(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154294
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】移動体の制御方法、移動体及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068048
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】知識 陽平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333BA02
3F333BA08
3F333BD02
3F333FA01
3F333FA26
3F333FA27
(57)【要約】
【課題】目標物を適切に搬送する。
【解決手段】移動体の制御方法は、搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体の制御方法であって、目標物に形成された穴にツメを挿し込むステップ(S10)と、目標物に対する穴に挿し込まれたツメの傾斜角度を検出するステップ(S13)と、穴に挿し込まれたツメのずれ量を検出するステップ(S18)と、を含む。傾斜角度を検出するステップ(S13)においては、ツメの各基端部と目標物とが接触する時間差と、ツメが開口部に挿し込まれる速度とに基づいて、傾斜角度を算出する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体の制御方法であって、
前記目標物に形成された開口部に前記ツメを挿し込むステップと、
前記目標物に対する前記開口部に挿し込まれた前記ツメの傾斜角度を検出するステップと、
前記開口部に挿し込まれた前記ツメのずれ量を検出するステップと、
を含む、
移動体の制御方法。
【請求項2】
前記傾斜角度を検出するステップにおいては、
前記ツメの各基端部と前記目標物とが接触する時間差と、前記ツメが前記開口部に挿し込まれる速度とに基づいて、前記傾斜角度を算出する
請求項1に記載の移動体の制御方法。
【請求項3】
前記ツメのずれ量を検出するステップにおいては、
前記開口部に前記ツメが挿し込まれた状態で、前記ツメの延在方向と交差する方向に該ツメを移動させ、一方のツメの先端部が前記開口部の内壁と接触するまでの移動距離に基づいて、前記ツメのずれ量を算出する、
請求項1または2に記載の移動体の制御方法。
【請求項4】
前記ツメのずれ量を検出するステップにおいては、
前記開口部に前記ツメが挿し込まれた状態で、該ツメに設けた光センサから前記開口部の内壁に対して光を照射し、前記内壁からの反射光の受光により取得される離間距離に基づいて、前記ツメのずれ量を算出する、
請求項1または2に記載の移動体の制御方法。
【請求項5】
前記開口部に前記ツメが挿し込まれた状態で、検出された前記ずれ量に基づいて、前記ツメの延在方向と交差する方向に該ツメを移動させ、前記目標物に対する前記ツメの位置を補正するステップ、
を含む、請求項1または2に記載の移動体の制御方法。
【請求項6】
前記ツメの位置を補正するステップにおいては、
前記ずれ量が所定の閾値未満となる位置まで該ツメを移動させる、
請求項5に記載の移動体の制御方法。
【請求項7】
検出した前記傾斜角度及び前記ずれ量に基づき設定された、前記目標物を荷下ろしする設置領域に向かう経路を取得するステップと、
前記経路に沿って前記移動体を移動させるステップと、
前記目標物を前記設置領域で荷下ろしするステップと、
を含む、請求項1または2に記載の移動体の制御方法。
【請求項8】
搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体であって、
前記目標物に形成された開口部に前記ツメを挿し込ませるフォーク制御部と、
前記目標物に対する前記開口部に挿し込まれた前記ツメの傾斜角度を検出する傾斜角度検出部と、
前記開口部に挿し込まれた前記ツメのずれ量を検出するずれ量検出部と、
を含む、移動体。
【請求項9】
搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記目標物に形成された開口部に前記ツメを挿し込むステップと、
前記目標物に対する前記開口部に挿し込まれた前記ツメの傾斜角度を検出するステップと、
前記開口部に挿し込まれた前記ツメのずれ量を検出するステップと、
を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の制御方法、移動体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフォークリフトなどの移動体を移動させて、パレットに載置された目標物を自動的に搬送させる技術が知られている。この種の搬送技術では、目標物を所定位置に精度良く搬送する必要がある。このため、フォークリフト(移動体)のツメをパレット(目標物)の開口部に挿し込んだ際に、このパレットに対するツメのずれ量を精度良く検知することが求められる。例えば特許文献1には、フォークリフトの搭載されたカメラの撮像画像を用いて検出したパレットの位置座標と、フォークリフトのツメの位置座標とから、このツメをパレットに挿し込んだ際の該ツメのずれ量を判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、ツメをパレットに挿し込む前の各位置座標から該ツメを挿し込んだ場合のずれ量を推定するものであるため、移動体に対する目標物のずれが残り、目標物を適切に搬送できなくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、目標物を適切に搬送可能な移動体の制御方法、移動体及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体の制御方法は、搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体の制御方法であって、目標物に形成された開口部にツメを挿し込むステップと、目標物に対する開口部に挿し込まれたツメの傾斜角度を検出するステップと、開口部に挿し込まれたツメのずれ量を検出するステップと、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体は、搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体であって、目標物に形成された開口部にツメを挿し込ませるフォーク制御部と、目標物に対する開口部に挿し込まれたツメの傾斜角度を検出する傾斜角度検出部と、開口部に挿し込まれたツメのずれ量を検出するずれ量検出部と、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、搬送対象となる目標物を保持する一対のツメを備える移動体の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、目標物に形成された開口部にツメを挿し込むステップと、目標物に対する開口部に挿し込まれたツメの傾斜角度を検出するステップと、開口部に挿し込まれたツメのずれ量を検出するステップと、を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、目標物を適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、目標物をピックアップする際の移動体の動作の例を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、ツメの傾斜角度及びずれ量を検出する制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、制御手順における目標物とツメとの位置関係を示す模式図である。
【
図8】
図8は、制御手順における目標物とツメとの位置関係を示す模式図である。
【
図9】
図9は、目標物の位置情報を取得する処理を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、目標物の保持した移動体を搬送領域まで移動させる処理を説明する模式図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る移動体におけるツメのずれ量を検出する動作を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る移動体におけるツメのずれ量を検出する動作を説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る移動体におけるツメのずれ量を検出する動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(移動制御システム)
図1は、第1実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と情報処理装置12とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。移動制御システム1においては、移動体10は、第1経路R1に沿って、設備Wの領域AR内の設置領域AR1まで移動し、設置領域AR1に配置された目標物Pを荷積み(ピックアップ)する。そして、移動体10は、目標物Pを荷積みした状態で、第2経路R2に沿って搬送領域AR2まで移動し、搬送領域AR2で目標物Pを荷下ろし(ドロップ)する。領域ARは、例えば設備Wの床面であり、目標物Pが設置されたり移動体10が移動したりする領域である。本実施形態では、目標物Pは、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。目標物Pは、前面Pa(例えばパレットの前面)に、移動体10の後述するフォーク24が挿入される穴(開口部)Pbが形成されている。
【0013】
以下、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって、X方向に交差する方向をY方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向及びY方向は、水平面に沿った方向といってもよい。また、X方向及びY方向にそれぞれ直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向をZ方向とする。また、本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、移動体10などの「姿勢」とは、特に断りのない限り、領域ARの座標系における移動体10などの向きであり、Z方向から見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)を指す。
【0014】
(設置領域及び搬送領域)
設備W内の領域ARには、複数の設置領域AR1が設けられている。設置領域AR1は、目標物Pが設置されている領域、すなわち搬送元の領域である。設置領域AR1は、目標物Pが設置される領域として、予め設定される。設置領域AR1は、例えば白線などで区分されており、設置領域AR1の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されている。同様に、設備W内の領域ARには、複数の搬送領域AR2が設けられている。搬送領域AR2は、これから目標物Pを設置すべき領域、すなわち搬送先の領域である。搬送領域AR2は、目標物Pを設置すべき領域として、予め設定される。搬送領域AR2は、例えば白線などで区分されており、搬送領域AR2の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されている。なお、本実施形態では、設置領域AR1及び搬送領域AR2は、設備Wの床である領域ARに設けられているが、それに限られず、例えば目標物Pを設備Wに搬入した車両の荷台内に設けられてもよいし、設備Wの棚などに設けられてもよい。また、本実施形態では、設置領域AR1及び搬送領域AR2は、目標物P毎に区画されており、設置領域AR1及び搬送領域AR2にはそれぞれ目標物Pが1つ配置されるが、それに限られない。例えば、設置領域AR1及び搬送領域AR2の少なくとも一方は、フリースペースとして、複数の目標物Pが設置されるように設定されていてもよい。また、
図1の例では設置領域AR1及び搬送領域AR2は矩形であるが、形状及び大きさは任意であってよい。また、領域ARに設けられる設置領域AR1や搬送領域AR2の数も任意であってよい。
【0015】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能であり目標物Pを搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、無人のフォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここではZ方向)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に昇降可能(Z方向に移動可能)に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。
【0016】
フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向(左右方向)に、所定間隔をあけて互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24(ツメ24A、24B)が設けられている側の方向を前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を後方向とする。また、ツメ24A、24Bの延在方向におけるマスト22側を基端側とし、マスト22と反対側を先端側とする。一対のツメ24A、24Bは、それぞれ基端側センサ23A、23Bと、先端側センサ25A、25Bと、を備える。基端側センサ23A、23Bは、各ツメ24A、24Bの基端部24A1、24B1の各上面に設けられる。基端側センサ23A、23Bには、例えばリミットスイッチなどを用いることができる。基端側センサ23A、23Bは、フォーク24(ツメ24A、24B)を目標物P(
図1参照)の穴Pbに挿し込んだ際に、この穴Pbの周囲の目標物Pの前面Paと接触して作動し、この接触を検出する。また、先端側センサ25A、25Bは、各ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2の両側面(角部)に設けられる。先端側センサ25A、25Bには、例えば圧力センサなどを用いることができる。先端側センサ25A、25Bは、フォーク24(ツメ24A、24B)を目標物Pの穴Pbに挿し込んだ際に、この穴Pbの内壁面と接触して作動し、この接触を検出する。
【0017】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する目標物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する目標物の位置と、移動体10に対する目標物の姿勢との少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の前方向における先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。例えば、移動体10に設けられる安全センサを、センサ26Aとしてよい。
【0018】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、目標物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で目標物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよい。
【0019】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0020】
(情報処理装置)
図3は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置12は、設備Wに設けられ、少なくとも、移動体10の移動に関する情報などを演算する装置、いわゆる地上システムである。ただし、情報処理装置12の設置位置などは任意であり、いわゆる地上システムに限られない。情報処理装置12は、コンピュータであり、
図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。通信部30は、制御部34に用いられて、移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0021】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、作業内容取得部40と移動体選定部42と経路取得部44とを含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業内容取得部40と移動体選定部42と経路取得部44とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業内容取得部40と移動体選定部42と経路取得部44との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、情報処理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0022】
(作業内容取得部及び移動体選定部)
作業内容取得部40は、作業内容の情報、すなわち搬送対象となる目標物Pの情報を取得する。作業内容取得部40は、任意の方法で作業内容を取得してよいが、例えば、図示しない管理システムが設定した作業内容を取得してよい。ここでの管理システムは、例えば、WMS(Warehouse Management System)や、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムであってよい。作業内容取得部40は、作業内容における目標物Pの情報から、目標物Pが設置されている設置領域AR1と、搬送先となる搬送領域AR2とを特定する。例えば、記憶部32には、目標物Pと、その目標物Pが設置されている設置領域AR1及び搬送先の搬送領域AR2とが、関連付けて記憶されており、作業内容取得部40は、記憶部32からその情報を読み出すことで、設置領域AR1及び搬送領域AR2を特定する。移動体選定部42は、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部42は、例えば、設備Wに所属する複数の移動体から、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部42は、任意の方法で対象となる移動体10を選定してよいが、例えば、作業内容取得部40が特定した設置領域AR1に基づき、その設置領域AR1にある目標物Pの搬送に適した移動体10を、対象となる移動体10として選定してよい。
【0023】
(経路取得部)
経路取得部44は、移動体10の経路の情報を取得する。本実施形態では、経路取得部44は、設置領域AR1に向かう第1経路R1の情報と、搬送領域AR2に向かう第2経路R2の情報とを取得する。経路取得部44は、取得した第1経路R1と第2経路R2との情報を、通信部30を介して、対象となる移動体10に送信する。
【0024】
図1に示すように、第1経路R1は、設置領域AR1に対して移動体10が所定の位置及び姿勢となる位置(目標位置A1)までの軌道である。目標位置A1は、目標物Pが設置領域AR1で予め設定された基準の位置及び姿勢にあると仮定した場合に、移動体10が目標物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢といえる。第1経路R1は、例えば設置領域AR1毎に、予め設定されている。経路取得部44は、例えば記憶部32から、作業内容取得部40が特定した設置領域AR1に対して設定された第1経路R1を取得する。第1経路R1は、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)を基準として設定されるため、領域ARの座標系における軌道であるが、それに限られず、グローバル座標系における軌道であってもよい。
【0025】
図1に示すように、第2経路R2は、搬送領域AR2に対して移動体10が所定の位置及び姿勢となる位置(目標位置A2)までの軌道である。本実施形態では、第2経路R2は、目標位置A1から目標位置A2までの軌道であることが好ましい。目標位置A2は、移動体10に対してずれなく保持された目標物Pを(すなわち移動体10に対して所定の位置及び姿勢で保持された目標物Pを)、搬送領域AR2内にドロップ可能な位置及び姿勢といえる。第2経路R2は、例えば搬送領域AR2毎に、予め設定されている。経路取得部44は、例えば記憶部32から、作業内容取得部40が特定した搬送領域AR2に対して設定された第2経路R2を取得する。第2経路R2は、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)を基準として設定されるため、領域ARの座標系における軌道であるが、それに限られず、グローバル座標系における軌道であってもよい。
【0026】
第1経路R1及び第2経路R2は、設備Wの地図情報に基づき予め設定される。設備Wの地図情報は、設備Wに設置されている障害物(柱など)や移動体10が走行可能な通路などの位置情報を含んだ情報であり、領域AR内で移動体10が移動可能な領域を示す情報といえる。また、第1経路R1及び第2経路R2は、設備Wの地図情報に加えて、移動体10の車両仕様の情報にも基づき、設定されてよい。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。車両仕様の情報にも基づき第1経路R1及び第2経路R2が設定されている場合、第1経路R1及び第2経路R2は、移動体毎に設定されてよい。
【0027】
なお、経路取得部44は、予め設定された第1経路R1及び第2経路R2を読み出すことなく、第1経路R1及び第2経路R2を設定してもよい。この場合、経路取得部44は、対象となる移動体10の位置情報と、設置領域AR1の位置情報と、設備Wの地図情報とに基づき、移動体10の現在位置から、設置領域AR1に向かう経路を、第1経路R1として生成してよい。同様に、経路取得部44は、設置領域AR1の位置情報と、搬送領域AR2の位置情報と、設備Wの地図情報とに基づき、設置領域AR1から搬送領域AR2に向かう経路を、第2経路R2として生成してよい。
【0028】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。
図4は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、
図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、情報処理装置12などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0029】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、経路取得部60と、移動制御部62と、フォーク制御部64と、傾斜角度検出部65と、ずれ量検出部66と、検出制御部67と、位置情報取得部68とを含む。制御部54は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、経路取得部60と移動制御部62とフォーク制御部64と傾斜角度検出部65とずれ量検出部66と検出制御部67と位置情報取得部68とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、経路取得部60と移動制御部62とフォーク制御部64と傾斜角度検出部65とずれ量検出部66と検出制御部67と位置情報取得部68との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部52が保存する制御部54用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0030】
(経路取得部)
経路取得部60は、移動体10が移動する経路の情報(すなわち第1経路R1及び第2経路R2の情報)を取得する。経路取得部60は、その移動体10が作業対象として選定された際に、情報処理装置12から第1経路R1及び第2経路R2の情報を取得してもよいし、予め記憶部52に記憶された第1経路R1及び第2経路R2の情報を読み出してもよい。また、経路取得部60は、情報処理装置12から第1経路R1及び第2経路R2を取得することに限られず、例えば、目標物Pをピックアップした際の該目標物Pの姿勢(目標物Pに対するツメ24A、24Bの傾斜角度やずれ量)に基づき、自身で第1経路R1及び第2経路R2を設定してもよい。
【0031】
(移動制御部)
移動制御部62は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。移動制御部62は、経路取得部60が取得または設定した第1経路R1及び第2経路R2に従って、移動体10を移動させる。移動制御部62は、移動体10の位置情報を逐次把握することで、第1経路R1及び第2経路R2を通るように、移動体10を移動させる。移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、移動制御部62は、検出体の検出に基づき移動体10の位置及び姿勢の情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置及び姿勢を検出する。ただし、移動体10の位置及び姿勢の情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Slmultaneous Localization and Mapping)を用いてもよい。
【0032】
(フォーク制御部)
フォーク制御部64は、移動体10のフォーク24の動作を制御する。フォーク制御部64の処理については後述する。
【0033】
(傾斜角検出部)
傾斜角度検出部65は、目標物Pの穴Pbにそれぞれフォーク24のツメ24A、24Bを挿し込んだ場合に、この目標物Pに対するツメ24A、24Bの傾斜角度を検出する。この傾斜角度は、目標物Pの前面Paに対するツメ24A、24Bの基端部24A1、24B1(基端側センサ23A、23B)を結んだ線とのなす角度をいう。傾斜角度検出部65の処理は後述する。
【0034】
(ずれ量検出部)
ずれ量検出部66は、目標物Pの穴Pbにそれぞれフォーク24のツメ24A、24Bを挿し込んだ場合に、この穴Pbにおけるツメ24A、24Bのずれ量を検出する。このずれ量は、ツメ24A、24Bの一部(例えば先端部24A2、24B2)が基準位置から横方向(左右方向)に変位した距離をいう。ずれ量検出部66の処理は後述する。
【0035】
(検出制御部)
検出制御部67は、移動体10に対する目標物Pの位置(相対位置)を検出させる。検出制御部67の処理については後述する。
【0036】
(位置情報取得部)
位置情報取得部68は、検出制御部67による目標物Pの位置の検出結果に基づいた目標物Pの位置情報を取得する。目標物Pの位置情報とは、移動体10に設けられたフォーク24が目標物Pに形成された穴Pbに挿入された状態における、移動体10に対する目標物Pの位置を示す情報である。位置情報取得部68の処理については後述する。
【0037】
(制御装置の処理)
次に、移動体10が設置領域AR1内の目標物Pを荷積みして搬送領域AR2で荷下ろしする際の制御装置28の処理について説明する。
【0038】
(第1経路に沿った移動)
図1に示すように、移動制御部62は、経路取得部60が取得した第1経路R1に従って、移動体10を目標位置A1まで移動させる。この第1経路R1は、地図情報などから予め設定された経路である。移動体10が目標位置A1に到達したら、フォーク制御部64は、フォーク24を動かして、穴Pbにフォーク24(ツメ24A、24B)を挿入させて、目標物Pをピックアップする。
【0039】
(目標物をピックアップする際の制御)
図5は、目標物をピックアップする際の移動体の動作の例を説明する模式図である。以降では、移動体10が、目標物P(設置領域AR1)のX方向と反対側に位置して、自身の前方向側(第1方向側)に、すなわちここではX方向側に位置する目標物Pをピックアップすることを例にして説明する。
図5に示すように、移動体10が目標位置A1に到達したら(ステップS2)、フォーク制御部64は、フォーク24をX方向側(第1方向側)に移動させて、目標物Pの穴Pbにフォーク24を挿入させる(ステップS4)。本実施形態では、マスト22及びフォーク24が前後方向に一体で移動するため、マスト22及びフォーク24をX方向側に移動させて、目標物Pの穴Pbにフォーク24を挿入させる。なお、フォーク制御部64は、フォーク24と穴Pbとの位置を合わせるように、フォーク24を上下方向(本例ではZ方向又はZ方向と反対側)及び横方向(本例ではY方向又はY方向と反対側)の、少なくとも一方に移動させてよい。この場合例えば、フォーク制御部64は、カメラなどのセンサにより穴Pbの位置を逐次検出して、フィードバック制御により、穴Pbの位置とフォーク24の位置とを合わせるように、フォーク24を動かしてもよい。
【0040】
穴Pbにフォーク24を挿入したら、フォーク24をZ方向側に移動させることで、目標物Pを上方向側に移動させることで、目標物Pの底面を設置領域AR1から離して、フォーク24により目標物Pを保持させる(ステップS6)。その後、フォーク24をX方向と反対側に移動させて、フォーク24の位置を元に戻す(ステップS8)。これにより、目標物Pのピックアップが完了する。
【0041】
フォーク制御部64は、以上のようにして目標物Pをピックアップするが、目標物Pをピックアップするためのフォーク24の制御方法は、以上の説明に限られず任意であってよい。
【0042】
(ツメの傾斜角度及びずれ量の検出)
本実施形態では、上記したように、ステップS4にて、フォーク24のツメ24A、24Bを目標物Pの穴Pbに挿し込む。この場合、目標物Pを安定的にピックアップして、該目標物Pを搬送領域AR2内に精度良くドロップするためには、ツメ24A、24Bを目標物Pの穴Pbに挿し込んだ際に、目標物Pにツメ24A、24Bの傾斜角度及びずれ量を精度良く検出することが望まれる。
【0043】
図6は、ツメの傾斜角度及びずれ量を検出する制御手順を示すフローチャートである。
図7~
図8は、制御手順における目標物とツメとの位置関係を示す模式図である。
図6に示すように、フォーク制御部64は、フォーク24を移動させて、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bを挿し込む(ステップS10)。この際、フォーク制御部64は、挿し込み時のツメ24A、24B(フォーク24)の移動速度を傾斜角度検出部65に出力する。
【0044】
傾斜角度検出部65は、ツメ24A、24Bに設けられた基端側センサ23A、23Bが作動した時刻を計測する(ステップS11)。基端側センサ23A、23Bは、上述のように、ツメ24A、24Bの基端部24A1、24B1にそれぞれ設けられている。ツメ24A、24Bを目標物Pの穴Pbに挿し込んだ場合に、基端側センサ23A、23Bは、目標物Pの前面Paと接触して作動する。ここで、ツメ24A、24Bが目標物Pの穴Pbにまっすぐ挿し込まれた(すなわち傾斜角度が0の)場合には、基端側センサ23A、23Bは、目標物Pの前面Paと接触して同時に作動する。このため、基端側センサ23A、23Bが作動した時刻の差は生じない。一方、ツメ24A、24Bが目標物Pの穴Pbに対して傾斜して挿し込まれた場合には、
図7に示すように、基端側センサ23A、23Bの作動点が目標物Pの前面Paと接触するタイミングが異なるため、この接触した時刻をそれぞれ計測する。
【0045】
次に、傾斜角度検出部65は、計測した時刻の時間差からツメ24A、24Bの挿し込み方向における距離を算出する(ステップS12)。ここで、ツメ24A、24Bの挿し込み方向とは、該ツメ24A、24Bの延在方向(長手方向)に沿った方向をいう。傾斜角度検出部65は、基端側センサ23A、23Bの作動点23A1、23B1が目標物Pの前面Paと接触して作動した時刻の時間差と、挿し込み時のツメ24A、24Bの移動速度とから、ツメ24A、24Bの挿し込み方向の距離L2を算出する。
【0046】
次に、傾斜角度検出部65は、算出した挿し込み方向の距離L2と、基端側センサ23A、23Bのセンサ間距離L1とから傾斜角度θを算出する(ステップS13)。このセンサ間距離L1は、予め規定された数値であり、傾斜角度検出部65は、例えば記憶部52に記憶された情報を読み出して取得する。
図7に示すように、傾斜角度θとした場合、センサ間距離L1が隣辺に相当し、挿し込み方向の距離L2が対辺に相当する。このため、傾斜角度θは、センサ間距離L1及び挿し込み方向の距離L2を用いて、次の数式で算出することができる。
【0047】
θ=tan-1(L2/L1)
【0048】
次に、傾斜角度検出部65は、算出した傾斜角度θが所定角度以上であるか否かを判定する(ステップS14)。この所定角度は、そのまま目標物Pを搬送して荷下ろし(ドロップ)した場合に、支障が生じるおそれの高い角度をいい、例えば、目標物の大きさや種別ごとに規定されている。
【0049】
この判定において、傾斜角度θが所定角度以上である場合(ステップS14;Yes)には、移動制御部62及びフォーク制御部64は、目標物Pの穴Pbからツメ24A、24Bを引き抜き、目標物Pに対する車体20の位置調整を行う(ステップS15)。すなわち、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bを挿し直した際に、ツメ24A、24Bの傾斜角度θが所定角度未満となるように、車体20の位置を調整する。この後、処理はステップS10に戻され、再度、ステップS10からステップS14を実行する。なお、ツメ24A、24Bの傾斜角度θを修正できるのであれば、例えば、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bを挿し込んだ状態で、車体20の位置を調整してもよい。
【0050】
一方、傾斜角度θが所定角度以上でない場合(ステップS14;No)には、フォーク制御部64は、ツメ24A、24B(フォーク24)が穴Pb内に挿入された状態で、ツメ24A、24Bを穴Pbの内壁面(内壁)Pb1に向けてサイドシフトする(ステップS16)。具体的には、フォーク制御部64は、
図8に示すように、ツメ24A、24Bが傾斜している側(
図8の例では矢印Y1方向)にサイドシフト(横方向に移動)する。この場合、穴Pbに挿し込まれたツメ24A、24Bは、目標物Pを保持していないため、ツメ24A、24Bを穴Pbの内壁面Pb1に向けてサイドシフトしても目標物Pは追従して動かず、穴Pb内でツメ24A、24Bが横方向に移動することになる。
【0051】
次に、ずれ量検出部66は、先端側センサ25A、25Bが作動したか否かを判定する(ステップS17)。上記したように、先端側センサ25A、25Bは、ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2にそれぞれ設けられている。このため、先端側センサ25A、25Bのいずれかが作動することにより、ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2が穴Pbの内壁面Pb1に接触したことを検出できる。この場合、ずれ量検出部66は、フォーク制御部64より、ツメ24A、24B(フォーク24)の横方向の移動量を取得する。この判定において、先端側センサ25A、25Bが作動していない場合(ステップS17;No)には、処理をステップS16に戻す。
【0052】
また、先端側センサ25A、25Bが作動した場合(ステップS17;Yes)には、ずれ量検出部66は、取得した移動量をずれ量として算出する(ステップS18)。例えば、
図7及び
図8の例では、ツメ24A、24Bのずれ量は長さL3となる。
【0053】
次に、フォーク制御部64は、ずれ量が所定の閾値未満となる位置までツメ24A、24B(フォーク24)を反対方向にサイドシフトする(ステップS19)。これにより、目標物Pに対するツメ24A、24Bの位置を補正する。ずれ量検出部66は、算出したずれ量を所定の閾値と比較し、この閾値未満となる位置までの距離を算出する。この閾値は、目標物の大きさや、穴Pbの横方向(Y方向)の幅に応じて規定された数値である。例えば、算出したずれ量が15mmであり、閾値が10mmである場合には、閾値未満となる位置までの距離は5mm以上となる。フォーク制御部64は、算出された距離を取得して、ずれ量が所定の閾値未満となる位置までツメ24A、24B(フォーク24)を反対方向にサイドシフトする。なお、算出したずれ量が所定の閾値未満であれば、そのまま状態(ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2が穴Pbの内壁面Pb1に接触した状態)を保持してもよい。
【0054】
次に、フォーク制御部64は、ツメ24A、24B(フォーク24)を高さ方向(Z方向)に上昇させて、目標物Pをピックアップ(ステップS20)して、処理を終了する。
【0055】
(目標物Pの位置検出)
検出制御部67は、移動体10に対する目標物Pの位置を検出し、位置情報取得部68は、検出制御部67による目標物Pの位置の検出結果に基づき、フォーク24が穴Pbに挿入された状態における移動体10に対する目標物の位置を示す、目標物Pの位置情報を取得する。フォーク24が穴Pbに挿入された状態とは、フォーク24の先端から基端までの全体が穴Pb内に位置していることをいう。以下、この処理について具体的に説明する。
【0056】
図9は、目標物の位置情報を取得する処理を説明する模式図である。検出制御部67は、移動体10に対する目標物Pの位置(相対位置)を、すなわち移動体10の座標系における目標物Pの位置を検出する。検出制御部67は、前方向(第1方向)と交差する横方向(第2方向)における、移動体10に対する目標物Pの位置を検出する。検出制御部67は、センサ26Aにより目標物Pを検出させることで、Y方向における、移動体10に対する目標物Pの位置を検出する。本実施形態では、検出制御部67は、
図9のステップS20に示すように、移動体10のフォーク24が穴Pbに挿入された状態で、センサ26Aにより、目標物Pの位置を検出させる。すなわち、検出制御部67は、フォーク24で目標物Pをピックアップして、センサ26Aよりも前方側に目標物Pが位置している状態(
図5の例ではステップS6状態)で、センサ26Aにより目標物Pの位置を検出させることが好ましい。すなわち本実施形態では、ストラドルレッグ21の先端にセンサ26Aが設けられているため、フォーク24(目標物P)をX方向と反対側に戻す前に、目標物Pの位置を検出させることができる。
【0057】
例えばセンサ26Aがレーザ光LTを照射する構成の場合、検出制御部67は、センサ26Aに、目標物Pに対してレーザ光LTを照射させる。目標物Pは、照射されたレーザ光LTを反射光として反射し、センサ26Aは、目標物Pからの反射光を検出(受光)する。検出制御部67は、センサ26Aによる反射光の検出結果に基づき、移動体10に対する目標物Pの位置を検出する。
【0058】
なお、検出制御部67における目標物PのY方向における位置の検出方法は、以上の説明に限られない。例えば、検出制御部67は、レーザ光LTを横方向に走査しつつ照射することで、目標物Pの位置及び姿勢を検出してもよい。
【0059】
以上のように、検出制御部67は、フォーク24で目標物Pをピックアップした状態における目標物PのY方向における位置を検出する。このため、位置情報取得部68は、目標物PのY方向における位置の検出結果を、目標物Pの位置情報として取得する。この場合、目標物Pの位置情報は、上記した目標物Pに対するフォーク24(ツメ24A、24B)の傾斜角度及びずれ量を含むものとする。
【0060】
(目標物Pの位置調整)
本実施形態においては、フォーク制御部64は、目標物Pの位置情報(目標物PのY方向における位置)に基づき、フォーク24が穴Pbに挿入された状態でフォーク24を横方向(Y方向又はY方向と反対側)に移動させることで、目標物Pを横方向に移動させる。これにより、フォーク制御部64は、横方向における、移動体10に対する目標物Pの位置を調整する。
図9の例では、フォーク24をY方向と反対側に移動させることで、目標物PをY方向と反対側に移動させる旨が示されている(ステップS32)。本実施形態では、フォーク制御部64は、例えば、移動体10の横方向における中心位置C1と、目標物Pの横方向における中心位置C2との、横方向における距離が、所定値以下となるように、目標物Pを移動させることが好ましい。これにより、停止したフォーク24に搭載された目標物Pの中心位置C2と、移動体10の中心位置C1との距離が所定値以下となり、さらに言えば、中心位置C1、C2をX方向においてほぼ同軸上(軸AX上)に位置させることが可能となる。従って、このように制御することで、目標物Pの中心位置C2を、移動体10の中心位置C1に適切に合わせることができる。
【0061】
最後に、移動体10は、フォーク24をX方向と反対側に戻し(ステップS34)、目標物Pの横方向における位置調整を完了する。
【0062】
(第2経路に沿った移動)
図10は、目標物の保持した移動体を搬送領域まで移動させる処理を説明する模式図である。移動体10が目標物Pをピックアップし、目標物Pの横方向における位置調整を完了すると、移動制御部62は、経路取得部60が取得した第2経路R2に従って、移動体10を搬送領域AR2まで移動させる。本実施形態では、ツメ24A、24Bの傾斜角度θ及びずれ量を検出しているため、経路取得部60は、ツメ24A、24Bの傾斜角度θ及びずれ量に基づいて補正した第2経路R2´を設定(更新)する。
【0063】
すなわち、経路取得部60は、ツメ24A、24Bの傾斜角度θ及びずれ量に基づき、搬送領域AR2に対して目標物Pを傾きのない正しい姿勢で荷下ろしするために、新たに設定された第2経路R2´に補正する。この場合例えば、経路取得部60は、予め設定されていた第2経路R2に対して傾斜角度θだけ傾けた経路を新たな第2経路R2´としてよい。また、目標位置A2(
図1参照)の位置を、ツメ24A、24Bのずれ量だけずらした位置に基づき補正して、補正した目標位置A2までの経路を、新たな第2経路R2´としてよい。移動制御部62は、補正した第2経路R2´に沿って移動体10を移動させる。なお、補正した第2経路R2´を算出する主体は、移動体10の経路取得部60に限られず、例えば情報処理装置12の経路取得部44が算出してもよい。
【0064】
移動体10が補正した第2経路R2´を走行して目標位置A2に到達したら、フォーク制御部64は、フォーク24を動かして、フォーク24(ツメ24A、24B)に保持された目標物Pを正しい姿勢で搬送領域AR2内にドロップする。目標物Pをドロップする工程は、
図5に示した目標物Pをピックアップする工程を逆の順番で行えばよい。
【0065】
本実施形態に係る移動体の制御方法は、目標物Pに形成された穴Pbにツメ24A、24Bを挿し込むステップと、目標物Pに対する穴Pbに挿し込まれたツメ24A、24Bの傾斜角度θを検出するステップと、穴Pbに挿し込まれたツメ24A、24Bのずれ量を検出するステップと、を含むため、ツメ24A、24Bを目標物Pの穴Pbに挿し込んだ際の該ツメ24A、24Bのずれ量を精度良く検出することができ、目標物Pを適切に搬送することができる。
【0066】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、傾斜角度θを検出するステップは、ツメ24A、24Bの各基端部24A1、24B1に設けられた基端側センサ23A、23Bと目標物Pの前面Paとが接触する時間差と、ツメ24A、24Bが穴Pbに挿し込まれる際の移動速度とに基づいて傾斜角度を算出するため、この傾斜角度を簡単に、かつ正確に算出できる。
【0067】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、ツメ24A、24Bのずれ量を検出するステップは、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bが挿し込まれた状態で、ツメ24A、24Bの延在方向と交差する方向に該ツメ24A、24Bをサイドシフトさせ、ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2に設けた先端側センサ25A、25Bの一方が穴Pbの内壁面Pb1と接触するまでの移動距離に基づいて、ツメ24A、24Bのずれ量を算出するため、このずれ量を簡単に、かつ正確に算出できる。
【0068】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bが挿し込まれた状態で、検出されたずれ量に基づいて、ツメ24A、24Bの延在方向と交差する方向に該ツメ24A、24Bを移動させ、目標物Pに対するツメ24A、24Bの位置を補正するステップを含むため、ツメ24A、24Bを適正な位置に補正できる。
【0069】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、ツメ24A、24Bの位置を補正するステップは、ずれ量が所定の閾値未満となる位置まで該ツメを移動させるため、簡単にツメ24A、24Bを適正な位置に補正できる。
【0070】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、検出した傾斜角度及びずれ量に基づき、新たに設定された、目標物Pを荷下ろしする搬送領域AR2に向かう第2経路(経路)R2´を取得するステップと、第2経路R2´に沿って移動体10を移動させるステップと、目標物Pを搬送領域AR2で荷下ろしするステップと、を含むため、移動体10に対して、傾斜して、または、位置ずれして保持された目標物Pを正しい姿勢で搬送領域AR2に荷下ろしすることができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図11は、第2実施形態に係る移動体におけるツメのずれ量を検出する動作を説明するための模式図である。第2実施形態では、移動体10Aは、ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2の外側面(角部)に光センサからなる先端側センサ27A、27Bを備える点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
先端側センサ27A、27Bは、上記のように、光センサを用いることができる。先端側センサ27A、27Bは、いわゆる1次元(1D)-LiDARであり、穴Pbの内壁面Pb1にレーザ光(光)LTを照射し、照射したレーザ光LTの反射光から、内壁面Pb1と先端側センサ27A、27B(ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2)との離間距離を検出する。本実施形態では、検出した離間距離がツメ24A、24Bのずれ量となる。
【0073】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、ツメ24A、24Bのずれ量を検出するステップは、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bが挿し込まれた状態で、該ツメ24A、24Bに設けた先端側センサ27A、27Bから穴Pbの内壁面Pb1に対して光を照射し、内壁面Pb1からの反射光の受光により取得される離間距離に基づいて、ツメ24A、24Bのずれ量を算出する。この構成によれば、第1実施形態と異なり、ずれ量を検出するために、穴Pb内でツメ24A、24Bをサイドシフトする必要がなく、作業効率(スループット)の向上が期待できる。
【0074】
なお、本実施形態では、先端側センサ27A、27Bは、各ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2の外側面(角部)に設けた構成としたが、両側面に設けてもよい。
【0075】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図12~
図13は、第3実施形態に係る移動体におけるツメのずれ量を検出する動作を説明するための模式図である。第3実施形態では、移動体10Bは、ツメ24A、24Bの基端部24A1、24B1の両側面に基端側接触センサ29A、29Bを備える点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
基端側接触センサ29A、29Bは、先端側センサ25A、25Bと同様に圧力センサを用いることができる。例えば、
図12に示すように、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bが挿し込んだ際に、ツメ24A、24Bの先端部24A2、24B2が穴Pbの内壁面Pb1に接触し、先端側センサ25A、25Bの少なくとも一方が作動した場合、第1実施形態の手法では、ツメ24A、24Bのずれ量を検出することができない。
【0077】
このため、本実施形態では、接触した側とは反対側(
図13ではY2方向)にツメ24A、24Bを横方向に移動(サイドシフト)させ、ツメ24A、24Bの基端部24A1、24B1が穴Pbの内壁面Pb1に接触し、基端側接触センサ29A、29Bの一方が作動するまでの移動距離をずれ量として算出する。
【0078】
本実施形態に係る移動体の制御方法において、ツメ24A、24Bのずれ量を検出するステップは、目標物Pの穴Pbにツメ24A、24Bが挿し込まれた状態で、ツメ24A、24Bの先端側センサ25A、25Bの少なくとも一方が作動した場合、接触した側とは反対側にツメ24A、24Bを横方向に移動させ、ツメ24A、24Bの基端部24A1、24B1が穴Pbの内壁面Pb1に接触して、基端側接触センサ29A、29Bの一方が作動するまでの移動距離をずれ量として算出する。この構成によれば、例えば、ツメ24A、24Bの先端部が穴Pbの内壁面Pb1に接触した場合であっても、ツメ24A、24Bのずれ量を、正確かつ簡単に検出することができる。
【0079】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
1 移動制御システム
10、10A、10B 移動体
23A、23B 基端側センサ
24 フォーク
24A、24B ツメ
24A1、24B1 基端部
24A2、24B2 先端部
25A、25B 先端側センサ
27A、27B 先端側センサ
28 制御装置
29A、29B 基端側接触センサ
60 経路取得部
62 移動制御部
64 フォーク制御部
65 傾斜角度検出部
66 ずれ量検出部
67 検出制御部
68 位置情報取得部
AR2 搬送領域
P 目標物
Pa 前面
Pb 穴
Pb1 内壁面(内壁)
R1 第1経路
R2、R2´ 第2経路(経路)