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特開2024-154350可変のホルベック幾何形状を有するホルベックポンプ段を備える真空ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154350
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】可変のホルベック幾何形状を有するホルベックポンプ段を備える真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
F04D19/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023087729
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】23168408
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン・ビルケンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ・ブリュック
【テーマコード(参考)】
3H131
【Fターム(参考)】
3H131AA02
3H131AA07
3H131BA14
3H131CA02
(57)【要約】
【課題】吸気口と排気口とを有する少なくとも1つのホルベックポンプ段を備え、ホルベックポンプ段は、ロータスリーブを具備するホルベックロータと、ステータスリーブを具備するホルベックステータとを有し、ステータスリーブは、ホルベック間隙を形成しながら、ホルベックロータに対して同軸に配置されていて、ステータスリーブは、複数のねじ溝を具備するホルベックねじ部を有する、真空ポンプにおいて、ホルベックポンプ段の特性値を比較的小さなステップで又は微調整して変化できるようにする。
【解決手段】ステータスリーブ10は、ワンピースに構成されていて、ウェブ12の数と、ねじピッチと、ねじ溝14の幅と、ウェブの幅と、溝底18上のウェブの高さとからなるねじ部パラメータの群のうちのホルベックねじ部16の少なくとも1つのねじ部パラメータが、ステータスリーブの軸方向延伸長さにわたって変化する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(111)、特にターボ分子真空ポンプ(111)であって、
吸気口(E)とポンプ方向で吸気口(E)の下流側にある排気口(A)とを有する少なくとも1つのホルベックポンプ段を備え、
ホルベックポンプ段は、ロータスリーブ(163、165)を具備するホルベックロータと、ステータスリーブ(10)を具備するホルベックステータとを有し、ステータスリーブ(10)は、ホルベック間隙(171、173、175)を形成しながら、ホルベックロータに対して同軸に配置されていて、
ステータスリーブ(10)は、複数のねじ溝(14)を具備するホルベックねじ部(16)を有し、ねじ溝(14)は、ステータスリーブ(10)に形成されたウェブ(12)と、ステータスリーブ(10)によって形成された溝底(18)とによって画定されている、真空ポンプ(111)において、
ステータスリーブ(10)は、ワンピースに構成されていて、ウェブ(12)の数と、ねじピッチと、ねじ溝(14)の幅と、ウェブ(12)の幅と、溝底(18)上のウェブ(12)の高さとからなるねじ部パラメータの群のうちのホルベックねじ部(16)の少なくとも1つのねじ部パラメータが、ステータスリーブ(10)の軸方向の延伸長さにわたって変化することを特徴とする、真空ポンプ(111)。
【請求項2】
ホルベックねじ部(16)は、軸方向でステータスリーブ(10)の第1の高さ寸法にわたって延在する第1のねじ部部分(I)と、第1のねじ部部分(I)の下流側で、軸方向でステータスリーブ(10)の第2の高さ寸法にわたって延在する第2のねじ部部分(II)と、第2のねじ部部分(III)の下流側で、軸方向でステータスリーブ(10)の第3の高さ寸法にわたって延在する少なくとも1つの第3のねじ部部分(III)とを有し、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つのねじ部部分は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの別のねじ部部分とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分(II)における数よりも大きく、特に、第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分(II)における数の2倍の大きさである、請求項2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
第2のねじ部部分(II)におけるウェブ(12)の数は、第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数と同一の大きさである、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第2のねじ部部分(II)における幅よりも小さく、及び/又は第2のねじ部部分(II)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅と同一の大きさである、請求項2から4のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
第2のねじ部部分(II)におけるウェブ(12)の数は、第1のねじ部部分(I)における数よりも大きい、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)における幅よりも小さい、請求項6に記載の真空ポンプ。
【請求項8】
第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分における数よりも大きく、及び/又は第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数は、第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数と同一の大きさである、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項9】
第3のねじ部部分(III)及び第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅は、第2のねじ部部分(II)における幅よりも小さく、及び/又は第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅と同一の大きさである、請求項8に記載の真空ポンプ。
【請求項10】
溝底(18)は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つに円錐形に形成された底包絡線を設定する、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項11】
溝底(18)は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つにおいて別の1つのねじ部部分におけるテーパ角(α)とは別の値を有するテーパ角(α)を設定する、請求項10に記載の真空ポンプ。
【請求項12】
第1のねじ部部分(I)におけるテーパ角(α)は、第2のねじ部部分(II)及び/又は第3のねじ部部分(III)におけるテーパ角(α)よりも小さい、請求項11に記載の真空ポンプ。
【請求項13】
それぞれのねじ部部分(I、II、III)の高さ寸法は、ステータスリーブ(10)の軸方向延伸長さの15%から50%、好ましくは25%から40%であり、特に好ましくは30%から35%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項14】
ステータスリーブ(10)は、ロータスリーブ(163、165)を取り囲み、ホルベックねじ部(16)は、ステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として構成されていて、及び/又はロータスリーブ(163)は、ステータスリーブ(10)を取り囲み、ホルベックねじ部(16)は、ステータスリーブ(10)に設けられた雄ねじ部として構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項15】
ホルベックロータは、内側のロータスリーブ(165)と、内側のロータスリーブ(165)を同心に取り囲む外側のロータスリーブ(163)とを有し、ホルベックステータは、外側のロータスリーブ(163)を同心に取り囲む外側のステータスリーブ(10)と、内側のロータスリーブ(165)を同心に取り囲む内側のステータスリーブ(10)とを有し、ホルベックねじ部(16)は、外側のステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として、内側のステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として、及び/又は内側ステータスリーブ(10)に設けられた雄ねじ部として構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項16】
ステータスリーブ(10)は、第1及び/又は第3のねじ部部分(I、III)の代わりに、ねじ部を有しない円筒形の側面(26)を有する部分(24)を形成し、前記部分(24)は、ねじ部部分を有する別個に取扱い可能な環体(22)を収容し、環体(22)は、第2のねじ部部分(II)と共に、ステータスリーブ(10)のホルベックねじ部部分(16)を形成し、環体(22)のねじ部部分は、第2のねじ部部分(II)とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、請求項2から15のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項17】
溝底(18)は、円錐形の底包絡線を設定する、請求項16に記載の真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのホルベックポンプ段を有する、請求項1の上位概念に記載の、ここでは単にポンプとも称される真空ポンプ、特にターボ分子真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプは、様々な技術分野で用いられる。必要に応じて、真空ポンプは、1つ又は複数のポンプ段を有してよい。一般的に、ホルベックポンプ段は、分子真空ポンプの分類に属し、位置固定のホルベックステータに対して相対的にホルベックロータを回転させることによって分子流を発生させる。基本的に、真空ポンプは、1つ又は複数のホルベックポンプ段を有してよく、この場合、複数のホルベックポンプ段は、互いに直列でも並列でも運転できる。典型的には、ホルベックポンプ段は、ターボ分子真空ポンプに用いられ、この場合、ホルベックポンプ段は、流れ方向で1つ又は複数のターボ分子ポンプ段に後置されている。
【0003】
ホルベックポンプ段は、通常、ホルベックロータとホルベックステータとを有し、この場合、ホルベックロータは、ロータシャフトを有し、ロータシャフトに、例えばディスク状のホルベックハブによって、1つ又は複数のホルベックロータスリーブが同心に設けられている。ホルベックステータスリーブには、単条又は多条のホルベックねじ部が設けられている。圧送されるべき気体分子は、ホルベックステータに対して相対的なホルベックロータの回転運動によって、ねじ条部に沿ってそれぞれのホルベックポンプ段の吸気口から排気口へ圧送される。ねじ条部は、ねじ溝の形態で、ウェブの壁によって画定された螺旋状に周回するホルベックチャネルを有し、ロータスリーブがステータスリーブに対して相対的に回転すると、ねじ溝内で気体分子が圧送される。
【0004】
さらに、複数のホルベックポンプ段が互いに同心に配置されていて、互いに内側に係合しているいわゆる「折り畳みタイプの」ホルベック配置構造が公知であるので、半径方向に直接的に連続するホルベックポンプ段のポンピング方向は、互いに逆向きである。したがって、流れ方向に連続する2つのホルベックポンプ段、すなわち(半径方向)外側のホルベックポンプ段及び(半径方向)内側のホルベックポンプ段は、両側にホルベックねじ部をそれぞれ具備する共通のホルベックステータを有してよく、ホルベックステータは、半径方向に2つのロータスリーブの間に位置する。
【0005】
基本的に、ホルベック幾何形状及び特にホルベックねじ部の構成は、例えばホルベックポンプ段の排気速度及び/又は圧縮性能並びにポンプモータの消費電力などのホルベックポンプ段の特性値に影響を及ぼす。しかし、通常、ホルベック幾何形状は、ホルベックステータスリーブの軸方向の延伸長さにわたって変化しないので、テーマとなる特性値は、ポンプを設計するときに制限された範囲でしか調整できない。
【0006】
ポンプを設計するときに、例えば排気速度及び/又は圧縮性能並びに消費電力などの、ホルベックポンプ段の特性値に関してより多くの構成の余地を持たせるために、ホルベックポンプ段のホルベックステータは、複数の別個のスリーブ部分によって形成されてよく、これらのスリーブ部分は、ポンピング方向で軸方向に相前後して又は互いに直接的に隣接して配置されている。この場合、個々のスリーブ部分は、例えばウェブの数又はウェブによって形成されたねじ条について異なってよく、これにより、テーマとなる特性値に影響が及ぼされる。
【0007】
しかし、ホルベックステータスリーブの軸方向の延伸長さには、例えば製造及び組立上の理由から下限がある。したがって、ホルベックステータスリーブは、ある程度の最小の軸方向の延伸長さを下回ってはならないので、ホルベックポンプ段の特性値は、例えばより大きな数のウェブ及び/又は別のねじピッチを有する他のスリーブ部分をスリーブ部分と交換することによって比較的大きなステップで変更することしかできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の基礎をなす課題は、冒頭で述べた方式の真空ポンプを改良して、ホルベックポンプ段の特性値を比較的小さなステップで又は微調整して変化できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を有する真空ポンプによって、特に、ワンピースに構成されたステータスリーブで、ホルベックねじ部のねじ部幾何形状が、ステータスリーブの軸方向の延伸長さにわたって変化することによって解決される。特に、本発明によれば、ワンピースに構成されたステータスリーブで、ウェブの数と、ねじピッチと、ねじ溝の幅と、ウェブの幅と、溝底上のウェブの高さとからなるねじ部パラメータの群のうちのホルベックねじ部の少なくとも1つのねじ部パラメータが、ステータスリーブの軸方向の延伸長さにわたって変化する、ことが想定されている。
【0010】
例えば、予備真空側又はホルベックポンプ段の排気口で圧縮性能を高くするために、及び高真空側又はホルベックポンプ段の吸気口で圧縮性能を低くするために又は排気速度を高くするために、ステータスリーブは、ホルベックポンプ段の排気口で、例えば比較的小さな軸方向の延伸長さを有するねじ部部分を有し、このねじ部部分では、ウェブの数又はねじ溝の数は、これより上流側に位置するねじ部分における数よりも大きい。排気口側のねじ部部分の高さ寸法又は軸方向の延伸長さは、ステータスリーブのワンピース構造に基づいて、ほぼ任意に小さく形成できるので、したがって、ホルベックポンプ段の排気口における圧縮性能を比較的小さなステップで変化させることができる。このことは、特に、ステータスリーブの軸方向の延伸長さにわたって、ウェブの数だけでなく、例えば付加的にねじピッチ及び/又はねじ溝の幅も変化するとき、並びにウェブの幅がステータスリーブの軸方向の延伸長さにわたって変化するときに当てはまる。
【0011】
さらに、比較的小さな軸方向の延伸長さを有するホルベックポンプ段の特性値も修正できる。というのも、比較的小さな高さ寸法を有するステータスリーブでも、ステータスリーブの軸方向の延伸長さにわたって少なくとも1つのねじ部パラメータが変化するように構成できるからである。その一方で、比較的小さい軸方向延伸長さを有するこのようなステータスリーブでは、軸方向に相前後して配置されるべき別個の2つのスリーブ部分からなるステータスリーブのマルチピースの構成は排除されている。というのも、製造及び/又は組立技術的な理由からスリーブ部分の最小の軸方向延伸長さを下回ってはならないからである。
【0012】
以下、ここで本発明の好適な実施形態について述べる。更なる実施形態は、従属請求項、図面の記載及び図面自体からも明らかである。
【0013】
したがって、一実施形態によれば、ホルベックねじ部は、軸方向でステータスリーブの第1の高さ寸法にわたって延在する第1のねじ部部分、第1のねじ部部分の下流側で、軸方向でステータスリーブの第2の高さ寸法にわたって延在する第2のねじ部部分及び/又は第2のねじ部部分の下流側で、軸方向でステータスリーブの第3の高さ寸法にわたって延在する少なくとも1つの第3のねじ部部分を有し、3つのねじ部部分のうちの少なくとも1つのねじ部部分と、3つのねじ部部分のうちの別のねじ部部分とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、ことが想定され得る。
【0014】
したがって、例えば例示的な一実施形態によれば、第3のねじ部部分におけるウェブの数は、第2のねじ部部分における数よりも大きくてよく、特に、第3のねじ部部分におけるウェブの数は、第2のねじ部部分における数の2倍の大きさである、ことが想定され得る。したがって、ホルベックポンプ段の予備真空側又は排気口で、ウェブの数ひいてはねじ溝の数は、ホルベックポンプ段の吸気口における数よりも大きいことによって、ホルベックポンプ段の排気口で、ホルベックポンプ段の吸気口よりも高い圧縮性能を実現できる。同様に、第3のねじ部部分におけるウェブの数は、第2のねじ部部分における数よりも大きいことによって、ホルベックポンプ段の高真空側又は吸気口において、ホルベックポンプ段の排気口よりも高い排気速度を達成できる。
【0015】
この場合、体積流量、すなわち単位時間あたりねじ溝の横断面を通って圧送できる体積が排気速度とみなされる。圧縮性能は、好適には部品長さに関連する、すなわち構造長さあたりの圧縮性能に合わせたものである。この場合、それぞれのねじ部部分によって、それぞれの下流側に位置する端部で達成できる圧縮率を圧縮性能とみなすことができる。換言すると、圧縮性能は、それぞれのねじ溝の吸気口と排気口との間の圧力比を表す。
【0016】
第2のねじ部部分におけるウェブの数は、第1のねじ部部分におけるウェブの数よりも大きくてもよいが、このことは、ウェブの数が、ホルベックポンプ段の吸気口から出発して排気口の方へ同一のステップで漸増することを意味し、しかも、第2のねじ部部分におけるウェブの数は、第1のねじ部部分におけるウェブの数と同一であってもよいので、この観点で見ると、ステータスリーブは、ある意味、異なるウェブ数を有する2つのねじ部部分のみを有する。
【0017】
別の一実施形態によれば、第3のねじ部部分におけるねじ溝の幅は、第2のねじ部部分における幅よりも小さい、ことが想定され得る。この場合、特に、第3のねじ部部分におけるねじ溝の幅は、第2のねじ部部分における幅の半分以下の小ささである、ことが想定され得る。例えばホルベックステータスリーブが、ホルベックポンプ段の吸気口から排気口まで延在する、螺旋状に周回するウェブの第1のセットを有するとき、第3のねじ部部分における、これにより形成されるねじ溝に、付加的なウェブが形成されてよく、付加的なウェブによって、これらのウェブと第1のセットのウェブとの相互間隔が低減される。
【0018】
別の一実施形態によれば、第2のねじ部部分におけるねじ溝の幅は、第1のねじ部部分におけるねじ溝の幅と同一の大きさであるので、ホルベックポンプ段は、この場合、効果的に、異なるねじ溝幅を有する2つのねじ部部分のみを有する、ことが想定され得る。
【0019】
既に前述したように、一実施形態によれば、第2のねじ部部分におけるウェブの数は、第1のねじ部部分における数よりも多い、ことが想定され得る。ウェブ幅が同一の場合、このことは、第3のねじ部部分におけるねじ溝の幅が、第1のねじ部部分における幅よりも著しく小さく、これにより、圧縮性能は、ホルベックポンプ段の排気口へ向けて増加し、その一方で、ホルベックポンプ段の吸気口へ向けて排気速度が増加する傾向にあることを意味する。
【0020】
第3のねじ部部分におけるウェブの数が、第2のねじ部部分における数よりも大きい実施形態に対して付加的に又は代替的に、別の一実施形態によれば、第1のねじ部部分におけるウェブの数も第2のねじ部部分における数よりも大きい、ことが想定され得る。この場合特に、第1のねじ部部分におけるウェブの数は、第3のねじ部部分におけるウェブの数と同一の大きさである、ことが想定され得る。換言すると、この実施形態では、中央の第2のねじ部部分におけるねじ溝の数が、吸気口側及び排気口側の第1及び第3のねじ部部分における数よりも小さい、ことが想定され得る。
【0021】
これに対して代替的に、中央の第2のねじ部部分におけるねじ溝の数が、吸気口側及び排気口側における第1及び第3のねじ部部分における数よりも大きい、ことが想定され得る。
【0022】
全てのねじ溝の溝底は、円筒形の側面上に位置してよいが、しかし、ホルベックポンプ段の排気口へ向けて排気速度が増加することが所望されるべきであり、したがって別の一実施形態によれば、溝底が、3つのねじ部部分のうちの少なくとも1つにおいて円錐形に形成された底包絡線を設定する、ことが想定され得る。この場合特に、溝底が、3つのねじ部部分のうちの少なくとも1つにおいて別のねじ部部分における角度とは別の角度を有するテーパ角を設定する、ことが想定され得る。
【0023】
したがって、例えば、第1のねじ部部分におけるテーパ角は、第2のねじ部部分及び/又は第3のねじ部部分におけるテーパ角よりも小さくてよく、このことは、ホルベックポンプ段の排気口へ向けて第1のねじ部部分における底包絡線が、第2のねじ部部分又は第3のねじ部部分における底包絡線よりも小さく先細りになっている、ことを意味する。この構成は、特に、ホルベックポンプ段が第1のねじ部部分の下流側の端部に中間吸気口を有すると有利であると証明できる。というのも、この場合、中間吸気口において、排気速度の増加を回避できるからである。
【0024】
別の一実施形態によれば、それぞれのねじ部部分の高さ寸法は、ステータスリーブの軸方向延伸長さ全体の15%から50%、好ましくは25%から40%、特に好ましくは30%から35%とする、ことが想定され得る。特に、ねじ部部分ののうちの1つの高さ寸法は、ステータスリーブの軸方向延伸長さのわずか30~35%である、要するに、対象とするねじ部部分が、比較的小さな軸方向延伸長さを有するとき、例えばホルベックポンプ段の排気速度、圧縮性能及び/又は消費電力などの特性値を比較的小さなステップで適合させることができる。
【0025】
単段のホルベックポンプでは、一般的に、ステータスリーブは、ロータスリーブを取り囲む。したがって、この場合、ホルベックねじ部は、ステータスリーブに設けられた雌ねじ部として構成されている。これに対して、ロータスリーブがステータスリーブを取り囲むとき、この場合には、ホルベックねじ部は、ステータスリーブに設けられた雄ねじ部として構成される。
【0026】
しかも、別の一実施形態によれば、真空ポンプは、冒頭で記述したように「折り畳みタイプの」ホルベック配置構造を有してもよい。この場合、ホルベックロータは、内側のロータスリーブと、内側のロータスリーブを同心に取り囲む外側のロータスリーブとを有し、これに対して、ホルベックステータは、外側のロータスリーブを同心に取り囲む外側のステータスリーブと、内側ロータスリーブを同心に取り囲む内側のステータスリーブとを有する。この場合、ホルベックねじ部は、外側のステータスリーブに設けられた雌ねじ部、内側のステータスリーブに設けられた雌ねじ部及び/又は内側のステータスリーブに設けられた雄ねじ部として構成されている。
【0027】
別の実施形態によれば、ステータスリーブは、第1及び/又は第3のねじ部部分の代わりに、ねじ部を有しない円筒形の側面を有する部分を形成し、この部分には、付加的な部品として、ねじ部部分を有する別個に取扱い可能な環体が嵌め込まれていて、環体は、少なくとも第2のねじ部部分と共に、ステータスリーブのホルベックねじ部を形成し、この場合、環体のねじ部部分は、第2のねじ部部分とは、前述のねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、ことが想定され得る。付加的に、環体のねじ部部分の溝底が、円錐形の底包絡線を設定し、この場合、底包絡線は、ホルベックポンプ段の排気口へ向けて先細になっている、ことが想定され得る。
【0028】
以下、本発明を、添付の図面を参照して記述する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ターボ分子ポンプの斜視図を示す。
図2図1のターボ分子ポンプの下面図を示す。
図3図2に示された切断線A-Aに沿ったターボ分子ポンプを断面図で示す。
図4図2に示された切断線B-Bに沿ったターボ分子ポンプを断面図で示す。
図5図2に示された切断線C-Cに沿ったターボ分子ポンプを断面図で示す。
図6】従来のホルベックステータスリーブの概略展開図を示す。
図7】本発明によるホルベックステータスリーブの一実施形態の概略展開図を示す。
図8】本発明によるホルベックステータスリーブの別の実施形態の概略展開図を示す。
図9】本発明によるホルベックステータスリーブのさらに別の実施形態の概略展開図を示す。
図10】別の実施形態による、本発明に従って構成されたホルベックステータスリーブを有する、折り畳みタイプのホルベックポンプ段の概略断面図を示す。
図11図10のホルベックポンプ段における排気速度を説明するための線図を示す。
図12】さらに別の実施形態による、折り畳みタイプのホルベックポンプ段の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示されたターボ分子ポンプ111は、吸気口フランジ113によって取り囲まれたポンプ吸気口115を有する。ポンプ吸気口115には、それ自体公知のように、図示されていないレシピエントを接続してよい。レシピエントから到来する気体は、ポンプ吸気口115を介してレシピエントから吸い込まれ、そしてポンプを通ってポンプ排気口117へと圧送できる。ポンプ排気口117には、例えばロータリベーンポンプ等の補助真空ポンプを接続してよい。
【0031】
吸気口フランジ113は、図1による真空ポンプの向きでは、真空ポンプ111のハウジング119の上端部を形成する。ハウジング119は、下部分121を有する。下部分121には、側方にエレクトロニクスハウジング123が配置されている。エレクトロニクスハウジング123内には、例えば真空ポンプ内に配置された電動モータ125(図3も参照)を作動させるための、真空ポンプ111の電気的及び/又は電子的な構成要素が収容されている。エレクトロニクスハウジング123には、アクセサリに対する複数の接続部127が設けられている。さらに、データインタフェース129(例えばRS485規格に準拠するもの)及び電流供給接続部131が、エレクトロニクスハウジング123に配置されている。
【0032】
取り付けられたこの種のエレクトロニクスハウジングを有さずに、外部の駆動エレクトロニクスに接続されるターボ分子ポンプも存在する。
【0033】
ターボ分子ポンプ111のハウジング119には、通気用吸気口133が、特に通気弁の形態で設けられている。通気用吸気口133を介して、真空ポンプ111を通気してよい。下部分121の領域には、その上さらに、シールガス接続部135(パージガス接続部とも称される)が配置されている。シールガス接続部135を介して、パージガスを、ポンプによって圧送される気体に対して電動モータ125(例えば図3参照)を防護するために、モータ室137内に送り込んでよい。モータ室137内で、真空ポンプ111に、電動モータ125が収容されている。下部分121には、その上さらに2つの冷却剤接続部139が配置されている。この場合、一方の冷却剤接続部は、冷却剤用の吸気口として、そして他方の冷却剤接続部は、排気口として設けられている。冷却剤は、冷却目的で真空ポンプ内に導入可能である。存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)は、専ら空冷式に運転される。
【0034】
真空ポンプの下面141は、ベースとして使用できるので、真空ポンプ111は、下面141を基準に縦置きで運転してよい。しかも、真空ポンプ111は、吸気口フランジ113を介してレシピエントに固定し、したがって、いわば懸架した状態で運転してもよい。さらに、真空ポンプ111は、図1に示されたのとは別の向きで整向されているときでも運転できるように構成してもよい。下面141を下向きではなく、横向きに又は上向きに配置できる真空ポンプの形態も実現可能である。この場合、原則として、任意の角度が考えられる。
【0035】
特に図示されたポンプよりも大きな、存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)は、縦置きでは運転できない。
【0036】
図2に示された下面141には、様々なねじ143がさらに配置されている。これらのねじ143によって、ここでは詳細には特定されない真空ポンプの構成部材が互いに固定されている。例えば、軸受カバー145が下面141に固定されている。
【0037】
下面141には、固定孔147がさらに配置されている。固定孔147を介して、ポンプ111を、例えば設置面に固定できる。このことは、特に図示されたポンプよりも大きな、存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)では、不可能である。
【0038】
図2から図5には、冷却剤管路148が示されている。冷却剤管路148内で、冷却剤接続部139を介して導入及び導出される冷却剤が循環可能である。
【0039】
図3から図5の断面図に示されているように、真空ポンプは、複数のプロセスガスポンプ段を有する。プロセスガスポンプ段は、ポンプ吸気口115に作用するプロセスガスをポンプ排気口117へ圧送するためのものである。
【0040】
ハウジング119内には、ロータ149が配置されている。ロータ149は、回転軸線151を中心に回転可能なロータシャフト153を有する。
【0041】
ターボ分子ポンプ111は、ポンピング作用を及ぼすように互いに直列に接続された複数のターボ分子ポンプ段を有する。ターボ分子ポンプ段は、ロータシャフト153に固定された半径方向の複数の動翼155と、動翼155同士の間に配置され、そしてハウジング119内に固定された複数の静翼157とを有する。この場合、1枚の動翼155とこれに隣り合う1枚の静翼157とが、それぞれ1つのターボ分子ポンプ段を形成する。静翼157は、スペーサリング159によって、互いに所望の軸方向の間隔を置いて保持されている。
【0042】
真空ポンプは、半径方向で互いに内外に配置され、そしてポンピング作用を及ぼすように互いに直列に接続されたホルベックポンプ段をさらに有する。ホルベックポンプ段を有しない別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)が存在する。
【0043】
ホルベックポンプ段のロータは、ロータシャフト153に配置されたロータハブ161と、ロータハブ161に固定され、そしてこのロータハブ161によって支持される円筒側面状の2つのホルベックロータスリーブ163、165とを有する。ホルベックロータスリーブ163、165は、回転軸線151に対して同軸に配向されていて、そして半径方向で互いに内外に係合している。円筒側面状の2つのホルベックステータスリーブ167、169がさらに設けられている。ホルベックステータスリーブ167、169は、同様に、回転軸線151に対して同軸に配向されていて、そして半径方向で見て互いに内外に係合している。
【0044】
ホルベックポンプ段の、ポンピング作用を奏する表面は、側面によって、つまりホルベックロータスリーブ163、165及びホルベックステータスリーブ167、169の半径方向の内側面及び/又は外側面によって形成されている。外側のホルベックステータスリーブ167の半径方向の内側面は、半径方向のホルベック間隙171を形成しつつ、外側のホルベックロータスリーブ163の半径方向の外側面に対向していて、そしてこの外側面と共に、ターボ分子ポンプに後続する第1のホルベックポンプ段を形成する。外側のホルベックロータスリーブ163の半径方向の内側面は、半径方向のホルベック間隙173を形成しつつ、内側のホルベックステータスリーブ169の半径方向の外側面に対向していて、そしてこの外側面と共に、第2のホルベックポンプ段を形成する。内側のホルベックステータスリーブ169の半径方向の内側面は、半径方向のホルベック間隙175を形成しつつ、内側のホルベックロータスリーブ165の半径方向の外側面に対向していて、そしてこの外側面と共に、第3のホルベックポンプ段を形成する。
【0045】
ホルベックロータスリーブ163の下端部には、半径方向に延びるチャネルが設けられてよい。チャネルを介して、半径方向外側に位置するホルベック間隙171が、中央のホルベック間隙173に接続されている。内側のホルベックステータスリーブ169の上端部には、半径方向に延びるチャネルがさらに設けられてよい。チャネルを介して、中央のホルベック間隙173が、半径方向内側に位置するホルベック間隙175に接続されている。これにより、互いに内外に係合する複数のホルベックポンプ段が、互いに直列で接続される。半径方向内側に位置するホルベックロータスリーブ165の下端部には、排気口117に通じる接続チャネル179がさらに設けられてよい。
【0046】
ホルベックステータスリーブ167、169の、前述のポンピング作用を奏する表面は、回転軸線151を中心に螺旋状に周回しつつ軸方向に延びる複数のホルベック溝をそれぞれ有する。その一方で、ホルベックロータスリーブ163、165の、これに対向する側面は、滑らかに形成されていて、そして真空ポンプ111の運転のための気体をホルベック溝内において前方へ送り出す。
【0047】
ロータシャフト153の回転可能な軸支のために、ポンプ排気口117の領域に転がり軸受181が設けられていて、ポンプ吸気口115の領域に永久磁石式の磁気軸受183が設けられている。
【0048】
転がり軸受181の領域には、ロータシャフト153に、円錐形のスプラッシュナット185が設けられている。スプラッシュナット185は、転がり軸受181の方へ増大する外径を有する。スプラッシュナット185は、作動媒体貯蔵部の少なくとも1つの掻落とし部材と滑り接触している。存在する別のターボ分子真空ポンプ(図示されていない)では、スプラッシュナットの代わりに、スプラッシュねじが設けられてよい。これにより、様々な構成が実現可能であるので、上記関係において、「スプラッシュ尖端」との用語も用いられる。
【0049】
作動媒体貯蔵部は、上下にスタックされた吸収性の複数のディスク187を有する。これらのディスク187には、転がり軸受181用の作動媒体、例えば潤滑剤が含浸されている。
【0050】
真空ポンプ111の運転時、作動媒体は、毛管現象によって、作動媒体貯蔵部から掻落とし部材を介して、回転するスプラッシュナット185へと伝達され、そして、遠心力に基づいて、スプラッシュナット185に沿って、スプラッシュナット185の、増大していく外径の方へと、転がり軸受181に向かって送られる。そこでは、例えば潤滑機能が満たされる。転がり軸受181及び作動媒体貯蔵部は、真空ポンプ内で槽状のインサート189と軸受カバー145とによって囲繞されている。
【0051】
永久磁石式の磁気軸受183は、ロータ側の軸受半部191と、ステータ側の軸受半部193とを有する。これらは、それぞれ1つのリングスタックを有し、リングスタックは、軸方向に上下にスタックされた永久磁石の複数のリング195、197からなる。リング磁石195、197は、互いに半径方向の軸受間隙199を形成しつつ、対向していて、この場合、ロータ側のリング磁石195は、半径方向外側に、そしてステータ側のリング磁石197は、半径方向内側に配置されている。軸受間隙199内に存在する磁界は、リング磁石195、197の間に磁気的反発力を引き起こす。その反発力は、ロータシャフト153の半径方向の軸支を実現する。ロータ側のリング磁石195は、ロータシャフト153の支持部分201によって支持されている。支持部分201は、リング磁石195を半径方向外側で取り囲む。ステータ側のリング磁石197は、ステータ側の支持部分203によって支持されている。支持部分203は、リング磁石197を通って延びていて、そしてハウジング119の半径方向の支材205に懸架されている。回転軸線151に対して平行に、ロータ側のリング磁石195が、支持部分203に連結されたカバー要素207によって固定されている。ステータ側のリング磁石197は、回転軸線151に対して平行に1つの方向で、支持部分203に結合された固定リング209と支持部分203に結合された固定リング211とによって固定されている。固定リング211とリング磁石197との間に、皿ばね213がさらに設けられてよい。
【0052】
磁気軸受内に、非常用軸受又は安全軸受215が設けられている。非常軸受又は安全軸受215は、真空ポンプの通常運転時には、非接触で空転し、そしてロータ149がステータに対して相対的に半径方向に過剰に変位するとようやく係合し、これにより、ロータ側の構造とステータ側の構造との衝突が阻止されるように、ロータ149に対する半径方向のストッパが形成される。安全軸受215は、非潤滑式の転がり軸受として構成されていて、そしてロータ149及び/又はステータと共に半径方向の間隙を形成する。間隙によって、安全軸受215は、通常のポンプ運転時には係合しないようになる。半径方向の変位に際して安全軸受215が係合し、半径方向の変位は、十分に大きく寸法付けられているので、安全軸受215は、真空ポンプの通常運転時は係合せず、そして同時に十分に小さいので、ロータ側の構造とステータ側の構造との衝突があらゆる状況で阻止される。
【0053】
真空ポンプ111は、ロータ149を回転駆動する電動モータ125を有する。電動モータ125の電機子は、ロータ149によって形成されている。ロータ149のロータシャフト153は、モータステータ217を通って延びる。ロータシャフト153の、モータステータ217を通って延びる部分には、半径方向外側に又は埋入して、永久磁石アセンブリが配置されてよい。モータステータ217と、ロータ149の、モータステータ217を通って延びる部分との間には、中間室219が配置されている。中間219は、半径方向のモータ間隙を有する。モータ間隙を介して、モータステータ217と永久磁石アセンブリとは、駆動トルクを伝達するために、磁気的に影響を及ぼしてよい。
【0054】
モータステータ217は、ハウジング内で、電動モータ125に対して設けられたモータ室137内に固定されている。シールガス接続部135を介して、シールガス(パージガスとも称され、これは例えば空気や窒素であってよい)が、モータ室137に到達し得る。シールガスを介して、電動モータ125を、プロセスガス、例えばプロセスガスの腐食性の部分に対して保護できる。モータ室137は、ポンプ排気口117を介して真空引きしてもよい。つまりモータ室137内に、少なくとも近似的に、ポンプ排気口117に接続された補助真空ポンプによって実現される真空圧が作用する。
【0055】
ロータハブ161と、モータ室137を画成する壁部221との間には、それ自体公知のいわゆるラビリンスシール223がさらに設けられてよい。これにより、特に、半径方向外側に位置するホルベックポンプ段に対するモータ室217のより良好なシールが達成される。
【0056】
図1から図5を参照して前述したターボ分子真空ポンプ111では、ホルベックステータスリーブ167、169は、図6に展開図として略示されているように、内側又は外側に位置するホルベックねじ部16を有することができる。この描画から看取できるように、そこでは、ホルベック幾何形状は、ホルベックポンプ段の吸気口Eと排気口Aとの間で、ホルベックステータスリーブ167、169の軸方向延伸長さ全体にわたって一定であり、この場合、特に、ホルベックねじ部16を形成するウェブ12の数は、吸気口Eと排気口Aとの間で一定である。ねじ部のピッチ、ウェブ12の幅、ねじ溝14の幅及びウェブ12の高さは、ステータスリーブ167、169の軸方向の延伸長さにわたって一定である。
【0057】
以下、ここで図示のステータスリーブ167、169の代わりに、ターボ分子真空ポンプ111に組み込むことができる、ステータスリーブ10の様々な実施形態を記述する。ただしこの場合、ターボ分子真空ポンプ111のその他の構造や内外に係合する3つのポンプ段を有するホルベックポンプ段の基本構造は維持してよい。
【0058】
図7の展開図から看取されるように、そこでは、ステータスリーブ10又はステータスリーブ10のねじ部ウェブ12によって形成されたホルベックねじ部16は、吸気口Eと排気口Aとの間に、3つのねじ部部分I、II、IIIを有し、この場合、最も下流側の第3のねじ部部分IIIにおけるねじ部ウェブ12の数は、第2のねじ部部分IIにおける数の2倍の大きさである。これに対して、第2のねじ部部分IIにおけるウェブ12の数は、第1のねじ部部分Iにおけるウェブ12の数と同一の大きさであるので、図7の実施形態では、基本的に、互いに異なるホルベック幾何形状を有する2つのねじ部部分だけが存在する。
【0059】
第3のねじ部部分IIIでは、ウェブ12の数は、第1及び第2のねじ部部分I、IIにおける数の2倍の大きさであり、したがって、第3のねじ部部分IIIにおけるねじ溝14の幅は、他の2つのねじ部部分I、IIにおける幅よりも著しく小さいことによって、圧縮性能は、排気口Aへ向けて増加し、これに対して、吸気口Eへ向けてホルベックポンプ段の排気速度が増加する。
【0060】
図8の実施形態では、これに対して、ステータスリーブ10は、効果的に、互いにそれぞれ異なるホルベック幾何形状を有する3つのねじ部部分I、II、IIIを有する。特に、中央の第2のねじ部部分IIにおけるウェブ12の数は、吸気口側の第1のねじ部部分Iにおける数よりも大きく、そして排気口側の第3のねじ部部分IIIにおける数よりも小さく、その結果、第3のねじ部部分IIIにおけるねじ溝の幅は、第1のねじ部部分Iにおける幅よりも著しく小さい。
【0061】
これに対して、図9の実施形態によれば、中央のねじ部部分IIにおけるウェブ12の数は、吸気口側の第1のねじ部部分I及び排気口側の第3のねじ部部分IIIの両方における数よりも小さい。これに対して代替的に、達成されるべき特性値に応じて逆の状態も存在し得るので、例えば中央の第2のねじ部部分IIにおいて、ウェブ12の数は、吸気口側の第1のねじ部部分I及び排気口側の第3のねじ部部分IIIにおける数よりも大きいことがある。
【0062】
図7から図9を参照して前述した実施形態では、ねじピッチは、吸気口Eと排気口Aとの間で変わらないが、ただし、それぞれのホルベックポンプ段の設計に応じて、ステータスリーブ10の軸方向の延伸長さにわたってねじピッチは変化してもよく、このことは、ねじ溝14の幅、ウェブ12の幅及び/又はそれぞれのねじ溝14の溝底18上のウェブ12の高さにも同様に適用され得る。
【0063】
図9の実施形態から最も良好に看取できるように、そこでは、ねじ部部分I、II、IIIは、それぞれステータスリーブ10の軸方向延伸長さの約30%から35%である、吸気口Eと排気口Aとの間の軸方向延伸長さを有する。したがって、それぞれのねじ部部分の軸方向延伸長さは、特に、ステータスリーブ10がその全体で既に比較的小さな軸方向延伸長さを有するときには極めて小さくてよく、これにより、ホルベックポンプ段の特性値を微調整できる。
【0064】
図10は、半径方向外側のステータスリーブ10が、吸気口Eと排気口Aとの間に位置する2つのねじ部部分I、IIによって形成される、折り畳みタイプのホルベックポンプ段の別の実施形態を示す。この場合、第1のねじ部部分Iの溝底18と第1のねじ部部分Iの下流側に位置する第2のねじ部部分IIの溝底18との両方が、円錐形の底包絡線を形成し、この場合、ここに示された実施形態では、第1のねじ部部分Iにおけるテーパ角αは、第2のねじ部部分IIにおけるテーパ角αよりも小さい。しかし、これに対して代替的に、第2のねじ部部分IIにおけるテーパ角αは、第1のねじ部部分Iにおけるテーパ角αよりも小さくてもよい。
【0065】
テーパ角αは、両方のねじ部部分I及びIIにおいて同一の大きさであってよいが、しかし、図10に示されるように、第2のねじ部部分IIにおけるテーパ角αは、第1のねじ部部分Iにおけるテーパ角αよりも大きく、したがって、これにより、第1のねじ部部分Iから第2のねじ部部分IIへの移行部において20%までのオーダーの排気速度の増加を達成でき、具体的には、特に予備圧力又は排気口Aにおける圧力が比較的高く、1mbarから約10mbarの範囲にあるときに達成でき、これについては図11の線図が参照される。このことは、特に、図10の描画によるホルベックポンプ段が、第1のねじ部部分Iと第2のねじ部部分IIとの間の移行領域に中間吸気口20を有するときに有利であると証明できる。というのも、この場合、中間吸気口20における排気速度の増加によって、これにより吸い込まれたプロセスガスがホルベックポンプ段の吸気口Eへ向けて逆流することを防止できるからである。
【0066】
図12を参照して記述した実施形態では、最後に、ホルベックポンプ段の排気口Aに位置する第3のねじ部部分IIIは、雌ねじ部が形成された別個に取扱い可能な環体22によって形成され、この場合、ねじ溝14の底包絡線は、ここでも同様に円錐形に形成されていて、排気口Aへ向けて先細りになっている。
【0067】
この場合、環体22を収容するために、ステータスリーブ10は、その排気口側の端部Aに、リング22を圧入できるねじ部を有しない円筒形の側面26を具備する部分24を有するので、2つの上流側のねじ部部分I、IIは、環体22のねじ部部分と共に、ステータスリーブ10のホルベックねじ部16を形成する。この場合、環体22のねじ部部分は、他の2つのねじ部部分I、IIとは、例えばねじピッチ、ウェブ12の数、ねじ溝14の幅、ウェブ12の幅及び溝底18上のウェブ12の高さなどの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なり、そうすると、これによりホルベックポンプ段の特性値を微調整できる。
【0068】
ステータスリーブ10のねじ部を有しない円筒形の側面26を有する部分24によって受容されるので、環体22は、いわば別個に取扱い可能なステータスリーブであるが、環体22は、安定性を損なうことなく、比較的小さな軸方向延伸長さをもって製造できる。というのも、環体22は、ある程度、ねじ部を有しない円筒形の側面26を有する部分24によって支持され、補強されるからである。
【符号の説明】
【0069】
E 吸気口
A 排気口
10 ステータスリーブ
12 ウェブ
14 ねじ溝
16 ホルベックねじ部
18 溝底
20 中間吸気口
22 環体
24 部分
26 側面
I、II、III ねじ部部分
α テーパ角
111 ターボ分子ポンプ
113 吸気口フランジ
115 ポンプ吸気口
117 ポンプ排気口
119 ハウジング
121 下部分
123 エレクトロニクスハウジング
125 電動モータ
127 アクセサリ接続部
129 データインタフェース
131 電流供給接続部
133 通気用吸気口
135 シールガス接続部
137 モータ室
139 冷却剤接続部
141 下面
143 ねじ
145 軸受カバー
147 固定孔
148 冷却剤管路
149 ロータ
151 回転軸線
153 ロータシャフト
155 動翼
157 静翼
159 スペーサリング
161 ロータハブ
163 ホルベックロータスリーブ
165 ホルベックロータスリーブ
167 ホルベックステータスリーブ
169 ホルベックステータスリーブ
171 ホルベック間隙
173 ホルベック間隙
175 ホルベック間隙
179 接続チャネル
181 転がり軸受
183 永久磁石式の磁気軸受
185 スプラッシュナット
187 ディスク
189 インサート
191 ロータ側の軸受半部
193 ステータ側の軸受半部
195 リング磁石
197 リング磁石
199 軸受間隙
201 支持部分
203 支持部分
205 半径方向の支柱
207 カバー要素
209 支持リング
211 固定リング
213 皿ばね
215 非常用軸受又は安全軸受
217 モータステータ
219 中間室
221 壁部
223 ラビリンスシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(111)、特にターボ分子真空ポンプ(111)であって、
吸気口(E)とポンプ方向で吸気口(E)の下流側にある排気口(A)とを有する少なくとも1つのホルベックポンプ段を備え、
ホルベックポンプ段は、ロータスリーブ(163、165)を具備するホルベックロータと、ステータスリーブ(10)を具備するホルベックステータとを有し、ステータスリーブ(10)は、ホルベック間隙(171、173、175)を形成しながら、ホルベックロータに対して同軸に配置されていて、
ステータスリーブ(10)は、複数のねじ溝(14)を具備するホルベックねじ部(16)を有し、ねじ溝(14)は、ステータスリーブ(10)に形成されたウェブ(12)と、ステータスリーブ(10)によって形成された溝底(18)とによって画定されている、真空ポンプ(111)において、
ステータスリーブ(10)は、ワンピースに構成されていて、ウェブ(12)の数と、ねじピッチと、ねじ溝(14)の幅と、ウェブ(12)の幅と、溝底(18)上のウェブ(12)の高さとからなるねじ部パラメータの群のうちのホルベックねじ部(16)の少なくとも1つのねじ部パラメータが、ステータスリーブ(10)の軸方向の延伸長さにわたって変化することを特徴とする、真空ポンプ(111)。
【請求項2】
ホルベックねじ部(16)は、軸方向でステータスリーブ(10)の第1の高さ寸法にわたって延在する第1のねじ部部分(I)と、第1のねじ部部分(I)の下流側で、軸方向でステータスリーブ(10)の第2の高さ寸法にわたって延在する第2のねじ部部分(II)と、第2のねじ部部分(III)の下流側で、軸方向でステータスリーブ(10)の第3の高さ寸法にわたって延在する少なくとも1つの第3のねじ部部分(III)とを有し、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つのねじ部部分は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの別のねじ部部分とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分(II)における数よりも大きく、特に、第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分(II)における数の2倍の大きさである、請求項2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
第2のねじ部部分(II)におけるウェブ(12)の数は、第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数と同一の大きさである、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第2のねじ部部分(II)における幅よりも小さく、及び/又は第2のねじ部部分(II)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅と同一の大きさである、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
第2のねじ部部分(II)におけるウェブ(12)の数は、第1のねじ部部分(I)における数よりも大きい、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)における幅よりも小さい、請求項6に記載の真空ポンプ。
【請求項8】
第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分における数よりも大きく、及び/又は第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数は、第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数と同一の大きさである、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項9】
第3のねじ部部分(III)及び第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅は、第2のねじ部部分(II)における幅よりも小さく、及び/又は第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅と同一の大きさである、請求項8に記載の真空ポンプ。
【請求項10】
溝底(18)は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つに円錐形に形成された底包絡線を設定する、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項11】
溝底(18)は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つにおいて別の1つのねじ部部分におけるテーパ角(α)とは別の値を有するテーパ角(α)を設定する、請求項10に記載の真空ポンプ。
【請求項12】
第1のねじ部部分(I)におけるテーパ角(α)は、第2のねじ部部分(II)及び/又は第3のねじ部部分(III)におけるテーパ角(α)よりも小さい、請求項11に記載の真空ポンプ。
【請求項13】
それぞれのねじ部部分(I、II、III)の高さ寸法は、ステータスリーブ(10)の軸方向延伸長さの15%から50%、好ましくは25%から40%であり、特に好ましくは30%から35%である、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項14】
ステータスリーブ(10)は、ロータスリーブ(163、165)を取り囲み、ホルベックねじ部(16)は、ステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として構成されていて、及び/又はロータスリーブ(163)は、ステータスリーブ(10)を取り囲み、ホルベックねじ部(16)は、ステータスリーブ(10)に設けられた雄ねじ部として構成されている、請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項15】
ホルベックロータは、内側のロータスリーブ(165)と、内側のロータスリーブ(165)を同心に取り囲む外側のロータスリーブ(163)とを有し、ホルベックステータは、外側のロータスリーブ(163)を同心に取り囲む外側のステータスリーブ(10)と、内側のロータスリーブ(165)を同心に取り囲む内側のステータスリーブ(10)とを有し、ホルベックねじ部(16)は、外側のステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として、内側のステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として、及び/又は内側ステータスリーブ(10)に設けられた雄ねじ部として構成されている、請求項1又は2に記載の真空ポンプ。
【請求項16】
ステータスリーブ(10)は、第1及び/又は第3のねじ部部分(I、III)の代わりに、ねじ部を有しない円筒形の側面(26)を有する部分(24)を形成し、前記部分(24)は、ねじ部部分を有する別個に取扱い可能な環体(22)を収容し、環体(22)は、第2のねじ部部分(II)と共に、ステータスリーブ(10)のホルベックねじ部部分(16)を形成し、環体(22)のねじ部部分は、第2のねじ部部分(II)とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、請求項2又は3に記載の真空ポンプ。
【請求項17】
溝底(18)は、円錐形の底包絡線を設定する、請求項16に記載の真空ポンプ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
ステータスリーブ10のねじ部を有しない円筒形の側面26を有する部分24によって受容されるので、環体22は、いわば別個に取扱い可能なステータスリーブであるが、環体22は、安定性を損なうことなく、比較的小さな軸方向延伸長さをもって製造できる。というのも、環体22は、ある程度、ねじ部を有しない円筒形の側面26を有する部分24によって支持され、補強されるからである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
真空ポンプ(111)、特にターボ分子真空ポンプ(111)であって、
吸気口(E)とポンプ方向で吸気口(E)の下流側にある排気口(A)とを有する少なくとも1つのホルベックポンプ段を備え、
ホルベックポンプ段は、ロータスリーブ(163、165)を具備するホルベックロータと、ステータスリーブ(10)を具備するホルベックステータとを有し、ステータスリーブ(10)は、ホルベック間隙(171、173、175)を形成しながら、ホルベックロータに対して同軸に配置されていて、
ステータスリーブ(10)は、複数のねじ溝(14)を具備するホルベックねじ部(16)を有し、ねじ溝(14)は、ステータスリーブ(10)に形成されたウェブ(12)と、ステータスリーブ(10)によって形成された溝底(18)とによって画定されている、真空ポンプ(111)において、
ステータスリーブ(10)は、ワンピースに構成されていて、ウェブ(12)の数と、ねじピッチと、ねじ溝(14)の幅と、ウェブ(12)の幅と、溝底(18)上のウェブ(12)の高さとからなるねじ部パラメータの群のうちのホルベックねじ部(16)の少なくとも1つのねじ部パラメータが、ステータスリーブ(10)の軸方向の延伸長さにわたって変化することを特徴とする、真空ポンプ(111)。
2.
ホルベックねじ部(16)は、軸方向でステータスリーブ(10)の第1の高さ寸法にわたって延在する第1のねじ部部分(I)と、第1のねじ部部分(I)の下流側で、軸方向でステータスリーブ(10)の第2の高さ寸法にわたって延在する第2のねじ部部分(II)と、第2のねじ部部分(III)の下流側で、軸方向でステータスリーブ(10)の第3の高さ寸法にわたって延在する少なくとも1つの第3のねじ部部分(III)とを有し、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つのねじ部部分は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの別のねじ部部分とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、上記1の真空ポンプ。
3.
第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分(II)における数よりも大きく、特に、第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分(II)における数の2倍の大きさである、上記2の真空ポンプ。
4.
第2のねじ部部分(II)におけるウェブ(12)の数は、第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数と同一の大きさである、上記2又は3の真空ポンプ。
5.
第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第2のねじ部部分(II)における幅よりも小さく、及び/又は第2のねじ部部分(II)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅と同一の大きさである、上記2から4のいずれか一つの真空ポンプ。
6.
第2のねじ部部分(II)におけるウェブ(12)の数は、第1のねじ部部分(I)における数よりも大きい、上記2又は3の真空ポンプ。
7.
第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)における幅よりも小さい、上記6の真空ポンプ。
8.
第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数は、第2のねじ部部分における数よりも大きく、及び/又は第1のねじ部部分(I)におけるウェブ(12)の数は、第3のねじ部部分(III)におけるウェブ(12)の数と同一の大きさである、上記2又は3の真空ポンプ。
9.
第3のねじ部部分(III)及び第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅は、第2のねじ部部分(II)における幅よりも小さく、及び/又は第3のねじ部部分(III)におけるねじ溝(14)の幅は、第1のねじ部部分(I)におけるねじ溝(14)の幅と同一の大きさである、上記8の真空ポンプ。
10.
溝底(18)は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つに円錐形に形成された底包絡線を設定する、上記1から9のいずれか一つの真空ポンプ。
11.
溝底(18)は、3つのねじ部部分(I、II、III)のうちの少なくとも1つにおいて別の1つのねじ部部分におけるテーパ角(α)とは別の値を有するテーパ角(α)を設定する、上記10の真空ポンプ。
12.
第1のねじ部部分(I)におけるテーパ角(α)は、第2のねじ部部分(II)及び/又は第3のねじ部部分(III)におけるテーパ角(α)よりも小さい、上記11の真空ポンプ。
13.
それぞれのねじ部部分(I、II、III)の高さ寸法は、ステータスリーブ(10)の軸方向延伸長さの15%から50%、好ましくは25%から40%であり、特に好ましくは30%から35%である、上記1から12のいずれか一つの真空ポンプ。
14.
ステータスリーブ(10)は、ロータスリーブ(163、165)を取り囲み、ホルベックねじ部(16)は、ステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として構成されていて、及び/又はロータスリーブ(163)は、ステータスリーブ(10)を取り囲み、ホルベックねじ部(16)は、ステータスリーブ(10)に設けられた雄ねじ部として構成されている、上記1から13のいずれか一つの真空ポンプ。
15.
ホルベックロータは、内側のロータスリーブ(165)と、内側のロータスリーブ(165)を同心に取り囲む外側のロータスリーブ(163)とを有し、ホルベックステータは、外側のロータスリーブ(163)を同心に取り囲む外側のステータスリーブ(10)と、内側のロータスリーブ(165)を同心に取り囲む内側のステータスリーブ(10)とを有し、ホルベックねじ部(16)は、外側のステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として、内側のステータスリーブ(10)に設けられた雌ねじ部として、及び/又は内側ステータスリーブ(10)に設けられた雄ねじ部として構成されている、上記1から14のいずれか一つの真空ポンプ。
16.
ステータスリーブ(10)は、第1及び/又は第3のねじ部部分(I、III)の代わりに、ねじ部を有しない円筒形の側面(26)を有する部分(24)を形成し、前記部分(24)は、ねじ部部分を有する別個に取扱い可能な環体(22)を収容し、環体(22)は、第2のねじ部部分(II)と共に、ステータスリーブ(10)のホルベックねじ部部分(16)を形成し、環体(22)のねじ部部分は、第2のねじ部部分(II)とは、ねじ部パラメータの群のうちの少なくとも1つのねじ部パラメータにおいて異なる、上記2から15のいずれか一つの真空ポンプ。
17.
溝底(18)は、円錐形の底包絡線を設定する、上記16の真空ポンプ。
【外国語明細書】