(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154310
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】監視装置、監視システム、監視方法、および監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241023BHJP
B65F 5/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
G06Q50/10
B65F5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068079
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖隆
(72)【発明者】
【氏名】安永 雅典
(72)【発明者】
【氏名】平林 照司
(72)【発明者】
【氏名】益岡 俊勝
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀治
【テーマコード(参考)】
3E025
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E025AA04
3E025EA03
3E025EA10
3E025EB10
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】人的なコストを抑えつつ廃棄物処理施設における計量時の不正行為を監視する。
【解決手段】監視装置(1)は、廃棄物の搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得部(101)と、取得された画像から搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定部(107)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得部と、
前記画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定部と、を備える監視装置。
【請求項2】
前記データ取得部は、入場時と退場時のそれぞれにおける前記計量の様子を撮影した画像を取得し、
前記判定部は、退場時に撮影された前記画像から検出された人物の数が、入場時に撮影された前記画像から検出された人物の数よりも多い場合に、不正計量が行われたと判定する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記データ取得部が取得する前記画像からの前記搬入車両の検出結果に基づき、
(1)計量中に当該搬入車両の一部が計量エリアの外に出ていること、
(2)前記計量エリアへの前記搬入車両の進入速度が制限速度を超えていること、
(3)前記計量エリアからの前記搬入車両の退出速度が制限速度を超えていること、
(4)計量中に前記搬入車両が停止していないこと、
(5)計量が終了して前記搬入者にその旨が報知される前に前記搬入車両が発車したこと、
の少なくとも何れかを検出した場合に、不正計量が行われたと判定する、請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記搬入車両の車種に応じた所定の判定基準に従って、当該搬入車両の一部が前記計量エリアの外に出ているか否かを判定する、請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記データ取得部は、前記廃棄物処理施設に入場する前記搬入車両を撮影した画像と、前記廃棄物処理施設から退場する前記搬入車両を撮影した画像との少なくとも何れかを取得し、
前記判定部は、前記データ取得部が取得する前記画像から検出された前記搬入車両の計量結果が記録されていない場合に、計量を行わない不正が行われたと判定する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記廃棄物処理施設の構内を走行する前記搬入車両を撮影した画像を取得し、
前記判定部は、前記データ取得部が取得する前記画像から算出された、前記廃棄物処理施設の構内における前記搬入車両の走行速度が所定の制限速度を超えている場合に、制限速度違反と判定する、請求項1、2、および5の何れか1項に記載の監視装置。
【請求項7】
廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する監視装置と、
前記監視装置が、不正行為が行われたと判定した場合に、その旨を報知する報知装置と、を含む監視システム。
【請求項8】
1または複数の情報処理装置により実行される監視方法であって、
廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得ステップと、
前記画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定ステップと、を含む監視方法。
【請求項9】
請求項1に記載の監視装置としてコンピュータを機能させるための監視プログラムであって、前記データ取得部および前記判定部としてコンピュータを機能させるための監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理施設における不正行為の監視に使用される監視装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理施設には、様々な搬入者が持ち込む廃棄物を引き取って処理する業務を行っているものがある。このような廃棄物処理施設においては、廃棄物を持ち込んだ搬入者により不正な行為が行われることがあるため、そのような不正を発見・防止するために監視を行わざるを得ない。
【0003】
廃棄物処理施設における不正行為の監視に関する先行技術としては、例えば下記の特許文献1が挙げられる。特許文献1には、廃棄物でありながら元の商品としての価値を有しているものについて、処理したと見せかけて持ち帰って転売する、という不正行為を防止するための廃棄物管理方法が開示されている。具体的には、この廃棄物管理方法は、廃棄物の重量計測からピット内への投下までの各作業を撮影し、撮影した動画をリアルタイムで配信して、不正行為が行われていないかを廃棄物の排出事業者に確認させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術では、リアルタイムで配信される動画を排出事業者がリアルタイムで視聴する必要があり、排出事業者の負担が大きいという問題がある。また、廃棄物処理施設では、特許文献1が監視の対象としている不正行為以外にも様々な不正行為が行われる可能性がある。
【0006】
例えば、廃棄物処理施設では、廃棄物処理施設への入場時と退場時のそれぞれにおいて廃棄物の搬入車両の重量を計量し、計量された重量の差に応じて当該廃棄物の処理料金が決定されることがある。そして、このような廃棄物処理施設では、処理料金を減らすための不正行為が計量時に行われることがある。このような不正行為も、監視カメラと監視員とを配置すれば発見・防止することが可能であるが、そのような監視方法では監視員が長時間の監視を行うことになり、人的なコストが大きいという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、人的なコストを抑えつつ廃棄物処理施設における計量時の不正行為の監視を行うことを可能にする監視装置等を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る監視装置は、廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得部と、前記画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定部と、を備える。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る監視システムは、廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影する撮影装置と、前記撮影装置が撮影した画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する監視装置と、前記監視装置が、不正行為が行われたと判定した場合に、その旨を報知する報知装置と、を含む。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る監視方法は、1または複数の情報処理装置により実行される監視方法であって、廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得ステップと、前記画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、人的なコストを抑えつつ廃棄物処理施設における計量時の不正行為の監視を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る監視装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】上記監視装置を含む監視システムの概要を示す図である。
【
図3】搬入車両の計量の様子を撮影した画像からの搬入者および搬入車両の検出例を示す図である。
【
図4】計量時の監視方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】計量時の監視方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】他の不正行為についての監視方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】さらに他の不正行為についての監視方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔システム概要〕
本発明の一実施形態に係る監視システム7の概要を
図2に基づいて説明する。
図2は、監視システム7の概要を示す図である。監視システム7は、廃棄物処理施設8における不正行為の監視を行うシステムである。
【0014】
監視システム7の説明に先立ち、監視の対象となる廃棄物処理施設8について説明する。
図2に示す廃棄物処理施設8には、計量機81aおよび81bと、端末装置82aおよび82bと、廃棄物ピット83とが設けられている。
【0015】
計量機81aは、廃棄物処理施設8に廃棄物を持ち込んだ搬入車両9の重量を計量する。より詳細には、計量機81aは、その表面が路面と面一になるように設けられた計量エリア上の搬入車両9の重量を計量する。入場時における当該計量では、搬入車両9の自体の重量と、搬入車両9に積載されている廃棄物の重量との合計重量が計測される。
【0016】
計量機81bは、計量機81aと同様の構成であり、廃棄物を廃棄物ピットに投下した後の搬入車両9の重量を計量する。計量機81aが計量した重量と、計量機81bが計量した重量との差が、搬入車両9により持ち込まれ、廃棄物処理施設8で処理された廃棄物の重量ということになる。なお、1つの計量機で入場時と退場時の2回の計量を行うようにしてもよい。
【0017】
端末装置82aは、廃棄物処理施設8への入場時に、廃棄物の搬入者による各種情報の入力を受け付ける装置である。例えば、端末装置82aは、搬入者の識別情報、搬入した廃棄物の種類、および搬入車両9の車種などの入力を受け付ける。そして、端末装置82aは、これらの情報を監視装置1に送信する。なお、搬入車両9の車種等については予め搬入者の識別情報と対応付けて監視システム7に登録しておくようにしてもよい。
【0018】
そして、端末装置82aは、必要な情報の入力と、計量機81aによる計量が終了したことが確認できた場合に、計量された重量を入力された各種情報と対応付けて監視装置1に送信すると共に、図示しない入口ゲートを開き、搬入車両9が廃棄物ピット83に進むことができるようにする。なお、端末装置82aは、計量機81aが計量した重量を表示する機能や、音声や画像等により搬入者を誘導する機能等を備えていてもよい。
【0019】
端末装置82bは、廃棄物処理施設8からの退場時に、搬入者による各種情報の入力を受け付ける装置である。例えば、端末装置82bは、搬入者の識別情報の入力を受け付ける。そして、端末装置82bは、計量機81bにより計量された重量に、入力された識別情報を対応付けて監視装置1に送信する。これにより、監視装置1にて料金の計算が行われ、算出された料金が端末装置82bに通知される。
【0020】
そして、端末装置82bは、通知された料金の支払いを搬入者に要請し、料金が支払われたことが確認できた場合に、図示しない出口ゲートを開き、搬入者および搬入車両9が廃棄物処理施設から出られるようにする。なお、端末装置82bも端末装置82aと同様に、計量機81bが計量した重量を表示する機能や、音声や画像等により搬入者を誘導する機能等を備えていてもよい。また、料金の受け取り等については係員が行うようにしてもよい。
【0021】
続いて監視システム7について説明する。図示のように、監視システム7には、監視装置1、表示装置2、入力装置3、撮影装置4a~4c、および報知装置5a、5bが含まれている。なお、以下では、撮影装置4a~4cをそれぞれ区別する必要がないときには「撮影装置4」と表記する。同様に、報知装置5a、5bをそれぞれ区別する必要がないときには「報知装置5」と表記する。
【0022】
監視装置1は、廃棄物処理施設8における不正行為の監視を行う装置である。詳細は後述するが、不正行為の監視には、撮影装置4により撮影された画像が用いられる。また、監視装置1は、端末装置82a、82bを介して入力される各種データの管理や、料金の計算等についても行う。以下では、監視装置1が管理するデータを管理データと呼ぶ。なお、データの管理や料金計算等は監視装置1とは別の装置で行うようにしてもよい。
【0023】
管理データには、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入する搬入者の識別情報、搬入車両9の識別情報(例えば車両番号等であってもよい)、搬入車両9の車種、入場時の計量時刻、入場時に計量された重量、退場時の計量時刻、退場時に計量された重量、搬入者に請求した料金、および料金支払いが完了しているか否か等の情報が含まれていてもよい。また、搬入者が搬入業者の従業員である場合、搬入業者名や、搬入業者の識別情報についても管理データに含めておいてもよい。この他にも、例えば、搬入者の画像(典型的には顔画像)等を予め取得して管理データに含めておいてもよい。なお、これらの情報は、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入する搬入者のそれぞれについて記録される。
【0024】
表示装置2は、画像を表示する装置である。表示装置2には、監視装置1の使用者(例えば廃棄物処理施設8の管理者)が廃棄物処理施設8の管理を行う上で有用な情報が表示される。例えば、表示装置2には、監視装置1により検出された不正行為の内容等が表示される。この場合、表示装置2は、検出された不正行為について管理者に報知する報知装置として機能する。
【0025】
入力装置3は、監視装置1に対する入力を受け付ける装置である。
図2には入力装置3がキーボードである例を示しているが、入力装置3は必要な入力を受け付けることができるものであればよく、キーボードに限られない。
【0026】
撮影装置4は、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入した搬入車両9を撮影する。より詳細には、撮影装置4aは、計量機81aで計量中の搬入車両9が撮影範囲に収まるような位置に配置されている。これにより、撮影装置4aによって、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入した搬入車両9の搬入時の計量の様子が撮影される。同様に、撮影装置4bは、計量機81bで計量中の搬入車両9が撮影範囲に収まるような位置に配置されており、撮影装置4bにより退場時の計量の様子が撮影される。監視装置1は、このようにして撮影された画像から搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する。
【0027】
一方、撮影装置4cは、廃棄物処理施設8の構内に配置され、廃棄物処理施設8の構内を走行する搬入車両を撮影する。なお、
図2には撮影装置4cを1つのみ示しているが、廃棄物処理施設8の構内の複数箇所に撮影装置を配置してもよい。また、撮影装置は廃棄物処理施設8の入り口付近や出口付近などにも配置してもよい。
【0028】
報知装置5は、搬入者に所定の情報を知らせるための装置である。監視装置1は、報知装置5を介して搬入者に各種情報を知らせることができる。
図2には、報知装置5がスピーカである例を示しているが、報知装置5は出力する情報を搬入者に認識させることができるものであればよく、この例に限られない。例えば、報知装置5として表示装置を適用してもよいし、表示装置とスピーカの両方を報知装置5として用いてもよい。
【0029】
以上のように、監視システム7は、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入した搬入車両9の計量の様子を撮影する撮影装置4aおよび4bと、撮影装置4aおよび4bが撮影した画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する監視装置1と、監視装置1が、不正行為が行われたと判定した場合にその旨を報知する報知装置5と、を含む。
【0030】
これにより、人的なコストを抑えつつ廃棄物処理施設における計量時の不正行為の監視を行うことが可能になる。なお、どのような行為を不正行為として監視するかは予め定めておけばよい。監視システム7によれば、計量の様子を撮影した画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて特定可能な不正行為であれば、任意の不正行為を監視することが可能である。
【0031】
〔監視装置の構成〕
図1に基づいて監視装置1の構成を説明する。
図1は、監視装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のように、監視装置1は、監視装置1の各部を統括して制御する制御部10と、監視装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、監視装置1は、監視装置1が他の装置と通信するための通信部12、入力IF(インターフェース)部13、および出力IF部14を備えている。例えば、入力IF部13を介して
図2に示した入力装置3を接続することにより、入力装置3を介して監視装置1の操作を行うことができる。また、出力IF部14を介して
図2に示した表示装置2を接続することにより、不正行為の検出結果等を表示装置2に表示させることができる。また、例えば、通信部12を介して
図2に示した端末装置82a、82bから各種情報を取得したり、報知装置5に各種情報を出力させたりすることも可能である。
【0032】
また、制御部10には、データ取得部101、人検出部102、車種特定部103、車両検出部104、速度算出部105、車両特定部106、判定部107、および報知制御部108が含まれている。なお、料金の算出等に関する構成要素については図示を省略している。
【0033】
そして、判定部107には、第1判定部107A、第2判定部107B、第3判定部107C、および第4判定部107Dが含まれている。判定部107の機能は、第1判定部107A、第2判定部107B、第3判定部107C、および第4判定部107Dの少なくとも何れかによって実現される。判定部107には、第1判定部107Aおよび第2判定部107Bの少なくとも何れかが含まれていればよく、第3判定部107Cおよび第4判定部107Dを設けることは任意である。
【0034】
データ取得部101は、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入した搬入車両9の計量の様子を撮影した画像を取得する。具体的には、
図2に示した撮影装置4aおよび4bが撮影する画像には搬入車両9の計量の様子が写る。このため、データ取得部101は、撮影装置4aおよび4bから画像を取得する。
【0035】
また、データ取得部101は、廃棄物処理施設8の構内を走行する搬入車両9を撮影した画像を取得してもよい。具体的には、
図2に示した撮影装置4cが撮影する画像には構内を走行する搬入車両が写る。このため、データ取得部101は、撮影装置4cから画像を取得してもよい。
【0036】
また、データ取得部101は、廃棄物処理施設8に入場する搬入車両9、または廃棄物処理施設8から退場する搬入車両9を撮影した画像を取得してもよい。例えば、
図2には示していないが、廃棄物処理施設8の入り口を通過する搬入車両9が写る位置に撮影装置を設置しておけば、廃棄物処理施設8に入場する搬入車両9を撮影することができる。同様に、廃棄物処理施設8の出口を通過する搬入車両9が写る位置に撮影装置を設置しておけば、廃棄物処理施設8から退場する搬入車両9を撮影することができる。データ取得部101は、このような撮影装置により撮影された画像を取得してもよい。
【0037】
なお、撮影装置4aは入場時の計量を行う計量エリア付近に配置されるから、撮影装置4aが撮影する画像は、廃棄物処理施設8に入場する搬入車両9を撮影した画像であるともいえる。また、撮影装置4bは退場時の計量を行う計量エリア付近に配置されるから、撮影装置4bが撮影する画像は、廃棄物処理施設8から退場する搬入車両9を撮影した画像であるともいえる。
【0038】
人検出部102は、データ取得部101により取得された画像から搬入者を検出する。また、車両検出部104は、データ取得部101により取得された画像から搬入車両9を検出する。搬入者および搬入車両9の検出の詳細については、後記「搬入者および搬入車両の検出」で説明する。
【0039】
車種特定部103は、搬入車両9の車種を特定する。車種の特定方法は特に限定されない。例えば、車種特定部103は、データ取得部101が取得する画像を解析することにより、当該画像に写る搬入車両9の車種を特定してもよい。また、例えば、上述の管理データにおいて、搬入者の識別情報に対応付けて搬入車両9の車種が登録されている場合、車種特定部103は、端末装置82aまたは82bに入力された識別情報を用いて、上述の管理データから車種を特定することもできる。
【0040】
速度算出部105は、搬入車両9の移動速度を算出する。移動速度の算出方法は特に限定されない。例えば、速度算出部105は、固定位置から搬入車両9を撮影した時系列の画像に写る搬入車両9の移動量に基づいて搬入車両9の移動速度を算出してもよい。また、例えば、速度算出部105は、搬入車両9が2つの地点を通過するタイミングをそれぞれ検知し、それらのタイミングの差と、2地点間の距離から移動速度を算出してもよい。
【0041】
車両特定部106は、撮影された画像に写る搬入車両9を特定し、特定した搬入車両9の識別情報を記録する。例えば、車両特定部106は、撮影された画像に写る搬入車両9のナンバープレート部分を検出し、その部分に表示されている番号を読み取り、読み取った番号を搬入車両9の識別情報として上述の管理データに記録してもよい。
【0042】
判定部107は、データ取得部101により取得された画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する。なお、搬入者の検出は人検出部102によって行われ、搬入車両9の検出は車両検出部104により行われる。
【0043】
報知制御部108は、判定部107が、不正行為が行われたと判定した場合に、その旨を報知装置に報知させる。報知のタイミングおよび対象とする報知装置は特に限定されない。
【0044】
例えば、判定部107がリアルタイムで不正行為を検出する場合、報知制御部108は不正行為が検出された直後に、不正行為を行った搬入者および廃棄物処理施設8の管理者等に対して報知を行ってもよい。搬入者に対する報知は例えば報知装置5を介して行うことができ、管理者等に対する報知は例えば表示装置2等を介して行うことができる。
【0045】
また、例えば、廃棄物処理施設8の一日の業務が終了した後で、判定部107がその日の不正行為をまとめて検出する場合、報知制御部108は、検出された不正行為を表示装置2に表示させる等によってそれらの不正行為を報知してもよい。また、例えば、報知先のメールアドレス等が予め登録されている場合、報知制御部108は、電子メールを送信する等の手段により、登録された報知先に不正行為の検出結果を報知してもよい。
【0046】
また、報知制御部108は、不正行為を行った搬入者を識別し、その識別結果に応じた報知先に不正行為を報知してもよい。例えば、報知制御部108は、搬入車両の識別番号を特定し、管理データにおいてその識別番号に対応付けて登録されている搬入者または搬入業者に対して不正行為が行われたことを報知してもよい。また、例えば、報知制御部108は、不正行為を行った搬入者の顔画像と、予め管理データ等に登録されている顔画像を照合して搬入者を識別すると共に、管理データから当該搬入者の所属する搬入業者を特定し、特定した搬入業者に対して不正行為が行われたことを報知してもよい。
【0047】
また、報知制御部108による報知の内容も特に限定されない。例えば、報知制御部108は、不正行為が行われたことを報知する際に、管理データ等に登録されている各種情報についても報知してもよい。例えば、管理データに登録されている搬入業者名を報知する場合、報知制御部108は、上述のようにして搬入者または搬入車両を識別した上で、当該搬入者の所属する搬入業者と、その名称を特定すればよい。この他にも、報知制御部108は、例えば、検出された不正行為の種別や、これまでに検出された不正行為の累積回数等の不正行為履歴についても報知してもよい。
【0048】
以上のように、監視装置1は、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入した搬入車両9の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得部101と、取得された画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定部107と、を備える。これにより、搬入者が計量時に行った不正行為を自動で検出することができるから、人的なコストを抑えつつ廃棄物処理施設8における計量時の不正行為の監視を行うことが可能になる。
【0049】
(第1判定部について)
第1判定部107Aは、搬入車両9の計量の様子を撮影した画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する。
【0050】
より詳細には、第1判定部107Aは、退場時に撮影された画像から検出された人物の数が、入場時に撮影された画像から検出された人物の数よりも多い場合に、不正計量が行われたと判定する。なお、この判定を行う場合、データ取得部101は、入場時と退場時のそれぞれにおける計量の様子を撮影した画像を取得する。
【0051】
入場時と退場時に計量された合計重量の差に応じて廃棄物の処理料金が決定される場合、退場時に計量エリアに入る人数を入場時よりも多くすることにより、上記の差を小さくして処理料金を減らすという不正計量が行われることがある。監視装置1は、第1判定部107Aを備えていることにより、このような不正計量を自動で検出することができる。
【0052】
(第2判定部について)
第2判定部107Bも第1判定部107Aと同様に、搬入車両9の計量の様子を撮影した画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する。
【0053】
より詳細には、第2判定部107Bは、搬入車両9の計量の様子を撮影した画像からの搬入車両の検出結果に基づき、(1)計量中に搬入車両9の一部が計量エリアの外に出ていること、(2)計量エリアへの搬入車両9の進入速度が制限速度を超えていること、(3)計量エリアからの搬入車両9の退出速度が制限速度を超えていること、(4)計量中に搬入車両9が停止していないこと、(5)計量が終了して搬入者にその旨が報知される前に搬入車両9が発車したこと、の少なくとも何れかを検出した場合に、不正計量が行われたと判定する。
【0054】
廃棄物を積載した搬入車両9の重量を計量した結果に基づいて廃棄物の処理料金が決定される場合、計量中に搬入車両9の一部を計量エリアの外に出すことにより、計量エリアにかかる荷重を減らし、処理料金を減らすという不正計量が行われることがある。上記の(1)の構成によれば、このような不正計量を自動で検出することができる。
【0055】
また、計量エリアに高速で進入したり、計量エリアから急発進して退出したり、計量の終了が報知される前に発車したりする行為は危険であり、これらの行為も不正計量の類型に含まれる。上記の(2)(3)(5)の構成によれば、このような不正計量を自動で検出することができる。
【0056】
また、計量中に搬入車両9を完全に停止させておかないと、重量が正確に計量できないことが想定され、また、計量中に搬入車両9を完全に停止させないことは安全面でも問題があるから、このような行為も不正計量の類型に含まれる。上記(4)の構成によれば、このような不正計量を自動で検出することができる。なお、第2判定部107Bは、必ずしも上記(1)~(5)の全てについて検出の対象とする必要はなく、これらのうち少なくとも1つを検出の対象とすればよい。
【0057】
(第3判定部について)
第3判定部107Cは、入場時または退場時の少なくとも何れかにおいて計量を行わない不正が行われたか否かを判定する。この判定には、廃棄物処理施設8に入場する搬入車両9を撮影した画像と、廃棄物処理施設8から退場する搬入車両9を撮影した画像との少なくとも何れかが用いられる。これらの画像はデータ取得部101により取得される。
【0058】
より詳細には、第3判定部107Cは、上記画像から検出された搬入車両9の計量結果が記録されていない場合に、計量を行わない不正が行われたと判定する。入場時と退場時に計量された重量の差に応じて廃棄物の処理料金が決定される場合、計量エリアで計量を行わず、処理料金が少なくなるような重量を手入力する不正が行われることがある。第3判定部107Cを備えた監視装置1によれば、このような不正を自動で検出することができる。
【0059】
(第4判定部について)
第4判定部107Dは、廃棄物処理施設8の構内を走行する搬入車両が制限速度違反であるか否かを判定する。この判定には、廃棄物処理施設8の構内を走行する搬入車両9を撮影した画像が用いられる。この画像はデータ取得部101により取得される。
【0060】
より詳細には、第4判定部107Dは、上記画像から算出された、廃棄物処理施設8の構内における搬入車両9の走行速度が所定の制限速度を超えている場合に、制限速度違反と判定する。廃棄物処理施設8の構内における制限速度超過は非常に危険であり、不正行為の類型に含まれる。第4判定部107Dを備えた監視装置1によれば、このような不正行為を自動で検出することができる。
【0061】
〔搬入者および搬入車両の検出〕
搬入車両9の計量の様子を撮影した画像からの搬入者および搬入車両9の検出について
図3に基づいて説明する。
図3は、搬入車両の計量の様子を撮影した画像からの搬入者および搬入車両の検出例を示す図である。なお、搬入車両9は廃棄物の搬送が可能な車両であればよく、例えば
図2に示したような廃棄物の搬送用の車両(パッカー車等)であってもよいし、
図3に示すような乗用車であってもよい。
【0062】
図3に示す画像A1には、搬入車両A11、搬入者A12、搬入者A13、および計量エリアA14が写っている。データ取得部101は、例えば、計量が行われている期間に撮影装置4aまたは4bにより撮影された動画像からフレーム画像を抽出することにより、このような画像A1を取得することができる。なお、撮影装置4aおよび4bは、静止画像を撮影するものであってもよく、この場合、フレーム画像の抽出は不要である。
【0063】
例えば、車両検出部104は、各種車両の画像を教師データとする機械学習により構築された車両検出モデルを用いることにより、画像A1から搬入車両を自動で検出することができる。
図3には、画像A1において搬入車両A11が検出された領域を矩形B1で示している。
【0064】
同様に、人検出部102は、各種人物の画像を教師データとする機械学習により構築された人検出モデルを用いることにより、このような画像から搬入者を自動で検出することができる。
図3には、画像A1において搬入者A12が検出された領域を矩形B2で示し、搬入者A13が検出された領域を矩形B3で示している。
【0065】
人検出部102は、このような人検出モデルを用いて、データ取得部101が取得する画像(入場時と退場時のそれぞれにおける計量の様子を撮影した画像)から人物を検出してもよい。これにより、第1判定部107Aは、人検出部102の検出結果を用いて、退場時に撮影された画像から検出された人物の数が、入場時に撮影された画像から検出された人物の数よりも多いか否かを判定することができる。
【0066】
なお、計量エリア外の人物の重量は計量結果に反映されない。このため、人検出部102は、データ取得部101が取得する画像の画像領域のうち計量エリア内に位置する人物が写り得る領域に絞って人物検出を行うことが好ましい。例えば、人検出部102は、計量エリアよりも上方側の領域に絞って人物検出を行ってもよい。また、上述の人検出モデルは、人の全身を検出するモデルであってもよいし、人の一部(例えば顔や上半身)を検出するモデルであってもよい。
【0067】
また、車両検出部104は、上述のような車両検出モデルを用いて、データ取得部101が取得する画像における搬入車両の位置および範囲を検出してもよい。撮影装置4aおよび4bを動かさなければ、撮影される画像において計量エリアA14が写る範囲は一定である。このため、第2判定部107Bは、当該一定の範囲と車両検出部104が検出した範囲とを比較することにより、計量中に搬入車両の一部が計量エリアの外に出ているか否かを判定することができる。
【0068】
なお、ここで「搬入車両の一部が計量エリアの外に出ている」とは、搬入車両の重量が正確に計量できない程度に搬入車両が計量エリアの外に出ていることを意味する。例えば、搬入車両の車輪のうち少なくとも1つが計量エリアの外に出ていれば、「搬入車両の一部が計量エリアの外に出ている」としてもよい。この場合、搬入車両の車輪が写るような角度で画像を撮影し、撮影した画像から車輪を検出すると共に、計量エリアの外縁部を検出してもよい。そして、第2判定部107Bは、検出された車輪が、検出された外縁部の外に出ているか否かを判定すればよい。
【0069】
また、車両の外縁部の位置に対する車輪の相対位置は概ね決まっているから、車両検出モデルにより検出された位置および範囲のみから「搬入車両の一部が計量エリアの外に出ている」か否かを判定することも可能である。この場合、検出された位置および範囲の適正範囲を予め定めておけば、第2判定部107Bは、検出された位置および範囲が、当該適正範囲内にあるか否かにより、「搬入車両の一部が計量エリアの外に出ている」か否かを判定することができる。
【0070】
また、車両は車種によって車輪の位置は決まっている。このため、搬入車両の車種が分かれば上記の判定をより高精度に行うことができる。この場合、車種ごとの判定基準を予め定めておき、第2判定部107Bは、車種特定部103が特定する車種に応じた判定基準(例えば上述の適正範囲)に従って「搬入車両の一部が計量エリアの外に出ている」か否かを判定すればよい。
【0071】
このように、第2判定部107Bは、計量中に搬入車両9の一部が計量エリアの外に出ているか否かについての判定を行う際に、搬入車両9の車種に応じた所定の判定基準に従って、搬入車両9の一部が計量エリアの外に出ているか否かを判定してもよい。これにより、搬入車両9の車種の違いを、その車種に応じた判定基準を適用することによって吸収して、様々な車種の搬入車両9について、搬入車両9の一部が計量エリアの外に出ているか否かの判定を高精度に行うことが可能になる。
【0072】
〔計量時の監視方法1〕
第1判定部107Aによる計量時の監視方法について
図4に基づいて説明する。
図4は、計量時の監視方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、搬入車両9が退場時の計量を行ったことをトリガとして監視方法が実行される例を説明するが、本監視方法は、搬入車両9が退場した後(例えば廃棄物処理施設8の一日の業務が終了した後)で行われてもよい。
【0073】
S11では、データ取得部101が、対象となる搬入者を特定する。例えば、データ取得部101は、退場時に端末装置82bに入力された搬入者の識別情報を取得することにより対象となる搬入者を特定してもよい。
【0074】
S12では、データ取得部101は、入場時および退場時の計量時刻を特定する。例えば、データ取得部101は、上述の管理データに記録されている各搬入者の計量時刻の中から、S11で特定した搬入者の識別情報に対応付けて記録されている退場時および入場時の計量時刻を特定してもよい。
【0075】
S13(データ取得ステップ)では、データ取得部101は、入場時および退場時のそれぞれにおける搬入車両9の計量の様子を撮影した画像を取得する。より詳細には、データ取得部101は、撮影装置4aで撮影された画像のうちS12で特定した入場時の計量時刻に撮影された画像(動画像から抽出したフレーム画像であってもよい)を、入場時の搬入車両9の計量の様子を撮影した画像として取得する。また、データ取得部101は、撮影装置4bで撮影された画像のうちS12で特定した退場時の計量時刻に撮影された画像を、退場時の搬入車両9の計量の様子を撮影した画像として取得する。
【0076】
また、搬入車両9が計量エリアに接近したことを検知して撮影装置4aおよび4bによる撮影の開始および終了を自動で制御するようにしてもよい。この場合、搬入車両9が計量エリアに接近してから計量を終了して計量エリアを離れるまでの様子を示す画像を、入場時に入力された搬入者の識別情報と対応付けて記録しておくことができる。退場時の搬入車両9の計量の様子を撮影した画像についても同様である。この場合、データ取得部101は、退場時に端末装置82bに入力された搬入者の識別情報を用いて、当該識別情報に対応付けられた、入場時および退場時の搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得することができるから、S12の処理は省略することができる。
【0077】
S14では、人検出部102が、S13で取得された各画像から人物を検出する。なお、上述のように、人検出部102は、取得された画像のうち計量エリアの上部の領域のみを対象として人検出を行ってもよい。これにより、計量された重量に影響を与えた人物の人数を的確に把握した妥当な判定が可能になる。
【0078】
S15(判定ステップ)では、第1判定部107Aが、S13で取得された画像からS14で搬入者を検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する。より詳細には、第1判定部107Aは、退場時に撮影された画像から検出された人物の数が、入場時に撮影された画像から検出された人物の数よりも多い場合に、不正計量が行われたと判定する。S15でYESと判定された場合にはS16に進み、S15でNOと判定された場合には
図4の処理は終了する。
【0079】
S16では、報知制御部108が、不正計量が行われたことを所定の報知先に報知させ、これにより
図4の処理は終了する。例えば、S16において、報知制御部108は、報知装置5bを介して搬入者に不正計量と検知された旨を報知すると共に、表示装置2に不正計量が行われた旨を表示させてもよい。また、報知制御部108は、報知装置5bを介して、入場時に検出された人数と退場時に検出された人数とを搬入者に報知し、入場時と同じ人数で計量し直すことを促してもよい。これにより、人手を介することなく計量を正しくやり直しさせることが可能になる。
【0080】
なお、不正計量が行われたことを検知したときに搬入者がすでに退場していた場合、報知する処理は省略し、管理データ等において、当該搬入者の識別情報に対応付けて不正計量が行われたことを記録しておいてもよい。これにより、当該搬入者について次回の搬入時に計量不可とする等の措置を採ることもできる。
【0081】
〔計量時の監視方法2〕
第2判定部107Bによる計量時の監視方法について
図5に基づいて説明する。
図5は、計量時の監視方法の他の例を示すフローチャートである。なお、以下では、搬入車両9が入場時の計量を行ったことをトリガとして監視方法が実行される例を説明するが、本監視方法は、退場時の計量を行ったことをトリガとして実行することもできる。また、本監視方法は、搬入車両9が退場した後(例えば廃棄物処理施設8の一日の業務が終了した後)で行われてもよい。
【0082】
S21では、データ取得部101が、対象となる搬入者を特定する。また、S22では、データ取得部101は、入場時の計量時刻を特定する。搬入者の特定方法および計量時刻の特定方法としては、
図4のS11およびS12と同様の手法が適用可能である。
【0083】
S23では、車種特定部103が、搬入車両9の車種を特定する。例えば、車種特定部103は、S21で特定された搬入者に対応付けられて記憶されている車種を、搬入車両9の車種として特定してもよい。なお、S23の処理はS27より前のタイミングで行えばよく、S23の処理を実行するタイミングは図示の例に限られない。
【0084】
S24(データ取得ステップ)では、データ取得部101が、S22で特定された計量時刻付近に撮影された画像を取得する。例えば、データ取得部101は、計量時刻の所定時間前から計量時刻の所定時間後までの時系列の画像を取得してもよい。
【0085】
S25では、車両検出部104が、S24で取得された各画像から搬入車両9を検出する。そして、S26では、速度算出部105が、S25の検出結果に基づいて搬入車両9の移動速度を算出する。なお、移動速度は、時間的に隣接する画像間のそれぞれについて算出される。例えば、速度算出部105は、時間的に隣接する画像間における搬入車両9の移動量を算出し、算出した移動量を実際の移動距離に換算し、当該移動距離をそれら画像が撮影された時刻の差で割って速度を算出する、という処理を時間的に隣接する画像の各組について行ってもよい。
【0086】
S27(判定ステップ)では、第2判定部107Bが、S24で取得された画像から、S25で搬入車両を検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する。
【0087】
具体的には、第2判定部107Bは、計量中に搬入車両の一部が計量エリアの外に出ているか否かを判定する。この判定は、S24で取得された画像のうち、計量時刻に撮影された画像からの搬入車両9の検出結果に基づいて行われる。また、この判定には、S23における車種の特定結果が考慮される。
【0088】
また、第2判定部107Bは、計量エリアへの搬入車両9の進入速度が制限速度を超えているか否かを判定する。この判定は、S26で算出された移動速度のうち、計量時刻より前に撮影された画像から算出された移動速度に基づいて行われる。例えば、第2判定部107Bは、計量時刻より前に撮影された画像から算出された各移動速度の平均値が所定の制限速度を超えている場合に、進入速度が制限速度を超えていると判定してもよい。また、例えば、第2判定部107Bは、計量時刻より前に撮影された画像から算出された各移動速度の最大値が所定の制限速度を超えている場合に、進入速度が制限速度を超えていると判定してもよい。
【0089】
同様にして、第2判定部107Bは、計量エリアからの搬入車両の退出速度が制限速度を超えているか否かを判定する。この判定は、S26で算出された移動速度のうち、計量時刻より後に撮影された画像から算出された移動速度に基づいて行われる。
【0090】
また、第2判定部107Bは、計量中に搬入車両9が停止していたか否かを判定する。例えば、第2判定部107Bは、S26で算出された移動速度のうち、計量時刻における移動速度がゼロであった場合に停止していたと判定し、ゼロではなかった場合に停止していなかったと判定してもよい。
【0091】
さらに、第2判定部107Bは、計量が終了して搬入者にその旨が報知される前に搬入車両9が発車したか否かを判定する。例えば、第2判定部107Bは、S26で算出された移動速度のうち、計量時刻から上記の報知が行われるまでの期間における移動速度がゼロであった場合に発車していないと判定し、ゼロではなかった場合に発車したと判定してもよい。
【0092】
以上の判定の結果が何れも不正計量ではないことを示している場合、S27ではNOと判定され、
図5の処理は終了する。一方、少なくとも何れかの判定の結果が不正計量であることを示している場合、S28に進む。
【0093】
S28では、報知制御部108が、不正計量が行われたことを所定の報知先に報知させ、これにより
図5の処理は終了する。例えば、S28において、報知制御部108は、報知装置5aを介して搬入者に不正計量と検知された旨を報知すると共に、表示装置2に不正計量が行われた旨を表示させてもよい。
【0094】
以上のように、
図4および
図5に示される監視方法は、廃棄物処理施設8に廃棄物を搬入した搬入車両9の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得ステップ(S13/S24)と、取得された画像から搬入車両9および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定ステップ(S15/S27)と、を含む。これにより、人的なコストを抑えつつ廃棄物処理施設8における計量時の不正行為の監視を行うことが可能になる。
【0095】
〔他の不正行為についての監視方法〕
第3判定部107Cによる不正行為の監視方法について
図6に基づいて説明する。
図6は、第3判定部107Cによる不正行為の監視方法の一例を示すフローチャートである。上述のように第3判定部107Cは、入場時または退場時の少なくとも何れかにおいて計量を行わない不正を監視するためのものである。
【0096】
なお、以下では、入場時に計量を行わない不正を監視する例を説明する。また、以下では、入場時の計量エリアに搬入車両9が接近したときに撮影装置4aによる撮影が自動で開始され、計量エリアから搬入車両9が離れたときに撮影装置4aによる撮影が自動で終了される場合の例を説明する。
【0097】
S31では、データ取得部101が、上記のようにして計量エリア通過時に撮影された画像を取得する。続いて、S32では、車両特定部106が、S31で取得された画像から、計量エリアを通過した搬入車両9を特定する。
【0098】
S33では、第3判定部107Cが、S32で特定された搬入車両9の計量結果が記録されているか否かを判定する。より詳細には、第3判定部107Cは、S31で取得された画像が撮影された時間帯、すなわちS32で特定された搬入車両9が計量エリア付近に位置していた時間帯において、計量時刻と重量が管理データに記録されているか否かを判定する。S33でNOと判定された場合にはS34に進み、S33でYESと判定された場合には図示の処理は終了する。
【0099】
S34では、報知制御部108が、不正行為が行われたことを所定の報知先に報知させ、これにより
図6の処理は終了する。例えば、S34において、報知制御部108は、入場時の計量が行われなかったことを示すメッセージ等を表示装置2に表示させてもよい。これにより、不正行為に用いられた搬入車両9が退場する前に搬入車両9に乗車している搬入者を捕捉することが可能になる。
【0100】
なお、退場時に計量を行わない不正についても同様にして監視することが可能である。この場合、S31では退場時の計量エリア通過時に撮影された画像が取得される。そして、S32では計量エリアを通過した搬入車両9が特定される。そして、S33では搬入車両9が計量エリア付近に位置していた時間帯において、計量時刻と重量が記録されているか否かが判定され、記録されていなければ不正行為が行われたと判定される。
【0101】
また、S31では、計量エリア以外で撮影された画像を取得してもよい。例えば、廃棄物処理施設8の入り口付近に設置された撮影装置により撮影された画像を取得してもよい。この場合、S33では、上記画像が撮影された後の所定期間に計量結果が記録されているか否かを判定すればよい。同様に、廃棄物処理施設8の出口付近に設置された撮影装置により撮影された画像を取得してもよく、この場合、S33では、当該画像が撮影される前の所定期間に計量結果が記録されているか否かを判定すればよい。
【0102】
〔さらに他の不正行為についての監視方法〕
第4判定部107Dによる不正行為の監視方法について
図7に基づいて説明する。
図7は、第4判定部107Dによる不正行為の監視方法の一例を示すフローチャートである。上述のように第4判定部107Dは、廃棄物処理施設8の構内における制限速度超過を監視するためのものである。
【0103】
S41では、データ取得部101が、対象となる搬入者を特定する。より詳細には、データ取得部101は、入場時に端末装置82aに入力され、管理データに記録された識別情報に示される搬入者を、対象となる搬入者として特定する。
【0104】
S42では、データ取得部101は、S41で特定した搬入者の入場時の計量時刻以降に、廃棄物処理施設8の構内で撮影された画像を取得する。例えば、データ取得部101は、
図2に示した撮影装置4cにより撮影された画像を取得する。S42では時系列を構成する複数の画像が取得される。
【0105】
S43では、車両検出部104が、S42で取得された各画像から搬入車両9を検出する。そして、S44では、速度算出部105が、S43の検出結果に基づいて搬入車両9の移動速度を算出する。
【0106】
S45では、第4判定部107Dが、制限速度違反があったか否かを判定する。具体的には、第4判定部107Dは、S44で算出された速度が所定の閾値を超えている場合に制限速度違反があったと判定する。S45でYESと判定された場合にはS46に進み、S45でNOと判定された場合には図示の処理は終了する。
【0107】
S46では、報知制御部108が、不正行為が行われたことを所定の報知先に報知させ、これにより
図7の処理は終了する。例えば、報知制御部108は、制限速度違反があったことを示すメッセージ等を表示装置2に表示させてもよいし、退場時の計量の際に報知装置5bを介して制限速度違反があったことを搬入者に報知してもよい。
【0108】
〔変形例〕
上述の各実施形態で説明した各処理の実行主体は任意であり、上述の例に限られない。つまり、相互に通信可能な複数の情報処理装置により、監視装置1と同様の機能を実現することができる。例えば、
図4~
図7に示す各処理を複数の情報処理装置に分担で実行させてもよい。つまり、上述の実施形態における管理方法の実行主体は、1つの情報処理装置(コンピュータ)であってもよいし、複数の情報処理装置(コンピュータ)であってもよい。
【0109】
〔ソフトウェアによる実現例〕
監視装置1の機能は、監視装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、監視装置1の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラム(監視プログラム)により実現することができる。
【0110】
この場合、監視装置1は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0111】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、監視装置1が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0112】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0113】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る監視装置は、廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得部と、前記画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定部と、を備える。
【0114】
本発明の態様2に係る監視装置は、上記態様1において、前記データ取得部は、入場時と退場時のそれぞれにおける前記計量の様子を撮影した画像を取得し、前記判定部は、退場時に撮影された前記画像から検出された人物の数が、入場時に撮影された前記画像から検出された人物の数よりも多い場合に、不正計量が行われたと判定する、請求項1に記載の監視装置。
【0115】
本発明の態様3に係る監視装置は、上記態様1または2において、前記判定部は、前記データ取得部が取得する前記画像からの前記搬入車両の検出結果に基づき、(1)計量中に当該搬入車両の一部が計量エリアの外に出ていること、(2)前記計量エリアへの前記搬入車両の進入速度が制限速度を超えていること、(3)前記計量エリアからの前記搬入車両の退出速度が制限速度を超えていること、(4)計量中に前記搬入車両が停止していないこと、および(5)計量が終了して前記搬入者にその旨が報知される前に前記搬入車両が発車したこと、の少なくとも何れかを検出した場合に、不正計量が行われたと判定する。
【0116】
本発明の態様4に係る監視装置は、上記態様3において、前記判定部は、前記搬入車両の車種に応じた所定の判定基準に従って、当該搬入車両の一部が前記計量エリアの外に出ているか否かを判定する、請求項3に記載の監視装置。
【0117】
本発明の態様5に係る監視装置は、上記態様1において、前記データ取得部は、前記廃棄物処理施設に入場する前記搬入車両を撮影した画像と、前記廃棄物処理施設から退場する前記搬入車両を撮影した画像との少なくとも何れかを取得し、前記判定部は、前記データ取得部が取得する前記画像から検出された前記搬入車両の計量結果が記録されていない場合に、計量を行わない不正が行われたと判定する。
【0118】
本発明の態様6に係る監視装置は、上記態様1から5の何れかにおいて、前記データ取得部は、前記廃棄物処理施設の構内を走行する前記搬入車両を撮影した画像を取得し、前記判定部は、前記データ取得部が取得する前記画像から算出された、前記廃棄物処理施設の構内における前記搬入車両の走行速度が所定の制限速度を超えている場合に、制限速度違反と判定する。
【0119】
本発明の態様7に係る監視システムは、廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影する撮影装置と、前記撮影装置が撮影した画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する監視装置と、前記監視装置が、不正行為が行われたと判定した場合に、その旨を報知する報知装置と、を含む。
【0120】
本発明の態様8に係る監視方法は、1または複数の情報処理装置により実行される監視方法であって、廃棄物処理施設に廃棄物を搬入した搬入車両の計量の様子を撮影した画像を取得するデータ取得ステップと、前記画像から前記搬入車両および搬入者の少なくとも何れかを検出した検出結果に基づいて、前記搬入者が計量時に不正行為を行ったか否かを判定する判定ステップと、を含む。
【0121】
本発明の態様9に係る監視プログラムは、上記態様1に記載の監視装置としてコンピュータを機能させるための監視プログラムであって、前記データ取得部および前記判定部としてコンピュータを機能させる。
【0122】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0123】
1 監視装置
101 データ取得部
107 判定部
7 監視システム
4a~4c 撮影装置
5a、5b 報知装置