(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154373
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ポリグリコール酸含有樹脂組成物及びそれを含むフィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 67/04 20060101AFI20241023BHJP
C08L 33/02 20060101ALI20241023BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
C08L67/04
C08L33/02
C08L23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035256
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0050529
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ サン ユプ
(72)【発明者】
【氏名】キム ド ヨン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BG01X
4J002BG07X
4J002CD19Y
4J002CF18W
4J002GC00
4J002GG02
4J002GK00
4J002GL00
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】向上したバリア特性を提供するポリグリコール酸含有樹脂組成物及びそれを含むフィルムを提供すること。
【解決手段】例示的な実施形態によるポリグリコール酸含有樹脂組成物は、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid))と、亜鉛含有アイオノマー(Zn ionomer)と、エチレン系三元共重合体とを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリグリコール酸(poly(glycolic acid))と、
亜鉛含有アイオノマー(Zn ionomer)と、
エチレン系三元共重合体とを含む、ポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項2】
前記亜鉛含有アイオノマーは、エチレン、亜鉛(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリル酸の三元共重合体を含む、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項3】
前記エチレン系三元共重合体は、エチレン、グリシジルメタクリレートおよびアルキルアクリレートの共重合体を含む、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリグリコール酸の含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して60重量%~98重量%である、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項5】
前記亜鉛含有アイオノマーの含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して1重量%~39重量%である、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン系三元共重合体の含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して1重量%~39重量%である、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項7】
前記亜鉛含有アイオノマーの含有量と前記エチレン系三元共重合体の含有量との合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して2重量%~40重量%である、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリグリコール酸の含有量は、前記亜鉛含有アイオノマーの含有量と前記エチレン系三元共重合体の含有量との合計よりも大きい、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリグリコール酸の含有量、亜鉛含有アイオノマーの含有量、およびエチレン系三元共重合体の含有量の合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して95重量%以上である、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項10】
前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の230℃、5%のストレイン(strain)および0.1Hzの振動数条件で測定した溶融粘度は、200Pa・s~10,000Pa・sである、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の230℃および2.16kgの荷重条件で測定したメルトフローインデックス(Melt Flow Index)は1g/10min~200g/10minである、請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のポリグリコール酸含有樹脂組成物から形成されたフィルム。
【請求項13】
前記フィルムの厚さは50μm~250μmである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記フィルムの50%の相対湿度および25℃で測定した酸素透過度は200g/m2・day以下である、請求項13に記載のフィルム。
【請求項15】
前記フィルムの酸素透過度は、下記式1を満たす、請求項12に記載のフィルム。
[式1]
OTR(PGA-Poly)<0.1(x・OTR(PGA)+(1-x)・OTR(Poly))
(式1中、OTR(PGA-Poly)は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物から形成されたフィルムの酸素透過度であり、OTR(PGA)は、ポリグリコール酸のみを含むフィルムの酸素透過度であり、OTR(Poly)は、亜鉛含有アイオノマーまたはエチレン系三元共重合体のみを含む樹脂を含むフィルムの酸素透過度であり、xは0.6≦x<1である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリグリコール酸含有樹脂組成物及びそれを含むフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性樹脂は、バクテリア、微生物などの他の有機生物体により分解されるため、従来の難分解性高分子による環境汚染の深刻化によって環境規制が強化された影響で、難分解性樹脂の代替材料として需要が高まっている。また、最近では包装資材産業、電子製品産業、自動車産業、建築資材産業、海洋産業、文具産業、パルプ製紙産業などの様々な分野で活用されている。
【0003】
生分解性樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid)、PGA)、ポリブチレンサクシネート(poly(butylene succinate)、PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate、PHA)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)などが挙げられる。中でも、PGAはグリコール酸(glycolic acid)を重合して生成する合成樹脂であり、優れた生分解性を有し、線状構造の樹脂として優れたガスバリア性を有する。
【0004】
また、PGA樹脂は内部にエステル結合を有し、結晶性が高く、優れた機械的強度と高い脆性を有する。このため、PGA樹脂を用いて、高いガスバリア性、優れた生分解性および耐久性を有するバリアフィルムを開発しようとする試みがある。
【0005】
しかし、PGA樹脂は高い融点および低い溶融強度を有しており、熱と水分によって容易に分解されてしまうため、一般的なフィルム加工が困難な問題がある。
【0006】
そこで、PGA樹脂を他の高分子とコンパウンド又はブレンドすることにより、生分解性、ガスバリア性および耐久性を向上させながら、フィルム加工性が容易な樹脂を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の1つの課題は、向上したバリア特性を提供するポリグリコール酸含有樹脂組成物を提供することである。
【0008】
本開示の1つの課題は、前記樹脂組成物から形成され、向上したバリア特性を有するフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な実施形態によるポリグリコール酸含有樹脂組成物は、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid))と、亜鉛含有アイオノマー(Zn ionomer)と、エチレン系三元共重合体とを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記亜鉛含有アイオノマーは、エチレン、亜鉛(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリル酸の三元共重合体を含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記エチレン系三元共重合体は、エチレン、グリシジルメタクリレート、およびアルキルアクリレートの共重合体を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸の含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して60重量%~98重量%であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記亜鉛含有アイオノマーの含量量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して1重量%~39重量%であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記エチレン系三元共重合体の含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して1重量%~39重量%であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記亜鉛含有アイオノマーの含有量と前記エチレン系三元共重合体の含有量との合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して2重量%~40重量%であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸の含有量は、前記亜鉛含有アイオノマーの含有量と前記エチレン系三元共重合体の含有量との合計よりも大きくてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸の含有量、亜鉛含有アイオノマーの含有量、およびエチレン系三元共重合体の含有量の合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して95重量%以上であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の230℃、5%のストレイン(strain)および0.1Hzの振動数条件で測定した溶融粘度は、200Pa・s~10,000Pa・sであってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の230℃および2.16kgの荷重条件で測定したメルトフローインデックス(Melt Flow Index)は、1g/10min~200g/10minであってもよい。
【0020】
例示的な実施形態によるフィルムは、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物から形成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記フィルムの厚さは50μm~250μmであってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記フィルムの50%の相対湿度および25℃で測定した酸素透過度は、200g/m2・day以下であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記フィルムの酸素透過度は、下記式1を満たすことができる。
【0024】
[式1]
OTR(PGA-Poly)<0.1(x・OTR(PGA)+(1-x)・OTR(Poly))
【0025】
前記式1中、OTR(PGA-Poly)は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物から形成されたフィルムの酸素透過度であり、OTR(PGA)は、ポリグリコール酸のみを含むフィルムの酸素透過度であり、OTR(Poly)は、亜鉛含有アイオノマーまたはエチレン系三元共重合体のみを含む樹脂を含むフィルムの酸素透過度であり、xは0.6≦x<1である。
【発明の効果】
【0026】
例示的な実施形態によるポリグリコール酸含有樹脂組成物は、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid)、PGA)と、亜鉛含有アイオノマー(Zn ionomer、ZnIO)と、エチレン系三元共重合体とを含むことができる。これにより、ポリグリコール酸含有樹脂組成物は、分子量が増加して衝撃に対する耐久性が向上し、メルトフローインデックスが減少して加工性を改善することができる。
【0027】
ポリグリコール酸含有樹脂組成物は、PGAを所定の含有量で含むことができる。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物を含むフィルムの生分解性およびガスバリア性が向上しながら加工性を改善することができる。
【0028】
例示的な実施形態によるフィルムは、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物を含むことができる。これにより、フィルム内部のガス透過経路を複雑にすることができ、ガス透過度を低減することができる。
【0029】
本開示のポリグリコール酸含有樹脂組成物およびフィルムは、生分解性樹脂、生分解性食品包装用フィルム、生分解性衛生用品、その他の生分解性組成物が利用される生分解性プラスチックなどの緑色技術の分野で広く適用できる。本開示のポリグリコール酸含有樹脂組成物およびフィルムは、土地汚染および水質汚染、大気汚染などを抑制し、環境にやさしい(eco-friendly)使い捨て品などの素材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるフィルムの酸素透過度の測定値および酸素透過度の推定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
例示的な実施形態によれば、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid)、PGA)、亜鉛含有アイオノマー(Zn ionomer、ZnIO)およびエチレン系三元共重合体を含むポリグリコール酸含有樹脂組成物、並びに前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物を含むフィルムが提供される。
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施形態をより詳細に説明することとする。但し、これらの実施形態は本開示を例示するものに過ぎず、本開示を制限するものではない。
【0033】
例示的な実施形態によれば、ポリグリコール酸含有樹脂組成物は、PGAと、ZnIOと、エチレン系三元共重合体とを含むことができる。
【0034】
前記PGAはエステル結合を有する線状構造の生分解性高分子であり、高い生分解性を有することができる。また、PGA高分子間の水素結合により、高い結晶性を有することができる。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物のガスバリア性を向上させることができる。
【0035】
前記ZnIOは、遷移金属である亜鉛を含む高分子の一種で、吸湿性および水分含有量が低い。また、前記PGAのエステル基との配位結合により、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の構造的安定性を向上させることができる。
【0036】
前記エチレン系三元共重合体は、エチレンから誘導される単量体を含む3種の基本単量体を共重合した高分子である。前記エチレン系三元共重合体は、前記PGAおよび前記ZnIOと架橋結合することで構造的安定性を向上させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記ZnIOは、エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体を含むことができる。
【0038】
前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体は、亜鉛イオン(Zn2+)とカルボキシレート陰イオン(-COO-)がイオン結合している構造を有する高分子である。前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体の亜鉛イオンは遷移金属イオンであり、前記PGAのエステル基と配位結合することができる。前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体を前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含むことにより、耐久性および溶融強度を向上させることができる。
【0039】
一実施形態では、前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体のエチレン単量体の含有量は限定されないが、例えば、前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体の全重量に対して、70重量%~98重量%、73重量%~95重量%、または76重量%~92重量%であってもよい。
【0040】
一実施形態では、エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体の亜鉛(メタ)アクリレート単量体の含有量は限定されないが、例えば、前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体の全重量に対して、1重量%~20重量%、1重量%~17重量%、または1重量%~14重量%であってもよい。
【0041】
一実施形態では、エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体の(メタ)アクリル酸単量体の含有量は限定されないが、例えば、前記エチレン-亜鉛(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸三元共重合体の全重量に対して、1重量%~29重量%、4重量%~26重量%、または7重量%~23重量%であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記エチレン系三元共重合体は、エチレン、グリシジルメタクリレート、およびアルキルアクリレートの共重合体(EAG)を含むことができる。
【0043】
前記EAGはグリシジル基を含むエチレン系高分子であり、前記EAGの前記グリシジル基は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含まれ、前記のPGA及びZnIOの少なくとも1つのカルボキシル基と結合することができる。
【0044】
これにより、ポリグリコール酸含有樹脂組成物を延長することができ、高分子構造を複雑にすることができる。したがって、ポリグリコール酸含有樹脂組成物の溶融強度および耐久性を向上させることができ、加工性を向上させることができる。
【0045】
一実施形態では、前記EAGのエチレン単量体の含有量は限定されないが、例えば、前記EAGの全重量に対して、50重量%~88重量%、55重量%~82重量%、または57重量%~78重量%であってもよい。
【0046】
一実施形態では、前記EAGのグリシジルメタクリレート単量体の含有量は限定されないが、例えば、前記EAGの全重量に対して、1重量%~30重量%、3重量%~25重量%、または5重量%~20重量%であってもよい。
【0047】
一実施形態では、前記EAGのアルキルアクリレート単量体の含有量は限定されないが、例えば、前記EAGの全重量に対して、10重量%~48重量%、15重量%~42重量%、または17重量%~38重量%であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記PGAの含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して、60重量%~98重量%、60重量%~93重量%、60重量%~88重量%、または65重量%~85重量%であってもよい。
【0049】
前記含有量の範囲では、PGAを前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全領域に分布させることができる。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物は、低いガス透過度を維持しながら、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の溶融強度、耐久性および加工性を向上させることができる。また、PGAにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の生分解性を向上させることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記ZnIOの含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して、1重量%~39重量%、5重量%~38重量%、7重量%~30重量%、または8重量%~20重量%であってもよい。
【0051】
前記含有量の範囲では、前記ZnIOの増加および前記PGAの減少によってポリグリコール酸含有樹脂組成物のガス透過度が増加することを防止できる。また、前記ZnIOの亜鉛イオンが前記PGAのエステル基と配位結合して前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の耐久性を向上させることができる。また、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の吸湿性が減少し、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の高い生分解性によって高分子構造が崩壊することを防止することができる。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の構造的安定性を向上させることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記エチレン系三元共重合体(例えば、EAG)の含有量は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して、1重量%~39重量%、2重量%~35重量%、5重量%~33重量%、または7重量%~27重量%であってもよい。
【0053】
前記含有量の範囲では、エチレン系三元共重合体(例えば、EAG)を、前記PGAおよび前記ZnIOのカルボキシル基と安定的に架橋結合させることができる。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の溶融強度および加工性をより向上させることができる。
【0054】
一実施形態では、前記ZnIOの含有量と前記エチレン系三元共重合体の含有量との合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して、2重量%~40重量%、5重量%~40重量%、10重量%~35重量%、または10重量%~30重量%であってもよい。
【0055】
前記含有量の範囲では、ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含まれたPGAの含有量が60重量%以上、65重量%以上、または70重量%以上であり得る。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の生分解性が低下することなく、ガス透過度が減少し、加工性を向上させることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記PGAの含有量は、前記ZnIOの含有量と前記エチレン系三元共重合体の含有量との合計よりも大きくてもよい。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の生分解性、ガスバリア性および耐久性を共に向上させることができる。
【0057】
前述のように、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含まれるPGA、ZnIO及びエチレン系三元共重合体の含有量を調整することにより、溶融粘度及びメルトフローインデックス(Melt Flow Index)を調整することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸の含有量、亜鉛含有アイオノマーの含有量、およびエチレン系三元共重合体の含有量の合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して95重量%以上、98重量%以上、または99重量%以上であってもよい。
一実施形態では、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物は、前記ポリグリコール酸、亜鉛含有アイオノマー、およびエチレン系三元共重合体で構成することができる。例えば、前記ポリグリコール酸の含有量、亜鉛含有アイオノマーの含有量、およびエチレン系三元共重合体の含有量の合計は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全重量に対して100重量%であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の溶融粘度は、50Pa・s~10,000Pa・s、100Pa・s~8,000Pa・s、200Pa・s~6,000Pa・sであってもよい。
【0060】
前記溶融粘度は、230℃で前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物を2mmの厚さにプレスして製造された試片を5%のストレイン(strain)および0.1Hzの振動数(frequency)で測定した値である。
【0061】
一実施形態では、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物のメルトフローインデックスは、1g/10min~200g/10min、1g/10min~100g/10min、2g/10min~50g/10minであってもよい。
【0062】
前記メルトフローインデックスは、ASTM D1238に準拠し、230℃の温度および2.16kgの荷重下で測定して算出した。
【0063】
溶融粘度およびメルトフローインデックスが前記範囲に維持されることにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の柔軟性は、PGAの柔軟性と比較して向上することができる。これにより、例えば、発泡成形(foaming-expansion molding)、射出成形(injection molding)、圧縮成形(compression molding)、キャストフィルム成形(casting filming process)、インフレーションフィルム成形(inflation film process)などの加工における加工性を向上させることができる。これにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物からフィルムへの加工性を向上させることができる。
【0064】
前述のポリグリコール酸含有樹脂組成物は、PGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体の混合物を乾燥および混練して形成することができる。
【0065】
例示的な実施形態では、PGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体をホッパードライヤー(Hopper Dryer)に投入することができる。
【0066】
PGAは、例えば、60℃~100℃、70℃~90℃、または75℃~85℃の温度条件に維持されるホッパードライヤーに投入して乾燥することができる。ZnIOは、例えば、30℃~70℃、40℃~60℃、または45℃~55℃の温度条件に維持されるホッパードライヤーに投入して乾燥することができる。エチレン系三元共重合体(例えば、EAG)は、例えば、20℃~60℃、30℃~50℃、または35℃~45℃の温度条件に維持されるホッパードライヤーに投入して乾燥することができる。
【0067】
前記のPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体は、例えば、10時間~14時間、11時間~13時間、または11時間30分~12時間30分間乾燥することができる。前記範囲では、PGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体を十分に乾燥することにより、前記のPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体の混練工程における副反応を抑制することができる。
【0068】
乾燥したPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体は、インターナルミキサー(Internal Mixer)のチャンバーに投入することができる。前記インターナルミキサーのチャンバーは、例えば、220℃~260℃、225℃~250℃、または230℃~240℃に維持することができる。
【0069】
前記乾燥したPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体をインターナルミキサーに投入する場合、前記インターナルミキサー内のローターは、例えば、10rpm~70rpm、20rpm~60rpm、または30rpm~50rpmで回転することができる。
【0070】
前記範囲では、PGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体が互いに凝集することなく、混練を開始することができる。
【0071】
前記乾燥したPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体の投入が完了した後、前記ローターの回転速度は、例えば、60rpm~100rpm、70rpm~90rpm、または75rpm~85rpmに維持しながら混練することができる。前記混練は、例えば、1分~5分、2分~4分、または2分30秒~3分30秒間行うことができる。
【0072】
前記範囲では、前記のPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体を均一に分布させて混練を完了することができる。
【0073】
前述のように混練された混練生成物を回収して、ポリグリコール酸含有樹脂組成物を得ることができる。
【0074】
前述の混練工程は、インターナルミキサーで行うことを説明したが、前記混練工程の手段はインターナルミキサーに限定されない。例えば、前記乾燥したPGA、ZnIOおよびエチレン系三元共重合体を一軸押出機または二軸押出機に投入し、溶融および混練を行うことで混練を完了してもよい。前記一軸押出機または二軸押出機の吐出口から吐出された混練済みの樹脂組成物は、ペレタイザー(Pelletizer)で切断し、ペレット(Pellet)状のポリグリコール酸含有樹脂組成物として得ることができる。
【0075】
例示的な実施形態によれば、フィルムは、前述のポリグリコール酸含有樹脂組成物から形成することができる。これにより、前記フィルムのガス透過度を減少させることができ、生分解性および耐久性を向上させることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、前記フィルムの厚さは、50μm~250μm、100μm~200μm、または120μm~180μmであってもよい。前記範囲では、フィルムに対するガス透過度を十分に減少させることができる。
【0077】
一実施形態では、前記フィルムの酸素透過度は、200g/m2・day以下、100g/m2・day以下、または30g/m2・day以下であってもよい。前記フィルムの酸素透過度の下限は限定されないが、例えば、前記フィルムの酸素透過度は、1g/m2・day以上、2g/m2・day以上、5g/m2・day以上、または10g/m2・day以上であってもよい。
【0078】
前記酸素透過度は、50%の相対湿度条件および25℃の温度条件で測定したものであってもよい。
【0079】
前記範囲では、前記フィルムをバリアフィルムとして用いる場合、ガス(例えば、酸素)に対するバリア性が向上し、バリアフィルム内の製品を十分に保護することができる。
【0080】
ポリグリコール酸含有樹脂組成物にPGAが60重量%以上で含まれると、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の全領域に均一に位置することができる。これにより、PGAの高いガスバリア性により、ポリグリコール酸含有樹脂組成物を含むフィルムのガスバリア性を高く維持することができる。
【0081】
したがって、ポリグリコール酸含有樹脂組成物にPGAを60重量%以上含むことにより、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物の酸素透過度を低く保つことができる。例えば、ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含有された高分子成分のそれぞれの酸素透過度の算術平均値よりもポリグリコール酸含有樹脂組成物の酸素透過度を低く測定することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記フィルムの酸素透過度は下記式1を満たすことができる。
【0083】
[式1]
OTR(PGA-Poly)<0.1(x・OTR(PGA)+(1-x)・OTR(Poly))
【0084】
前記式1中、OTR(PGA-Poly)は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物から形成されたフィルムの酸素透過度であり、OTR(PGA)は、ポリグリコール酸のみを含むフィルムの酸素透過度であり、OTR(Poly)は、亜鉛含有アイオノマーまたはエチレン系三元共重合体のみを含む樹脂を含むフィルムの酸素透過度であり、xは0.6≦x<1である。
【0085】
前記フィルムは、例えば、食品包装用包装材、電池包装用包装材などの様々な製品の包装材のバリアフィルムとして提供することができる。
【0086】
前述のフィルムは、ポリグリコール酸含有樹脂組成物から製造することができる。
【0087】
例示的な実施形態によれば、ポリグリコール酸含有樹脂組成物をプレスにより加圧してフィルムを製造することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記プレスは、200℃~260℃、210℃~250℃、220℃~240℃、または225℃~235℃に維持することができる。前記範囲では、ポリグリコール酸含有樹脂組成物を含むフィルムを成形および変形することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物は、1分~3分、または1分30秒~2分30秒間、10MPa~30MPa、15MPa~25MPa、または18MPa~22MPaの圧力に圧縮することができる。
【0090】
前記範囲では、フィルムは前述の厚さに製造することができる。これにより、フィルムの酸素透過度が減少し、薄い厚さのフィルムを製造することができる。
【0091】
前述のフィルムの製造ではプレスによる加圧によって行われることを説明したが、フィルムの製造方法はこれに限定されない。例えば、押出機で溶融したポリグリコール酸含有樹脂組成物をt-ダイ(t-die)で冷却ロール(chill roll)により押出し、冷却してフィルムを製造することができる(例えば、キャストフィルム製造方式)。例えば、ポリグリコール酸含有樹脂組成物をリング状のダイ(例えば、スパイラルダイ(spiral die)など)でエアリング(air ring)による空気接触によって冷却してフィルムを製造することができる(例えば、ブローンフィルム製造方式)。
【0092】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0093】
実施例および比較例
実施例1
(1)ポリグリコール酸含有樹脂組成物の原料の準備
ポリグリコール酸(poly(glycolic acid)、PGA)を80℃に設定されたホッパードライヤーで12時間乾燥して、乾燥されたPGAを準備した。
【0094】
エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体を、50℃に設定されたホッパードライヤーで12時間乾燥し、乾燥されたエチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体を準備した。前記エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体における、エチレン単量体、亜鉛アクリレート単量体およびアクリル酸単量体の含有量は、それぞれ約86.5wt%、6.75wt%および6.75wt%であった。
【0095】
エチレン-グリシジルメタクリレート-メチルアクリレートの三元共重合体(EAG)を、40℃に設定されたホッパードライヤーで12時間乾燥し、乾燥されたEAGを準備した。前記EAGにおけるエチレン単量体、グリシジルメタクリレート単量体およびメチルアクリレート単量体の含有量は、それぞれ68wt%、8wt%および24wt%であった。
【0096】
前記ホッパードライヤーとしては、三井ホットエアドライヤーを使用した。
【0097】
(2)ポリグリコール酸含有樹脂組成物の製造
乾燥されたPGA、乾燥されたエチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体、および乾燥されたEAGを、それぞれ80wt%、10wt%および10wt%の割合でインターナルミキサーのチャンバーに入れた。前記インターナルミキサーのチャンバー内の温度は230℃に維持し、前記インターナルミキサーのローターは40rpmの速度で回転した。
【0098】
その後、前記ローターの速度を80rpmに上げて3分間混練した後、混練生成物であるポリグリコール酸含有樹脂組成物を製造および回収した。
【0099】
前記インターナルミキサーとしては、Brabender Measuring Mixer W50を使用した。
【0100】
(3)フィルムの製造
前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物を、230℃に設定されたプレスを用いて、20MPaの圧力で2分間加圧してフィルムを製造した。
【0101】
実施例2~7及び比較例1~6
使用されるPGAの種類、並びにインターナルミキサーのチャンバーに投入される乾燥されたPGA、乾燥されたエチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体、及び乾燥されたEAGの重量比を下記表1に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~7、比較例1~6のポリグリコール酸含有樹脂組成物およびフィルムを製造した。
【0102】
【0103】
表1に示すPGAの種類は以下の通りである。
PGAの種類
A:ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)で測定した分子量において、数平均分子量(Number Average Molecular Weight、Mn)が35,000~45,000であり、重量平均分子量(Number Average Molacular Weight、Mw)が80,000~95,000であるポリグリコール酸
B:ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)で測定した分子量において、数平均分子量(Number Average Molecular Weight、Mn)が70,000~80,000であり、重量平均分子量(Number Average Molacular Weight、Mw)が160,000~180,000であるポリグリコール酸
【0104】
前記ゲル浸透クロマトグラフィーは、ポリグリコール酸をヘキサフルオロイソプロピルアルコール(Hexafluoro Isopropyl Alcohol、HFIP)に溶かした後、溶液をポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)フィルターでろ過した後、Tosoh社製のEcoSEC HLC-8320 GPCに注入して測定したものであり、ポリメチルメタクリレート(Poly(methyl methacrylate)、PMMA)を標準物質とした。
【0105】
実験例1
図1は、ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含まれるエチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体の含有量と、EAGの含有量との合計によるフィルムの酸素透過度の測定値および推定値を示すグラフである。
【0106】
酸素透過度の推定値は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物に含まれるPGAの酸素透過度、エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体の酸素透過度、及びEAGの酸素透過度を重量比によって算術平均した値を示す。
【0107】
酸素透過度の測定値は、前記ポリグリコール酸含有樹脂組成物が含まれたフィルムの酸素透過度を測定した値を示す。前記フィルムの酸素透過度の測定値としては、実施例1、実施例2、実施例5及び実施例6の測定値を用いた。
【0108】
図1を参照すると、前記フィルムの酸素透過度の推定値は、エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体の含有量と、EAGの含有量との合計によって線形的に増加することが計算された。
【0109】
しかし、前記フィルムの酸素透過度の測定値は、エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体の含有量と、EAGの含有量との合計が40重量%以下(PGAが60重量%を超え)の場合、酸素透過度は低く維持された。また、エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体の含有量と、EAGの含有量との合計が40重量%を超える場合、酸素透過度は含有量に比例して増加することが測定された。
【0110】
実験例2
(1)溶融粘度の測定
前述の実施例および比較例で製造されたポリグリコール酸含有樹脂組成物を230℃の温度条件で2mmの厚さにプレスした後、粘度測定器(TA ARES)を用いて溶融粘度を測定した。
【0111】
前記粘度測定器は、230℃、5%のストレイン(strain)、0.1Hz~400Hzの振動数(frequency)の条件に設定し、0.1Hzの振動数で測定した粘度値を溶融粘度として測定した。
【0112】
評価の結果を下記表2に示す。
【0113】
(2)メルトフローインデックス(Melt Flow Index)の測定
前述の実施例及び比較例で製造されたポリグリコール酸含有樹脂組成物をASTM D1238に準拠し、230℃の温度および2.16kgの荷重下でメルトフローインデックスを測定した。
【0114】
評価結果を下記表2に示す。
【0115】
(3)酸素透過度の測定
前述の実施例及び比較例で製造されたフィルムを酸素透過度測定器(MOCON OX TRANS model 2/61)に取り付けて酸素透過度を測定した。
【0116】
前記酸素透過度は、50%の相対湿度および25℃の温度下で12時間測定した後、透過度が安定化する点の値として測定した。
【0117】
前記酸素透過度の測定上限値は1,200g/m2・dayであり、上限値を超えて測定できなかったフィルムの酸素透過度は「超」と表した。
【0118】
評価の結果を下記表2に示す。
【0119】
【0120】
表2を参照すると、実施例によるフィルムは、200g/m2・day以下の酸素透過度を示した。
【0121】
PGA含有量を60wt%に減少させた実施例4及び実施例5では、酸素透過度が増加した。
【0122】
PGA含有量を60wt%未満に減少させた実施例6では、酸素透過度が増加した。
【0123】
PGAの分子量を増加させた実施例7では、溶融粘度が増加し、メルトフローインデックスが減少した。
【0124】
PGAのみを使用した比較例1では、ポリグリコール酸含有樹脂組成物の溶融粘度が減少し、メルトフローインデックスが増加した。
【0125】
エチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体のみを使用した比較例2では、酸素透過度が1,200g/m2・dayを超えた。
【0126】
EAGのみを使用した比較例3では、酸素透過度が1,200g/m2・dayを超えた。
【0127】
PGAを含まずエチレン-亜鉛アクリレート-アクリル酸の三元共重合体、およびEAGを混練した樹脂組成物を使用した比較例4では、酸素透過度が1,200g/m2・dayを超えた。