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特開2024-154372クロノグラフ機構、特にジャンピングセコンド機構を備える時計ムーブメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154372
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】クロノグラフ機構、特にジャンピングセコンド機構を備える時計ムーブメント
(51)【国際特許分類】
   G04F 7/08 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
G04F7/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024034838
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】23168492.9
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ジョリ、 リリアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クロノグラフのスプリットセコンドカウンタを正確にリセットすることができるリセット機構を提供する。
【解決手段】稼働トレインとクロノグラフトレイン20を備えるクロノグラフ機構10と、クロノグラフ始動/停止制御装置30と、ニュートラル静止位置とリセット位置との間で移動可能なリセット制御部60を備えるリセット機構とを備え、クロノグラフ機構10は、レバー70が回転をブロックし、かつカウンタ歯車231の回転をブロックする第1の安定位置と、カウンタ歯車231が自由に回転する第2の安定位置との間でクロノグラフ始動/停止制御装置30によって制御されるように構成されるレバー70を備え、リセット制御部60は、クロノグラフトレインを駆動する第2の動力源の作用下で、レバー70と協働してレバー70がリセット基準位置に位置決めされるまでカウンタ歯車231の回転が可能な第3の中間位置に後者を角度的に位置決めする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメント(1)の時間区分専用の稼働トレイン(100)を備える時計ムーブメント(1)において、前記稼働トレイン(100)は、第1の動力源(150)によって駆動され、かつ調整部材(120)によって調整され、前記時計ムーブメント(1)は、クロノグラフ機構(10)を備え、
前記クロノグラフ機構(10)は、
第2の動力源(35)によって駆動されるクロノグラフトレイン(20)であって、カウンタ歯車(231)及び前記カウンタ歯車(231)と一体的に回転する表示部(234)を有するクロノグラフカウンタ(23)を備えるクロノグラフトレイン(20)と、
前記クロノグラフトレイン(20)を前記調整部材(120)又は前記稼働トレイン(100)に要求に応じて連結して、前記調整部材(120)から前記クロノグラフトレイン(20)を調整するように構成されるクロノグラフ始動/停止制御装置(30)と、
前記クロノグラフカウンタ(23)をリセットするためのリセット機構であって、ニュートラル静止位置とリセット位置との間で移動可能なリセット制御部(60)を備えるリセット機構と
を備え、
前記時計ムーブメント(1)は、前記クロノグラフ機構(10)が、回転軸(76)を中心に回転可能であり、かつ前記クロノグラフカウンタ(23)と協働するように構成されるレバー(70)を備え、
前記レバー(70)は、前記レバー(70)が回転をブロックし、かつ前記カウンタ歯車(231)の位置を維持する、停止位置と呼ばれる第1の安定位置と、前記カウンタ歯車(231)が自由に回転する、ニュートラル位置と呼ばれる第2の安定位置との間で前記クロノグラフ始動/停止制御装置(30)によって制御されるように構成され、
前記リセット制御部(60)は、前記リセット位置において、前記レバー(70)と協働して、リセット基準位置に位置決めされるまで前記カウンタ歯車(231)の回転を可能にするように、前記レバー(70)が前記カウンタ歯車(231)を部分的に解放する第3の中間位置に前記レバーを角度的に位置決めするように構成され、前記カウンタ歯車(231)は前記クロノグラフトレインを駆動する前記第2の動力源によって駆動されることを特徴とする、時計ムーブメント(1)。
【請求項2】
前記カウンタ歯車(231)は、歯部(233)を構成する他の歯よりも前記カウンタ歯車(231)の中心から半径方向に遠い端部を有する長歯(232)を備える歯部(233)を有し、前記レバー(70)は、回転をブロックしかつ前記カウンタ歯車(231)の位置を維持するために、前記レバー(70)の前記第1の安定位置において前記カウンタ歯車(231)の前記歯部(233)の2つの連続する歯の間に挿入され、前記レバー(70)は、前記第3の中間位置において前記長歯(232)の前記端部と相互作用して前記カウンタ歯車(231)を部分的に解放し、前記長歯(232)が前記レバー(70)に当接して前記カウンタ歯車をリセット基準位置に位置決めするまで前記カウンタ歯車(231)の部分的な回転を許容する、ことを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項3】
前記カウンタ歯車(231)は、非対称の歯部を有することを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項4】
前記レバー(70)は、前記クロノグラフ始動/停止制御装置(30)の異なる状態を感知するように構成される第1のアーム(71)、前記カウンタ歯車(231)と協働するように構成される第2のアーム(72)、及び前記リセット制御部(60)と協働するように構成される第3のアーム(73)を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項5】
前記レバー(70)の前記第3のアーム(73)は前記リセット制御部(60)の凹部(67)と協働し、前記凹部(67)は、前記リセット制御部(60)が前記リセット位置にあるときに前記レバー(70)を前記第3の中間位置に案内するように構成される外形を有することを特徴とする、請求項4に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項6】
前記クロノグラフ機構(10)は、前記レバー(70)をその第1の安定位置に戻すように構成される弾性部材(80)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項7】
前記クロノグラフ始動/停止制御装置(30)は、停止位置として知られる第1の安定位置とニュートラル位置として知られる第2の安定位置との間で前記レバー(70)を制御するように構成されるコラム歯車(63)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項8】
前記カウンタ(23)はスプリットセコンドカウンタであり、前記レバー(70)はジャンピングレバーであることを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項9】
前記クロノグラフトレイン(20)は、セコンド表示部(224)を備えるセコンドカウンタ(22)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項10】
前記リセット機構(40)は、前記セコンド表示部(224)と一体のセコンドリセット部材(225)と、前記セコンドリセット部材(225)と協働し、前記セコンドリセット部材(225)が基準位置に位置決めされるまで、前記リセット制御部(60)の作用下で運動トルクを発生するように形成されるリセットハンマとを備えることを特徴とする、請求項9に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項11】
前記クロノグラフトレイン(20)は、ミニッツ表示部(224)を備えるミニッツカウンタ(22)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項12】
前記リセット機構(40)は、前記ミニッツ表示部(214)と一体のミニッツリセット部材(215)を備え、前記リセットハンマは、前記ミニッツリセット部材(215)と協働して、前記ミニッツリセット部材(215)が基準位置に位置決めされるまで、前記リセット制御部(60)の作用下で運動トルクを発生するように形成されることを特徴とする、請求項11に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項13】
前記調整部材(120)は、5Hz以上の発振周波数を有する高周波発振器(121)を備えることを特徴とする、請求項12に記載の時計ムーブメント(1)。
【請求項14】
請求項1に記載の時計ムーブメント(1)を備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロノグラフ機構を備えた時計ムーブメントに関する。
【0002】
本発明は、スプリットセコンドカウンタを備えたクロノグラフ機構を備えた時計ムーブメントに関する。
【0003】
より詳細には、本発明は、スプリットセコンドカウンタをリセットする機構を備えたクロノグラフ機構に関する。
【0004】
本発明は、このようなクロノグラフ機構を備えた時計にも関する。
【背景技術】
【0005】
クロノグラフ機構は、いくつかのクロノグラフカウンタ、例えばミニッツ及びセコンドカウンタによって要求に応じて時間を測定することを可能にする。
【0006】
クロノグラフ機構は、従来、クロノグラフカウンタをリセットするためのリセット機構を備えている。これは、すなわち、クロノグラフカウンタを基準位置に再配置して、要求に応じて時間を再び測定することができるようにする。
【0007】
従来、このようなリセット機構は、例えば、時計ムーブメントが取り付けられている中央部の外側からアクセス可能なプッシュボタン又は作動スタッドを介して、使用者が操作することができるリセット制御部から成る。
【0008】
リセット制御部は、様々なクロノグラフカウンタによって担持されたリセットカムを打撃するリセットハンマと直接的又は間接的に協働する。
【0009】
複雑なクロノグラフ機構の中には、秒の端数を表示するための追加のカウンタを装備できるものがある。
【0010】
その場合は、スプリットセコンドカウンタをリセットする必要がある。
【0011】
1つの解決策は、スプリットセコンドカウンタに担持されているリセットカムを打撃するために追加のハンマを使用することである。しかしながら、このような解決策は機構をさらに複雑にし、時計ムーブメントの部品数を増加させる。さらに、スプリットセコンドカウンタにリセットカムがあると、特にクロノグラフが停止しているときに、カウンタの高速回転(1秒あたり1回転)を考慮すると、管理する必要がある追加のアンバランスが発生する。
【0012】
別の解決策が文献CH703797で提案されており、スプリットセコンドカウンタにリセットカムを設置する必要をなくしている。
【0013】
この解決策は、脱進歯車をジャンピングセコンドピニオンの軸に運動学的に接続する連結クラッチを使用することから成る。連結クラッチは、脱進歯車と一体のウルフ歯部を有する第1の歯車と、ジャンピングセコンドピニオンの軸上に駆動される第1の6歯スター歯車と、ジャンピングセコンドピニオンの軸上に自由に取り付けられ、第1のスター歯車内に駆動され、かつ第2のスター歯車の長穴を通るピンによって第1のスター歯車に接続される第2の6歯スター歯車とを備える。
【0014】
しかしながら、この解決策は製造及び取り付けが複雑である。さらに、このようなシステムの構成を考慮すると、クロノグラフは、アンカーの交代に対応する脱進歯車の1ピッチの遅延があるため、正確ではない。最後に、製造公差を考えると、スプリットセコンド表示部をゼロ位置に正確に配置することは困難である。
【0015】
したがって、クロノグラフ機構、特にスプリットセコンドカウンタを有するクロノグラフ機構を改良する必要があり、また、このようなクロノグラフ機構のカウンタリセット機構を改良する必要がある。
【発明の概要】
【0016】
この文脈において、本発明の目的の1つは、上記の問題の少なくとも1つを解決するクロノグラフ機構を提案することである。
【0017】
本発明の目的の1つは、文字盤の所定の目盛りに正確に対向して、特にクロノグラフのスプリットセコンドカウンタを正確にリセットすることができるリセット機構を提供することである。
【0018】
本発明の目的の1つは、正確なゼロ設定を可能にし、かつ急速に回転するクロノグラフカウンタのアンバランスの問題を回避する、信頼性が高く安全なリセット機構を提供することである。
【0019】
この文脈において、本発明は、時計ムーブメントの時間の区分に専用の稼働トレインを備える時計ムーブメントに関し、前記稼働トレインは、第1の動力源によって駆動され、かつ調整部材によって調整され、前記時計ムーブメントは、
- 第2の動力源によって駆動されるクロノグラフトレインであって、カウンタ歯車及び前記カウンタ歯車と一体的に回転する表示部を有するクロノグラフカウンタを備えるクロノグラフトレインと、
- 前記クロノグラフトレインを前記調整部材又は前記稼働トレインに要求に応じて連結して、前記調整部材から前記クロノグラフトレインを調整するように構成されるクロノグラフ始動/停止制御装置と、
- 前記クロノグラフカウンタをリセットするためのリセット機構であって、ニュートラル静止位置とリセット位置との間で移動可能なリセット制御部と
を備えるクロノグラフ機構を備える。
【0020】
本発明によるクロノグラフ機構は、回転軸の周りを回転可能であり、かつ前記クロノグラフカウンタと協働するように構成されるレバーをさらに備え、前記レバーは、前記レバーが回転をブロックし、かつ前記カウンタ歯車の位置を維持する、停止位置と呼ばれる第1の安定位置と、前記カウンタ歯車が自由に回転する、ニュートラル位置と呼ばれる第2の安定位置との間で前記クロノグラフ始動/停止制御装置によって制御されるように構成され、前記リセット制御部は、前記リセット位置において、前記レバーと協働して、リセット基準位置に位置決めされるまで前記カウンタ歯車の回転を可能にするように、前記レバーが前記カウンタ歯車を部分的に解放する第3の中間位置に後者を角度的に位置決めするように構成され、前記カウンタ歯車は前記クロノグラフトレインを駆動する前記第2の動力源によって駆動される。
【0021】
先の段落で述べた特徴に加えて、本発明による時計ムーブメントは、個別に又は技術的に可能な任意の組み合わせで、
- 前記カウンタ歯車は、歯部を構成する他の歯よりも前記カウンタ歯車の中心から半径方向に遠い端部を有する長歯を備える歯部を有し、前記レバーは、回転をブロックしかつ前記カウンタ歯車の位置を維持するために、前記レバーの前記第1の安定位置にある前記カウンタ歯車の前記歯部の2つの連続する歯の間に挿入され、前記レバーは、前記第3の中間位置にある前記長歯の前記端部と相互作用して前記カウンタ歯車を部分的に解放し、前記長歯が前記レバーに当接して前記カウンタ歯車をリセット基準位置に位置決めするまで前記カウンタ歯車の回転を許容すること、
- カウンタ歯車は非対称又はウルフ歯部を有すること、
- 前記レバーは、前記クロノグラフ始動/停止制御装置の異なる状態を感知するように構成される第1のアーム、前記カウンタ歯車と協働するように構成される第2のアーム、及び前記リセット制御部と協働するように構成される第3のアームを備えること、
- 前記レバーの前記第3のアームが前記リセット制御部の凹部と協働し、前記凹部は、前記リセット制御部が前記リセット位置にあるときに前記レバーを前記第3の中間位置に案内するように構成される外形を有すること、
- 前記クロノグラフ機構は、前記レバーをその第1の安定位置に戻すように構成される弾性部材を備えること、
- 前記クロノグラフ始動/停止制御装置は、停止位置として知られる第1の安定位置とニュートラル位置として知られる第2の安定位置との間で前記レバーを制御するように構成されるコラム歯車を備えること、
- 前記カウンタはスプリットセコンドカウンタであり、前記レバーはジャンピングレバーであること、
- 前記クロノグラフトレインは、セコンド表示部を備えるセコンドカウンタを備えること、
- 前記リセット機構は、前記セコンド表示部と一体のセコンドリセット部材と、前記セコンドリセット部材と協働し、前記セコンドリセット部材が基準位置に位置決めされるまで、前記リセット制御部の作用下で駆動トルクを発生するように形成されるリセットハンマとを備えること、
- 前記クロノグラフトレインは、ミニッツ表示部を備えるミニッツカウンタを備えること、
- 前記リセット機構は、前記ミニッツ表示部と一体のミニッツリセット部材を備え、前記リセットハンマは、前記ミニッツリセット部材と協働して、前記ミニッツリセット部材が基準位置に位置決めされるまで、前記リセット制御部の作用下で駆動トルクを発生するように形成されること、
- 前記調整要素は、5Hz以上の発振周波数を有する高周波発振器を備えること
の1つ以上の補完的な特徴を有し得る。
【0022】
本発明の別の態様は、本発明による時計ムーブメントを備える時計に関する。
【0023】
前記時計は、好ましくは、本発明による時計ムーブメントを受け入れかつ収容するように構成される時計ケースを備える腕時計である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の目的、利点及び特徴は、以下の図を参照して以下の詳細な説明を読むと明らかになる。
図1】本発明による時計ムーブメント1を概略的かつ機能的に示す図である。
図2】本発明による時計ムーブメント1の平面図における概略図であり、クロノグラフ機構は起動前の停止状態にある。
図3】本発明による同じ時計ムーブメントを示す図であり、クロノグラフ機構は稼働状態にある。
図4】本発明による同じ時計ムーブメントを示す図であり、クロノグラフ機構はクロノグラフ機構の起動後の停止状態にある。
図5】本発明による同じ時計ムーブメントを示す図であり、クロノグラフ機構はクロノグラフ機構のリセット制御部が押されたときのリセット状態にある。
【0025】
全ての図において、特に明記されない限り、共通の要素は同じ参照番号を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明による時計ムーブメント1の概略機能表現を示す。
【0027】
図2は、クロノグラフ機構10を備えた本発明による時計ムーブメント1の概略平面図を示す。
【0028】
図2は、ニュートラル位置にあるクロノグラフ機構10を示す。すなわち、クロノグラフ機構の始動前に、クロノグラフカウンタが基準位置にある停止状態を示す。
【0029】
図3は、同じ時計ムーブメント1を示しており、クロノグラフ機構10はクロノグラフトレイン20の稼働状態にある。
【0030】
図4は、同じ時計ムーブメント1を示しており、クロノグラフ機構10は、クロノグラフ機構10が始動した後のクロノグラフトレイン20の停止状態にある。
【0031】
図5は、同じ時計ムーブメント1を示しており、クロノグラフ機構10は、
クロノグラフ機構リセット制御部が押されると、クロノグラフトレイン20がリセットされる状態にある。
【0032】
図1から図5を参照すると、本発明による時計ムーブメント1は、従来、時計ムーブメント1の様々な要素、特に、主動力源150によって駆動される時間区分専用の稼働トレイン100の支持体として使用されるプレート2を備えている。
【0033】
主動力源150は、例えば、稼働トレインに動力を供給するためのエネルギーリザーブを構成する香箱である。
【0034】
従来、稼働トレイン100は、時間表示部の表示、例えば、アワースケールと協働する時針111、ミニッツスケールと協働する分針112、及びセコンドスケールと協働する秒針113を駆動する。
【0035】
稼働トレイン100は、従来、調整部材120によって制御されている。
【0036】
調整部材120は、従来、発振器121及び脱進機122を備えている。発振器121は、機械的又は電気的発振器であってもよい。
【0037】
例えば、発振器121は、ヒゲゼンマイ型の機械的発振器である。このようなヒゲゼンマイは、例えば、2.5から4Hzの間の発振周波数を有する。
【0038】
例えば、発振器121は、高周波の機械的又は電気的発振器であり、すなわち、4Hzを超える周波数で発振する。
【0039】
例えば、発振器121は、高周波の機械的又は電気的発振器であり、すなわち、5Hz以上の周波数で発振する。
【0040】
クロノグラフ機構10は、クロノグラフ始動/停止制御装置30によって制御される連結クラッチ50によって、運動学的に稼働トレイン100に要求に応じて連結されるクロノグラフトレイン20を備える。
【0041】
クロノグラフ始動/停止制御装置30は、クロノグラフトレイン20を調整部材120又は稼働トレイン100に要求に応じて連結して、時計ムーブメント1の調整部材120からクロノグラフトレイン20を調整するように構成される。
【0042】
クロノグラフ始動/停止制御装置30は、使用者によって操作可能な始動/停止制御部材31と、始動/停止制御部材31の作動によって制御されるクラッチレバー51とを備える。
【0043】
クロノグラフトレイン20は、稼働トレイン100の主動力源150とは異なる専用の二次動力源35によって駆動される。このように、クロノグラフトレイン20全体は、稼働トレイン100を作動させる主動力源150とは独立して、二次動力源35によって動力が供給される。
【0044】
二次動力源35は、例えば、クロノグラフトレイン20に動力を供給するためのエネルギーリザーブを構成する香箱である。
【0045】
クロノグラフトレイン20は、秒の端数を表示するための少なくとも1つのクロノグラフカウンタ、好ましくはスプリットセコンドカウンタ23又はジャンピングカウンタを備える。
【0046】
クロノグラフトレイン20は、第2のクロノグラフカウンタ、及び場合によっては第3のクロノグラフカウンタを含んでもよい。
【0047】
第2のクロノグラフカウンタは、例えばセコンドカウンタ22であり、第3のクロノグラフカウンタは、例えばミニッツカウンタ21である。
【0048】
クロノグラフトレイン20は、本発明の範囲から逸脱することなく、アワーカウンタも含み得る。
【0049】
スプリットセコンドカウンタ23は、ここではジャンピング歯車231と呼ばれるカウンタ歯車を備え、これは、スプリットセコンドカウンタシャフトに連結され、スプリットセコンド表示部234、例えばジャンピング針とも呼ばれる針を駆動する。
【0050】
ミニッツカウンタ21は、ミニッツカウンタシャフトに連結され、クロノグラフミニッツ表示部214、例えば図1に示す針を駆動するミニッツカウンタ歯車211を備える。
【0051】
セコンドカウンタ22は、セコンドカウンタシャフトに連結され、クロノグラフセコンド表示部224、例えば針を駆動するセコンドカウンタ歯車221を備える。
【0052】
図2から図5に示す例では、セコンドカウンタ22は、スプリットセコンドカウンタシャフトがセコンドカウンタシャフトと一致するように、スプリットセコンドカウンタ23に重ねられている。読みやすくするために、スプリットセコンドカウンタ23を覆い隠さないように、セコンドカウンタ22は点線で概略的に示されている。もちろん、本発明の文脈から逸脱することなく、別の構成も可能である。
【0053】
従来、ミニッツカウンタ歯車211及びセコンドカウンタ歯車221は、それぞれの軸に摩擦で取り付けられている。
【0054】
クロノグラフトレイン20は、クロノグラフ機構10の様々なカウンタ21、22、23間の所望の比率を得るために、中間クロノグラフ歯車セット24、25、26を含んでもよい。クロノグラフトレイン20は、時計ムーブメント1の必要性及び構造、並びにプレート2上の異なるクロノグラフカウンタの位置に応じて、より多くの中間歯車セットを含んでもよい。
【0055】
図示の例では、連結クラッチ50は、クラッチレバー51と協働する差動クラッチであり、クラッチレバーは、クロノグラフの稼働状態又は停止状態に従って、要求に応じて差動クラッチの入力の1つをブロックすることを可能にする。
【0056】
図示の例では、クラッチレバー51は、差動クラッチ50と噛み合う中間クラッチ歯車53を介して差動クラッチ50の入力の1つをブロックするように構成される。
【0057】
代替的に、クラッチは、中間クラッチ歯車53の回動を可能にするレバークラッチであってもよい。
【0058】
変形実施形態によれば、連結クラッチは垂直クラッチである。
【0059】
このようにして、連結クラッチ50は、
- 様々なクロノグラフカウンタ21、22、23を始動し、かつそれらを調整部材120に合わせて調整するために、クロノグラフトレイン20を時計ムーブメント1の稼働トレイン100及び/又は調整部材120に連結すること、
- クロノグラフトレイン20及びクロノグラフカウンタ21、22、23の様々な表示部214,224,234を停止させるために、クロノグラフトレイン20を時計ムーブメント1の稼働トレイン100及び/又は調整部材120から切り離すこと
を可能にする。
【0060】
従来、差動クラッチ50は、
- 稼働トレインによって駆動され、したがって調整部材によって調整される回転速度を有する第1の入力歯車と、
- 前記クロノグラフトレイン20と噛み合う出力歯車であって、ここでは、スプリットセコンドカウンタ23と噛み合う中間歯車27と噛み合うものと、
- クロノグラフ始動/停止制御部材30によって制御されるクラッチレバー51によって回転をブロックすることができる中間クラッチ歯車53と直接的又は間接的に協働する第2の独立入力歯車と
を備える。
【0061】
連結クラッチ50は、クラッチレバー51を介して第2の入力歯車が回転をブロックされたときに、第1の入力歯車の前記回転速度で出力歯車を回転させるように構成される駆動アセンブリも備える。
【0062】
好ましくは、連結クラッチ50は、ボール差動クラッチである。したがって、駆動アセンブリは、スプリングワッシャによって形成された、弾性要素とボールとの協働によって形成され、ボールが第1の入力歯車及び出力歯車上で滑らずに転がることを確実にする。
【0063】
クロノグラフ始動/停止制御装置30は、クロノグラフの稼働状態又は停止状態に応じて様々なレバーを制御するコラム歯車63を備える。
【0064】
図示の例では、クロノグラフ始動/停止制御部材31が作動するたびにコラム歯車63が1ピッチ回転するように、クロノグラフ始動/停止制御部材31は、使用者によって作動されるたびにコラム歯車63を移動させるように構成される。従来、コラム歯車63の異なる角度位置により、クロノグラフ機構10の異なるロッカー、レバー等の動きを調整して、クロノグラフトレイン20を始動及び停止させ、かつクロノグラフ機構10のカウンタ21、22、23の異なる表示部214,224,234のリセットを許可することができる。
【0065】
コラム歯車63の異なる角度位置は、クラッチレバー51が中間クラッチ歯車53と接触していない非作動位置と、クラッチレバー51が中間クラッチ歯車53、従って連結クラッチ50の第2の独立入力歯車を回転的にブロックする作動位置との間でクラッチレバー51を制御することを可能にする。
【0066】
クラッチレバー51は、コラム歯車63と協働するように、特にコラム歯車63のコラム631又はコラム間空間632の存在を感知することによってコラム歯車63の位置を感知するように構成される第1の端部511と、コラム631上又はコラム間空間632内における第1の端部511の位置に従って中間クラッチ歯車53の歯部と協働するように構成される第2のビーク状端部512とを備える。
【0067】
このようにして、クラッチレバー51は、第1の端部511がコラム631と接触しており、かつ第2の端部512が中間クラッチ歯車53から距離を置いている非作動位置(図1に示す)と、クラッチレバー51の第1の端部511がコラム間空間632に収容され、かつ第2の端部512が中間クラッチ歯車53の2つの連続する歯の間に挿入されて、連結クラッチ50と係合する中間クラッチ歯車53の回転をブロックする作動位置(図2に示す)との間で切り替わる。
【0068】
クラッチレバー51は、クラッチレバー51の第1の端部511とコラム歯車63との接触を確実にするように構成される弾性部材54と協働する。
【0069】
このようなコラム歯車63を備えたクロノグラフ機構10の動作は周知であるため、このような歯車の動作をさらに説明する必要はない。
【0070】
クロノグラフ機構10は、クロノグラフトレイン20のカウンタ21、22、23、より詳細には、これらのカウンタ21、22、23にそれぞれ関連する表示部214,224,234のリセット機構40を備える。
【0071】
リセット機構40は、クロノグラフカウンタ21、22のシャフトと一体のリセット部材215,225を備える。リセット部材215,225は、典型的には、1つ以上のハンマ(図示せず)と協働して、それらが基準位置に位置決めされ、カウンタ21、22の表示部214,224がリセットされることを可能にする。
【0072】
ミニッツカウンタ21及びセコンドカウンタ22のリセット部材215,225は、例えば、カタツムリ、ハート又は他の形状のリセットカムであり、その形状は、(複数の)ハンマの打撃の終了時に表示部214,224を基準位置に再配置することを可能にする。
【0073】
リセット機構40は、例えば、押しボタン又は作動ピン61を介して使用者が操作することができるリセット制御部60を備える。リセット制御部60は、ニュートラル静止位置と、表示部214,224,234をリセットすることを可能にするリセット位置との間で回転軸66を中心に回転することができる。
【0074】
リセット制御部60は、(複数の)リセットハンマと直接的又は間接的に協働して、関連するカウンタ21、22の表示部214,224をリセットすることを可能にする。
【0075】
リセット制御部60は、ジャンピングレバー70と直接的又は間接的に協働して、スプリットセコンドカウンタ23のスプリットセコンド表示部234をリセットする。
【0076】
従来、リセット制御部60は、クロノグラフが停止したとき、すなわち、クロノグラフトレイン20が停止し、コラム歯車63がリセット制御部60を切り替えることができる特定の角度位置にあるときにのみ、使用者によって作動させることができる。
【0077】
リセット制御部60は、使用者による各作動間にリセット制御部60をニュートラル静止位置に再配置するように構成される弾性リセット要素62と協働する。リセット制御部60の再配置は、弾性リセット要素62の弾性作用の下で、(複数の)ハンマをニュートラル位置に再配置させる。
【0078】
クロノグラフ機構10は、スプリットセコンドカウンタ23と相互作用するように構成されるジャンピングレバー70を備える。
【0079】
リセット制御部60は、ジャンピングレバー70と直接的又は間接的に協働して、スプリットセコンドカウンタ23のスプリットセコンド表示部234をリセットする。
【0080】
ジャンピングレバー70は、始動/停止制御装置30と協働して、クロノグラフトレイン20の始動又は停止、したがってスプリットセコンドカウンタ23の始動又は停止に応じて、ジャンピングレバー70の角度位置を制御するように構成される。
【0081】
また、ジャンピングレバー70は、リセット制御部60と協働して、リセット制御部60が作動されたときに、スプリットセコンドカウンタ23、より詳細には、スプリットセコンド表示部234をリセットすることが可能なように構成されている。
【0082】
したがって、ジャンピングレバー70は、二重の機能を有する。第1の機能は、クロノグラフが停止されたときにスプリットセコンド表示部234を所定の位置に保持することであり、第2の機能は、リセット制御部60を作動させることによってクロノグラフがリセットされたときに、スプリットセコンド表示部234が基準位置に再配置されることを確実にすることである。
【0083】
ジャンピングレバー70は、回転軸76の周りを回転させることができる。回転軸76の位置は、偏心によって調整され得る。
【0084】
クロノグラフ機構10は、3つの異なる動作を確実にする3つの位置にジャンピングレバー70を角度的に位置決めするように構成されている。これら3つの位置については、以下により詳細に説明する。
【0085】
ジャンピングレバー70は、クロノグラフ始動/停止制御装置30と協働し、始動/停止制御装置30の様々な状態を感知するように構成される第1のアーム71を備える。
【0086】
より詳細には、第1のアーム71は、クロノグラフ始動/停止制御装置30のコラム歯車63と協働して、ジャンピングレバー70の3つの位置のうちの2つを形成する2つの安定位置にジャンピングレバー70を位置決めするセンサを形成する自由端を有する。
【0087】
コラム歯車63の第1の角度位置において、第1のアーム71のセンサは、クロノグラフトレイン20が停止したときに、図1図3及び図4に見られるように、コラム歯車63のコラム間空間632に位置決めされる。この位置は、クロノグラフ機構10の停止と同時に生じるジャンピングレバー70の第1の安定位置を規定する。
【0088】
コラム歯車63の第2の角度位置において、第1のアーム71のセンサは、図2に示すように、コラム631と接触する。この第2の位置は、クロノグラフトレイン20の始動と同時に生じ、稼働トレイン100に連結されるジャンピングレバー70の第2の安定位置を規定する。
【0089】
ジャンピングレバー70は、回転軸76に対して第1のアーム71と実質的に反対側に延びる第2のアーム72を備える。第2のアーム72は、スプリットセコンドカウンタ23、より詳細にはスプリットセコンドカウンタ23のジャンピング歯車231と協働して回転をブロックするように構成される端部ビーク720を備える。
【0090】
図1及び図3に示す停止位置として知られるジャンピングレバー70の第1の安定位置では、ジャンピング歯車231は、ジャンピング歯車231の歯部233の2つの連続する歯の間に挿入されるジャンピングレバー70の第2のアーム72の端部ビーク720によって回転をブロックされる。
【0091】
図2に示すニュートラル位置として知られるジャンピングレバー70の第2の安定位置では、ジャンピング歯車231は自由であり、秒の端数を数えるためにクロノグラフトレイン20によって回転することができる。
【0092】
ジャンピングレバー70の停止位置とニュートラル位置との間の位置の変化は、コラム歯車63によって制御され、これは次に、クロノグラフ始動/停止制御部材31が作動されるたびに回転する。
【0093】
好ましくは、ジャンピング歯車231は、ウルフ歯部としても知られる非対称の歯部233を有する。
【0094】
ジャンピング歯車231の歯部は、通常の歯部を形成する一連の同一の歯と、歯部233の他の歯よりも高い高さを有する長歯232とから成る。換言すれば、長歯232は、ジャンピング歯車231の通常の歯部を越えて半径方向に延びる。
【0095】
ジャンピングレバー70は、リセット制御部60と直接的又は間接的に協働し、ジャンピングレバー70を第3の位置、すなわち図4により詳細に示す中間位置に位置決めするように構成される第3のアーム73を備える。
【0096】
ジャンピングレバー70のこの第3の中間位置は、安定位置ではなく、リセット位置において使用者によって部分的に保持され又は完全に押されたときにリセット制御部60の角度位置によって課される位置である。
【0097】
この第3のアーム73は、停止位置とニュートラル位置との間で角度的に位置する中間位置にジャンピングレバー70を位置決めするためにリセット制御部60によってレバーとして使用される。この中間位置は、クロノグラフが停止したときに所定の位置にあるジャンピングカウンタ23をブロックするジャンピングレバー70の安定停止位置からのみ到達することができる。
【0098】
ジャンピングレバー70のこの中間位置では、端部ビーク720は、ジャンピングレバー70の停止位置よりもジャンピング歯車231の回転中心から半径方向に離れている。
【0099】
したがって、ジャンピングレバー70のこの中間位置では、端部ビーク720は、ジャンピング歯車231の通常の歯部から離れており、ジャンピング歯車231の回転を可能にするが、長歯232の経路内にあるようにジャンピング歯車231の周囲に十分に近い位置にあり、したがって、特定の位置、基準位置において、ジャンピング歯車231の回転をブロックするように長歯232と相互作用することが可能である。したがって、ジャンピングレバー70のこの中間位置では、端部ビーク720は、ジャンピング歯車231が基準位置になるまで、ジャンピング歯車231の部分的な回転、すなわち、全回転未満の回転を可能にする。
【0100】
より詳細には、ジャンピングレバー70のこの中間位置では、ジャンピングレバー70の端部ビーク720は、ジャンピング歯車231の回転中に長歯232が端部ビーク720を越えることを防ぐ位置決め停止部を構成する。長歯232が端部ビーク720に接触すると、ジャンピング歯車231は、スプリットセコンド表示部234のゼロ位置に対応する基準位置に保持される。
【0101】
ジャンピングレバー70を中間位置に配置するために、リセット制御部60は、ジャンピングレバー70、特に第3のアーム73と協働するように構成される手段を有する。
【0102】
図示の例では、リセット制御部60は、第3のアーム73の一部を受け入れ、案内し、収容し、その上に作用するように構成される凹部67を備える。リセット制御部60を第3のアーム73と接触させると、先に示したように、ジャンピング歯車231の通常の歯部及びジャンピング歯車231の回転中心から端部ビーク720を遠ざけるように、ジャンピングレバー70がニュートラル位置に向けて回転させられる。
【0103】
ジャンピングレバー70は、ジャンピングレバー70をその停止位置に戻すように構成される弾性ジャンピング部材80と協働する。
【0104】
リセット制御部60が解放されると、弾性ジャンピング部材80は、端部ビーク720をその停止位置に位置決めし、すなわち、歯部233の2つの連続する歯の間に挿入され、クロノグラフ機構10の次の始動までジャンピング歯車231をその位置に維持するのに役立つ。
【0105】
リセット機構40は、リセット機構40を固定し、かつリセット位置に到達するまで(複数の)ハンマが完全に作動することを確実にする保持部材64も備える。保持部材64は、所定の力がリセット制御部60に加えられるまで、リセット制御部60、したがって(複数の)ハンマの作動を一時的に抑制するように構成される。
【0106】
保持部材64は、クロノグラフ機構10のカウンタ21、22、23の様々な表示部214,224,234の望ましくないリセットを防止するセキュリティ部材である。保持部材64の動的特性は、機械式ヒューズの特性に類似している。
【0107】
保持部材64は、プレート2と一体の部分と、リセット制御部60の作動に対して保持力を加えるように設計された弾性部分とを備える。弾性部分は、保持力よりも大きな力がリセット制御部60に加えられたときに変形するように構成され、それによってリセット制御部60の完全な動きを解放し、ハンマがそのリセット位置(図4)に移動することを可能にする。リセット制御部60は、例えば、保持部材64の弾性部分を支持するように設計されたスタッド65を備える。
【0108】
より具体的には、スタッド65は、保持部材64の弾性部分の自由端に形成された保持ノッチに対して載置される。保持ノッチは、保持表面と、保持部材64がリセット制御部60を迅速かつ強力に作動させることを可能にする切換え点とを有し、従って、(複数の)ハンマがクロノグラフカウンタ21、22のリセットカム215,225に接触し、かつこれらのカムが基準位置に再配置されるまで、(複数の)ハンマが完全に作動されることを可能にする。
【0109】
また、リセット制御部60の解放は、ジャンピングレバー70を作動させて、そのニュートラル位置に向けてわずかな回転をもたらし、これにより、第2のアーム72の端部先端720がジャンピング歯車231の通常の歯部からわずかに離れる。解放されたジャンピング歯車231は進行方向に回転し続け、エネルギー貯蔵部からエネルギーを消費する。
【0110】
有利には、ジャンピングレバー70、特に第3のアーム73及びリセット制御部60は、最初に、(複数の)ハンマがカウンタ21、22のリセットカム215,225に接触する前にジャンピングレバー70を作動させ、(複数の)ハンマを介してセコンド表示部224及びミニッツ表示部214が完全にリセットされる前に、スプリットセコンド表示部234が完全にリセットされることを確実にするように構成される。
【0111】
(時計ムーブメントのクロノグラフ機構の動作)
クロノグラフ始動/停止制御部材31が最初に作動されると、クロノグラフ機構10のクロノグラフトレイン20が次のように始動される。
【0112】
図1に示す時計ムーブメント1のニュートラル位置から、クロノグラフ始動/停止制御部材31を作動させると、その回転軸を中心に回転し、コラム歯車63を1ピッチだけ、この場合は反時計回り方向に回転させ、これにより、クロノグラフ機構10の様々なレバーに対するコラム歯車63のコラム631及びコラム間空間632の配置を変更する。
【0113】
コラム歯車63が回転すると、クラッチレバー51が非作動位置(図1に示す)から作動位置(図2に示す)に切り替わり、中間クラッチ歯車53の回転をブロックし、連結クラッチ50の第2の独立入力歯車をブロックする。
【0114】
連結クラッチ50の第2の独立入力歯車をブロックすることにより、クロノグラフトレイン20を時計ムーブメント1の稼働トレイン100に連結し、クロノグラフトレインを調整部材120に合わせて移動させることができる。
【0115】
クラッチレバー51の切り替えと同時に、コラム歯車63の回転により、ジャンピングレバー70は、第1のアーム71のセンサがコラム歯車63のコラム間空間632にあり、かつ第2のアーム72の端部ビーク720がジャンピング歯車231の歯部233の2つの連続する歯の間に挿入される第1の安定位置(停止位置)(図1に示す)から、第1のアーム71のセンサがコラム歯車63のコラム631と接触して、第2のアーム72の端部ビーク720を第2の安定位置(ニュートラル位置)(図2に示す)に、第1のアーム71のセンサがコラム歯車63のコラム631と接触して、端部ビーク720をジャンピング歯車231の歯部233から解放する第2の安定位置(ニュートラル位置)に切り替えられる。
【0116】
このようにして、クロノグラフトレイン20の様々なカウンタ21、22、23は、自由になり、稼働トレイン100との連結を介して、時計ムーブメント1の調整部材に合わせて回転する。
【0117】
使用者がクロノグラフ機構10を停止させたい場合、クロノグラフ始動/停止制御部材31を2回目に作動させ、これにより、回転軸を中心に再び回動し、コラム歯車63を追加ピッチで回転させる。図3に示すコラム歯車63のこの新しい位置では、クラッチレバー51の第1の端部511が再びコラム631を通過し、クラッチレバー51を非作動位置に切り替える。このようにして、クラッチ50の第2の独立入力歯車が解放され、クロノグラフトレイン20を稼働トレイン100から切り離し、クロノグラフトレイン20を停止させる。
【0118】
ジャンピングレバー70の第1のアーム71のセンサは、コラム歯車63のコラム間空間632内を通過し、弾性ジャンピング部材80の作用下でジャンピングレバー70を第1の安定位置(停止位置)に位置決めし、ここで、
端部ビーク720は、ジャンピング歯車231の歯部233の2つの連続する歯の間に挿入され、これにより、スプリットセコンド表示部234の位置をブロックする。
【0119】
このクロノグラフの停止状態は、特に図3に示されている。
【0120】
このクロノグラフ停止状態において、クロノグラフ機構10の様々なカウンタ21、22の表示部214,224を所定の位置に維持するために、追加の従来の手段(図示せず)が設けられてもよい。このような手段は、様々なコラム631及びコラム間空間632と相互作用する追加のレバーを用いて、コラム歯車63によって制御されてもよい。
【0121】
クロノグラフ機構10のこの停止状態から、使用者は、クロノグラフ始動/停止制御部材31を3回目に押すことによってクロノグラフを再開することができ、対応するレバーの回動によって前述のようにクロノグラフトレイン20を再び始動させる。
【0122】
クロノグラフ機構10のこの同じ停止状態から、使用者は、リセット制御部60を作動させることによってクロノグラフトレイン20の様々なカウンタ21、22、23をリセットすることもでき、このリセットは、コラム歯車63の位置によって可能になる。
【0123】
保持部材64によって生成された保持力よりも大きな力がリセット制御部60に加えられると、リセット制御部60の完全な動きは、スプリットセコンド表示部234のリセットを可能にする第3の中間位置に位置決めするように、ジャンピングレバー70の位置を修正して、長歯232がジャンピングレバー70の第2のアーム72の端部ビーク720に接触するまで、ジャンピング歯車231が、クロノグラフトレイン20の第2の動力源35によって駆動される回転を実行することを両方とも可能にする。
【0124】
同時に、リセット制御部60の完全な動きは、クロノグラフ機構10の(複数の)ハンマを駆動し、これは、様々なリセット部材215,225を打撃して、クロノグラフ機構10の様々な対応する表示部214,224を基準位置に戻す。
【0125】
補完的に、リセット制御部60の作動は、カウンタ21、22の表示部214,224を所定位置に保持するための手段を解放することができる。
【0126】
リセット制御部60が解放されると、弾性部材62の作用の下でニュートラル位置に戻り、(複数の)ハンマをニュートラル位置に戻し、カウンタ21、22の表示部214,224を保持する手段を任意選択的に再配置して、これらの表示部214,224が所定の位置に保持されることを確実にし、ジャンピングレバー70に加えられた拘束を解放し、それにより、弾性ジャンピング部材80の作用下でジャンピング歯車231の歯部233の2つの連続する歯の間に端部ビーク720を再配置し、ジャンピング歯車231が所定の位置に保持されることを確実にし、それによりクロノグラフ機構10の次の始動を待つ間に、スプリットセコンド表示部234の望ましくない変動の作用を回避する。
【0127】
図2から図5に示すように、クロノグラフ機構10は、1つのコラムに対して又は2つのコラムの間に押される異なるレバーの異なる動きを制御するためのコラム歯車63を備えるように示され、かつ説明されている。もちろん、クロノグラフ機構10は、クロノグラフの異なる状態を制御するために、本発明の文脈から逸脱することなく、コラム歯車63に代わるカムを備えたクロノグラフ機構であってもよい。
【0128】
本発明は、特に、スプリットセコンドカウンタについて説明した。しかしながら、本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、セコンド、ミニッツ、又はアワーカウンタにも適用することができる。
【0129】
また、本発明は、そのような時計ムーブメントを備える時計、例えば腕時計に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】