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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154270
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20241023BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G01M3/26 D
F16L1/028 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068016
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ建設
(71)【出願人】
【識別番号】399130348
【氏名又は名称】株式会社水研
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】白土師 崇
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA16
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB34
2G067CC02
2G067EE08
(57)【要約】
【課題】検査装置と管体との間の密閉性を高める。
【解決手段】本体部2と、第一封止体3Aと、第二封止体3Bと、配管4と、を備え、本体部2が、中央部材21と、第一フランジ部材22Aと、第二フランジ部材22Bと、中央部材21と第一フランジ部材22Aとの間に配置される第一スペーサー部材23Aと、中央部材21と第二フランジ部材22Bとの間に配置される第二スペーサー部材23Bと、を含み、第一封止体3Aが、中央部材21と第一スペーサー部材23Aとの間、および、第一フランジ部材22Aと第一スペーサー部材23Aとの間、に挟持固定され、第二封止体3Bが、中央部材21と第二スペーサー部材23Bとの間、および、第二フランジ部材22Bと第二スペーサー部材23Bとの間、に挟持固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の軸方向の一方側に設けられた第一封止体と、
前記本体部の軸方向の他方側に設けられた第二封止体と、
流体供給源に接続され、前記第一封止体、前記第二封止体、および、前記第一封止体と前記第二封止体との間の領域、に流体を供給する配管と、を備え、
前記本体部が、
軸方向の中央に配置される中央部材と、
前記中央部材の軸方向の一方側に固定される第一フランジ部材と、
前記中央部材の軸方向の他方側に固定される第二フランジ部材と、
前記中央部材と前記第一フランジ部材との間に配置される第一スペーサー部材と、
前記中央部材と前記第二フランジ部材との間に配置される第二スペーサー部材と、を含み、
前記第一封止体が、前記中央部材と前記第一スペーサー部材との間、および、前記第一フランジ部材と前記第一スペーサー部材との間、に挟持固定され、
前記第二封止体が、前記中央部材と前記第二スペーサー部材との間、および、前記第二フランジ部材と前記第二スペーサー部材との間、に挟持固定される検査装置。
【請求項2】
前記第一封止体が、前記第一スペーサー部材と係合する係合部を有し、
前記第二封止体が、前記第二スペーサー部材と係合する係合部を有する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第一スペーサー部材が、前記第一封止体の係合部と係合する係合溝を有し、
前記第二スペーサー部材が、前記第二封止体の係合部と係合する係合溝を有する請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第一フランジ部材および前記第二フランジ部材を前記中央部材に固定する締結部材と、
前記締結部材によって固定される前記第一フランジ部材および前記第二フランジ部材の前記中央部材からの離間距離を規制する規制部材と、をさらに備える請求項1~3のいずれか一項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体どうしの接合部の検査に供される検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管やガス管などの埋設管は、車両等で運搬可能な長さの管体を複数接合して敷設される。このとき、接合部における管体どうしの接合に不備があると、内部を流通する流体(水やガスなど)が漏洩する原因となる。そのためこの種の管体を敷設する際には管体どうしの接合部の検査を行う必要があり、かかる検査に供される検査装置が種々提案されている。
【0003】
たとえば特開2017-49241号公報(特許文献1)には、管の口径が異なる複数種類の配管に応じて止水体を容易に交換することができること、および、構造が単純であってコストが抑えられること、を狙いとした水圧試験装置が開示されている。また、特開2001-272300号公報(特許文献2)には、継ぎ足し可能な移動用竿を備えることによって位置決めを容易にした水圧試験器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-49241号公報
【特許文献2】特開2001-272300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載されている類の検査装置において、接合部の検査圧力を高くするためには、検査装置と管体との間の密閉性を高める必要があった。
【0006】
そこで、検査装置と管体との間の密閉性を高めることができる検査装置の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る検査装置は、本体部と、前記本体部の軸方向の一方側に設けられた第一封止体と、前記本体部の軸方向の他方側に設けられた第二封止体と、流体供給源に接続され、前記第一封止体、前記第二封止体、および、前記第一封止体と前記第二封止体との間の領域、に流体を供給する配管と、を備え、前記本体部が、軸方向の中央に配置される中央部材と、前記中央部材の軸方向の一方側に固定される第一フランジ部材と、前記中央部材の軸方向の他方側に固定される第二フランジ部材と、前記中央部材と前記第一フランジ部材との間に配置される第一スペーサー部材と、前記中央部材と前記第二フランジ部材との間に配置される第二スペーサー部材と、を含み、前記第一封止体が、前記中央部材と前記第一スペーサー部材との間、および、前記第一フランジ部材と前記第一スペーサー部材との間、に挟持固定され、前記第二封止体が、前記中央部材と前記第二スペーサー部材との間、および、前記第二フランジ部材と前記第二スペーサー部材との間、に挟持固定されることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、二つの封止体を本体部とスペーサー部材との間、およびフランジ部とスペーサー部材との間、の二箇所において挟持固定するので、封止体の固定が確実になされやすい。また、中央部材とフランジ部材との離間距離がスペーサー部材によって規制されるので、封止体を所定の水準以上の力の強さで挟持固定しやすい。さらに、封止体が変形するときにフランジ部材に案内されて真っ直ぐ伸びやすいので、封止体と管体の内周面とが正対しやすい。以上の各部の作用によって、密閉性を高めやすい。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0010】
本発明に係る検査装置は、一態様として、前記第一封止体が、前記第一スペーサー部材と係合する係合部を有し、前記第二封止体が、前記第二スペーサー部材と係合する係合部を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、フランジ部材とスペーサー部材との挟持固定の強度が高まりやすい。
【0012】
本発明に係る検査装置は、一態様として、前記第一スペーサー部材が、前記第一封止体の係合部と係合する係合溝を有し、前記第二スペーサー部材が、前記第二封止体の係合部と係合する係合溝を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、フランジ部材とスペーサー部材との挟持固定の強度が高まりやすい。
【0014】
本発明に係る検査装置は、一態様として、前記第一フランジ部材および前記第二フランジ部材を前記中央部材に固定する締結部材と、前記締結部材によって固定される前記第一フランジ部材および前記第二フランジ部材の前記中央部材からの離間距離を規制する規制部材と、をさらに備えることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、中央部材とフランジ部材との距離が規制部材の長さによって規定されるため、規制部材の長さの選択によって封止体を挟持固定する力の強さを調整できる。
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る検査装置の側面断面図である。
図2】実施形態に係る封止体の平面図である。
図3】実施形態に係る封止体の正面図である。
図4】実施形態に係る封止体の断面図(図2のIV-IV線における断面図)である。
図5】実施形態に係る検査装置を用いる水密検査の手順を示す図である。
図6】実施形態に係る検査装置を用いる水密検査の手順を示す図である。
図7】実施形態に係る検査装置の封止体の変形の態様を示す図である。
図8】実施形態に係る検査装置を用いる水密検査の手順を示す図である。
図9】実施形態に係る検査装置を用いる水密検査の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る検査装置の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る検査装置を、鋳鉄管の接合部100の水密検査に供される検査装置1に適用した例について説明する。
【0019】
〔検査装置の構成〕
本実施形態に係る検査装置1は、本体部2と、本体部2に装着された二つの封止体3と、本体部2の内側を経由して各部に至る配管4と、を備える(図1)。なお、以下の説明では、検査装置1の前後方向について、図1の左側を「前」とし、図1の右側を「後」とする。また、検査装置1が概して筒状の装置であることを念頭において、前後方向を軸方向とし、当該軸方向と交わる方向を径方向と呼ぶ場合もある。
【0020】
二つの封止体3は、本体部2の軸方向の一方側と他方側(すなわち前後)に一つずつ設けられている。ここで、本体部2の前方側に設けられている封止体3を第一封止体3Aとし、本体部2の後方側に設けられている封止体3を第二封止体3Bとする。また、配管4は六本の配管(後述する。)を含むが、これらはいずれも本体部2の後方側から本体部2に突入し、屈曲されて各部に至っている。
【0021】
本体部2は、前後方向の中央に配置される中央部材21と、中央部材21に固定される二つのフランジ部材22(第一フランジ部材22A、第二フランジ部材22B)と、中央部材21とフランジ部材22との間に配置されるスペーサー部材23(第一スペーサー部材23A、第二スペーサー部材23B)を有する。フランジ部材22は、ボルト24およびナット25によって中央部材21に固定されている。また、フランジ部材22には牽引フック26(被牽引部の一例である。)および車輪27が取り付けられている。スペーサー部材23は、封止体3と係合するための係合溝23aを有する。
【0022】
封止体3(第一封止体3A、第二封止体3B)はクロロプレンゴム製の環状体であり、二つの封止体3の形状は同一である(図2図4)。図2は、検査装置1に装着されていない状態の封止体3の平面図であり、その視点は検査装置1に装着されている状態における前後方向(図1左右方向)に対応する。図3は、検査装置1に装着されていない状態の封止体3の側面図であり、その視点は検査装置1に装着されている状態における左右方向(図1上下方向または図1紙面と直交する方向)に対応する。図4は封止体3の径方向に沿う断面形状を示すものであり、同様の断面形状が図1にも現れている。
【0023】
封止体3は、スペーサー部材23(係合溝23a)と係合する係合部31と、係合部31から径方向に延びる立ち上がり部32と、周方向の側面である周壁部33と、立ち上がり部32と周壁部33との接続部分である角部34と、を有する。また、立ち上がり部32の径方向の中途に、立ち上がり部32がくびれた部位であるくびれ部32aが設けられている。周壁部33は、径方向に沿う断面(図4)において直線上に現れる面として構成されている。また、角部34の肉厚は、封止体3の他の部分(係合部31、立ち上がり部32、および周壁部33)の肉厚に比べて大きい。たとえば、角部34の肉厚が周壁部33の肉厚の1.4倍以上2.2倍以下の範囲にあることが好ましい。
【0024】
封止体3は、中央部材21とフランジ部材22との間に挟まれた状態で固定されている。より詳細には、ボルト24とナット25との締め付けによって、フランジ部材22を中央部材21に向けて押し付ける力が働き、この力が封止体3を挟持工程する力となる。さらにいえば、中央部材21とスペーサー部材23との間、および、フランジ部材22とスペーサー部材23との間、の二箇所において、封止体3が挟持固定される。
【0025】
封止体3を固定する際には、中央部材21とフランジ部材22との間にスペーサー部材23と封止体3を配置して、ボルト24に対してナット25を締め付ける。ナット25の締め付けが進んで、スペーサー部材23が中央部材21およびフランジ部材22に当接する状態になると、封止体3が中央部材21とスペーサー部材23との間およびフランジ部材22とスペーサー部材23との間に挟持固定された状態が完成する。ここで、固定されていない状態における封止体3の立ち上がり部32の厚さT1(図4)と、スペーサー部材23がフランジ部材22と当接している状態における係合溝23aの壁面とフランジ部材22とのクリアランスT2と、について、T1がT2の1.1倍以上1.6倍以下の範囲にあることが好ましい。また、ナット25の締め付けトルクを管理してもよい。
【0026】
詳細は後述するが、封止体3に水が供給されると、封止体3が径方向外側に膨張して、封止体3が鋳鉄管の内周面に密着する。これによって封止が実現される。また、フランジ部材22と鋳鉄管の内周面との空隙の大きさを、封止体3の角部34の寸法と同程度にしておくと、封止体3が膨張する際に角部34が当該空隙に入り込むことによって、より確実な封止がなされうる。
【0027】
配管4は、二本の第一配管41(41a、41b)と、二本の第二配管42(42a、42b)と、二本の第三配管43(43a、43b)と、を含む。各配管の基端は不図示の給水源(流体供給源の一例である。)に接続されている。本実施形態では、第一配管41、第二配管42、および第三配管43における水(流体の一例である。)の流通を、それぞれ独立に制御できる。これを実現する構成として、たとえば、第一配管41、第二配管42、および第三配管43のそれぞれに独立の制御弁が設けられうる。なお、各配管には、本体部2側と給水源側とのそれぞれの管を着脱可能なカプラ44が設けられている。
【0028】
第一配管41の先端41aは第一封止体3Aに至っている。すなわち第一配管41は、第一封止体3Aに水を供給するものである。第一配管41は、基端側から順に、第二フランジ部材22Bおよび中央部材21を貫通して前後方向に延び、中央部材21と第一フランジ部材22Aとの間の空間において径方向外側に向けて屈曲し、第一スペーサー部材23Aを貫通して第一封止体3Aに至る。
【0029】
第二配管42の先端42aは第二封止体3Bに至っている。すなわち第二配管42は、第二封止体3Bに水を供給するものである。第二配管42は、基端側から順に、第二フランジ部材22Bを貫通して前後方向に延び、中央部材21と第二フランジ部材22Bとの間の空間において径方向外側に向けて屈曲し、第二スペーサー部材23Bを貫通して第二封止体3Bに至る。
【0030】
第三配管43の先端43aは中央部材21の外側に突出している。すなわち第三配管43は、中央部材21の外側に水を供給するものである。第三配管43の先端43aは、軸方向において、第一封止体3Aと第二封止体3Bとの間の領域にある。第三配管43は、基端側から順に、第二フランジ部材22Bおよび中央部材21を貫通して前後方向に延び、中央部材21の内部において径方向外側に向けて屈曲し、再び中央部材21を貫通して中央部材21の外側に至る。
【0031】
〔検査方法〕
次に、本実施形態に係る検査装置1を用いる水密検査の方法を説明する。なお、本実施形態では、鋳鉄管の接合部100の形成と当該接合部の水密検査とが並行して行われるため、外側管体101(第一管体の一例である。)と内側管体102(第二管体の一例である。)とを接合して接合部100を形成する施工手順の流れに沿って、水密検査の方法を説明する。
【0032】
第一に、外側管体101を設置し、外側管体101の開口部から検査装置1を進入させる(図5)。ここで、検査装置1の姿勢を、前方側(第一封止体3Aの側)から外側管体101に進入する姿勢とする。このとき、第一フランジ部材22Aの車輪27が外側管体101の内周面に接するため、検査装置1を外側管体101に進入させる際の抵抗が低減される。検査装置1を進入させる深さは、中央部材21が外側管体101の開口部付近に配置される程度とする。
【0033】
第二に、それぞれのカプラ44を接続したのちに、第一配管41を通じて第一封止体3Aに水を供給する(図6図7)。なお、この時点で、牽引フック26に牽引用ロープRを接続してある。
【0034】
第一封止体3Aに水が供給されると、第一封止体3Aが径方向外側に膨張する。この膨張に従って第一封止体3Aが変形することになるが、立ち上がり部32のくびれ部32aが優先的に変形する。一方、角部34は他の部分より厚いため変形しにくい。さらに、第一封止体3Aが中央部材21と第一フランジ部材22Aとの間に挟まれているため、前後方向(図1左右方向)の変形が抑制され、径方向の変形が誘導される。これらの各部の作用によって、供給された水を収容する容積を確保するための第一封止体3Aの変形が、立ち上がり部32が径方向外側に向けて伸びる態様で実現され、他の部分の変形は抑制される。特に、周壁部33が変形しにくいことから、周壁部33が外側管体101の内周面と平行な姿勢を維持したまま当該内周面と当接することになるので、第一封止体3Aによる封止が確実になされやすい。また、第一フランジ部材22Aと外側管体101の内周面との空隙の大きさCと封止体3の角部34の寸法とを同程度にしておくと、封止体3が膨張する際に角部34が当該空隙に入り込むことによって、より確実な封止がなされうる。なお、封止を維持するため、検査が完了するまでの間、第一封止体3A内の水圧が維持される。
【0035】
第三に、外側管体101に対して内側管体102を接合して、接合部100を形成する(図8)。このとき、検査装置1の配管4が、内側管体102の内側を通るようにする。
【0036】
第四に、第二配管42を通じて第二封止体3Bに水を供給する(図9)。第二封止体3Bの変形の態様は、第一封止体3Aの変形の態様と同様である。また、第二フランジ部材22Bと内側管体102の内周面との空隙に角部34が入り込むことも、第一封止体3Aの変形の態様と同様である。なお、封止を維持するため、検査が完了するまでの間、第二封止体3B内の水圧が維持される。
【0037】
ここまでの手順によって、外側管体101と内側管体102との接合部100が完成され、その内側に検査装置1が設置されることになる。また、外側管体101の内周面に対して第一封止体3Aが密接して封止が形成され、内側管体102内周面に対して第二封止体3Bが密接して封止が形成される。これによって、接合部100の前後が第一封止体3Aおよび第二封止体3Bによって封止された状態が完成する。
【0038】
第五に、第三配管43を通じて中央部材21の外側に水を供給する。中央部材21の外側は接合部100であるので、外側管体101と内側管体102との接合に不備がある場合は水が漏洩する。したがって、この状態における水の漏洩の有無をもって、接合部100における水密の成否を判断できる。
【0039】
なお、第三配管43から供給される水の水圧(試験水圧)は、接合部100が使用される際の水圧(使用水圧)を考慮して決定される。たとえば、使用水圧に所定の安全係数を乗じた水圧が試験水圧とされる。また、第一配管41および第二配管42から供給される水の水圧(封止水圧)は、接合部100に試験水圧で充填された水を封止しうる圧力として設定される。
【0040】
検査が完了したら、第一封止体3A、第二封止体3B、および接合部100から水を抜く。具体的には、各配管の水の供給を止めて、第一封止体3Aおよび第二封止体3Bの水圧を開放すると、接合部100の封止が解除されるため、接合部100から水が抜ける。
【0041】
水を抜いた後に、検査装置1を接合部100から取り出す。たとえば、検査装置1の牽引フック26に牽引用ロープRを接続しておき、これを接合部100の反対側にある内側管体102の端部から引けば、当該端部から検査装置1を取り出すことができる。
【0042】
〔変形例〕
上記の実施形態において、ボルト24がスリーブ(規制部材の一例である。)に挿通されている態様としてもよい。この場合は、中央部材21とフランジ部材22との距離がスリーブの長さによって規定されるため、スリーブの長さの選択によって封止体3を挟持固定する力の強さを調整できる。
【0043】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る検査装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0044】
上記の実施形態では、封止体3がクロロプレンゴム製である構成を例として説明した。しかし本発明において、封止体を構成する材料は弾性体である限りにおいて限定されない。かかる弾性体としてエラストマー類を用いることができ、クロロプレンゴムはその一例である。
【0045】
上記の実施形態では、第一配管41、第二配管42、および第三配管43における水の流通をそれぞれ独立に制御できる構成を例として説明したが、本発明において各配管の流体の流通を独立に制御できることは必須ではない。
【0046】
上記の実施形態では検査装置1が車輪27を有する構成を例として説明したが、本発明において車輪の有無は任意である。
【0047】
上記の実施形態では検査装置1が牽引フック26を有する構成を例として説明したが、本発明において被牽引部の有無は任意である。
【0048】
本発明において、第一封止体および第二封止体の断面形状は限定されない。したがって、係合部、くびれ部、周壁部、および角部の有無は、それぞれ独立に任意である。
【0049】
本発明において、封止体を本体部の両側に設ける方法は限定されない。すなわち、封止体の固定方法は、中央部材とフランジ部材との間に挟持される態様に限定されない。
【0050】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、たとえば水道管などの敷設工事において、管体どうしの接合部の検査に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 :検査装置
2 :本体部
21 :中央部材
22 :フランジ部材
22A :第一フランジ部材
22B :第二フランジ部材
23 :スペーサー部材
23A :第一スペーサー部材
23B :第二スペーサー部材
23a :係合溝
24 :ボルト
25 :ナット
26 :牽引フック
27 :車輪
3 :封止体
3A :第一封止体
3B :第二封止体
31 :係合部
32 :立ち上がり部
32a :くびれ部
33 :周壁部
34 :角部
4 :配管
41 :第一配管
42 :第二配管
43 :第三配管
44 :カプラ
100 :接合部
101 :外側管体
102 :内側管体
R :牽引用ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9