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特開2024-154362ステータ巻線アセンブリ又はロータ巻線アセンブリにIピンを挿入するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154362
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ステータ巻線アセンブリ又はロータ巻線アセンブリにIピンを挿入するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/085 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H02K15/085
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023222623
(22)【出願日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】102023000007470
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】512227384
【氏名又は名称】テクノマティック・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】TECNOMATIC S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ルッケッティ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ミクッチ,マウリリオ
(72)【発明者】
【氏名】ラナッリ,ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP13
5H615PP14
5H615QQ03
5H615QQ06
5H615QQ12
5H615QQ25
5H615QQ27
5H615SS04
5H615SS10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステータ巻線アセンブリ又はロータ巻線アセンブリにIピンを挿入するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】ステータ巻線アセンブリ又はロータ巻線アセンブリ600にIピンを挿入するためのシステムに関する。ヘアピン100用円筒格納容器450と、一組の径方向スロットを有するヘアピン用円筒格納容器に軸方向に挿入される円形内側格納容器500とを備える。内側円筒格納容器は、上部カム凹部を有する上部円形プレートと、下部カム凹部を有する下部円形プレートと、上部円形プレートから下部円形プレートまで延び回転可能に取り付けられる、垂直壁とを有する。垂直壁は、周の円弧にわたる垂直方向の広がり全体に沿っている1つ以上の空隙を有する。そのような空隙は、垂直壁の相対的な回転時に、上部出口及び下部出口が、ヘアピン用円筒格納容器の径方向スロットに脚部を解放する空隙内に通じるように配置される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアピン(100,200)用円筒格納容器(450)を備えており、ステータ又はロータ用の巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するためのシステム(450,500)であって、前記システムは、1スロットピッチで順次間隔が離れて配置される一連の径方向スロット(456)を有する前記ヘアピン(100,200)用円筒格納容器(450)に軸方向に挿入される円筒内側格納容器(500)をさらに備えており、前記円筒内側格納容器(500)は、
上部閉端(505f)と外側の円形外周の上部出口(505u)とを有する1つ以上の上部カム凹部(505)を備える上部円形プレート(502)と、
下部閉端(506f)と外側の円形外周の下部出口(506u)とを有する1つ以上の下部カム凹部(506)を備える下部円形プレート(503)と、
前記上部円形プレート(502)から前記下部円形プレート(503)まで延びており、前記上部円形プレート(502)及び前記下部円形プレート(503)に対して回転可能に取り付けられている、垂直円筒壁(501)と
をさらに備えており、
前記上部円形プレート(502)と前記下部円形プレート(503)とは、相互に一体となっており、
前記1つ以上の上部カム凹部及び下部カム凹部(505、506)は、少なくとも1つのIピン(200)の脚部(202)を両方の凹部に挿入するように構成されるように、数が対応し、且つ対応して配置されており、
前記垂直円筒壁(501)は、連続的ではなく、前記1つ以上の上部カム凹部(505)に対応する数で周の円弧の垂直方向の広がり全体に沿っている1つ以上の空隙(520)を有しており、前記1つ以上の空隙(520)は、前記上部円形プレート(502)及び前記下部円形プレート(503)に対する前記垂直円筒壁(501)の相対的な回転時に、前記上部出口(505u)と前記下部出口(506u)とが、前記1つ以上空隙(520)の前記周の円弧内に通じるように、配置されており、
前記下部円形プレートに面する前記上部円形プレート(502)の面は、放射状に配置される上部放射格納要素(502a)を有しており、
前記上部円形プレートに面する前記下部円形プレート(503)の面は、放射状に配置される下部放射格納要素(503a)を有しており、
前記上部放射格納要素(502a)と前記下部放射格納要素(503a)とは、前記少なくとも1つのIピン(200)の前記脚部(202)を、2つの連続する上部放射格納要素(502a)及び下部放射格納要素(503a)の間(507)に収容し、前記上部出口(505u)及び前記下部出口(506u)から出る前記脚部(202)を、前記ヘアピン(100、200)用円筒格納容器(450)の径方向スロット(456)に解放する、ように構成されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ヘアピン(100、200)用円筒格納容器(450)は、一連の前記径方向スロット(456)を形成するための一連の径方向に引き込み可能なフィンガ(455)を有しており、前記垂直円筒壁(501)は、前記1つ以上の空隙(520)が存在しない場所において、前記径方向に引き込み可能なフィンガ(455)のオーバートラベルのために構成された一連の垂直スリット(501s)を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の上部カム凹部及び下部カム凹部(505、506)は、複数のカム凹部であり、
前記複数のカム凹部のそれぞれのカム凹部(505、506)は、スロットピッチの数M≧1個に対しており、Mは整数であり、
前記複数のカム凹部のうちのカム凹部の前記上部閉端及び前記下部閉端(505f,506f)と、前記複数のカム凹部のうちの隣のカム凹部(505,506)の前記上部出口又は下部出口(505u,506u)との間には、少なくとも1スロットピッチの距離がそれぞれあり、
前記複数のカム凹部(505,506)の全てのカム凹部は、所定の円弧の周に順番に配置されている、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記上部円形プレート(502)側で前記ヘアピン(100、200)円筒格納容器(450)に対して径方向反対に配置されており、それぞれが外側格納環状プレートの閉端(515f)とカム凹部出口(515u)とを有する外側格納環状プレートの1つ以上のカム凹部(515)を有する、外側格納環状プレート(512)をさらに備えており、前記外側格納環状プレートの1つ以上の凹部(515)は、前記ヘアピン(100、200)用円筒格納容器(450)の径方向スロット(456)内に一斉に延びる前記少なくとも1つのIピン(200)の前記脚部(202)を収容するように構成されており、前記外側格納環状プレートの1つ以上のカム凹部(515)は、前記ヘアピン(100、200)用円筒格納容器(450)に対する前記外側格納環状プレート(512)の相対的な回転時に、前記外側格納環状プレートのカム凹部出口(515u)が前記円筒内側格納容器(500)に向かって径方向に通じるよう配置されるように、配置される、
請求項1~3の何れか1つに記載のシステム。
【請求項5】
前記外側格納環状プレートの1つ以上のカム凹部(515)は、外側格納環状プレートの複数のカム凹部(515)であり、
前記複数のカム凹部のそれぞれのカム凹部(515)は、スロットピッチの数M≧1個に対しており、
前記外側格納環状プレートの複数のカム凹部のカム凹部の閉端(515f)と、前記外側格納環状プレートの複数のカム凹部の隣のカム凹部(515)のカム凹部出口(515u)との間には、少なくとも1スロットピッチの距離があり、
前記外側格納環状プレートの複数のカム凹部(515)の全ての凹部は、所定の円弧の周に順番に配置されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
1つ以上の層を有する巻線アセンブリ(600)のステータパック又はロータパックの組み立て及び挿入のためのシステム(800)であって、それぞれの層は、ヘアピン(100)及び/又はIピン(200)の周方向配置からなっており、前記ヘアピンは、ヘッド端と、それぞれ自由挿入端を有する1つ以上の脚部とを有しており、前記Iピンは、自由挿入端を有しており、前記ステータパック又は前記ロータパックの組み立て及び挿入のための前記システム(800)は、
ヘアピン(100,200)用円筒格納容器(450)と、前記ヘアピン(100,200)用円筒格納容器(450)内に軸方向に挿入される円筒内側格納容器(500)とを備えており、前記円筒内側格納容器(500)が、前記円筒内側格納容器に含まれる上部円形プレート(502)及び下部円形プレート(503)に対して回転可能な垂直壁(501)を有する、請求項1~5の何れか1つに記載の巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するためのシステム(450,500)と、
前記ヘアピン(100)と前記Iピン(200)とを前記巻線アセンブリ(600)に挿入するための取り外し可能な挿入手段と、
前記ヘアピン(100、200)用円筒格納容器(450)を巻線軸(600)周りに回転させるための回転手段であって、前記回転手段は、前記巻線軸周りに1つ以上の分離したスロットピッチで回転を実行するように構成されている、回転手段と、
前記上部円形プレート(502)及び前記下部円形プレート(503)に対して前記垂直円筒壁(501)を回転させる回転式回転手段と
を備えており、
前記ステータパック又は前記ロータパックの組立て及び挿入のための前記システム(800)は、前記巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するための前記システム(450,500)を収容するための第1の穴を有する回転テーブル(810)をさらに備えており、前記回転テーブル(810)は、
前記巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するための前記システム(450,500)を、前記巻線アセンブリ(600)の組立位置から、前記巻線アセンブリ(600)を前記ステータパック又は前記ロータパックに挿入するための挿入位置まで移動させるように、テーブル軸を中心に回転するように構成されており、
第1テーブル面と、前記第1テーブル面と反対側の第2テーブル面とを有しており、
前記巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するための前記Iシステム(450,500)は、前記組立位置における前記第1テーブル面の側で、前記ヘアピン及び前記Iピンを前記自由挿入端から受け入れるように構成されており、
前記挿入位置における前記第2テーブル面の側には、前記ステータパック又は前記ロータパックの供給手段が設けられており、
前記ステータパック又は前記ロータパックの組み立て及び挿入のための前記システムは、前記巻線アセンブリ(600)を前記挿入位置において前記ステータパック又は前記ロータパックに相対的に導入するための相対導入手段(830)をさらに備える、システム。
【請求項7】
ステータ又はロータ用の巻線アセンブリ(600)にIピン(200)を挿入する方法であって、前記巻線アセンブリ(600)は、最内側のクラウンと、最外側のクラウンと、1つ以上の中間クラウンとを有しており、前記方法は、請求項1~5の何れか1つに記載の巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するためのシステム、又は請求項6に記載の前記巻線アセンブリ(600)のステータパック又はロータパックに組み立て及び挿入するためのシステムが提供されるステップを実行することを備えており、並びに、
A.請求項1に記載の前記巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するための前記システムによって、1つ以上のIピン(200)を前記最内側のクラウンに挿入すること、
B.前記巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入する前記システムによって、1つ以上のIピン(200)を前記中間クラウンに挿入すること、
C.請求項4に記載の前記巻線アセンブリ(600)にIピンを挿入するための前記システムによって、1つ以上のIピン(200)を前記最外側のクラウンに挿入すること、
D.前記巻線アセンブリ(600)を、前もって配置されたステータパック又はロータパックに移動させること、
E.前記巻線アセンブリ(600)を前記ステータパックに挿入すること
のステップを実行することを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ巻線アセンブリ又はロータ巻線アセンブリにIピンを挿入するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機用扁平線ステータ巻線の製造方法の1つは、導体部品を切断し、適切な形状に曲げてステータパックに挿入し、配線図に従って導体部品を溶接継手で接合することである。
【0003】
名称は、曲げられた導体の個々の部分が取る形状及び機能によって定義される。
【0004】
現在までのところ、最も一般的な扁平線導体の形状は、図1に示されており、一般に「ヘアピン」100(2本の脚部を有しているが、Wピン等、脚部の数が多いものもある)と呼ばれる。一方、図2は、その形状が文字「I」(一本脚)の形状に見えることから、いわゆる「Iピン」200を示している。電気的な観点から、巻線600(図4参照)内部でのその機能は、同じ巻線の入力及び/又は出力となることであり、このため相端子又は経路端子とも呼ばれる。用語ヘアピンが、導体が巻線600の内部に配置される前に取り得る、したがってIピン自体も含む、すべての形状を指すと誤解されることが多いことに留意すべきである。
【0005】
図2は、Iピン200の主な特徴を示しており、当該特徴とは、直線状の(垂直な)導体部分201、202を有し、その両方が絶縁エナメルのない部分で終わっており、両方とも下向きになっているヘアピン100とは異なり、一方が下向き203、他方が上向き204になっていることである。その結果、ヘアピン100には導体の斜めの部分が2つあるが、Iピン200には1つのみある。
【0006】
図3を参照すると、(格納容器305に挿入された)ステータ巻線の配線図によって、スロット位置及び層位置と同様に、前述のIピンを使用するか否かが決定される。
【0007】
用語「層」は、ステータ(又はロータ)スロット307に平坦線を配置するための平均直径を意味しており、したがって、外層302は、直径が最も大きい平坦線301の位置を指し、内層306は、直径が最も小さい平坦線301の位置を指し、中間層303,304は、最内層と最外層との間のすべての位置を指す。
【0008】
特に配線図において、ステータパックのどのスロット307にIピンが挿入され、巻線600のどの層302~306にIピンが挿入されるかが決定されており、図4ではIピン200が内層に、図5ではIピン200が外層に示されている。
【0009】
巻線600への挿入方法は、Iピン200が挿入される層にしたがって決定される。通常、巻線600には1つ以上あり、相の数に対して複数ある。
【0010】
ヘアピン100の巻線内部におけるIピン200の様々な位置は、図4~6において観察されることができ、特に、図4は、Iピン200が内層303にあるヘアピン100の巻線600を示し、図5は、Iピン200が外層302にあるヘアピン100の巻線600を示し、図6は、Iピン200が中間層304にもあるヘアピン100の巻線600を示している。
【0011】
しかし、Iピンの挿入は必ずしも単純ではなく、重大性を伴う。実際、第1の問題は、巻線の最内側のIピンに関係しており、特に小径の巻線の場合、ロボットグリッパによって上方から配置することが困難である。実際、グリッパは、内側から外側へ径方向に移動しなければならず、巻線自体及び/又は組立装置の他の要素と干渉する。
【0012】
特に、Iピンに割り当てられた位置の隣にあるヘアピンと干渉し得る。
【0013】
これは、ロボットによるIピンの完全な挿入のサイクルタイムの問題も発生させる。実際、ロボットで行わなければならない”複雑な”動作は、今日のニーズにとって時間がかかりすぎる。
【0014】
他の問題は、ロボットグリッパの使用が、Iピンの端部201,204が長さにおいて制限されることである。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、ステータ巻線アセンブリ又はロータ巻線アセンブリにIピンを挿入するためのシステム及び方法、ならびに巻線アセンブリを組み立て、ステータパック又はロータパックに移送するための装置を提供することである。
【0016】
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載のシステム及び方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
次に、添付図面の図を特に参照しながら、本発明は、非限定的な例示によって説明される。
図1】先行技術に係るヘアピンの典型的な形状を示す。
図2】先行技術に係るIピンの典型的な形状を示す。
図3】先行技術に係る平坦線の層の図を示す。
図4】先行技術に係る、内層にIピンを有するヘアピン巻線を示す。
図5】先行技術に係る、外層にIピンを有するヘアピン巻線を示す。
図6】先行技術に係る、中間層にIピンを有するヘアピン巻線を示す。
図7】本開示の実施形態に係る、複数部品の格納システムの一例を示す。
図8】本開示の実施形態に係る、内側Iピン格納及び配置システムを上から見た図を示す。
図9】本開示の実施形態に係る、内側Iピン格納及び配置システムを下から見た図を示す。
図10】本開示の実施形態に係る、内側格納スロットへのIピンの挿入を示しており、視覚化しやすくするために、すでに挿入されているヘアピンが示されていない。
図11】本開示の実施形態に係る、巻線の最終位置におけるIピンを示す。
図12】本開示の実施形態に係る内側格納容器の斜視図を示しており、複数のカム(4つのカムが示されているが、これより多くても少なくてもよい)が、対応する数のIピンを一斉に挿入するために設けられている。
図13】本開示の実施形態に係る、最外層にIピンを挿入するステップを示す。
図14】本開示の実施形態に係る、最外層にIピンを挿入するさらなるステップを示しており、Iピンの脚部が巻線格納容器のスロットの内部にある。
図15図13の状態を上から見た図を示す。
図16】本開示の実施形態に係る、複数のIピンが単一のカムに挿入されるステップの上面図を示す。
図17】本開示の実施形態に係る外側格納容器の斜視図を示しており、複数のカム(4つのカムが示されているが、これより多くても少なくてもよい)が、対応する数のIピンを一斉に挿入するために設けられている。
図18図17の状態の上面図を示す。
図19】本開示の実施形態に係る格納容器によって形成された巻線を挿入するステップを示す。
図20】本開示の実施形態に係る、ステータ巻線を形成するためのマルチステーション機を示す。
【0018】
ここで、当業者が本開示から容易に理解できるように、更なる実施形態を提供するために異なる実施形態の要素が、本発明の技術的概念に関して制限なしに、組み合わせられ得ることに着目すべきである。
【0019】
さらに、本開示は、例えば同じタイプの解決策において先行技術で通常使用されている重要度の低い要素等、記載されていない詳細な特徴に関しても、その実施のために先行技術を参照している。
【0020】
要素が導入される場合、それは常に「少なくとも1つ」又は「1つ以上」であり得ることを意味する。
【0021】
本開示において要素又は特徴のリストが与えられている場合、本発明に係る知見がそのような要素を「有する」又は代替的に「から成る」であることと理解される。
【0022】
同じ文章又は箇条書きリスト内に特徴を列挙する場合、個々の特徴の1つ以上は、リスト内の他の特徴と結びつけることなく本発明に含まれ得る。
【0023】
上述された2つ以上の部品(要素、デバイス、システム)は、自由に関連付けられ、本発明に係る部品のキットとみなされ得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本開示の実施形態に係るIピン200を挿入するシステムを、巻線600の最内層303に挿入する場合(図3に示された従来の文脈を例にとって)において説明する。この目的のために、本出願人に対する特許出願PCT/IB2023/052123に開示されているような、引き込み可能な径方向フィンガを用いたもの等、様々な方法で作られ得る格納システムも参照され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。図7も参照のこと。
【0025】
図7を参照すると、本開示の態様によれば、巻線600はすでに部分的に形成され得、すなわち、巻線600を形成するヘアピン100のいくつかは、すでに格納システム450に配置され得、スロットは、径方向に引き込み可能な要素又はフィンガ又はポジショナ455の間に形成されている。格納容器450は、後に挿入されるIピン200が、格納容器の回転軸を横切る平面で支持されることを確実にする。ヘアピン/Iピンの(前記回転軸に沿った)垂直方向の配置に関して、概して、挿入されるヘアピンの自由端の下に支持プレート(図示せず)を使用することが可能である。
【0026】
格納システム450の機能は、それぞれの単一のヘアピンを安定した位置に維持すること、すなわち、ヘアピンが巻線600の内側又は外側に向かって落下するのを防止することである。さらに、巻線600を形成するすべての種類のヘアピンを挿入できなければならない。
【0027】
先行技術に係る単一ピースとしての格納システムは、ヘアピンの支持機能を果たす様々な部品を除去させる又は移動させることができない欠点を有する。したがって、本開示によれば、複数の部品群として形成された格納システムを使用することが有利であり、当該部品群は、巻線600の内側に向かって、外側に向かって、及び下方に向かって、格納する機能を個々に果たす。
【0028】
特に、図7に見られるように、環状格納容器450の軸方向に配置される中央格納容器アセンブリ500が設けられ得る。中央格納容器500は、ヘアピンの内側収納とIピンの配置との2つの機能を果たす。図8図9とは、このアセンブリがどのように構成されているかを示している。
【0029】
中央格納容器アセンブリ500は、2つの上部プレート502と下部プレート503(ヘアピンの脚部を支持するプレートと混同されるべきでない)とを有しており、その間に円筒内側格納容器(垂直壁)501が挿入され、接続されている。中央格納容器アセンブリ500は、円筒内側格納容器部品501を回転させ、且つ2つの上部プレート502と下部プレート503とを固定させておく、又はその逆をするように構成されている。カム505、506は、プレート502、503に切り欠きとしてそれぞれ設けられており、閉端505f、506fと出口505u、506uとを有する。実際には、それらは、Iピン200の脚部用のカム形状のガイドである。
【0030】
円筒内側格納容器501は、さまざまな方法で作られ得る。例えばそれは、連続的な壁(図示せず)、又は径方向に引き込み可能なフィンガ455のオーバートラベルの可能性を可能にする垂直スリット501sを有するものであり得る。しかし、後述するように、壁のない円筒セクタと整列させたときにIピンを出口505u、506uから出ることを可能とするためには、そのような壁のない円筒セクタ520があるべきである。
【0031】
中央格納容器アセンブリ500は、上部プレート502に接続されたアーム550によって垂直方向に移動し得る。
【0032】
本開示に係る挿入方法は、図10に見られるように、Iピン200が、任意の手段によって、前述の内側格納アセンブリ501の近くまで移送され、内側格納容器501において得られるスロット507の内側に収容されることを提供する。図10に正確に示されているように、円筒内側格納容器501の回転と、2つのそれぞれの上部及び下部固定プレート502、503において得られるカム505、506の付随する動作とを通して、Iピン200は、巻線600の内側の最終位置にもたらされる。
【0033】
言い換えれば、Iピン200がそれ自身の内側格納収容スロット507に完全に挿入されると、円筒内側格納容器501の回転が生じ、それぞれ上部プレート502及び下部プレート503のカム505、506とともに、Iピン200を(円形セクタ)開口部520を通ってその最終出口位置まで移動させる押し付けを引き起こす。そのような最終位置は、図11に示される。
【0034】
スロット507は、径方向に引き込み可能な要素455の間の周方向にあるが、格納容器500の内側にある。これは、引き込み可能な要素がスリット501sを通って格納容器内にオーバートラベルする、又は別の方法でなされ得る。
【0035】
プレートと中央格納容器との相対的な回転により、この周の円弧でのカムの出力がもたらされ、その結果、Iピンが格納容器450のスロット456に押し込まれるので、格納容器500は、周の円弧520にわたって開いていることに再度留意すべきである。
【0036】
図8を参照すると、Iピンを正確に配置するために、下部円形プレートに面する上部円形プレート502の面は、放射状に配置された上部放射格納要素502aを有し、上部円形プレートに面する下部円形プレート503の面は、放射状に配置された下部放射格納要素503aを有し得る。2組の要素は、必ずしも同じ形状ではない。上部放射格納要素502aと下部放射格納要素503aとは、(スロット507の)2つの連続する上部502a及び下部503a放射格納要素の間にIピン200の脚部202を収容し、前記上部出口505u及び下部出口506uから出る脚部202を前記ヘアピン用円筒格納容器450の径方向スロット456に解放するように構成されている。
【0037】
Iピン200の挿入は、複数でもあり得、すなわち、上部プレートの4つのカムを説明するためにヘアピンとIピンとが省略された図12に示されるように、複数のIピン200は、円筒内側格納容器501を回転させる前に挿入され得る。Iピン200は、位置決めカム505、506から出ると、巻線600の最終位置にある。4つのスロットについて、この数字は完全に指示的である。より正確には、(上部又は下部の)内側格納容器のカムであろうと、外側格納容器のカムであろうと、好ましい場合には、1つ以上の上部カム凹部及び下部カム凹部は、複数のカム凹部であり、
それぞれのカム凹部は、スロットピッチの数M≧1個に対しており、Mは整数であり、
カム凹部の上部閉端及び下部閉端と、隣のカム凹部の上部出口又は下部出口との間には、少なくとも1スロットピッチの距離がそれぞれあり、
複数のカム凹部のすべてのカム凹部は、所定の円弧の周に順番に配置されている。このようにして、Iピンは、周の円弧に拘束される。
【0038】
内側円筒格納容器501の回転は、それぞれのIピン200の最終配置まで連続的に行われ得る、又は分離したステップで行われ得る。
【0039】
巻線600の最内層306にIピン200を挿入する場合について上述された同じ考え方は、図13~16に詳細に示されるように、最外層302(図3)に挿入される場合に適用され得る。この場合、上部環状プレートは、512で示され、カム515を有する。下部プレートは、存在しており、それは常にヘアピン又はIピンの自由端を支持するためのプレートであり、必ずしもカムを有さない。
【0040】
外側格納環状プレート512(部分的にのみ図示)は、前記ヘアピン用円筒格納容器450の上方(任意に存在する場合は、前記上部プレート502側)、又は反対側に配置されており、前述のように、円筒内側格納容器について上述されたものと同様に、外側格納環状プレートの1つ以上の凹部515を有しており、当該凹部は、閉端515fと外側格納出口515uとを有する。外側格納環状プレートのそのような1つ以上の凹部515は、前記ヘアピン用円筒格納容器450の径方向スロット456内に一斉に延びるIピン200の脚部202を収容するように構成されており、外側格納環状プレートの1つ以上の凹部515は、外側格納環状プレート512のヘアピン用円筒状格納容器450に対する相対的な回転時に、前記外側格納容器出口515uが前記内側格納容器500に向かって、すなわち巻線600に向かって径方向に通じるよう配置されるように、配置される。
【0041】
外層のこの場合においても、図17及び図18に示されるように(それぞれの凹部のための1つ以上のさらなるIピン)、当該プロセスとデバイスとは、巻線600に複数のIピン200を一斉に配置することを可能とする。
【0042】
Iピン200が中間層304(図3参照)に挿入される第3のケースは、Iピン200が最内層303に挿入される上述のケースのサブケースと考えられ得る。したがって、中間層304にIピン200を取り付けるために、上述と同様の手順が用いられる。
【0043】
組み立てられた巻線600は、図19のように、下方から挿入されたステータパック700の上に、リフティングシリンダで上方から直接押すことによって、格納容器450から移送され得る。要素470は、追加の上部格納容器であり得、又は格納容器450の一部であり得る。
【0044】
図20を参照すると、装置800が示されており、Iピンを有する巻線600の全体的な形成を含んでいる。
【0045】
装置800はまず、例えば2つのステーションで作業するための回転テーブルを有しており、一方810Aは、ヘアピンインサータの下で巻線を上部から組み立てるためのステーションであり、他方810Bは、巻線をステータパック700に挿入するためのステーションであり、テーブルの非常に短い回転時間で同時に作業する。複雑な電気的及び空圧接続システムを避けるために、テーブルを一方向に180°回転させた後、逆方向に回転させることが好ましい。本発明のすべての実施形態において、2つ(又はそれ以上)のステーションは、回転テーブルの対応する穴に収容され得る。また、テーブルは、移送ステーションに挿入される任意の特殊な基本導体の貯蔵(図示せず)を収容するように構成され得る。
【0046】
装置800はさらに、ステーション810Aにおいて円筒格納アセンブリ(図示せず)を有しており、当該円筒格納アセンブリは、上述の格納容器450を組み込む。歯又はポジショナ455(図示せず、上図参照)が、ポジショナに運動を伝達し、好ましくはバネ(図示せず)が設けられるスライダ(図示せず)によって、順に径方向に押され得ることは、付記する価値がある。さらに、格納容器は、その動作を可能にする特定の要素(歯車又はベルトプーリなど)が、格納容器又は上述のカム付きプレートを回転させるように構成された伝達用の接続を有し得る。
【0047】
ポジショナ455(導体と接触する部分)の厚みが径方向に増加するため、カムの回転により、ステータと同様の多かれ少なかれ狭いスロットが形成され得る。したがって、組み立て中に幅広いスロットを作り、基本導体を整列させるために幅の狭いスロットを作るコンセプトになっており、組み立てと巻線のステータパックへの挿入とが容易で効果的という明らかな利点を伴う。ポジショナは、格納カバー要素(図示せず)に設けられた特殊なガイドによって便利にガイドされ得る。そのようなガイドは、所定のストロークが操作のすべてのステップにおいて維持されることを可能とする。ポジショナの径方向の動作は、カム機構によって駆動され得る。ポジショナ455はまた、断面において、一定の厚みを有する径方向内端の第1部分と、径方向外端に向かってフレア状(くさび状)の第2部分とを有するように形成され得る。有利に、第2部分は、第1フレア角度の第1サブ長さを有する第1サブ部分と、前記第1サブ部分に連続しており、第2フレア角度の第2サブ長さを有する、第2サブ部分とを有する。
【0048】
再度、図20の装置800は、例えば回転テーブルと一体の固定支持体(図示せず)と、内側格納容器500を備えた格納容器450を入れ、処理される巻線のサイズに応じて装備され得る、支持構造とを有する内側格納容器支持アセンブリを任意に有する。
【0049】
例えば、内側格納容器500(巻線の基本導体が径方向内側に向かって落下するのを防止し、Iピンを挿入するように適合されている、上記参照)は、180°構成の回転テーブル810上の2つの組立位置と挿入位置とを接続する固定支持体に強固に接続された支持体(図示せず)によって支持される。
【0050】
円筒格納容器のモータユニット820は、適切な伝達手段を介して、円筒格納容器450全体と、内側格納容器500のうち円筒壁のみとの両方を回転させることを可能とし得る。
【0051】
装置800は、巻線を挿入するためのステータ配置アセンブリ830を有し得、当該アセンブリは、基本導体とIピンとをスロット内に受け入れる(完全な巻線、図19参照)ようにステータを配置することを意図している。それは、すべての導体を一斉に押す単一の平面を通して基本導体を上から下に押すように考案されており、その結果、ネープ(ヘアピンのブリッジ部分がある巻線の一部)を単一の水平面上に持ってくる機能も果たす。
【0052】
フォイルパック配置と巻線移送アセンブリ830とは、他の要素との干渉を避けるために、押し付けハーフリング(図示せず)を開閉するための手段を有し得る。押し付け手段は、巻線軸に対して垂直な平面上で2つのハーフリングを、開位置から、前記ヘッド端の単一の押し付けディスクを形成する閉位置まで移動させるように構成された手段を有する。
【0053】
最後に、回転テーブル810とそれと相互作用するすべての要素とを基準高さまで運ぶように構成されたベースフレームアセンブリ760がある。テーブルセンタリングローラとステータパックレイザ(図示せず)とは、このベースフレームに固定され得、テーブル回転モータは、回転テーブル810の下に配置され得る。
【0054】
本開示の態様において、手順は、装置800を使用しており、
上述のデバイス810AによってIピン200を最内側のクラウンに挿入すること、
上述のデバイス810AによってIピンを中間クラウンに挿入すること、
上述のIピン挿入デバイス512によって、1つ以上のIピン200を最外側のクラウンに挿入すること、
回転テーブル810の回転によって、部分的に組み立てられた巻線600を位置810Bに移動させること、
巻線600をステータパックに挿入すること
のステップを有する。
【0055】
[本発明の利点]
本開示に係る方法とシステムとで、Iピンの挿入は簡単で、重大性を伴わない。実際、ロボットグリッパなしで、巻線の内側のIピンは、装置の他の部分、他のIピン、及び/又は他のヘアピンと干渉することなく、容易に配置可能である。
【0056】
再度、本開示に係る方法とシステムとで、従来の方法、例えば、より複雑な動作をしなければならないロボットを用いた場合に発生する、高いサイクルタイムの問題が克服される。
【0057】
さらに、装置がIピンの中心で作用するため、端部は、任意の長さでもよく、先行技術の制限が取り除かれる。
【0058】
再度、本システムは、Iピンが、完全な巻線が組み立てられる同じステーションで、すなわちステーション間の移動なしで挿入されることを可能とする。
【0059】
好ましい実施形態は上記で説明され、本発明のいくつかの変形例が提案されたが、当業者が、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、関連する保護範囲から逸脱することなく修正及び変更を加えることができることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【外国語明細書】