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特開2024-154359検温装置、検温方法、及び検温プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154359
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】検温装置、検温方法、及び検温プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
A61B5/01 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201388
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2023067534
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023129990
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519050923
【氏名又は名称】株式会社WDS
(74)【代理人】
【識別番号】100119758
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 保宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩之
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XD08
4C117XE48
4C117XJ12
4C117XJ13
4C117XJ42
4C117XJ45
4C117XJ46
4C117XK09
4C117XQ18
(57)【要約】
【課題】外気の影響を極力排除し、体温を正確に測定することができる。
【解決手段】撮像部と表面温度測定部と出力部を備えた検温装置は、被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、表面温度測定部により測定された被測定者の口内の表面温度に基づいて体温を算出する体温算出部と、撮像部により撮像された被測定者の顔画像と体温データの顔画像に基づいて被測定者を特定する被測定者特定部と、被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、特定された被測定者の体温データの体温リズム、及び算出された被測定者の体温に基づいて、被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部と、体温算出部により算出された被測定者の体温、及び正常体温判定部により判定された判定情報を出力部に出力する出力制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置であって、
前記表面温度測定部は、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定し、
前記被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定部と、
前記口開閉判定部により前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを前記出力部に出力する開口メッセージ出力制御部と、
前記口開閉判定部により前記被測定者が口を開いていると判定された場合、前記表面温度測定部により測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出部と、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像と、前記体温情報記憶部に記憶された前記体温データの顔画像と、に基づいて、前記被測定者を特定する被測定者特定部と、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定部により特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部と、
前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定部により判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御部と、
を備えることを特徴とする検温装置。
【請求項2】
前記開口メッセージ出力制御部は、前記口開閉判定部により前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すとともに舌下を見せることを促すメッセージを前記出力部に出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の検温装置。
【請求項3】
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口内において舌下が見えているか否かを判定する舌下視認判定部と、
前記舌下視認判定部により前記被測定者の口内において舌下が見えていないと判定された場合、舌下を見せることを促すメッセージを前記出力部に出力する舌下視認メッセージ出力制御部と、
を備え、
前記体温算出部は、前記舌下視認判定部により前記被測定者が舌下を見せていると判定された場合、前記表面温度測定部により測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の検温装置。
【請求項4】
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔の画像に基づいて、前記被測定者が口にマスクを着用しているか否かを判定するマスク着用判定部と、
前記マスク着用判定部により前記被測定者が口にマスクを着用していると判定された場合、マスクの非着用を促すメッセージを前記出力部に出力するマスク非着用メッセージ出力制御部と、
を備え、
前記口開閉判定部は、前記マスク着用判定部により前記被測定者が口にマスクを着用していないと判定された場合に、前記被測定者の口の開閉状態を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の検温装置。
【請求項5】
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像が前記体温情報記憶部に存在する場合には、前記被測定者の口内を測定箇所として決定し、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像が前記体温情報記憶部に存在しない場合には、前記被測定者の顔の表面を測定箇所として決定する測定箇所判定部と、
一般的な人の平熱体温を記憶する平熱体温情報記憶部と、を備え、
前記表面温度測定部は、
前記測定箇所判定部により前記被測定者の口内を測定箇所として決定された場合には、前記被測定者の口内の表面温度を測定し、
前記測定箇所判定部により前記被測定者の顔の表面を測定箇所として決定された場合には、前記被測定者の顔の表面温度を測定し、
前記体温算出部は、
前記測定箇所判定部により前記被測定者の口内が測定箇所として決定された場合には、前記表面温度測定部により測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出し、
前記測定箇所判定部により前記被測定者の顔の表面が測定箇所として決定された場合には、前記表面温度測定部により測定された顔の表面温度に基づいて、体温を算出し、
前記正常体温判定部は、
前記測定箇所判定部により前記被測定者の口内が測定箇所として決定された場合には、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定部により特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定し、
前記測定箇所判定部により前記被測定者の顔の表面が測定箇所として決定された場合には、前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温と前記平熱体温情報記憶部に記憶された前記平熱体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の検温装置。
【請求項6】
被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部と、前記被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置であって、
前記表面温度測定部は、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定し、
前記識別情報と前記被測定者の一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、
前記入力部により入力された前記識別情報に基づき前記被測定者を特定する被測定者特定部と、
前記表面温度測定部により測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出部と、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定部により特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部と、
前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定部により判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御部と、
を備えることを特徴とする検温装置。
【請求項7】
前記体温リズムは、前記被測定者の正常時の一日の体温変動を示すデータであり、少なくとも、朝、昼、夜の正常体温を記憶するデータである、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検温装置。
【請求項8】
前記表面温度測定部は、前記被測定者の測定箇所において複数箇所の表面温度を計測し、
前記体温算出部は、前記表面温度測定部により計測された複数箇所の表面温度のうち最高温度に基づいて前記被測定者の体温を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検温装置。
【請求項9】
被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置による検温方法であって、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを前記出力部に出力する開口メッセージ出力制御ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を開いていると判定された場合、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像と、前記体温情報記憶部に記憶された前記体温データの顔画像と、に基づいて、前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を備えることを特徴とする検温方法。
【請求項10】
被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部と、前記被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記識別情報と前記被測定者の一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置による検温方法であって、
前記入力部により入力された前記識別情報に基づき前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を備えることを特徴とする検温方法。
【請求項11】
被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置が実行する検温プログラムであって、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを前記出力部に出力する開口メッセージ出力制御ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を開いていると判定された場合、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像と、前記記憶部に記憶された前記体温データの顔画像と、に基づいて、前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を前記検温装置に実行させることを特徴とする検温プログラム。
【請求項12】
被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部と、前記被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記識別情報と前記被測定者の一日の体温リズムを対応づけた体温データを記憶する記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置が実行する検温プログラムであって、
前記入力部により入力された前記識別情報に基づき前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を前記検温装置に実行させることを特徴とする検温プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の体温を非接触にて測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大の防止策として、公共施設、商業施設など多くの人が利用する施設では、検温装置を用いて入場者の体温を測定することが行われている。例えば、特許文献1には、撮像部が撮像した画像に基づいて入場者の顔の部位を検知し、顔の部位から放射される赤外線を検出して、顔の表面温度を算出し、算出した表面温度を体温として表示する、非接触型の検温装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3229711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触型の検温装置が測定するのは顔の表面温度であり、厳密には人の体温ではない。そのため、外部環境の影響を排除できない場合には、体温を正確に測定できないという問題がある。例えば、寒い環境下から施設に入館したばかりの入場者に対しては、外気の影響を受けて正確な体温を計測することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、外気の影響を極力排除し、体温を正確に測定することができる検温装置、検温方法、及び検温プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る検温装置は、その一態様として、
被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置であって、
前記表面温度測定部は、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定し、
前記被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定部と、
前記口開閉判定部により前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを前記出力部に出力する開口メッセージ出力制御部と、
前記口開閉判定部により前記被測定者が口を開いていると判定された場合、前記表面温度測定部により測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出部と、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像と、前記体温情報記憶部に記憶された前記体温データの顔画像と、に基づいて、前記被測定者を特定する被測定者特定部と、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定部により特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部と、
前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定部により判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
また、本発明に係る検温装置は、別の一態様として、
被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部と、前記被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置であって、
前記表面温度測定部は、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定し、
前記識別情報と前記被測定者の一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、
前記入力部により入力された前記識別情報に基づき前記被測定者を特定する被測定者特定部と、
前記表面温度測定部により測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出部と、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定部により特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部と、
前記体温算出部により算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定部により判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御部と、
を備えることを要旨とする
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る検温方法は、その一態様として、
被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置による検温方法であって、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを前記出力部に出力する開口メッセージ出力制御ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を開いていると判定された場合、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像と、前記体温情報記憶部に記憶された前記体温データの顔画像と、に基づいて、前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、本発明に係る検温方法は、別の一態様として、
被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部と、前記被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記識別情報と前記被測定者の一日の体温リズムを対応付けた体温データを記憶する体温情報記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置による検温方法であって、
前記入力部により入力された前記識別情報に基づき前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を備えることを要旨とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る検温プログラムは、その一態様として、
被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記識別情報と前記被測定者の一日の体温リズムを対応づけた体温データを記憶する記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置が実行する検温プログラムであって、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の画像に基づいて、前記被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを前記出力部に出力する開口メッセージ出力制御ステップと、
前記口開閉判定ステップにより前記被測定者が口を開いていると判定された場合、前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記撮像部により撮像された前記被測定者の顔画像と、前記記憶部に記憶された前記体温データの顔画像と、に基づいて、前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を前記検温装置に実行させることを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係る検温プログラムは、別の一態様として、
被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部と、前記被測定者を撮像する撮像部と、前記被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部と、前記被測定者の一日の体温リズムを備えた体温データを記憶する記憶部と、所定の情報を出力する出力部と、を備えた検温装置が実行する検温プログラムであって、
前記入力部により入力された前記識別情報に基づき前記被測定者を特定する被測定者特定ステップと、
前記撮像部が撮像した前記被測定者の画像に基づいて、前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する表面温度測定ステップと、
前記表面温度測定ステップにより測定された前記被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出ステップと、
前記表面温度測定部が前記被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、前記被測定者特定ステップにより特定された前記被測定者の前記体温データの体温リズム、及び前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温に基づいて、前記被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定ステップと、
前記体温算出ステップにより算出された前記被測定者の体温、及び前記正常体温判定ステップにより判定された判定情報を前記出力部に出力する出力制御ステップと、
を前記検温装置に実行させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外気の影響を極力排除し、体温を正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る検温装置の概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る検温装置の外観図である。
図3】(a)及び(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る検温装置の個人別体温データを模式的に説明する図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る検温装置の設定パラメータを模式的に説明する図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る検温装置による検温処理の流れを示すフローチャートである。
図5図4のステップS30の口状態判定処理の流れを詳しく示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る検温装置の概略構成図である。
図7】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る検温装置の設定パラメータを模式的に説明する図であり、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る検温装置の個人別体温データを模式的に説明する図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る検温装置による検温処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施の形態の口状態判定処理の変形例A1の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施の形態の口状態判定処理の変形例A2の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施の形態の検温装置の変形例B1の概略構成図である。
図12】本発明の第1の実施の形態の検温装置の変形例B1の検温処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
<検温装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検温装置1の概略構成図である。検温装置1は、非接触型の検温装置である。検温装置1は、撮像部が撮像した画像に基づいて被測定者の顔の部位を検知し、顔のうち口内から放射される赤外線を検知して、口内の表面温度を計測し、計測した口内の表面温度に基づいて算出した体温を情報出力するように構成されている。また、検温装置1は、撮像部が撮像した顔の画像に基づいて被測定者を特定し、特定した被測定者の1日の体温リズムを取得して、算出した体温及び取得した体温リズムに基づいて被測定者の体温が正常であるか否かを判定するように構成されている。すなわち、検温装置1は、検温機能に加えて、被測定者の顔認証を行う顔認証装置でもある。一例としては、検温装置1は、例えば、所定の施設内に入館する利用者の入館許可を管理しつつ入館する利用者の体温を計測する装置として利用することが可能である。図2に、検温装置1の外観の一例を示す。
【0016】
ここで、口内の表面温度を測定するのは、以下の理由による。一般に、体温測定は、放熱がなく体内温に近い直腸温、口腔温、鼓膜温、又は腋窩温で測定することが好適であると考えられている。本実施の形態では、この点を踏まえて、公衆の面前で測定すること、また、口は、通常、閉じていることから、測定時点において被測定者に開口してもらえば、外気の影響を受けにくいということに基づいて、口内の表面温度を測定することとしている。
【0017】
また、被測定者の1日の体温リズムを取得するのは、体温は、個人ごと、時間帯ごとに異なっていることによる。例えば、平熱が低い人にとっては体温が37℃以上である場合、発熱の疑いが考えられるし、平熱が高い人にとっては体温が37℃後半でも正常な状態である。一般に、女性は男性に比べて体温は高めであり、子供は高齢者に比べて高めであると言われている。また、体温は早朝が最も低く、夕方に最も高くなり、1日の体温変動は1℃前後の差が生じると言われている。図3(a)は、健康な人の1日(24時間)の体温リズムの一例を示すグラフである。検温装置1は、正常時における被測定者の1日の体温リズムを個人別体温データとして記憶している。そのため、本実施の形態では、個人ごと、時間帯ごとの平熱管理が可能となっている。
【0018】
検温装置1は、図1に示すように、撮像部11と、表面温度測定部12と、出力部13と、記憶部14と、制御部15と、を備えている。
【0019】
撮像部11は、例えば、2つのステレオカメラで構成され(図2参照)、被測定者の画像を撮像する。
【0020】
表面温度測定部12は、例えば、熱を検知するサーマルカメラで構成され(図2参照)、測定部位から放射される赤外線を検知して測定部位の表面温度を計測する。表面温度測定部12は、被測定者の顔全体の表面温度を計測することが可能であるが、本実施の形態では、特に、被測定者の口内の複数点の表面温度を計測することを特徴としている。上述したように、口内は、体内温に近く、外気の影響を受けにくいという点を考慮したものである。本実施の形態では、撮像部11が撮像した被測定者の画像に基づいて、被測定者の口内を認識し、被測定者の口内の複数点の表面温度を計測するようにしている。
【0021】
出力部13は、情報を出力する装置であり、例えば、液晶ディスプレイ(図2参照)やスピーカなどで構成される。本実施の形態では、例えば、図2に示すように、被測定者の顔画像、被測定者の体温、正常体温か否かの判定情報、サーモグラフ、スピーカから出力される音声内容を示す補足表示などの情報が液晶ディスプレイ上に表示される。
【0022】
記憶部14は、例えば、メモリ、ハードディスク等から構成されている。本実施の形態の記憶部14には、検温装置1に設定されるパラメータ(以下、設定パラメータという。)21、検温装置1が検温処理を実行するためのアプリケーションプログラム22、個人別体温データ23などが記憶されている。
【0023】
設定パラメータ21は、例えば、正常体温の閾値、ディスプレイに示す表示項目、画像判定範囲、背景画像、音声出力の有無などのパラメータを備えている。ここで、正常体温の閾値は、算出された被測定者の体温が正常か異常かを判定するためのパラメータである。本実施の形態では、算出された被測定者の体温と、後述する被測定者の体温リズムを示す個人別体温データの測定日時における平熱体温と、を比較し、その差が閾値以下であれば、正常体温と判定し、そうでない場合には、異常体温と判定する。図3(b)に設定パラメータの一例を示す。
【0024】
個人別体温データ23は、個人ごとの1日の体温リズムを記憶しているデータであり、具体的には、図3(a)に示すようなグラフデータを記憶する。例えば、事前に、正常状態において1日のうちの複数の時点(例えば、早朝、昼、夕方、夜など)の体温を計測し、計測した複数の体温に基づいて、図3(a)に示す近似曲線を作成して、1日の体温リズムを示す個人別体温データ23を算出し、1日の平熱体温を記憶するようにしてもよい。また、例えば、事前に計測した、正常状態における1日のうちの複数の時点(例えば、(1)早朝、昼、夕方、夜の4回、(2)朝、昼、夜の3回など)の平熱体温を記憶するようにしてもよい。この場合には、記憶された平熱体温から所定の演算(例えば、線形近似、多項式近似など)を実行して測定時点の平熱体温を算出するようにする。
【0025】
図3(c)は、個人別体温データ23のデータ構成を模式的に示す図である。個人別体温データ23は、例えば、被測定者を一意に識別可能なID、被測定者の名前、被測定者の顔画像、1日の体温リズムを示す平熱体温、閾値を含むデータである。被測定者の顔画像は、被測定者を特定するための認証情報である。なお、本実施の形態では顔画像を認証情報として用いるが、これに限定されない。例えば、顔画像の代わりに顔画像の特徴点を記憶するようにしてもよい。この場合には、個人別体温データ23のデータ容量を小さくすることができる。また、本実施の形態では、個人別体温データ23の閾値には、設定パラメータ21の閾値が初期設定されるようになっているが、体温変動には個人差があるので、閾値に関しては個別に設定可能としている。
【0026】
なお、アプリケーションプログラム22は、上述した記憶部14に格納されている他、外部ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワークを介して配信することも可能である。アプリケーションプログラム22は、本発明の検温プログラムに該当する。
【0027】
制御部15は、例えば、CPU及びメモリ等から構成されている。制御部15は、アプリケーションプログラム22を実行することにより、記憶部14の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行い、検温処理を実行する。
【0028】
制御部15は、詳しくは、口状態判定部31と、体温算出部32と、測定日時取得部33と、被測定者特定部34と、正常体温判定部35と、出力制御部36と、を具備する構成である。
【0029】
口状態判定部31は、撮像部11が撮像した被測定者の画像に基づいて、被測定者の口の位置を認識し、口の状態を判定する。口状態判定部31は、より詳しくは、マスク着用判定部41と、口開閉判定部42と、を備える。マスク着用判定部41は、撮像部11が撮像した被測定者の口近傍の画像に基づいて、被測定者が口にマスクを着用しているか否かを判定する。口開閉判定部42は、撮像部11が撮像した被測定者の口近傍の画像に基づいて、被測定者が口を開けているか閉じているかを判定する。本実施の形態では、まず、マスク着用判定部41による判定が行われ、マスク着用判定部41が被測定者の口にマスクが着用されていないと判定した場合に口開閉判定部42による判定が行われるようになっている。
【0030】
体温算出部32は、口開閉判定部42が被測定者の口は開いていると判定した場合、表面温度測定部12により測定された口内の複数個所の表面温度に基づいて、体温を算出する。本実施の形態では、測定された口内の複数個所の表面温度のうち最高温度を示した地点(以下、最高温度地点という)近傍の複数の箇所の表面温度の平均値を算出し、算出した平均値を体温としているが、体温の算出方法はこれに限定されない。例えば、口内の複数個所の表面温度の平均値を体温としてもよいし、最高温度地点の表面温度を体温としてもよい。以下、体温算出部32が算出した体温を「測定体温」という場合がある。
【0031】
測定日時取得部33は、体温算出部32が体温を算出した日時(表面温度測定部12が口内の表面温度を計測し、体温算出部32が体温を算出した日時。具体的には、時刻)を取得する。以下、測定日時取得部33が取得した日時を「測定日時」という場合がある。なお、図1には図示しないが、検温装置1は時計機能を具備している。
【0032】
被測定者特定部34は、撮像部11が撮像した被測定者の顔画像と、個人別体温データ23の顔画像と、を比較して、被測定者を特定する。詳しくは、撮像部11が撮像した被測定者の顔画像の特徴点と記憶部14に記憶された個人別体温データの顔画像の特徴点に基づいて、被測定者を特定する。
【0033】
正常体温判定部35は、被測定者特定部34が特定した被測定者の個人別体温データ23を参照して、測定日時取得部33が取得した測定日時の平熱体温を取得する。ここで、平熱体温の取得に関しては、個人別体温データ23の値を直接取得するようにしてもよいし(個人別体温データ23が測定日時の平熱体温を保持している場合)、所定の演算を施すことにより取得するようにしてもよい(個人別体温データ23が測定日時の平熱体温を保持していない場合)。以下、個人別体温データ23から取得した測定日時の平熱体温を単に「平熱体温」と略記する場合がある。次に、正常体温判定部35は、算出した測定体温と取得した平熱体温を比較し、体温算出部32が算出した測定体温が正常であるか否(平熱であるか否か)かを判定する。なお、被測定者の体温が正常体温であるか否かは、測定体温と平熱体温の温度差、及び個人別体温データ23の閾値に基づいて判定される。具体的には、測定体温と平熱体温の温度差(例えば、測定体温-平熱体温)が閾値(例えば、0.6℃)以下の場合には、正常体温と判定し、測定体温と平熱体温の温度差が閾値以下でない場合には、異常体温と判定する。
【0034】
出力制御部36は、出力部13に検温に関する所定の情報を出力する。出力制御部36は、より詳しくは、測定体温出力部43と、判定情報出力部44と、を備える。測定体温出力部43は、体温算出部32が算出した被測定者の測定体温を出力部13に出力する。例えば、液晶ディスプレイに「36.5°C」などの文字を表示する。また、スピーカから「36.5°Cです」などの音声を出力してもよい。
【0035】
判定情報出力部44は、(1)マスク着用判定部41が被測定者の口にマスクが着用されていると判定した場合、マスクの非着用を促すメッセージ(例えば、「マスクを外してください」などのメッセージ)を出力部13に出力する。判定情報出力部44は、例えば、「マスクを外してください」の音声をスピーカから出力するとともに「マスクを外してください」の文字を液晶ディスプレイに表示してもよい。
【0036】
また、判定情報出力部44は、(2)口開閉判定部42が被測定者の口は閉じられていると判定した場合、開口を促すメッセージ(例えば、「口を開けてください」などのメッセージ)を出力部13に出力する。判定情報出力部44は、例えば、「口を開けてください」の音声をスピーカから出力するとともに「口を開けてください」の文字を液晶ディスプレイに表示してもよい。
【0037】
また、判定情報出力部44は、(3)正常体温判定部35が判定した、被測定者の測定体温が正常体温であるか否かの判定情報を出力部13に出力する。(A)被測定者の測定体温が正常体温と判定した場合には、正常体温を示す表示態様(例えば、「36.5°C」の体温とともに背景画像を緑色にして表示する表示態様、また、「正常」を示す文字を表示する表示態様など)を液晶ディスプレイに表示する。また、正常体温を示す音声(例えば、「正常です」などの音声)をスピーカから出力してもよい。これに対して、(B)測定者の測定体温が正常体温でないと判定した場合には、異常体温を示す表示態様(例えば、「39°C」の体温とともに背景画像を赤色にして表示する表示態様、また、「異常」の文字を表示する表示態様など)を液晶ディスプレイに表示する。ここで、異常体温を示す表示態様は、正常体温を示す表示態様よりも、目立ち注意を喚起する表示態様である。また、異常体温を示す音声(例えば、「異常です」などの音声)をスピーカから出力してもよい。さらには、被測定者の測定体温が正常体温でないと判定した場合には、所定のメールアドレス(例えば、所定の施設内への入館を管理する管理者のメールアドレス、所定の施設において被測定者の体温を管理するスタッフ、被測定者の家族などのメールアドレス)に被測定者に関する情報(例えば、被測定者、測定体温、判定情報など)を含むアラートメールを送信するようにしてもよい。
【0038】
<検温装置の動作>
次に、図4を用いて、検温装置1の動作について説明する。図4は、検温装置1が実行する検温処理の流れを示すフローチャートである。図4に示す検温処理の流れは、本発明の検温方法に該当するものである。
【0039】
検温装置1は、撮像部11により撮像された被測定者の画像を取得すると(ステップS10)、取得した被測定者の画像に基づいて顔の各部を検出し(ステップS20)、口の状態を判定する口状態判定処理を実行する(ステップS30)。
【0040】
ここで、図5を用いて、口状態判定処理を説明する。図5は、図4のステップS30の口状態判定処理を詳しく示すフローチャートである。
【0041】
検温装置1は、ステップS20にて検出した口近傍の画像に基づいて、被測定者が口にマスクを着用しているか否かを判定する(ステップS32)。被測定者が口にマスクを着用している場合には(ステップS32:YES)、検温装置1は、マスクを外す旨のメッセージを出力部13に出力し(ステップS34)、その後、ステップS32に戻る。
【0042】
一方、被測定者が口にマスクを着用していない場合には(ステップS32:NO)、検温装置1は、被測定者の口近傍の画像に基づいて、被測定者が口を閉じているか否かを判定する(ステップS36)。被測定者が口を閉じている場合には(ステップS36:YES)、検温装置1は、開口を促すメッセージを出力部13に出力し(ステップS38)、その後、ステップS36に戻る。一方、被測定者が口を開けている場合には(ステップS36:NO)、口状態判定処理を終了する。
【0043】
図4に戻り、検温装置1は、被測定者はマスクを非着用であり、開口をしているので、撮像部11により撮像された被測定者の画像に基づいて、口内の複数の箇所の表面温度を測定し(ステップS40)、測定した複数の口内の表面温度から被測定者の体温を算出する(ステップS50)。
【0044】
次に、検温装置1は、被測定者の体温を測定した測定日時(口内の表面温度から体温を算出した日時)を取得し(ステップS60)、顔画像を用いた顔認証により、被測定者を特定する(ステップS70)。
【0045】
次に、検温装置1は、特定された被測定者の個人別体温データ23の測定日時における平熱体温を取得し(ステップS80)、ステップS50において算出された被測定者の測定体温と、個人別体温データ23から取得した平熱体温と、を比較し(ステップS90)、被測定者の体温が正常な体温であるか否かを判定する(ステップS100)。正常な体温であるか否かは、測定体温と平熱体温の差が閾値以下であるか否かに基づく。
【0046】
最後に、検温装置1は、被測定者の体温が正常であると判定した場合には(ステップS100:YES)、ステップS50で算出された被測定者の測定体温を出力部13に出力し(ステップS110)、正常を示す判定情報を出力部13に出力する(ステップ120)。一方、検温装置1は、被測定者の体温が正常でないと判定した場合には(ステップS100:NO)、ステップS50で算出された被測定者の体温を出力部13に出力し(ステップS130)、異常を示す判定情報を出力部13に出力する(ステップ140)。
【0047】
なお、上記検温処理の口状態判定処理では、まず、被測定者がマスクをしているか否かを判定し、被測定者がマスクをしていない場合に、次に、口を閉じているか否かを判定するようにし、開口している場合に、口内の表面温度を測定するようにしたが(図4図5参照)、これに限定されない。被測定者のマスク着用有無の判定を省き、いきなり被測定者が口を閉じているか否かを判定し、開口している場合に、口内の表面温度を測定するようにしてもよい。また、図4に示す検温処理では、体温を算出した(ステップS50)後、被測定者を特定する(ステップS70)ようにしたが、処理の順序は逆でもよい。すなわち、被測定者を特定した後、体温を算出するようにしてもよい。
【0048】
以上、本実施の形態の検温装置1は、被測定者を撮像する撮像部11と、被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部12と、所定の情報を出力する出力部13と、を備え、表面温度測定部12は、撮像部11が撮像した被測定者の画像に基づいて、被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する。また、検温装置1は、被測定者の顔画像と一日の体温リズムを対応付けた個人別体温データ23を記憶する記憶部14と、撮像部11により撮像された被測定者の画像に基づいて、被測定者の口の開閉状態を判定する口開閉判定部42と、口開閉判定部42により被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すメッセージを出力部13に出力する判定情報出力部44と、口開閉判定部42により前記被測定者が口を開いていると判定された場合、表面温度測定部12により測定された被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出部32と、撮像部11により撮像された被測定者の顔画像と、記憶部14に記憶された個人別体温データ23の顔画像と、に基づいて、被測定者を特定する被測定者特定部34と、表面温度測定部12が被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、被測定者特定部34により特定された記被測定者の個人別体温データ23の体温リズム、及び体温算出部32により算出された被測定者の体温に基づいて、被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部35と、体温算出部32により算出された被測定者の体温、及び正常体温判定部35により判定された判定情報を出力部13に出力する出力制御部36と、を備える。
【0049】
このような構成を採用することにより、本実施の形態の検温装置1によれば、外気の影響を極力排除し、被測定者の体温を正確に測定することができる。また、被測定者が口を閉じていたとしても、開口を促すメッセージを出力するので、被測定者の口の開閉状態に係わらず、被測定者の口内温度を容易に算出することができる。また、本実施の形態の検温装置1によれば、正常時における被測定者の1日の体温リズムを個人別体温データとして記憶しているので、個人ごと、時間帯ごとの平熱管理をすることができる。
【0050】
従来、非接触型の検温装置(以下、従来の検温装置という。)では、被測定者の額の表面温度を計測して、体温として出力することが一般的であるが、この場合、外部環境、気化熱、服装の影響を受けてしまい、体温が正確に測定できない場合があるという問題があった。ここで、外部環境の影響とは、例えば、外気の影響である。具体的には、冬は外気に触れた額が冷たくなり表面温度は体温より低くなる一方、夏は日光が顔に当たるため、体表面温度は体温より高くなる傾向がある。また、気化熱の影響とは、夏に外気に触れた場合や実際に高熱がある場合には汗をかく影響である。この場合、汗が蒸発するのでその気化熱により、額の表面温度は体温より低くなる傾向がある。また、服装の影響とは、帽子などにより額が見えない影響である。この場合には、体温を測定することできない。
【0051】
そのため、大勢の人が建物の入り口や受付に集まり、即時に検温が必要になる、病院、ホテル、映画館、イベント会場などの公共施設においては、上記問題により困っているという状況があった。本実施の形態の検温装置1は、このような問題を解決するものであり、撮像部11により被測定者の口内を特定するとともに、表面温度測定部12により口内の表面温度を測定することにより、被測定者の体温を正確に算出することができるという画期的な検温装置である。
【0052】
また、上述したように、体温は、個人ごと、時間帯ごとに異なっているため、本来、個人ごと、時間帯ごとに平熱は異なるものである。しかしながら、従来の検温装置は、被測定者全員を測定日時に関わらず同一の閾値で検温し、正常体温か否かを判定している。そのため、例えば、平熱が低い人、高い人にとっては平熱であっても異常体温と判定される場合があった。本実施の形態の検温装置1は、このような問題を解決するものであり、個人ごと、及び時間帯ごとに平熱管理をすることができるという画期的な検温装置である。
【0053】
また、本実施の形態の検温装置1は、撮像部11により撮像された被測定者の顔の画像に基づいて、被測定者が口にマスクを着用しているか否かを判定するマスク着用判定部41と、マスク着用判定部41により被測定者が口にマスクを着用していると判定された場合、マスクの非着用を促すメッセージを出力部13に出力する判定情報出力部44と、を備え、口開閉判定部42は、マスク着用判定部41により被測定者が口にマスクを着用していないと判定された場合に、被測定者の口の開閉状態を判定する。
【0054】
このような構成を採用することにより、本実施の形態の検温装置1によれば、被測定者がマスクを着用していたとしても、被測定者の口内の表面温度を計測することできるので、被測定者のマスク着用状態に係わらず、外気の影響を極力排除し、被測定者の体温を正確に測定することができるとともに個人ごと及び時間帯ごとの平熱管理をすることができる。
【0055】
また、本実施の形態の一日の体温リズムとは、被測定者の正常時の一日の体温変動を示すデータであり、少なくとも、朝、昼、夜の正常体温を記憶するデータである。これにより、体温の測定時刻によらず、1日のいつでも被測定者の測定体温が平熱であるか否かを正確に判定することができる。
【0056】
また、本実施の形態の検温装置1の表面温度測定部12は、被測定者の口内の複数個所の表面温度を計測し、体温算出部32は、表面温度測定部12により計測された口内の複数個所の表面温度のうち最高温度に基づいて被測定者の体温を算出するので、被測定者の体温をより正確に測定することができる。
【0057】
[第2の実施の形態]
<検温装置の構成>
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る検温装置5の概略構成図である。検温装置5は、非接触型の検温装置である。検温装置5は、撮像部が撮像した画像に基づいて被測定者の顔の部位を検知し、顔のうち口内から放射される赤外線を検知して、口内の表面温度を計測し、計測した口内の表面温度に基づいて算出した体温を情報出力するように構成されている。また、検温装置5は、入力された識別情報に基づいて被測定者を特定して、特定した被測定者の1日の体温リズムを取得し、算出した体温及び取得した体温リズムに基づいて被測定者の体温が正常であるか否かを判定するように構成されている。本実施の形態の検温装置5は、被測定者の顔画像を用いて被測定者を特定するのではなく、検温装置5に入力された識別情報に基づいて、被測定者を特定するように構成されている。
【0058】
なお、検温装置5の外観は図示しないが、検温装置1と略同一の外観を採用してもよいし(図2参照)、異なる外観を採用してもよい。また、口内の表面温度を測定する理由、及び被測定者の1日の体温リズムを取得する理由は、第1の実施の形態の場合と同一であるため、説明は省略する。
【0059】
検温装置5は、図6に示すように、入力部50と、撮像部51と、表面温度測定部52と、出力部53と、記憶部54と、制御部55と、を備えている。
【0060】
入力部50は、情報を入力する部位である。例えば、ボタンやタッチパネルなどで構成されていてもよい。本実施の形態では、被測定者又は他の者(例えば、医療施設や介護施設のスタッフなど)により、被測定者を特定する識別情報(例えば、1、2、3などの数字、個人番号を示すIDなど)を入力する。入力した識別情報(及び識別情報に紐づく情報、例えば、名前など)は後述する出力部53に出力され、確認可能である。
【0061】
撮像部51は、例えば、2つのステレオカメラで構成され(図2参照)、被測定者の画像を撮像する。
【0062】
表面温度測定部52は、例えば、熱を検知するサーマルカメラで構成され、測定部位から放射される赤外線を検知して測定部位の表面温度を計測する。表面温度測定部52は、被測定者の顔全体の表面温度を計測することが可能であるが、本実施の形態では、特に、被測定者の口内の複数点の表面温度を計測することを特徴としている。上述したように、口内は、体内温に近く、外気の影響を受けにくいという点を考慮したものである。本実施の形態では、撮像部51が撮像した被測定者の画像に基づいて、被測定者の口内を認識し、被測定者の口内の複数点の表面温度を計測するようにしている。
【0063】
出力部53は、情報を出力する装置であり、例えば、液晶ディスプレイ(図2参照)やスピーカなどで構成される。本実施の形態では、例えば、図2に示すように、被測定者の顔画像、被測定者の体温、正常体温か否かの判定情報、サーモグラフ、スピーカから出力される音声内容を示す補足表示などの情報が液晶ディスプレイ上に表示される。
【0064】
記憶部54は、例えば、メモリ、ハードディスク等から構成されている。本実施の形態の記憶部54には、検温装置5に設定されるパラメータ(以下、設定パラメータという。)61、検温装置5の検温処理を実行するためのアプリケーションプログラム62、個人別体温データ63などが記憶されている。
【0065】
設定パラメータ61は、例えば、正常体温の閾値、ディスプレイに示す表示項目、画像判定範囲、背景画像、音声出力の有無などのパラメータを備えている。ここで、正常体温の閾値は、算出された被測定者の体温が正常か異常かを判定するためのパラメータである。本実施の形態では、算出された被測定者の体温と、後述する被測定者の体温リズムを示す個人別体温データの測定日時における平熱体温と、を比較し、その差が閾値以下であれば、正常体温と判定し、そうでない場合には、異常体温と判定する。図7(a)に設定パラメータの一例を示す。
【0066】
個人別体温データ63は、個人ごとの1日の体温リズムを記憶しているデータであり、具体的には、図3(a)に示すようなグラフデータを記憶する。例えば、事前に、正常状態において1日のうちの複数の時点(例えば、早朝、昼、夕方、夜など)の体温を計測し、計測した複数の体温に基づいて、図3(a)に示す近似曲線を作成して、1日の体温リズムを示す個人別体温データ23を算出し、1日の平熱体温を記憶するようにしてもよい。また、例えば、事前に計測した、正常状態における1日のうちの複数の時点(例えば、(1)早朝、昼、夕方、夜の4回、(2)朝、昼、夜の3回など)の平熱体温を記憶するようにしてもよい。この場合には、記憶された平熱体温から所定の演算(例えば、線形近似、多項式近似など)を実行して測定時点の平熱体温を算出するようにする。
【0067】
図7(b)は、個人別体温データ63のデータ構成を模式的に示す図である。個人別体温データ63は、例えば、被測定者を一意に識別可能なID、識別情報、被測定者の名前、1日の体温リズムを示す平熱体温情報、閾値を含むデータである。識別情報は、被測定者を特定するための入力情報である。なお、本実施の形態では、個人別体温データ63の閾値には、設定パラメータ61の閾値が初期設定されるようになっているが、体温変動には個人差があるので、閾値に関しては個別に設定可能としている。
【0068】
なお、アプリケーションプログラム62は、上述した記憶部54に格納されている他、外部ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワークを介して配信することも可能である。アプリケーションプログラム62は、本発明の検温プログラムに該当する。
【0069】
制御部55は、例えば、CPU及びメモリ等から構成されている。制御部55は、アプリケーションプログラム62を実行することにより、記憶部54の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行い、検温処理を実行する。
【0070】
制御部55は、詳しくは、体温算出部71と、測定日時取得部72と、被測定者特定部73と、正常体温判定部74と、出力制御部75と、を具備する構成である。
【0071】
体温算出部71は、被測定者の口が開いている状態において、表面温度測定部52により測定された口内の複数個所の表面温度に基づいて、体温を算出する。本実施の形態では、測定された口内の複数個所の表面温度のうち最高温度を示した地点(以下、最高温度地点という)近傍の複数の箇所の表面温度の平均値を算出し、算出した平均値を体温としているが、体温の算出方法はこれに限定されない。例えば、口内の複数個所の表面温度の平均値を体温としてもよいし、最高温度地点の表面温度を体温としてもよい。以下、体温算出部71が算出した体温を「測定体温」という場合がある。
【0072】
測定日時取得部72は、体温算出部71が体温を算出した日時(表面温度測定部52が口内の表面温度を計測し、体温算出部71が体温を算出した日時。具体的には、時刻)を取得する。以下、体温算出部71が取得した日時を「測定日時」という場合がある。なお、図6には図示しないが、検温装置1は時計機能を具備している。
【0073】
被測定者特定部73は、検温前に入力部51を介して入力された識別情報に基づいて、被測定者を特定する。
【0074】
正常体温判定部74は、被測定者特定部73が特定した被測定者の個人別体温データ23を参照し、測定日時取得部72が取得した測定日時の平熱体温を取得する。ここで、平熱体温の取得に関しては、個人別体温データ63の値を直接取得するようにしてもよいし(個人別体温データ63が測定日時の平熱体温を保持している場合)、所定の演算を施すことにより取得するようにしてもよい(個人別体温データ63が測定日時の平熱体温を保持していない場合)。以下、個人別体温データ63から取得した測定日時の平熱体温を単に「平熱体温」と略記する場合がある。次に、正常体温判定部74は、算出した測定体温と取得した平熱体温を比較し、体温算出部71が算出した測定体温が正常であるか否(平熱であるか否か)かを判定する。なお、被測定者の体温が正常体温であるか否かは、測定体温と平熱体温の温度差、及び個人別体温データ63の閾値に基づいて判定される。具体的には、測定体温と平熱体温の温度差(例えば、測定体温-平熱体温)が閾値(例えば、0.6℃)以下の場合には、正常体温と判定し、測定体温と平熱体温の温度差が閾値以下でない場合には、異常体温と判定する。
【0075】
出力制御部75は、出力部53に検温に関する所定の情報を出力する。出力制御部75は、詳しくは、測定体温出力部81と、判定情報出力部82と、を備える。測定体温出力部81は、体温算出部71が算出した被測定者の体温を出力部53に出力する。例えば、液晶ディスプレイに「36.5°C」などの文字を表示する。また、スピーカから「36.5°Cです」などの音声を出力してもよい。
【0076】
判定情報出力部82は、正常体温判定部74が判定した、体温が正常体温であるか否かの判定情報を出力部53に出力する。正常体温を示す表示態様(例えば、「36.5°C」の体温とともに背景画像を緑色にして表示する表示態様、また、「正常」を示す文字を表示する表示態様など)を液晶ディスプレイに表示する。また、正常体温を示す音声(例えば、「正常です」などの音声)をスピーカから出力してもよい。これに対して、(B)測定者の測定体温が正常体温でないと判定した場合には、異常体温を示す表示態様(例えば、「39°C」の体温とともに背景画像を赤色にして表示する表示態様、また、「異常」の文字を表示する表示態様など)を液晶ディスプレイに表示する。ここで、異常体温を示す表示態様は、正常体温を示す表示態様よりも、目立ち注意を喚起する表示態様である。また、異常体温を示す音声(例えば、「異常です」などの音声)をスピーカから出力してもよい。
【0077】
<検温装置の動作>
次に、図8を用いて、検温装置5の動作について説明する。図8は、検温装置5が実行する検温処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す検温処理の流れは、本発明の検温方法に該当するものである。なお、検温処理を実行するに際しては、前提として、少なくともステップS230の前に、被測定者は開口状態にあるものとする。
【0078】
まず、検温装置5は、入力部51により入力された識別情報を取得し(ステップS210)、被測定者を特定する(ステップS220)。本実施の形態において、被測定者の特定は、識別情報による。
【0079】
次に、検温装置5は、撮像部51が撮像した画像に基づいて、被測定者の口内の複数の箇所の表面温度を測定し(ステップS230)、測定した複数の口内の表面温度から被測定者の体温を算出する(ステップS240)。
【0080】
次に、検温装置5は、被測定者の体温を測定した測定日時(口内の表面温度から体温を算出した日時)を取得する(ステップS250)。
【0081】
次に、検温装置5は、特定された被測定者の個人別体温データ63の測定日時における平熱体温を取得し(ステップS260)、ステップS240において算出された被測定者の測定体温と、個人別体温データ23から取得した平熱体温と、を比較し(ステップS270)、被測定者の体温が正常な体温であるか否かを判定する(ステップS100)。正常な体温であるか否かは、測定体温と平熱体温の差が閾値以下であるか否かに基づく。
【0082】
最後に、検温装置5は、被測定者の体温が正常であると判定した場合には(ステップS280:YES)、ステップS240で算出された被測定者の測定体温を出力部53に出力し(ステップS290)、正常を示す判定情報を出力部53に出力する(ステップ300)。一方、検温装置5は、被測定者の体温が正常でないと判定した場合には(ステップS280:NO)、ステップS240で算出された被測定者の体温を出力部53に出力し(ステップS310)、異常を示す判定情報を出力部53に出力する(ステップ320)。
【0083】
以上、本実施の形態の検温装置5は、被測定者を識別可能な識別情報を入力する入力部50と、被測定者を撮像する撮像部51と、被測定者の表面温度を非接触に測定する表面温度測定部52と、所定の情報を出力する出力部53と、を備え、表面温度測定部52は、撮像部51が撮像した被測定者の画像に基づいて、被測定者の口内の表面温度を非接触に測定する。また、検温装置5は、識別情報と被測定者の一日の体温リズムを対応付けた個人別体温データ63を記憶する記憶部54と、入力部51により入力された識別情報に基づき被測定者を特定する被測定者特定部73と、表面温度測定部52により測定された被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出する体温算出部71と、表面温度測定部52が被測定者の口内の表面温度を測定した時刻、被測定者特定部73により特定された被測定者の個人別体温データ63の体温リズム、及び体温算出部71により算出された被測定者の体温に基づいて、被測定者の体温が正常であるか否かを判定する正常体温判定部74と、体温算出部71により算出された被測定者の体温、及び正常体温判定部74により判定された判定情報を出力部53に出力する出力制御部75と、を備える。
【0084】
このような構成を採用することにより、本実施の形態の検温装置5によれば、外気の影響を極力排除し、被測定者の体温を正確に測定することができる。また、本実施の形態の検温装置5によれば、正常時における被測定者の1日の体温リズムを個人別体温データとして記憶しているので、個人ごと、時間帯ごとの平熱管理をすることができる。
【0085】
従来、非接触型の検温装置(以下、従来の検温装置という。)では、被測定者の額の表面温度を計測して、体温として出力することが一般的であるが、この場合、外部環境、気化熱、服装の影響を受けてしまい、体温が正確に測定できない場合があるという問題があった。ここで、外部環境の影響とは、例えば、外気の影響である。具体的には、冬は外気に触れた額が冷たくなり表面温度は体温より低くなる一方、夏は日光が顔に当たるため、体表面温度は体温より高くなる傾向がある。また、気化熱の影響とは、夏に外気に触れた場合や実際に高熱がある場合には汗をかく影響である。この場合、汗が蒸発するのでその気化熱により、額の表面温度は体温より低くなる傾向がある。また、服装の影響とは、帽子などにより額が見えない影響である。この場合には、体温を測定することできない。
【0086】
特に、施設内の多くの人を一日に何度も検温しなければならない医療施設や介護施設では、上記問題とともに即時及び簡素な検温が必要とされているという状況があった。本実施の形態の検温装置5は、このような問題を解決するものであり、被測定者が開口している状態で、表面温度測定部52により口内の表面温度を測定することにより、被測定者の体温を簡単かつ正確に算出することができるという画期的な検温装置である。
【0087】
また、上述したように、体温は、個人ごと、時間帯ごとに異なっているため、本来、個人ごと、時間帯ごとに平熱は異なるものである。しかしながら、従来の検温装置は、被測定者全員を測定日時に関わらず同一の閾値で検温し、正常体温か否かを判定している。そのため、例えば、平熱が低い人、高い人にとっては平熱であっても異常体温と判定される場合があった。本実施の形態の検温装置5は、このような問題を解決するものであり、個人ごと、及び時間帯ごとに平熱管理をすることができるという画期的な検温装置である。
【0088】
また、本実施の形態の一日の体温リズムとは、被測定者の正常時の一日の体温変動を示すデータであり、少なくとも、朝、昼、夜の正常体温を記憶するデータである。これにより、体温の測定時刻によらず、1日のいつでも被測定者の測定体温が平熱であるか否かを正確に判定することができる。
【0089】
また、本実施の形態の検温装置5の表面温度測定部52は、被測定者の口内の複数個所の表面温度を計測し、体温算出部71は、表面温度測定部52により計測された口内の複数個所の表面温度のうち最高温度に基づいて前記被測定者の体温を算出するので、被測定者の体温をより正確に測定することができる。
【0090】
[変形例A]
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、被測定者の口内の表面温度を測定するようにしていたが、体温をより正確に測定するため、口内の特定箇所を測定するように工夫を施してもよい。具体的には、口内の舌下の表面温度を測定する工夫を施すものである。上述したように、体温測定は、放熱がなく体内温に近い直腸温、口腔温、鼓膜温、又は腋窩温で測定することが好適であると考えられている。そして、口腔温の場合には、口内舌下が好適な測定箇所と言われている。そのため、本変形例Aでは、口内舌下の表面温度を測定することとしたものである。
【0091】
<第1の実施の形態の変形例A>
図9は、第1の実施の形態の口状態判定処理の変形例A1の流れを示すフローチャートである。変形例A1では、検温装置1は、体温測定時において、被測定者の口内の舌下を測定するメッセージ(例えば、「口を開け、下を上あごにつけてください」など)を出力部13に出力するようにしている。これにより、被測定者は、検温装置1により口内の舌下の表面温度が測定されることを認識するので、口を開口し、かつ舌下が見える状態を準備することができる。このため、図9に示す口状態判定処理において、口が開いている場合には(ステップS36:NO)、舌下が見える状態となっていることが想定され、検温装置1は、舌下の表面温度を測定することができる(図4のステップS40)。
【0092】
また、図9に示すように、被測定者が口を閉じている場合には(ステップS36:YES)、検温装置1は、開口を促すとともに舌下を見せることを促すメッセージを出力部13に出力し(ステップS38A)、その後、ステップS36に戻るので、被測定者は、メッセージに従って、口を開口し、かつ舌下が見える状態を準備することができる。そのため、この場合も、口が開いている場合には(ステップS36:NO)、舌下が見える状態となっていることが想定され、検温装置1は、舌下の表面温度を測定することができる(図4のステップS40)。
【0093】
このように、変形例A1によれば、判定情報出力部44は、口開閉判定部42により被測定者が口を閉じていると判定された場合、開口を促すとともに舌下を見せることを促すメッセージを出力部13に出力するので、被測定者が口内の舌下を見せた状態で口内の表面温度が測定される蓋然性が高く、被測定者の体温をより正確に測定することができる。
【0094】
図10は、第1の実施の形態の口状態判定処理の変形例A2の流れを示すフローチャートである。変形例2Aでも、変形例1Aと同様に、検温装置1は、体温測定時において、被測定者の口内の舌下を測定するメッセージ(例えば、「口を開け、下を上あごにつけてください」など)を出力部13に出力するようにしているが、それに加えて、撮像部11が撮像した画像を用いて、被測定者の口内において舌下が見えている状態であるか否かを判定し、舌下が見えている状態である場合に、被測定者の口内の表面温度を測定するようにしている。
【0095】
詳しくは、図10に示すように、被測定者が開口している場合には(ステップS36:NO)、被測定者の口近傍の画像に基づいて、舌下が見えているか否かを判定し(ステップS39)、舌下が見えている場合には(ステップS39:YES)、処理を終了し、舌下が見えていない場合には(ステップS39)、舌下を見せることを促すメッセージを出力部13に出力する(ステップS39A)。
【0096】
このように、変形例A2によれば、撮像部11により撮像された被測定者の画像に基づいて、被測定者の口内において舌下が見えているか否かを判定する舌下視認判定部と、舌下視認判定部により被測定者の口内において舌下が見えていないと判定された場合、舌下を見せることを促すメッセージを出力部13に出力する判定情報出力部44と、を備え、体温算出部32は、舌下視認判定部により被測定者が舌下を見せていると判定された場合、表面温度測定部12により測定された被測定者の口内の表面温度に基づいて、体温を算出するので、被測定者の体温をより正確に測定することができる。
【0097】
<第2の実施の形態の変形例A>
一方、第2の実施形態の変形例A3では、図8に示す検温処理において、前提として、少なくともステップS230の前に、被測定者は開口状態かつ舌下が見える状態にあるものとする。すなわち、変形例A3では、検温装置5は、体温測定時において、被測定者の口内の舌下を測定するメッセージ(例えば、「口を開け、下を上あごにつけてください」など)を出力部53に出力するようにしている。これにより、被測定者は、検温装置5により口内の舌下の表面温度が測定されることを認識するので、口が開口し、かつ舌下が見える状態を準備することができる。
【0098】
このように、変形例A3によれば、被測定者が口内の舌下を見せた状態で口内の表面温度が測定される蓋然性が高いので、被測定者の体温をより正確に測定することができる。
【0099】
[変形例B]
<第1の実施の形態の変形例B>
図11は、本発明の第1の実施の形態の変形例Bに係る検温装置1Bの概略構成図である。検温装置1Bは、検温装置1と略同一の構成の非接触型の検温装置である。検温装置1Bは、原則、口内の表面温度を計測するように構成されているが、被測定者の顔画像が記憶部14Bに記憶された個人別体温データ23に存在しない場合には、口内ではなく顔の表面温度を計測するように構成されている。なお、以下においては、第1の実施形態と異なる構成、機能及び処理のみ説明し、その他の構成、機能及び処理に関しては同一部位には同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
検温装置1Bは、例えば、所定の施設内に入館する利用者の入館許可を管理しつつ入館する利用者の体温を計測する装置として利用することが想定される。このような場合、当該所定の施設に常時入館する利用者は顔画像が個人別体温データ23として登録されているが、外部からの利用者が当該所定の施設に入館する場合には、顔画像が個人別体温データ23として登録されていない場合が多い。そのため、このような外部利用者の利便性を図ったものである。今日現在、被測定者の体温を測定する場合に口内を測定する方法は一般的な方法として普及しているわけではないので、公共施設や商業施設などにおいて、外部利用者に口内を開口するように促して口内の表面温度を測定する方法に対しては、外部利用者が困惑したり嫌悪感を覚えたりすることも考えられる。そこで、変形例Bでは、顔画像が個人別体温データ23として登録されている利用者に対しては、口内の表面温度を正確に測定することとし、顔画像が個人別体温データ23として登録されていない利用者に対しては、利便性を考慮して顔の表面温度を測定することとした。
【0101】
検温装置1Bは、図11に示すように、撮像部11と、表面温度測定部12Bと、出力部13と、記憶部14Bと、制御部15Bと、を備えている。
【0102】
表面温度測定部12Bは、例えば、熱を検知するサーマルカメラで構成され(図2参照)、測定部位から放射される赤外線を検知して測定部位の表面温度を計測する。表面温度測定部12Bは、被測定者の顔全体の表面温度を計測することが可能であり、(1)後述する測定箇所判定部30が測定箇所を顔の表面とした場合には、被測定者の顔の所定部位(例えば、額など)の複数点の表面温度を計測し、(2)後述する測定箇所判定部30が測定箇所を口内とした場合には、被測定者の口内の複数点の表面温度を計測するように構成されている。
【0103】
記憶部14Bは、例えば、メモリ、ハードディスク等から構成されている。本実施の形態の記憶部14Bには、検温装置1Bに設定されるパラメータ(以下、設定パラメータという。)21B、検温装置1Aが検温処理を実行するためのアプリケーションプログラム22B、個人別体温データ23などが記憶されている。
【0104】
設定パラメータ21Bは、図3(b)に示した設定パラメータ21に加えて、一般的な人の平熱体温(以下、一般平熱体温という)を示すパラメータを有する。このパラメータは、顔画像が個人別体温データ23として登録されていない利用者の体温を測定する場合に正常体温か異常体温かを判断するものである。一般平熱体温のパラメータには、一般平熱体温の範囲、つまり一般平熱体温の上限又は/及び下限が設定されている。例えば、一般平熱体温を37度未満と設定してもよい。
【0105】
なお、アプリケーションプログラム22Bは、記憶部14Bに格納されている他、外部ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワークを介して配信することも可能である。アプリケーションプログラム22Bは、本発明の検温プログラムに該当する。
【0106】
制御部15Bは、例えば、CPU及びメモリ等から構成されている。制御部15Bは、アプリケーションプログラム22Aを実行することにより、記憶部14Bの制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行い、検温処理を実行する。
【0107】
制御部15Bは、詳しくは、測定箇所判定部30と、口状態判定部31と、体温算出部32Bと、測定日時取得部33と、被測定者特定部34と、正常体温判定部35Bと、出力制御部36と、を具備する構成である。
【0108】
測定箇所判定部30は、撮像部11が撮像した被測定者の顔画像に基づいて、個人別体温データ23を検索し、該当する顔画像が存在するか否かを判定する。そして、測定箇所判定部30は、個人別体温データ23に該当する顔画像が存在する場合には、測定箇所を口内に決定し、個人別体温データ23に該当する顔画像が存在しない場合には、測定箇所を顔の表面に決定する。
【0109】
体温算出部32Bは、(1)測定箇所が口内の場合であって、口開閉判定部42が被測定者の口は開いていると判定した場合、表面温度測定部12により測定された口内の複数個所の表面温度に基づいて、体温を算出する。本実施の形態では、測定された口内の複数個所の表面温度のうち最高温度を示した地点(以下、最高温度地点という)近傍の複数の箇所の表面温度の平均値を算出し、算出した平均値を体温としているが、体温の算出方法はこれに限定されない。例えば、口内の複数個所の表面温度の平均値を体温としてもよいし、最高温度地点の表面温度を体温としてもよい。
【0110】
また、体温算出部32Bは、(2)測定箇所が顔の表面の場合には、表面温度測定部12により測定された顔の複数個所の表面温度に基づいて、体温を算出する。本実施の形態では、測定された顔の複数個所の表面温度のうち最高温度を示した地点(以下、最高温度地点という)近傍の複数の箇所の表面温度の平均値を算出し、算出した平均値を体温としているが、体温の算出方法はこれに限定されない。例えば、顔の複数個所の表面温度の平均値を体温としてもよいし、最高温度地点の表面温度を体温としてもよい。以下、体温算出部32Bが算出した体温を「測定体温」という場合がある。
【0111】
正常体温判定部35Bは、(1)測定箇所が口内の場合、被測定者特定部34が特定した被測定者の個人別体温データ23を参照して、測定日時取得部33が取得した測定日時の平熱体温を取得する。ここで、平熱体温の取得に関しては、個人別体温データ23の値を直接取得するようにしてもよいし(個人別体温データ23が測定日時の平熱体温を保持している場合)、所定の演算を施すことにより取得するようにしてもよい(個人別体温データ23が測定日時の平熱体温を保持していない場合)。次に、正常体温判定部35Bは、算出した測定体温と取得した平熱体温を比較し、体温算出部32Bが算出した測定体温が正常であるか否(平熱であるか否か)かを判定する。なお、被測定者の体温が正常体温であるか否かは、測定体温と平熱体温の温度差、及び個人別体温データ23の閾値に基づいて判定される。具体的には、測定体温と平熱体温の温度差(例えば、測定体温-平熱体温)が閾値(例えば、0.6℃)以下の場合には、正常体温と判定し、測定体温と平熱体温の温度差が閾値以下でない場合には、異常体温と判定する。
【0112】
また、正常体温判定部35Bは、(2)測定箇所が顔の表面の場合、算出した測定体温と設定パラメータ21Bから取得した一般平熱体温を比較し、体温算出部32Bが算出した測定体温が正常であるか否(平熱であるか否か)かを判定する。例えば、算出した測定体温が一般平熱体温の範囲内の場合には、正常体温と判定し、そうでない場合には、異常体温と判定する。
【0113】
図12は、検温装置1B実行する検温処理の流れを示すフローチャートである。図12に示す検温処理の流れは、本発明の検温方法に該当するものである。
【0114】
検温装置1Bは、撮像部11により撮像された被測定者の画像を取得すると(ステップS10)、取得した被測定者の画像に基づいて顔画像及び顔の各部を検出し(ステップS20)、顔画像が個人別体温データ23に登録されているか否かを判定する(ステップS25)。顔画像が個人別体温データ23に登録されている場合には(ステップS25:YES)、ステップS30に進み、顔画像が個人別体温データ23に登録されていない場合には(ステップS25:NO)、ステップS26に進む。ここで、ステップS30からステップS90までの工程は、図4に示したステップS30からステップS90までの工程と同一なので、説明を省略する。
【0115】
検温装置1Bは、顔画像が個人別体温データ23に登録されていない場合には(ステップS25:NO)、顔の複数の箇所の表面温度を測定し(ステップS26)、測定した複数の箇所の表面温度から被測定者の体温を算出する(ステップS27)。次に、検温装置1Bは、設定パラメータ21Bから一般平熱体温を取得し(ステップS28)、ステップS27において算出された被測定者の測定体温と、設定パラメータ21Bから取得した一般平熱体温と、を比較する(ステップS29)。
【0116】
次に、検温装置1Aは、(1)測定箇所が口内の場合、算出した測定体温と取得した平熱体温の比較に基づいて、(2)測定箇所が顔の表面の場合、算出した被測定者の測定体温と取得した一般平熱体温の比較に基づいて、被測定者の体温が正常な体温であるか否かを判定する(ステップS100)。なお、ステップS110からステップS140までの工程は、図4に示したステップS110からステップS140までの工程と同一なので、説明を省略する。
【0117】
このように、変形例Bによれば、被測定者が、例えば、外部の利用者など顔画像が登録されていない利用者であっても、違和感を覚えることなく、また、嫌悪感を抱かせることなくスムースに体温を測定することができる。すなわち、顔画像が登録されていない利用者に対しては最適な体温測定ではないが、利便性を重視した好適な体温測定を実行することができる。
【0118】
なお、変形例Bでは、顔画像の登録の有無に基づいて、測定箇所を口内とするか顔とするかを決定したが、測定箇所を決定する条件はこれに限定されない。例えば、検温装置1Bに検温モード切替ボタンを設け、該検温モード切替ボタンの操作により口内検温モードとするか額検温モードとするかを決定するようにしてもよい。例えば、医療施設や介護施設では、施設内のスタッフや被介護者(要介護者)に対しては口内検温モード、面会の家族に対しては額検温モードとして検温するようにしてもよい。
【0119】
[その他]
最後に、本出願人による実験結果の一例を用いて具体的に説明する。前提として、接触型の体温計により被測定者の脇下を測定した場合の体温が36.8°Cであり、被測定者が外気温1°Cの環境下にマスクを着用して30分間いた後の検温結果について述べる。なお、検温結果は、測定部位における複数個所の測定結果のうちの最高温度を検温結果としている。まず、(1)従来の検温装置を用いて、額部分の表面温度を計測した場合には、検温結果は34.0°C、次に(2)従来の検温装置を用いて、マスク上部の鼻の一部の表面温度を計測した場合には、検温結果は36.4°C、また、(3)従来の検温装置を用いて、マスクを外した後、閉じた口の口周辺の表面温度を計測した場合には、検温結果は36.7°Cであった。一方、(4)検温装置1を用いて、マスクを外した後、開いた口の口内の表面温度を計測した場合には、検温結果は36.8°Cであった。
【0120】
この実験結果によれば、外部環境の影響を最も受けない測定部位は、口内であることがわかる。勿論、この実験結果は、一般に、体温測定の好適な部位として推奨されている部位(上述した口腔温)とも合致するものである。本出願人は、従来から推奨されている体温測定部位、検温装置が不特定多数の人が集まる公共の空間に設置されること、及び上記実験結果を踏まえて、被測定者の口内の表面温度を計測することを考案したものである。
【0121】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更、及び本発明の実施の形態の組み合わせを施すことができ、そのような変形や変更及び組合せを伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0122】
1,5 検温装置
11,51 撮像部
12,52 表面温度測定部
13,53 出力部
14,54 記憶部
15,55 制御部
21,61 設定パラメータ
22,62 アプリケーションプログラム
23,63 個人別体温データ
31 口状態判定部
32,71 体温算出部
33,72 測定日時取得部
34,73 被測定者特定部
35,74 正常体温判定部
36,75 出力制御部
41 マスク着用判定部
42 口開閉判定部
43,81 測定体温出力部
44,82 判定情報出力部
50 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12