオフ状態とし、(b)前記トナー比率が前記第1閾値以上であるか前記劣化度合いが前記第2閾値以上である場合には、前記冷却動作をオン状態とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、(a)前記現像装置の温度が第3閾値以上である場合、前記トナー比率および前記劣化度合いに拘わらず前記冷却動作をオン状態とし、(b)前記現像装置の温度が、前記第3閾値より低い第4閾値未満である場合、前記トナー比率および前記劣化度合いに拘わらず前記冷却動作をオフ状態とし、(c)前記現像装置の温度が前記第3閾値未満でありかつ前記第4閾値以上である場合、(c1)前記トナー比率が前記第1閾値未満でありかつ前記劣化度合いが前記第2閾値未満であるときには、前記冷却動作をオフ状態とし、(c2)前記トナー比率が前記第1閾値以上であるか前記劣化度合いが前記第2閾値以上であるときには、前記冷却動作をオン状態とすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記劣化度合いとして、前記現像装置の駆動時間を使用し、
前記駆動時間は、前記現像装置内に前記トナーが補充された時点から現時点までの期間において、前記現像装置で現像バイアスが印加されている時間であること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、液冷システムを備え、液冷システムの動作停止時期を予測し、その動作停止時期直前の所定期間における液冷システムの冷却能力を高めて、動作停止時期での温度を低くしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-139793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、動作停止時期直前の所定期間における液冷システムの冷却能力を高めるため消費電力が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、冷却装置を適切に制御して消費電力を小さくする画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、現像装置と、冷却動作を行い前記冷却動作において前記現像装置から吸熱するとともに排熱する冷却装置と、前記現像装置におけるトナーについてのトナー比率および劣化度合いに基づいて、前記冷却動作のオン/オフを行う制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷却装置を適切に制御して消費電力を小さくする画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1における現像装置3aの一例を示す断面図である。
図3図3は、図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
図4図4は、図1図3に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。図1に示す画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式のプリント機能を有する装置である。
【0012】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a~1d、露光装置2および現像装置3a~3dを有する。感光体ドラム1a~1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体であり、感光体ドラム1a~1d上には静電潜像が形成される。露光装置2は、感光体ドラム1a~1dに光(ここではレーザー光)を照射して感光体ドラム1a~1d上に静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0013】
現像装置3a~3dは、トナーカートリッジ内のトナーを現像ローラー4で感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させて現像を行い、トナー画像を形成する。感光体ドラム1aおよび現像装置3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像装置3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像装置3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像装置3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0014】
中間転写ベルト5は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を転写され担持する環状の像担持体である。中間転写ベルト5は、駆動ローラー6aおよびテンションローラー6bに張架され、駆動ローラー6aからの駆動力によって、感光体ドラム1aとの接触位置から感光体ドラム1dとの接触位置への方向へ周回していく。
【0015】
2次転写ローラー7は、搬送されてくるプリントシート(プリント用紙など)を中間転写ベルト5に接触させ、中間転写ベルト5上のトナー像をプリントシートに2次転写する。トナー像を2次転写されたプリントシートは、定着器10へ搬送される。定着器10は、ヒーターを備え、ヒーターを使用して加熱加圧方式でトナー像をプリントシートに定着する。
【0016】
濃度センサー8は、中間転写ベルト5に光を照射し、その反射光(例えば正反射光と拡散反射光)を受光し、受光した反射光の光量に対応する電気信号を出力する反射型光学式センサーである。濃度センサー8は、キャリブレーション用トナー像(後述の調整用画像パターンなど)が中間転写ベルト5に1次転写された後、中間転写ベルト5上のそのトナー像の濃度を光学的に検出する。
【0017】
1次転写ローラー9a~9dは、それぞれ、中間転写ベルト5を挟んで、感光体ドラム1a~1dに対向して配置され、感光体ドラム1a~1d上のトナー像を感光体ドラム1a~1dから中間転写ベルト5へ1次転写する。
【0018】
さらに、図1に示す画像形成装置は、液冷方式の冷却装置11を備える。冷却装置11は、冷却動作を行い、その冷却動作において、冷却液を循環させて現像装置3a~3dから吸熱するとともに排熱する。具体的には、冷却装置11は、例えば図1に示すように、吸熱部21、タンク22、ポンプ23、排熱部24、および配管25を備える。吸熱部21は、現像装置3a~3dに設けられた伝熱部材を介して現像装置3a~3dから冷却液へ熱を伝達させる。タンク22は、冷却液を蓄積している。ポンプ23は、冷却液に圧力を与えて、配管25を介して冷却液を吸熱部21および排熱部24に循環させる。排熱部24は、ラジエター、およびラジエターへの通風を行うファンを備える。
【0019】
図2は、図1における現像装置3aの一例を示す断面図である。なお、図2では、現像装置3aについて図示しているが、現像装置3b~3dについても同様の構成となっている。
【0020】
図2に示すように、現像装置3aは、上述の現像ローラー4の他、筐体31と、攪拌スクリュー32と、磁気ローラー33と、トナー比率センサー34とを備える。
【0021】
現像装置3aには、図示せぬトナーコンテナーが接続され、図示せぬトナー補給機構によってトナーコンテナーから補給口を介して筐体31内へトナーが補給される。筐体31内では、攪拌スクリュー32によって非磁性トナーと磁性キャリアを含む2成分現像剤が攪拌される。磁気ローラー33は、その表面に2成分現像剤をブラシ状に保持する。2成分現像剤のうちのトナーが、磁気ローラー33と現像ローラー4との間の電圧である搬送バイアスに応じて現像ローラー4に移行する。
【0022】
現像ローラー4は、磁気ローラー33から移行してきたトナーをその表面にトナー薄層として保持する。つまり、現像ローラー4は、感光体ドラム1a上の静電潜像に付着すべきトナーを保持する現像ローラー4の表面に形成されたトナー層は、現像ローラー4と感光体ドラム1aの間の電圧である現像バイアスによって感光体ドラム1aに移行する。感光体ドラム1aは、その表面に、露光装置2aによって静電潜像を形成される像担持体である。感光体ドラム1a上の静電潜像には、現像ローラー4から移行してきたトナーが付着する。
【0023】
また、図2に示すように、トナー比率センサー34は、現像装置3aの底面に設置され、現像装置3aの筐体11内の所定の測定位置における2成分現像剤のトナー比率(つまり、トナーとキャリアとの比:T/C比)を測定するセンサーである。具体的には、トナー比率センサー34は、トナー比率に対応する2成分現像剤の比透磁率を検出する。
【0024】
図3は、図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図3に示すように、図1に示す画像形成装置は、現像装置3a~3dの温度を検出する温度センサー35と、コントローラー41とをさらに備える。
【0025】
コントローラー41は、画像形成装置内の各部を電気的に制御する。コントローラー41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピューターなどを備え、ハードウェア処理およびソフトウェア処理の一方または両方を行う各種処理部として動作する。ここでは、コントローラー41は、制御部41aとして動作する。
【0026】
制御部41aは、ユーザーにより指定された対象画像に対して所定の画像処理(ガンマ曲線による階調調整、ハーフトーニングなど)を行い、図1に示す機械的構成(感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなど)による画像形成のプロセス制御(感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなどへのパラメーターの設定)を行って、画像処理後の対象画像のプリントを実行する。
【0027】
さらに、制御部41aは、現像装置3a~3dにおけるトナーについてのトナー比率および劣化度合いに基づいて、冷却装置11の冷却動作のオン/オフを行う。
【0028】
ここで、このトナー比率T/Cは、トナー比率センサー34の出力(測定値)から特定される。また、この劣化度合いとして、現像装置3a~3dの駆動時間tが使用され、この駆動時間tは、現像装置3a~3d内にトナーカートリッジからトナーが補充された時点から現時点までの期間において、現像装置3a~3dで現像バイアスが印加されている時間である。
【0029】
なお、上述の駆動時間は、現像装置3a~3d内にトナーカートリッジからトナーが補充された時点でゼロにリセットされ、プリント中か否かに拘わらず現像バイアスが印加されている時間が累積的に計時されて駆動時間が測定される。
【0030】
具体的には、制御部41aは、(a)上述のトナー比率T/Cが第1閾値T/Cth未満でありかつ劣化度合い(駆動時間t)が第2閾値(駆動時間tの閾値tth)未満である場合には、上述の冷却動作をオフ状態とし、(b)トナー比率T/Cが第1閾値T/Cth以上であるか劣化度合い(駆動時間t)が第2閾値(閾値tth)以上である場合には、冷却装置11の冷却動作をオン状態とする。つまり、現像バイアスが印加された状態では現像装置3a~3d内のトナーが劣化しやすいため、駆動時間tに基づいて、冷却装置11の冷却動作がオン/オフされる。
【0031】
より具体的には、制御部41aは、(a)現像装置3a~3dの温度Tが第3閾値Tth1以上である場合、トナー比率T/Cおよび劣化度合い(駆動時間t)に拘わらず、上述の冷却動作をオン状態とし、(b)現像装置3a~3dの温度が、第3閾値Tth1より低い第2閾値Tth2未満である場合、トナー比率T/Cおよび劣化度合い(駆動時間t)に拘わらず、上述の冷却動作をオフ状態する。そして、制御部41aは、(c)現像装置3a~3dの温度Tが第3閾値Tth1未満でありかつ第2閾値Tth2以上である場合、(c1)トナー比率T/Cが第1閾値T/Cth未満でありかつ劣化度合い(駆動時間t)が第2閾値(閾値tth)未満であるときには、上述の冷却動作をオフ状態とし、(c2)トナー比率T/Cが第1閾値T/Cth以上であるか劣化度合い(駆動時間t)が第2閾値(閾値tth)以上であるときには、上述の冷却動作をオン状態とする。
【0032】
なお、閾値Tth1は、現像装置3a~3dにおけるトナー凝集や熱的損傷を防止するために設けられている。
【0033】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。図4は、図1図3に示す画像形成装置の動作について説明するフローチャートである。
【0034】
制御部41aは、ユーザーからの要求に従って、対象画像に対して所定の画像処理を行い、感光体ドラム1a~1d、露光装置2、現像装置3a~3dなどを制御して、画像処理後の対象画像のプリントを実行する。このような動作によって、現像装置3a~3dが変化する。
【0035】
また、画像形成装置の起動後、制御部41aは、プリント中か否かに拘わらず定期的に以下の処理を実行し、冷却装置11を制御する。
【0036】
まず、制御部41aは、温度センサー35の出力に基づいて現像装置3a~3dの温度Tを特定し(ステップS1)、温度Tが閾値Tth1以上であるか否かを判定する(ステップS2)。温度Tが閾値Tth1以上である場合、制御部41aは、冷却装置11を稼働させ冷却動作を実行させる(ステップS3)。
【0037】
一方、温度Tが閾値Tth1未満である場合、制御部41aは、温度Tが閾値Tth2(Tth2<Tth1)以上であるか否かを判定する(ステップS4)。温度Tが閾値Tth2未満である場合、制御部41aは、冷却装置11を停止させる(ステップS5)。
【0038】
そして、温度Tが閾値Tth2以上である場合(つまり、温度Tが閾値Tth1未満でありかつ閾値Tth2以上である場合)、制御部41aは、トナー比率T/Cおよび劣化度合いを示す駆動時間tを特定し(ステップS6)、トナー比率T/Cが閾値T/Cth未満でありかつ駆動時間tが閾値tth未満であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0039】
トナー比率T/Cが閾値T/Cth未満でありかつ駆動時間tが閾値tth未満である場合、制御部41aは、現像装置3a~3d内のトナーの状態がプリント画質に影響しにくいと判定し、冷却装置11を停止させる(ステップS5)。
【0040】
一方、トナー比率T/Cが閾値T/Cth以上であるか駆動時間tが閾値tth以上である場合、制御部41aは、現像装置3a~3d内のトナーの状態がプリント画質に影響しやすいと判定し、冷却装置11を稼働させ冷却動作を実行させる(ステップS3)。
【0041】
以上のように、上記実施の形態によれば、冷却装置11は、冷却動作を行い冷却動作において現像装置3a~3dから吸熱するとともに排熱する。制御部41aは、現像装置3a~3dにおけるトナーについてのトナー比率および劣化度合いに基づいて、冷却装置11の冷却動作のオン/オフを行う。
【0042】
これにより、冷却装置11が適切に制御され消費電力が小さくなる。つまり、トナー比率および劣化度合いに応じて、冷却動作の時間が短くなるため、消費電力が小さくなる。
【0043】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
3a~3d 現像装置
11 冷却装置
41a 制御部
図1
図2
図3
図4